Nov 21, 2024

音楽イベントの続き

a1

ギターの音色が途絶えると、
フレイムの超絶ドラムソロが始まった。


a2

流石に年季が入ってるなあ。
とトムは思っている。


a3

日頃の調理仕事のストレス発散。


a4

やがて曲はスローテンポに戻り、
啜り泣くようなギターの音色と共に、
エンディングを迎えた。


a5

我に帰った聴衆が
スタンディング・オべーションをしている。


a6

アンコール!
アンコール!
アンコール!


a7

もう一曲やっちゃう?
そだね。


a8

二人は上着を脱ぎ捨て、
アップテンポの軽快な曲が始まると、
ルビーはダックウォークを始めている。


a9

これがロックンロールだね。
という声が聞こえる。


a91

ジェニーも飛び入りで演奏に参加したようだ。


a92

広場は華やかなロックンロールメドレーで
夜更けまで大いに盛り上がったのだった。


a93

探偵とエリスも聴きに来ていた。
楽しかったね。
地味だけど翠のベースも良かった。
バックがしっかりしてるからノリがいいんだよ。
翠、あのポリスの帽子どうしたのかしら。



解説)
続きます。
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Nov 20, 2024

音楽イベント そのきゅう

a1

早くも夕暮れになりました。
次で本日最後の演奏になります。
出場するのは、
ロックバンド「トライトン&ルビー」です。
メンバーは、ルビー、アイス、鷲尾翠、フレイム。
ごゆっくりお楽しみください。


a2

すごい照明器具ですね。
効果不明だけど、夕暮れだからね。
ドルフィンで用意したの。


a3

ルビーがステージでマイクを手にしている。


a4

じゃあ、いつものあれで。


a5

ダダ、というフレイムのドラムから
曲が始まった。


a6

インストロメンタルの
スローテンポのブルースのようだ。


a7

ルビーの印象的なギターソロのバックで、
アイスのサイドギターが歪んだ音色を奏でている。


a8

ルビーが啜り泣きのようなフレーズを弾き終わると、
呼応するようにアイスも追いかけ始めた。


a9

赤いフィルターをつけたライトが点灯し、
曲はアップテンポに変わっている。
二つのギターのアドリブの掛け合いが続く。
聴衆は息を呑んで聴き入っている。



解説)
続きます。
Posted at 20:29 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Nov 19, 2024

音楽イベント そのはち

a1

演奏を終えたジェニーたちは
マンゴー亭に集っている。


a2

あの曲は、なんていうタイトルなの?
まだ考えてなかったけど、
火星中納言ブルースかな。
火星中納言って何?
眼鏡をかけた昆虫の名前なんだって。
文学青年が読んでいた詩集の
タイトルにあったの。


a3

ドルフィンではフレイムが
着替えたばかりのシェフの服を
リタに渡していた。
これそろそろ洗濯した方がいいかも。


a4

会場では次の演奏の準備がされている。


a5

木箱の上に座布団があるよ。

次は、駒井魔子さんによる、
三味線の独奏です。
と夏木さんが紹介している。


a6

魔子の演奏が始まった。
早くも声援の口笛が飛んでいる。


a7

曲は津軽じょんがら節のようだ。


a8

歌の合間に、
すざまじい速引きの
テクニックが披露されている。


a9

撥を叩きつける奏法に
聴衆は陶酔に浸っている。


a91

傍で聴いていたドミノが
思わずギターで参加して競演を始めた。


a92

魔子って三味線上手なのね。
お姉さんはなんでも上手なのよ。
いつも控えめだけど、
素顔でコスプレコンテストで優勝してから、
なんか吹っ切れたみたい。



解説)
続きます。
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Nov 18, 2024

音楽イベント そのなな

b1

ナオミが軽快にドラムを叩いている。


b2

キサラはピアノの音色に調整して
伴奏しているようだ。


b3

いつもクールなシオンは
8ビートのリズムを刻んでいる。


b4

あ、ジェニーが歌い始めた。


b5

目が覚めたら火星中納言が飛んでいた
目が覚めたら火星中納言が飛んでいた🎵


b6

洒落たメガネで空をブンブン
夜になっても空をブンブン
火星中納言が飛んでいたよ🎵


b7

フローラとサヤカも聴きに来ていた。

曲はブルースだけど、
初めて聴く歌詞だわ。
即興なのかしら。
あまり意味はなさそうね。


b8

曲はブルースハープの吹奏で
締めくくられた。


b9

曲が終わり、
聴衆は喝采を叫んでいる。



b91

ありがとー。


b92

あ、ヤカンの水気をつけてください。
すみません。


b93

すごい人気だね。
アンコールに応えるのかな。
どうかな。
次の人が待機してるはず。



解説)
続きます。
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Nov 17, 2024

音楽イベント そのろく

a1

翌朝のサラたちの部屋で。

おはよう。
サラとジェットはもう広場に出かけたよ。
朝食食べたら、私たちも行きましょう。


a2

メアリー、昨晩の曲って。
ああ、スターダストね。
僕、どうしてもザ・ピーナッツと
ハナ肇を思い出しちゃうんだ。


a3

全然わからないわ。


a4

その頃広場では
早めに席を確保しようと、
すでに聴衆が集まっていた。


a5

ジェニーたちが話している。
全然練習してないけど大丈夫?
ブルース進行ならすぐ弾けるでしょ。


a6

ジェニー髪型変えたのね。
どうせなら昔のスタイルでと思ってね。
このランニングもドルフィンの倉庫で見つけたの。
よく見つかったわね。

ブルーのランニングシャツには
BARBIE GIRLS 2005
のロゴが入っている。


a7

キサラとシオンはアンプやシンセサイザーの
音の調整をしている。


a8

みなさんお待たせしました。
音楽イベントも二日目になります。
最初に登場するのは、
ジェニー、ナオミ、シオン、キサラさんによる、
ロックバンド、バービーガールズです。
このバンドの結成は古く、
ほぼ20年前に遡ります。
これまでレコードも出されていますが、
その後ほぼ音楽活動はされていないので、
ロックファンの間では
久しく幻の女性バンドと言われています。

早く始めて~という声が聞こえる。


a9

夏木さんの紹介が終わり、
一瞬静かになった会場で、
ジェニーの吹くブルースハープの音色から
バービーガールズの演奏は始まった。



解説)
続きます。
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Nov 16, 2024

音楽イベント そのご

b1

友と語らん 鈴懸の径
通い慣れたる 学舎の街🎵


b2

優しの小鈴 葉陰に鳴れば
夢はかえるよ 鈴懸の径🎵


b3

聞き惚れちゃうなー。
それに暗譜して歌ってたわ。
練習してたから。
どうしてこの曲をリクエストしたの?
ネットで倍賞千恵子が歌ってるのを聴いてね。

次の曲のイントロが始まった。
この曲は「スター・ダスト」ね。
星屑か。ロマンチックね。
今日はあいにく曇天だけど。

ちょっと星空を思い浮かべてみて。
とフミコが言った。


b4

And now the purple dusk of twilight time
Steals across the meadows of my heart🎵


b5

High up in the sky the little stars climb
Always reminding me that we’re apart🎵


b6

~🎵
Love is now the stardust of yesterday
The music of the years gone by🎵


b7

あれはまたフミコの幻影だな。
よくやるわね。


b8

~🎵
My stardust melody
The memory of love’s refrain🎵


b9

メアリー=ケイトは
盛大な歓声に包まれている。

どうもありがとう。


b91

みなさん。
夜も更けたので、今日のイベントはここまでです。
続きはまた明日になります。
と夏木さんが言っている。

何人かがアンコールと叫んでいるが、
無視されているようだ。



解説)
続きます。
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Nov 15, 2024

音楽イベント そのよん

a1

日が短くなってきたね。
もう暗いわ。
ドラムがセットされてるよ。


a2

お待たせしました。
次はローレンス、レオ、
ジョージ、トムさんによる演奏です。


a3

トムさんじゃない。
急拵えのジャズバンドで、
ドラマーがいないっていうんで、
頼まれちゃったんだ。


a4

インストロメンタルの曲のようだ。


a5

ローレンスがトランペットで
気持ちよさそうにテーマを吹いている。


a6

テナーサックスのレオが、
旋律を追いかけてソロを始めた。
ベースもトリッキーにリズムを刻んでいる。


a7

続いてトムの華麗なドラムソロ。


a8

白熱のソロが終わってテーマに戻ったわ。
聞いたことないけど、
いい感じのファンキーな曲ね。
あれはキーだけ決めて
思いつきのテーマでやってるんだ。
そう言えば、ローレンスさんって、
丹下さんのお友達でしたわね。
ニューヨーク時代からの旧友だよ。


a9

インストロメンタルは、
BGMのように途切れることなく続いている。
ローレンスがステージから降りると、
黒いドレスの女性が現れた。


a91

あれはメアリー=ケイトよ。
ちょうど間に合ったわ。

サラたちの部屋から、
サラとフミコとケイとジェットが
応援と鑑賞に来たのだった。


a92

ジェットは、
それヘビですよね。
と言われている。



解説)
続きます。
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Nov 14, 2024

音楽イベント そのさん

c1

続いての演奏は、
奈々子さんとロベリアさんによる、
ヴァイオリンの二重奏です。


c2

美しい音色が
響き渡る。


c3

二人の息もぴったりのようだ。


c4

二人が演奏するというので、
ジェニーフレンドたちも、
聴きにきていた。

あの旋律痺れちゃうわ。
ロベリアも上手なのね。


c5

演奏を終えて、
聴衆の拍手と喝采を浴びながら、
二人はフレンドたちに手を振っている。


c6

みなさん。
ステージの模様替えの作業をしますので、
ここでしばらく休憩をします。


c7

奈々子とロベリアは、
フレンドたちと合流した。

ロベリアも上手だったじゃない。
奈々子が弾きやすい曲選んでくれたけど、
私はついていくだけで精一杯だったのよ。


c8

バルトークの二重奏も良かったけど、
シタールって言えば、
ラヴィ・シャンカールだね。
それしか知らないんだけど。
ジムはあの世代なの?
なんか眠くなるような曲だったなー。
あの曲は瞑想に向いているんだよ。
などと話している。


c9

おや、そろそろ始まるみたいだよ。
とゼロが言っている。



解説)
続きます。
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Nov 13, 2024

音楽イベント そのに

a1

続いての登場は、鈴木すずさんと、
お友達の池谷圭さんです。


a2

すずはスペリオパイプを拭き始めた。
圭はトライアングルとカスタネットで
伴奏をしている。


a3

曲はキラキラ星のようだ。


a4

懐かしいなあ。この曲。
あなたも小学校で?
などと話している。


a5

この曲は元はシャンソンだったんだろう。
モーツァルトも変奏曲を作ってるんだ。
誰でも知ってる曲ね。
あ、間違えた。
などと言っている。


a6

やがて演奏を終えた二人は
マンゴー亭で話している。
惜しかったなあ。
あの最後の、ファファミミレレドのとこね。


a7

続いては、
フラハさんによるシタール演奏です。
と夏木さんがアナウンスしている。


a8

会場に妙なるシタールの音色が響き渡る。


a9

幻想的な夢の境地に誘われるような。


a91

フラハって、
アフリカに住む前インドにいたことがあるんだって。
それでね。
でもあのポンチョは。


a92

演奏を終えたフラハは喝采を浴びている。
あれがやりたかったのか。



解説)
続きます。
Posted at 20:21 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Nov 12, 2024

音楽イベント

b1

ようやく音楽イベントの当日になった。


b2

ベーカリーの奥は、出演者や
スタッフの待機場所になっている。

夏木さん。
そろそろ始めない?
そうね。これ食べてから。


b3

マンゴー亭にはジルとギルダが聴きにきていた。

セットしたドラムセットを一旦片付けたらしいわ。
出演者の順番の都合ですって。
イベントを始めるってアナウンスして、
昨日の今日だからね。
進行の手順も色々大変なんだろう。


b4

練習中のジョージは、
ベースの響きって素敵ね。
とレイに言われている。


b5

焼き芋を食べ終わった夏木さんが
アナウンスを始めた。


b6

今日はこんなに大勢お集まりいただき嬉しい驚きです。
これから、さっそく音楽イベントを開始します。
最初はみなさんお馴染みの、
大道芸人の方たちの演奏と歌唱をお楽しみください。


b7

大道芸人たちの歌と演奏が始まった。
ドラコとレプティも足元で一生懸命歌っている。


b8

今日は特に歌唱に力がこもっているようだ。


b9

会場に熱気が伝わってくる。
声量をコントロールするためにマイクを遠ざけているようだ。



解説)
続きます。
Posted at 20:28 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Nov 11, 2024

音楽イベントの準備 そのさん

a1

音楽イベントのアナウンスが流れ、
鷲尾翠は、
アイスからイベントにバンドで出演する
ことになったと知らせを受けた。

何探しているの?
この辺にギターケースが仕舞ってあったはず。


a2

これは君のギター?
ルビーが愛用してたギターよ。
私はベース担当なの。


a3

ペンギン前では、
奈々子とロベリアが
ヴァイオリンを出してきて話している。

このヴァイオリン、奈々子のでしょう。
そうだけど、今回はこれ使うから。


a4

二重奏なんて緊張しそう。
奈々子はベテランだけど、
私人前で弾くの初めてなの。
きっとうまく行くわよ。


a5

それが噂の名器ね。
私もこれ弾くのは初めてなのよ。
すごく楽しみ。


a6

ジェニーたちの部屋でも
音楽イベントの話で盛り上がっていた。

さっき広場に行ったら、
椅子がずらっと並んでいたよ。
ステージもできていて驚いちゃった。


a7

そこにシオンとキサラがやってきた。

ハロー。もちろん明日からの音楽イベント、
バービーガールズで出演するんでしょ。
と言っている。

二人はドルフィンの倉庫から、
楽器を運んできたのだった。


a8

懐かしいなー。
これギブソンモデルのギターと
ベースだよね。
よくこんなの作ったもんだね。


a9

私のシンセサイザーもあったのよ。
もちがいいんだねー。


a91

サラたちの部屋には、
今井舞がメアリー=ケイトに、
出演を依頼しにきていた。

この前の歌声にすごく感動したんです。
また是非聴いてみたいと思って。
あ、それ蛇じゃないですか。


a92

サラはさっそくメアリー=ケイトの服を
選んで着替えを手伝っている。

この黒いドレスは?
ちょっとシックでシンガーっぽいでしょ。


a93

舞さん、それ何持ってるの?
あ、渡すの忘れてた。
これは譜面です。
よかったら歌ってもらおうと
思って持ってきたの。
「鈴懸の径」よ。



解説)
続きます。

奈々子のヴァイオリンの演奏シーンは、
2006年6月12日「もちよりパーティ」
2024年3月19日「早春のしらべ そのなな」
などに出ています。
Posted at 20:27 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Nov 10, 2024

音楽イベントの準備 そのに

a1

広場では音楽イベントの準備が
進んでいる。


a2

ドミノと夏木さんが話している。

どうせならドラムも欲しいわね。
設置スペースが足りないのよ。



a3

魔術劇場からハリーが出てきた。

音楽イベントをやるそうじゃないか。
そうなのよ。明日からね。
突然決まったんだけど。
だったらスペースを空けてあげよう。
魔術劇場を、
またジルの別荘にでも移転するよ。


a4

ハリーはエヴァに声をかけて
劇場の中に入るようにいうと、
魔法の呪文を唱えた。


a5

すると薄い煙が立ち上って、
魔術劇場の建物はうっすらと消えていった。
おー。
と農家の岸芳樹が言っている。


a6

空きスペースができたので、
急遽、演奏用にステージを作って、
音楽イベントっぽい演出をすることになった。

アンや佳奈も
ドルフィンの倉庫から
音楽機材を運ぶのを手伝っている。


a7

木枠で舞台が作られ、
ドラムセットが設置されている。


a8

なんだか懐かしいわね。
私たちも久しぶりに演奏する?
こうなったらやるっきゃないわね。
とアイスとルビーが話している。


a9

あのー、
大きいお蜜柑欲しいんですけど。
ごめんね。味見してるうちに
みんな食べちゃやったのよ。



解説)
続きます。
Posted at 21:01 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Nov 09, 2024

音楽イベントの準備

a1

翌朝になった。
広場は突然の音楽イベントの準備で、
やや慌ただしい雰囲気が漂っていた。


a2

ルビーは大道芸人たちと話している。

面白そうな企画ですね。
僕らは何を。
しばらくこの場所を空けてくれればいいのよ。
もちろん演奏にも参加して、
必要なら伴奏もしてくれると助かるわ。


a3

故障したバイクをドルフィンに預けに来たトムは、
アイスと話している。
久しぶりね。熱いお茶飲んで
肉まんでも食べない。


a4

音楽イベントやるんですか。
誰でも飛び入りの参加自由なんだってさ。
のど自慢大会みたいですね。
出てみる?
僕は聴くだけで。


a5

ドルフィンスタッフが、
パイプ椅子を持ち出してきている。


a7:jpg

通行の邪魔にならない程度に。

よっこいしょ。
という声が聞こえる。
今井舞も手伝っているようだ。


a8

ジョニーがウッドベースを弾いて、
ドミノと音合わせをしている。


a9

なんとなくなんとかなりそうね。
と夏木さんは思っている。


a91

大道芸人たちはベーカリーで
食事を奢ってもらっていた。

しかし僕らが毎日演奏している時も、
基本は飛び入りの参加自由なんだから、
あまり変わらないんじゃないかなあ。
聴衆用の椅子席が並んでるところが違うのよ。
そこですか。


a92

ルビーはマイクを手にして、
アナウンスを始めた。

みなさん。
広場で音楽イベントを始めます。
ジャンルは問わず、どなたでも参加できますので、
出演希望者は気軽にベーカリーまでお申し出ください。
また特に優れた演奏や歌唱には、
賞品をご用意しています。


a93

こんな感じでよかったかな。
ルビーありがとう。上出来よ。
さあ、焼き芋食べましょ。



解説)
続きます。
Posted at 22:10 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Nov 08, 2024

広場の人々の衣替え

b1

広場はわりと閑散としていたが、
音楽だけは賑やかに流れていた。


b2

そのお揃いのジャンバーは、
ドルフィンスタッフのトレードマークね。
毎冬着る物が決まってるのは楽だわ。


b3

農家の岸芳樹とヘルミーネも
衣替えをしていた。

ミカン美味しかったから、
もう一つ味見しましょう。
と言っている。


b4

ジャマイカから来た
観光客も革ジャンを着込んで
寒いのは苦手なんですよと言っている。


b5

大道芸人たちも
それなりに防寒着を着込んで
歌っているようだ。


b6

広場に夏木さんがやってきた。
演奏を聴いているようだ。


b7

あら夏木さんじゃない?
去年の暮れ以来ね。
ちょうど焼き芋があるわよ。

やっぱりねー。もちろん頂くけど、
今、大道芸人たちの演奏を聴いていて
思いついたの。
クリスマスまで暇でしょう。
これから音楽イベントでもやらない?
いいけど、どこで?
ここで。あのスペースが使えるでしょ。
広場に椅子を並べるだけよ。
安易で楽しそうな企画ですね。
ぜひ手伝わせてください。
と側で聞いていた今井舞がいった。

じゃあ飛び入り歓迎の自由参加ということで、
明日にでもアナウンスしましょう。
了解。
ハロウィーンの時、すごく綺麗な歌声の
人がいましたよ。
じゃあ声をかけてみてよ。
私も参加者を募ってみる。


b8

夏木さんはデジャに向かった。
ここは会員制なんです。
とヨシフに言われている。
え、音楽イベントの相談ですか?
だったらどうぞ。


b9

安易で面白そうな企画ね。
誰か楽器演奏できる人いる?


b91

ジョニー、君は
イギリスでバーテンやってた時、
仲間とバンドも組んでたよね。
昔のことだよ。


b92

どんな楽器弾いてたの?
ジャズバンドのウッドベースですよ。
当たりね。
飛び入り歓迎の自由参加だから、
ベースがいると頼もしいわ。



解説)
続きます。
焼き芋とイヴェント企画好きの夏木さんは
ごくたまにちらっと登場しています。
最近では、
2023年1月11日「ベーカリー前で」。
2023年12月25日「時の流れのままに」。

久しぶりに思いつきの企画が始まったようです。
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Nov 07, 2024

はるなや探偵たちの衣替え

a1

ペンギン前では、
上着を着込んだ従業員のはるなとリズが、
エプロンの交換をしていた。


a2

このメイド風のエプロンしてみたかったの。
あ、それどこに?
二階の事務所からの注文よ。


a3

リズは階段を上がって、
探偵事務所を訪れた。


a4

コーヒーお持ちしました。
皆さんも秋冬モードですね。


a5

それって若く見えるわね。
そうかな。


a6

君はなかなかシックだね。
そうかしら。


a7

私はどう?
そうねえ。


a8

高台の休憩所でも、
江本友恵がコートを着ていた。
それ、去年も着てたやつね。
お気に入りなのよ。


a9

だけどこうまでして
ここでタバコ吸うってどうなの。
そういう定めなのよ。


解説)
続きます。
Posted at 20:29 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Nov 06, 2024

サラとバービーたちの衣替え

a1

サラたちの部屋では、
ダリオたちがコスプレの着替えを
終えていた。


a2

サラやメアリー=ケイトも
秋冬の装いに着替えている。

ダリオさんは普通の服を着ないの?
ドルフィンの倉庫に色々あるわよ。


a3

僕はこの服、着慣れてますから。
あ、これ、着付けのお礼に差し上げます。
先住民からの貰い物ですが、
こちらの世界の魔力がこもっているので、
フミコさんが持っている方が相応しいかと。


a4

山羊の頭蓋骨のようね。
確かに静かな波動が伝わってくる。
波長も合う感じがするわ。


a5

オセロは大蛇と遊んでいる。


a6

広場にはバービーたちが
参加賞の受け取りと衣替えに来ていた。


a7

あなたたちもハロウィーンコンテストに
参加していたのね。
気がつかなかったわ。

普通のバービー人形のコスプレなので、
みんな普段着だったから、
目立たなかったのよ。


a8

ケン、久しぶりね。
そのナンバーはなんの数字?
僕も知らないんだ。


a9

なんとなく、みんなお揃いで
ブルゾン来てるのね。
ルビーもその格好。


a91

流石にランニング一枚じゃ
寒そうだからって。
私は平気なんだけどね。


a92

アイスは巨大蜜柑を
試食していた。

うん。これは甘いわ。


a94

アコーデオンを持った田上うたが、
広場にやってきた。

遅かったじゃない。
ハロウィーンはとっくに終わっちゃったよ。
色々と事情があってね。
でも演奏は続けてるんでしょう。
ずっと続けてるよ。
何か弾く?



解説)
続きます。
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Nov 05, 2024

ジェニーとフレンドたちの衣替え

a1

ベランダに集まっていた
ジェニーフレンドたちは、
ドルフィンの倉庫に行き、
ナースやドクターのコスプレを返却して、
好みの私服を借りていた。


a2

服が色々揃ってるんですね。
ドルフィンも長いからねー。

でも同じ服が滅多にないから、
早い者勝ちなのよね。
秋冬はあったかくしないと。
などと、
リナとジュリアナとユーリシアが言っている。


a3

お揃いの服を見つけました。
あなたたち、双子なの?
とルビーが尋ねている。


a4

私はあいこです。
私はミツキ。
よく見ると微妙に違うでしょう。


a5

かっこいいなあ。
ありがと。チョコたべる?
と奈々子が言っている。


a6

農家の直販店には、ツナとナディアが
未来世界の密林で収穫した
巨大オレンジを持ち込んでいた。
これすごく甘いんですよ。
と言っている。


a7

トムはドルフィンのマスターに、
バイクのメンテナンスを頼んでいるようだ。

始動音がですね。
ヒュィーンと言って。
ふむそれはクランクベアリングの
異音の可能性があるな。

多恵はトムにインタヴューしようと思ったが、
真剣そうな二人の会話に躊躇している。


a8

ペンギン前でも
サヤカとフローラとリエが
着替えを済ませていた。

これで寒くなっても大丈夫ね。
これフード付きなのよ。
私はゆるいのが好き。


a9

リエさんって、
キサラさんに似てますね。
よく言われるんだけど
それでちょっと困った顔してるの。
そこが二人の違いなのよ。


a91

ジェニーたちも衣替えをしていた。
みんなカーディガンか。
僕もそろそろ羽織を出そうかなあ。


a92

モモコが戻ってきた。
あ、おかえり。
それそろそろ寒くない?


a93

モモコは花瓶を運んできたのだった。
これ何の花かしら。
とてもいい香り。



解説)
続きます。
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Nov 04, 2024

ハロウィーンの後で

a1

アイスとモモコは魔術劇場に戻ってきた。
デュアンが花瓶の花の手入れをしている。

お帰りなさい。
おや、まだその格好してるの?
ええ、町に出るわけじゃないから、
しばらくこのままでいようかと。


a2

綺麗なお花ですね。
ちょうどよかった。
早めにお水に浸した方がいいわ。


a3

デュアンは花瓶に生けてくれた。
夢見の水だから、
きっと長持ちするわよ。


a4

その頃、デジャでは。

ハロウィーンも
あっという間に終わったね。
アンジーは着替えないの?
もう秋冬モードでしょ。
何着るか迷ってるのよ。


a5

どうやら広場の後片付けも
終わったみたいだね。
とゼロが言っている。


a6

広場ではドルフィンスタッフによる
飾り物の撤去と掃除が終わったところだった。


a7

飾り物がなくなるとスッキリするね。
みんなの家に配布したカボチャアイテムの
回収も終わったわよ。
ハロウィーンが終わると本格的な秋だなあ。

観光客はやや少なくなったが、
大道芸人たちの演奏は続いている。


a8

ベーカリー前では、
コスプレコンテストの参加賞の
チョレート掴み取りをしに
来る人が絶えなかった。


a9

好きなチョコ集めてから掴んでいいですか。
それはちょっと。
と言われている。


a91

農家の岸芳樹とヘルミーネが、
また農産物の即売店を開く準備をしていた。

このバナナ食べてから始めよう。
と言っている。


a92

マンゴー亭では食器の片付けをしていた。

あの人たちずっと予約席で食べ続けだったわよ。
商売繁盛だったんだね。
あなたいなかったでしょ。
とシェフの丹下健太が小池恵子に言われている。
僕もベーカリーで食べ続けだったんだ。
アメリカンヒーローチームで抜けられなくて。
フレイムが掛け持ちで来てくれて助かったわ。
すぐ隣だからね。
と奥でフレイムが言っている。



解説)
続きます。
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Nov 03, 2024

妖精のモモコ

a1

アイスとモモコは魔法の扉を使って、
アフリカのフラハの家にやってきた。

おや、これは可愛い妖精さんと一緒だね。
私モモコっていいます。


a2

君たちの町のハロウィーンは盛況だったな。
私も兄と再会できて楽しかったよ。
ケントさんがあなたのお兄さんだったとはね。
何度も会ってるのに全然気がつかなったわ。
この髪型だからなあ。
などと話している。


a3

近くに見通しのいい場所ないかしら。
高台の方に薬草が一面に咲いてる場所があるよ。
ああ、あそこね。
遺跡探検で、この集落に最初に来た時通った。


a4

二人はフラハの家を後にした。

この羽根ってどうしたら飛べるの?
飛びたいと思えばいいんじゃない。


a5

モモコが飛びたいと思うと、
羽が震えるように動き、
モモコの体がふわりと浮き上がった。


a6

モモコは飛びながらついてくる。


a7

二人は薬草の群落に到着した。


a8

花々の上を飛び回っている。

気持ちいいけど、
強い風が吹くと飛ばされそうになる。
この羽根って低空飛行しか出来ないのね。


a9

なだらかな斜面に沿って飛んでいくと、
なんとグリーンマンが現れた。
モモコは、その姿を初めてみたので
驚いている。


a91

グリーンマンは
降り立ったモモコに花を差し出した。

駆けつけたアイスが心配そうに見ている。


a92

なんとモモコにはグリーンマンの
思いと言葉が伝わってきた。


a93

その後、グリーンマンと別れ
二人は帰路についている。

あれはフミコの追っかけだよ。
遺跡周辺の森を守っているんだ。
グリーンマンの言葉は
フミコしかわからないのに、
よくわかったね。
私、そういう力があるみたいなの。
ジャンのジオラマの村に夢食いの怪物が現れた時も、
迷いの森でエリコに会った時もそうだった。

そういえばあの時はそうだったね。

最初、私を本物の妖精だと勘違いして、
懐かしくなって出てきたんですって。
ずっと昔に妖精と仲良しだったって言ってたわ。
この花は妖精が好きな花なんだって。



解説)
続きます。


モモコが夢食いの怪物と対決したシーンは、
2021年8月31日「怪物との遭遇」に。
アイスが「あの時」と言っているは、
二人で迷いの森を探検した時のことです。
二人の探検のエピソードは、
2021年5月6日「モモコの計画」から
5月13日「帰り着いて」まで。
Posted at 21:02 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Nov 02, 2024

参加者のスナップ

b1

多恵のインタヴューは続いていた。
今晩何が食べたいですか?
もちろんきつねうどんとお稲荷さんよ。


b2

妹の今子や、
犬猫猿鳥同盟のトラやドビーも
駆けつけてきた。

私は今子です。
テレビに映ってますか。
ぜひ私たちの同盟に加入してください。
名前を犬猫猿鳥狐同盟に変更しますから。
なんということでしょう。
頭が動物園になりつつあります。
などと言っている。


b3

マンゴー亭では。

やっぱりなあ。
今の人たちは僕らのこと知らないんだよ。
来年は少年ジェットにしようかな。
僕はエイトマンがいいな。
それって有名だったの?
などと話している。


b4

ベランダでは。

優勝はできなかったけど、
トムさんとお知り合いになれて嬉しいわ。
トムさんはどちらにお住まいですか。
郊外です。
郊外ならリエやリナたちも暮らしてるはずよ。
今度遊びに行こう。


b5

ペンギン前では。

残念だったわね。
また来年ね。
来年もやるのかなあ。


b6

すずはミラの膝の上で、
眠り込んでいるようだ。


b7

サラたちの部屋では。

ダリオさん優勝候補だと思ったのに。
残念でしたね。
いやいや一人暮らしが長いので、
参加できて楽しかったです。
ケイのユニホーム、
ドジャーズのだったら優勝だったね。
それはそうかも。
などと言っている。


b8

ベーカリーの奥では。

年に一度、出演できるのが何より。
スターウォーズは不滅だからね。
などと話している。


b9

ベーカリー前では。

映画出演の依頼でも来ないかな。
私のこれはコスプレじゃなくて仕事着なのよ。
犬猫猿鳥狐同盟に参加すればいいのに。
焼き芋が美味しい季節ね。
あ、ジム。私に何か用事があったんじゃなかったの?


b91

なんだったかな、忘れちゃったよ。
それよりそこの焼き芋くれない?


b92

高台の休憩所では。

コスプレコンテストに参加した人たちの
スナップ写真を撮って回ってる人がいるみたいよ。
あなたタバコ喫う?
禁煙中なんです。


b93

ジェニーたちの部屋には、
広場から3人が戻ってきた。

ああ面白かった。
ずっと本読んでたのね?
その本は?
これはキノブックス編集部編
「もうすぐ絶滅するという煙草について」
というエッセイ集で、42人の作家の
エッセイが収録されてるんだよ。
ふーん。ところでモモコは?
アイスとアフリカに行くとか言ってたけど。



解説)
続きます。
Posted at 20:25 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Nov 01, 2024

ハロウィーンコンテストの発表

a1

ハロウィーンの翌日も、
コンテストの発表があり、
広場は変わらず賑わっていた。


a2

審査員のマンスフィールドさんと、
ボニーとルビーが相談している。

広場をみて回ったけど、
みんな甲乙つけ難いわ。
誰でもいいわよ。
僕もルビーに任せるよ。
いつもそれなんだなあ。


a3

ナオミのスネアドラムが
鳴り出すと広場は静まり返った。


a4

パンパカパーン・パパパ・パーン🎵
とローレスの吹くトランペットが
響いている。


a5

みなさん。
今年のハロウィーンのコスプレコンテストの
優勝者を発表します。
厳正な審査の結果、
優勝したのは狐の着ぐるみの扮装をした、
駒井魔子さんです。


a6

お姉ちゃん。
やったね。
と駒井今子が言っている。


a7

おめでとう。
その顔どうみても
作り物には見えないわよ。
とニッキーが言っている。


a8

万雷の拍手と喝采の中、
魔子はトロフィを授与されている。


a9

実はこの頭は被り物じゃないのよ。
胴体は着ぐるみですけど。
わかってるわ。なんでもありなの。


a91

あれはお稲荷さんのところの
野狐だろう?
そうなの?
うん。強力な魔力を持ってるので、
知る人ぞ知る狐の精霊だったんだ。
幕末の頃には活躍したらしいぞ。
長生きなのね。


a92

魔子はさっそく枝野多恵の
インタヴューを受けている。

おめでとうございます。
ご感想は?
ドジャーズと一緒の時期に
優勝できて嬉しいです。



解説)
続きます。

ハリーと魔子が最初に出会ったのは、
2022年4月21日「新緑の頃 そのに」。
その時も、幕末の話がチラッと出てきます。
Posted at 20:23 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Oct 31, 2024

今日はハロウィーン

a1

今日はハロウィーン。
珍しく朝の光が広場に差し込んでいる。


a2

ドミノは踊っている。


a3

ローレンスとネオの奏でる
ラッパの音色が
お祭り気分を盛り立てているのだった。


a4

これから家を回ってこようよ。
と子供達は言っている。


a5

ケントは広場に戻ってきた。
ドジャーズが優勝したそうですよ。
おめでたいですなあ。
と言っている。


a6

子供達は高台に来ていた。

トリック・オア・トリート!

ここは路上なのよ。
と言われている。


a7

トリック・オア・トリート!

参加賞の残りのチョコをあげるわ。
イタズラしないでね。


a8

広場にはハリー夫妻も顔を見せた。
ハリーさん、恒例の吸血鬼スタイルですね。
この姿が懐かしいんでね。
今年も盛況ね。
とカーミラが言った。


a9

その時、不意に空が暗くなって、
蝙蝠のような影が飛び交い始めた。
派遣コウモリのひそこは戸惑っている。


a91

カボチャの群れもうごめいている。
これはフミコの作った幻影だね。
とハリーが言った。


a92

サラの思い浮かべた
ハロウィーンの空のイメージって、
こんな感じなのね。
実はよくわかんないのよ。
などと話している。



解説)
続きます。
Posted at 20:24 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Oct 30, 2024

もうすぐハロウィーン そのなな

a1

アフリカに行くために魔術劇場を訪れた
アイスとモモコは、
花を生けていたデュアンに出会った。


a2

大きくて綺麗なバラね。
夢見の水を使うとよく育つのよ。


a3

デュアン、その格好は?
私、お部屋の管理を任されていて、
引きこもり状態なんですけど、
ハロウィーンの時くらい、
外に出た方がいいわよって、
カーミラに言われて。
コスプレする時はいつもこれなんです。


a4

広場には探偵事務所から、
探偵とエリスが見物に来ていた。


a5

探偵さんはコンテストに参加しないのね。
仕事柄、変装は得意なんだけどね。


a6

ここは一応禁煙なのよ。
高台の休憩所が喫煙場所になってるの。
とエリスが言った。

それにしては、いつも煙が漂ってるわよ。
誰が喫ってるのかしら。


a7

ベランダでは、
トムが要望に応えてサングラスを外していた。
やっぱりハンサムね。
と言われている。


a8

魔術劇場から、
デュアンが登録にやってきた。


a9

もしかして、君はデュアンじゃないか。
と探偵が声をかけた。

そうですけど、あなたは?
僕はこの町で私立探偵をやってます。
あれはもう16年も前のこと、
僕は人探しを頼まれて。
あ。あの時の。

お元気だったんですね。
あれからいろいろあって、
一時は世を捨てて修道院に入ったりしましたが、
一昨年のハロウィーンでハリーさんと知り合って、
それ以来、ご厚意で魔術劇場で暮らしています。
それは知らなかったなあ。
滅多に広場に出てこないので。



解説)
続きます。

花を生けてあるガラス瓶の水に、
「透明きらきらねんど」を使ってみました。
セリアで購入。

デュアンと探偵の出会いは、
2008年4月24日「デュアン そのいち」から
6回のシリーズで。
2022年10月27日「もうすぐハロウィーン そのに」
でハリーとデュアンが出会い、
2022年11月2日「翌日」の別荘での話題で、
デュアンが魔術劇場に逗留することに
なったことが明かされています。
Posted at 20:29 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Oct 29, 2024

もうすぐハロウィーン そのろく

a1

広場の賑わいは続き、
やがてメアリー=ケイトの歌が終わった。


a2

拍手がわき、
天使のような歌声でした。
と言われている。


a3

自分でも信じられないわ。
と言っている。


a4

よくお似合いです。
この蛇人懐っこいわね。
とルビーが言っている。


a5

審査員でカメラマニアのボニーが、
友人トムを見かけて声をかけている。

やあトムじゃないか。
何みてるんだい?


a6

あそこの屋根に登ってる人がいるんだ。
ふうん、それはそうと、久しぶりだね。
今日は郊外から登録に来たの?
見物に来ただけだよ。


a7

魔術劇場の屋根の上に、
キャットウーマンがいたのだった。


a8

キャットウーマンは
素早い身のこなしで、
身を翻すと、路上に見事に着地した。

そこ階段だから危ないよ。
と言われている。


a9

キャットウーマンのセリーナは、
今年もコンテストの登録に来たわ。
2年ぶり。とアイスに言っている。

セリーナ、今年はマスクの形が違うのね。
いろいろと事情があるのよ。


a91

ついでだから君も登録したら?
とボニーがトムに言っている。

何も準備してないんだ。
そのままでいいよ。
「ミッションインポッシブル」の
コスプレということで。


a92

ベランダから広場を眺めていた
ジェニーフレンドたちが騒いでいる。

あの人かっこいいわよ。
こっちに来てくれないかしら。
どれどれ。


a93

トムはジェニーフレンドたちに呼ばれて
ベランダに登って行った。

サインしてください。
本物のイーサン・ハントさんですか?
それは役名でしょ。
サングラスとってみてください。
それは失礼でしょ。
などと話している。



解説)
続きます。

キャットウーマンのセリーナは、
2006年8月6日「猫のいる街」に初登場ながら
ほとんど出番がなく、
2022年10月10日「コスプレの愉しみ そのきゅう」
で、ハロウィーンのコスプレコンテストに参加しています。
郊外に住むトムも滅多に登場しませんが、
最近では2024年8月22日「堤防の散歩」に
ちらっと登場しています。
Posted at 20:26 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Oct 28, 2024

もうすぐハロウィーン そのご

a1

サラたちの部屋にダリオがやってきた。


a2

あら、ダリオさん。

広場で皆さん楽しそうなので、
私もコスプレコンテストに
混ぜてもらおうと思ってきました。


a3

サラさんが着付けをしてくださるとか。
いいですよ。
ところで、その蛇は?
私の友人です。
ジャングルで知り合いまして。


a4

着付けが始まった。
ダリオがアフリカの先住民の扮装を
したいというので、
フミコも手伝っている。


a5

ダリオはバッグから取り出した
仮面を被っている。
この仮面は先住民からもらったのものなんですよ。
蛇は嬉しそうにダリオの頭に
巻きついている。


a6

着付けしてもらったダリオはさっそく
広場に登録にやってきた。


a7

今年のコスプレコンテストは、
ハロウィーンらしい
カオス状態で楽しいわ。
とルビーが言っている。


a8

大道芸人たちの伴奏と共に、
メアリー=ケイトがギターを爪弾いて、
歌を歌い始めていた。


a9

キツネ狩~り~に行くなら~
ララ気をつけておゆきよ~🎵


a91

キツネ狩~リ~は素敵さ~
ただ生~き~て戻れたら~🎵


a92

しびれる歌声だね~。

パントマイムの彫像が動いて、
いま姿勢が変わったよ。
歌を聞いてるんだよ。
と子供達が話している。



解説)
続きます。

歌を歌っているシーンの、
メアリー=ケイトのヘッドは、
スペアにすげかえています。
Posted at 20:22 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Oct 27, 2024

もうすぐハロウィーン そのよん

a1

モモコとメアリー=ケイトは
広場にやってきた。


a2

アイスさあ、
フミコさんがこの羽根に
魔法をかけてくれたの。
空が飛べるんですって。
ふーん。だったら、
アフリカにでも行ってみる?


a3

メアリー=ケイトは
ドミノに話しかけている。

私、歌がうたいたんですけど、
飛び入りで演奏に参加できます?
いいわよ。
このギター貸そうか。


a4

ドルフィンの二階から、
駒井今子も登録に降りてきたようだ。
ベランダからどよめきが聞こえてくる。


a5

コスプレ姿の駒井魔子が
ドアから出てきたのだった。

わー、それすごく狐に見えるよ。
そうなのかな。
この人は誰なの?


a6

白狐のコスプレで登録しにきました。
姉もすぐにきます。
その声今子ちゃんでしょ。
お茶のお手前上手になった?


a7

魔子はみんなに注目されていた。
その頭本物でしょう。
あなたも魔法生物ですか。
ぜひ犬猫猿鳥同盟に。


a8

怖いよー。
すずちゃん。私、魔子よ。
これは着ぐるみなの。


a9

どんな曲歌うの?
決めてなかったけど、
中島みゆきの「狐狩りのうた」にする。


a91

長くて立派なおしっぽだね。
と言っている。



解説)
続きます。
Posted at 20:21 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Oct 26, 2024

もうすぐハロウィーン そのさん

a1

夜が更けても、
サラたちの会話は続いていた。

モモコさんのコスプレはリアルで、
とてもよく似合ってるわ。
遙かな昔、高原の庭園や花園で、
よく遊んだ妖精たちを思い出しちゃった。
今はみんな滅んでしまったのかもしれないけど。
とフミコが言った。


a2

小人族のジェーンみたいに、
きっとどこかでひっそり暮らしているわよ。
でも私も本物は見たことがないの。
この扮装は童話や妖精写真のイメージから
想像して組み合わせたのよ。
服はドルフィンの倉庫で見つけて、
羽根は塩ビのシートの切り抜きだし。


a3

フミコは立ち上がって
モモコに向かって、そこに立ってみて。
と言った。
モモコが立ち上がると、
フミコは呪文を唱えた。
すると、薄い煙が立ち上ったが、
とくに何も起きなかった。


a4

今、あなたの羽根に呪文をかけたの。
これからは空が飛べるわよ。
とフミコは言った。

いいなあ、私にも何か。
とメアリー・ケイトが言った。
いいわよ。何がお望み?

私、歌が上手になりたいな。


a5

翌日も、広場は朝から賑わっていた。


a6

ケントさんは?
フラハと一緒に出かけたわよ。
アフリカに行くとか言ってたけど、
ハロウィーンには戻るって。
双子の兄弟の200年ぶりの再会だから、
積もる話もあるんでしょうね。
だけどケントさんが魔族だとは意外だったわ。
案外、そういう隠れ魔族の人って居るのかもね。


a7

鈴木すずは、
ゾンビ顔の青年を見て、
ドビーの足にしがみついて泣いている。

怖いよ怖いよ。


a8

でもさ。犬の顔をした人の方が、
怖くない?
と池谷圭に言われている。


a9

ドルフィンの二階では、
駒井今子が箪笥の鏡を覗き込んでいた。

この狐のお面どうしたの?
小力貴理子から借りたのよ。
懐かしいお名前ね。
彼女って造形作家だったっけ。
そうよ。そのお面は貴理子の作品。
私が宿ったこともある思い出の品なの。


a91

今年のハロウィーンには、
白狐のコスプレで参加するの。
白い服着て、お面をかぶるだけだけど。


a92

不気味に可愛いでしょう。
う。まあ、ハロウィンぽいわね。

今年はね。
お姉さんも参加するって言ってた。
あら、魔子さんも。
2年ぶりね。また能面の小面かしら。
今年は動物顔の人が多いから、
自分も素顔で参加するって言ってたよ。
素顔って。。。



解説)
続きます。

小力貴理子と狐のお面にまつわる話は、
2022年1月17日「ふつうの日曜日 そのに」
から始まります。
この狐のお面がとりもつ縁で、やがて
人間に化けた駒井魔子はドルフィンの二階に
暮らすことになったのでした。
その顛末は、2022年2月末頃まで、
飛び飛びに描かれています。
妹の今子が一緒に暮らすようになるのは、
2022年4月5日「花散る春の日」から。
Posted at 20:23 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Oct 25, 2024

もうすぐハロウィーン そのに

a1

夕暮れ近くなっても、
広場は賑わっていた。


a2

子供達は広場に来て登録を済ませたようだ。

日が短くなったね。
毎日撮影するひとは大変だろうね。
などと言っている。


a3

魔術劇場の鏡の扉が開いて、
アフリカから、
フラハたちが広場にやってきた。

やあアイス。
ハロウィーンの祭りの
見物にやってきたよ。


a4

お連れの人たちは?
アーネストの部下なんだ。
アーネストは来ないの?
国際的に指名手配されてるからね。
用心してるんだよ。


a5

フラハはベーカリー前を
通りかかった。

お、お前は。


a6

兄さんじゃないですか。
おお、フラハじゃないか。
久しぶりだな。

お前のことは、フミコさんから聞いていたぞ。
アフリカで魔術師をやってるそうだな。
兄さんは何を。
いろんな職を経験したが、
今はデイリープラネット誌の新聞記者さ。
その新聞なら知ってますよ。


a8

フミコさんの言ったことは、
とても信じられないような話だったが、
本当のことだったんだな。
アフリカのジャングルから、
魔法の扉を使ってここにきたのか。


a9

そうですよ。
僕はまだまだ修行が足りなくて、
自分では魔法の扉を作れないんですが。
魔術劇場の中に扉があります。
兄さんも今度アフリカに遊びに来てください。
しかし、すごい扮装してますね。

ああ。かっこいいだろう。


a91

佳奈は見覚えのある青年の顔に気がついて
話しかけている。

もしかして、アーネスト先生の
診療所で見かけた患者さんだった人ですか?
え。そうです。
確かグリーンマンに噛まれたとか。
そうですそうです。
傷はすっかり治ったんですが、
顔がなかなか元に戻らなくて。


a92

あなたもコンテストに参加しない?
とアイスが言っている。
いいですけど。コスプレが。
そのままでOKよ。すごくハロウィン向きだわ。
やっぱりゾンビみたいですか。



解説)
続きます。

ケントとフラハ兄弟の話は、
10月8日「ケントの着付け」の会話を受けています。
青年は、6月11日「アーネスト」の回に
チラッと登場していたのでした。
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Oct 24, 2024

ジェーンのこの頃

b1

サラたちの部屋にモモコがやってきた。

あ、フミコさんに会えた。


b2

みんな部屋に戻ってこないので、
暇なので遊びに来たの。
その衣装かわいいわね。
と言われている。


b3

暑かった夏もようやく過ぎたわね。
モモコはどこかに旅行した?
どこにも行ってないわ。
あ、でもフミコさんが探偵事務所で、
幻影の海辺に連れていってくれた。
あれはリアルで楽しかったなあ。

フミコさんは打ち上げ花火も見せてくれたしね。
あれも綺麗だった。
また何か見せてほしいなあ。

いいわよ。モモコさん、何か見たいものある?
ジェーンは今頃何してるか知りたい。
じゃあ、ジェーンの姿を思い浮かべてみて。
とフミコが言った、


b4

モモコが脳裏にジェーンの姿を思い描き、
フミコが呪文を唱えると、
窓の外にジェーンの幻影が現れた。


b5

何してるのかしら。
あそこはキッチンのようだわ。


b6

ジェーンは磨ぎ終わった米の
入った炊飯器の容器から
小瓶に水を移しているようだ。


b7

ジェーンは出窓に移動すると、
瓶の中の水をガジュマルの鉢に
注ぎ始めた。


b8

書き置きをしているようだ。


b9

ジェーンは再度キッチンに行って、
炊飯器から水を汲むと、
居間に降り立って、
ポトスやパキラの鉢にも水をやっている。


b91

今年の夏は暑かったわね、
よく頑張ったわ。
とパキラに話しかけている。

やがてジェーンの声が遠のいていき、
幻影はうっすらと消えていった。


b92

観葉植物に水をやってたのね。
きっと家の主人が怠け者なのよ。
忘れっぽいだけじゃない?
ジェーンって、植物と会話できるのかなあ。
それは無理でしょう。
部屋の中には他に生物がいないからね。
きっと友達なんだよ。
などと話している。



解説)
続きます。
Posted at 20:30 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Oct 23, 2024

もうすぐハロウィーン

a1

喫茶ペンギンの前では、
ハロウィーンの飾り付けが
行われていた。


a2

フェルトのハロウィーンアイテムが
軒を飾っている。


a3

鈴木すずと池谷圭は、
余ったカボチャのアイテムで
はるなにお面を作ってもらっていた。


a4

リズの足元に気がついたサヤカが、
リズさん、ハイヒール履いてないの?
と尋ねている。


a5

ハイヒールは、友達に貸したちゃったのよ。
でもサンダルなら、
アイテムをとりつけるために背伸びして
爪先立ちをしてるのがよくわかって、
いかにもでしょう。



a6

お面を被った
鈴木すずたちは喜んでいる。
ちゃんと周りが見えるよ。
呼吸もできるよ。


a7

僕たち、去年のハロウィーンコンテストでは、
優勝したんだよ。
今年もこれで優勝できるかな。
さすがに無理かも。
などと話している。


a8

平和だねー。
管理局のミラとバグは、
平和が一番ねーと言っている。


a9

ジェニーたちの部屋では、
モモコが手持ち無沙汰にしていた。

ジェニーもたまきもナオミも、
広場に出かけたままだし、
文学青年は相変わらず本読んでるし、
一人だとつまんないなあ。


a91

ねえ、最近、
なにか印象に残る小説読んだ?
小砂川チトの「猿の戴冠式」を読んだよ。
言葉を機械学習させられたボノボと
女性主人公の心の交歓が描かれているんだ。
感動的だったよ。
ふーん。



解説)
続きます。

ハロウィーンのフェルト飾りは、
セリアで購入しました。
「ハロウィンフェルトガーランドグリッター」
1メートルの長さの紐がついています。
Posted at 20:20 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Oct 22, 2024

賑やかな日々 そのきゅう

a1

バー・デジャでは、相変わらず
アイスとヴィヴィアンが話していた。


a2

それで、宿泊施設は完成したの?
ええ。いつでも泊まりに行けるわよ。

ジェニーは追加のデカンタのワイン
お持ちしました。
と言っている。


a3

相変わらずマリアたち、
くるくる回ってるなあ。
飽きないのかなあ。
とゼロが言っている。


a4

その時、ジムがやってきた。

このシーズンは混んでるね。
アンジーここに来なかった?
アンジーならコスプレして
登録に行くって言ってたわよ。
広場じゃないかしら。


a5

マリアとナディアが話している。

さすがに旋回ばかりしてるの
飽きちゃったね。
どこか他に行かない?
ここはお祭り中の広場の上空だから
大丈夫だけど、
移動すると騒ぎになるのよ。
人目を気にせずに飛べる場所じゃないと。


a6

ジムは広場にやってきた。

アンジー見なかった?
アンジーなら
そこのテーブルにいるわ。
あ、ちょうどよかった。
ついでにあなたも登録していってよ。


a7

もちろん有名スパイ映画の
主人公のコスプレね。
いいけど、登録だけだよ。
仕事柄評判になりたくないんだ。


a8

おや007のお出ましだね。
と言われている。


a9

広場に降りてきたマリアとナディアが話している。

今度、アフリカに犬猫猿鳥同盟の支部と、
ホテル・ナジャを開店したの。ご招待するわ。
アフリカのジャングルなら、気兼ねなく空が飛べるから。
嬉しいけど、どうやってアフリカまで?
魔法の扉を使うのよ。
魔法? ミューが何ていうかなあ。


a91

マンスフィールドさんは、
相変わらず広場を見物していた。
旅芸人たちの演奏に
ナオミの叩くスネアドラムの音が混じり、
広場の賑わいは続いている。



解説)
続きます。
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Oct 21, 2024

賑やかな日々 そのはち

a1

サラたちの部屋で、ケイはサラに、
野球のユニホームのコスプレを着せてもらっていた。


a2

今年ワールドシリーズで対決するのは、
ドジャーズとヤンキースよ。
どうしてマリナーズなの?
ドルフィンの倉庫にはこれしか無かったの。
ちょっと着痩せして見えるんだけど。
それはきっと気のせいよ。
などと盛り上がっている。


a3

ケイはさっそく広場に、
コンテストの再登録をしに出かけた。


a4

ケイ、かっこいいバッティングフォームね。
でも、そのバットの握り方。
これが難しくて。
などと話している。


a5

アンジーもコスプレの扮装をして、
登録しに来ていた。

アンジー、そのコスプレは。


a6

もちろん映画「ツゥームレイダー」のヒロイン、
ララ・クロフトに似せてみたの。
ベルトの四角いバックルを、
ハート型に変えてあるのがアクセントよ。


a7

アンジーが登録しに行くと、
審査員のマンスフィールドさんが席を譲ってくれた。

「スーパーマン」(1978)に「ワンダーウーマン」(2017)、
「猿の惑星」(1968)に「マトリックス」(1999)、
それに加えて「トゥームレイダー」(2001)とは、
どれも古い映画だけど嬉しいなあ、
これでアメリカンヒーローものの
グループが充実します。
と丹下健太が言っている。


a8

前髪が一筋垂れているところと、
三つ編みにこだわったのよ。
と言っている。


a9

マンスフィールドさんは審査も兼ねて、
広場を見物している。

エヴァはいつも同じ格好ね。
元々ピエロ人形ですから。


a91

シーザーは今井舞に、
この毛深くて逞しい腕、
本物のゴリラみたいですねと言われている。



解説)
続きます。
Posted at 20:23 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Oct 20, 2024

賑やかな日々 そのなな

a1

バー・デジャは、ほぼ満席で、
観光客にテーブル席を譲ってもらった
アンジーとヴィヴィアンが話していた。


a2

ジェニーはガラス戸越に
広場を眺めている。


a3

相変わらず広場の上空を
マリアとナディアが飛び回っていた。


a4

アンジー、今年はコスプレコンテストに
参加しないの?
とヴィヴィアンが言っている。


a5

そうねえ。


a6

僕が去年この町に戻ってくる前、
アンジーさんは一昨年の
ハロウィーンの第一回目のコスプレコンテストの
優勝者だったって聞きましたが。
とカメラマンで審査員のボニーが言った。

そうなのよ。
アンジーの「魔女マレフィセント」のコスプレは、
評判だったわ。
ヴィヴィアンは一昨年のアンジーの
扮装を思い返している。


a7

仕事柄、あまり目立ちたく無いんだけど、
去年のコンテストはパスしたから、
久しぶりに参加するかな。

そこにアイスがやってきた。


a8

アンジーがコスプレの準備に
店を出ていくと、入れ替わりに
アイスが席に座った。

ヴィヴィアン、早速だけどさ。
リザードのことは何度か話したわよね。
ああ、あなたに蘇生の呪文を教えてくれたっていう
レプテュリアンでしょ。

彼がシベールっていう仲間を紹介してくれたんだけど、
そのシベールがあなたに会いたがっていたようなの。
いいんじゃない、私もトカゲ人間を見てみたいわ。

ちょっと気になるのよ。
彼はフミコを蘇生させたあなたの呪力に
興味を持っている。
レプテュリアンは古代から魔族と交流していて、
フミコとも知り合いなんでしょう。

レプテュリアン全体としては、仲間同士の戦争以来、
人類や魔族との関係を持たないことにしているらしい。
リザードは特別なのよ。
シベールのことはよくわからない。
ただ彼らは平気で生命の樹を破壊をする連中。
だから気をつけてね、と言いたくて。


a9

その頃、サラたちの部屋では、
登録を終えたケイとジェットが戻っていた。

デイリープラネットを読んでいた
メアリー=ケイトが、
大リーグもそろそろ
リーグチャンピオンシップも終わり、
いよいよワールドシリーズね。
と言っている。


a91

僕、このコスプレ、
ツノだけなので不満だなあ。
とケイが言っている。

だったら野球選手にしてみる?
とサラが言った。



解説)
続きます。
Posted at 21:03 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Oct 19, 2024

賑やかな日々 そのろく

a1

部屋に戻ったサラとフミコは、
さっそくシーザーの訪問を受けていた。

シーザー、どうしたの?
ハロウィーン用のコスプレの
着付けをお願いしたいんです。


a2

着付けを済ませたシーザーは、
広場に戻っていた。


a3

ミューはリタから、
ハロウィングッズを受け取っている。

シェリー研究所に、
ハロウィングッズを配るのを忘れてたの。
これは新しく倉庫に入荷したものよ。
ありがとうございます。
シェリー博士もみんなも喜びます。


a4

マリアは私も空飛んでいい?
とルビーに尋ねている。
もちろんよ。


a5

シーザー、その格好。
毎年ハロウィーンに来ている
ゴリラのコスプレの人がいないので、
代わりにやってみたらって言われて、
サラさんに着せてもらったんだ。


a6

「猿の惑星」ってどう言う映画?
進化したお猿の話だよ。


a7

マリアはさっそく空を飛んでいた。


a8

あ、マリアさん。
それはどう言う装置なの?
これは普通の箒よ。魔法を使ってるの。


a9

シェリー研究所に帰ったミューは、
ハロウィーンアイテムをテーブルに置いて、
みんなに報告していた。

実験は成功したの?
うん、ナディアはまだ広場の上を飛んでるよ。
これは可愛い魔女みたいね。



解説)
続きます。


a92

この魔女風オブジェも、セリアで見つけた
ハロウィングッズです。
「モンスターレジンブラブラオブジェOR/BK」
材質はポリレジン・ポリエステル。
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Oct 18, 2024

ホテル・ナジャ

a1

カエル王子って、
けっこう理想家なのね。

フミコがあの池のイメージを思い浮かべて、
アイスが呪文で呼び出さない限り、
あの池の幻影は現れないかと思うと、
ちょっと寂しい。

記憶ってそういうものでしょう。
さて、これからどうしようか。


a2

犬猫猿鳥同盟の運営する
ホテルが完成したって聞いたから、
行ってみない?
そろそろオープンしているかも。

そう言ってアイスが呪文を唱えると、
魔法の扉が出現した。

行先は?
この前に見た、
ホテルの前の情景をイメージしたの。


a3

3人が扉を潜り抜けると、
そこはホテルの入り口の門の前だった。


a4

空も快晴で、
緑がみずみずしいわね。

アイスはリンリンと話している。
もう町から戻ってきたの?
シーザーたちはまだ広場にいますが、
僕はやっぱり雑踏が苦手で。
あ、ホテルならオープンしたばかりですよ。


a5

このフロント立派すぎない?
カウンターの奥にはフンボルトが
座っていた。

ようこそ。
ホテル・ナジャへ。
お客様ご一行が、ご来店、第一号です。
お泊まりですか。

様子を見に来ただけよ。
あなた喫茶ペンギンのアルバイトは?
とアイスが言った。

こんな服装してるのは私だけなので、
呼ばれちゃったんです。


a6

3人は客室を案内してもらった。


a7

明るくて見晴らしもよさそうね。


a8

サラ、ここに泊まっていく?
そうしたいけど、部屋に戻らないと。
まだハロウィーンの仮装の着付けを
頼みに来る人がいるのよ。
サラは器用だからね。


a9

アイスはどうするの?
私はデジャに行って、
ヴィヴィアンに、
シベールっていうレプテュリアンが
会いたがっていたって伝えにいくわ。
魔族の呪力の秘密を知りたがっている
みたいだから、気をつけたほうがいいって。

シベールは悪い人じゃないんだけど。
機械の体になってあんなに長生きしても、
まだ生き続けたいのね。
自分が死んでしまった時のために
蘇生の方法が知りたいのよ。
呪力は教えられるものじゃないのに。

フミコは私に呪力を授けてくれたでしょう。

それはあなたにその素質が備わっていたから。
レプテュリアンとは違うわ。



解説)
続きます。
Posted at 20:24 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Oct 17, 2024

賑やかな日々 そのご

b1

ナディアは広場の上空を旋回していた。
派遣コウモリのヒソコも驚いている。


b2

あれはだあれ。
気持ちよさそうね。
などと言っている。


b3

ヒソコはあせって超音波で
ヴィヴィアンに異変を知らせている。


b4

しかしすでに、
ナディアの姿はデジャのガラス戸越しに
ヴィヴィアンたちの注目を集めていた。
あれは飛行装置でしょう。
あんなのがあれば
超高層のビルに忍び込むのに便利そうだなあ。
と盗賊のゼロが言っている、


b5

みんな何騒いでるの?
あ、アンジーさん。
空を飛んでる人がいるんです。
カウンター席なら空いてますよ。
とジェニーが言っている。


b6

実験は成功みたいです。
そのようね。
空の彩りもハロウィーンぽくていいのかも。
嬉しいなー。
未来の仮想現実世界で、
ヒゾッコという飛翔ロボットに
使われていた技術の応用なんですよ。
とミューが言っている。


b7

その頃、
アイスとサラとフミコは、
アフリカの山頂のストーンサークルを
訪れていた。


b8

あら。
やっぱり池が消えているわ。
カエル兄妹はどこに?


b9

フミコ、
また昔の池の情景を思い浮かべてくれない?
いいわよ。


b91

フミコが昔の情景をイメージして、
アイスが呪文を唱えると、
石のサークルの中に池が現れた。
カエル兄妹の姿も見える。

ああ、サラさん。
来てくださったんですね。
僕は元気にやっていますよ。
とカエル王子が言った。


b92

この池は私たちにはひと時の幻影だけど、
夢食いのカエルたちにとっては現実なのね。

何をおっしゃっているんです。
どちらも同じ幻影じゃないですか。
僕はいつかここをカエルの楽園にするんです。

面白いことを言うのね。
あなたは私の過去の記憶のイメージに住みついた。
ところで、ここがいにしえの魔族の土地で、
私が蘇った魔族のフミコだと言うことはご存知?

え。そ、そうだったんですか。
とカエル王子は言った。
夢食いは魔族の見る夢に入り込んではいけない。
ってお父さんが言ってたわ。
とカエル王女が言った。

私は構わないんだけど、
土地を侵入者から守る魔法がかけられているの。
ジャングルの動物たちやグリーンマンが知ったら。

ぼ、僕も
この池と土地を侵入者から守ります。
とカエル王子は言った。



解説)
続きます。
Posted at 20:22 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Oct 16, 2024

賑やかな日々 そのよん

a1

サラたちの部屋で
アイスたちの会話は続いていた。

そうそう、私、
サラを誘いに来たんだった。
カエル王子が、
命の恩人のサラは元気ですかっていうから、
今度、連れて来てあげる、って答えちゃったの。
とアイスが言った。

カエル王子って、メルティの夢の部屋で
洪水を起こしたヘクトンの息子の?

そうなのよ。
いきさつを話すと長いんだけど、
今はアフリカの山の上の池に住んでるの。


a2

あの池は、私の思い浮かべた過去の記憶のイメージを、
アイスが魔法の呪文でこの世界に映し出したのよね。
とフミコが言った。

そうだったわね。

だから、あの池は本当は白日夢のような幻影。
普通ああいう幻影はしばらくして消えてしまうものだけど。

たしかにそのはずね。
でもなぜか、私がカエル王女を連れて再訪した時も、
池は残っていて、カエル王子が元気に暮らしていたわよ。
池の水は池の底の穴から湧いて来るって言ってたわ。
水は湧いて来るけど池から溢れない不思議な世界だって。
とアイスが言った。


a3

なるほどね。
その仕組みは大昔からあったの。
高台の遺跡の広場にある水盤にも
新鮮な水を絶やさずに供給するために、
そういう仕組みが使われていた。
でもあの池が過去の幻影であることに変わりはないわ。
とフミコが言った。

たぶん私があの土地にかけた魔法や、
カエル王子が住み着いたせいで、
幻影はその形をとどめていたんだと思う。
でもいずれは消えてしまうはずよ。

とりあえず、行ってみましょう。


a4

アイスは呪文を唱えて鏡の扉を出現させた。
魔法って便利なのね。
と言われている。


a5

その頃、広場では、相変わらず
住民や観光客で賑わっていた。

シェリー研究所から、
ミューとナディアも来ているようだ。


a6

ミュー、久しぶりね。
二人で何してるの?
とルビーが尋ねている。


a7

空を飛ぶ装置の実験です。
これから実験を開始します。


a8

ナディアが装着したベストの
胸のスイッチを押すと、
装置の背面に畳まれていた羽根が、
せり出してきて広がった。


a9

ナディアは羽ばたいて
中空に浮き上がっていく。

実験成功。
とミューが言っている。



解説)
続きます。

ナディアの羽根は
セリアで見つけた
ハロウィングッズを使用しています。
Posted at 20:24 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Oct 15, 2024

賑やかな日々 そのさん

a1

観光客のエイミーは、
高台の休憩所に来ていた。


a2

広場はとても混み合っているので、
ここまで来ちゃいました。


a3

そのいでたちは、観光の方かしら。
と魔女コスプレの江本友恵が言っている。

そうなんですよ。
昔は町に住んでいたんですけど、
本当に久しぶり。


a4

その時、サラたちの部屋から
ジェットとケイがやってきた。

思わずエミリーは身を引いている。


a5

これは血に飢えた殺人鬼のコスプレなんですよ。
僕のはなんだろう。
これから広場に登録に行くんです。
すごく混んでるわよ。


a6

サラたちの部屋では会話が盛り上がっていた。

アイス。この前、
君の相棒のルビーに会ったぞ。
彼女も相当な度胸の持ち主だな。
それに君は私の破壊した生命の木を
魔法で再生させたようじゃないか。

あれはやりすぎでしょ。
あなたたちっていつもああなの?
それは場合によるよ。
宇宙人をさらったりすると、
どうなるか知らせるためなんだ。
相手は九官鳥じゃないの。


a7

あなたたちレプテュリアンって、
そんなに長寿なんですか。
そうでもないんですよ。


a8

科学文明の進歩のおかげなのよね。
何千年も生きていられるなんて
とても信じられない。
とメアリー=ケイトが言った。


a9

僕たちは魔法を使うわけじゃないんだ。
ほらご覧。
そう言うとシベールは立ち上がって、
ガウンを脱いで見せた。

もう僕の体のほとんどは機械なんだよ。
リザードの場合は身体組織の交換や、
再生技術の賜物だ。


a91

だがこの星の魔族の持つ能力は
僕たちにとっても未知の分野でね。
蘇生の呪法は過去に失われていたと聞いていたが、
フミコを蘇らせたヴィヴィアンという魔女がいるという。
彼女には大いに興味があるね。

ヴィヴィアンは、もう魔族じゃなくて悪魔なのよ。
ヴィヴィアンに会ったらどうするつもりなの?
とサラが言った。

話を聞いてみるだけだよ。
もちろんこのことはここだけの話だ。
公式には僕たちレプテュリアンと、
人間や魔族との接触は禁じられているからね。


a92

そろそろおやつの時間だな。
うん、それじゃまた。
そういうと、二人の姿は消えていった。


a93

なんか気になることを言ってたわね。
フミコを蘇らせたのはヴィヴィアンだけど、
その呪文はアイスがリザードから教えてもらったものでしょう。
呪文の言葉が知りたいというわけじゃなさそうね。

呪文を唱えても唱える人に呪力がなければ無意味なの。
シベールは魔族の持つ呪力の秘密が知りたいのよ。
とフミコが言った。

昔は共存してたっていうじゃない?
そうなの。
魔族の魔法と彼らの科学技術で都は栄えたの。
お互いの文化には踏み込まない暗黙の了解があった。
シベールは機械の体になって変わっちゃったのかな。
とりあえずヴィヴィアンに伝えておかなくちゃね。



解説)
続きます。
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Oct 14, 2024

賑やかな日々 そのに

a1

アフリカからアイスたちが戻ってきたので、
広場はさらに賑わっていた。


a2

僕のこと、誰も気にしないみたいですね。
とリンリンが言っている。
君とよく似たチンパンジーを
マンゴー亭の丹下さんが飼っているんだ。
その子もいつも服を着せられてるから、
みんな見慣れてるんだよ。
とトラが言った。


a3

アイス、戻ってきたのね。
カエル王子にサラを連れて行くって
約束しちゃったから、
また出かけてくる。
忙しいのね。


a4

その頃、サラたちの部屋に、
リザードたちが訪ねてきた。

こんにちわ。
フミコがこちらにいると聞いて
きたんだが。


a5

おお、フミコ。
シベールを連れてきたぞ。
懐かしいだろう。


a6

シベール!
あなたにまた会えるなんて。
元気そうね。


a7

君も元気そうだね。
蘇生したと聞いて、
どんな姿になったかと思っていたが、
若い頃と変わらないので驚いたよ。
長生きはしてみるものだな。

わはは。
言った通りだろう。
魔族の魔法というやつは侮れない。


a8

もう古代の都の記憶を持つ
仲間はごく少数になってしまったが、
シベールはそんな生き残りの仲間の一人だ。
フミコが蘇生したことは今も内緒にしているが、
こいつにだけは教えてやったんだ。


a9

その時、サラに会いにアイスがやってきた。
あら、なんだか取り込み中みたいね。
と言っている。

おお、アイスか。
ちょうどいい。
君にも紹介しておこう。


a91

ケイとジェットは立ち上がって、
アイスとリザードたちに席を譲った。


a92

僕たち、広場に登録に行きますので、
どうぞごゆっくり。
と言っている。


解説)
続きます。

マンゴー亭で飼われているチンパンジーは、
ごくたまに登場しています。
2022年2月6日「ガルーダの踊り」など。
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Oct 13, 2024

賑やかな日々

a1

ペンギンの前では、
コスプレをしたジェニーフレンドたちが
店内から出てきたところだった。


a2

私たち、
この町でハロウィーン祭りを見るのは、
2度目だけど、今年も盛況のようね。
とミラが言っている。
コスプレで参加したいけど、
管理局としては流石にそれは。


a3

ペンギンのウェイトレスのはるなも
民族衣装を着ているようだ。


a4

ベトナムの民族衣装風のフローラと
水兵服のリエと海賊姿のサヤカが
並んでいる。

奈々子たちナースとドクターのコスチュームで
で登録したんだって。
私たちも早く登録済ませなくちゃ。
などと話している。


a5

ペンギンの二階の探偵事務所では、
みんなでカボチャのアイテムを眺めていた。
その時、
鷲尾翠の背後から声がした。

やあやあ。


a6

不意にリザードが出現した。


a7

なかなか可愛いカボチャじゃないか。
今年もハロウィーンのシーズン。
今、姿を消した状態で、
ざっと広場を観察してきたんだ。


a8

ダルメが、テーブルの上に乗って、
何かを言っている。
どうやら親近感を覚えているようだ。


a9

今日は友人と一緒なんだ。
こちらはシベール。
実はハロウィーン見物のついでに
フミコに会いにきたんだが。

フミコなら、
サラたちの部屋じゃないかしら。
と鷲尾翠が言った。



解説)
続きます。
Posted at 21:01 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Oct 12, 2024

兄妹の再会

a1

アイスは魔法の扉を使って、
アフリカのストーンサークルのある
山頂にやってきた。


a2

アイスが池の側に行って
しゃがみ込むと、
カエル王子が顔を出した。

こんにちわ。
あ、そのバッグの中にいるのは。


a3

アイスはカエル王女をバッグから出して
池の中に見える石の上にそっと置いた。

お兄ちゃん。
ずいぶん探したのよ。
とカエル王女が言っている。


a4

兄妹は、どうもありがとうございます。
とお礼を言っている。

ところでちょっと気になっていたんだけど、
君はどうやってこの池に来たの?
とアイスがカエル王子に尋ねた。

この池はアイスさんが
フミコさんの過去の記憶のイメージを
魔法で再現して生み出したもの。
そんな別世界を見つけた時、
私たち夢食いカエルは、
するりとその世界に入り込むことができるんです。
父のヘクトンがメルティさんの夢の世界に
入り込んだのと同じことなんですよ。
そういえば、私の命の恩人のサラさんは、
お元気ですか?

サラは相変わらず元気みたいよ。
今度、連れてきてあげる。
ところで、この池の住み心地は?
池の底に穴があって
そこから綺麗な水が湧き出していて、
それでいて溢れることがないんです。
不思議な環境ですが住みやすいですよ。
穴は地底深くに続いているようなんです。
その先がどうなっているのかわかりませんが。


a5

カエル兄妹と別れた後、
アイスは宿泊施設の様子を知ろうと、
魔法の扉を使ってフラハの家に行ってみた。

君は、相変わらずのなんでもありの神出鬼没だなあ。
と言われている。

おや、トカトントンという音が
聞こえますね。
ああ、あれは建築工事をしている音だよ。


a6

アイスはフラハに案内されて
工事現場に向かっている。

すぐ近所なんだ。


a7

ここがそうなんだよ。
ずいぶん立派な門構えね。


a8

門から入っていくと、
リンリンがいた。

こんにちはアイスさん。
宿泊施設がほぼ完成しましたよ。
と言っている。


a9

二人に気づいたドビーや
トラがやってきた。
手前は僕たち犬猫猿鳥同盟の支部で、
奥の棟が宿泊施設なんです。
今シーザーが仕上げのトンカチを振っています。


a91

みんなでフラハの家に戻ってきた。

宿泊施設の名前は決まったの?
ホテル・ナジャにしましょう。
とマリアが言った。
どうしてその名前に?
私の好きな小説の主人公の名前を借りたの。
なんとなく響きがいいでしょう。

あ、そうそう。
今年もハロウィーンのコスプレコンテストが
もう始まっているわよ。
施設も完成したことだし、
あなたたちも遊びに行ってみたら?
とアイスが言った。

ハロウィーンは年に一度の楽しみ。
怪しまれずに人前に出られるのね。
顔が本物そっくりだって言われるんだ。
などとみんな盛り上がっている。



解説)
続きます。
Posted at 21:53 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Oct 11, 2024

広場の賑わい そのよん

a1

フェアリーの扮装を見せに、
モモコがジェニーたちの部屋に来ると、
ジェニーたちもすでにコスプレをしていた。


a2

これシンプルで可愛いでしょ。
と言っている。

微妙に羽付きなのね。


a3

あなたたち、そのまとまりのなさ。
みんな目的が別なのよ。


a4

私は旅芸人たちのところへ行くの。
とナオミが言った。
私はピエロのエヴァのところへ。
とたまきが言った。
私はデジャに行ってみる。
とジェニーが言った。


a5

その頃、広場のベーカリーでは、
ドルフィンのスタッフのリタが
新しいガラスの靴を履いていた。


a6

この靴、倉庫に入荷していたの。
シンデレラみたいでしょ。
この靴に合う服に着替えないと。


a7

リタは着替えを済ませて
倉庫から出てきた。

見違えるわね。
とルビーに言われている。


a8

ジェニーたちが
広場に到着したようだ。

ナオミは大道芸人たちの演奏に
参加している。


a9

たまきはエヴァのパントマイムの側で
解説をしている。


a91

ジェニーがデジャに行くと、
予想通り、お店は観光客で
混み合っていた。


a92

ジェニー、ちょうどいいところに
きてくれたわ。
普段は会員制のお店なんだけど、
この時期は一般に開放したので大忙しなの。
手伝ってくれると嬉しいんだけど。
とヴィヴィアンが言った。

やっぱり。
そのつもりできたんです。


a93

ベーカリーの二階のベランダには、
ジェニーフレンドたちが集まっていた。

コスプレしたのはいいけど、
みんな似たような扮装で、
優勝は望めそうもないわね。
似たような扮装だからこそ、
優勝するとすごいのよ。
それは私かな。
などと言っている。



解説)
続きます。


a94

リタの履いていた透明な靴は、
元はホビーオフで見つけた
アクセサリーのブローチでした。
靴底の部分もネジで外れるようになっていたので、
二つに分解してフィギアの足のパーツを
はめ込んでみました。
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Oct 10, 2024

広場の賑わい そのさん

a1

広場の賑わいは続いている。


a2

ちょっと遅れちゃったんですけど、
今年もレイア姫は来てますか。


a3

お仲間なら、
ベーカリーの奥の席にいるわよ。


a4

毎年よく似た顔ぶれだし、
趣味のグループに分かれて、
陣取る場所も決まってるのよね。


a5

丹下さんはマンゴー亭のマスターでしょう。
その格好は。
もちろんマトリックスのネオです。


a6

トリニティのコスプレのキャリーも来たので、
お店を空けて二人で参加してるんです。


a7

ジェニーフレンドたちがやってきた。
リナと奈々子とミツキとジュリアナのようだ。

私たちお揃いの扮装がしたいんです。
ドルフィンの倉庫で
衣装を借りられるって聞いたんですけど。
どうぞ。倉庫はその入り口の奥よ。


a8

4人はドルフィンの倉庫に向かっている。

リタさん、お揃いの衣装ってありますか。
そうねえ。ないこともないけど。


a9

4人は着替えを済ませて倉庫から出てきた。

お揃いの服、これしかなくて。
ナースとドクターね。
いかにもコスプレっぽくていいんじゃない。


a91

新たにユーリシアとあいこちゃんも加わった。



解説)
続きます。
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Oct 09, 2024

広場の賑わいそのに

a1

広場は、日増しに賑わっていた。


a2

エヴァがハロウィーン恒例の
パントマイムのパフォーマンスをしている。

まるで人形みたいだね。
と言われている。


a3

ワンダーウーマンと
サイバー忍者の扮装をした人も
やって来ていた。

一年ぶりですね。
お元気そうで何より。
などと話している。


a4

アイス。
バッグ抱えてどこ行くの?


a5

またアフリカの遺跡まで。
このカエル王女を
お兄さんの元に連れて行くのよ。


a6

マンゴー亭のテーブル席は貸切で、
月光仮面たちのグループが懇談している。


a7

しかし年に一度きりの出番というのは、
退屈なものだなあ。
ヒーローの僕らが活躍するようなストーリーが
欲しいところだ。
それは難しいでしょう。
僕らただのコスプレですし。


a8

年に一度再会できるのは嬉しいけど、
参加者はほとんど同じ顔ぶれなのよね。
とサイバー忍者が言った。
今年は、私たちジェニーフレンドの仲間も
町に来てるから、少しは違うかも。
と、さゆりが言っている。


a9

そういえば、さっき
ワンダーウーマンを見かけたわ。
私はスーパーマンを見かけた。
などとレイとアンナが話している。


a91

やあ、1年ぶりね。
去年みたいに
アメリカンヒーロー愛好グループは、
ここに集まろう。



解説)
続きます。
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Oct 08, 2024

ケントの着付け

b1

サラたちの部屋に
ケントが訪ねてきた。


b2

こんばんわ。
みなさんお久しぶり。
ディリープラネットのクラーク・ケントです。
今月は長期休暇が取れたので、
ゆっくりこの町で過ごすつもりなんですが、
ついてはコスプレコンテストのコスチュームの着付けを、
またサラさんにお願いしようと思って伺いました。

お安いご用ですよ。
とサラが言った。
あ、こちらはフミコさんです。


b3

初めまして。
とフミコと言います。
あなた、魔族の方ね。

え、わかりますか。
確かに生まれは魔族ですが、
魔法の能力はさっぱりなので、
普通の人と変わりなく暮らしています。


b4

すぐに着付けをすることになった。

私が魔族の出身だということは
誰も知らないはず。
フミコさんて何者なんです?
彼女も魔族の人よ。
彼女については、
いろいろ公にできない
事情があるみたいなの。
着付けが終わったら、
あとでお話しましょう。


b5

ケイとジェットも、
あれこれコスプレの準備をしていた。

ケントさんって、
またあの扮装するんだろう。
僕らはどうも地味だなあ。
などと話している。


b6

着付けが完成したようだ。
ケントはスーパーマンの扮装を
している。


b7

コーヒーを飲みながら、
ケントはフミコの口から、
アフリカの魔族の古代遺跡のことや、
ヴィヴィアンの魔法によって蘇生したことなど、
驚くべき出来事の数々を教えてもらった。


b8

なるほど。
そんな事情がおありだったのですね。
にわかには信じられない話ですが、
私も魔族の出身なので、
子供の頃に、魔族の都の伝説は
親から聞かされたことがありました。
もちろん今のお話は記事にはしません。
それにしても、
一目で私を魔族出身者だと見抜かれたのは、
やはり魔族特有の眼力というやつですか。


b9

それはその通りなんですけど、
あなたによく似た人を存じ上げていたんです。
もしかして、その人とはご兄弟なのでは?
とフミコは言った。


b91

ななんと。
確かに私にはフラハという双子の弟がいました。
私と違って魔力の才能があって、
手に負えない悪戯者でしたが、
子供の頃、世界一の魔術師になると言い残して
家出してしまったんです。
それ以来ずっと音信不通で。
多分魔術師修行でもして、どこかで
生きているんだろうと思ってはいました。
とはいえ、それはもう何百年も前のことで
最近はあまり思い出すこともなかったんですが。

そのフラハさんなら、
今もアフリカで元気でお暮らしですよ。
とフミコが言った。

ななんと。


b92

フミコは心に描いたフラハのイメージを
魔力を使ってケントの心に送り届けた。
ケントは突然人の姿が幻のように
脳裏に浮かんだので驚いている。

それは現在のフラハさんの姿です。

これはこれは。
あいつはこんな格好をしているのですか。
相変わらず趣味悪いなあ。


b93

オセロは
夢中になってイチゴを食べている。



解説)
続きます。
Posted at 20:23 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Oct 07, 2024

広場の賑わい

a1

夜になっても、広場では
テレビを見た観光客や
コンテスト参加者で賑わっていた。


a2

広場に初めてきた観光客もいるようだ。


a3

賑やかだなあと
思っている。


a4

あら、月光仮面の人。
1年ぶりね。
出番がないので、
一年間楽しみにしていたんだよ。


a5

まぼろし探偵も
吉野さくら役のさゆりを誘って、
ペアでコンテストに参加しにきていた。


a7

おや、ケントさん。
デイリープラネット誌の取材ですか。
いや、今回は休暇をとって来たんだ。


a8

月光仮面とまぼろし探偵たちは、
マンゴー亭を訪れている。

予約してたんだけど。
はい。テーブル席の貸切ですね。


a9

毎年ハロウィーンには、
ご利用されるんですね。
混み合って座れなくなっちゃうからね。
日本のレトロなヒーローマニアの懇親会なんだ。



解説)
続きます。
Posted at 20:30 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Oct 06, 2024

ハロウィーンの飾り付け そのさん

a1

広場では飾り付けが
ほぼ完成していた。


a2

組み上がった歓迎用のゲートに
文字プレートが設置されている。


a3

これってダンボール製でしょう。
よく保つわね。
などと話している。


a4

カボチャ人形の設置場所も決まり、
大道芸人たちの演奏も盛り上がっている。
歌唱にはドラコとレプティも参加しているようだ。


a5

飾り付けはほぼ完成。
ほぼ去年と同じペースね。
あとは月末までお祭り気分。
何となくマンネリの予感がするけど。
いろんな人と一年ぶりに再会して、
懐かしい気分に帰るのもいいものよ。


a6

帰るといえば、カエル。
あ、そうだ。
私、高台の休憩所まで行ってくるわ。
とアイスが言った。


a7

アイスと入れ違いに広場に、
枝野多恵とカメラマンがやってきた。


a8

多恵はルビーと話している。

去年のハロウィーン以来ね。
今年も政府要人でも来るの?
わからないけど、来てもお忍びで、
どうせ報道は禁止されちゃうの。
最近テレビの視聴率が下がってるから、
こういうローカルなお祭りを
紹介することが決まったのよ。


a9

その頃、アイスは高台の休憩所に
到着していた。

たしかここにカエル王女がいたでしょう。
そこの水盤に住んでいるはずよ。


a91

私はアイス。
あなたのお兄さんはアフリカに住んでるわ。
え。そうなんですか。
兄は安住の地を見つけたんですね。
住んでみたいって言ってただけだから、
ずっと住むかどうかはわからないの。
そうなんだ。
また移住したら、行方がわからなくなる。
私をそこに連れて行ってくれませんか。
いいわよ。

いいなあ。カエルと話せるんですね。
と和歌子が言っている。


a92

隣のジェニーたちの部屋では、
みんながテレビ画面を見ていた。


a93

「今年もこの町でハロウィーンの
コスプレコンテストが始まりました。
優勝者にはトロフィが授与されます。
参加者にはもれなく
参加賞のチョコレート掴み取りも
用意していますので、奮ってご参加ください。」
と画面の中でルビーが言っている。

賞品は毎月やってるコンテストと同じだね。
でもまたきっといろんな人が来るよ。
月光仮面は来るかなあ。
まぼろし探偵も。
などと言っている。



解説)
続きます。
Posted at 21:02 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Oct 05, 2024

ハロウィーンの飾り付け そのに

a1

カボチャのアイテムは、
店の窓の下の棚に置かれることになった。
いい感じね、と言いながら、
はるなはお土産の肉まんを食べている。



a2

ペンギン二階の探偵事務所でも、
鷲尾翠がドルフィンからアイテムを借りてきた。
お化け付きのを選んだのよ。
と言っている。


a3

たまきが借りたのは、
車に乗ったカボチャアイテムだった。
走らせて遊ぼう。
と言っている。


a4

サラたちの部屋には、
コウモリのついたカボチャアイテムを
フミコが届けに来ていた。
雰囲気あるなあ。
いつも飾る場所が問題なのよね。
などと話している。


a5

リタは高台の休憩所に
カボチャアイテムを運んでいた。


a6

ドルフィンの二階でも、
カボチャアイテムをみんなで眺めている。
飾るには大きすぎない?
これ車がついていて動くそうよ。
と運んできた今子が言っている。
何のために?
走るおもちゃなのよ。


a7

デジャでは小さなカボチャ蝋燭が
飾られていた。
これしか残ってなかったの。
いいんじゃないか。
場所も取らないし。
などと話している。


a8

広場の飾り付けも進行しているようだ。


a9

農家の岸芳樹とヘルミーネが、
農産物直販店を撤去している。

この時期の店じまいは毎年恒例ですね。
広場のスペース空けとかないと、
観光客が増えるからね。


a91

直販店のあった場所には、
マンゴー亭との間に柵が作られ、
ドルフィーのマスターが、
飾り付けをしていた。

わーパンダがいっぱいだ。
と子供達が喜んでいる。


a92

これどうしたんです?
ハロウィーン用のアイテム探してたら、
倉庫の隅にあったんだよ。
お店ののメニューの宣伝に
ぴったりですね。
などと話している。



解説)
続きます。

柵の装飾に使用したのは、
かなり古いサントリー烏龍茶のおまけ
「マグネット付きパンダクリップ」です。
Posted at 20:21 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Oct 04, 2024

ハロウィーンの飾り付け

a1

アイスとフンボルトは
魔術劇場に戻ってきた。


a2

アイスはハリーに報告している。

ジャングルのマークの集落に、
宿泊施設を作ることになったの。
マリアたちがさっそく建設工事を
はじめているわ。
ほー、それは楽しみだな。


a3

フンボルトは?
私はどうにも暑いのが苦手なんです。
ペンギンの仕事もあるので、
マンゴー亭でお土産に肉まんを買って
ペンギンに戻ります。

施設ができたら、
クーラーも入れなくちゃね。


a4

二人が魔術劇場を出ると、
広場ではハロウィーンの飾り付けの
準備が始まっていた。


a5

もうそんな季節なんですね。

毎年のことだけど、
お祭りがあるのはいいことだよ。
みんなの出番もあるし。
とドルフィンのマスターは言った。


a6

楽しそうなお祭りね。

ハロウィーンっていうんですよ。
とリタが言った。
ネットの情報によると、
発祥はイギリスやアイルランドとされ、
元々は古代ヨーロッパの
ケルト民族の収穫祭だったらしいです。
古代の暦で大晦日にあたる10月31日には、
祖先の霊や悪霊がこの世界に戻ってきて、
魔女や悪霊が災いをもたらすとされ、
それを防ぐために人は仮装したんですって。

人間って面白いこと考えるのね。


a7

これどこに飾りますか?
それはベーカリーよ。


a8

これはどこに飾るの?
それはみんなの家に貸し出したり、
屋外の適当なところに置くのよ。


a9

フンボルトはペンギンに戻ってきた。

お帰りなさい。
お土産の肉まんありがとう。
これ、飾ってくださいって。
ドルフィンから借りてきました。



解説)
続きます。
Posted at 20:24 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Oct 03, 2024

マリアたちの集い そのさん

a1

マリアたちの集いは続いていた。


a2

フンボルトさん用に
お魚のお料理をお持ちしました。
これは嬉しいなあ。


a3

秋刀魚は私たちも好物ね。
野良猫時代を思い出すなあ。


a4

僕は肉まんが癖になりそうです。
と言っている。


a5

ジャングルに行くには
どうすればいいんでしょう。

魔術劇場の中に、
フラハっていう人の家の裏庭にでられる
鏡の扉が常設してあるのよ。
食べ終わったら行ってみましょう。


a6

その頃、高台の遺跡で
九官鳥の羽根を回収したアイスは、
羽根を預かってもらうために
マークの家を訪問していた。

これにまたがって飛んできたの?


a7

ところで、相談なんだけど。
とアイスが言った。

マークの集落に、
宿泊施設が作れないかなあ。
フミコが魔族の人たちを
遺跡に案内したんだけど、
みんな結構気に入ってたみたいなのよ。
最近はジオラマ村の連中も
観光に来ているみたいだし。

それはいいね。
どこに建てる?


a8

どうせなら鏡の扉のある、
フラハの家の近くがいいね。
フラハに相談してみよう。


a9

フラハは家の前で草取りをしていた。
アイスとフラハは
思わず挨拶をしている。


a91

アイスたちは家を建てる相談をしている。

ジャングルを切り開けば、
土地はいくらでもあるが、
宿泊施設ともなれば管理人が必要だろう。
いつも手入れしていないと
すぐに雑草が伸び放題だぞ。

そうねえ。


a92

3人が話していると、
なんとタイミングよく、鏡の扉が開いて、
魔術劇場での会合を終えたマリアたちがやってきた。

あら、お話中だったのね。
とマリアが言った。


a93

アイスがマークの集落に宿泊施設を建築する話を
していたことを説明すると、
一同は大いに盛り上がった。

私たちも犬猫猿鳥同盟の支部を
作ろうと思っていたところなんです。
私たち、その下見に来たのよ。
その宿泊施設を支部と兼用にすればいいのでは。
みんなで協力して建築しますよ。
施設の管理も私たちが請け負いますよ。

それって、宿泊施設の話に便乗して、
あなたたちがそこに住みたいっていうことでしょう。
とアイスが言った。

そうとも言えますが。

まあいいわ。というか、
宿泊施設の話は思いつきのアイデアだけで、
その実現には人手が欲しかったところ。
フラハもマークもそれでいいかしら。

全然問題ないよ。とマークが言った。
この辺りは集落の外れであまり人もこない。
賑やかになるのは歓迎だよ。とフラハが言った。

じゃあマリア、
あなたたちにお任せするからよろしくね。
とアイスが言った。

私たち、こんな姿ですけど、
いじめられないですか?
とクロが言った。

それは大丈夫。
現地の人は魔法の影響で生まれる
変わった形の生き物を見慣れているからね。
シーザーもみんなに馴染んでいるくらいだし。

じゃあさっそく近くのジャングルを
見てまわりましょう。
とマリアが言った。



解説)
続きます。
Posted at 20:21 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Oct 02, 2024

マリアたちの集い そのに

b1

魔術劇場の一室では
マリアたちの集いが始まっていた。


b2

それでは犬猫猿鳥同盟の
臨時のお茶会を始めます。
今日集まってもらったのは、
新メンバーのお二人をご紹介するためです。
とマリアが言った。


b3

新しく加入してくれたのは、
チンパンジーのリンリンと、
ゴリラのシーザー。
二人ともアフリカのジャングル生まれの
ジャングル育ちです。
見かけはお猿さんそのものですが、
その知能は人間に勝るとも劣らないと言われています。
では自己紹介をどうぞ。

えーっと、僕たちは
アフリカのジャングルで暮らしています。
僕たちが生まれたのはフミコという魔族の女性が、
一帯にかけた魔法のせいだと言われています。
とリンリンが言った。
そこには大昔に魔族の都があって、
フミコは、その都を外敵から守るために
周辺のジャングルに魔法をかけたのです。
その結果僕たちのような知能を持つ動物が
時々生まれるようになったのです。
都はとうの昔に滅び、今では遺跡だけが残っています。
しかし、最近のこと、フミコが蘇生して、
僕たちを自由にしてくれました。
それからアフリカに来たマリアさんたちと知り合い、
この会に招かれたということです。
僕は基本は野蛮な人間が嫌いなんですが、
友人も何人かいます。

僕もリンリンと同じ身の上ですが、
リンリンよりずっと年下で、
人間が大好きで、人間の集落の近くに
家を建てて暮らしています。
あ、ところで、あなた方は人間なんですか。
とシーザーが言った。


b4

その区別は難しいわね。
とクロが言った。

うまく言えないが、僕たちはみんな
そこにいる悪魔ヴィヴィアンの魔法で、
変身して生まれた魔法生物なんだ。
とドビーが言った。
あ、僕の名はドビー。
工房ドルフィンで飼われている
ベスという犬のイメージが影響して
この体になったんだけど、
ベスは今でも普通に飼われている。
僕とは全く別にね。
だからなぜ僕が生まれたのか、
ベスとどういう関係なのかもよくわからない。
ベスだった時の記憶も全くないんだよ。

あれは事故だったのよ。
と側で聞いていたヴィヴィアンが言った。
人間の脳のニューロンの動きを、
プラネタリウムで会場の壁に投影するっていう、
とんでもない実験をミューっていう
ロボットたちがやっていたの。
その会場に飼い犬のベスが紛れ込んでいて、
私がその犬に注意を集中したために起きたのね。
まだ私が悪魔になる前で、
魔法をうまく制御できなかったのよ。

私の場合は。
とクロが言った。
私は前はメルティっていう女の子に
飼われていた子猫だった。
でもメルティが小さい頃に死んでしまったのよ。
それからメルティも病弱で寝たきりになって、
ずっと長い夢を見続けていた。
私の魂は死んでから幽冥界をさまよっていたんだけど、
メルティのことが忘れられなくて、
夢食いの百猫の王シュレディンガーに、
メルティの夢の世界に連れて行ってほしいって頼んだの。
そこでメルティと再会できたんだけど、
鏡の扉でメルティの夢と、この世界の間が
行き来できるようになって、
ヴィヴィアンが魔法でこの姿にしてくれたのよ。
体が人間で顔だけが猫っていうこの姿、
私が望んだわけじゃないの。

それはそういうものなのよ。
とヴィヴィアンが言った。


b5

僕の名前はトラ。トラ猫だったからそう呼ばれてるんだ。
前はこの町を徘徊する野良猫グループのリーダーだった。
ジェニーたちの家から盗んだ
ウサギのぬいぐるみと交換して手に入れた
この目出し帽のバラクラバが被りたくて仕方がなかったとき、
ヴィヴィアンが帽子を被れるように、
魔法でこの姿にしてくれたんだ。
今ではもう盗みや悪戯はしてないよ。

私の名前はフンボルト。
元は喫茶ペンギンの木製のマスコット人形に
宿った精霊だったんです。
古くなって店の人がドルフィンに私を洗浄してもらいに行ったとき、
ヴィヴィアンさんが人形に精霊の私が宿っているのを知って、
魔法でこの姿にしてくれたんです。
今でも喫茶ペンギンでマスコット役の仕事をしています。


b6

なんだかみんなの自己紹介を聞いていると、
みんな私のせいで変身したって言ってるのね。
確かにそれは事実だけど、
みんなの望みを叶えてあげただけなのよ。
あ、ドビーのケースだけは別ね。
あれだけは私にも原因はよくわからないの。
とヴィヴィアンが言った。

事故や手違いで私が無から生まれたんだとしても、
こうして生きているんだから感謝してますよ。
とドビーが言った。


b7

僕たちは、こんな魔法生物みたいな姿をしてるから、
人間の町には住みにくい。
この界隈の人はほとんど気にしないけど、
広場には観光客が大勢くるからね。
それでジャンのジオラマの村という別世界に
小屋を建ててそこに移住して暮らしているんだ。
周りはフィギアの精霊がほとんどだから、
住み心地はいいよ。
それにみんなが仮装するハロウィーンの時期になると、
広場に出てきても変な風に思われない。
今年もいよいよそんな時期になったんだ。
とトラが言った。


b8

アフリカのジャングルだったら、
人間は滅多に来ないから、
遊びにおいでよ。
僕の家の近くに小屋を作ってもいい。
とリンリンが言った。

リンリンの家は遺跡の近くにあるから、
きっとジャングルの動物たちや
グリーンマンが嫌がるよ。
僕の家の近くなら、マークの集落の外れで、
鏡の扉のあるフラハの家の近くだし、
交通の便もいいですよ。
とシーザーが言った。


b9

お言葉に甘えて、アフリカに、
犬猫猿鳥同盟の支部を作りましょうか。
とドビーが言った。

みんなやることなくて
いつも暇そうだから、それもいいわね。
作ってもどうせお茶会を開くだけだけど。

ジャングルって危険じゃないんですか。
とクロが言った。

動物にとっては体が人間みたいに見えるし、
人間にとっては顔つきが動物のように見える。
奇妙すぎて警戒して近づかないんじゃないの。
そうなのかなあ。


b91

話がまとまったようね。

ヴィヴィアンさんは、
この会の発案者なんでしょう。
参加されないんですか。
とデュアンが言った。

私は悪魔だからね。
会のことはマリアに任せてるの。
でもアフリカはいいところよ。
あなたも人間嫌いで
この魔術劇場に引きこもっているんでしょう。
たまには遊びに行ってみたら。

そうですね。
あ、追加の肉まん持ってきます。



解説)
続きます。

それぞれの自己紹介でのエピソードは、
ドビー、2022年9月11日「ミューと探偵の思いつき」。
トラ、2022年11月28日「対策会議そのに」から。
クロ、2023年2月27日「メルティの世界 そのに」。
フンボルト、2023年3月21日「衣替えとマスコット」。
に掲載されてます。飛び飛びですが。
犬猫猿鳥同盟(旧名 犬猫同盟)の結成のエピソードは、
2022年12月6日「犬猫同盟」に。
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Oct 01, 2024

コンテストの結果発表

a1

今日は月初めで、
月例のコスプレコンテストの結果発表日。


a2

優勝者は決まったの?
それがまだ。

休暇とってアフリカに行ってたからね。
私の留守中に誰か新しい登録者来てた?


a3

いつもの近隣住民だけだよ。
ジェニーたちがお月見モードの
浴衣姿で登録してたのが目立ったくらい。

先月の有力候補だった人たちから
選べばいいじゃないですか。
フラハやフミコやダリオさん。
と佳奈が言った。


a4

みんなアフリカに帰っちゃって、
今この町にいるのは。


a5

ルビーはマイクを手に取って、
アナウンスを始めている。

みなさん。
9月のコスプレコンテストの優勝者の発表です。
厳正な審査の結果、
優勝したのは古代アフリカの
魔族の民族衣装を着たフミコさんです。


a6

農家の直販店の前で
ブドウの味見をしていたフミコは、
アナウンスに驚いている。

おめでとうございます。


a7

周りに住民たちが集まってきた。
フミコは万雷の拍手と歓声に包まれて、
トロフィを授与されている。


a8

私もああいう服着てみたいわ。
あれはコスプレじゃなくて本物でしょう。
その辺はどうでもいいみたいなのよね。
早くチョコレートを。
などと言っている。


a9

昔はこういうイベントはなかったの。
優勝もそうだけど、
みなさんに歓迎されて嬉しいわ。
と言っている。


a91

授賞式が終わり、
早くも参加賞の
チョコレートの掴み取りのための
行列ができている。

お馴染みの光景だけど、
コンテストが終わるとほっとするね。
毎月やってると癖になるのよ。
などとアイスとルビーが話している。


a92

あれ、チョコもう残りわずかよ。

すぐ追加しますから。
と佳奈が言っている。



解説)
続きます。
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Sep 30, 2024

マリアたちの集い

a1

ヴィヴィアンはペンギン前にやってきた。


a2

こんにちわ。
久しぶりね。
などと挨拶されている。

お一人ですか。
店内は満席なんですけど。


a3

今日はお茶飲みにきたわけじゃないのよ。
マリアに頼まれて、
フンボルト氏に伝言を伝えにきたの。
魔術劇場で集会があるんだって。

あ、はい。今呼んできます。


a4

店内からフンボルトが現れた。
仕事中みたいだけど、
抜けられるの?
私はマスコット役で立ってるだけですし、
リズもいるので大丈夫です。


a5

その頃、魔術劇場の一室では、
リンリンとシーザーがお茶を飲んでいた。
ヘルミーネは食べ物の準備をしているようだ。


a6

一応、果物を揃えてみましたけど。
お二人は草食ですよね。
たまにお肉も食べますよ。
その白くて丸いのはなんですか?
これは肉まんというものです。


a7

その時、マリアが、
ドビーとクロとトラ猫の3人組を引き連れて、
ジオラマ村から鏡の扉を使ってやってきた。


a8


お待たせ。
こちらが犬猫猿鳥同盟のメンバーよ。


a9

こんにちわ。
あら、普通のお猿さんなのね。
言葉は通じるの?
引っ掻かれないかしら。
などと言っている。


a91

みんなが緊張して着席すると、
ヴィヴィアンとフンボルトもやってきた。

これで全員集合ね。
とマリアが言っている。



解説)
続きます。
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Sep 29, 2024

山に行く そのなな

a1

山頂の広場で、
みんな思い思いに寛いでいた。

こんなところに住みたいものだわ。
引っ越してこようか。
流石にそれはないでしょう。


私、あんな追憶系の魔術は初めてだった。
あれは白魔術なのかしら。
とヴィヴィアンが言っている。
それは後世の分類ね。
昔はそんな区別はなかった。
でも彼女の呪力には私も驚いたわ。


a2

アイスとマリアが話している。

リンリンやシーザーが
加入してくれるとなると、
「犬猫同盟」っていう名前変えなくちゃ。
「犬猫猿同盟」にする。
よく知らないけど、
ペンギン顔の人もいるんじゃなかった?
とアイスが言った。
「犬猫猿鳥同盟」。

何相談してるんですか。

会の名称を考えてたの。
そうだ、メンバーに顔見せしたいから、
魔術劇場に遊びに来ない?

それは嬉しいな。
ルビーさんにも会えますね。
とシーザーが言った。
僕は大勢の人間が苦手で。
とリンリンが言った。
魔術劇場から外出しなければいいのよ。


a3

一行は高台の遺跡まで戻らずに、
一挙に魔術劇場に帰ることにした。
アイスが呪文を唱えて、
鏡の扉を出現させている。


a4

一行は魔術劇場に戻ってきた。
留守番をしていたデュアンが
出迎えている。


a5

お留守番ありがとう。
お帰りなさい。
特に何もありませんでしたよ。
珈琲でもいかがですか。


a6

アイス、あの鳥の羽根どうしたの?
あ、高台の遺跡の広場に
置いてきちゃったみたい。
せっかくの九官鳥の贈り物だから、
戻って取ってくるわ。


a7

マリアに誘われて同行してきた
リンリンやシーザーも、
早速デュアンに紹介されている。


a8

しばらく滞在されますか。
すぐにお部屋をご用意します。
あーどうぞよろしく。
この人全然驚かないんだね。
と言っている。


a9

マリアはヴィヴィアンに
話しかけている。

ヴィヴィアン頼みがあるんだけど。
珍しいわね。なあに?
これからここで部屋を借りて、
犬猫猿鳥同盟の集会を開きたいの。
それで仲間を呼んでくるんだけど、
手伝ってくれないかな。
いいわよ。
私これからジャンのジオラマの村に行って、
メンバーを呼びに行かなくちゃならないから、
ペンギンでバイトしてる。

ああ、フンボルト氏を呼んでくればいいのね。
ええ。そうしてくれると助かるわ。



解説)
続きます。
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Sep 28, 2024

山に行く そのろく

a1

こんにちわ。
僕はカエル王子。
安住の地を求めて旅をしています。
この池に住んでみてもいいですか。
とカエルは言った。

いいわよ。
どうぞご自由に。

君はもしかして、
今年の春に、メルティの夢の中で
洪水騒ぎを起こしたヘクトンの息子ではないかね。
とハリーが言った。

あ、そうですが。

妹さんのカエル王女が探していたわよ。
とアイスが言った。

そ、そうなんですか。
それで、妹は。

町の高台の休憩所にある、
水盤に住み着いているみたい。
今度、あなたのこと話しておいてあげる。

あ、ありがとうございます。


a2

驚いたわ。
いつも人の心に浮かぶイメージを読み取って、
この世界に投影してるけど、
逆に自分の記憶のイメージが投影されるのは初めて。
なんだか不思議な気分ね。
とフミコが言った。

この広場のこと思い出した?
とアイスが言った。

ええ。おかげでかなり
鮮やかに思い出したわ。


a3

アイスはジャングルの方に歩いていくと、
呪文を唱え始めた。
すると、
樹木に絡んでいた蔓が、
くるくる回って円を描いた。


a4

アイスはその円の中を跨いで、
向こう側に行って振り向いた。

フミコ、こっちよ。
皆さんも。


a5

一同がフミコの後に続くと、
そこは広場の過去の情景のようだった。
綺麗に整備された庭園が見える。

そうそう、
こんな感じだった。


a6

花が咲いてるよ。
みんな薬草みたいだ。


a7

あれは発着場の目印よ。
どんな人が来てたんですか。
大抵はレプテュリアンね。
ほかには彼らが連れてくる観光客とか。


a8

あれは天文台。
もっと昔は神殿の一部だったの。

ご先祖様は偉大だったのね。
誰もいないのが不思議。
とヴィヴィアンが言っている。


a9

一行は蔦でできた入り口まで戻ってきた。

ありがとうアイス。
おかげで忘れかけていた記憶の旅を
楽しめたわ。

呪文が心に浮かんだだけなのよ。
きっとこの広場の遺跡が私たちを招いたんだわ。
とアイスは言った。



解説)
続きます。

ハリーの言った洪水騒ぎの話は、
2024年5月2日「メルティの世界で」
から始まっています。
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Sep 27, 2024

山に行く そのご

a1

一行は遺跡を出て、
近くの山まで散歩することにした。

すぐ近くなの。
この別荘地はその山の山腹にあって、
山の頂上には巨石群があるのよ。


a2

フミコに案内されて、
一行は遺跡の入り口の門を出ていく。


a3

山頂の巨石群はアフリカの謎のストーンヘッジと呼ばれ、
ごく一部の探検家たちが探索に訪れたことがある。
かってリンの父親のハンスもそんな一人だったが、
彼はその時偶然近くの古代遺跡を発見したのだった。


a4

遺跡の門の近くからは山頂に階段が続いている。

山頂の巨石群も、以前は私たちの遺跡の一部だったの。
空から都を訪れる人たちを迎える施設があったのよ。
レプテュリアンたちの戦争で徹底的に破壊されてしまったけど。
とフミコが言っている。


a5

道の途中でリンリンとシーザーに出会った。
アイスはシーザーの仕草を見て慌てて挨拶している。

グリーンマンから、
高台の遺跡にフミコさんが帰ってきていると聞いて、
駆けつけてきました。
と言っている。


a6

君たちのことは佳奈やルビーから聞いてるよ。
知能の高いお猿さんですってね。
私たちもアイスさんのことは
グリーンマンから聞いてます。
フミコさんの蘇生に協力してくださったとか。

その時、人の姿に変身して、
私にも紹介して。とマリアが言った。
私こういうタイプの人たちにすごく興味があるの。

人じゃないよ、お猿だよ。
同じようなものよ。
是非、犬猫同盟に加入していただきたいわ。
なんですかそれ。
集まってお茶を飲む会なのよ。


a7

アイスたちが話し込んでいるうちに、
フミコとハリー一家は山頂に到達していた。

あれが巨石群か。
かなりの大きさね。


a8

アイスたちも
追いついて、
それぞれ紹介しあった後に、
思い思いにくつろいでいる。

戦争が始まる前は、
この山頂の広場には、発着場のほかに
迎賓館や展望台や庭園があったのよ。
とフミコが言っている。



a9

この円形の石の枠組みはなんだろう。
これは、きっと人工の池の跡ね。

フミコ。その記憶の景色思い出せる?
とアイスが言った。
微かに覚えているわ。


a91

アイスが呪文を唱えると、
薄い煙が立ち上り、煙を風が吹き払うと、
円形の石組みの中に水が満たされていた。
ハリーが、
ほー。
と言っている。


a92

池の水の中からカエルが現れた。



解説)
続きます。
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Sep 26, 2024

山に行く そのよん

a1

高原の遺跡で、
一行はくつろいでいた。

バナナを食べたら喉が渇いたね。
広場に水盤があって、
新鮮な水が飲めますよ。
行ってみようよ。


a2

あれは何?
ああ、あれはグリーンマン。
気にしなくていいの。
あら、なんでしょ。
私を呼んでるみたい。


a3

一階に降りると、
フミコはグリーンマンの方に
歩いていった。


a4

何か話をしているようだ。


a5

何を話していたの?

魔族の人が来てくれたって、
すごく喜んでいたの。
彼は長い間ずっとこの魔族の遺跡と
周辺のジャングルを守り続けていたから。
カーミラさんによく似た人が、
前にも来たことがあるって言ってたわ。

そうなんだ。
君の先祖が来たのかもしれないな。
いつ頃のことかしら。
何千年も前じゃない?


a6

今度はなに?
あの空飛ぶ魔女スタイルはマリア。
アイスも一緒ね。


a7

ヴィヴィアンは手を振っている。


a8

ヴィヴィアンが広場まで追っていくと、
アイスとマリアはみんなと合流していた。

水盤のところで、
お水を飲んでいたら、
突然二人が降ってきて驚いたわ。

空を飛んだのは一昨年のハロウィーン以来。
ここなら誰にも見られないから最高ね。

アイス。君も空を飛べたのか?
ええ、呪文が頭に浮かんだんです。
なんでもありなんだな。


a9

一行は広場の散策を楽しんでいる。
マリアは黒猫に変身したようだ。



解説)
続きます。

マリアが箒に跨って空を飛べるようになったのは、
一昨年のハロウィーンのこと。
2022年10月29日「まもなくハロウィーン」に、
箒に跨って空を飛ぶシーンが、ちらっと出てきます。
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Sep 25, 2024

山に行く そのさん

a1

アイスとマリアは
空に浮かんでいた。


a2

見渡す限りの
ジャングルね。


a3

沼地が見えるわ。
たぶんあっちがマークの集落や、
古代遺跡のある方角よ。


a4

天気がいいから
どんどん行ってみよう。


a5

その頃、魔術劇場から
フミコに招かれたハリー一家が、
フミコの故郷の遺跡を訪れていた。


a6

随分立派な建物だなあ。
私たちの先祖って優秀だったのね。


a7

結構涼しいのね。
上着着てきて正解だわ。
ここは高地にあって、
避暑地だったんです。


a8

雰囲気あるなあ、
と言っている。


a9

ここなんだかすごく懐かしいわ。
不思議な気分。
とカーミラが言っている。

魔族の人の中に、
そういう人多いようですよ。


a91

何も残っていませんが、
見晴らしだけはいいので、
屋内に入りましょう。


a92

4人は石造りの部屋で寛いでいる。

眺めのいい部屋ね。
お母さんどうしたの?
ここ絶対来たことがある気がするのよ。
リーインカーネーション?

この土地にはフミコさんがかけた
魔法がまだ効いているんだろう。
そのせいかもしれないよ。



解説)
続きます。
Posted at 20:23 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Sep 24, 2024

山に行く そのに

a1

魔術劇場では、
ハリー一家と、遅く起きてきた
フミコがお茶を飲んでいた。


a2

昨夜は楽しいおもてなしを
ありがとうございました。
すっかりご馳走になっちゃって。


a3

いやいや。
ああして魔族が集まったのは久しぶりだ。
先祖の君がいてくれたおかげで、
大いに盛り上がったよ。
みんな興味津々だったからね。
考えてみればそれもアイスのおかげかな。


a4

アイスといえば、
彼女、強力な再生の呪文を使ったみたいですよ。

ふーん、どうしてわかるの?
とヴィヴィアンが尋ねた。

アイスには、この肩飾りの宝石を一つ外して、
指輪を作ってあげたんです。
その指輪から私に波動が伝わってくるの。


a5

フミコが手を振ると、
部屋の壁に、アイスが呪文を唱えている
情景が映し出された。

あ、マリアもいるのね。
あの子いつの間に。


a6

情景は樹木の変化の様子を
映し出している。

これはすごい、
なんでもありのパワーだわ。
あの人、人間でしょう。
魔術の書には載っていない呪文だな。
立派な樹木ね。あそこはどこなのかしら。
などと言っている。


a7

あれはアフリカです。
そうそう、お世話になっているお礼に、
御一家を私の故郷にお招きしたいんですが。
故郷といっても、今はもう何もない
寂れた遺跡なんですが。

それは嬉しいわ。
ずっと旅行してないし。
お母さんはここにいても
ずっと引きこもりだからね。
喧騒が苦手なのよ。

遺跡に人は誰もいません。
旅行といっても鏡の扉を
潜り抜けるだけなんですよ。
遺跡の町と湖と高原と
どこがいいですか。

もう秋だから高原ね。
とヴィヴィアンが言った。


a8

その頃アイスたちは、
山の中腹を下り、ダリオの家に
帰る途中だった。

しかしレプテュリアンって冷酷だね。
あそこまでしなくてもいいのに。
自然や動物愛護の精神に欠けてますね。
それでいてリクガメが好きなんだから、
やることが人間と同じだね。
などと話している。


a9

そのとき、九官鳥が
ハヨーハヨーと鳴きながら、
上空を掠め飛んでいった。


a91

九官鳥は、
風切り羽根を落としていったようだ。


a92

マリアは人の姿になった。
随分大きいわね。
これ使えるかも。
などと言っている。


a93

アイスとマリアは、
羽根にまたがると
呪文を唱えて空中に飛翔した。

やっぱりね。
ちょっと散歩してくる。

なんでもありですな。
僕は家に帰ってますから。
とダリオが言っている。



解説)
続きます。
Posted at 20:29 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Sep 23, 2024

山に行く

a1

アイスとダリオとマリアは
山の中腹にあるという、
九官鳥が巣をかけている木を見に行った。

実はさ、ルビーから聞いたんだけど、
九官鳥に小さな宇宙人がさらわれて
レプテュリアンが円盤で
取り返しに行ったというのよ。
とアイスが言った。

それは知らなかったな。
僕はずっと君たちの町にいて、
留守していたからね。


a2

これは佳奈から聞いたけど、
その九官鳥の住む樹木って、
生命の樹って言われていたらしいわね。

それを佳奈に教えたのは僕だよ。
原住民の間でそんなふうに言われてた。
もう随分昔のことだけど。
あ、もうすぐこの先だよ。

黒猫に変身しているマリアは
走り出している。


a3

3人は樹木の見える場所に
やってきた。

おおこれは。
なんという。


a4

ちょっと気になってたんだけど、
やっぱり悪い予感が当たっちゃったみたい。
たぶん宇宙人を救出したレプテュリアンが、
九官鳥の巣を破壊していったのよ。

これは相当だなー。


a5

九官鳥は無事のようだが、
巣を無くして戸惑っているようだ。


a6

私なんとかしてみる。
そういうと、アイスは
心に浮かんだ呪文を唱え始めた。


a7

すると周囲に薄い煙が立ちのぼり、
やがて一陣の風が煙を吹き払うと
緑の生い茂る木立の姿が現れた。


a8

樹木の高みの太い幹の中から
顔のようなものが出現した。

あなたが癒してくれたのね。
どうもありがとう。
とその顔は言った。

あなたはどなたです?
とアイスは言った。

見ての通り、私はこの樹木の精霊。
長いこと生きてると、
いろんなことがあるものね。
あら、あなたは魔族じゃないのね。
まあどうでもいいけど。
お礼に何か願いを叶えてあげましょう。

お礼なんていいですよ。
とアイスは言った。

ふーん。そうなの。
ここにはいろんな人がやってきて、
願いごとをしていったのよ。
それはもう昔の話だけど。

とりあえず、枝葉の修復に
何十年もかかるところだった。
どうもありがとう。
あなたのことは忘れないわ。

そう言うと、
顔は幹の中に沈み込むように消えていった。


a9

さっきの呪文、なんだったんです。
聞いたこともない言葉でしたが。

よく覚えてないわ。
ただ心に浮かんだ言葉を言っただけ。

九官鳥も喜んでいるようだ。



解説)
続きます。
Posted at 20:23 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Sep 22, 2024

翌日の続き

a1

ジェニーたちの部屋。


a2,jpg

もう夕暮れね。
今日は何もしないうちに
時間が経っちゃった。
何も思いつかないうちに、
って言った方がいいんじゃない。


a3

そこにあるのは月餅ね。
なにかニュースある?
大谷が記録を達成したって。


a4

そこにドルフィンのスタッフの
リタがやってきた。
靴箱を抱えている。
あら珍しい。


a5

これ、ドルフィンの倉庫に
入荷してた靴なの。
サイズが小さくて、
あなたたちなら履けるんじゃないか、
と思って持ってきたのよ。

リカって書いてあるね。


a6

箱を開けて取り出すと、
それはリカちゃんサイズの靴だった。

「ノアールブーティー」って
いう名前らしいよ。
ハーフブーツみたいで、
秋冬モードに似合いそう。
誰が履くかはジャンケンだね。


a7

リタは月餅をご馳走になっている。


a8

その頃、アフリカのダリオの家では。
アイスとダリオが寛いでいた。

佳奈たちがここに来たって言ってたけど、
近くに巨大な九官鳥の巣があるそうね。
近くといっても山の中だけどね。
行ってみるかい?

その時、鏡の扉の隙間から黒猫が出てきた。

おやあの猫は。


a9

薄煙と共に、
黒猫は女性の姿になった。

面白そうなので、
ついて来ちゃった。
と言っている。


a91

ようこそ。昨日の夜会ではどうも。
あなたは確かハリーさんの
姪御さんのマリアさんでしたね。
とダリオが言っている。

そうよ。マリアと呼んで。

その格好じゃジャングル歩くの大変だよ。
とアイスが言った。

猫になってついていくからご心配なく。
私箒があれば空も飛べるし。



解説)
続きます。

リタの持ってきた靴はガチャで入手しました。
タカラトミーアーツの
「Licca closet series シューズコレクション」
(全6種)の「ノワールブーティー」です。
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Sep 21, 2024

夜会の翌日

a1

夜会の翌朝の魔術劇場の一室。
お昼に近くに、
ハリーが起き出してきた。


a2

ああよく寝た。
昨晩は良く飲んだなあ。
マーリンたちは?
みなさんお帰りになったわよ。
カエル王子によろしくって。


a3

テーブルには
黒猫に変身したマリアがいる。
胃薬も用意されているようだ。


a4

親しくなったアイスとダリオが話している。

もう帰るの?
集落のフラハの家までは扉ですぐだけど、
家までは集落から結構かかるんだ。
夕方頃に家につけるかな。

だったら、家に直通する扉を
作ればいいのね。
行きたい場所をイメージして。


a5

アイスが呪文を唱えると、
鏡の扉が現れた。


a6

すごい呪力だ。これは便利だね。
何度も使えるように固定しておくわ。
じゃあ、ちょっと家を見にこないか?
そうね。


a7

二人が扉を抜けると、
そこはダリオの家の裏庭だった。


a8

その頃、サラたちの部屋では、
昼食に海鮮丼を食べていた。


a9

マンゴー亭に行ったら、
昨晩の夜会用に仕入れた
魚介類が余ってるからって、
分けてくれたの。
お寿司の具材だね。
早く食べないと。



解説)
続きます。
いつもながら、あまり脈絡のない展開ですが、
「海鮮丼」のシーンは、
ぷちサンプルシリーズ「極上寿司」(全六種)の
「2.海鮮丼」を二組使っています。
Posted at 20:27 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Sep 20, 2024

十五夜の夜会 そのさん

a1

夜会は続いていた。
夜も更けて、それぞれ席を変えて
思い思いに歓談している。

フミコさんって、
長生きなさったんでしょう。
とカーミラが言っている。


a2

そうでもないのよ。
亡くなったのは235歳のとき。

そうだったの。
じゃあ私のほうがお姉さんね。
とカーミラが言った。


a3

幼馴染のハリーたちは、
昔話に興じているようだ。

カエル王子遊びをおぼえているかい?
忘れたことなんかないよ。
今でも夢に見るんだ。


a4

ヴィヴィアンたちはアイスに
指輪を見せてもらっている。


a5

近くによるだけで、
すごいパワーを感じるわね。
そうなの?
私にはよくわからないけど。


a6

どうだね。
また遊んでみるかね。
お酒で行くか。
いいよ。
今度は負けないぞ。


a7

薄い煙が立ち上ったので、
アイスが振り向くと、
椅子やテーブルの上に
三匹のカエルがいた。


a8

カエルたちは
テーブルの上に集まると、
お酒を飲み始めた。


a9

あれ何してるんですか。
とマリアがカーミラに訊いている。

お酒の飲み比べ競争よ。
お互いカエルの姿に変身して、
いろんな競争をするのが、
カエル王子ごっこ。

どうして王子なんですか。
魔族の子供の遊びだからね。
一番は王様じゃなくて王子なの。

なんか、たわいないのね。
男ってそういうものなのよ。



解説)
続きます。
Posted at 20:22 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Sep 19, 2024

十五夜の夜会 そのに

a1

夜会は続いていた。

フミコさん。
この前の夜の打ち上げ花火、
あれはあなたが作った幻影だったって、
噂があるけど、本当?
とカーミラが言った。


a2

はい。あれはたまきが心の中で、
思い描いたイメージを表現したんです。

すごいわね。

今日は中秋の名月らしいですね。
アイス。夜空を思い浮かべてみて。


a3

アイスが十五夜の空をイメージすると、
部屋の壁が消えて
夜空がスクリーンのように映し出された。

ほー。
あらら。
と言っている。


a4

月は煌々と輝いている。


a5

鏡の扉が開いて、
アンナが酒器を運んでくると、
夜空の幻影は消えてしまった。

熱燗お持ちしましたよ。
と言っている。


a6

今のは古代の魔術かね。
自分で描いたイメージならともかく、
人の心の中のイメージを読み取って
外界に投射する魔法というのは、
魔術の書になかった気がするが。
とマーリンが言った。


a7

そうなんですか。
昔は魔術の書もなかったから。
呪文というのは心に浮かぶんですよ。


a8

マーリンは、
ヴァンパイアたちのために
彼らが思い描く理想の世界を
作ってやったんだろう。
よく似てるじゃないか。
とフラハが言った。

ふむ。確かに似ているな。
だがあれは彼らの共同の願望と
土地の精霊に働きかけて、
閉じた別世界を作り上げるものだ。
実現にはいろんな条件が必要なんだよ。


a9

綺麗な満月だったわね。
フルムーンといえば、
若い頃のサバトを思い出すわ。
今では魔女の集会の風習も廃れちゃったけど。
やっぱりイクラの軍艦巻きね。
などと話している。


a91

ヴィヴィアン、
今日はおとなしいのね。
隣に実のお父さんがいるからね。

聞こえてるぞ、
とマーリンが言っている。


a92

まぐろには冷酒が合うなあ。


a93

夜会の夜は更けて行った。



解説)
続きます。
Posted at 20:23 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Sep 18, 2024

十五夜の夜会

a1

夜になって、
ジェニーたちはお月見をしている。


a2

晴れてよかったね。
あんなにくっきり見えるの、
またフミコの魔法のせいかなあ。
どうなんでしょう。
お月様綺麗ね。
あれってなあに?
どこどこ?
などと話している。


a3

その頃、魔術劇場では、
夜会が始まっていた。


a4

テーブルには
マンゴー亭から運ばれた
お寿司の品々が並んでいる。


a5

今夜はこのささやかな夜会に
ご出席くださってありがとう。
会の趣旨は、
普段交流のない魔族の仲間と
再会したり新しい仲間を紹介したくて、
集まっていただいたということです。
まあ気軽な寿司パーティなので、
楽しく過ごしましょう。
と主催者のハリーが言った。

知らない人もいると思うので、
一応自己紹介すると、私はハリー原。
この魔術劇場を主宰している。
隣にいるのが妻のカーミラ。


a6

どうぞよろしく。
とカーミラが言った。

その隣がジャンヌ。
ジャンヌは私の妹だ。


a7

その隣はジャンヌの娘のマリア。
私にとっては姪にあたる。

その横でサングラスをかけているのは、
ヴィヴィアン。私の娘だ。


a8

その横にいる二人は、
私の幼馴染の友人マーリンとフラハ。
黒いマントのマーリンはルーマニアに住んでいる。
長髪のフラハは、アフリカに住んでいる。
最近再会したばかりなんだ。


a9

ここからはみんなに紹介したい人たちだ。
金髪のアイスは特別ゲスト。
彼女は普通の人間で魔族ではないが、
強力な呪力をお持ちなので招待させてもらった。
黒髪のフミコは、蘇生の魔術で
古代世界から甦った魔族の女性。
私たちからしてみれば遠いご先祖にあたる。

最後も特別ゲストのダリオ。
別世界から来た人物で、その世界では
魔族として暮らしていたというから、
生まれた世界は違うが遠い親戚のようなものかな。
今はアフリカで暮らしているという。

さて紹介はこのくらいにして、
会食を始めましょう。
とハリーは言った。



解説)
続きます。
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Sep 17, 2024

夜会の準備

a1

サラたちの部屋。
フミコは元の服装に着替えさせてもらっている。


a2

フミコは、今日は夜会があるから、
正装で出席したいの。
と言っている。

私は浴衣に着替えたいなあ。
とたまきが言った。

いいわよ。


a3

たまきは浴衣を着付けてもらった。


a4

二人が部屋に戻ると、
ジェニーたちも浴衣を着ていた。


a5

今日は十五夜だからね。
晴れてたら、お月見しよう。
晴れてなかったらお団子だけ食べよう。

いい風習があるのね。


a6

そこに広場からひそこが飛んできた。
フミコに超音波で話しかけている。

なんて言ってるの。

夜会をそろそろ始めるから、
アイスと一緒に魔術劇場に来て欲しいって。


a7

フミコは広場に行って、
アイスに伝言を伝えている。


a8

私も呼ばれてるの?
私は魔族じゃないのに。

きっと私があなたに魔力を授けたせいね。
あなたの能力は実質的には魔族と同じだから、
同じ仲間ということで招かれたのよ。


a9

二人が魔術劇場の前に行くと、
エヴァが鏡の扉を開けてくれた。

魔術劇場にようこそ。
みなさんお揃いですよ。



解説)
続きます。
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Sep 16, 2024

広場に帰る

a1

ルビーとフレイムは
豹変亭でリンたちと別れて、
フラハの家までやって来た。


a2

二人はフラハに
ジャングルでの出来事を話している。

なるほどなあ。
夜空に光る飛行物体はよく見るんだよ。
誰も気にしないけど。

その時、一瞬、鏡の扉が開いて、
隙間からコウモリが飛び出してきた。


a3

それはヴィヴィアンのお供をしている
派遣コウモリのひそこだった。
ひそこは超音波で何か話している。
フラハは聞き取れるようだ。

なんて言っているんです?

ヴィヴィアンからの言伝だよ。
明日の夜に、魔術劇場で
夜会をすることになったから
出席して欲しいって言っている。

魔族の人たちの飲み会ですか。
それは楽しみですね。
じゃあ。私たちはこれで。


a4

ルビーとフレイムはフラハと別れ、
鏡の扉を抜けて魔術劇場から広場に戻ってきた。


a5

今日は曇天ね。
夏から秋に変わったみたい。
さすがに涼しいとほっとするわ。

その赤い動物は。


a6

ルビーはアイスたちに声をかけられている。

お帰りなさい。
無事に戻ったみたいね。
ジャングルは楽しかった?


a7

フレイムは、
ベーカリーでシェフの代役をしていた
小池恵子と話している。

ちょうどよかったわ。
明日魔術劇場で魔族の飲み会があるらしくて、
マンゴー亭にお寿司と肉まんの大量注文が来てるの。

お寿司パーティか。
私も手伝うわよ。


a8

そのとき、レプティが
フレイムの肩から地上に飛び降りると、
さっそくドラコが走り寄ってきた。


a9

ドラコはダーダーと言っている。
レプティは身構えて、
その声に聞き入っているようだ。


a91

バナナを与えると、
二匹は仲良く食べ始めた。



解説)
続きます。
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Sep 15, 2024

集落での会話

a1

ルビーとフレイムは
シーザーの家を後にした。


a2

随分ジャングルを楽しんだし、
そろそろ帰ろうか。
まだ集落は見てないわよ。


a3

二人がマークの集落の中心部にさしかかると、
ビールケースを運んでいるアンドレアに出会った。


a4

アンドレアは緊張している。

あなたのことは、アイスから聞いてるわ。
とルビーが言った。
元ジゾックスの首領のローズと二人で
お店をやってるんだってね。
ここで真面目に更生して暮らしてる限り逮捕はしない。
でもそういうふうに決めたのは私たちのグループだけ。
国際組織やCGの方針は変わらないから、
別の場所で発見され次第、命の保証はないわよ。

わかってるわ。
恩にきてる。
とアンドレアは言った。


a5

ここがあなたたちのお店「豹変亭」ね。
いい感じのお店じゃない?
とルビーが言っている。

儲かりまっか。
ぼちぼちでんなあ。
と話している。


a6

これはお店の奢りよ。
ローズがよろしくって。

嬉しいけど、そういうのは無し。
ちゃんと払わせて。


a7

フレイムが店内を見ると、
店はぼちぼち繁盛しているようだった。


a8

アイスや佳奈が言ってたとおりの
雰囲気の店だね。
などと話していると、
リンがテーブルにやってきた。

あのー。今、アイスや佳奈って聞こえたんですけど、
もしかしてお二人のお知り合いですか。

そうですけど。あなたは?

私はリン。
この集落を拠点に遺跡調査をしている探検家です。
あ、調査をしていた、といえば正確かしら。
今は調査を中止して資料の整理をしているの。

なるほど、アイスと佳奈から
彼女たちが参加した遺跡調査のあらましは聞いています。
よかったら、こっちで一緒に飲みませんか。


a9

テーブルに来たリンとクラウドとハンスは、
さっそく打ち解けて、話が盛り上がっている。

レプテュリアンや宇宙人との遭遇の話よりも、
ルビーとフレイムが、魔術師フラハの家に設置された
魔法の扉を使ってこの集落にやって来たという話が、
みんなの関心の的のようだった。

そんな便利な扉ができたとは。
最近、見慣れない旅行者が増えたってよく聞くけど、
そのせいだったのね。
しかし、そのうち古代遺跡の存在が
知れ渡っちゃうんじゃないかな。

扉はアイスが魔法で作ったもので、
そのことを知っている人も限られています。
古代遺跡のことはご存知のように
魔族やレプテュリアンも関わっているので、
私たちも公にするつもりはなく、
扉を使える人も限定するつもりですが、
遺跡調査に行ったあなた方なら心配ないでしょう。
とルビーが言った。

アーネストやアンドレアやマークも
知ってるの?

知ってますよ。
でもアーネストやアンドレアは、
多分使わないでしょうね。
とフレイムが言った。



解説)
続きます。
Posted at 21:03 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Sep 14, 2024

シーザーの家で

a1

シーザーの家で、話し合っている。

このカプセル何が入ってるのかしら。
リザードさんが、
月の裏側にあるルナシティで回した、
ガチャのアイテムだって言ってましたよ。
トカゲが入ってるらしいけど、
どんなトカゲかは分からないって。

どっかで聞いた話ね。

それで、円盤に乗ったご感想は?


a2

それがよく覚えてないんです。
機内の様子はさっぱり思い出せない。
でもね。外の様子はくっきり見えて、
鳥になったみたいに覚えています。


a3

最初に地上から
どんどん離れていって。


a4

渓流の流れがよく見えたので、
方角がつかめました。


a5

それからどんどん上空に上がって。
僕がイメージする方向に飛んでいくんです。


a6

やがてとうとう目印の沼地が見えました。


a7

それからあの鳥の巣がある山を見つけたんです。
それから先は何が起きたか思い出せない。


a8


その時、
カプセルが震えてるわよ。
とフレイムが言った。


a9

カプセルが弾けるように開くと、
赤っぽい液体と共に、
中から赤いトカゲが転がり出てきた。
液体はすぐに蒸発していく。


a91

トカゲはバナナをぱくついている。

僕、実はトカゲは苦手なんです。
小さい頃に噛まれたことがあって。
よかったらルビーさんたち、
このトカゲ飼っていただけませんか。
とシーザーが言っている。

逃がしてやれば?

せっかくのお礼の頂き物だし、
このトカゲ、愛玩用でしょう。
それにまだ若いみたいだし、
過酷なジャングルでは、
すぐ鳥や獣に食べられてしまうかも。


a92

たくましくなるまで
ベーカリーで飼うかな。


a93

フレイムさんに懐いてるみたいですよ。

名前はなんてつける?
赤っぽいからレッドでいいんじゃない。
いつも思うけどすごく安易じゃない?
じゃあレプティにしよう。

レプティは尻尾を振っている。



解説)
続きます。
赤っぽいトカゲはガチャで。
BANDAI NAMCOの
「いきもの大図鑑レプティ」(全五種)の、
「4.フトアゴヒゲトカゲ(ライトブラウン)」です。
Posted at 21:32 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Sep 13, 2024

休暇旅行へ そのきゅう

a1

飛んでっちゃったね。
きっと寝ぐらに運んでいったんだよ。
とリンリンが言った。

巨大な九官鳥だった。
寝ぐらって、どこに巣があるの?

マークの集落の向こうの、
沼地を越えたところに山があるんだ。
その山に生えている大きな木に巣をかけている。
とシーザーが言った。

流石に詳しいわね。

あの大きな鳥は
元々この辺りの鳥じゃないから、
ゴリラ仲間ならみんな知っているよ。
あの鳥は光るものが好きなんだ。

さっそく助けに行きましょう。

ここからだとかなり遠いよ。

行き違いになっちゃうから、
ここでリザードさんが来るのを
待っていた方がいいんじゃない?


a2

一行がしばらく待っていると、
やがて上空に飛行物体が現れた。


a3

ルビーたちは飛行物体から降りてきたリザードに
これまでの経緯を説明している。

ふむ。それはちょっとまずいことになったなあ。
ピピがいなくなったことが知られると大騒ぎになる。
惑星探索で事故や失踪者が出ることは
よくあるんだが、ピピはあの種族のVIPでね。
このリクガメのいるジャングルに
ピピとダックを招待したのは私なんだが、
仲間には内緒にしていたんだ。

九官鳥がピピを運んでいった場所は
シーザーが知っています。
ここからかなり離れた山の中腹に立つ樹木に
巣があるそうです。

なんと場所がわかっているのか。
さっそく回収に向かうよ。
シーザー君とやら、手伝ってくれるかい。

いいですよ。

じゃあ君たちとはここでお別れだ。
シーザー君はピピを回収できたら、
あとで送り届けるよ。


a4

ダックとリザードが飛行物体に
吸い込まれるように移動すると、
シーザーの姿も吸い込まれていき、
飛行物体は発進した。


a5

飛行物体はあっという間に
遠ざかっていく。

ピピもシーザーも大丈夫かなあ。
きっと大丈夫だよ。
私たちもジャングルを満喫したし、
一旦マークの集落に戻りましょう。


a6

僕はあまり人間たちの住む集落には
行きたくないんだ。
リンやハンスやクラウドとは仲がいいけど、
人間も、ものを盗んだり畑を荒らすと言って
猿の仲間が集落に近づくのを嫌がっている。
無理もないんだけど。
とリンリンが言っている。

シーザーは集落の外れに
家を建てて住んでいるんでしょう。
その場所は知ってるの?

うん。

そこで帰りを待ちましょうよ。


a7

時は省略するかのように矢のように流れて、
滝の流れる崖を降り、渓流を下り、
アーネストの診療所の前を横切って、
一行はシーザーの家の前に帰り着いた。

随分かかったけど、
まだシーザーは帰ってないね。


a8

しばらく3人が家の中で休憩していると、
微妙な低い振動音がした。
外を見ると中空に静止した飛行物体から
シーザーがゆっくりと落下してきた。


a9

シーザー。
心配してたのよ。
それでピピも無事だったの?

はい。
ピピやダックを見つけてくれたり、
案内してくれたお礼だと言って
このカプセルをもらったんですよ。



解説)
続きます。
Posted at 20:21 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Sep 12, 2024

休暇旅行へ そのはち

a1

おお、君たちはこの星の人のようだね。
と家鴨のような顔の男は言った。
私の名はダック。ピピと二人で、
リクガメを追ってジャングルを歩いていたら、
穴から落ちてしまったんだ。

もしかして
リザードさんのお知り合いですか?
とフレイムが言った。

リザードを知っているのか。
そうだよ。彼に案内されてジャングルに来たんだが、
はぐれてしまってね。
リザードはどこに?

あなたを探していましたが、
おやつの時間になったとかで、
さっき円盤に乗って帰られました。
明日また来るって言ってたわ。

なんと。帰ってしまったのか。

おや、こっちでも何か動いてますよ。
とシーザーが言った。


a2

それはピピだった。
小さなピピは、銀色の姿をしていた。


a3

ダックとピピの加わった一行は、
洞窟の出口に向かっている。


a4

洞窟を出ると、
外はもう夕暮れだった。

もう夜になるのね。
このあたりで一晩過ごしましよう。


a5

洞窟の入り口で
焚き火をすることになった。

お腹すいたなあ。
チョコがないかなあ。
とピピは言っている。


a6

バナナ食べませんか。
ああありがとう。
チョコレートもありますか。
持ってきてないですが、
あっちでみんなと食事しましょう。


a7

話を聞くと、
二人は別々の星で生まれた生物で、
それぞれの文明はレプテュリアンと友好関係にあり、
地球には観光に来たのだという。

このジャングルには人が来ないって
リザードが言ってたけど、君たち二人は人間だろう。

確かに滅多に人が来ない地域らしいけど、
私たちも観光できたの。とルビーが言った。

人間型の種族に会うのは久しぶりだなあ。
とダックが言った。

え、そうなの。

ああ、宇宙には、
君たちによく似た種族もいるんだよ。
ルナシティにある酒場で出会ったんだ。
この星の住人なのかどうかは分からないが、
管理局に勤めてると言ってたな。

僕が会ったこの星の人間は
もっと背丈が小さかった。
僕よりは背が高かったけどね。
とピピが言った。

ふーん。
それって子供だったんじゃない?
とフレイムが言った。


a8

翌朝になった。
フレイムが洞窟を出ると、
どこかでハヨー、ハヨーという鳥の声がする。
あれはなんの鳥?
九官鳥ですよ。鳴き真似してるんです。
とリンリンが言った。


a9

ピピを見なかった?

先に出たから、この辺に
いるんじゃない。

その時、
鳥の羽ばたく大きな音が聞こえた。


a91

ルビーが音のする方に
走っていくと、
巨大な九官鳥がピピを捕まえていた。


a92

九官鳥は
ピピを掴んだまま飛び去っていった。



解説)
続きます。
Posted at 20:23 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

休暇旅行へ そのなな

a1

ジャングルの中を歩いていると、
ルビーたちは、
また小川が流れている場所に出た。


a2

リザードから散歩のついでに
客人を探して欲しいって言われたけど、
何も特徴を教えてくれなかったわね。

客人ってやっぱりトカゲ人間なのかしら。

見つかっても一晩待たせるなんて、
それほど緊急事態っていう
感じじゃなかったから、
気楽にいきましょう。
もし見つかれば、っていうことで。

ルビーさん、すごいね。
やっぱりアイスさんのお友達ってすごいんだ。
とリンリンが言った。

何がすごいの?

リザードに対抗してたでしょ。

あれは当然よ。
あ、シーザーがどんどん行っちゃうから、
追いつかないと。
私たちもここではぐれたら、
ややこしいことになる。


a3

一行は小川に沿っていく。

左の崖に洞窟がある。


a4

行ってみましょう。


a5

奥に行けるみたいですよ。
とリンリンが言っている。

ちょっと待って。
とフレイムが言った。


a6

フレイムはリュックから
ライト付きヘルメットを取り出した。

用意がいいのね。
と言われている。


a7

一行は洞窟を進んでいった。


a8

待って。
あそこに何か。


a9

ライトに浮かび上がったのは
奇妙な頭をした生物だった。
体つきは人間にそっくりだ。



解説)
続きます。
Posted at 00:42 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Sep 10, 2024

休暇旅行へ そのろく

a1

ジャングルでルビーたちが話していた。

この地域のリクガメって特別なの?
フミコのかけた魔法の影響で、
僕たちみたいな変異が起きることがあるんです。
変わった形状のカメがいるんですよ。
とリンリンが言った。


a2

そのとき、
トカゲ人間が姿を現した。


a3

リンリンが声をかけている。

リザードさん、お久しぶりですね。
おお、リンリンか。
それに人間と一緒のようだな。

こちらはルビーさんとフレイムさん。
アイスさんのお仲間で、
遠くの国から観光にみえたんです。
それにゴリラのシーザーも初めてでしたね。

ふむ。
アイスの仲間か。フミコの蘇生に成功したようだし、
どうやら君たちとは縁があるようだな。
ご存知と思うが、ここは私たちが愛好する
ペットの採集地域でね。
人間には無闇に立ち入ってほしくない場所なんだ。
君たちの生まれた星なんだから
私がいうのもなんなんだが。

お考えはわかりました。とルビーが言った。
でももちろん納得はできませんが。


a4

ふむ。
やっぱりそうだろうな。
と言ってリザードは笑った。

ルビーとやら。
君はなかなか頼もしい人ですな。

そうそう。
私はちょうどここに二人の客人を招いて、
さっきまで3人でカメの観察をしていたのだが、
あいにく、はぐれてしまったのだ。
これからジャングルを散歩するなら
探すのを手伝ってくれないかね。

わかりました。

この近くにいると思うんだが。
おや、もうおやつの時間だ。
そろそろ失礼するよ。


a5

上空に飛行物体が現れた。


a6

一行はリザードの後を
ついていく。


a7

飛行物体は中空に静止していた。
また明日ここに来るから
もし二人に出会ったらここで待つように
伝えてくれたまえ。
よろしく頼んだよ。
とリザードが言っている。


a8

リザードの姿が
吸い込まれるように消えると、
飛行物体は発進した。


a9

リンリンとシーザーは
無邪気に手を振っている。



解説)
続きます。
Posted at 20:22 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Sep 09, 2024

ぬか漬けなど

a1

サラたちの部屋。


a2

大きな容器が手に入ったので、
蕪のぬか漬けを作ることになった。

この位の大きさがないとね。
と言っている。


a3

広場の産地直売店から
岸芳樹が野菜を届けにきている。
白菜、きゅうり、ニンジンなど、
こちらは追加用のものだ。

a4

しっかり浸かってるはずよ。
などと言っている。


a5

蕪を大きな容器に入れたり、
すでに漬け込んであるものは、
取り出したり増量したり。


a6

作業はあっという間に
終了した。

出来はどうかな。


a7

岸芳樹も相伴に預かっている。

ご飯も食べたくなるわね。


a8

私は生で。
とメアリー=ケイトは言っている。


a9

ジェットはおにぎりを
結んでいる。



解説)
今回はガチャで入手した、
TAMA-KYU「ぬかづけフィギア」(全五種)
の、「01 かぶ」を紹介。


a91

漬物用の容器の大きさは現実にも様々なので、
1/6スケールの情景にもぴったりです。
糠床は合成ゴムでできていて変形可能。

一緒に並べてみた他の漬物容器、
胡瓜とニンジンの入っている小さい容器は、
ぷちサンプル「お母さんの台所」シリーズの、
「2.カツ丼&ぬか漬け」のもの。
白菜の入った樽は、
ぷちサンプル「おばあちゃんの家」シリーズの、
「3.おばあちゃんの味」のアイテムです。
Posted at 22:27 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Sep 08, 2024

休暇旅行へ そのご

a1

ここからがおすすめのジャングルです。
でもおすすめと言っても、
毒蛇や猛獣が少なくて、
やや平坦というだけで、
あるのはジャングルだけですよ。


a2

小川に沿ってしばらくいくと
先頭を歩いていたシーザーが
立ち止まって何か言っている。

赤い花を見つけた、
と言っているようだ。


a3

こんなところに咲くなんて、
一見彼岸花風ね


a4

これは薬草なんですよ。
と言いながら、
シーザーは花を摘んでいる。


a5

小川を外れて
一行は進んでいく。

お猿さんたちはタフだねえ。
と言っている。


a6

ちょっと変わった樹形の木立がある。
さすがアフリカ。
観光気分になってきたわ。


a7

なんかすごいところ。
もうこのあたりにいる筈ですが。
とリンリンが言った。


a8

シダの葉が揺れて、
草むらからリクガメが姿を現した。


a9

リクガメは人を
気にしていないようだ。



解説)
続きます。
Posted at 20:23 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Sep 07, 2024

休暇旅行へ そのよん

a1

みんなバナナを食べている。

リンリンは、
どこに住んでるの?

僕の家は、湖の洞窟にある古代遺跡の
近くのジャングルの中にあります。
ここからはかなり遠いし、
ふだん僕は人間の住む集落の近くには、
近寄らないんですが、このあたりは特別。

滅多に人も来ないしね。
この泉は、待ち合わせの場所にしているんだ。
とアーサーが言った。


a2

探検するのにおすすめの場所はある?

そうですねえ。
この近くの滝には行きましたか?

いえ、アーネストさんの診療所の前から
直接渓流を逆に下ってきたから。

渓流をさかのぼれば滝がありますが、
さらにその上流のジャングルがおすすめかなあ。
割に平坦で、リクガメが棲息しているんです。
薬草になる赤い花が群生しているので、
たまに薬草とりに行くんですよ。
ごく稀にリクガメの採集をしている
トカゲ人間と出会うこともある。
リザードともそこで知り合ったんです。

なるほどねえ。
レプテュリアンのことはアイスから聞いてるわ。
とルビーが言った。

じゃあそこに行ってみようよ。
このバナナ食べてから。
とフレイムが言った。


a3

一行は小さな泉を後にした。


a4

渓流の本流に出ると、
上流に向かっていく。

お猿さんは身軽なのねえ。
と言っている。


a5

アーネストの診療所の至近から、
さらに上流へ。


a6

お猿さんは身軽なのねえ。


a7

一行はとうとう滝までたどり着いた。

ここが佳奈たちが来たっていう滝。
さらにあの崖を登るのね。


a8

崖を登り切ると、
川筋は狭まって密林が迫っていた。

お二人ともタフですね。
とシーザーが驚いている。

あなたたちほどじゃないけどね。
と言っている。



解説)
続きます。
Posted at 20:25 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Sep 06, 2024

休暇旅行へ そのさん

a1

この近くで、どこか見どころはある?
すぐそこの渓流を遡ったところに滝があります。

そうそう、この前、佳奈たちも行ったはずだよ。
とアーネストが言った。

渓流にはいく筋も湧き水の支流が流れ込んでいて、
きれいな水の湧く小さい泉もあるんですよ。

小さい泉か。
とりあえずそこに行ってみましょう。


a2

一行は診療所を後にした。


a3

上流の滝の方角とは逆なんですが、
すぐこの川筋に合流する小川があります。


a5

一行は小川に沿って歩いて行った。

せせらぎって感じね。
ハヨー、ハヨーという鳥の声が聞こえる。


a6

ここが小さな泉です。


a7

水浴びすると気持ちよさそう。
この場所は、人に教えるのは初めて。
僕たちだけの秘密の場所なんです。


a8

僕たちって、誰?
とルビーが尋ねると、
岩陰からチンパンジーのリンリンが現れた。

それは僕のことですよ。
と言っている。


a9

シーザー。
いくら人間に好かれたいからって、
この場所に人を連れてきちゃダメだろう。

ああ。
この人たちは佳奈さんや
アイスさんのお仲間なんだ。

ほー。アイスさんのお仲間か。
アイスさんのおかげでフミコが蘇り、
グリーンマンもおとなしくなった。
お仲間ならしょうがないなあ。
私はリンリンと言います。
甘いバナナ食べませんか。

なんだか調子のいい
チンパンジーね。
とフレイムが言っている。

ああ、ありがと。
お腹空いてたところなの。
喜んでいただくわ。
とルビーが言った。



解説)
続きます。
Posted at 20:23 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Sep 05, 2024

休暇旅行へ そのに

a1

家に戻ったフラハは、
雑草の駆除を終えて休憩していた。


a2

すると鏡の扉から、
ルビーとフレイムが現れた。

おや、
君たちはベーカリーの。

私はルビー、隣にいるのはフレイム。
休暇で観光に来ました。


a3

私も先刻まで君たちの町にいて、
戻ってきたばかりだ。
鏡の扉は開放されているから、
君たちの他にも観光に来ている人が
いるかもしれないな。
それでどこに行くんだい。

特に当てはないんです。
ジャングルならどこでも。
その前に診療所のアーネストさんを
訪ねたいんですが。
預かり物を届けるんです。

アーネストの診療所なら、
集落の外れにあるよ。


a4

ルビーたちはフラハに道順を教えてもらった。

この日差し、アフリカっぽいね。
と言っている。


a5

二人が言われた通りの道を
歩いていくと、服を着たゴリラに出会った。


a6

あなたはシーザーでしょう。
佳奈から噂は聞いてるわ。
とルビーが言った。

おお佳奈さんのお知り合いですか。
どうぞよろしく。
お察しの通り私はシーザーです。
こちらには観光ですか。
よかったらご案内しますよ。

そうね。特に当てはないんだけど、
現地に詳しい人がいると助かるわ。
これからアーネストさんに会いに行くの。
一緒に行く?


a7

一行はアーネストの診療所に到着した。
アーネストは家の前で葉巻を燻らせていた。


a8

ふむふむ。
佳奈やアイスのお知り合いか。
それで、誰か怪我でもしたのかい。
バナナの食い過ぎで腹を壊したとか。


a9

実は佳奈からこのTシャツを
アーネストさんにお渡しするように
頼まれて持ってきたの。

なんとなんと。

古いTシャツだけど、
きっと喜んでくれるだろうって。


a91

ふむ。これは。
ちょっと着替えてこよう。


a92

なんだか照れるなあ。
よくお似合いよ。

しかし、と言って、
アーネストはちょっと顔を曇らせた。


a93

実はね。
とルビーが言った。
私たちもアイスも佳奈も、
みんなCGのメンバーなのよ。
だからあなたが国際的に
指名手配されていることは知っている。
でも組織に報告しないことに
決めているからご心配なく。
とルビーが言った。

アイスが魔法の扉を作ったから、
この集落にも観光客が来るようになる。
でもその人選は、フィギアの村の精霊たちと、
アイスが認めた人に限られているの。
扉を使って一般の人は流入してこないから、
この集落に潜伏している限り安全は保たれるわ。

なるほど、それは嬉しい話だが、
なぜそんなふうに私を守ってくれるんだい。

あなたが逮捕されると世界中で話題になる。
このマークの集落の存在や、
近くの古代遺跡の存在を公にしたくない、
っていうことが基本なんだけど、
まあ、考え方はいろいろあるのよ。
世界にはあなたのファンや支持者も多い。
そのTシャツが一つの証拠ね。



解説)
続きます。
Posted at 20:55 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Sep 04, 2024

休暇旅行へ

a1

ベーカリーではルビーたちが、
休暇旅行の相談をしていた。


a2

リゾート地でぼんやり過ごすより、
運動不足だから探検がいいわ。
だったら、アフリカの
マークの集落にすれば?
魔法の扉ですぐ行けるのよ。


a3

じゃあそこに決定。
あと私の留守中お店どうするの?
休業するわけにはいかないでしょ。


a4

マンゴー亭の誰かに頼めないかな。

私、今呼んでくるわ。
と側で聞いていた舞が言った。


a5

マンゴー亭から
小池恵子がやってきた。
小池恵子はマンゴー亭の発案者で、
今はシェフの丹下健太と共に、
主に調理場を切り盛りしている。

そろそろかき氷の販売も終わりだし、
手が空くから私が代わりにパン作るわよ。


a6

この帽子かぶってみたかったの。
と言っている。


a7

すぐに出発することになり、
フレイムも旅支度に着替えてきた。

それってCGの戦闘服じゃない?
ジャングルに分け入るんでしょう。
こういうのが一番。


a8

佳奈が、ドルフィンから出てきた。
フレイム先輩。
マークの集落に行くなら、
このTシャツを診療所のアーネストさんに
届けて欲しいんですけど。

いいけど、それなんなの?

ドルフィンの倉庫で見つけたんです。
アーネストさんが気にいると思って。

ふーん。


a9

ルビーとフレイムは、
魔術劇場に向かった。

出入り口の管理をしているエヴァと
話している。


a91

フレイムさんは初めてですね。

ハリーに会いにきたわけじゃないの。
突然だけど、
アイスの作った魔法の扉を使って
二人でアフリカに旅行に行くのよ。
何か問題が?

いえいえ、どうぞお通りください。



解説)
続きます。



Posted at 20:24 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Sep 03, 2024

ゼリーを食べる

a1

サラたちの部屋。


a2

今日も雨模様だね。
気分転換に、
ゼリーでも作ろうか。


a3

さっそく
準備が始まった。


a4

このフルーツミックスの缶詰も使おう。


a5

手際よく並べていく。


a6

ベースは砂糖とゼラチン。
ジュースや果汁など。


a7

たっぷり回しかけて、
あとは冷蔵庫で冷やすだけ。


a8

食器を並べて
しばしの待ち時間。

雨は降ったり止んだりね。
と言っている。


a9

ゼリーが食べ頃になった。


a91

小さいアルミのゼリー型が
三つしかなくて。


a92

しょうがないわね。
私はこれでいいわ。
と言っている。



解説)
続きます。
Posted at 20:22 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Sep 02, 2024

雨あがりの広場で

a1

広場は天候不順なので
割と閑散としてる。

September rain rain
9月の雨は優しくて~🎵
という歌声が流れている。


a2

何してるの?
久しぶりに晴れたから
雨傘を干してるのよ。

傘があると
何も思いつかない時に便利だね。
そうかもね。


a3

ベーカリー前で。
コンテストの参加賞のチョコレートは、
もう品切れ状態のようだ。


a4

ルビーいつも店番大変でしょう。
コンテストも終わったし、
しばらく休暇でも取ったら?
とアイスが言っている。


a5

店番って言っても
ほとんどここに座ってるだけなんだけどね。
そうねえ。調理してるフレイム誘って、
旅行にでも行ってくるか。


a6

マンゴー亭では、
アフリカから来た3人が
相変わらず肉まんを食べていた。


a7

フラハさんはこれから
どうなさるの?
雑草も刈らないといけないし、
一旦我が家に戻りますよ。
アフリカと言っても魔法の扉があるので、
すぐ隣みたいなものですなあ。


a8

ダリオさんは?
私はもう少し観光を楽しんでから
帰るつもりです。


a9

あ、そうそう。父のハリーが近いうちに、
魔術劇場で夜会をやりたいって言ってたの。
魔族の仲間にフミコを紹介したいのよ。
ダリオさんも別世界で魔法使いだったんでしょう。
よかったら出席しない?

それは嬉しいですな。喜んで。

日にちが決まったら連絡するわ。
あ、もちろんフラハさんもね。
マーリンも呼ぶから。


a91

幼なじみのマーリンにも会えるのか。
それは楽しみだなあ。


a92

魔術劇場で夜会ですって。
また肉まんの大量注文が来るわね。
とアンナとレイが話している。



解説)
続きます。
Posted at 20:30 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Sep 01, 2024

コンテストの結果発表

a1

早くも9月になった。
今日は月替わりの
コスプレコンテストの優勝者発表の日。

不安定な天候のなか、
参加賞のチョコをもらおうと、
広場は住民たちで賑わっている。


a2

アイスは参加賞のチョコのケースを
テーブルにセッティングしている。

優勝者を決める選考会は
いつもながら長引いて、
ルビーはまだ思案しているようだ。


a3

今回は新規登録した
有力候補が3人もいるから悩ましいわねー。
と選考委員のマンスフィールドさんが言っている。


a4

マンゴー亭では、
その候補と目されているフラハとフミコとダリオが
肉まんを食べていた。

みんなそれぞれユニークだし。
くじ引きで決めちゃう?


a5

しばらくのち、
決断したルビーはマイクを持って立ち上がった。

みなさん。
8月のコスプレコンテストの優勝者を発表します。
厳正な審査の結果、
優勝者は、防災頭巾を被ったナオミさんに
決定しました。


a6

あなたみたいよ。
えー、信じられない。
と言っている。


a7

ナオミは万雷の拍手と歓声に迎えられて、
トロフィーを受け取っている。


a8

嬉しいけど、謎だわ。
ジェニーもおんなじ格好してるのよ。
と言っている。

舞は空模様を気にしているようだ。


a9

今回はコスプレコンテストの原点に戻って、
みんなに防災意識を高めてもらおうと思ったの。
ジェニーは過去に一度受賞してるからね。


a91

授賞式が済むと、
住民たちは参加賞をもらうために
長蛇の列を作っている。


a92

けっこう意外な結果だったわ。
とアンナが言っている。
誰にするか選考会では決まらなくて、
結局決定は私に任されたんだけど、
ナオミの着てた
オンボロのランニングシャツが、
懐かしくなっちゃって。



解説)
続きます。

a93

ナオミの着ているランニングシャツは、
当時、端切れを裁断して、
布用の接着剤を使って作り、
アクリル絵の具で彩色して、
前面に「BARBIE GIRLS 2005」
というロゴをアイロンプリントしたもの。
オンボロになっていますが、
今思うと懐かしい。
過去の画像でフィギアが着ているシーンを探しても、
見つかりませんでしたが、
同じ仕様の「KIKIHOUSE」というロゴのものを、
2006年8月12日「島旅行の思い出」で
たまきが着ています。
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Aug 31, 2024

駆け込みの登録

a1

翌日の雨上がりの広場。


a2

台風は熱帯性低気圧に変わったのかしら。
動きが相当遅いみたいね。


a3

ダリオはモモコに勧められて
コスプレコンテストの参加登録に来たのだった。

8月の結果は明日発表なので、
ギリギリの参加になる。


a4

ダリオさんですね。
観光でお見えなんですか?


a5

そうなんです。
アフリカから来ました。

普通の格好だけど、
私も参加しますから。
とモモコも言っている。


a6

フラハもヴィヴィアンに勧められて、
コンテストの参加登録に来ていた。

登録すると参加賞に
手掴みでチョコレートがもらえるなんて、
大盤振る舞いですなあ。
と言っている。


a7

フミコもたまきに勧められて
参加登録にやって来ていた。

最近、新規の参加者が
ほとんどいなかったけど、
今月は選ぶのが楽しみだなあ。

私もこの格好で参加するからね。
とたまきが言っている。


a8

広場では、初対面の人や
顔馴染み同士で会話が盛り上がっている。

どこかでお会いしましたか?
忘れちゃったなあ。
最近物忘れがひどくて、
昨日の晩御飯なんだったか思い出せないんですよ。
それはいけませんね。
私はコロッケとポテトサラダとワカメの味噌汁です。


a9

ジェニーとナオミも
コンテストの参加登録にやってきた。


a91

みんな駆け込み登録してるのね。
誰が優勝するのかしら。
ほとんどコスプレコンテストっていう
感じじゃなくなってるけど。
などとアンナとレイが話している。



解説)
続きます。
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Aug 30, 2024

2階での会話 そのに

a1

舞が加わって、
おやつタイムの会話は続いていた。


a2

小人たちの話かー。
小人の登場する西欧のお話って沢山あるわね。
白雪姫とか親指姫とか親指トムとか。

小説だったら「ガリバー旅行記」とか
「床下の小人たち」とか。
とニッキーが言った。


a3

この国にも沢山あるのよ。
そもそも神話には神様として登場するし、
コロボックルや一寸法師も有名ね。
でもみんな空想の産物だと思っている。


a4

いろんなものや動物たちに宿る
精霊みたいなものは、
いるかもしれないと思うけど、
人と関わりなく生きている
小人たちの存在は思いつかないっていうことかしら。


a5

そういう風に言えるのかどうか。
でも私がそういう狐の精霊だからわかるの。
人は自分たちの都合のいいものに
小人たちのお話も作り替えてきた。



a6

たしかに昔話の最後には
小人が人間の大きさになって
実は魔法にかけられていただけでしたとか、
打ち出の小槌で体が大きくなって、
めでたしめでたしというお話が多いわね。

それは当然と言えば当然のことなんだけどね。
子供がいない夫婦が神さまや魔法使いに願って
小人を授かるという話みたいに、
昔話はどこまでも人間の世界の事情の話だから。
それとは別に小人たちはいるんだけど、
モモコさんのお友達のジェーンや、
かってのダリオさんみたいに
巨人たちの世界でひっそりと暮らしている。
同じことがこの世界にも言えるんだけど、
見つけても、そっとしておいてあげるのが一番ね。
と魔子が言った。


a7

ベランダに通じるドアから、
ペギーが駆け込んできた。
洗濯物干してたら雨が降り始めちゃって。


a8

これは大変。
急いで取り入れなくちゃ。


a9

雨台風が接近してるんだって。
こういうところはリアルタイムなんだね。
などと話している。



解説)
続きます。
Posted at 20:25 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Aug 29, 2024

2階での会話

a1

ドルフィンの二階で
おやつタイムの会話は続いていた。


a2

お年の差が200年とは随分ですな。

変身して人の姿をしているけれど、
私たちは実は狐の姉妹なの。
お姉さんはとても長生きなのよ。
と今子が言った。

これはこれは。
お二人は狐の精霊でしたか。
私はこれでも元いた世界では、
魔法使いだったんですが、
とても見抜けなかったなあ。
とダリオが言った。

狐であることは、
一応内緒にしているんですが、
この子がおしゃべりなので、
この界隈では公然の秘密になっています。
私たちは何百年も近所のお稲荷さんの
裏手に住んでいましたが、
環境がすっかり様変わりしてしまい、
とある成り行きで、一昨年の2月から、
この部屋に同居させていただいています。
と魔子が言った。


a4

あれからもうそんなになるのね。


a5

お話をお聞きしていると、ダリオさんは、
全てが6倍の巨人たちの世界からいらっしゃったとか。
その世界ではいわば小人族だったということですね。
私の記憶や経験では、
この世界にも小人族って呼べるような
人たちもいるんですよ。

ほーそれは、興味深いですな。

それって人形やフィギアの精霊のことでしょう。
と今子が言った。

紛らわしいけど、そういう人たちとは
別種族なの。


a6

その時、広場の水撒きを終えた
今井舞が部屋に戻ってきた。

水羊羹、水羊羹と言っている。


a7

舞の分、
ちゃんと取り分けておいたわよ。
と魔子が言っている。


a8

部屋の隅のテーブル付近で。


a9

ぬいぐるみや人形に紛れて、
小人たちが話を聞いていた。


あれ私たちのこと言ってるの?
バレてたのかなあ。



解説)
続きます。

駒井魔子が登場したのは、
2022年2月15日で、
稲荷神社のボランティア巫女をしていた魔子は、
文学青年と知り合い、紆余曲折を経て、
2月25日からドルフィンの2階で
暮らすことになります。
小狐だった今子が人間に変身して
一緒に暮らし始めるのは4月5日以降のこと。
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Aug 28, 2024

ゴミ箱と水羊羹

a1

今日も暑くて
広場は割りに閑散としていた。


a2

リタがドルフィンの倉庫から
出してきたゴミ箱を抱えている。

すごい力持ち。
とすずが言っている。


a3

それどうするんですか。
高台の休憩所に、
これから設置しに行くのよ。


a4

ベーカリーのテーブル席では
アイスとルビーが話していた。

高台の休憩所にゴミ箱を置くっていう話。
ついさっき思いつきで決まったのよ。
暑いけど何かしようって。
何かしないとね。


a5

ドルフィンの二階に同居している
魔子と舞が話している。

もうおやつの時間じゃない?
私これから水撒きするから後で行くわ。
水羊羹一つとっておいてね。


a6

魔子がドルフィンの二階に戻ると、
おやつタイムは始まっていた。
モモコと広場で見かけた男性が来ているようだ。


a7

テーブルには
おやつの水羊羹が並んでいる。

これは涼しげですなあ。
日本の夏はこれでしょう。
などと話しているのが聞こえる。


a8

今子は魔子をダリオに紹介している。

こちら私の姉の魔子です。
すごく年が離れてるんですけど。

ほーこれはどうも。
私はダリオといいます。
今子さんとあまり変わらないようにお見受けしますが。
失礼ですがどのくらい年の差が。

200年くらいかしら。


a9

その頃高台の休憩所では、
リタがゴミ箱の設置を終えていた。


a91

江本友恵は
さっそくコーラを飲み干している。


a94

これがやりたかったの。
と言っている。


解説)
続きます。
思いつきで進んでいますが、
今回は話の流れとしては
8月25日からの続きです。

ゴミ箱は、
ぷちサンプルの
「本日開店コンビニ専用ディスプレイ」の
「9.ごみ箱(ビン・カン)」を使用。
水羊羹のアイテムは、
ぷちサンプルの「和*sweets」の
「4.ひんやり*羊羹」を使っています。
Posted at 20:22 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Aug 27, 2024

防災の備え そのに

a1

防災グッズはバッグに収納されている。


a2

毛布もあると便利だね。


a3

それはなに?
防災頭巾よ。
サラに作ってもらったの。


a4

シングルバーナーも
あると便利だよ。


a5

二人は防災頭巾を
試着している。


a6

なにしてるの?
バーナーの性能を試しているんだ。


a7

試すのは大事ね。


a8

ラーメンまた買っておかないと。



解説)
続きます。
Posted at 20:21 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Aug 26, 2024

防災の備え

a1

ジェニーたちの部屋。
今日も暑いね。


a2

でも台風が北上中だって。


a3

地震の注意報が出たりして
最近騒がしいわね。
毎日暑いだけだけど。


a4

備えは大切だよ。
うちでも防災グッズを整えようよ。


a5

ということで
ジェニーたちは、ネットのサイトを参考に
防災グッズを集めてみた。


a6

なんと言っても食料品。
インスタント食品や保存食や缶詰。
ライターや鋏などの日用品も。


a7

飲料水や、医薬品、
懐中電灯も役に立ちそうだ。


a8

ラジオと
作業用の手袋も。


a9

これもバッグに入れとく?
なにそれ。


a91

役に立つのかなあ。



解説)
続きます。
Posted at 20:24 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Aug 25, 2024

サラたちの部屋とベランダ

a1

サラたちの部屋では、
レモンジュースを飲んでいた。


a2

それってかなりの器用さだね。
ここまでは軽く剥けるのよ。


a3

ケイはハンドジューサーを使っている。


a4

暑いと手軽なことをやりがちなのね。
と言っている。


a5

ベランダでの会話は続いていた。


a6

トマソンさんは、
茶運び人形を作ってから
最近、作品発表してないでしょう。

そうですね。最近は6倍世界の夢を見ることも無くなって、
あの世界のこともだんだん忘れかけているんです。


a7

茶運び人形を模した作品を作って、
自分でやりたいことを見つけた気がして、
次はまた大きな人形を作ろうと考えているんですが、
なかなかイメージが固まらなくて。


a8

それは楽しみですな。
もし作品のヒントを探したくなったら、
いつでもご案内しますよ。
とダリオが言った。


a9

ちょっとお話中すみません。
洗濯物干していいですか。
と言いながら、
ペギーがドアから顔を出した。

あ、どうぞどうぞ。

外は暑いし、よかったら部屋の中に。
ちょうどおやつの準備をしていますよ。

僕は魔術劇場に戻ります。
なんか創作意欲が湧いてきた。
とトマソンが言った。

私もベーカリーに戻るわ。
このところ随分お店を空けたから、
ルビーと交代しないと。
とアイスが言った。


a91

モモコとダリオは、
ペギーの言葉に甘えて、
ドアからベーカリーの二階に移動し、
アイスはベーカリーに帰っていった。

ペギーはさっそく
洗濯物を干している。



解説)
続きます。
暑いので今回も手軽に。

レモンや、レモンピールの入った瓶は、
ぷちサンプルの
「ヨーロッパのおばあちゃん自慢の料理」の
「6.レモンピールたっぷりハニーレモン」
のアイテムを使っています。
Posted at 20:30 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Aug 24, 2024

ベランダとデジャで

a1

ベランダに行ったモモコは、
ダリオに紹介された。


a2

ダリオさんは、巨人たちの住む、
全てが6倍の世界から来たそうよ。

ということは。

モモコのお友達のジェーンのお仲間らしい。

ふーん。
ジェーンから、過去のいきさつは
聞いたことがなかったけど。


a3

私たちの種族はみんな少人数で散らばって生きている。
大きなグループだと巨人に発見されやすいからね。
そのジェーンという人も、そんな一つの家族の
生き残りじゃないかなあ。


a4

両親がいなければ生まれてこないものね。
でもね。ジャンさんのジオラマの村には
ジェーンそっくりのフィギアの精霊もいるのよ。
ジェーンも向こうの世界で生まれた
フィギアの精霊かもしれないでしょ。

ふむ。
確かに向こうの世界にも精霊はいるけど、
借り物暮らしはしてないと思うよ。


a5

広場では、たまきとフミコが話していた。

暑くなってきたわね。魔術劇場に戻る?
デジャに行ってみようよ。
あそこも冷房効いてるから。


a6

たまきはデジャの入り口で、
ヨシフに、ここは会員制なんです。
と言われている。

ヴィヴィアンに会いにきたの。
とたまきは言った。

あ、そうでしたか。
どうぞお通りください。


a7

二人は店内に入った。

おや、珍しいわね。
フミコを案内してるんだって?

そうなの。
フミコ、この店は初めてだから。


a8

こちらはフラハ。
フミコの故郷のジャングルの集落から
遊びに来てるのよ。
よろしく。

そのソフトクリームは?
ああ、ベーカリーで無料配布してたの。
もう品切れみたい。
う。


a9

フミコ、
この町は気に入った?


a91

ええ、とても。
郊外は緑豊かなのね。



解説)
暑さのせいで
進行も遅くなっています。
Posted at 20:31 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Aug 23, 2024

かき氷と広場

a1

ジェニーたちの部屋では、
かき氷を作っていた。


a2

マンゴー亭でもかき氷を
始めたみたいだけど、
やっぱり家でゆっくり食べたいわね。


a3

これってほのかに
大人の味が。


a4

苺のリキュールを使ってるのよ。


a5

その頃、広場では。


a6

前回好評だったので、
今日もベーカリーでソフトクリームの
無料サービスが提供されていた。


a7

郊外の散歩から、
たまきとフミコが帰ってきた。


a8

今日も暑くなりそうね。
郊外から歩いてきたの?
ええ、朝のうちに堤防を散歩してたのよ。
向日葵はもう終わってた。
それ美味しそうね。

これ、ベーカリーの無料サービスなの。
まだ間に合うよ。


a9

モモコも無料サービスの噂を聞いて、
ソフトクリームをもらいにきていた。


a91

あ、モモコ。
ちょうど呼びに行こうって思ってたんだ。
アイスが紹介したい人がいるから
ベランダに来て欲しいって。
と佳奈が言った。


a92

紹介したい人って誰だろう。
と思いながら、
モモコはベランダを見上げている。



解説)
続きます。

ジェニーたちの部屋の、
かき氷は森永乳業の「みぞれ(いちご)」
を使いました。
苺ラベルの瓶は、リーメントのぷちサンプル、
「Bar Tiny~おいしいカクテルを作ろう」の
「アプリコットとストロベリーリキュール」から。
Posted at 20:22 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Aug 22, 2024

堤防の散歩

a1

たまきとフミコは、
アルのビストロで夕食を食べ、
その夜はジャンの家に泊まって、
翌朝になった。

暑くならないうちに、
堤防のあたりを散歩しましょう。



a2

ここは桜並木が綺麗で、
春にはお花見に来るのよ。


a3

河川敷は公園になっているの。


a4

ここは人工の小さな池。


a5

向日葵は種の重みで、
みんな頭を垂れている。


a6

この小川は迷いの森から流れてくるの。

あそこに誰か。
ああ、あれはグリーンマンと言って、
私を見守ってくれてるの。
気にしなくていいのよ。


a7

草原に出ると、
オートバイが走っていた。

あ、あれは、トムだ。


a8

トムはたまきたちに気がついて、
大きく旋回して近寄ってきた。

トム久しぶりね。
そうだね。広場には滅多に出かけないから。

こちらはフミコ。
町に来たばかりで郊外を案内してるの。
そうなんだ。
ここは住みやすいところですよ。
僕も去年この町に遊びに来て、
住み着いちゃったんです。


a9

変わった乗り物に乗ってるのね。
それ空も飛べるの?
とフミコが尋ねた。

え。

あ、フミコはオートバイ見るの
初めてなのよ。


a91

二人はトムと別れて、
堤防の道に戻ってきた。

彼、結構ハンサムだったでしょう。
有名な映画俳優の若い頃に似てるって噂なの。
去年のコスプレコンテストでは、
そっくりさん特別賞を受賞したのよ。

映画俳優って?
あ、それも通じないか。



解説)
続きます。

今回は近所の堤防まで出かけて、
撮影した実写画像との合成です。
トムは2023年の5月25日に初登場。
6月1日にコンテストで受賞したり、
6月17日にエリスやボニーと
一緒にツーリングしている姿が見られますが、
それ以来、ほぼ1年ぶり。
思いつきの登場になりました。
Posted at 20:50 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Aug 21, 2024

広場の打ち水

a1

広場ではドルフィン工房のマスターが
工作をしていた。


a2

倉庫にあった古い竹の節の部分が
切り出されている。


a3

それ水撒くのに必要なんですか。
雰囲気が大事だからね。


a4

取手をつけると、
柄杓の完成だ。


a5

今井舞がさっそく
広場に打ち水をしている。


a6

ひととき、広場に
涼風が吹き抜ける。


a7

鈴木すずと池谷圭が
はしゃいでいる。

わー涼しいね。
私もやっていい?


a8

ベランダでは、
ダリオとアイスとトマソンが
話していた。


a9

その部屋には、
ジェーンっていう人が
住んでいたんですよ。
ターザンみたいに俊敏で。
借り暮らしをしてるって言ってました。


a91

それは間違いなく私の同胞だね。
その世界で、私たちの種族は
随分昔にみんな散り散りになってしまった。
みんな独立心が強いこともあって、
大抵家族単位で、巨人たちの住む家の
床下などで、ひっそり暮らしているんだ。

見つかると捕らえられたり
殺されちゃったりするんでしょう。
巨人の来ない場所に住めばいいのに。

そういう連中も稀にはいるけど、
そうなると毎日が過酷な自然との戦いになる。
想像してごらん。
襲ってくる鳥も獣も昆虫も、みんな巨大なんだよ。
巨人の住む家に間借りする方がまだ安全なんだ。
食べ物を借りられるのもそうだけど、
中には人形やフィギアが好きな巨人もいてね。
サイズがぴったりの衣料品も借りられる。
私の着ているこの軍服も、
1/6サイズのフィギアからの借り物なんだよ。

借りもの暮らしも奥が深いのね。
とアイスが言った。



解説)
続きます。
Posted at 20:22 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Aug 20, 2024

郊外巡り

a1

たまきとフミコは
マンゴー亭を出て、
広場の外れまで来た。

行きたい場所を思い浮かべて。
じゃあ、郊外の森林公園に。

たまきが森林公園のイメージを
思い浮かべると、
フミコは呪文を唱えて、
鏡の扉を出現させた。


a2

二人が扉を抜けると、
そこは森林公園前の道端だった。

これって超便利。
あ、ソローさんだ。


a3

毎日暑いですねー。
お散歩ですか。
気をつけないと熱中症になりますよ。
と公園管理人のソローに言われている。


a4

公園の日陰のベンチでは
やはり管理人のエドワードがうたたねしていた。


a5

変わったオブジェね。
路上アーティストのトマソンさんの作品で、
ネジを巻くと動いてお茶を運ぶのよ。
ここから歩いて近いから、
次はジャンの家に行きましょう。


a6

二人はジャンの住むバービーハウスに到着した。
あ、たまき、こんにちわ。
ジャンならその辺にいるわよ。
と、トマトを収穫していたナタリーが言っている。


a7

ジャンは庭のジオラマで
フィギアの撮影をしていたようだ。

こちら、フミコさん。
町に来たばかりで、今日は郊外を案内してるの。

ほう。噂の人だね。どうぞよろしく。
この前、アイスがマークという人を連れてきて、
二人で一晩泊まって行ったんだが、
その時に、お話をいろいろ伺ってます。

アイスたち、
ジオラマの村にも行ったんでしょう。
フミコは初めてだし、私たちも行こうよ。
とたまきが言った。


a8

3人がジャンの倉庫の扉を抜けると、
ジオラマの村のリリスの酒場の二階に出た。
さっそく一階に降りて、
酒場を見て回っている。


a9

こちらは、ジョー軍曹とギルダよ。
こちらはフミコ。
これはどうも。実は僕アフリカのジャングルに
佳奈とエルザの3人で、
行ってきたばかりなんですよ。

いいなあ。
とたまきが言った。


a91

二人はざっと村を見て回ることにした。
やあ、たまき。
ビール飲む?
と兵士たちが陽気に声をかけてくる。


a92

たっぷりジオラマの村を見物して、
ジャンの家に戻った一行は、
夕暮れ時になったので、夕食を食べに、
近くのアルのビストロに行くことにした。


a93

たまきはビストロでアルバイトをしている、
キサラとシオンにフミコを紹介している。

夏なので特別メニューの
冷やソーメンもあるわよ。
と言われている。



解説)
続きます。
Posted at 20:25 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Aug 19, 2024

マンゴー亭での会話

a1

たまきとフミコは
アイスたちと同席して、
朝食を食べることにした。


a2

今、佳奈から、鳥探しの探検の話を
聞いていたところなんだ。


a3

その鳥の正体は巨大な九官鳥だったの。
ダリオさんの話によると、
マークみたいに砂漠の嵐の中から出現したんだけど、
元はダリオさんが住んでいた世界に
いたんだって。


a4

そうなんですよ。
私が住んでいた世界では、
私たちの6倍の背丈がある
巨人たちが支配していて、
全て自分たちの都合に合わせて、
勝手に自然を改変するものだから、
他の生き物には被害甚大なんです。


a5

私たちの6倍のサイズって言えば、
あの世界とそっくりね。
私、モモコと二人で迷いの森に探検に行った時、
みたことがあるの。その時は、
透明な壁があって入り込めなかったけど。
モモコは何度か行ってる筈よ。

モモコはね。もう随分前(14年前、2010年9月2日)から、
6倍サイズの世界の夢を見て、
そこに暮らすジェーンっていう女性と
友達になったって言ってたの。
最初は面白い夢が見られていいなって、
思っていたけど、
モモコはその世界の実在を確かめたくて、
アイスと二人で迷いの森に探検に行ったのね(2021年5月6日)。
でもその続きがある。
魔術師のハリーさんがこの町にやってきてから、
ハリーさんに作ってもらった鏡の扉で、
モモコはその世界に遊びに行けるようになったのよ(2022年5月14日)。
それから、
路上アーティストのトマソンさんも、
夢の中で全てが6倍のサイズの世界に行って、
作品のヒントにしてたんだけど、
トマソンさんが眠り込んで戻って来れなくなった時、
モモコが助けに行ったの(2024年4月17日)。
とたまきが言った。

詳しいのね。
とフミコが言った。

ふむ。この世界の魔族にも、
私のいた世界との通路が作れる者がいたのですな。
そんな交流があったとは知らなかった。
モモコさんという人にも会ってみたいが、
トマソン氏の作った作品というのは、
見ることができますか。
とダリオが言った。

捨てちゃってなければ、
ドルフィンの倉庫に保管してある筈だけど。
見に行きますか?


a6

アイスと佳奈とダリオは
ドルフィンのある広場に
出かけて行った。
残ったたまきとフミコが朝食を続けている。


a7

肉まんを食べた後は、
さっぱりしたデザートにかき氷は最高ね。
さて、これからどうしようか。
あと案内してないのは郊外だけだけど、
散歩するのは暑すぎるし。


a8

移動するにはいろんな方法があるのよ。
広場であまり魔法は使いたくないから、
店を出てちょっと歩いてから、
扉を使いましょう。


a9

アイスはドルフィンでリタに声をかけて、
トマソンの作った作品を
倉庫から運んできてもらった。


a91

これ缶類のゴミ回収に出し忘れて
残ってたの。
と行っている。


a92

ふむ。よくできてるなあ。
あちらの世界ではありふれた缶ですが、
ここで見ると巨大でインパクトがある。
視覚の効果ですかな。


a93

僕の作品を褒めてくれる
人がいるとは嬉しいなあ。
と言いながらトマソンが現れた。



解説)
続きます。
Posted at 20:22 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Aug 18, 2024

夏の便りなど そのに

a1

サラたちの部屋。
今日も暑さがぶり返している。

Smmertime, time, time,
Child, the living’s easy🎵


a2

室内には、
ジャニス・ジョプリンの歌う、
「サマータイム」が流れていた。


a3

何みてるの?
ジェニーからの写真葉書。


a4

早速のお返事よ。
この写真、
葉書をもらった喜びが伝わってくるね。
そうな風に見える?


a5

たまきとフミコは
マンゴー亭に朝食を食べに、
広場にやってきた。


a6

あら、先客がいるみたい。


a7

アイスと佳奈とダリオが、
テーブル席で話している。

それがそんなに。
いやそんなふうには。
などという会話が聞こえる。

a8

おはよ。
もうお昼だよ。
やあ。
あ、こちらはダリオさん。
こちらはたまきと。


a9

フミコと言います。
どうぞよろしく。


a91

こちらこそ。
驚いたな。
すごい人に出会えたようだ。
とダリオは言った。



解説)
続きます。
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Aug 17, 2024

夏の便りなど

a1

ジェニーたちの部屋。
昨日の台風はそれて、
ほぼ影響はなかったようだ。


a2

何見てるの?
サラからの写真葉書。


a3

すぐ近くに住んでるのにね。
暑くて暇だと、
こういうの出したくなるのよ。


a4

昨夜深夜に帰ってきた
たまきとフミコが起きてきた。

昨晩は探偵事務所で、
酒盛りになっちゃって。
と言っている。


a5

サラたちの部屋や、
喫茶店ペンギンや探偵事務所、
この界隈は紹介したから、
今日はどうしようか。

もうお昼近いけど、朝ごはん食べに、
広場のお店に行きましょうか。

そうだね、
とりあえずマンゴー亭で肉まんでも。



a6

マークの集落では。

豹変亭で飲んでいた一行は、
マークの家まで佳奈のリュックを取りに戻って、
そのままマークの家に泊まり、翌日、
ずっと留守にしていたから、
庭の草むしりをするというマークと別れて出発した。


a7

佳奈たちは、
鏡の扉のあるフラハの家にやってきた。

フラハさんいないね。
町に出かけたままみたい。


a8

鏡の扉を抜けて、
魔術劇場へ。

花を生けていたデュアンに
挨拶している。


a9

佳奈たちは広場に戻ってきた。

あ、アイスだ。

鳥探しの冒険どうだった?
と聞かれている。


a91

こちらは、ダリオさん。
ジャングルの奥地で一人で暮らしてるの。
雷雨に遭って一晩泊めてもらったのよ。



解説)
続きます。
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Aug 16, 2024

向日葵など

a1

高台の休憩所では、
ルルが向日葵に水をやっていた。


a2

これから風が強くなりそうよ。
台風が近づいているんだって。
と粉川和歌子が言っている。


a3

この向日葵どうしたの?
倉庫の隅に咲いてたの。
随分貫禄だね。
毎年咲いてるみたいだからね。
そうなのか。


a4

その頃、滝を見物したマークたちは
集落の中心部に戻っていた。

ここは豹変亭。
一緒に遺跡探検に行った
アンドレアたちがやっている、
集落で唯一の食堂兼飲み屋なんだ。

アンドレアにも会いたいし、
フラハの家の扉から町に帰る前に、
休憩して行こうよ。


a5

今日はビール三昧ね。
暑いから必然だねー。


a6

あれ、あそこにいるのは、
ダリオさん?


a7

佳奈が声をかけると、
やあやあ。
と言いながら、ダリオが
テーブルにやってきた。

あれから、
君たちが僕と同じように
魔法の扉で、遠い世界から
移動してきたという話が気になってね。
この集落に来てマークの家を
訪ねたんだが、アマンダという娘さんが
みんな滝の見物に行って留守だというので、
教えてもらったこの食堂で
油を売っていたというわけだよ。


a8

そうだったんですか。
それはちょうどよかった。
私たちそろそろ町に戻ろうと、
思っていたところだったんです。
とりあえず、
こっちのテーブルで
一緒に軽く飲みましょう。
あとで町にご案内しますよ。

それはありがたいな。


a9

ローズとアンドレアが
話している。

ねえ、あのグループ、
佳奈とマークの友達らしいけど、
魔法の扉を使って移動したとか
移動するとか言ってたわ。
誰か魔族なのかしら。

どうなんでしょうね。
さっき佳奈に紹介されたけど、
二人はフィギアの精霊らしい。
精霊でも魔族でも、
お客さんが増えればいいんじゃない?

あなた変わったわね。



解説)
続きます。
Posted at 20:25 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Aug 15, 2024

海辺へ そのに

a1

両側から波が打ち寄せている。
砂州のような地形の道が続いている。

歩いて向こうの島にいけるんですか。
もちろんよ。


a2

ここ面白すぎる。


a3

モモコたちは
寄せる波と戯れている。

みんな子供の頃に帰った気分ね。
大人になっても、
心ってそんなに変わらないのよ。


a4

これって、
事務所の窓から見えた風景じゃない?
あの入道雲の形覚えてる。
とモモコが言っている。


a5

なんの建物だろう。
あれはきっと休憩所よ。
ちょっと歩いて疲れたでしょう。


a6

誰もいないみたいだけど。
見晴らし良さそう。


a7

これがたまきの心の中の世界だって、
信じられないなあ。
本当は心の外に世界なんてないのよ。
また世界観が壊れるようなことを。


a8

たまきとモモコは
海辺で遊び続けていたが、
やがて夕暮れが。


a9

たまきは夕陽を眺めていた。


a91

暗くなるから
そろそろ戻りましょう。
今、扉を作りますから。
と言ってフミコは手をかざした。


a92

扉を抜けて一行が探偵事務所に戻ると、
日が暮れて夜になっていた。

あー楽しかった。
とたまきが言っている。


a93

私も楽しかったけど、
あんな異世界体験は初めてで驚きだった。
これは飲まずにはいられないわ。
とエリスが言っている。

日本酒だね。
もちろん。

リアルな夢を見ただけだと思えば、
世界観壊れないわよ。



解説)
続きます。
Posted at 20:21 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Aug 14, 2024

海辺へ

a1

飲み会と化した
探偵事務所での懇談は続いていた。


a2

今日もいい天気。
今年の夏はひときわ暑いわね。
海にでも行きたいなあ。


a3

フミコ、
海って見たことあるの?
あるわよ。鏡の扉でどこにでも行けたから。
でもそれは遥か昔のこと。
ちょっと海辺の風景を思い浮かべてみて。


a4

たまきが海辺の風景を
思い浮かべると、窓の外に
海が見えた。

あらら。


a5

そうそう、
あんな感じだった。

これって魔法なんですか。
そうね。幻影。

白雲が湧き、気持ちよさそうに
椰子の葉がそよいでる。


a6

行ってみますか。
と言ってフミコが席を立ち、
部屋の隅に行って呪文を唱えると、
鏡の扉が現れた。

わーすごい。
行けちゃうの?


a7

たまきとモモコが鏡の扉を抜けると、
そこは海辺の波打ち際だった。


a8

探偵と鷲尾翠とエリスも
後に続いた。

ここはどこだろう。
この海は太平洋?


a9

ここはたまきの心から生まれた、
海辺のイメージの世界。
鏡の扉で別の場所に移動したわけじゃないのよ。



解説)
続きます。
Posted at 20:23 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Aug 13, 2024

探偵事務所での会話

a1

探偵事務所では
飲み物がコーヒーから
ビールに変わっていた。


a2

テーブルには
各種ソーセージと、
チーズが並んでいる。


a3

フミコさんは魔族の方だとか。
私は仕事柄現実路線で、
魔法とかそういうのは
苦手だったんだけど、
この町に来てからは驚くことばかり。

確かに精霊とか、
別世界から来てる人とか、
色々いるみたいだからね。
見かけではわからないけど。
と探偵が言った。


a4

魔族にも住みやすい所みたいですね。
大昔に私たちが魔族だけで都を作ったのは、
普通の人たちからの迫害があったからなんですよ。

でも魔族や精霊や人間の区別って、
生命の営みっていうことから言えば、
それほど厳密なものじゃない。
例えば、そこにおいでのモモコさんっていう方、
すごく呪力をお持ちなのを感じます。


a5

え。私のことですか?
呪力って。
私、魔族じゃないし。

魔族じゃなくても
呪力を持つ人はいるのよ。
そんなにパワーをお持ちなら、
これまでに色々不思議な体験をされてるはず。


a6

あら、この大きなヤモリ。懐かしいわ。
爬虫類好きのレプティリアンたちがよく飼っていた。
ソーセージが食べたいって言ってるわ。


a7

ダルメの言葉がわかるんですか。
いいなあ。モモコやミューみたい。
と鷲尾翠が言った。

それクレステッドゲッコーというヤモリの、
ダルメシアンという品種にそっくりだそうです。
知能も高くて、サイズもずっと大きいですが。
ダルメって呼んでいます。
そのレプテュリアン、
トカゲ人間からもらったんですよ。


a8

そうそう。
去年の初めだったか、トカゲの顔をした人物に、
広場で失くした「カメ新聞」を探して欲しいという
依頼を受けたことがあってね。
見つけたお礼にと言って、カプセルをもらったんだ。
なんでも月世界でガチャをやって、
その景品だとか言ってたな。
そのカプセルから出てきたのが、そのヤモリなんですよ。

そうだったのね。
そのトカゲ顔の人物の容姿、
思い出せますか。


a9

探偵は昨年の2月9日に、
トカゲ顔の人物が事務所に来た時の情景を
思い浮かべてみた。


a91

やっぱり。
リザードだったのね。

お知り合いだったんですか。
あのトカゲ人間、時々ここに来るんですよ。
私が最初に知り合ったのは、
一昨年のハロウィーンの時でした。
私がサラに作ってもらったトカゲ頭の
被り物を被って広場にいたら、
お仲間と勘違いしたみたいで、
「人類のコスプレ文化を見るのは楽しいですな。」
って声をかけられたの。
と鷲尾翠が言った。

なるほどね。
早とちりしたのもリザードらしいわ。
そのトカゲ人間は私の恩人。
彼が伝承の呪文をアイスに教えてくれたおかげで
私は蘇生できたんです。



解説)
続きます。
Posted at 20:28 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Aug 12, 2024

滝を見に行く

a1

4人はアーネストの診療所を目指している。
集落の家々はかなり広範囲に点在しているので、
診療所に行くにも、ジャングルに
分け入らなくてはならないのだった。


a2

アーネストの自宅兼診療所に到着した。
玄関先で葉巻を燻らせていたアーネストに、
佳奈とマークが声をかけている。


a3

あれから、お変わりなく?
うん。あの古代遺跡の探検以来、
グリーンマンに噛まれたという来院者が
いなくなってね。暇で、いたって平穏な毎日だよ。
お連れの方たちは、
新しい探検隊かな?

私の友人のジョーとエルザです。
沼地の方の探検を終えて、
ここには観光気分で滝を見に来たの。
と佳奈が言った。

なるほど。
滝はそこの渓流を遡ればすぐ先にあるよ。
すぐ近くだけど川沿いのルートは
結構険しいから気をつけて。
もし滑って怪我でもしたら
帰りにここに来るといい。
ははは。


a4

4人はアーネストと別れて
川沿いに歩いて行った。
確かに滑りやすそうな石が
ゴロゴロとしている。


a5

涼しそうな、いい景色。
もうこのあたりでいいんじゃない。

まだまだ。
と佳奈が言って、
岩を登ろうとしている。


a6

滝ってここのことね。


a7

みんな思い思いに
くつろいでいる。

佳奈、いつの間に。
用意がいいなあ。


a8

気持ちいい。


a9

やっぱりこれが一番ね。
そのベルトのホルダーもビールなの?
もちろんよ。

私にもー。
と佳奈が言っている。



解説)
続きます。

Posted at 20:25 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Aug 11, 2024

探検を終えて

a1

沼地とジャングルを越えて、
無事にマークの家に帰り着いた4人は、
一息ついて居間で話し合っている。


さてと、探検は無事終了したわね。
目的地についてすぐ鳥を撮影できたから、
現地で泊まり込んだりせず、
予想してたより短い日程で済んだ。
これからどうしようか。

せっかくアフリカに来たんだし、
この近辺を見物したいなあ。
どこかおすすめの場所ありませんか。
とジョーが言った。

僕らが探検した古代遺跡はあるけど、
気軽に観光で行くには遠くて危険だね。
これまで住民たちも近寄らなかった場所なんだ。
基本この集落は深いジャングルの中にあって、
滅多に訪れる人もない僻地なんだよ。

あそこなら気軽に観光気分が味わえるかも。
と横で聞いていたアマンダが言った。

心当たりがあるのかい。

アーネストの診療所の前に
渓流が流れているでしょう。
そこを上流に辿っていけば滝があるのよ。

アーネストさんの診療所なら、
シーザーの怪我を治療してもらいに、
リンと行ったことがあるから場所わかるよ。
と佳奈が言った。


a2

また留守番頼んじゃって悪いね。
とマークがアマンダに言っている。

いえいえ。
みなさん。近場なので、
リュック背負っていくほどの
場所じゃないですけど。
あれって主に食料が入ってるの。
などと話していいる。


a3

ペンギンの前で。

たまきたちがコーヒーを飲んでいると、
ペンギンの二階の探偵事務所から、
ペンギンにコーヒーの配達を頼みに、
エリスが降りてきた。


a4

いつものコーヒーお願いね。
あら、たまきじゃない?
久しぶりね。
と言っている。


a5

ハロー、エリス。
あ、あなたにも、
この人を紹介しようと思ってたところ。
町に来たばかりで、
フミコっていうのよ。

そーなの。
初めまして、私はエリス。
この喫茶店の二階の探偵事務所で、
心理カウンセラーをやってるの。
そうだ。
暑いし、私たちの部屋で
コーヒー飲んだら?
部屋のみんなに紹介できるし、
冷房効いてるわよ。


a6

たまきとフミコは
探偵事務所でコーヒーを飲むことにした。
私立探偵の志津川和志と、探偵助手の鷲尾翠に
紹介されている。


a7

浴衣姿お似合いですね。
こー暑いと流石にこたえますなあ。
などと探偵が言っている。


a8

そうね。
赤道直下のジャングル程じゃないですけど。


a9

そこにモモコが
やってきた。
エリスいる?
と言っている。


a91

モモコはさっそくフミコに紹介されている。

こちらはモモコ。
モモコは時々、ここに遊びに来るお友達なのよ。

カウンセリング受けてるわけじゃないけど、
いつもエリスに見た夢の話を聞いてもらってるの。
私は普段ジェニーたちの部屋で暮らしてるけど、
外泊も多いから、フミコさんとは初対面ね。
ジェニーやナオミから聞いたけど、
昨夜の花火あなたの仕業だったって?
綺麗だったね。
とモモコは言った。



解説)
続きます。
Posted at 20:33 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Aug 10, 2024

鳥を探しに そのよん

a1

一行は屋内に招かれた。

このあたりは天候が変わりやすくて、
雷雨が多いんだ。
何もないジャングルで危険だし、
滅多に人は来ないんだよ。

私たち、大きな鳥の羽根を拾って、
その本体である鳥の存在を
確認しに来たんです。


a2

それで、見つけたのかな。

はい。見つけました。
正体は大きな九官鳥でした。

ふむ。
それはラッキーだったな。
ともあれ、この風雨はやみそうもない。
今夜はここに泊まっていくといいだろう。


a3

翌朝になった。
空はすっかり晴れている。

すごくいい天気よ。
あーよく寝た。
昨日は体力消耗したからね。


a4

おはよう。
エルザたち、
もう起きてコーヒー飲んでますよ。


a5

佳奈は深呼吸している。

おはよ。
ダリオさんが、朝食済ませたら、
帰る前にお話ししましょうって。

あの人、ダリオっていうんだ。
そう言ってたわ。


a6

ここに一人でお住まいなんですか?

そうなんだ。
人里離れていても、自給自足、
食べ物には事欠かないからね。
気楽なものだよ。

私も沼地をこえたジャングルの向こう、
半日ほど行ったところに居を定め、
開墾して、今では小さな集落になった場所に
住んでいるんです。
とマークが言った。

地元の原住民とも多少の付き合いはあるんですが、
沼地の近くに人が住んでいるという話は
聞いたことがなかったなあ。
それはともかく、
一人で人里離れたジャングルの中に
暮らしたいという気持ちはわかります。
初めは私もそうでしたから。

でもすごく立派で快適そうなお家ですね。
建築資材や家具なんてどうやって運んだんですか。
とエルザが聞いた。

ふむ。どこまで話していいものか。
君たちは魔族というものを知っているかね。

ええ。
と4人は頷いた。
親しい友人に魔族の人がいます。
彼は私たちの集落に住んでいるんですよ。
とマークが言った。

実は私は別の世界から来たんだ。
その世界は実に生きにくくてね。
私はその世界で、いわばこの世界でいわれる、
変わり種の魔族だった。
そういえばわかってもらえるかな。
魔法で作った特別な扉を通って来たのさ。

わかるわかる。
と4人は頷いた。
私たちもその手の魔法の扉の恩恵に
預かって、遠いところを移動して来たんです。
とエルザが言った。
でもそんな力をお持ちなら、どんな世界でも、
生きにくい、なんてことないように思えますけど。
と佳奈が言った。


a7

そうでもないんだよ。
私のいた世界には、私たちとは別の種族がいた。
昔は共存していた時もあったんだが、
やがて彼らが全てを支配するようになったんだ。
体がずっと小さかった私たちの種族は、
片隅に追いやられて隠れて生きるしかなかった。

巨人の支配する世界だったのね。

この世界に魔族がいるように、
私もたまたま特殊な能力を持って生まれてきた。
だから巨人たちの住む家に潜んで
彼らのものを借りて住む生活が嫌になって、
魔法の扉を作って、この世界に逃れて来たというわけさ。
巨人たちと共存するサバイバル生活が好きな仲間もいるが、
今や絶滅危惧種状態だ。

巨人たちって、どのくらいの大きさなんですか?

ふむ。
君たちは昨日、
巨大な九官鳥を見たと言っただろう。

はい。

あれがその世界では普通のサイズの九官鳥なんだ。
あの九官鳥は、私のいたその世界から、
そのままの大きさでこの世界に現れたんだよ。

お話を聞いていて、もしかしたら、
ダリオさんが魔法で大きくしたんじゃないかと思ってた。
と佳奈が言った。

そうじゃない。
あれは砂漠の嵐の中から現れた。
砂漠を越えてジャングルに飛んできたんだ。
大きな樹木があっただろう。
あれは昔は原住民に生命の木と呼ばれていた
神聖な樹木らしい。
そこが気に入ったらしくてずっと
住み着いているんだ。

九官鳥は別世界に転生したんですね。
まるで私の身の上とそっくりだ。
とマークが言った。

転生したのが私が来た世界と同じだったのに驚いたが、
あれはものまね鳥で、
意味のあることを話しているんじゃない。
前に生きていた世界で、
巨人たちに教え込まれた言葉を
繰り返しているだけなんだ。

別世界に転生しても、
昔習った言葉を忘れないなんて、
なんだか切ないですね。

ふむ。
さて、随分長話をして、足止めしてしまったようだね。
これから沼地とジャングルを越えるんだろう。
玄関先まで見送ろう。


a8

ダリオは、裏庭にある
小さな小屋を見せてくれた。
その中に魔法の扉が設置してあると言ったが、
遠目から屋内は暗くてよく見えなかった。


a9

お世話になりました。
私たちの集落にもぜひ遊びに来てください。
とマークが挨拶して、
4人はダリオの家を出たのだった。

巨人たちの住む世界か。
すごい話だったね。
その世界からすれば、
私たちの世界は小人たちの住む世界なのね。
ジャンのジオラマの村みたい。
などと話している。



解説)
続きます。
Posted at 21:49 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Aug 09, 2024

鳥を探しに そのさん

a1

4人は木陰で休憩している。

佳奈はさっそく近くを探索して
バナナを調達してきた。

あの鳥は九官鳥でしょう。
九官鳥はアフリカには
生息していないはずだよ。

あの大きさですから、
インドの中東部あたりから
渡ってきたのかも知れません。

それはどうかなあ。


a2

何か話しかけていたんでしょうか。
フランス語で挨拶してたわね。
あれが言葉だとすれば。

撮影には成功したんですか。
なんとかね。

飛んでいっちゃたし、
捕まえることはできそうもないから、
これで目的は達成ね。

なんだか雲行きが
怪しくなってきましたね。

とりあえず、この斜面を下って、
沼地の近くの平地まで戻って、
そこで野営することにしよう。
一晩かけてあのジャングルを移動するのは、
危険だからね。


a3

一行は山の中腹から下山を始めた。

なんかすごい雲が湧いてますよ。
これは急いだほうがいいね。


a4

一行が斜面を下り切らないうちに
激しい雨が降り始めた。


a5

雷鳴が轟いている。


a6

至近の樹木に落雷が。
佳奈は思わず滑って転んでしまった。

大丈夫?
ええ。なぜか私よく転ぶの。
と言っている。


a7

急いで斜面を下っているうちに
沼地に出るルートをそれてしまったようだ。
一行がジャングルを踏み分けていくと、
一軒の小屋に灯りが点っているのが見えた。

こんなところに。


a8

こんばんは。
どなたかいらっしゃいますか。
とマークが声をかけている。


a9

やがてドアが開き、
家の中から一人の男が現れた。


その格好は探検家かい。
こんなところまで人が来るとは、
珍しいな。
と言っている。



解説)
続きます。

今日は現実にも
雷雨で落雷があり、
今年2度目の停電状態に。
Posted at 20:24 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Aug 08, 2024

鳥を探しに そのに

a1

一行はようやく沼地を抜けた。
地面が少し傾斜して上りになっている。


a2

見晴らしのいいところまでやってきた。

あの山の中腹で
羽根を拾ったんだ。


a3

登りだけど、
空が見えると気分がいいなあ。


a4

ねえ聞こえない?
ハヨー、ハヨー。
っていう鳥の鳴き声。
本当だ。


a5

ハヨー、ハヨー。

頭上に巨大な鳥が舞っている。
マークは
急いでカメラを構えている。


a6

鳥は少し離れた場所に立つ
巨木の方に飛び去って行った。


a7

一行は後を追いかけて
巨木の根元に辿り着いた。


a8

見上げていると、
先ほどの鳥がマークたちに気がついたようで、
枝分かれした梢の間から顔を出した。
じっと眺めている。


a9

驚いたことに巨大な鳥は
草むらに舞い降りて、
トントンと両脚を揃えて
跳ねるように近づいてきて、
一声、ボンジョールノ。
と鳴いた。


a91

ボンジョールノ。ボンジュー、ボンジュー。
鳥はそれだけ鳴くと、
一度首を傾げるような仕草をしたが、
やがて羽根を広げて羽ばたき、
再び、空高く飛翔して、
飛び去って行った。

今のはなんだったの。



解説)
続きます。
Posted at 20:22 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Aug 07, 2024

鳥を探しに

a1

マークの家で。

一夜が明けて、
4人はいよいよ鳥探しの探検に
出発することにした。

よく眠れたねー。
液体ムヒ持ってきた?

マークはアマンダに、
また留守番を頼んでいる。


a2

今日もいい天気ね。


a3

4人は早速
ジャングルに分け入った。


a4

このあたりは滅多に人が
入らないんだ。


a5

樹海のようなジャングルは。


a6

延々と続くように思えた。


a7

しかし
やがて行手に沼地が。


a8

やっと風景が変わったわ。
この沼地を越えると
羽根を見つけた場所まで、
もうすぐだよ。


a9

ワニに気をつけて。
ヒルは防ぎようがないけど。
と言われている。



解説)
続きます。
Posted at 20:25 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Aug 06, 2024

案内されるフミコとフラハ

a1

コーヒー飲みにきたんだけど。


a2

あいにく、店内は満席です。
毎日すごく暑くて、
冷房がんがん効かせてるので、
人気なんですよ。


a3

たまきとフミコは、
屋外の席でコーヒーを飲むことにした。

さっそくバグに話しかけられている。

こんにちわ、たまきさん。
毎日あっついですね。
おやそちらの涼しげな方は?

フミコと言います。

フミコは昨日この町にきたばかり。
今案内してる最中なの。


a4

そうでしたか。
僕はバグでこちらはミラ、
この裏手の元倉庫に住んでいるんで、
この店の常連なんですよ。

昨日といえば、
昨夜の花火綺麗でしたね。
あれは音がしなくて
本物じゃなかったみたいだけど。


a5

綺麗だったでしょ。
私が心の中で思い浮かべた通りだったの。
フミコが夜空に映し出してくれたのよ。

ほー。
あんなことができるのは魔族だけ。
ハリー一家の誰かの仕業かと思ってました。

私、打ち上げ花火って見たことなかったので。
つい、とフミコは言った。


a6

魔術劇場でハリーに再会したフラハは、
話を終えてヴィヴィアンやアイスと共に、
広場に出てきた。
フラハは大道芸人たちの演奏に聞き入っている。


a7

狐の精霊の化身である駒井魔子は、
フラハの視線を感じて、ちょっと緊張している。
あの人も魔族だわ。


a8:jpg

アイスはルビーに、
魔術劇場の中に設置した鏡の扉のことなどを
報告している。

これで誰でもアフリカに行けるようになったわ。
もちろん魔術劇場に入るには、扉の番人のエヴァに
入り口を出現させてもらわなきゃならないから、
一応セキュリティも万全。
ルビーなら顔パスでしょ。

面白そうね。そのうち行ってみる。

ところで、フミコは?


a9

コンテストの参加賞をもらいにきて、
横で話を聞いていたナオミが言った。

昨晩はうちに泊まったの。
今頃ペンギンにいるんじゃないかしら。
たまきがフミコをサラに紹介してから、
二人でペンギンに行くって言ってたから。


a91

ヴィヴィアンは
暑いから冷房の効いているデジャに行きましょう。
と言って、フラハをデジャに案内している。
通路の途中のマンゴー亭にさしかかった。

レイがかき氷始めました。
と言っている。


a92

スイカのフルーツポンチも
ありますよ。
とアンナが言っている。


a93

二人は誘惑に負けて
肉まんとかき氷を注文している。

この広場には、人間ばかりじゃなく、
ドラゴンの子供やロボットや
動物の精霊までいて随分賑やかなんだな。

そうでしょう。
魔族にも住みやすいわよ。



解説)
続きます。




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Aug 05, 2024

スリッパとマークたち

a1

サラたちの部屋


a2

サラはシューズボックスを
運んできた。

フミコはずっと裸足だったのね。
これはスリッパだけど。


a3

最近、ドルフィンの倉庫に
入荷してたの。


a4

色合いもちょうどいいんじゃない。


a5

フミコの装身具は
バッグに収納して部屋で保管することになった。

肩飾りとか、
身につけなくていいんですか。
とジェイソンが言っている。

つけていると呪力が増大するけど、
私にはほとんど気持ちの問題なのよ。


a6

たまきはフミコを
喫茶ペンギンに案内している。


a7

浴衣って夏らしくていいですね。
とはるなが言っている。


a8

その頃、フラハの家を出た
4人はマークの家に向かっていた。

僕の家までは、
ちょっとだけ距離があるんだ。


a9

あの蔦のゲートをくぐると、
クラウドの家ね。
みんな元気かしら。
と佳奈が言っている。


a91

マークの家に到着した。
庭にいたアマンダが
お帰りなさいと言っている。


a92

マークは大きな鳥の羽根を
ジョーたちに見せて話している。

大きいとは聞いてtけど、
これほどとは。
形状はカラスの風切り羽根みたいですね。

とても捕獲できそうもないわね。

姿を確認できて、
撮影できればいいんじゃない?

何食べるんだろう。
雑食かな。
人も襲うのかしら。



解説)
続きます。

登場したスリッパはガチャで。
J・ドリームの「room’s MINIATURE SLIPPERS」
色違い全五種のうちのネイビーです。
サイズは1/6アクションフィギアの男性素体の足には、
やや小さめですが、女性素体の足にはほぼぴったり。
バービーやジェニーたち(オビツやボークスの素体なども)
には大きすぎます。
靴箱付き。
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Aug 04, 2024

浴衣とフラハとの会話など

a1

サラたちの部屋。


a2

たまきが冷やし中華を
食べている間に。


a3

サラは、フミコに浴衣の着付けをしていた。


a4

よくお似合いよ。
ありがとう
この図柄も気に入ったわ。


a5

なんだかすごく懐かしい人がいるなあ。
と頭蓋骨のお父さんが言った。
誰だったか忘れてしまったが。
メメもメーメーと言っている。


a6

お面被ってるけれど、
あなたは頭蓋骨なのね。
とフミコは言った。

どなただったかしら。
私も思い出せないけど、
あなたたち、なぜかとても懐かしいわ。


a7

アイスとフラハは
鏡の扉を使って魔術劇場に移動してきた。

この鏡の扉は誰でも使えるように
固定式にしたの。
ハリーは魔術劇場の中に、
扉のための専用の部屋を作ってくれた。

いくらでも魔法で部屋を増設できるなんて
便利だなあ。
この館には何人くらい住んでいるんだい。

数えたことないけど、
ハリーとカーミラと娘のヴィヴィアン。
ハリーの妹のジャンヌと娘のマリア、
劇場のショーに出演する操り人形のパペや、
人の身代わりになるセリア、
出入り口を管理しているピエロのエヴァ、
他は訳ありの同居人や客人たちね。

デジャの従業員になってるイリヤ、ヨシフ、ジョニー、
農家の手伝いをしてるヘルミーネや
部屋を管理してるデュアンとメルティ、
カーミラの知り合いの怪盗ゼロや
幽霊船船長のクックドゥー、路上アーティストのトマソン。
それに新しくフミコが加わった。
ざっとそんなところかしら。


a8

夢見の水の精霊のバルも忘れないで。
と言いながらヴィヴィアンが現れた。

あ、私はハリーの娘のヴィヴィアン。
フラハさんね。お噂はかねがね。
父は魔術書を探してるけどすぐ来るわ。
椅子が足りなから、
その前にちょっと模様替えを。


a9

椅子とテーブルと
食べ物、飲み物がセットされると
ハリー夫妻もやってきた。
面々の紹介が終わるとハリーが切り出した。

フラハ久しぶりだね。
100年ぶりくらいか。

もっとじゃないかな。


a91

若い頃は
カエル王子ごっこなどをやって
よく遊んだな。
いつから姿をくらましたんだ。


a92

ふむ。今でも、手に水かきがついている
夢を見ることがあるぞ。

私は魔法や魔族に対する風当たりが
強い西欧の某国にいてさ。色々あって、
すっかり人間の世界が煩わしくなったんだ。
それで、まだまだ魔術に理解のある
アフリカの部族社会に溶け込んだんだが、
その一つの村には長老がいてね。
彼に気に入られてある土地を譲られた。
土地と言っても境界線など誰にも見えない領域で、
見かけは一面のジャングルだったんだがね。
とにかくそこにいて、やがて訪れる
精霊の出現を待っていて欲しいと言われて
暮らしていたところ、
マークという放浪者のような男と出会った。
ひとめ見て、彼は人間じゃなくて
フィギアの精霊だとわかったよ。
彼に土地に住む許可を与えると、
マークは頑張って土地を開墾して、
そこは今では小さな集落になっている。
私はその集落の外れに住んでいるのさ。


a93

なるほどなあ。
それが巡り巡って古代の魔族の復活に繋がるわけか。
その長老というのは未来が見える
魔族の預言者だったのかな。

それはそうと、これは
私とマーリンが苦労して手に入れた魔術書だ。
中世に散逸して幻の書と言われていたものだよ。
この手引書のおかげでマーリンは異世界を作れるし、
私も魔術劇場やら鏡の扉を作れるようになった。
君が読むなら喜んでお貸しするがどうかね。

ふむ。君がその本を持っていることはアイスから聞いたよ。
私も若い頃からずっと読みたいと思っていたが、
今思えば、君やマーリンへの対抗心があってのことかな。
呪文は覚えられても、持って生まれた
呪力だけはどうにもならない。
フミコの頭蓋骨の蘇生を試みて思い知ったよ。
だがもちろん魔術や呪文への関心を失ったわけではない。
貴重な本なのだろう。
これからは、ちょくちょくここに来て、
読ませてもらうことにするよ。
とフラハが言った。



解説)
続きます。
Posted at 20:27 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Aug 03, 2024

扉を抜けて

a1

たまきがフミコを最初に案内したのは、
サラたちの部屋だった。

フミコは冷やし中華を
ご馳走してもらっている。


a2

このところ連日作ってるの。
お味はどう?

冷たくて甘酸っぱいタレが、
とても美味しいわ。


a3

たまきの分も
今できるよ。

その片手ザル新しいのね。
気がついた?
とジェットが言っている。


a4

フミコさん、
お箸の使い方上手なのね。

昨日の晩、
ざる蕎麦ご馳走になったとき、
覚えたばかりなんです。


a5

マークの集落のフラハの家では、
鏡の扉が出現してアイスが姿を現した。

コーヒーを飲んでいたフラハは、
おお、また現れたか。
と言っている。


a6

アイスの後から、
ゾロゾロと人がついてきた。
アイスとフラハは
冗談のような挨拶を交わしている。


a7

実はね。鏡の扉をあそこに固定して、
ハリーさんの魔術劇場との通路にしたいんだけど。

え。なんということを。

どこに作るのがベストか色々考えたのよ。
昔の魔族は不思議な扉を使って遠方と行き来していた。
まだそんな伝承が残っているから、
魔族の魔術師のフラハさんの家だったら、
みんな受け入れやすいでしょう。
それはみんなに魔族や魔法のことを
再認識してもらうきっかけにもなるの。

ふむ、お前の考えはわかった。
まるで魔族の身内の話を聞いているようだな。
静かに暮らしていたかったんだが、
まあこれも何かの縁で成り行きなんだろう。
協力してやろう。


a8

アイスは、ジョー軍曹とエルザを
フラハに紹介している。

ふむ。どうやらお二人は人間ではなく、
マークのお仲間のようですな。

やはりわかりますか。
とジョーが言った。

私も魔術師の端くれなので、
人と精霊を見分ける力は備えているのだよ。
それで早速観光に来られたのかな。

探検隊なんです。
マークさんが見つけたという巨大な鳥の羽根。
4人でその鳥の本体を探しに行くの。
とエルザが言った。

そうかそうか。
まあそんな探索も今時のロマンなのだろうな。
ここも充分人里離れた僻地だが、
さらにジャングルの奥地に行くのは大変だぞ。
せいぜい気をつけて頑張りたまえ。


a9

4人はフラハの家を出た。

ここがアフリカとはね。
空気が違うなあ。
とりあえず僕の家に。
とマークが言っている。


a91

ハリーさん呼んできましょうか?
いや、こっちから出向くよ。
鏡の扉を抜けるのは久しぶりだし、
ご家族にも会ってみたいからな。



解説)
続きます。

ジェットの持っている片手ザルは、
セリアで見つけた
線香やお香用の燃えかすとりを、
そのまま使っています。
Posted at 20:22 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Aug 02, 2024

夏の夜の夢

b1

ねえ、マーク。
あの大きな鳥の羽根のことだけど、
ラッセルやブラッドは、
あまり乗り気じゃなかったみたいだから、
私たちで鳥を探しに行かない?
と佳奈が言った。

それは嬉しいな。
でも二人だけだと危険だよ。
結構奥深いジャングルなんだ。

リンやクラウドやハンスさん。
集落にはプロの探検家が揃ってるから、
声をかけてみたらどうかな。

うーん、彼らは遺跡調査が専門だからね。
鳥を探しに行くって言っても。


b2

よかったら僕らが。
とジョーが言った。

ご一緒しますよ。
エルザも行きたがると思います。
アフリカのジャングルは初めてですが、
サバイバル生活は戦地で慣れてますから。


b3

いいんじゃない。
とアイスが言った。
佳奈もCGとしての訓練になるし、
ジョーたちが行ってくれれば、
交流の第一歩になるわ。

お話が続きそうで、
よかったわね。
とアンナたちが言っている。


b4

夜になって
夕食にざる蕎麦をご馳走になったフミコは
ジェニーたちの部屋に
泊まることになった。


b5

フミコ。
打ち上げ花火って見たことある?
この季節、
夜空を彩る夏の風物詩なのよ。

それは見たことがないわ。
どんなものなのかしら。
ちょっと心の中で思い浮かべてみて。


b6

たまきが花火のイメージを
思い描くと、障子の外に。

ふーん、随分綺麗なものなのね。


b7

欅の木が茂って
遠くの空まで見えないはずなのに。

あれは幻影なのよ。
ひとときの夢。


b8

あらら。
花火大会なんてやってたっけ。


b9

すごい迫力。夕涼みに最高ね。


b91

音が聞こえないけど、
どこで打ち上げてるのかしら。



解説)
続きます。
Posted at 20:26 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Aug 01, 2024

コンテストの結果発表など

a1

あっという間に8月。
月初めは月替わりのコスプレコンテストの
優勝者の発表の日。

暑さでわりと閑散とした広場では
マイクを手にしたルビーが
アナウンスを始めていた。


a2

みなさん。
7月のコンテストの
優勝者を発表します。
厳正中立な審査の結果、
優勝したのは今井舞さんです。


a3

あら、私なの。
と舞は驚いている。


a4

舞は広場に居合わせた人々の
拍手と喝采を浴びながら、
トロフィを授与されている。


a5

私が選ばれた理由が
よくわからないんですけど。

毎日暑いし、深く考えなくていいのよ。
涼しそうな浴衣姿が
よく似合っているということで。


a6

マンゴー亭では
ジョーと佳奈、マークとアイスが
肉まんを食べていた。


a7

アルバイトのアンナとレイが話している。

今月のコンテストは意外な結果ね。
私てっきりフミコっていう人が選ばれるかと。
私はそこにいるマークさん推しだった。
でも二人ともコンテストに、
参加登録しなかったみたいなのよね。
舞ちゃんでよかったんじゃない。
いつも広場でジャージ着て
薬缶持ってたし。


a8

残念だなあ。
ラッセルやブラッドとは
行き違いだったのか。
とマークが言っている。

二人とも自分の住まいに帰ったの。
まさかこんなにすぐに、
マークがこの町に来るとは
思っていなかったでしょうからね。

マークはこれからどうするの?
アイスが通路になる扉を
作ってくれるというんで一旦家に帰るよ。
アマンダに留守番頼んでいるし。


a9

いつでもすぐ戻って来られるしね。
と佳奈が言った。

その扉を使って
僕らが遊びに行ってもいいんですか。
とジョー軍曹が尋ねた。

もちろん、大歓迎だよ。
とマークが応えた。


a91

聞いていたアイスが言った。
交流するために通路を作るんだからね。
ただね。鏡の扉は、あくまでも魔法の力。
マークの集落の側の扉は、フラハの家に作ることにしたの。
マーク、それでいい?

もちろん。でもどうして。

みんなが魔族や魔法のことを忘れないためよ。
とアイスは言った。



解説)
続きます。
Posted at 20:22 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Jul 31, 2024

あれこれと

a1

フミコはたまきたちに招かれて、
ジェニーたちの部屋で
買ってきたばかりのスイカを食べていた。

懐かしい味。
と言っている。


a2

やっぱり。
スイカの原産地は南アフリカの
砂漠やサバンナだって聞いたことがあります。
とジェニーが言った。


a3

私たちの都は交易も盛んだったので、
市場に行くと
手に入ったお馴染みの味よ。


a4

その頃、サラも帰宅して
冷やし中華の材料をテーブルに並べていた。


a5

このトマト、ジャンの家庭菜園で
採れたんですって。
あの人多趣味だねー。


a6

全日本冷やし中華愛好会って知ってる?
随分昔に「空飛ぶ冷やし中華」っていう
本を出したところだよ。
古本屋にあるかな。


a7

アイスは、デジャでハリーに会っていた。

話ってなんだい。


a8

実はジャンのジオラマの村に鏡の扉を作って、
マークの集落と繋げたいと思っているんですが、
一応ハリーさんにもお知らせしておこうかと。


a9

ふむ。
知らせてくれるのは嬉しいが、
そんなことわざわざ私に断らなくてもいいんだよ。
呪力をどんなふうに使おうと全て君の自由だ。
ただし自己責任でね。

ありがとうございます。
あともう一つお伝えしたいことが。
マークの集落にはフラハという魔術師がいて、
色々お世話になったんですが、
彼はハリーさんの幼馴染だと言ってました。

なんと、懐かしい名前だな。
フラハはそんなところにいたのか。

変わった名前ね。
とヴィヴィアンが言った。

スワヒリ語で、幸せとか喜びとか希望
という意味のおめでたい言葉だよ。

そうだな。あいつにも会えるというわけか。
だったら、いっそのこと、鏡の扉は、
魔術劇場の中に作ったらどうかな。
どうせ古代の呪術で固定式のやつを作るんだろう。
誰でもアフリカに飛んでいけるような扉を、
公の場所に作ると、やがて大騒ぎになるぞ。


a91

どこに作るかは、私も気になっていたんです。
魔術劇場の中なら安心だし、
この町の一般人や観光客にも知られずに済む。
じゃあ、そうさせてもらいます。
さっそくマークにも知らせないと。
じゃこれで失礼します。


a92

アイスさん格好いいですね。
とバーテンダーのジョニーが言った。

アイスって、あんなに礼儀正しかったっけ。
自分が強力な呪力を得て、魔族について
敬意を払うようになったのかもしれないな。
お前とは。

私は悪魔だからね。
それにこれからどうなるか
わからないでしょ。
そりゃそうだな。


解説)
続きます。
Posted at 20:24 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Jul 30, 2024

スイカを買いに

a1

ジェニーたちの部屋で。

連日猛暑だね。
スイカでも食べたいわ。


a2

服着替えたことだし、
スイカ買いに行こうよ。


a3

たまきとナオミは、
広場に出かけた。

涼しそうなお揃いのショートパンツね。
セリアで売ってたのよ。
サイズがぴちぴちだったけどなんとか。


a4

暑さのせいで割と閑散とした広場には
浴衣姿の舞や駒井魔子がいた。

大道芸人たちの歌声が流れている。

おとぎ~ばなし~の王子でも~🎵


a5

たまきは早速スイカを買っている。


a6

美味しそうなの食べてるね。
と、たまきは舞に声をかけている。


a7

ベーカリーで無料で作ってくれるのよ。
特別サービスなんですって。
私もう食べすぎちゃって。
と魔子が言っている。


a8

ベーカリー前は子供たちで
賑やかだった。
奥に見知らぬ女性がいる。

あの人は?
ヴィヴィアンが変身して
魔法で蘇らせたっていう噂の人。
フミコって言うらしいよ。


a9

フミコはルビーと話していた。

すっかり寝坊しちゃって。
でもこれ食べたらシャキッとしたわ。
昔はこんな食べ物なかった。
歌にもあるからねー。

とルビーが言っている。


a91

ソフトクリームをもらったたまきは、
さっそくルビーたちに話しかけている。

毎日暑いねー。
これってすごいサービスじゃない?
サラからマシンの差し入れがあってね。

あ、こんにちは。
わたしはたまき。

私はフミコって言います。
この世界には来たばかりなの。
そうなんですってね。
よかったら私が案内しましょうか。

それいいね。
と椅子に座っていたアイスが言った。
町の人はみんな知り合いみたいなものだけど、
たまきなら信頼できるし
暇そうだし古株で特に顔が広いから、
案内してもらうのにうってつけだよ。
私はちょっとハリーに相談事があるので、
たまきお願いするわ。

了解。
暇そうで古株は余計でしょ。


a92

大道芸人たちは
2番の歌詞を歌っている。

おとぎ~ばなし~の王女でも~
むかし~はとて~もたべられない
アイスクリ~ム アイスクリ~ム🎵


a93

サラもトマトを買いに来ていた。
このトマト美味しそうね。
急に冷やし中華が食べたくなっちゃって。
と言っている。


a94

全日本冷やし中華愛好会って知ってますか?
そんなのあるの。



解説)
続きます。

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Jul 29, 2024

広場に戻る

a1

翌朝、ジャンのバービーハウスに泊まった
アイスとマークは、倉庫の鏡の扉から
魔術劇場に戻ることにした。
広場にトマトを届けるため、
ナタリーも一緒に行くことになった。

明るいと、
庭のジオラマ村がよく見えるね。


a2

よくこんなに作ったなあ。


a3

ジャンとマークが話している。

ずっと君と同じタイプのフィギアが欲しかったけど、
精霊の君に会えたから大満足。
すごく驚きの体験だったよ。

僕も自分とそっくりのフィギアが
あんな物語の主人公になっていたなんて
なんだか不思議な気分ですよ。
一晩お世話になりました。
今度はぜひ私の家にも遊びにきてください。


a4

3人がジャンの家の倉庫から
黒いドアを使って魔術劇場に移動すると、
カーミラが遅い朝食を食べていた。

二人とも朝帰りなのね。
と言われている。


a5

ゆうべは遅くなったので
郊外のジャンの家に
泊めてもらったんです。
フミコの様子はどうです。

まだ起きてこないところを見ると、
ぐっすり眠っているんじゃないかしら。


a6

その時、
魔術劇場の部屋の整頓や管理を
メルティと二人で任されているデュアンが、
鏡の扉から現れた。


a7

大変です。
フミコさんが起きてこないので、
ちょっと彼女の寝室に様子を見にいってみたら、
ぐっすりお休みのようでしたが、
部屋の隅に見慣れない観葉植物が。
と思ってよく見ると、
なんとその植物には手足と顔があって、
私を見ると忽然と姿を消したんです。


a8

ああ、それきっとグリーンマンよ。
グリーンマンはフミコの可愛がっている生き物で、
アフリカからついてきたんだわ。
結構ひとみしりのようなの。

魔術劇場の中の各部屋は、
それぞれが魔法陣の上にあって、
魔術で生みだされた異世界のようなもの。
特別な呪文を唱えないと出入りできないはずだけど。
とカーミラが言った。

グリーンマンは古代の呪法を授かっているから。
きっとフミコのことを強く思い浮かべると、
呪文になる言葉が脳裏に浮かんで、
心中で唱えるとフミコのそばに移動できるのよ。

そんなのありなの。
とカーミラが言った。


a9

アイスとマークは広場に出てきた。


a91

ひと足さきに広場に来ていたナタリーは、
農産物直販店にトマトを搬入していた。

美味しそうなトマトだね。
食べごろなのを選んできたのよ。
今晩は冷やし中華だね。
などと話している。


a92

アイスは、
佳奈に出会った。

これアイスじゃなくてソフトです。
と佳奈に思いつきのジョークを言われている。


a93

ベーカリーのテーブル席では
みんなソフトクリームを食べていた。


a94

ルビーとレイチェルが話している。

あれエスプレッソマシンでしょ。
サラに頼まれて、
私がソフトクリームメーカーに改造したのよ。
サラがみんなにも使ってもらってって。



解説)
続きます。
Posted at 20:25 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Jul 28, 2024

ジャンの倉庫で

a1

今日は採れたてのトマトで、サラダと
シチューを作って、みんなに夕食をふるまう予定なの。
リリスはそういうと、ドアからジオラマ村に帰っていった。


a2

さて、これから何しようか。

ジャンのフィギアのコレクション見せてよ。
マークも興味あるでしょう。
とアイスが言った。


a3

これ、ほんの一部なんだけど、
と言いながら、ジャンは箱に入った、
フィギアを運んできた。


a4

ふーん。
精密にできてるんだね。

総統のフィギアもあるんだ。
これは僕が加工して
ペイントしたオリジナルなんだよ。
ジャンはちょっと得意そうだ。


a5

これは米軍兵士だね。
僕のフィギアも、こんな感じなのかな。


a6

これは、さっきの人。

リリスの本当の姿だよ。
っていうか、どっちが本当ってわからないけど。
その人形に宿っている精霊がリリスなんだ。
落とすと後で怒られるから気をつけて。


a7

さっきリリスも言ってたけど、
この写真コミックにも、
リリスそっくりの顔の魔女デジャが登場するのね。

そうなんだ。
それも僕がその本の世界に
親みを感じた理由の一つなんだ。
とジャンが言った。


a8

やがて時が流れ。

もう夜が更けたわね。
そろそろ母屋に引き上げない?
明日は広場に行って、収穫したトマトを
岸さんの農産物直販店に届けるの。
ちょっとしたお小遣いになるのよ。
とナタリーが言った。

アイスたちはどうする?
泊まっていったら?


a9

それがいいよ。
アイスもマークも
バービーハウスに泊まるなんて
初めてだろ。
まだ話も尽きないしさ。
とジャンが言った。

鏡の扉で魔術劇場に帰ってもいいけど、
もう夜も更けてるし。
じゃあ、そうさせてもらおうかな。
マークどう?

う、うん。
よろしくお願いします。


a91

4人が倉庫を出て
母屋に向かう途中、
庭のジオラマの集落では、
家家に灯りが点っていた。


a92

見ているとやがて明かりは消えていき、
一軒の家だけ点っている。

あれはリリスの酒場だよ。
今頃みんなで
トマトシチューを食べてるんだろうね。
などと言っている。



解説)
続きます。

Posted at 20:30 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Jul 27, 2024

マークのフィギア

b1

ジャンは棚から本を取り出して
手に取りながら言った。

君のことは、この本に載っているんだ。

そーなんですか。


b2

これは、
マーク・ホーガンキャンプと
クリス・チェレンの共著で、
2016年に出版された
「Welcome to MARWAENCOL」。
解説文も多く含まれているが、
いわゆるアートブック、
グラフィックノベルの写真版だな。


b3

写真漫画なんですね。

そのストーリーに登場する、
主人公のマーク大尉の写真を見たまえ。

おおこれは私そっくりの顔立ちだ。

僕はね。僕と同じように、
6分の1サイズのフィギアを撮影した
連続写真で、ストーリーを作っている人が
いることにも感動したんだが、
戦争中に主人公マークが乗っていた戦闘機が不時着して
マークは地元の村の住民に助けられ、
その村のリーダーになってドイツ軍と戦うという、
その本のストーリーにも惹かれてね。
その主人公に使われているフィギアが欲しくなって、
ずっと探していたんだ。

そのモデルが僕だったというわけですね。


b4

その本の内容は、著者の一人、
マーク・ホーガンキャンプさんの体験も含めて、
ロバート・ゼメキス監督の、
「マーウェン」っていう映画にもなっているの。
ジャンはその映画にも感動して、
色々ジオラマ世界のことを空想していたんだけど、
そんな時、この倉庫の扉の向こうに
その本や映画の世界みたいに、
フィギアたちの暮らす村が出現した。
だから、マークさんのフィギアは、
ジャンにとってとても特別な意味を持っていたのよ。
とナタリーが言った。


b5

その時、扉からリリスが現れた。
あ、よかった。まだいたのね。
と言っている。


b6

アイス。村に来てくれていたんですって?
店の裏の畑にいたので気が付かなかったわ。
おや、トマトの収穫はこちらも同じみたいね。


b7

あなた、その本に出てくるマーク大尉にそっくりね。
ジャンがとうとう探していたフィギアを入手して、
ヴィヴィアンに魔法で人間の姿にしてもらったの?

いえ、僕は戦争中に砂漠の嵐を潜り抜けたら、
こちらの世界に辿り着いていたんです。
自分がフィギアだったなんて知らなかったんですよ。


b8

そうなのね。
私は人形の精霊のリリス。
その写真漫画にも、
デジャっていう魔女が出てくるでしょ。
そのモデルが私とそっくりなのよ。

すごい偶然ですね。
偶然なのかしら?


b9

あなたが元いた世界も、
たぶん誰かが想像したものね。
その人もきっとその本や映画を見て、
あなたの元になったフィギアを手に入れて、
空想の世界で戦場を設定して遊んでいた。
でも何かの理由で使われなくなった。
その時、ジャンがそのフィギアを
探し求めていることを知った誰かが、
この世界で再生できるように
導いたのかもしれないわ。

そんな誰かって、いるんですか。

私もピエロの服を着せられた人形だったけど、
何世代も持ち主が変わって、今では
ジャンのジオラマ村で暮らせるようになった。
人形やフィギアの運命なんて
何が起きるか分からないものなのよ。


b91

リリスは長い間いろんな人の思いを浴びて、
呪力を持つ精霊になったんでしょ。
私はこの前、魔族のフミコから呪力を授かったの。
魔術なんて柄じゃないけど、
その呪力を使えば、ジオラマの村と
アフリカのマークの家の間に、
この倉庫に出現するドアみたいに、
鏡の扉を生み出すことができる。
そうすればみんな簡単に行き来できるようになる。
でもそんなことして大丈夫かな。


b92

リリスは、
ちょっと考え込むような表情を浮かべた。

大丈夫か、というのが、安全かと言う意味なら
全く安全とは言い切れない。
でも何にでもトラブルはつきもの。
それに、あなたの考えていることには
もう前例があるのよ。

ジャン、覚えている?
この黒いドアは、私が家を建ててくれたお礼に
あなたにプレゼントしたもので、
特別な鍵を使って通れるものだった。
そんなことができたのは私がこの倉庫に
人形たちと一緒に、ずっと住んでいた精霊だったからよ。
でもアイスが授かったという魔族たちの呪力は別。
もっとずっと強力なものなの。


b93

2年前にヴィヴィアンは、マーリンが
ヴァンパイアたちのために作ったルーマニアの別世界に
義勇兵になっていきたいという村人たちの要望に応えて、
彼らのフィギアに魔法をかけた上に、私の酒場の中に
その別世界や魔術劇場の中に通じる扉を作った。
この黒いドアも鍵なしで通れるようにしてしまった。
それで、すごく便利になったけれど、
結果として村人の多くは別の世界に流出してしまったわ。

元々フィギアたちの村は、
ジャンの庭のジオラマの村作りの空想から始まった。
その思いがこの土地と共鳴して通路が開かれたの。
魔族の呪力は、そういうことと別に
根こそぎ世界を変えてしまう力を持っている。

でもアイスが、ジャンがずっと探していた
マーク大尉のフィギアの精霊を村に連れてきたのも、
魔族の呪力を授かったというのも、
新しい扉を作るためかもしれないわね。
退屈してたみんなも喜ぶでしょうから、
やってみたら?

あ、もうこんな時間。



解説)
続きます。

ジャンの言っていることは、
ほぼ現実をなぞっています。
ネットのホーガンキャンプ氏のサイトや、
映画「マーウェン」を見たり、
アートブック「Welcome to MARWAENCOL」
をネットで取り寄せたりしたのは、
2021年の夏の頃。
このマイブームが、ジオラマ村のエピソードに
発展していきました。
ドラゴン社製の主人公マーク大尉のフィギアは、
その頃から折々に探していましたが、
なんと3年越しに今年のドールショーで、
素体とヘッドのみのバラ売り状態で見つけました。
それがマークの登場する最近の
エピソードにつながっています。

「Welcome to MARWAENCOL」
のやや詳しい解説などは、
2021年8月13日「あれこれの会話」
に載っています。
Posted at 20:35 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Jul 26, 2024

ジャンに会う

a1

アイスとマークは席を立って
出発しようとしている。


a2

リリスの酒場の二階にあるドアからは、
魔術劇場にも、ジャンさんの家の倉庫にも行ける。
倉庫への通路は、最初にリリスが生み出したものね。

リリスって。

あ、リリスっていうのは、人形の精霊で、
リリスの酒場を経営してる。
この村のフラハさんのような魔術師よ。
村の出現には彼女の力も関わっているの。

またややこしいんですね。

マークにもリリスを紹介したかったんだけど、
酒場に姿が見えなかったわね。


a3

多分畑に出ているのよ。
アイスたちが来たことを伝えて、
ジャンの倉庫にいるって言ってくるわ。
とエルザが言った。


a4

あ、もう帰っちゃうんですか。
もっとお話聞きたかったのに。
などとブランカたちに言われている。


a5

また来るわよ。
みんな歓迎してくれてありがとう。
とアイスは言った。


a6

二人がリリスの酒場の二階から
鏡の扉を使ってジャンの家の倉庫に移動すると、
ちょうどジャンとナタリーがいて、
二人は収穫したトマトの仕分け作業をしていた。


a7

おや、アイス。
君がそのドアから現れるなんて、
どういう風の吹き回しかな。
とジャンが意外そうな顔をしている。


a8

実はジオラマの村に行ってたんです。
こちらは友人のマーク。


a9

初めまして、
僕はフィギアの精霊で。
とマークが言いかけると。


a91

ジャンはマークの顔を
まじまじと見つめた。


a92

おお。
いまフィギアの精霊だと言ったね。
僕は君を、というか、君の元になった
フィギアを随分探していたんだよ。

え、そうなんですか。


a93

その横顔の輪郭線。
眉間の皺。険しいような
困ったような表情。
やっぱりマーク大尉だ。

この人があれだったのね。
とナタリーも言った。



解説)
続きます。
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Jul 25, 2024

フィギアたちの村で

b1

ビールや食べ物が運ばれてきて、
3人の会話は盛り上がっている。

私たち、ここはドイツの片田舎の小さな村、
という認識だったの。
村を守備していたドイツ軍と、
進駐してきた私たち連合軍が争奪戦を
繰り広げていたというわけ。
でも人間の世界と関係ができて、
わかったことは、ここの風景が、
人間の世界のコピーだったこと。
ジャンっていう人が、
自分の庭に作ったジオラマの集落や、
周辺の自然がそっくりコピーされていたのよ。

ファンタジックな話だね。
ブラッドベリが好きそうな。
とマークが言った。


そればかりじゃない。
ジャンさんの庭で、ジャンさんたちが
フィギアを使っていろんな情景を
作ったり、情況を設定したりすると、
この村で似たようなことが起きて、
時にはその逆の場合もあって、二つの世界に
対応関係があるっていうこともわかった。

なんだかいつも通り、
ややこしくなってきたな。


b2

それって、迷いの森から
怪物がやってくる前のお話でしょう。
怪物をアイスさんが退治してくれてからは、
米軍とドイツ軍が協力し合うようになって、
この村は至って平和。
ジャンさんがご自分の家の庭で、
フィギアで戦争遊びをしても、この村で戦争は
起きなくなったっていう話よ。
と側で聞いていたクリスが言った。


b3

そうそう。
この村の住民も人間の世界に引っ越したりして、
パラレルだった二つの世界が融合した感じね。
とアイスが言った。

村人もだんだん少なくなって、
どうなるのかなあ。


b4

ブランカは隣のテーブルの同僚たちと
話している。

ぶ、物騒だなあ。
そんなの手に持って。

さっきまでこのルガーで、
ハンナと射撃訓練をしてたところなの。


b5

平和とはいえ、
いつ何時怪物が襲ってくるかもしれないからね。
パトロール行ってる?
今日はエルヴィンさんが出かけてる。
彼はジョーたちと人間たちの町に引っ越したけど、
今でも欠かさずパトロールには協力してくれているんだ。
流石にわがドイツ軍部隊の元リーダーだね。


b6

噂をしていると
エルヴィンを乗せたキューベルワーゲンが、
ビアガーデン前に停車した。


b7

やあ、アイスじゃないか。
珍しいな、君がこの村にくるなんて。
とエルヴィンが挨拶している。


b8

アイスはマークをエルヴィンに紹介して、
ここにきた事情もかいつまんで話した。

ふむ。
マークさんは、アフリカ戦線に従軍されていたのか。
私もアフリカでは随分と暴れたものだ。
どこかで遭遇してたかもしれないね。

もしあれが地続きの現実だったら、ですね。
エルヴィン・ロンメル将軍の武勇伝、
砂漠の狐の噂はよく聞きましたよ。

私は自分がフィギアの精霊で、
元になったのがそのロンメル将軍だと
知った時はショックだったな。
私にとってはこの世界の記憶が現実なんだから。

僕の元になったのはどんなフィギアなんだろう。
とマークが言った。

そのことだけどさマーク。
私、あなたの顔どこかでみた気がするって、
ずっと思ってたんだけど、
やっと思い出したわ。本の写真に載ってたのよ。
とアイスが言った。


b9

マークとエルザは驚いている。

その本、ジャンさんの家で見たのも思い出した。
これからジャンさんに会いに行こう。

人間の世界とこちらの世界との最初の接点は、
ジャンさんの家にある倉庫のドアだったの。
フィギア好きのジャンさんはキーパーソンね。
あの本持ってたんだから、
きっとマークのことを知ってるわよ。



解説)
続きます。
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Jul 24, 2024

フィギアたちの村へ

a1

魔術劇場の中の鏡の扉から
フィギアたちの住む村の
リリスの酒場の二階に移動した
マークとアイスとエルザは、
酒場を出てエルザに案内されて村を見て回った。

3人は酒場の前の
ビアガーデンのようなところに
やってきた。


a2

クリス、ビールお代わり。
と客らしき兵士が言っている。


a3

アイスは、クリスと呼ばれた女性が、
リリスの酒場のカウンターで
バーテンダーをしていたのを
思い出した。


a4

近くにいた女性兵士たち、
ブランカとハンナが、
アイスたちに気がついたようだ。


a5

やあエルザ。
それにアイスさんが来るなんて珍しいわね。
とブランカが言った。

お会いできてうれしいわ。
とハンナが言った。
アイスさんはこの村の英雄ですから。
お連れの方は?


a6

ああ、この人はマーク。
あなたたちと同じフィギアの精霊よ。
私の友人で今日は村の見学に来たの。


a7

椅子席に座ったエルザは
さっそくクリスにビールを注文している。
いつもの大ジョッキを三つね。
あと食べ物は適当に。

了解。


a8

マーク、村の感じはどうだった?
とアイスが訊いている。

僕たちの集落と同じくらいの規模かな。
でも住民がフィギアの精霊ばかりなんて驚きだね。
軍装の人ばかりで、戦時中だった
前の世界を思い出したよ。

ブランカたちが
興味深そうに立ち聞きしている。


a9

マークさん。
戦地はどこだったんですか?
と、
好奇心を抑えきれずにブランカが尋ねた。

あ、アフリカ戦線でしたよ。
砂漠を転戦していたんです。


a91

マークはね、
この人間の世界に来てからも、
アフリカに住んでいて、ジャングルの中に
自分たちの集落を開拓したのよ。
とアイスが言った。

すごい方なのね。
行ってみたいわ。
などと話が盛り上がっている。



解説)
続きます。
Posted at 20:28 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Jul 23, 2024

ソフトクリーム

a1

久しぶりにサラたちの部屋。


a2

今日も暑いね。
てるてる坊主そろそろ片付けたら?
昨日の夜は雷雨があって停電したでしょう。
まだ必要なのよ。


a3

部屋にはレイチェルが来ていて、
ペンギンで使っていた古いエスプレッソメーカーを、
ソフトクリームメーカーに改造していた。


a4

これでもうすぐ完成よ。
だけどよくこんなこと思いついたわね。


a5

毎日暑いからね。
改造できないかなと思ってたら、
あなたがロボット学者だったこと
思い出したの。


a6

オセロは無心でバナナを食べている。


a7

みんな注目している。
ソフトクリームミックスを入れて、
そのスイッチを押せばいいのよ。
あ、コーンカップを忘れないで。


a8

なんとソフトクリームが
出来上がった。


a9

サラとレイチェルは
早速ソフトクリームを舐めている。
あま。


a91

実験成功。
実験だったのか。


a92

ねえ、頭蓋骨のお父さん。
この前佳奈がきて、
ウィヴィアンがフミコっていう人を
頭蓋骨から魔法で蘇生させたって言ってたわよ。
お父さんもやってもらったら?
とメアリー=ケイトが言っている。


a93

僕たちはこのままでいいんです。
この姿で蘇ったんですから。
と元人体の骨格標本だったジェイソンが言った。
机の下でメメもメーメーと言っている。



解説)
今回は思いつきで、見た目だけの
ソフトクリームメーカーの簡単工作。
ベースにぷちサンプルシリーズ「ぷちかわキッチン」の
「2、うれしいプレゼント」の
エスプレッソメーカーを使用しています。
パーツを二つに分離して、
間にスチロール板で作った箱状の枠を繋いで
アルミ箔のテープを巻いて高さを出しました。

ソフトクリームは主にアゾンで買ったバラ売りを使っています。
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Jul 22, 2024

マークを案内する

a1

アイスとマークが
魔法劇場を出ると、
広場は割と閑散としていた。
毎日暑いのでみんな家に篭りがちのようだ。


a2

マークじゃない?
と佳奈が言っている。
やあ佳奈。

鏡の扉を使って
アフリカから直行で来たのよ。
とアイスが言っている。


a3

こっちはマーク。
あっちはルビー。
一緒にベーカリーを経営してる
CGの仲間で私の相棒よ。
とアイスがルビーを紹介している。

佳奈から色々聞いてるわ。
どうぞよろしく。


a4

マークはフィギアの精霊なの。
誰かジャンのジオラマの村の人、
広場に来てないかなあ。

さっきジョー軍曹とエルザを
見かけたけど。


a5

ジョー軍曹とエルザは
マンゴー亭で肉まんを食べていた。


a6

また涼しそうなのに着替えたのね。
夏はこういうのが一番。
とアンナが言っている。


a7

やあ、ジョー、エルザ。
君たちに紹介したい人がいるんだ。
こちらはマーク。
君たちと同じように
かっては戦時中の世界で暮らしていた
フィギアの精霊だよ。


a8

それは珍しいですね。
魔族のヴィヴイアンやハリーが
フィギアや動物の精霊を、
魔法で人間の姿にしてしまうのは、
何度も見ていますが、あなたも?


a9

いや、そんなことのできる
魔族の存在を知ったのは
この世界に来てからのことです。
僕はてっきり自分が人間だと思い込んでいたので、
いまだに自分がどんなフィギアだったのかさえ
知らないんです。


a91

私たちもみんなそうでしたよ。
僕らがいたのはヨーロッパ戦線で、
小さな村をドイツ軍から守る部隊の軍曹だったんですが、
こちらの世界と接触があってから、
真相がわかってきたんです。
今はこんな格好していますが、
ずっと軍服姿で、なぜか、こんな
ドッグタグを身につけていたんです。

ジュー軍曹が取り出してみせたドッグタグには、
GIジョーと刻まれていた。


a92

私はエルザ。
戦地ではジョーの部下だったの。
戦場だった村は怪物に襲われたのがきっかけで、
アメリカ軍とドイツ軍が協力するようになり、
今では平和に共存して、
不意の怪物の襲来に備えながら暮らしている。
ルーマニアにある別の世界に行った人たちや、
私たちみたいにこの町に移住した人も多くて、
村人の数は減少気味だけど、
私たちの故郷であることに変わりないの。
私がご案内するわ。


a93

マンゴー亭の従業員の
アンナとレイはそばで話を聞いていた。

フィギアの精霊の人たちって、
私たち人間とどこが違うのか、
よくわからないけど、
故郷があるっていいわね。



解説)
続きます。
Posted at 20:30 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Jul 21, 2024

町に帰る

a1

魔術劇場の応接間で
ハリーとヴィヴィアンとマリアが寛いでいると、
鏡の扉が現れ、
鏡の中からアイスが姿を現した。
続いてマークとフミコも出てきた。


a2

おや、お戻りね。
今あなたたちの噂をしていたところよ。
そちらの方は新しいお客様かしら。
とヴィヴィアンがいった。


a3

あ、僕はマークといいます。
アフリカのジャングルの奥地で
小さな集落の長をしています。

マークはフィギアの精霊なの。
ジャンのジオラマの村の、
人たちと同じ身の上みたいなので、
彼らに一度に会ってみたらって私が誘ったのよ。
とアイスが言った。


a4

なるほど。
私はこの館の当主のハリーで、
隣にいるのが娘のヴィヴィアン。
後ろに立っているのが姪のマリアです。
はるばる魔術劇場にようこそ。

はるばるって言っても鏡の扉を使えば、
一瞬でしょう。
ねえ最初にアイスが出てきたっていうことは、
まさか、アイスが魔法を使ったの?
とヴィヴィアンが言った。

そのまさかなの。
私、フミコに呪力を授けてもらっちゃった。


a5

一行は、運ばれてきた
料理に舌鼓を打っている。

魔法陣の上に建てられた、
この館の中なら別だけど、
どこでも鏡の扉が作れるなんてすごいわ。
私なんて同じ魔族なのに、黒猫に変身することと、
箒に乗って空を飛ぶことしかできないのよ。
とマリアが言った。

どちらも楽しそうね。
魔族はみんな特技を持って生まれてくる。
それは今も変わらないのかしら。


a6

変わらないわよ。
でも今では数も少なくなってね。
魔族でも魔法を使わない人たちもいるし、
自分が魔族だって知らない人もいる。
私、親戚以外の魔族の人に会ったのって久しぶり。
あ、犬猫同盟の集まりがあるから行かなくちゃ。
また今度お話ししましょう。
そういうと、マリアは出かけて行った。


a7

入れ替わりのように、
出現した鏡の扉から女性が現れた。


a8

あら、みなさん賑やかなこと。
私はハリーの妻のカーミラと言います。

あなたが話題のフミコさんね。
お部屋を用意してあるから、
いつでもご案内するわ。


a9

ありがとうございます。
早速ご厚意に甘えようかな。
なんだか蘇ってから
あちこち移動したせいか
ちょっと疲れちゃって。


a91

アイス、その素敵な指輪どうしたの?
とヴィヴィアンが聞いた。

フミコが、肩飾りの宝石を外して
作ってくれたのよ。
はめていると呪力が亢進するんだって。


a92

寝室もあるから
ゆっくりお休みになるといいわ。
ありがとうございます。
お言葉に甘えて。

二人は部屋を出て行った。


a93

私たちは
誰かジオラマ村出身の人がいないか、
広場に探しに行ってみるわ。
とアイスが言った。

ジオラマの村への鏡の扉は
魔術劇場の中からね。
呪文は彼らが知ってるから。
とヴィヴィアンが言った。

ありがとう。
ヴィヴィアン、さっき話した通り、
私どこでも鏡の扉を作れるのよ。もちろん、
その力は無闇に使わないつもりだけど。
では、ハリーさん、失礼します。

そう言って軽く会釈すると、
アイスとマークは部屋を出て行った。


a94

二人だけになった。

アイスのはめていた指輪って。

うん俗にいう魔法使いの指輪として
魔族の間では知られているものだな。
生前フミコがいくつか作ったものが、
ずっと伝わっていたのかもしれない。

それにしてもフミコが呪力を授けたのが、
アイスでよかったよ。
もしお前みたいなお転婆娘に授けていたら。

これからどうなるか
わからないでしょ。
そりゃそうだな。



解説)
続きます。
Posted at 20:26 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Jul 20, 2024

フミコの帰郷 そのろく

a1

それにしても、
アイスが早く戻ってきたので驚いたよ。
ジャングルだけでも大変なのに、
そのうえ砂漠を超えて、
飛行機ではるばる海を越えて、
アイスの住む国まで、
急いでも片道で2、3日はかかるだろう。
とクラウドが言った。

フミコの魔法で一瞬で来たのよ。

そんなことが可能なの?

私にはわかるぞ。
リンリンから聞いたことがある。
古代の魔族は魔法で鏡の扉を出現させて
自由に遠方と行き来していたという。
グリューンも使えると言っていた。
とハンスが言った。

そういうことなのよ。
私の住む町にもフラハのような魔族の人たちがいてね。
その一家の娘さんがフミコを蘇生してくれたうえに、
一家の住む魔術劇場っていう館に
フミコは同居させてもらえることになったの。
私は故郷の様子が知りたいというフミコに便乗して、
蘇生が無事に成功したことを
みんなにお知らせしたくて来たんだけど、
あとはマークに会って帰るつもり。
とアイスが言った。


a2

フミコの蘇生が無事に成功したことは、
アーネストやアンドレアにも伝えておくわ。
またいつでも遊びにきてね。
というリンたちに見送られて、
アイスとフミコはクラウドの家を後にした。

マークっていう人は
この集落のリーダーだって言ってたわね。
そうなの。
あなたが無事に蘇生したら
あなたを案内してこの集落に戻ってくるから、
その時また会えるってマークに言ってあったの。
こんなに早くそんな機会が来るとは
思ってなかったけど。


a3

二人はマークの家に向かっていた。

マークはね。
あなたと同じように蘇生した人。
あ、それは全然違うかな。
マークは人間じゃなくて、
6分の1サイズのアクションフィギアの精霊なのよ。
でもずっと自分が人間だと思い込んでいた。
彼は戦争中に兵士として活動していたんだけど、
砂漠で嵐に巻き込まれて、そこを抜け出したら、
戦争がとっくに終わった未来であるような、
この世界に来ていたという。
でもマークが最初に生きていたのは、
誰かの想像が産んだフィギアの精霊たちの世界で、
あなたのように、同じこの世界の過去から
未来に蘇ったというわけじゃなかった。
だからこの世界に馴染めなくて、
ジャングルの奥地に集落を開いたんだけど、
リーダーのくせに寂しがり屋なの。

誰が考えたのかややこしすぎる話ね。


a4

マークの家に着くと、
クラウドの家で見かけたアマンダが
すでに庭仕事の手伝いに来ていた。
庭で草むしりをしていたマークが
気がついて近づいてきた。

アイス。驚いたな。
三日前に帰ったばかりだと思ったら、
何か途中でトラブルがあって
戻って来たのかい。

いいえ。無事に帰国して、
蘇生の呪術に成功したことを伝えに来たのよ。
この人がフミコ。


a5

アイスたちが移動に使った
鏡の扉の説明をすると、話題は
どうしてもその話になった。

鏡の扉と違って、
マークが体験した砂嵐は幽冥界との通路で、
魔法では生み出せないって、
フラウが言っていたけど。

それはその通りね。
誰でも死ぬことはできても、
自分だけの意思で戻って来れるような便利な扉はない。
鏡の扉で行けるのは現実に繋がっている別の場所や
命あるものたちの夢や想像、呪力で作られた異世界。
似ているようで全く別のことなの。

砂嵐の前にいた世界のことは、
もうあまり思い出すこともないけど、
僕はそこで第二次世界大戦の
アフリカ戦線に従軍していた兵士だったんだ。
アイスがよく似た戦争中の異世界に行ったことがあって、
そこではフィギアたちの精霊が暮らしていたというので、
初めて自分もフィギアの精霊だったことを知った。
とマークが言った。


a6

最初は自分が砂漠で戦死して、あの世にいき、
何かの計らいか偶然で、フミコみたいに未来の世界に
蘇ったんだとばかり思っていたけれど、
フラウにも最初からフィギアの精霊だと
わかっていたと言われてちょっとショックだったな。
今はもう昔のことは関係ないけどね。

戦時中だった世界が懐かしくならない?

まあ、ごくたまにはね。

だったら私の知っている、
フィギアの精霊たちの村に案内してあげられるわよ。
前にも言ったように、
私の住む町にいる魔族一家の館には、
彼らの暮らす世界に行ける鏡の扉があるの。
今ではその扉を使って村の住人たちの何人かは、
私たちの町に移り住んでいるわ。

アイス。
そんな面倒なことをしなくても
あなたの呪力で鏡の扉を生み出せば、
直接ここからその村に行けるのよ。

え。

でもまあ手順を踏んだほうがいいわね。
ひとまず魔術劇場のある町に戻って、
その村の人にマークを紹介して
承諾してもらってからのほうがいい。

私の生きていた頃には、
6分の1サイズのアクションフィギアなんてなかったけど、
木や土の人形に宿った精霊たちとはよく遊んだりした。
彼らを憶う人々の願いと彼らの願いが重なって、
そこに意志を持ったものの呪力が加わると
小さな夢のような共同の世界が生まれることがある。
そういう世界はうたかたのように
とても繊細で壊れやすいものなの。
不意の来訪者には拒絶反応を示すこともある。

そうなのね。


a7

アイスが魔術劇場を思い浮かべて
脳裏に浮かんだ言葉を口にすると、
部屋の中に鏡の扉が現れた。

マークさん、
私もアイスの住む町で 
いろんな人に出会うのが楽しみ。
あなたもいらっしゃる?

う、うん。
もちろん。
その前に庭仕事を手伝ってくれている
アマンダに留守番を頼んでくるよ。
この集落には泥棒なんていないけど、
猿が来て時々悪戯するんだ。


a8

マークはアマンダに訳を話して
留守番を頼んでいる。
貴重品は何もないけど、
大きな鳥の羽根だけが気がかりなんだ。

いいわよ。鏡の扉を使って行くなんて
フラウが聞いたらきっと羨ましがるわね。


a9

かくてアイスたちは
魔術劇場に戻って行った。
グリーンマンが
ちょっと悩ましそうな顔をして
その動きをじっと眺めている。



解説)
続きます
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Jul 19, 2024

フミコの帰郷 そのご

a1

コーヒーを飲んでいたフラハは、
裏庭に突然鏡の扉が出現したので驚いている。


a2

扉からは、アイスが、
知らない女性を連れて現れた。

君は先日マークと一緒に来た
アイス君だったな。
呪力がさっぱりだった君が
鏡の扉を使ったのか?

あ、まあそのようです。
あちらの女性はフミコよ。
この前の頭蓋骨、無事に蘇生に成功したの。


a3

フラハとアイスは
冗談のような挨拶を交わしている。

あなたがフラハさんね。
私の蘇生を試みてくださった方だと
アイスから伺いました。
私はフミコ、その昔魔族の都で
暮らしていました。

おお、伝承どうりだったわけか。

突然驚かせて悪かったけれど、
フミコの蘇生を気にかけてくれていた皆さんに、
特にハンスさんに早く伝えたくて、
この集落に戻ってきたの。
とアイスが言った。


a4

鏡の扉には出現させる呪文と、
移動するための呪文があるんだったな。
魔術の書があれば私にも可能なんだが。

魔術の書。私もハリーさんの魔術劇場で、
拝見しました。
でも私が生きていたのは、
その書物が編纂されるずっと前のこと。
呪力のある人はみんな自分で呪文を生み出す
力を持っていたのよ。

そうかハリーに会ったのか。
蘇生の呪文を唱えたのはやはりあいつだったか。

そうじゃなくて、フミコを蘇生させたのは、
私が言ってたハリーの娘のヴィヴィアンっていう悪魔。
とアイスが言った。
そうだ、フミコの蘇生って言えば
そのことをハンスさんたちに伝えにきたんだった。
そろそろ行かないと。


a5

ということで、
アイスとフミコはフラハの家を後にした。

フラハさん、ずいぶん鏡の扉にこだわっていたわね。
どこでも扉を生み出すことができれば便利でしょう。
今のあなたにはそれが可能なのよ。
でも無闇に使うべきじゃない。
鏡の扉に頼りすぎると肥り過ぎたりして
悲惨なことになるわ。
健康のために歩きましょう。


a6

二人はクラウドの家のまえにたどり着いた。
みんないるかなあ。


a7

アイスがあまりにも早く
戻ってきたので、
みんな何があったのかと驚いていたが、
魔術で蘇生したフミコが一緒にいるとを聞くと、
最初の驚きは別の驚きに変わっていった。


a8

お父さん、これで心置きなく
リンリンに会いに行けるわね。

うん。グリューンとの約束が果たせたことになるからな。
グリューンはもうフミコさんに会って、
知っているんだろうけど。
あ、グリューンっていうのは
グリーンマンのことですよ。
フミコさん、グリューンは元気でしたか?

ええ、今たぶんその辺にいると思いますわ。
とフミコは言った。


a9

なんとグリーンマンは、
ジャングルの茂みから姿を現した。
ハンスを見つめて
喜んでいるようにも見ようと思えば見える。

なんとあんなところに。

私たちについてきたんです。
そういうとフミコは、
何やらグリーマンに聞こえない声で
話しかけている。


a91

しばらくしてグリーンマンの姿は
ジャングルの中に消えていた。

何を話していたんです?

茂みから私たちの様子を見ていて、
ハンスさんがいるのに気がついて、
思わず顔を出したらしいわ。
ハンスさんが蘇生したことは、
リンリンから聞いて知ってたって。

シーザーがリンリンに
伝えてくれたんだわ。
とアイスが言った。

ハンスさん、
あなたが約束を守ってくれたことを、
すごく喜んでいましたよ。
リンリンも会いたがっているって。

そ、そうでしたか。

ずっと私たちについていきたいけど、
遺跡からあまり離れると
遺跡やジャングルを守れなくなる。
とも言ってた。
あなたはもう自由なんだから、
好きにしていいのよ。
って言っておいたわ。
あれで結構悩んでいるのよ。

複雑なストーカー心理なのね。
とアイスが言った。



解説)
続きます。
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Jul 18, 2024

フミコの帰郷 そのよん

a1

二人が月の扉のある部屋に戻ると、
リザードがまっていた。

おお、フミコ、蘇ったのだな。
ここの月の扉が使われたので、
もしやと思ってきてみたら、
やはりお前だったか。

リザード、本当に久しぶりね。
あなたが魔族の蘇生の呪文を
アイスに教えてくれたおかげで、
蘇ることができたの。
感謝してるわ。


a2

大昔の仲間内の戦争の結果、
というか、正確にはお前が死んでからのことだが、
我々レプテュリアンはむやみに人間と
接触してはならないという決まりになったんだ。
戦争が起きたのも、我々だけが
魔族と接触して文化を分かち合い、
仲間の嫉妬を買ったしまったのが原因だったからな。
ここの再興計画が中断したのもそのせいで、
魔族の協力が得られなくなったのでね。

だから人間に我々が記録した魔族の
呪文を教えるのは協定違反だったんだが、
あのグリーンマンの身の上が哀れでね。
再会を果たして自由にしてやったかい。

フミコはアイスにも話した
グリーンマンや動物たちとのやりとりを、
リザードにも伝えた。


a3

なんとそんなことを言ったか。
お前のかけた魔法が強力すぎたのかもしれないな。
はは冗談だよ。
彼らが遺跡とその周辺を
これからも守ってくれるのは
我々にとっても好都合だ。

私が蘇ったことをお仲間に知らせたの?

いや知らせるつもりもないよ。
知らせても、再生を繰り返して
生き継いでいる仲間も少なくなり、
お前の強大な呪力のことを覚えているものは、
もうほとんどいないだろう。

私はたまたまジャングルにリクガメ探しにきて、
知り合ったチンパンジーのリンリンに
何度かここの遺跡にまつわる昔語りをしていて、
お前のことをよく覚えていただけだ。
そうしたらグリーンマンの、お前を慕う、
哀れな話を聞いたのだよ。

あなたたちのリクガメ収集の趣味は変わってないのね。
とフミコが言った。

そうなんだ。
あ、そろそろおやつの時間なので
失礼するよ。
とリザードは言った。


a4

あっという間に行っちゃったわね。
レプティリアンって、
1日に何回おやつを食べるのかな。

ねえフミコ、もしできたら、
私、あなたの蘇生が成功したことを、
一緒にいった人たちにも教えてあげたいんだけど。
みんなどうなったか気にしていると思うの。

アイスはフミコより先に蘇ったハンスが、
特に気にかけていたことをかいつまんで話した。

鏡の扉を使ったらマークの集落にも行けるの?
とアイスが言った。

場所が特定できれば、どこにでも行けるわよ。
それはどのあたりにあるの?
この上にある集落の遺跡から
谷の渓流を越えてジャングルの斜面を登って
半日くらいの距離にある。

私が生きていた頃には、
都の近くにそんな集落なんてなかったわ。

マークっていう人が開拓したんだって。
それでマークの集落ってみんな呼んでる。
そこにはフラハっていう魔族の魔術師も住んでるの。
フラハは、あなたを甦らそうとしてくれた人よ。
呪力不足で頭蓋骨が震えただけで、
うまくいかなかったけれど。

ああ、なんとなく思い出した。
魔族の人だったら、
鏡の扉のことも知っているから
驚くこともないでしょう。
その人の家に行きましょう。

その前に、色々お世話になった
あなたに呪力を授けるから。


a5

そういうと、
フミコは持っていた肩飾りを手に取って、
肩飾りに嵌め込まれていた一粒の宝石を外し、
呪文を唱えた。

するとその宝石の嵌め込まれた
金の指輪が出現した。

これは私とグリーンマンからの
感謝の気持ちとして受け取って。


a6

フミコはアイスに向かって
呪文を唱えてから言った。

私は今、あなたに呪力を授けたの。
この指輪はあなたの呪力を昂めてくれる。


a7

どの指にはめればいいの?

右手の中指がいいのよ。
指輪には他にも効力があるけど、
それははめているとわかるわ。


a8

じゃあ、出発しましょう。
そのフラハの家の様子を思い浮かべて。
そして浮かんできた言葉を唱えるのよ。


a9

アイスが言われた通り、
フラハの家を思い浮かべて
脳裏に浮かんできた言葉を唱えると、
部屋の中に鏡の扉が出現した。
扉は中空に浮かんでいる。

こんなことが。

レプテュリアンの月の扉を使うと、
またリザードに迷惑かけるから。

彼らの月の扉や光の石は
たいてい固定された装置のようなもので、
マニュアルにある呪文で行き来するの。
魔族に伝わる鏡の扉は、
そういう使い方もできるし、
その都度出現させることもできる。
コツを覚えれば簡単で
ずっと便利よ。



解説)
続きます。
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Jul 17, 2024

フミコの帰郷 そのさん

a1

これでみんな見て回ったわ。
あとは地底の都の跡ね。


a2,jpg

二人は前にアイスがリザードと会話した
廃墟の一室に出た。

ここに出られるんだ。
彼らの月の扉を使ったの?

そうなの。
ここに来るためにリザードたちが
使っていた扉があったのを思い出したの。
今唱えたのは彼らの呪文よ。


a3

二人は回廊を歩いていく。

こんなふうに普通に呼吸できる空間を
少しずつ広げていく計画だったんだけど、
ここは私が死ぬ前とあまり変わっていない。


a4

あそこから外の様子を
見られるはず。
とフミコは言った。


a5

これを映し出しているのは、
私たちの魔法じゃなくて
リザードたちの技術。
彼らは水中が苦手だから。


a6

すっかり水草に覆われているけど、
華やかな都だったのよ。


a7

あ、マービーだ。
とアイスが言った。

マービーって、あの生き物のこと?

ええ。マービーはグリーンマンみたいに、
ここで誕生した変異種じゃないかって、
リザードが言っていたわ。
マービーが生まれたのは、
あなたが亡くなって後のことだって。
でもいつもここで何をしてるのか、
リザードもよく知らないって言ってたわよ。


a8

ここでは都の一部を再興するために、
リザードたちと協力して
魔法を相当使ったから、そのせいで
生まれたんでしょうね。
誰かが住んでくれれば嬉しいわ。
とフミコは言った。

マービーは姿を見られていることに
気が付かずに遠ざかっていった。


a9

水底にはマービーがゴルゴーって呼んでた
タコと魚のキメラみたいな
生き物もいたわよ。

ふーん。
長い歳月の間に私の知らないことが
色々と起きていたのね。

ジャングルには、
リンリンやシーザーっていう、
知能が進化した動物たちも生まれているの。



解説)
続きます。
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Jul 16, 2024

フミコの帰郷 そのに

a1

鏡の扉を抜けると、
そこは山の遺跡の中の広場だった。

ここに水盤があるね。
この側の石畳の下に
私たちより前に来たハンスっていう探検家が、
フミコのお墓の副葬品を集めて
隠してあるって聞いたよ。

ええ、さっき肩飾りを受け取ったとき、
グリーンマンも言ってたわ。
そんなことも話してたんだ。
彼はああみえて結構お利口さんなのよ。


a2

ここはね。
山の上にあって気候がいいから、
避暑地になっていたの。
山頂の展望台とも近いし。
展望台って、ストーンサークルのことかな。

そこには展望台って呼ばれる施設があって、
周囲の巨石群は、空から都を訪れる人たちのための、
目印になったりしていた。
でも戦争の時に徹底的に破壊された。

二人は建物の中に入っていく。


a3

確かに風が通り抜けて見晴らしも良くて、
気持ちがいいところね。
そうでしょう。
ここで友達とおしゃべりしたり
お昼寝するのが最高だった。


a4

ところでさっき
グリーンマンと話してたのはね。
とフミコが言った。

「あなたは長い間、ここが廃墟になってからも、
いつか私が蘇ることを信じて、
ずっとこの土地を守っていてくれたけれど、
もうそれも終わり。
私は私が死んだ後も、残された人たちが
安全に暮らせるように、あなたや動物たちに
この土地を守るように魔法をかけた。
でも長い歳月が流れ、住む人はもう誰もいない。
あなたは充分立派に役目を果たしてくれた。
もう自由になれるように魔法を解いてあげる」
って、私が言ったの。
そうしたらグリーンマンはちょっと考え込んでから、
これまで通りでいいって言ったのよ。

彼のいうのには、
何百年かに一度は、昔ここに住んでいた
人の子孫がこの遺跡を訪れることがあって、
伝承の記憶をよすがに、
都のいにしえの栄華を偲んでいくそうなの。
自分ではもう先祖の過去も知らずに
導かれるように来る人もいるという。
その人にとって、そんな体験は
一生に一度きりのことかもしれない。
でもその一度きりの体験の記憶が、
世代を超えて蘇り、繰り返されているんだと。
そんな魔族の末裔の訪問が絶えるまで、
この土地を守り続けたいというのよ。

その気持ちは嬉しいけど、
って私が言いかけたら、
いつの間にか周りに寄ってきていた動物たちが、
そうだそうだって言い出しちゃって。
私泣きそうになって、
わかったわかったって言って
逃げてきたの。


a5

ここは広場。子供がよく走って
よそ見してつまづいて転んで泣いてたわ。


a6

まるで別の星で見た記憶のように、
鮮やかに蘇る。


a7

あんなところにグリーンマンが。
彼はこの土地の中ならどこにでも
鏡の扉を出現させることができるから、
ああやってついてくるのよ。
次は祭壇のある湖の洞窟に行きましょう。


a8

ここの扉は特別なの?
ここだけは光る石でできてるの。
リザードたちの月の扉と同じ
仕組みが残っている。
彼らと一緒に暮らしていた頃の名残よ。


a9

ラッセルたちから話は聞いてたけど、
ここはすごいな。
魔族たちはこの土地に来て、
最初はこの洞窟に住んだと言われてる。
横穴式の住居跡があるはずよ。


a91

ここは私の墓所。
元は別世界に旅立つ人たちのための
特別な鏡の扉が置かれた祭壇だったの。
そんな場所にみんなで私を葬ってくれた。

グリーンマンがまた来てるわよ。
こっちにくればいいのに。
ああしてついてきて
覗いてみてるのが好きなのよ。
しょうもないやつなのね。



解説)
続きます。
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Jul 15, 2024

フミコの帰郷

a1

鏡の扉が現れたのは、
集落の遺跡の建物の中だった。


a2

鏡をすり抜けてフミコが姿を現した。


a3

続いてアイスもやってきた。
ああ、こんなふうに変わり果てて。
とフミコが言っている。


a4

ジャングルの眺めは変わらない。


a5

あそこの石畳が動いて、
地下へ降りる階段が開いたんだけど。
ええ、その仕掛け覚えてるわ。
戦さの前には仕掛けはなくて、
誰でも自由に降りていけたの。


a6

二人は集落の遺跡の外に出て、
遺跡前の広場を歩いている。

ここには賑やかな市が立ったの。
魔族以外の人たちとの交易も盛んだった。

この城塞都市みたいな造りはどうして。
最初は他の部族からの攻撃を防ぐためだった。
でもこんな風にしたのは、むしろ権威付のためよ。
この牢固で神聖そうな壁のおかげで、
地上での争いはほとんどなくなった。


a7

ちょっとだけ一人にしてね。
と言ってフミコは広場に佇んでいた。
はるか昔を思い出しているようだ。


a8

やがてジャングルの茂みから
グリーンマンが姿を現した。
嬉しそうな顔をしているようにも
見ようと思えば見える。


a9

フミコも気がついて
グリーンマンに近づいていった。
グリーンマンはバッグから
肩飾りを取り出して、
フミコに差し出している。

二人は声に出さない会話をしていた。
グリーンマンの顔には
やはり嬉しさが滲み出ている気がする。


a91

私の頭蓋骨を受け取ってくれて、
魔術師を見つけて私を蘇らせてくれたあなたに、
お礼を言いたいって言ってる。

お礼なんて。
まあよかったよかった。
と照れながらアイスは言った。


a92

やがて周りに動物たちが集まってきた。
フミコはかなり長い間、
アイスには聞き取れない会話をしていた。


a93

二人は鏡の扉のある建物に戻った。

アイスは他の遺跡は見たの?
調査隊は三つのグループに分かれて別行動したからね。
私が見たのはこの集落跡と地下の都だけ。
だったらこれから見てまわりましょう。
どんな様子か知りたいの。
と肩飾りを外したフミコが言った。

うん。ところでさっき
何話してたの?
色々とね。あとで話すわ。



解説)
続きます。
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Jul 14, 2024

フミコとの対話

a1

魔術劇場では
4人が応接室でくつろいでいた。


a2

どうです。その魔術書を読まれた感想は。
出版されたのは随分昔で、
古いものと聞くが。


a3

私からすれば新情報が盛り沢山です。
特に黒表紙の本は薬草のことで為になるわ。
赤い表紙の本はほとんど既知の呪文ばかり。
でもこんなマニュアルがあると便利ですね。
私たちは文字を持たなかったから。

でもすらすらお読みになって。

読むというより感じとるんです。


a4

カメ新聞か。
これ見るの久しぶり。
去年の一月以来かしら。
レプテュリアンが地底世界や
月の裏側で発行している新聞だって、
そのとき管理局のミラが言ってたけど、
私は彼らには直接会ったことがない。
フミコは昔仲良くしてたんでしょう。

いい人たちですよ。
特に私たちと交流していた人たちは。

新聞に書き写してある蘇生の呪文は、
水没した都でリザードが教えてくれたのよ。
彼らは魔族の呪文を聞き取って記録保存していたの。
とアイスが言った。

あなたは地下の都まで行ったのね。
水没した都の一部の再建を、彼らと協力してやっていたの。
私はその途中で死んじゃったんですけど、
あれがどうなったのか。


a5

フミコは立ち上がると、
さっと手を振って、短く呪文を唱えた。

するとそこに扉が現れた。

a6

この館は魔法陣の上に建てられているんですね。
魔法の効力が素晴らしいわ。
この扉は今、私の故郷の集落の跡と繋がっています。
そこに行っても、もう人は誰もいないことはわかっていますが、
そこに私の帰りをずっと待っているものがいるんです。
彼に私が蘇ったことを知らせに行ってきます。


a7

なるほど、お見事な呪文ですな。
鏡の扉は、この魔術劇場の中では、
各部屋の出入り口にも使っています。
あなた専用の部屋もすぐ用意しますから、
お戻りになったら是非自由にお使いください。

重ね重ね、ありがとうございます。
今の私に人間の知り合いはあなた方だけ。
必要なことを済ませたら、
また戻ってきて、お世話になりますわ。
その節はどうぞよろしく。


a8

私も一緒に行っていい?
もちろんよアイス。
こんなふうに呪文を呟いて。

二人は鏡の扉の中に消えていった。


a9

お前、とんでもない人を蘇らせたな。
そうなの?
あの人の特別な能力は、
多分生き物全般に呪力を授けることができることだ。
それって変わった能力なの?
魔族というのは魔法が使えるだけで
体は普通の人間とかわらないだろう。
彼女は普通の人間にも呪力を与えて、
魔族と同等の力を持つようにしてしまえるのさ。
ふーん、そのどこが凄いのか、
いまいちよくわからないけど。
まあいいさ。
くれぐれも仲良くやってくれよ。
喧嘩する理由なんてないよ。
いい人みたいだし。



解説)
続きます。
Posted at 20:29 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Jul 13, 2024

新たな出会いなど

a1

喫茶ペンギンの前で、
バグとミラが話している。
はるなが今日のサービスはバナナです。
と言っている。


a2

今度の波動はすごかったね。
発信源はこのすぐ近くだよ。あんな強力なの、
これまで体感したことがなかった。

この近くっていうことは、
魔族のハリー一家が怪しいわね。

使われたのは前のと同じタイプの蘇生の呪文だ。

情報管理部に戻って、
詳細を確かめてこようか。


a3

でも報告あげても、
局長動くかなあ。
あ、このバナナ甘くておいしいね。
なんだか癖になりそう。


a4

友達の佳奈から、
さっき旅行のお土産にもらったんです。
佳奈はアフリカに行ってたんですよ。
とはるなは嬉しそうに言った。


a5

その頃、魔術劇場に招かれたフミコは、
ハリーに面会していた。

おや、これは新しいお客人かな。
フミコって言います。


a6

アイスは知ってるわよね。
うん。顔馴染みだよ。
フミコはね。大昔にアフリカで生きていた魔族の人、
私が魔法を使って頭蓋骨から蘇生したのよ。

なんとお前、あの蘇生の呪文を唱えたのか。

正確には古代の魔族が使っていた呪文だけどね。
アフリカで栄えていた古代の魔族っていうと、
お父さんのご先祖かもしれないわよね。

ふむ。魔族と言っても色々だからね。
アフリカに魔族たちの都があったという話は聞いているが、
それ以前に、すでに魔族は世界に分散していた。

よくご存知ですね。
おっしゃる通りですわ。
私たちの都の歴史は、
魔族全体の歴史のごく一部なのです。
とフミコは言った。


a7

その頃、マンゴー亭では、
ルビーたちが話していた。

それでラッセル、
これからどうするの。


a8

あそこの遺跡調査はほぼ終わり、
副葬品が入手できれば希少で学術的な価値もあるが、
なにせ所有者が蘇っちゃったからね。
遺跡の存在もとても公表するわけにいかない。
最終的にはクラウドたちと相談して決めることだけど。
僕はまたどこか別の秘境を探すよ。


a9

いくつになっても探検をやめないで、
新たなロマンを求め続けるあなたらしいわね。
それでさっき話していた大きな鳥の羽根の話は?

うん、巨大な鳥の発見にはロマンがあるんだが、
もし魔法や魔族が絡んでいるとすると、
僕の求めるロマンとはちょっと違うんだなあ。


a91

私は一人でも出かけて行って、
マークと一緒にその鳥を探したい。
せっかく友達になれたんだし。
でもマークの集落まではあまりにも遠いのよね。
と佳奈は言った。



解説)
続きます。
Posted at 21:09 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Jul 12, 2024

蘇生の呪術

a1

佳奈がお土産のバナナを
知り合いに配りにいったあと、
二階のデジャから肉まんを食べに
ヴィヴィアンが降りてきた。

おや、アイス。
しばらくぶりね。
休暇で旅行にいってたんだって?
と言っている。


a2

アイスは、
実はあなたに頼みたいことがあるんだけど。
と言って、かいつまんで、
ヴィヴィアンに旅先でのいきさつを説明した。

ふーん。アイスの直々のご指名とあれば、
断るわけにいかないわね。


a3

アイスはヴィヴィアンにカメ新聞を
手渡した。
この呪文、魔法の書に載っているのと
微妙に違うわね。
古代の魔族はこんなふうに唱えていたんだ。

できそう?
微妙な違いだからすぐ暗記できるよ。
でも死者の頭蓋骨の蘇生はやったことがない。
自然の摂理に反する呪法で、
蘇る途中で失敗すると恐ろしいことが起きるから、
滅多なことで使うなって、
ハリーに釘を刺されてるのよ。


a4

でもやっちゃうけど。
というと、
ヴィヴィアンは両手をかざして
呪文を唱え始めた。


a5

あたりに薄い煙がたちのぼり。

しかし頭蓋骨は小刻みに震えただけで、
何も起きなかった。


a6

こうなったら、本気を出すわ。
そういうとヴィヴィアンは
本来の悪魔の姿に変身した。
呪文を唱え指先に思念を集中している。


a7

ヴィヴィアンの目がひときわ輝いている。


a8

すると、頭蓋骨の輪郭が薄らぎ、
薄い煙の中から女性が現れた。


a9

あなたが蘇らせてくれたのね。
どうもありがとう。
わたしはフミコ。
とその女性は言った。


a91

どういたしまして。
お礼ならそこにいるアイスに言って。
私は頼まれてお手伝いしただけなの。
だけどエネルギー使いすぎて、
流石にもうフラフラよ。
とヴィヴィアンは言った。


a92

アイス。あなたのことは知ってるわ。
あなたも蘇生の呪文を唱えてくれたでしょう。
その時は、あなたたちのいうグリーンマンを
呼び出すためだったけど、
あの時私の意識は目覚めかけていたの。

私呪力や魔力なんて全然ないのよ。

無心の境地は似たようなものなのよ。
だから私はあなたにも呪力を授けられるわ。
グリーンマンにそうしたようにね。


a93

あら、あなたって変幻自在なのね。
そうか。あなたも当然魔族なのね。
でもそんな変身ができるっていうことは。

私は魔族というか、
魔族とヴァンパイアのハイブリッドで生まれて、
それからなぜか悪魔になったのよ。
ヴィヴィアンっていうの。
パワーを使い切ったみたいだし、
普段はこの姿の方が楽だから。

そうだ。父にも紹介したいから、
すぐそこの魔術劇場に来ない?
父は純正魔族だし、あなた方の子孫かもしれない。

喜んで伺うわ。



解説)
続きます。
Posted at 20:27 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Jul 11, 2024

旅行の報告

a1

4人を乗せたジープは、
町の広場に到着した。


a2

随分早かったのね。
とルビーが言っている。


a3

うん色々と事情があってね。
とラッセル。


a4

アイスと佳奈は
竹の飾り付けを見ている。

そういえば七夕だったんだね。
私も短冊に願いごと書きたかったなあ。
と佳奈が言っている。
何書くの?
いつか先輩みたいになりたいって。


a5

3人はルビーに遺跡調査旅行の
報告をしている。

なるほど、色々大変だったのね。
それってお土産?


a6

このキノコはバター炒めが美味しいらしいよ。
現地でも滅多に手に入らないんだってさ。

このバナナは、帰りに寄った村で、
叩き売りしてたの。
現地ではいつでも手に入るんだって。
と佳奈が言った。


a7

それでそれが問題の頭蓋骨ね。
ヴィヴィアンはどこに?
デジャにいると思うよ。
あれ、調査隊って、
もう一人いたんじゃなかった?
ブラッドならドルフィンのベランダに。


a8

ブラッドはベランダで、
マヤたちと話していた。

アフリカの夜空って
澄んでいてとても綺麗なんだ。
天の川がこうさーっと流れててさ。
七夕のこと思い出しちゃった。


a9

私ちょっと用事思い出したから、
席外すわ。
とナディアが言っている。



解説)
続きます。
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Jul 10, 2024

帰り道

a1

翌朝、リンとクラウドと
マークに見送られて、
ラッセルたち4人は帰路についた。


a2

時は省略するかのように流れ、
一行はジャングルを踏み分け、
目印の湖に行き着くと、
さらにジャングルを歩いて
川の上流から小舟ではるばると渓流を下り。


a3

ジャングルと砂漠との境界にある
村に到着したのは夕暮れまじかに
なっていた。


a4

CGのアフリカ支部にいる
久美子に連絡したら、
空港から明日の午後にたつ
輸送機があるって教えてくれたわ。
とアイスが言っている。

今日はこの村で一泊して
明日早朝に出て空港に向かおう。


a5

やがて夕暮れになった。
越えてきたジャングルの彼方に
夕日が沈んでいく。


a6

夜になってアイスと佳奈が
宿の周辺を散歩している。

こういう裸電球って
南国の旅情を感じるのよね。
などと話している。


a7

4人は村の屋台のような簡易食堂で、
夕食を摂ることにした。

マークの見せてくれた鳥の羽根。
大きかったね。
翼の風切羽根のようだったけど、
全体を想像すると巨大すぎる。
普通ありえないよ。
誰かが魔法をかけたんじゃない?
ジャングルの別の場所にも、
フラハみたいな魔法使いが
住んでいるっていうこと?
古代の都が衰退して、離散した魔族たちの
一部は周辺の部族に溶け込んだんだろう。
古代の魔族の末裔がいてもおかしくはない。

確かに翼竜なみの巨大な鳥を
見つけたら大発見だけど。
マークはきっとまたみんなと会いたくて
あの話をしたんだよ。
もっと近いといいのにね。


a8

翌朝、駐車場に停めてあったジープに
4人は乗って村を後にした。


a9

ジープは空港に向けてまっしぐら。
時は矢のように流れていく。


a91

到着した空港には、
CGの支部から出向いてくれた久美子が待っていた。

麻薬とか危ないもの持ってないでしょうね。
CGの専用輸送機に
コネで乗るんだからチェックはないけど、
見つかるとただじゃ済まないわよ。
普通のお土産の他に頭蓋骨が一つ。
それアイスの趣味なの?
と言われている。


a92

かくて一行を乗せた輸送機は
無事空港を発進し、
時はまたしても省略するかのように流れ、
10数時間のフライトののち
一行は帰国したのだった。



解説)
続きます。
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Jul 09, 2024

マークの家に寄る

a1

フラハの家では
佳奈とラッセルが加わって、
話に花が咲いていた。

ハンスさん。
ゴリラのシーザーのことはご存知なんですか。
私がいた時はまだ生まれてなかったな。
私の頭蓋骨を家宝にしてくれていたと、
さっきリンから聞いたが。

ハンスさんはこれからどうされるんです?
生き返ったばかりでまだ何も。

しばらくはクラウドの家で静養よ。

そのうちリンリンにも会いたいが、
自分だけ生き返って、
フミコの蘇生が叶わない以上、
なんだか申し訳ないなあ。

それを聞いていたアイスが、
ラッセルさん、帰りの出発を早めませんか。
と言った。
そうだね。明日にでも出ようか。


a2

なんか大勢で押しかけちゃったみたいで。
いやいやなかなか楽しかったぞ。
何かあればまた来るといい。
アイス君とやら、君は魔術はさっぱりなようだが、
なかなか見所がある。
それ褒めてるんですよね。


a3

ということで一行は
フラハの家を後にすることになった。

マークが、明日帰るんなら、
準備もあるだろうけど、
名残惜しいから、
これから僕の家に遊びに来ないか。
と言っている。
アイスと佳奈は是非行ってみたいわ、
と言っている。


a4

ということで、フラハの家からの帰り道。
マークの家へは、ラッセルも付き合うことになった。
リンはまた変わったトカゲに見とれている。


a5

この辺おかしなトカゲが多いのよね。


a6

蔓草の門の前でリンとハンス親子と別れて
4人はマークの家に向かっている。

佳奈は草陰で何かしているシーザーを見かけた。
シーザーは大きな袋のようなものを
背負っている。


a7

シーザーはマークとも知り合いのようだ。

キノコを採っていたんです。
みなさんにもお分けますよ。
それは嬉しいね。
これはバター炒めにすると美味いんだ。
とマークが言っている。

あなたにお礼にもらった頭蓋骨の人、
蘇生したのよ。ハンスさんっていう人。
と佳奈が言った。
それは良かったですね。
リンリンに会ったら伝えておきます。


a8

ちょっとひらけた場所に
マークの住居はあった。
あれが僕の家だよ。
とマークが言っている。


a9

見通しのいいリビングね。

裏手にジャングルが迫っているんだ。
何もないけどくつろいで。
と言っている。


a91

しばらくして、
マークはそうそうと言って
隣室から大きな羽根を持ってきた。

ラッセルにこれを見せたかったんだ。
僕も君のいろんな秘境探索の話に刺激されてね。
ジャングルの奥地に探検に行ったんだけど、
ある山の山腹で見つけたんだよ。
あの遺跡とは全然別の方角だよ。
だけどこんなに巨大な鳥の羽根って見たことある?


a92

君とブラッドもアイスも佳奈も
あの遺跡の調査を終えて、
ここに来る機会はもうないかもしれないね。
でも、改めていつか
この鳥の調査をするっていうんなら、
その時には僕が案内役で付き合うよ。
とマークは言った。


わかった。ブラッドと相談してみる。
とラッセルが言った。

私はもしフミコの蘇生がうまく行ったら、
フミコを案内してここに戻ってくることになるわ。
その時また会えるわよ。
とアイスは言った。



解説)
続きます。
Posted at 20:23 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Jul 08, 2024

追加の訪問

b1

クラウドの家では、
寝坊した佳奈がアマンダと話している。

先輩たち頭蓋骨持ってもう出かけたのね。
私も気になるから行ってみたいんだけど。
集落の外れのフラハさんの家って、
遠いんですか?
そんなことないですよ。
道順教えましょうか。
だったら僕も気になるから、
散歩がてら付き合うよ。
とコーヒーを飲んでいたラッセルが言った。


b2

二人はフラハの家に向かって行く。
ほぼ一本道なんだね。


b3

その頃、フラハの家では、
ハンスがリンからナイフを借りていた。
お父さん。それどうするの。


b4

さっき鏡を見たら、
髭剃りたくなっちゃって、
と言っている。


b5

隣室では3人が話し込んでいた。

フラハ、これまであまりあの遺跡については、
君と話題にしたことはなかったけど、
君の知っている伝承には、魔術師フミコについての
言い伝えはなかったの?
とマークが言った。

その名前は聞いたことがなかったな。
私が聞いたのはその昔あそこに
魔族たちが暮らしていたということや、
住民たちは鏡の扉を使って自由に
往来していたというようなことだ。
トカゲ人間同士の戦争があって、
それに巻き込まれて人々が去り、
都が衰退して滅んだという話は知らなかったよ。

フラハさんも魔族なんでしょう。
ハリーやマーリンを知っているというし、
それも相当な呪力の持ち主なのは、
ハンスさんをあっさり蘇生させたのを見てもわかる。
そんなあなたが、
フミコのことを知らなかったなんて不思議。

そう思うのも無理はないが、
我々魔族にとっても、あまりにも昔のことだからな。
君たちが聞いたというその名前も、
同時代に生きていたというトカゲ人間だからこそ、
覚えていて、リンリンというチンパンジーにも伝えたのだろう。
それに魔族はもう今では都も国も持たず、
世界中に離散してひっそりと暮らしている。

君たちの話で興味深かったのは、
都の住民だった大部分の魔族は、
争いを逃れて異世界に去ったということだが、
我々魔族に伝わる古い伝承では、
我々はむしろ異世界からやってきたという、
話が残っていることだ。

ああ、その話、ハリーから聞いたことがある。
とアイスが言った。
私たちの暮らす町のすぐ近くに、
迷いの森と呼ばれる地域があって、先祖は、
そこから来たという言い伝えがあるって言ってたわ。
町には迷いの森の泉に湧いた不思議な水も、
地下水として流れ込んでいる。
ハリーはそんな土地柄が気に入って、
魔術劇場ごと移り住んでいるの。

ふうん。それは良いところのようだな。
いつか遊びに行ってみたいものだ。

話が広がりすぎない程度にね。
と誰かが言った。


b6

ラッセルと佳奈は
フラハの家にたどり着いた。
ここね。

ちょうど家の前に出てきたリンが、
二人に気づいた。

つい気になって様子を見に来たんだけど、
蘇生は成功したの?
ええ。父だけは。
フミコの頭蓋骨はだめだった。
あ、今父を呼んでくるわ。


b7

リンはハンスを呼びに行った。
お父さん、佳奈とラッセルが
来てくれたの。
紹介するから。
あ、その顔。


b8

さっぱりしたけど、口髭だけ残したのね。
うん。なんとなく今の気分で。
と言っている。


b9

ハンスはラッセルと佳奈に
紹介されている。
リンさんの父君で、
探検家のヨハネスさんですね。
無事のご生還おめでとうございます。
ああ、ありがとう。
そうか、生還か。
まさに文字どうりのようですな。



解説)
続きます。
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Jul 07, 2024

七夕の日

a1

ところ変わって、
ここは町の広場。


a2

今日は七夕なので
竹が飾り付けられている。


a3

6月のコスプレコンテストは、
優勝者がいなかったんですね。
と今井舞がルビーに訊いている。

常連の応募者は多かったけど、
新規の参加登録者がいなくて、
協議の結果、優勝者なしで来月に持ち越し。
でも優勝者がいなくても参加賞はもらえるから。
みんなそっちがお目当てですからね。


a4

ナオミがコンテストの参加賞を
もらいにきていた。

今月はチョコパフか。
これ両手で掬っていいんですよね?
うん。


a5

参加賞をもらってナオミが帰宅すると、
たまきが短冊に願いごとを書いていた。


a6

これ、前にも書いたっけ?
もし人形なれたらどうするの。
人間の真似をして暮らすのよ。
複雑なのね。


a7

喫茶ペンギンの前でも、
はるながチョコパフをサービスに出していた。
バグとミラが何やら話している。


この前の波動。
どこかで魔族の蘇生の呪文が使われたようだね。
情報管理部は動かないの?

一応局長には伝えたわ。
でも反応はいつも通り。
世界はそこだけじゃないんだから、
って取り合ってもらえなかった。
局長は注意勧告に行くのが面倒なのよ。


a8

あの呪文が頻繁に使われるようになると、
ここの世界にとっては結構おおごとなんだけどなあ。
成功するには相当な呪力が必要なはずだけど、
そんなことのできる魔術師っていたっけ。
呪文を使った魔術師は特定できているの?


a9

一応情報管理部でチェックしてみたら、
波動の発生源はアフリカのジャングル。
大昔に魔族の都があった場所の近くね。
使ったのはそこに住む
フラハっていう男性の魔術師らしい。
これまで問題を起こした記録はないんだけど、
数百年は生きてる。


ふーん、そんな人がまだいたんだ。


a91

夜になって、
広場のベランダで、マヤとナディアの親子が
星空の天の川を眺めていた。
年に一度会える遠距離恋愛か。
ロマンチックね。
誰かのこと考えてる?



解説)続きます。
6月2日以降、生成AIで作った画像を使って、
撮影した人物画像と切り貼り合成してましたが、
今回は七夕なので気分を変えて、
久しぶりに情景セットで撮影しました。
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Jul 06, 2024

フラハの家で

a1

夜が明けた。

おはよ。今朝も快晴ね。
おはようございます。
あ、アイスさん。
リンとマークが待ってますよ。


a2

3人はさっそくフラハの家に向かった。

みんな早起きなのね。
ここでは夜明けとともに。

リンは変わったトカゲに見とれているようだ。


a3

フラハは家の戸口で
3人を出迎えてくれていた。


a4

こちらはリン。
ご存知と思いますが、
この集落でクラウド博士と一緒に遺跡の研究をしている。
今回の遺跡調査にも参加した人です。
とマークはリンをフラハに紹介した。

何度か見かけて顔は知っているが、
直接に対面してお会いするのは初めてだな。
何やら大変なものをバッグにお持ちのようだ。
ようこそ。どうぞよろしく。
とフラハは言った。

今日はそのことで伺ったんです。
実はバッグの中に二つの人の頭蓋骨が入っています。
それらを蘇生させていただけないかと。

なんとそんな難しいことを頼みにきたのか。
まあ、あっちで話を聞こう。
とフラハは言った。


a5

3人は遺跡調査で分かったことのあらましを
口々にフラハに話した。

それでこの頭蓋骨から、ハンスという人物と、
フミコという魔術師を蘇生させろというのか。
動物や物品に宿っている精霊に働きかけて
人間の姿で目覚めさせることはできるが、
頭蓋骨から死者を蘇生させるのは難しいんだぞ。

集落にたまに来る原住民たちの間では、
あなたならできるだろうっていう噂ですよ。
とマークがいい、
強力な魔術師だったらできるかもしれないって
リンリンも言っていました。
とリンも言った。

頼まれて古いトーテムの精霊を
呼び出したりしてやったりしたからな。
噂は尾鰭がつくものだよ。
その場に突然人の姿が現れるので。
同じことのように思えるかもしれないが、
生きている精霊に働きかけるのはわけが違う。
幽冥界に働きかけるわけだから、
強力な呪力と特別な呪文が必要なのだ。


そうその特別な呪文を、
教えてもらってきたって、さっき話したでしょう。
とアイスはかめ新聞をフラハに示した。

そ、そうだったな。
ではやってみるか。


a6

かめ新聞に書き付けられた呪文を暗記してから、
フラハはハンスの頭蓋骨を前にして、
呪文を唱えはじめた。

その槍も必要なんですか。
これは気持ちの問題だよ。


a7

薄い煙が立ち上ると、
頭蓋骨の輪郭が薄れていき
なんとハンスが蘇った。

ここはどこ?
と呟いている。


a8

お父さん、わかる?
リンよ。

駆け寄ったリンから話を聞いたハンスは
記憶を取り戻し、事態が飲み込めたようだった。


a9

フラハは続けて
フミコの頭蓋骨に向かって呪文を唱えたが、
頭蓋骨は微妙に振動しただけで、
何も起こらなかった。

うーむ。反応はするものの。
これは私の呪力不足のせいだろう。


a91

フミコと同時代に生きていた魔族の魔術師でも
蘇らせることができなかったというじゃないか。
それから途方も無い時が経っているし、
相当な呪力の持ち主でないとこれは
不可能だろうな。

分かったわ。
私魔族にも魔法にも詳しくないけど、
一人だけ心当たりがあるの。
とアイスが言った。


ハリーかい。それともマーリンかな。
確かに彼らは優れた魔術師だ。
だがあいつらとは何百年もの付き合いだが、
別の場所に移動できる鏡の扉や、
共同で夢見る異世界を生み出すことができても、
死者を蘇らせたという話は聞いたことがないぞ。

ハリーの養女で、マーリンの実の娘。
この前話したヴィヴィアンっていう悪魔よ。
確証はないけど、彼女ならできそうな気がする。
この頭蓋骨私に預からせて。

そうしてくれると私も嬉しい。
と二人のやりとりを聞いていたハンスが言った。
強力な魔術師を見つけてフミコを蘇らせるというのは
グリューンとの約束だったから。
その約束を果たせなかったまま死んだことが無念で、
私の魂は幽冥界に残されていたのかもしれないな。


娘との再会が叶わなかったのも、
無念だったんでしょう。
も、もちろんそうだよ。



解説)
続きます
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Jul 05, 2024

集落へ帰る

a1

時は省略するかのように流れ、
一行は無事にマークの集落まで帰りついた。


a2

アーネストは、集落の外れにある
自宅兼診療所に帰って行った。
帰りを待っていた部下たちに出迎えられている。


a3

住民たちは集落のリーダーのマークと
遺跡調査隊の無事帰還を喜んでいるようだ。


a4

アンドレアも豹変亭に帰って行った。
ずいぶん早かったのね。
財宝見つかった?
と言われている。


a5

クラウドの家への目印になる
蔓草の門のところまでやってきた。

マークは、リュックを家に置いてから、
また後で伺うよ。
と言って、自宅に帰って行った。


a6

クラウドの家の前では
留守番を頼んでいた女性アマンダが
出迎えてくれた。

早かったんですね。
と言われている。


a7

出かける時ばたばたしてたから、
紹介する暇がなかったけど、
アイスや佳奈は初めてよね。
この人はアマンダって言って、
この集落のいろんな家の手伝いをしてくれてるの。
シーザーからもらった頭蓋骨のこともあったから、
彼女に留守中いてもらったのよ。
どうぞよろしく。
とアマンダは言った。

それ何持ってるんですか。
と佳奈が言った。
これは水牛の角よ。


a8

あてがわれていた自室に戻った佳奈は
リュックを置いて大きく伸びをしている。

あー肩凝った。


a9

みんな自室で一息ついたあと、
やがてマークもやってきて
軽い懇談が始まった。

今晩はアーネストや
アンドレアにもきてもらって
夕食を兼ねた調査隊の打ち上げだ。

調査隊解散しても、アイスたち、
まだしばらくはここに居られるんでしょう?
とリンが言った。

ええ、遺跡調査が早く終わったから時間に余裕はあるの。
帰りもラッセルたちの予定に合わせるわ。
ジャングルを抜けた砂漠との境にある村に、
借りてきたジープが停めてあるから、
それで砂漠を越えて4人で空港まで。
そこで私と佳奈は、久美子に連絡して、
帰りもなんとかCGの輸送機にジープごと載せてもらう。
ラッセルとブラッドもよかったらどうぞ。
とアイスが言った。

それは助かるな。とラッセルが言った。
CGの輸送機だと運賃無料だし、フリーパスだからね。
事故で墜落しても記録に残らない貨物扱いだけどね。


僕も君たちの町まで付き合うよ。
あの町に知り合いがいて、また会いたいんだ。
とブラッドが言った。
マヤのことでしょ。
とアイスが言った。

さっそく遺跡調査の結果の資料の作成や
写真データの整理を始めます。
みなさんの撮影した写真も
参考にしたいのでぜひ協力してください。
とクラウドが言った。

それよりも何よりも父とフミコを蘇らせなくちゃ。
集落の外れに住んでいる魔術師フラハに頼んで。
とリンが言った。

彼とは親しいから、早速明日訪問しましょう。
みんなで押しかけてもなんだし、
リンさんと呪文の書かれた新聞を持っている
アイスさんと3人で行きましょう。
とマークが言った。

私もフラハさんのところに
よくお手伝いに行きます。
あの人私の遠い親戚なんですよ。
と側で聞いていたアマンダが言っている。


a91

やがてアンドレアとアーネストもやってきて
打ち上げの食事会が始まった。
食事は進み、雑談タイムになっている。

リンやクラウドはアフリカ専門みたいだけど、
ラッセルとブラッドは世界中で探検してるんでしょう。
驚きの体験ってあった?
それはいつもあるよ。
でも一番印象的だったのは、君たちの住む町で、
秘宝を守るドラゴンの子供の誕生に遭遇したことかな。
迎えに来た親ドラゴンもはじめて
見た。
ああ、ドラコのことね。
あなたは名うてのトレジャーハンターだったけど、
収集した財宝をみんなドラコに寄贈したんだったわね。
あれは1昨年の7月のことだった。
あのドラゴンの子供も古代の土偶みたいなものを、
守っていたけど、ここの古代遺跡と関係あるのかな?
話を広げすぎないで。
と言われている。


a92

すねの傷はどう?
もう全然大丈夫。
あの傷口から芽吹いた植物って、
花が咲くの?
どうなんだろう。
などと話している。


a93

これ美味しい。なんの肉かしら。
名前は知らない方がいいよ。
と言われている。


a94

みんな流石に疲れているということで、
食事会は早めにお開きになり、
アイスも自室に戻った。

やっぱり使う機会があったわね。
CG特製の弾丸が役にったわ。
と言いながら愛用のコルトの整備をしている。



解説)
続きます。
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Jul 04, 2024

夜明けまで

a1

コウモリたちは寝ぐらに帰っていく。


a2

集落の遺跡前広場の周辺に
集まっていた獣たちも
潮が引くように去って行った。


a3

ジャングルは平穏な静けさを取り戻したようだ。


a4

とつぜん君が奇妙な言葉を唱え始めたので驚いたよ。

あれはリザードが教えてくれた魔族の呪文。
リザードが前に魔族の人たちが
フミコを復活させようとしたことがあったって、
話してたから、グリーンマンもその時立ち会って、
あの呪文を聞いていたはずだと思ったのよ。
それであの呪文を唱えれば、
気になって現れるだろうって思ったの。
それから、
アンドレアの盗んだ副葬品と一緒に
フミコの頭蓋骨も返して、
私には蘇らせる力はないけど呪文は知っている。
もし私たちを殺したらフミコの復活の可能性も
遠のくけど、それでもいいの?
って問いかけたというわけ。

先輩ってすごい。
うまく行ったのはたまたま。
グリーンマンにこっちの意図が通じたからよ。

先輩の呪文でフミコが蘇ったりしたら凄かったのに。
私魔力なんて全然ないから。
でも呪文を唱えていてなんだか変な感じがした。
撫でていた頭蓋骨にちょっと温かみが。
彼女はグリーンマンに影響を与えていたのかもしれないわね。


a5

一同も安堵して焚き火の周りでくつろいでいた。

アンドレアが副葬品を盗んで
隠し場所を秘密にしていたのは問題だったけど、
そういう心理もわからなくもないな。
とブラッドが言った。

僕もラッセルと同じく、
トレジャーハンターとも呼ばれる探検家だからね。
財宝目当ての探索に参加することもある。
彼女は日誌を書いたのがリンの父親の
ハンスさんだということも知らなかったんだろう。
前の探検隊が残した宝のありかを書いた
地図を見つけて、宝を独占したくなるなんて、
よくあることだよ。
それにアンドレアはこの調査隊に
ボランティアで参加してくれた一般人で、
学者ってわけじゃないんだし。

随分彼女の肩を持つのね。

襲われる原因を作ったのは確かだけど、
何も知らなかった彼女は被害者だとも言える。
アンドレアが正直に打ち明けてくれたから、
アイスの機転で助かったんだ。
そうでなければ理由もわからないまま
僕たちは今頃獣たちの夕食になっていたよ。
それはその通りかもしれないわね。


a6

やがて一行は寝支度を始めた。

シュラフ持ってきてたの?
けっこう虫除けになるんだ。
いいなあ。
と言っている。


a7

広場の隅で夜空を見ていた
アンドレアはアイスに声をかけられている。


澄んだ星空は素晴らしいわね。
ええ。
ところであなた、副葬品を全部持ち出して、
ジゾックスの再興資金を調達するつもりだったの?


a8

え、なぜそれを。
私のことを知ってたのね。
アンドレアは身構えている。

はっきり確信したのは、
さっきのあなたの告白を聞いていた時よ。
焚き火にくっきり照らされたあなたの顔を見ていて、
去年の7月、魔王メイヴの復活騒ぎで、
町の広場から逃走したローズの手下だったって、
思い出したの。


a9

ということは、マークの集落で
一緒に豹変亭を経営してるのがボスのローズね。
こんな辺境に落ち延びていたなんて、
国際警察機構やCGにも行方がわからないわけだわ。

ああ、でも本部には報告しない。
CGが介入して来ると、マークの集落や
この遺跡の存在が知られておおごとになるし、
あなたが正直に話してくれたおかげで、
グリーンマンの怒りを宥めることができたんだしね。
ジゾックスを再興して世界征服しようなんて
マーベルコミックの悪役みたいなことは考えずに、
地道に酒場を経営して更生しなさいって、
帰ったらローズに伝えといて。
あなたたちもう二人だけなんでしょ。
とアイスは言った。

足元見られてる気がして悔しいけど、
言ってることはごもっともね。
あなたは命の恩人だし、冷徹な人。
サラたちの部屋で手錠をかけられて以来、
ずっと恨んでたけど、
なんかもうどうでも良くなっちゃった。
とアンドレアは言った。


a91

長かった夜が明け、
象たちが水場に移動している。


a92

佳奈は鳥の声に目を覚ました。

ハヨーオッキーテ、ハヨー、ハヨー。
という鳴き声の後半が、オッハヨー。
というふうにも聞こえる。
あの鳥何の鳥だろう。


a93

ラッセルたちは、出発前に
水没したという都を一目見ておこうと、
遺跡の地下室に降りようとしたが、
入り口は閉じてしまっていた。

何かのはずみで開いたんでが、
何かのはずみで閉じたんでしょうか。
仕掛けを探すのが結構大変です。
と佳奈が言っている。

リザードは、
水没した都には滅多に来ないって言ってたけど、
大切なものがあるとも言ってたからね。
たぶんリザードか彼の仲間が閉じたのよ。
とアイスが言った。

仕方がないか。
ロマンなのに残念だなあ。
とラッセルが言っている。


a94

かくて一行は
マークの集落への帰還の途についたのだった。



解説)
続きます。
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Jul 03, 2024

アイスの決断

b1

本当のことを話してくれてありがとう。
それ渡してくれない?
とアイスは言って、
アンドレアから宝石のついた肩飾りを
受け受け取った。

それどうするんだい。
とラッセルが訊いている。


b2

私に考えがあるの。
一か八かだけど、
やってみるしかないわ。
アーネスト先生。
フミコの頭蓋骨の入ったバッグ持ってる?


b3

ここにあるよ。と言って
アーネストはリュックからバッグを取り出した。
これをどうするんだい?


b4

グリーンマンに返すのよ。
副葬品と一緒にね。

でもどこにも姿がみえないよ。
どこかに潜んでる。
私が呼んでみせるわ。


b5

アイスはジャングルの暗がりに向かって
歩いて行った。
茂みの中から低い豹の唸り声が聞こえる。

アイスはバッグからフミコの頭蓋骨を
取り出すと、その頭を撫でながら、
リザードにもらったかめ新聞を取り出し、
書き写してきた蘇生の呪文を唱え始めた。


b6

しばらくすると、
闇の中からグリーンマンが姿を現した。
アイスの唱える呪文に聴き入っているようだ。
だがアイスは魔術師ではないので、
何も起きない。


b7

やがてグリーンマンが近づいてきたので、
アイスは頭蓋骨をバッグに納め、
グリーンマンに差し出した。
バッグの中には副葬品の肩飾りも入っている。

グリーンマンは中身を確認すると、
じっと考え込んでいるようだった。


b8

やがてグリーンマンは、
バッグの中からフミコの頭蓋骨だけを取り出すと、
アイスに差し出した。
持っていけということのようだ。


b9

グリーンマンは去っていき、
アイスもジャングルの暗がりを後にした。

ふー。
寿命が100年縮まったわ。
と言っている。



解説)
続きます。
Posted at 21:37 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Jul 02, 2024

アンドレアの告白

a1

日が暮れてコウモリが群れをなして飛び交っている。
湖の洞窟から集落跡の遺跡を目指してきているようだ。


a2

アイスとラッセルの報告を聞いた一同は、
夕食を済ませて話し合っていた。
遺跡の歴史の話も興味深かったけれど、
当面の問題はこの遺跡を守っているという
グリーンマンが怒っていて、
我々が極めて危険な状態にあるということだね。
とアーネストが言った。
グリーンマンの怒りがジャングルに生息する
他の獣たちに影響を与えているんじゃないかしら。
父たちの探検隊が全滅したっていうのも、
あちこちで興奮した動物たちに襲われたのかも。
とリンが言った。

とりあえず焚き火を盛大に燃やして、
この側に集まって夜を過ごそう。
銃を持って来てる人は弾丸を装填しておいて。
とマークが言った。

だけど、ラッセルの話だと
グリーンマンには知性があって、
フミコっていう人を復活させるために、
僕たちにわざと彼女の頭蓋骨を発見させて
持ち帰らせようとしたんだろう。
なぜ突然怒って我々を襲う理由があるんだ。
とブラッドが言った。


a3

遺跡前広場の周囲のジャングルには、
猿や蛇類も集まってきていた。


a4

豹の群れも。


a5

牝ライオンたちもいる。


a6

10や20ならならなんとかなるけど、
この数で一挙に来られたら
ちょっと無理ね。
とアイスが言っている。

ずっと黙ってみんなの話を聞いていた
アンドレアが立ち上がって言った。
みなさんにお話ししたいことがあるの。


a7

グリーンマンが怒った原因は
全て私にあるの。
グリーンマンが私のリュックを奪おうとしたのは、
その中にフミコの副葬品が入っていたからなのよ。


a8

アンドレアはリュックを背中から下ろすと、
カバーを開けてリュックの中から
宝石のついた肩飾りを取り出してみせた。

実は私、ドイツ語の読み書きができるの。
山の遺跡で頭蓋骨とバッグを見つけた時、
中にあったスケッチブックの日誌を読んで見たら、
副葬品の隠し場所が書いてあった。
咄嗟の思いつきで、そのページだけを
破いて抜き取ったの。
それから頭蓋骨と遺品を見つけたことを、
ブラッドとアーネストに知らせに行った。


a9

アンドレアは折りたたんだ
紙片をリュックから取り出して見せた。

ここに書いてあった隠し場所は
山の遺跡の広場にある水盤の側だった。
一枚の石畳をずらすと、水を流す設備のある場所に、
沢山の副葬品が押し込んであったわ。
私はアーネストとブラッドが、
遺跡の住居跡を探索している間に
その場所を見つけて、そこから、
この宝石のついた肩飾りを持ち出したのよ。

残りの副葬品は、この遺跡調査が終わった後で、
機会を見て再訪して運び出せばばいいと思ってた。
でもね。その時は本当に何にも知らなかったの。
ラッセルやアイスの話を聞いていたら、
私がこの副葬品を持ち去ろうとしたせいで、
グリーンマンを怒らせたんだって気がついた。

今となっては、
みんな殺されちゃうみたいだから、
どうしようもないんだけど。
この焚き火はまさに風前の灯ね。
死んじゃう前に本当のことを言っておきたかったの。
とアンドレアは言った。



解説)
続きます。
Posted at 20:27 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Jul 01, 2024

ジャングルの異変 そのに

b1

一行はなかば洞穴のような
崖沿いの細道を抜けて、
谷の渓流にたどり着いた。


b2

川沿いに下ると、
目印の古い橋を見つけた。
ここからならルートがわかるね。
と言っている。


b3

川筋に沿って
中流域までやってきた。
もうすぐだよ。


b4

ワニもどきは怒っているようだ。


b5

一行は川を離れて、
集落の遺跡のあるジャングルに向かった。
しかし草むらには蛇が群れている。


b6

寄ってくる動物たちの気配もある。
リンやアンドレアは威嚇のために発砲し、
一行はじりじりと進んでいった。
集落の遺跡まで、もう間近なはずだ。


b7

突然、大蛇が現れて
行手に立ち塞がった。
あれ、猛毒のやつだ。


b8

大蛇は素早い動きで地を這って
アンドレアの体に絡みつき、
倒れたところにさらにもう一匹が。


b9

大蛇は口を大きく開けた。


b91

その時、二発の銃声が轟き、
二匹の蛇の頭は撃ち抜かれていた。


b92

あなたは命の恩人ね。
私たち地下の都の探索を終えたので、
地上の集落の方を再調査する準備をしてた時、
何発も銃声が聞こえたので飛んできたのよ。
とアイスが言っている。

なんか全体にすごい殺気を感じる。
と佳奈が言っている。


b93

一行はなんとか遺跡前の広場まで
たどり着いた。

すぐにでも撤収したいところだが、
もうすぐ日が暮れるし、
ジャングルには尋常でない雰囲気が漂っている。
今日はここでキャンプして出発は明朝にしよう。
とラッセルが言った。

今日僕とリンとクラウドは
人語を解すチンパンジーと出会って、
いろんな話を聞いた。
アイスも水没した都の遺跡を発見して、
トカゲ頭の人間のような生き物から、
遺跡にまつわる話を聞いてきたという。
これからそれらの情報をみんなで共有したいと思う。
なんだかジャングルがざわついていて、
警戒も必要だ。長い夜になるぞ。



解説)続きます。
Posted at 20:23 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Jun 30, 2024

ジャングルの異変

a1

祭壇の遺跡では、
アーネストが作った木の枝の杖を支えに
アンドレアが立ち上がっていた。
これでなんとか歩けそうよ。
と言っている。


a2

お医者さんなのに器用なのね。
こういう環境には慣れてるからね。
仕事の後の葉巻がうまいんだ。


a3

それで、これからどうします?
グリーンマンが襲ってきたとなると、
これ以上探索を続けるのは危険だな。
調査は中止してアイスたちのいる集落の遺跡に戻ろう。
そして予定通り明日にはマークの集落に帰ることにするよ。

伝聞とはいえ、ここの祭壇や
集落跡の遺跡の由来もわかったし、
フミコとハンスさんの頭蓋骨を
魔術師の呪文で蘇らせてもらう、
という仕事も残っている。
マークの集落に戻ってからも
やるべきことはあるぞ。

調査結果はどこかに公表するんですか。
それはまだ思案中だよ。
会話できるチンパンジーから聞いたとか、
それもトカゲ人間からの
又聞きだったとかいうと信憑性に。


a4

こうして一行は祭壇の遺跡を後にした。


a5

しかし。

ボートがなくなっていますよ。
しっかりロープで結びつけたはずなんだけど。
ロープは噛みちぎられています。
グリーンマンの仕業かしら。


a6

あの抜け道を通っていくしかない。
昼前に見つけておいてよかったなあ。
でもジャングルに出てからの
ルートが全然わからないんだけどね。


a7

しばらく進むと、
リンリンに出会った。

グリューンを怒らせたでしょ。
ボートが無くなっていたんだ。


a8

リンリンが先導している。
このあたりのジャングル一帯が
ざわついています。


a9

この洞窟のような細道を
崖に沿って下れば
谷の渓流に着きます。
そこから川沿いに下れば古い橋が。

ありがとうリンリン。
そこからならわかるわ。
とリンが言った。


a91

毒蜘蛛たちが興奮して騒いでいる。


a92

仲間を呼ぶらしい
獣の遠吠えも聞こえてくる。


a93

肩貸そうか。
大丈夫、なんとか歩けるから。
と言っている。

グリーンマン、考えを変えて、
フミコの頭蓋骨を取り戻そうと、
頭蓋骨の入っている、
アーネストのリュックを奪い取ろうとしたのかしら?
話を聞くとどうもそうじゃないらしい。
奪われそうになったのは、
アンドレアのリュックだそうだよ。
とラッセルとリンが話している。



解説)
続きます。
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Jun 29, 2024

リザードとの会話

b1

アイスが建物の中に案内されると、
リザードが待っていた。

おお来たかね。


b2

はるばる、ここまで来てもらって
ご足労をかけたな。
我々は水中はちょっと苦手なんだ。
ここではマスクを取って大丈夫だよ。


あなたがリザードね。
なぜ私がここに来るのを知ってたの?
とアイスが言った。


ふむ。もっともな質問だな。
せっかくだから詳しくわけを話してやろう。
この都は大昔に、我々地底に住むレプティリアンと、
地上の魔族が仲良く暮らしていた時代に、
協力して作り上げたものだ。
しかし今では見る影もなく廃墟となってしまっているがね。
ただここには我々にとって大切なものが
いくつか残されている。
それで侵入者を知らせる仕組みになっているのさ。

昨日、君たちは集落の遺跡の調査に来て、
地下室へ通じる階段を見つけただろう。
その時仕掛けが作動して我々に異変を知らせた。
私が来てみると、君たちは遺跡の前の広場で
野営していた。昨日の夜のことだ。
そこで私は君たちの言うところの
光学迷彩服を着込んで
すぐそばで君たちの会話を聞いていたんだよ。
君が水槽を調べたいって言ってたから、
待っていたんだ。


あなたはここに住んでいるの?
とアイスが訊いた。

ここには普段誰も来ないよ。
我々は南極の地底や月の裏側にいる。
だが距離は問題じゃない。
移動手段があるんだ。

それってもしかして鏡の扉のことね。
マークの集落に住む魔術師フラハが、
古代の魔族の人々は鏡の扉を使って
いろんな場所と行き来していたっていう
伝承があるって言っていたわ。

なかなか鋭いな。
鏡の扉は魔族の持つ魔力で生まれるが、
我々も相似した科学技術を持っていた。
大昔には協力しあって技法を高めあったんだ。
我々の月の扉を見てみるかね。


b3

リザードは廃墟の一室にアイスを案内した。
ここも見えないバリアで守られているから、
マスクの必要はないよ。
とリザードが言っている。


そんな共存共栄の場であった都が
水没するなんて、何が起きたの?
とアイスが聞いた。

元はと言えば、我々の仲間同士で起きた戦いなんだよ。
その結果ここに住んでいた魔族たちを
巻き込んでしまったんだ。
ここは我々の首都ではなかったけれど、
威嚇と嫌がらせのために水没されられたんだ。
魔族たちのほとんどは、
鏡の扉を使って異世界に移住していった。
追跡を避けるために扉は消滅し行方はわからない。
地上に残ったわずかな魔族だけが、
戦争の終結まで持ち堪えていたが、
平和になってリーダーだった魔術師フミコが死ぬと、
彼らもやがて四散していった。


b4

あなたはなんでも知ってるのね。
まるで大昔からずっと生きていたみたい。
グリーンマンっていう
不思議な緑の生き物のこともご存知?

私は長寿というより、
何度も再生を繰り返しているだけなのだよ。
グリーンマンは特別な存在でね。
遺跡の近くで奇妙な動植物や
知能の高いゴリラやチンパンジーが生まれるのは、
一帯にかけられた魔術のせいなんだが、
それをかけたフミコという魔術師が
特別に可愛がっていた、植物と人間が融合した
不死に近い生き物だ。
あれには鏡の扉を使って三つの遺跡を行き来できる
呪力と呪文をフミコが授けたから、
どこにでも出没するぞ。


b5

ジャングルでリンリンという名のチンパンジーに出会ったら、
グリーンマンのことを聞いてみるがいい。
そいつならいつも近くで暮らしているから、
グリーンマンをよく知っているはずだ。
そのリンリンから聞いたのだが、
フミコに可愛がられていたグリーンマンは、
ずっとフミコの言いつけを守り、
今もフミコの蘇りを願っているという。
思えば哀れな話ではある。
白骨化してしまうと我々の再生技術でもそれは難しい。
ところが魔族の中にはそれができるものがいる。
我々にとっても彼らの魔術というのは深淵なものなのだよ。


b6

こんな形で魔族のことを知る人間に接触できたのも
何かの縁かもしれないな。
私が手助けするというのは協定違反なんだが。

そういうとリザードは立ち上がり、
壁に向かって何か操作をした。
すると壁のプレートに文字が浮かび上がった。

そこには、蘇生に使われる呪文が書かれている。
魔族の使う呪文の研究のために、
フミコを弔った魔族から我々が聞き取ったものだ。
もちろん彼らもその呪文を唱えて
フミコの蘇生を試みたがうまくいかなかった。
フミコを甦らせるほどの呪力を持った魔術師は、
もう集落にはいなかったのだよ。
書き留めてそんな魔術師がいれば教えてやればいい。


b7

なに、書くものをもっていないのか。
だったらこのカメ新聞をやろう。
そこに書き留めておけばいい。
なに、筆記用具も持っていないのか。
だったらサインペンを貸してやろう。


b8

おお、もうそろそろおやつの時間だな。
帰らないと。
私もあまり遅くなると佳奈たちが心配するので、
帰らないと。

登り階段までは遠い。
外で待っているマービーに
送ってもらうといいだろう。

あ、最後に。あのマービーっていうのはなんなの?

水没した環境は変えることができなかったが、
戦争が終わり、都の喪失を惜しむ声もあり、
せめて都の一部を再興しようという計画があった。
フミコもまだ生きていて、
彼女の魔法と我々の力である程度環境を変えたんだ。
それも大昔の話だが、
こんなバリアのある建物が残っていたり、
上方から光が差し込んで
水中が明るいのはそのせいだよ。
フミコが亡くなり、我々も手を引いて、
計画は中断してしまったが、その名残は残っている。
マービーに案内してもらうといい。
マービーは、その後で生まれた。
多分魔法の影響で生まれたグリーンマンのような
人と魚の融合した変異種なのだろう。
普段なにをしてるのかよく知らないが、
気のいい娘で、水が苦手な我々は、
ここに来た時に世話になっているんだ。


b9

リザードは何やら呪文を唱えて
月の扉の向こうに消えていった。


b91

アイスがマービーに話すと、
マービーは、
じゃあ農園でも見てみる?
と言った。


b92

手入れはほとんどしてないのよ。
ところで、
人魚っていうとロマンがあるけど、
半魚人っていうと怖いのは何故かしら。
などと話している。


b93

アイスは階段の見える場所まで
マービーに送ってもらい、
水没した都を後にしたのだった。



解説)
続きます。

リザード=レプテュリアンについて。
リザードと名前をつけたのは今回が初めてですが、
リザードは、レプティリアン(トカゲ人間)という名称で、
これまで何度か登場しています。

レプティリアンが、
初めて登場したのは、2022年のハロウィーンで、
トカゲ人間の仮装をした鷲尾翠に
仲間だと思って声をかけたのが最初です。
2022年10月8日「コスプレの愉しみ そのなな」
その後、鷲尾翠を尾行したレプティリアンは、
探偵事務所に現れます。
2022年10月11日「お祭りの日々」
この時これまでの人類との関わりを話しています。
2022年10月12日「お祭りの日々 そのに」。

リザードが探偵事務所に探し物の依頼をしたのは、
2023年1月28日「探し物の依頼と春節の踊り」で、
見つけてもらってお礼をした話は、
2023年2月9日「新聞と帽子のお礼など」
に出てきます。

リザードとアイスはハロウィーンの広場で、
すれ違っている可能性がありますが、
二人とも覚えていないのでした。
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Jun 28, 2024

地底の都

a1

集落の遺跡の地下室では、
佳奈とマークが、
潜っていったアイスの帰りを待っていた。

マークも水浴びしない?
気持ちいいよ。
僕はここで見張ってる。
などと話している。


a2

アイスは井戸のようなところから
底の方に続く階段を眺めていた。

これはすごい。


a3

潜っていくと石段はさらに続いている。


a4

水底にたどり着いたようだ。


a5

ここは確かに都の跡だ。


a6

その時
行手から何かやってくるのが見えた。

あらやっぱり来てた。
と言っている。


a7

こんにちわ。
怖い犬みたいなマスクしてるけど、
あなたアイスでしょ。

私はマービー。
初代の誰かに似てるって言われるけど、
人間でも人形でもないのよ。
とマービーは言った。


a8

地下に都があるかどうか、
確かめにきたんだってね。
ご覧のように確かにここにあるわ。
今はもう誰も住んでいないけど。
とマービーはいった。


a9

実は私、あなたを迎えに行くように言われて来たの。
階段のところから来るのなら、
このあたりを通るんじゃないかなって。
今、珍しくリザードが来てるのよ。
向こうであなたを待ってるわ。


a91

アイスはマービーについていくことにした。

ここは結構広いからねー。


a92

底の方に何かが動いている。

あれはゴルゴーって言って、
捕まると大変な目に遭うわよ。


a93

山のような地形のかなり上の方に
その建物はあった。
あそこで待ってるわ。



解説)
続きます。
Posted at 20:23 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Jun 27, 2024

リンリンの話

a1

最近視力が衰えて、
つい人間の使うメガネを試してみたくなりまして。
とチンパンジーが言った。
君は人の使う言葉が話せるのかい。

はい。申し遅れましたが、
私はリンリンと言います。
ハンスさんが名前をつけてくれました。
えっ!
ハンスって、もしかして私の父のことじゃない?
とリンが言った。
その上着はドイツ軍の軍服でしょう。


a2

この服は別の人からの貰い物なんですよ。
長生きしてると、色々事情がありまして。
あなたがリンさんですね。
ハンスさんから写真を見せてもらったことがあります。
ねえ。父は生きてるの?
ハンスさんはもう随分前に亡くなりましたよ。

みなさんは湖の祭壇の遺跡から来ましたね。
僕はあそこには入れない。
入るとグリューンに怒られます。

グリューンて、誰?
ああ、ドイツ語で緑っていう意味ね。
グリーンマンのことでしょう。
そう呼ぶ人間もいますが、
ハンスさんはグリューンって呼んでたんです。
あなたはどこに住んでるの?
このすぐ近くですよ。
久しぶりに人間と話せて楽しいなあ。


a3

リンリンはクラウドに
メガネを返している。

ねえ、父のことをもっときかせて。
とリンが言った。
いいですよ。私の家でお話しましょう。


a4

少しだけ離れたジャングルの中に、
リンリンの棲家があった。
ここが私の家です。


a5

どうぞ、寛いでください。
何もありませんが。

リンリン君とやら。
君は人の言葉を話せるチンパンジーのようだが、
もしかしてマークの集落の外れに住む、
ゴリラのシーザーのお仲間なのかな。
とクラウドがきいた。
彼は僕よりずっと年下で弟のようなやつです。
僕たちはなぜか知能が高く生まれついたんです。
シーザーは人間になりたがっている。
でも僕はジャングルの中の方がいい。
ここはグリューンが守ってくれるので安全ですし。

ねえ、父は亡くなったって言ったけど、
それはいつのこと?
どんなふうに亡くなったの?
このスケッチブックは父のでしょう。
とリンが尋ねた。

そんなに一度に幾つも質問されても。


a6

リンリンはバナナを出してきてみんなに配った。
食べごろになるまで、
印をつけてとっておいたものです。
甘くて美味しいですよ。

まず、ここの遺跡についてお話ししましょう。
ここははるか昔、魔族たちの住む都でした。
魔術を使う人々の暮らす都は大いに栄えましたが、
ある時戦いがあって、戦いを好まぬ多くの人々は、
都を捨てて安息の地へ去っていったのです。
でもフミコという魔術師と少数の人たちだけが残り、
強力な呪力を持つフミコは、
この土地全体に魔法をかけて都を守り抜いたのです。
やがて戦いが終わり平和な時が訪れましたが、
残された住民はわずかばかり。
フミコもやがて亡くなり、湖の祭壇に埋葬されました。
時が過ぎ住民たちも四散していき、都は滅びました。
住民たちの一部は周辺の様々な部族に混じって、
神話や伝説の中に都の物語を伝えたといいます。

私が生まれたのはそのずっと後です。
フミコがジャングルにかけた魔法と、
住民たちが長い間生活に使っていた魔法が影響して、
私やシーザーのようなものが生まれたと言われています。
グリューンは私たちよりずっと長寿で、
生前のフミコに可愛がられていました。
グリューンはフミコの言いつけを守って、
今でもこの土地を守っているのです。
もう一つグリューンが願っているのはフミコの復活です。
いつか魔術師が現れてフミコを復活させてくれると
信じているのです。

ここまでお話しして、これからが
私が生まれた後のこと、ハンスさんのことです。
偶然遺跡を発見したハンスさんたちは、
当然ながらグリューンに目をつけられました。
でも最初は調査隊の中に魔術師がいて、
フミコを復活させてくれるかもしれないと、
期待もしていたようです。
けれど、ハンスさんが
フミコの頭蓋骨を持ち去ろうとしたことを知り、
不安に駆られて襲ってしまったんです。
グリューンは話すことはできませんが、
私と意思を伝え合うことができるんです。

それを聞いて、私はハンスさんの介抱をしたのです。
薬草の効力でハンスさんは奇跡的に命を取り留めました。
ハンスさんは、私に人の言葉や様々なことを教えてくれました。
同時に、私からこの都の由来やフミコのことを知り、
この遺跡のことは公表しない。もし人間の世界に戻れたら
復活の呪文を知っている魔術師を探して、
必ず連れてこようとグリューンに言いました。
その証に、日誌に使っていたスケッチブックと
フミコの頭蓋骨を入れた自分のバッグを、
グリューンに預けたのです。
でも残念ながら、体力が回復せず、
いつか娘のいる国に帰りたいといいながら、
ハンスさんは亡くなりました。

あなた方は前に一度調査に来たでしょう。
グリューンはその時のあなた方の会話を覚えていて、
再調査に来ることを知り色々と考えていたようです。
みなさんの前にわざと姿を現したり、
わざとスケッチブックとフミコの頭蓋骨を置いて、
あなた方に見つかるようにしたのです。
でもね。僕は、グリューンに、
そう仕向けたのはフミコの意思かもしれない。
とも思っているんです。
グリューンがずっと大事にしていた
フミコの頭蓋骨を人間に差し出すなんて、
すごく大胆なことですからね。


じゃあグリューン、あのグリーンマンは、
もう私たちを襲わないのね。
それはそうとも言い切れません。
グリューンには強力な魔法がかけられているんです。
この遺跡から何かを持ち去ろうとする者、
よこしまな意図が感じ取れる者には
その魔法が発現して襲いかかるかもしれません。


あと、君の長い長い話は興味深かったんだが、
長い長い歴史の途中で生まれた君が、
なぜそんな大昔のことを知っているだい。
それはもちろんトカゲ人間に聞いたんですよ。
トカゲ人間は、ごく稀にジャングルに
リクガメを探しに来るんです。

それは初耳だな。

私も話すのは初めてです。
昔々、魔族と地底に住むトカゲ人間は
この都で仲良く暮らしていたんですよ。
戦争があったというのは、トカゲ人間同士の戦いです。
その争いに、一方のトカゲ人間たちと
仲良くしていた魔族の人々は巻き込まれたんです。
さっきそう言わなかったですか。

言わなかったぞ。


質問してもいい?
私のお父さん、ハンスは亡くなったんでしょう。
父のお墓はどこにあるの?
お墓なんてありませんよ。
ハンスさんの頭蓋骨は、シーザーが持ってます。
家宝にするって言ってました。

えええ。
それ私と佳奈がもらったよ。
怪我してたシーザーを、医師のアーネストさんに
紹介したら、お礼にって貰ったの。
いらないって言ったんだけど根負けしちゃって。

ふーん。そうでしたか。
シーザーは若くて何も知らないはずですけど。
ハンスさんは国に帰りたがっていたし、
ここでお墓を作って埋めちゃうより、
人間になりたがっているシーザーなら、
人と接触する機会も多いだろうと思って、
渡しておいたんですが。


でもシーザーはリンさんがハンスさんの娘さんだと
知ってたのかなあ。
なんか直感が働いたのかもしれませんね。
ゴリラ感というやつですか。

あなたたちってみんなお仲間でしょう?
なぜシーザーはグリューンに襲われたの?

元々私たちはこの地域を守る何かの役目を持って
生まれたと言われています。
シーザーは人間になりたがっているので、
グリューンにはあまりよく思われていないんですよ。
それで遺跡の近くで出会うと、
たまに噛みついて脅かすんです。
噛まれてもゴリラだから植物にならないですけど。


a7

おお、長い長い話に
時が経つのを忘れていたようだ。
まだ聞いてみたいことが山ほどあるが、
もう昼過ぎになってしまったぞ。
遺跡に戻らないと。
ブラッドたちが心配している。
そうね。
これ急いで食べ終わったら戻りましょう。


a8

リンリンはクラウドから
スペアのメガネをもらって喜んでいる。
強力な魔術師だったら、
ハンスさんを甦らせることができるかも。
蘇ったら一緒にまた遊びに来てねー。
と言っている。

長大な歴史ロマンでしたね。
長すぎて途中で小説になっちゃうかと思いましたよ。
魔法で人が生き返る話が出てくるとなんともね。
リクガメを探しに来るトカゲ人間ってなんでしょう。


a9

リンリン、まだ手を振ってるよ。
フミコっていう人の頭蓋骨は今、誰が持ってるの?
アーネストが、あのバッグに入れたまま保管してる。
地下の都のことや、光る石のこと、
ハンスが副葬品を隠した場所のことなんか、
聞けなかったね。
一度には無理だよ。
みんなと合流してから、
相談してあとでまた来てみよう。


a91

ラッセルたちは祭壇の遺跡に帰りついた。

探してたんですよ。
心配かけて悪かったね。
ジャングルに抜ける通路を見つけて、
会話のできるチンパンジーと出会って、
色々話を聞いてるうちに長引いちゃって。
それが、
大変なんです。
アンドレアが噛まれちゃって。


a92

おお、どうした大丈夫か。
治療薬の軟膏を塗っておきましたから。
とアーネストが言った。
こちらに戻ってきても
みなさんの姿が見えないので、
遺跡の中を探していたんです。

光る石の近くに行ったら、
草陰に隠れていたグリーンマンと
出くわしてリュックを取られそうになって
格闘になっちゃって。


a93

格闘中に脛を噛むなんて反則よ。
脛っ齧りじゃあるまいし。
とアンドレアが悔しそうに言っている。
アンドレアの足から、
草の芽が吹き出している。

大丈夫、見かけはショックですが、
じきに治りますよ。
とアーネストが言った。

リンリンの話によると、
グリューンはフミコの頭蓋骨を
計画的に私たちに託したんだし、
私たちを襲わないんじゃなかった?
例外はあるって言ってたよ。
とリンとクラウドが話している。



解説)
続きます。
Posted at 20:30 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Jun 26, 2024

洞窟の探検

a1

祭壇の遺跡のある岸辺に残った
ラッセルとリン、クラウドたちも、
探索を始めようとしていた。

やっぱりここは、
何度来てもロマンだなあ。
君ならそういうだろうと、
マークが言ってたよ。
とクラウドが言っている。


a2

この奥は行ってみたの?
そっちはまだ探索していません。


a3

奥まったところの岩陰に洞窟があった。
あれは自然にできたものかなあ。


a4

3人はどんどん進んでいった。
これは人工の抜け道らしいぞ。


a5

道は延々と続いている。
時々穴の空いた天井部分から
光が差し入っている。


a6

上り坂が続いて、
ようやく出口が見えてきた。


a7

とうとうジャングルに出ましたね。
これ以上進むと、
遺跡から離れちゃうな。
少し休憩して、遺跡に戻ろう。
湧き水があるね。
顔でも洗ってくるよ。
とクラウドが言った。


a8

この抜け道のことは、
日誌には書かれていなかったわよね。
とスケッチブックを確かめながら、
リンが言っている。
湖の洞窟にある祭壇の遺跡まで
陸路で行けるルートで、
特に重大な発見ということでもないだろうからね。
とラッセルが言った。

ああ、さっぱりした。
あれ、この辺に置いたはずなのに、
メガネが見当たらない。


a9

その時アーチ状の岩棚の上に
服を着たチンパンジーが現れた。
クラウドのメガネをかけている。

チンパンジーは
メガネちょっとお借りしました。
と言っている。


解説)
続きます。
Posted at 20:27 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Jun 25, 2024

再び湖の洞窟へ

a1

ラッセルたち6人は、
途中の谷川で、見慣れぬマントヒヒもどきに
遭遇したりしながら。


a2

時間は省略するかのように流れ、
一行は湖の洞窟に到着した。

ここから降りるのが一苦労なのよね。
と言っている。


a3

一行はボートで往復して、
遺跡のある岸辺に上陸した。

これから探索を始めるんだけど、
範囲が広いから、二手に分かれようと思う。
ブラッドたちはボートで周辺の洞窟を
探索してくれないか。
天然のものに見えるけど、
中に遺跡が残されているかもしれない。
とラッセルが言っている。

祭壇のある遺跡はこのすぐ奥だ。
僕たちはリンとクラウドとマークが
昨日調べた場所から
さらに範囲を広げて探索する。
昼過ぎにいったん祭壇跡に集まって、
午後からの方針を決めよう。


a4

ということで、
ブラッドとアーネストとアンドレアは、
ボートで湖に漕ぎ出した。


a5

この湖は割と広いのね。
何か変わった生き物でも棲んでるのかしら。


a6

水へびもどきが、湖面を
気持ちよさそうに泳いでいた。


a7

一見洞窟風だけど、
奥は浅くてただの岩の窪み
という地形も多い。
一行は滝の洞窟の近くの
岸辺に上陸した。


a8

岸辺づたいに行ける
洞窟があった。


a9

うわ。これは。


a91

そこは蝙蝠のねぐらだった。

退散しよう。
とブラッドが言っている。



解説)
続きます。
Posted at 20:23 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Jun 24, 2024

地下室の秘密

a1

谷の集落の遺跡に残った
佳奈とアイスとマークは、
早速昨夜見つけた
地下室に降りていくことにした。

ここが何かのはずみで開いたのよ。
と佳奈がマークに言っている。


a2

3人は地下の部屋に到着した。

昨日と変わっていないわね。
この部屋への降り口は一つだから、
グリーンマンが来たらすぐわかるわ。


a3

アイス先輩、突然ですけど、
私が潜って調べてきていいですか。
と佳奈が言った。

うーん、折角冒険できると思ったのに。
でも佳奈はCGになりたて。
いいわよ。何事も経験しなくちゃね。
でも先輩って呼ぶのはやめて。

じゃあ、ボスとか尊師とか。
それならいいかも。
あ冗談よ。アイスでいいからね。


a4

佳奈は早速階段の隅に行って、
水着に着替えて来た。

私急いで準備したので
学生の時に使ってた
スクール水着しか持って来てなくて。
水着はなんでもいいのよ。

学生時代素潜りは得意だったんです。
マイヨールに迫ると言われてて。
じゃ100メートル近くはいけるのね。
いえそんなには。


a5

じゃあ、行きます。

あ、飛び込むのはそっちじゃなくて、
この手前の枠の中の方。
そっちは底が見えているでしょう。


a6

ここなんですね。
では、改めて。

気をつけてね。
と言われている。


a7

佳奈は潜ってみた。
井戸の中のような狭い空間を抜けると、
なんとそこは想像を絶する
広がりを持った水中世界だった。


a8

佳奈は戻ってきた。
ぷふーと息を吐いている。

やはりアイスの言ってた通り、
すごく広くて、
石の階段がずっと下の方まで続いていました。
もっと先まで行きたかったんですが、
とても息が続かなくて。


a9

やっぱりね。
こうなったらあとは任せて。
とアイスが言って上着を脱ぎ始めた。


a91

アイスはリュックのカバーを開けると、
中から機材を取り出している。
それ、何でしょう。
あ、ケルベロスの。


a92

佳奈も重装備の新人研修で使ったでしょう。
有毒ガスの発生する地域に備えて持って来てたの。
それ本部の整備部から借りて来たんですか。
長年やってると、こういうのも溜まってくるのよ。
けっこう怖い顔のマスクだね。
とマークが言っている。
セットだから仕方がないのよ。


a93

やっと冒険ができる。
来た甲斐があったわ。
と言いながら、アイスは水中に
飛び込んで行った。

CGって、どういう組織なの?
私も入ったばかりで詳しくは。
などと話している。



解説)
続きます。
Posted at 20:26 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Jun 23, 2024

朝の遺跡前広場で

a1

夜が明けた。
あーよく寝た。とゴリラが言っている。


a2

あ、おはよう。
僕のメガネどこかな。
などと言っている。


a3

ハヨーオッキーテ、ハヨーハヨー、
と聞こえる野鳥の囀りに、
佳奈も目を覚ました。


a4

おはよ。
あれ何の鳥でしょう。
みんなもう食事を始めてるわよ。
と言われている。


a5

アフリカの神話や伝承って色々あるんだろうね。
リンとクラウドは随分調べたっていうじゃないか。

私こっちに来て日が浅くて何も知らないの。
手軽に読める本ってある?
とアンドレアが訊いた。
そうねえ。アフリカの民話を集めた本なら
「口をきくカポックの木」っていう
アンソロジーがあるわ。
この遺跡とは全然関係ないけど面白いわよ。
などと話している。


a6

君と佳奈はCGなら、
二人で大抵のことに対処できるだろうけど、
湖の洞窟の場所は知らないんだろう。
何かの時に場所を知ってる人が
一緒にいた方がいいんじゃないか。

谷川の渓流沿いに遡って、
目印になる橋を渡って見える湖にあるんでしょう。
何とかなるわよ。

いや、だったら僕もこっちに残るよ。
ラッセルに掛け合ってくる。
とマークが言った。

昨日の様子だと、
またグリーンマンと遭遇することもあり得るからね。
薬も分けて渡しとく。傷口に塗り込むんだ。
とアーネストが言った。

あれ、何の音?


a7

象たちが水場に向かってるんだよ。
ここはアフリカだから。


a8

ワニもどきが今日も暑くなりそうね。
などと言っている。


a9

かくてアイスと佳奈とマークを残し、
ラッセルたちは
湖の遺跡に出発した。



解説)
続きます。
Posted at 20:29 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Jun 22, 2024

遺跡前広場の夜 そのに

a1

持参した食料で夕食を済ませた後、
みんなデザートにバナナなどを食べながら歓談している。


a2

それで、明日の予定は決まったのかい?
とマークがラッセルに聞いた。

今クラウドとも相談して決めたんだけど、
明日の調査は重点的に湖の洞窟に絞ることにした。
今日のみんなの報告で、遺跡群の全体像は
ほぼ確定できたけれど、
あそこだけは、天然の洞窟などが混在していて、
よくわからないんだ。
あとみんなも知ってるように、
前にこの遺跡を訪れて遭難した探検隊がいて、
残されていた日誌からいろんなことがわかった。
湖の遺跡が重要な墓所だったこともわかって、
それも明日の調査場所に選んだ理由の一つだ。

あとね。みんなに調査を依頼した
地下への降り口は見つからなかったけれど、
30日間も調査したという前の探検家の日誌にも
そんな記述は出てこないので、
僕たちが日数をかけて探しても
見つけられる可能性は低い。
というのが結論。
それで、明日一日湖の遺跡を調査したら、
一旦ここに戻って宿泊して、翌日、
マークたちの集落に引き上げることにします。

日程を早めた理由は、
何と言ってもグリーンマンのことだ。
医師のアーネストにも参加してもらって、
何とかなると思っていたんだけど、
全滅した遭難者の日誌を読んで、見通しが甘かったなと。
今日だけで2回も目撃されているし、
犠牲者が出るのは絶対避けたいからね。

了解。
でも私ちょっと気になっていて、
ここの遺跡で確かめてみたいことがあるの。
とアイスが言った。

なんだい?

ここの集落あらかた見て回ったけど、
まだ調べきれていないところがある。
あの地下室の水槽の中よ。
もしこの集落の地底に都があったなら、
見つかっている地下への降り口はあそこだけ。

ということは、
水の底に階段が続いているっていうことなの?
とリンが言った。

それを確かめたいの。

わかった。水没した地底の都か。
もしそうだとしたらロマンだなあ。
じゃあその調査はアイスと佳奈に任せるよ。
みんなは湖の洞窟の調査だ。
日没までにここに戻ってくるということでね。
とラッセルが言った。


a3

明日の予定が明かされると、
みんなは散会して思い思いに
寝支度をしたり自由行動を始めた。

グリーンマンの夢でも見そう。
と佳奈は思っている。


a4

お父上ヨハネスさんのことはなんと言っていいか。
とクラウドが言っている。
僕は直接面識はなかったけれど、
探検家として尊敬してたんです。

随分昔に消息不明になってから、
ずっと探していたんだから、
どんな形にせよ見つかってよかったわ。
でもね。本当はあの頭蓋骨、
私も父じゃない気がしてるの。
きっと日誌にあった古代の魔族のものよ。

確かめる方法はあるんですか。
マークが集落の外れに住む魔術師フラハなら、
蘇らせることができるかもしれないって
言ってたわ。
やっぱりそういう話になるんですね。


a5

寝つかれない佳奈は広場を散歩していて
アンドレアを見かけたので声をかけている。

私が見たグリーンマン、
あなたの見たのと同じ個体なのかなあ。
どうなんでしょう。
同じだとしたら、すごいね。
私とあなたに、ほぼ同時刻に目撃されてたんだから、
相当離れた遺跡の間を移動してたことになる。
それともあんなのが何匹もいるのかなあ。
逃げ足早かったからねー。

それにみんな人を襲うって言ってたけど、
私を襲って来たわけじゃない。
ただこっちを観察してただけみたい。
隙を窺ってのかもしれない。
それもそうだねー。


a6

アイスも散歩していて、
アーネストに出会った。

どうも寝苦しい夜ね。
防虫スプレー使う?
あら浮かない顔でどうしたの。

アイス。
実は君と佳奈はCGに所属してるって聞いたんだが。
ああ、そのことね。
指名手配のこと気にしてるなら心配しないで。
今は休暇中だし、今回の探検については
いっさい本部に報告しないってラッセルと約束してるの。
知ってたのかい。
一目見た時にわかったわ。
あなたは有名人だし、
あなたの顔のイラスト入りのTシャツもあるのよ。
それ別人だよきっと。


a7

アイスはアーネストと別れて
広場の周辺の散歩を続けた。
夜の散歩もいいものね。
あ、流れ星だ。変な動き。
円盤なのかな。


a8

今度はマークに出会った。
どうしたんです。
獣が集まってるんだ。
なんですかあれは。


a9

それはジャッカルに似た獣の群れだった。

皆殺しにしますか。
え、いや、様子を見ているだけのようだ。
きっと人間が珍しいんだろう。



解説)続きます。
Posted at 22:35 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Jun 21, 2024

遺跡前広場の夜

a1

ラッセルとアイスと佳奈は
焚き火を始めていた。

遺跡の建物の中で寝ないんですか。
雨も降りそうもないし、外の方が気分がいいよ。
そろそろ日が暮れるわね。
この虫除けスプレー使う?
などと話している。


a2,jpg

あの地下の部屋はなんだったんだろう?
公共の水汲み場かなあ?
古代ローマみたいな公衆浴場だったとか。
おや、クラウドたちが戻ったようだよ。


a3

やあやあ、
みなさん何か成果はありましたか?

光ってる石みたいなものを見つけたけど、
洞窟は想像以上に広すぎて、
確認できたのは祭壇のある遺跡の周辺だけ。
地下への降り口は見つからなかったわ。
とリンが言っている。


a4

そこにブラッドたちのチームも
戻ってきた。
山の傾斜を降りるのに手間取って
ちょっと遅くなっちゃったな。
と言っている。


a5

地下への降り口は見つからなかったけど、
前に来ていた探検家のものらしい頭蓋骨と
遺品を見つけたよ。
とブラッドが言った。


a6

みんなはリュックを置くと、
焚き火を囲んで今日の探索の様子を
それぞれ報告しあっている。
一番最初に話題になったのは、
佳奈とアンドレアが目撃した、
木の枝を全身に纏った生き物の話だった。

それは多分グリーンマンだよ。
僕は実際には見たことがないんだが、
襲われた人から伝え聞くところによると、
そんな格好をしているらしい。
とマークが言った。
私の部下もゴリラのシーザーもそんな感じだと言ってたな。
あれに噛まれると傷口から木の芽が芽吹いて、死に至る。
確認はできていないが、やがてグリーンマンになってしまう。
と現地の住民の間では言われている。
でも住民の使う薬草を元に治療薬を開発したから
早めに手当てをすれば大丈夫だよ。
とアーネストも言った。


a7

そうそう、リン。
君はドイツ語ができるだろう。
頭蓋骨と一緒にあったバッグの中に、
スケッチブックが入っていて、
ドイツ語で書かれた文章があったんだ。
読んでもらえるかな。
とブラッドが言った。

もちろん。
リンはバッグとスケッチブックを見て
驚いた様子で言った。
それって、父の使っていたものよ。


a8

リンはスケッチブックを開いた。

何枚も、遺跡の建物のスケッチが描かれている。
後半は文章になっていた。
この筆跡は確かに父のものだわ。


5月5日
今日でこの未知の遺跡に来てもう30日目だ。
伝承にあるストーンサークルを探すのが目的だったが、
サークルの近傍で古びた石の門を見つけたのが
最初の思わぬ発見だった。
周辺を何度か探索するうち、
山上の遺跡に次いで湖の洞窟の遺跡や
谷の集落の遺跡を発見した。
建築様式が共通しているので、
同じ文明のものだと推定できる。

5月6日
興味深いのはこの一帯には特異な動植物の分布が見られ、
しかもそれが遺跡のある地域と重なっていることだ。
動物学者や植物学者たちはむしろそちらに夢中になったが、
仲間は次々に行方不明になってしまった。
事故なのかジャングルで獣に襲われたのか理由はわからない。
とうとう生き残ったのは私一人だ。

5月7日
湖の洞窟にある遺跡はやはり墓所だった。
頭蓋骨と副葬品を見つけた。
頭蓋骨は古代人の骨格を知るための
貴重な資料になる。
埋葬されていたのは身分の高い貴人だったようで
副葬品は宝石で飾られた首飾りや
大きな人の背丈ほどもある鏡板など、
かなりの点数に上る。

5月8日
副葬品の収集は進めているが、
一人ではとても全て持ち帰ることができない。
何とか帰りついて改めて調査に来る時まで、
宝飾品目当ての墓荒らし対策として、
一箇所に隠して保管しておくことにした。


ページが破けていて日付が飛んでいるわ。


5月10日
緑の怪物に襲われて噛まれたせいか、
体がもう動かない。
傷口からは緑の芽が吹き出している。
僕もあんな姿になってしまうのだろうか。


地下への降り口のことは書かれていないようだね。
父たちは偶然この遺跡群を発見したみたい。
その頃はマークたちの集落もなかったはずだから、
こんな奥地に来るまで相当苦労したはず。
30日も探索していたっていうんだから、
降り口があればきっと見つけたはずよ。
やはり地下の都っていうのは
言い伝えに過ぎなかったのかなあ。

副葬品を保管したって書いてあるけど、
その場所は?
書かれてない。日付が抜けてるのよ。


a91

この日誌の最後に出てくる、
緑の怪物ってグリーンマンのことじゃない?
もしグリーンマンに噛まれて自分も変化して
グリーンマンになったとしたら、
この頭蓋骨は君のお父さんのものじゃなくて、
彼が持ち歩いていた古代人の頭骨ってことにならない?
とブラッドが言った。
そういえばすぐには確言はできないが、
男性のものにしては小ぶりで華奢だね。
とラッセルも言った。


でも体が動かなくなって、
そのまま死んでしまったとも考えられるわ。
とリンはつぶやいた。



解説)
続きます。
Posted at 20:25 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Jun 20, 2024

山の遺跡の探索

b1

ここは清々しい広場みたいな感じね。
とアンドレアが言っている。


b2

城壁のような壁に囲まれてることは、
最初の谷の集落の遺跡と同じで、建築様式も似ている。
装飾用の門といい、
ここは別荘とか、離宮のようなものじゃなかったかと、
ラッセルやクラウドは言ってるんだ。
標高も少し高いから気象も多少違うのかもね。


b3

それらしい大きな建物が一つある。


b5

他にも住居群がいくつかあるが、
石造りの建物の中はどこもがらんとしていた。
ただ二階からの眺望はどこもいい。


b4

探索を始めて数時間たち、
地下への降り口も見つからないので、
アンドレアは休憩して
風に吹かれながら眺めを楽しんでいた。

あら。あんなところに。


b8

遺跡の中に侵食して繁茂している草木に茂みに
何か生き物が動くのを見つけた。


b91

アンドレアは二階から駆け降りて、
生き物を追いかけた。
その生き物は背後にあった階段を登って、
近くの住居に飛び込んだ。
アンドレアは後を追っていく。


b6

アンドレアの声を聞いて
ブラッドとアーネストもその生き物を
探したが、逃げられてしまったようだ。

どこだどこだ。
あっちに逃げたみたい。
あっちってどっちだ。


b99

アンドレアは、そういえばさっきの。
と言って、
生き物を追いかけていたときに
建物の部屋の隅で見かけたものを思い出した。
確かめに戻ってみると、
それは頭蓋骨と古そうなバッグだった。


b7

しばらくのち、
呼ばれて来たブラッドがバッグを開けると、
バッグの中にはスケッチブックが入っていた。
このスケッチブックは、日誌みたいなもののようだよ。
何枚もの遺跡の建物のスケッチの後に、
日付つきの文章が書いてある。

僕たちがこの遺跡を発見する前に、
ここを発見して訪れた人がいたんだ。
なんて書いてあるんだい?
ドイツ語なんで、よくわからないなあ。
その頭蓋骨の人が書いたのかなあ。
多分ね。
どうしよう。お墓掘って埋めようか。
書いた人の身元がわかれば、
遺族に届けた方がいいと思うよ。
とアーネストが言った。


b9

一行は探索も一通り終わったので、
休息して帰ることにした。

この水盤からは、
信じられないことに今でも水が流れている。
やはりこのあたりには、
不思議な魔法でもかかってるんじゃないか?
とアーネストが言っている。

帰路に着く前に軽く腹ごしらえして行こう。
これ、アイスにもらったカメパンなんだけど食べない?
元気が出るよ。

ありがとう。え、アイス?
ああ今わたしダイエット中なの思い出したわ。
とアンドレアはいった。


b92

日がそろそろ傾きかけてるね。
地下への通路は見つからなかったけど、
あの日誌から何かわかるかもしれない。
ドイツ語読める人っているの?
リンはベトナム人だけどドイツで育ったらしいから、
彼女読めるんじゃないかな。
とブラッドは言った。
それにCGは何ヶ国語も習得してるんだろう。

え、調査隊にCGがいるのか?
とアーネストが言った。

アイスと佳奈はCGだって聞いたよ。
あ、これオフレコだったっけ。

僕はその国際組織に指名手配されてるんだぞ。
彼女たち、休暇で遺跡調査に参加してくれてるんだ。
遺跡のこともマークの集落のことも
口外しない約束だから多分大丈夫だよ。

実は私もCGに指名手配されてるのよ。
と打ち明けそうになったが、
アンドレアは黙っていた。



解説)
続きます。
Posted at 20:23 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Jun 19, 2024

ブラッドたちのチーム

a1

ブラッド、アーネスト、アンドレアの3人は、
急勾配のジャングルの斜面を登っていた。


a2

アンドレアはかなりのハイペースだ。
ジャングル慣れしているブラッドと
アーネストが、彼女タフだねえ。
と話している。


a3

行手に何かいる。


a4

蛇が鎌首をもたげて威嚇している。
これはこの地域限定の猛毒なやつだよ。
とアーネストが言った。


a5

次の瞬間、
一発の銃声と共に蛇の頭は吹き飛んでいた。


a6

驚いたなあ。
君は健脚ぶりといい、
今の物腰といい、ただものじゃないね。
まあ、人には色々事情があるのよ。
とアンドレアが言った。


a7

山の山頂にはストーンサークルがあるが、
話がどんどん逸れていきそうになるので、
目指す遺跡はそこではなく。


a8

遺跡はそのさらに奥にあった。
石のアーチが目印だ。


a9

おお、着いたようですね。
しかし、こんなところに門とは不思議だなあ。
とアーネストが言っている。


a91

なぜか石の門がいくつもあるんです。
装飾用じゃないかとラッセルは言ってましたが。
この先に。
とブラッドが言いながら先導している。


a92

この入り口を抜けると、
最初の谷の遺跡みたいに、
円柱付きの石壁で囲い込まれた遺跡群があるんです。

ブラッドたちは、
遺跡の中に入っていた。



解説)
続きます。
Posted at 20:47 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Jun 18, 2024

洞窟の遺跡

b1

クラウド、リン、マークの3人は
ボートに乗って滝の奥の洞窟に漕いで行った。

こんな不便なところに建物を作るなんて。
ここは遺跡と言っても、祭壇がメインなのよね。
特別な時だけに使われたんじゃない?
などと話している。


b2

洞窟の奥にある岸辺にボートを係留して、
一行は上陸した。


b3

この奥が開けているなんてね。
地上のジャングルからは
滝の注ぐ深い穴にしか見えない。


b4

一行が石造りのアーチを抜けると。
石の灯籠のようなものが並んでいる。
ラッセルがいたら、
ロマンだって、言うだろうなあ。


b5

祭壇のようなものがある。
何に使ったのかわからないけど、
結構雰囲気出てるなあ。
と言っている。


b6

記録用に撮影しておくよ。
記念写真もとる?
とクラウドが言っている。


b7

リンは、これまでに収集した伝承を
書き溜めた黒いノートを取り出して読んでいる。
ここについての言い伝えは
ほとんどないのよ。
集落の特別な祭祀に使われていた神殿とか、
墓所だったのか。


b8

周辺の崖に残っている横穴式住居のような
洞窟をいくつか探索したのち、
3人は休憩することにした。

あれ、その水筒はドイツ軍の使ってたものだね。
ええ。私は養女で父はドイツ人だったの。
この軍帽も父からもらった。
父は探検家だったけど、アフリカのジャングルを
探検に行ったきり行方不明になってしまった。


b9

リンは一枚の写真を
バッグから取り出してマークに見せた。
なかなかハンサムな人だね。
ヨハネスって言うんだけど、
みんなにハンスって呼ばれてた。

私が探検家になって、この地域に興味を持ったのも
元々はそれがきっかけよ。
あとね、
この水筒は蓋がカップになってるから便利なの。


b91

この近くには他にも住居跡や洞窟があるみたいだし、
半日で全部探索するのは難しいね。
壁画や文字の類も見つからなかった。
そろそろ切り上げて戻りましょうか。


b92

リンとクラウドが帰り支度をしていた時
洞窟の一つを見に行っていたマークが
二人に叫んだ。
今、何かこの大きな岩のあたりで音がしたんだ。

音を立てた後、素早く草陰に潜んで
その様子を見ているものがいたが、
誰も気が付かなかった。


b93

3人が岩を調べると、
岩の裏側に人が通り抜けられるほどの隙間があり
そこを抜けると小さな部屋になっていた。
あれは何?
なにか光ってるみたいだよ。


解説)
続きます。
Posted at 20:31 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Jun 17, 2024

クラウドたちのチーム

a1

クラウドとマーク、リンは、
古代遺跡の集落跡から程近い、
渓流沿いに進んでいた。

前回のこの川沿いの遺跡の調査には
マークとリンもサポート役で同行したので、
3人とも道筋は知っている。


a2

あれはサイ?
水牛みたいにも見えるなあ。
このあたりには奇妙な動物がいるんだよ。
突然変異種が多いと言うのか。
伝承によると、土地にかけられた
魔法のせいだって。


a3

歩きにくいけど、
密林を切り払っていくよりマシだね。
迷うこともないし。


a4

これは新種のワニ?
ワニのつもりのトカゲでしょう。


a5

あの古い橋が目印だ。
とクラウドが言って、
右手の茂みに分け入っていく。


a6

一行は橋を渡っていく。


a7

ここから少し登りだけど、
もうすぐ着くはずだね。


a8

やや見晴らしのいいところに出たので、
マークは双眼鏡を覗いている。
ああ、あそこだ。


a9

あの滝の奥が洞窟になっているんだ。
前回の探索で使ったボートが岸辺に置いてあるはず。
そこまで降りていくのが一苦労なのよね。
と言っている。


解説)
続きます。
Posted at 20:23 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Jun 16, 2024

ラッセルたちの探索

a1

ラッセルたちの調査は続いていた。

ざっと全体を歩いて見たけど、
地下への降り口は見当たらないわね。
あそこの壁怪しくない?
ただの瓦礫の山に見えるけど。


a2

その頃、一人で広間を探索していた佳奈は
奥の暗がりに奇妙な人影のようなものを見た。


a3

人影を追おうとした佳奈は焦って瓦礫につまづいて、
すっ転んでしまった。
その時壁にぶつかった拍子に、何かが作動して、
どこか外の方で大きな音がした。


a4

こっちには誰もいないよ。
と駆けつけたアイスが言っている。
大丈夫?
ええ。転んだだけです。
何か大きな音がしたみたいだけれど。


a5

3人は音のした方角に
いってみることにした。
外に出ると、最初通った階段のそばの
石畳の中に地下への階段がひらけている。


a6

こんな仕掛けが。
早速降りてみよう。


a7

石の階段が続いている。


a8

アイスたちは地下のフロアに
降りた。


a9

しかしその先は行き止まりだった。
水をたたえた水槽のような部屋になっている。

うーん、ここで行き止まりか。
ここにも何か仕掛けがあるのかな。

3人は部屋を調べたがなにも見つからなかった。
あ、もうこんな時間。
そろそろみんな戻ってくる頃よ。
了解。今日の探索はここまでにして、
いったん遺跡前の広場まで戻ろう。


qq2

地上に出ると、夕闇迫る空を
コウモリの群れが舞っていた。
あれって人間の血を吸う奴ですか?
と佳奈が聞いている。


解説)
続きます。
Posted at 20:23 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Jun 15, 2024

探索の開始

a1

さて、みなさん。
これから調査を開始しますが、
昨日の打ち合わせでお話しした通り、
ここで3人ずつ3つのグループに分かれて、
それぞれの遺跡で調査を始めていただきます。
今日はこの広場で野営する予定なので、
日没前にはここに戻ってきてください。
持ち寄った今日の調査結果を検討の結果、
明日からの方針を決定します。

グループの編成メンバーは?
ここは私ラッセル、川の遺跡はクラウド、
山の遺跡はブラッドがリーダーを務めるので、
どのグループに参加するかはお好みで。


a2

じゃあ私はラッセルのグループに。
とアイスが言った。
もう移動せずにここで調査を始めればいいんでしょう。
では私もアイス先輩と一緒がいい。
と佳奈が言った。


a3

私は相棒のクラウドと一緒に。とリンがいい、
僕も涼しそうだし川沿いの洞窟探検がいいねとマークが言った。

残ったのはブラッドのグループか。
山登りのジャングルはグリーンマンが出そうだね。
僕が同道しよう。とアーネストが言った。
私は突然の参加だし
最後に空いてるグループに入れてもらう。
とアンドレアが言った。


a4

メンバー編成が決まったので、
クラウドとブラッドのグループは
それぞれ目的地に向かって行き、
アイスたち3人は早速調査を開始した。

この円柱の並ぶ奥は城壁のようになっていて、
その壁に囲まれた中に集落の遺跡があるんだ。
とラッセルが言っている。


a5

石壁に設けられた入り口を
潜り抜けると、
そこは石造りの住居が点在する集落跡だった。


a6

建物が隣接して、
入り組んだ迷路のような場所もある。


a7

二階建ての住居もあり、


a8

しかしそれぞれの屋内は
大抵がらんとしていた。


aa99

祭壇みたいなものもあるけど、
特に降り口みたいなものは見つからないわね。

でも風情にロマンを感じるだろう。
とラッセルが言っている。


解説)
続きます。
Posted at 20:22 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Jun 14, 2024

谷の遺跡へ

a1

翌朝、クラウドの家の前には
調査隊のメンバーが順次集まっていた。

やあ、アンドレア、おはよう。
君が参加してくれるとは意外だったけど、
人数が揃って助かったよ。
とマークが言っている。
私自身も意外な展開だったわ。
とアンドレアは言った。


a2

これで全員揃ったね。じゃあ出発しよう。
とラッセルが言っている。


a3

9人は目印の門を潜って出発していった。
今日も暑くなりそうだね。
言っている。


a4

一行は昨日佳奈たちが散歩した
薬草の群生地域を過ぎていく。
人数多すぎじゃない?


a5

やがて集落の外れの
魔術師の家の前を通過した。
マークはフラハに挨拶している。


a6

一行は高台の起伏が緩やかな
地域を歩んでいる。


a7

遺跡は谷間にあるんだ。
険しい下り坂のジャングルを
抜けなくてはならない。


a8

なんとも深山幽谷ですなあ。
これ降りるの?
と言っている。


a9

というわけで一行は
果敢に急勾配のジャングルを踏み分けていったが、
時は省略するかのように流れて。


a91

一行は谷底の川辺まで到達した。
あ、象が行水してますよ。


a92

ここはアフリカだからね。
この川筋をそれて西に行くと
そこに集落跡の遺跡があるはずだ。


a93

一行がしばらく進むと、
木の茂みの間から光が差し、
小さな広場のようなところに出ると、
そこに石造りの建物があった。

ここだここだ。
前来た時と変わらないね。
と、クラウドたちが話している。



解説)
続きます。
Posted at 20:30 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Jun 13, 2024

午後の打ち合わせ

a1

午後になり、クラウドの家では
全員集合して遺跡調査の
すごく長い打ち合わせが始まった。


みなさん。
明朝から遺跡調査に出かけます。
初めて参加された人もいるので、
これまでの調査の経緯と、
わかっていることなどをお話しします。

これまでにこの集落の割と近くの谷に
三つの遺跡があることが確認されており、
私クラウドとラッセル、ブラッドの3人で
1回目の調査を行なっています。
一つの遺跡は古代の集落跡。
一つは川沿いの洞窟にある古代の建造物、
一つは山沿いにある建造物です。
前回の調査では、
いずれも場所だけ特定できたということで、
本格的な調査は今回が初めてと言っていいでしょう。

元々私とリンが現地に伝わる古い伝承を元に、
この地域の調査を始めたのがきっかけでした。
伝承によると森の谷の奥に豊かな都があり、
そこは彼らの魔法で守られていたというのです。

魔術師のフラハが魔族が暮らしてたと言ってたわ。
とアイスが言った。

それも一つの伝承ね。
伝承はいろんな部族に伝わる神話や伝説の中に
さまざまな表現で断片的に残されていたの。
それを何人もの異なる部族の長老から聞き取って、
総合してみた結果、あの谷の集落跡の位置が特定できたのよ。
とリンが言った。

言い伝えには地底の国というのもあった。
伝承を読み解くと、発見された三つの場所は
地底で結ばれていたという話も出てくるんだ。

ロマンだね。
とラッセルが言った。

トカゲの顔をした地下に住む人と
仲良くしてたっていう伝説もあるわ。

それでともかく、今回の調査の目的の一つは、
地下への入り口を見つけること。
それで初日から3班に分けて、
三箇所の遺跡の調査を同時に行うことにしました。
どこかで入り口が見つかれば、
翌日からそこを中心に集中探索を行います。

翌日って、向こうで泊まるんですか。
その谷までは割と近いんでしょう。
毎日往復すれば?と佳奈が言った。


距離は近いとはいえ、ジャングルで
急斜面で険しいんですよ。
猛獣や毒蜘蛛や毒蛇や
グリーンマンもいて危険も多いですから。
とクラウドが言った。

期待してはいないんだけど、財宝がある可能性は?
とブラッドが言った。
ないとは言えないな。だとすると、
守護神みたいなのがいて守ってる可能性もある。
グリーンマンって、もしかして
遺跡全体を守ってるんじゃないですか?と佳奈が言った。
人間が噛まれると大変なことになるって、
アーネスト先生が言ってたわ。

アーネストに会ったのか。
たしかに彼なら治療法を研究している。
これから僕が行って、
調査に参加してくれるように頼んでみるよ。
とマークが言った。
さすがこの集落のリーダー。そうしてくれると嬉しいわ。
調査には危険が伴うから、私たちからは言いにくかったのよ。
とリンが言った。
私も付き合うわ。そのアーネストっていう人、
知らないの私だけみたいだし、
調査に出かける前に会っておきたいの。
とアイスが言った。


a2

かなり長い打ち合わせが終わったようだ。

アイスたち出かけちゃった。
私たちもコーヒーでも飲みに行かない?
美味しいお店があるのよ。
夜は酒場だけど、昼間はコーヒーも出してるの。
とリンが言っている。


a3

あの門がクラウド家への目印なのね。
覚えやすいでしょう。


a4

ここなの。豹変亭っていうのよ。
面白い名前ね。
アンドレアがいらっしゃいと言っている。


a5

いい感じのお店でしょう。
最近できたのよ。
そーね。
さて、いよいよ明日から遺跡調査に出発か。


a6

店は昼過ぎから結構賑わっていた。


a7,jpg

リンはよくくる客だけど、
連れの子は誰かな。
昨日到着した調査隊のメンバーらしいよ。
遺跡の調査が始まるんだって。
遺跡といえば財宝ね。
ジゾックスを再興するために
私たちも財宝を探しに行こうか。


a8

医師のアーネストの家を訪ねて、
遺跡調査への参加を承諾してもらったマークたちが、
アーネストと店の前で立ち話している。

君がOKしてくれて助かったよ。
今日も暑いしアーネストとアイスとは初対面だし
軽くビールでも飲まないか。
いいね。


a9

3人は店にリンと佳奈が来ていたことを知って
同席することにした。
ビールを運んできたアンドレアが
昨年捕まえ損なったジゾックスの団員だったことに、
アイスは気が付いていない。

ところでさ、チームは3つのグループに分かれて
遺跡調査をするんでしょう。
今の参加メンバーだと、総勢8名で、
1つのグループは二人になっちゃうよ。
誰かもう一人参加して貰えば?
と佳奈が言った。

確かにそうだけど、危険が伴うからなあ。
とマークが言った。
おいおい、僕を勧誘したばかりだろう。
とアーネストが言った。
君はプロだから特別なんだよ。


a93

やっぱりあの女は昨日見かけたCGのアイスだった。
でも私のことに気がついていないみたいだった。
あなたはただの団員だから顔も名前も覚えられてないのよ。
なんてことでしょう。

そうそう、調査隊のメンバーを
1名募るみたいな話をしていたわ。
それはちょうどいい。
あなたが応募していってらっしゃい。
え、私が?

アイスに復讐したいんでしょう。
チャンスがあるかも。
それと財宝を見つけたら、しっかり持ち帰ってね。
とローズが言っている。



解説)
続きます。
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Jun 12, 2024

フラハとの長い会話

a1

魔術師フラハの家を訪れた
アイスとマークは、
家の中に招かれていた。

お邪魔します。
おや、屋内は見かけより広いですね。
やはりこの家も魔術劇場みたいに
魔法陣の上に建っているんですか?
とアイスが言った。


a2

魔術劇場!!
君はハリーを知っているのか。
ええ、私たちのベーカリーのある広場に、
魔術劇場が出現して、今は隣に住んでるんです。
フラハさんもハリーをご存知で?

ハリーとは古い付き合いだよ。
もっとも彼があの移動式の魔術劇場で
世界中を巡回し始める前のことで、
彼がカーミラと結婚する前のことだから、
もう何百年も会ってないが。

ハリーをご存知なら話は早い。
ハリーは鏡の扉という異世界への出入り口を作れるんです。
実は私もそんな扉を通って、
兵士たちが暮らす村に行ったことがあるんです。
その村は戦時中ながらドイツ軍と米軍兵士が
協力しあって運営している孤立した世界でした。
そして驚いたことに、彼ら住民ののほとんどは
フィギアに宿った精霊が人間に姿を変えていたのです。

ふむふむ。まあ座って話そう。


a3

そこで、お尋ねしたいのは、
マークは砂漠で嵐に遭遇して、戦時中だった世界から、
この世界に来たと言っている。
だとすると鏡の扉と砂漠の嵐は、同じように
異世界との出入り口だと考えてみたんですが、
そんな理解でいいんでしょうか。

難しいことを聞くなー。
砂漠の嵐も鏡の扉も、同じような異世界との通路だが、
砂漠の嵐のような通路は魔術では生み出すことはできない。
あれはこの世界の仕組みに関わるような
別の力が生み出した幽冥界との通路なのだよ。
これまでマークには言ってなかったが、
マークは確かに元はフィギアの精霊だ。
おそらく君が体験した村と同じように、
誰かが想像して生み出した戦争中の世界の中で、
兵士として生きていたのだろう。
そこで時空を越える嵐に巻き込まれたのだが、
直接こちらの世界に運ばれたわけではない。

確かに僕は風ばかり吹いている
砂漠のピラミッドのある世界に辿り着きました。
とマークは言った。


a4

そこは幽冥界と呼ばれている世界だよ。
そこでまた偶然嵐に遭遇して、マークはこの世界に来たわけだ。
もっとも偶然とは別の力が作用したのかもしれないが。

何かの力が私をここに呼んだということですか。

そうかもしれないし、そうでないかもしれない。
話はまだ終わっていないぞ。

そのような嵐のような出入り口は、
魔法で生むことも無くすこともできないが、
鏡の扉というのは、強力な呪力を持つ魔術師なら、
魔術で生み出すことができるのだ。
もっとも呪力の他に特殊な呪文が必要なのだが。

そういえば、ハリーや、娘のヴィヴィアンが
分厚い本を抱えてるのをみたことがあるわ。
とアイスが言った。


a5

そうそう、それが呪文の作り方が書かれた
解説本なのだ。赤い表紙の本だ。
黒い表紙の方は薬草や毒草の調合法が書いてある。
それにあいつ娘がいるのか。

ヴィヴィアンは養女だそうだけど、
魔族とヴァンパイアのハイブリッドで、
悪魔に変化した女性よ。
これがお転婆で、やたらにものを大きくしたり、
動物や人形を人間に変えたりするの。

なんと悪魔なのか。
動物や人形に宿っている精霊や
いわゆる「つくも神」を目覚めさせるんだろう。
そういう呪文なら私も知っているぞ。
もちろんその精霊自身の力や意志が肝心で、
なんでも叶うというわけではないが。

そうそう、君たちは谷にある
遺跡を調査しているらしいな。
あの遺跡を作ったのは古代の魔族だよ。
彼らは、鏡の扉を使って自在に
別の地域と行き来していたという伝承がある。
また彼らはこの地域全体に魔法をかけた。
その力は長い年月を経てさすがに薄らいではいるが、
それでも結構変わったことが起こるんだ。
動植物の成長が早かったり、グリーンマンが現れたりね。
そんなわけだから、
遺跡のどこかに呪文を書きつけた
痕跡があるかもしれないな。

その呪文を唱えれば、鏡の扉が現れるっていうこと?
魔力を持たない者が唱えても何も起きないさ。
それにそんなものを作ると、
夢食いたちを呼ぶ恐れもある。


a6

すごく長い話になっちゃったね。
マークはやっぱりフィギアの精霊だったんだ。
昔の世界は僕の前世みたいなものだから、
もう関係ないけどね。

それから昨日の夕食のことだけど、
なぜあれほど肉や野菜や果物が豊富なのか、
疑問だったんだけど、その謎も解けてよかった。
とアイスが言った。


a7

あれあそこの家は、何かのお店?
わりと最近オープンした酒場だよ。
豹変亭っていうんだ。
新しくこの集落に住み着いた二人の女性が
経営してる。今度のみに行こう。


a8

集落はかなり広い地域に跨ってるから、
迷子になりそう。
すぐに慣れるよ。この目印の門を潜れば、
もうすぐクラウドの家だ。


a9

豹変亭では、ローズがアンドレアと話していた。

今、道を横切っていったの、
アイスに似てたわ。
他人の空似じゃないの。
まさか、こんなジャングルの奥地の
辺境の集落にまで、
CGの追手が来るなんて考えられない。


a91

メイヴ復活作戦の時の屈辱は忘れられない。
彼女の顔を見間違えるはずはないわ。
とアンドレアは言っている。

それはともかく、
お客さんが呼んでるわよ。


a92

テーブルでは、ロドリゲスが、
ビール、あとふた缶ください。
と言っている。


解説)
続きます。

豹変亭のローズと団員(初めてアンドレアと命名)は、
CGに恨みを持つ陰謀組織ジゾックスの残党で、
かって魔王メイヴを復活させようとして、
CGやヴィヴィアンに阻止された過去があります。
このエピソードは、
2023年5月21日に、ローズたちが町に来るところから始まり、
飛び飛びに描かれて、
2023年7月22日のヴィヴィアンと
メイヴとの対決で完結しています。
途中に海賊船長の話や、
仮想現実体験装置の話などが入り込んでいるので、
ストーリーを辿りにくいですが。

逃げ延びたローズたちは、
国際警察機構やCGの追跡から逃れて、
この集落に潜伏していた、
という設定なのでした。
Posted at 20:29 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Jun 11, 2024

アーネスト

a1

佳奈たちはシーザーの傷の手当てをしてもらうため
アーネストの家に向かっている。


a2

アーネストの家は
渓流の際にあった。

ちょうど戸口に
アーネストが立っていて、
佳奈たちに気がついたようだ。

a3

二人はシーザーの
傷の手当てが終わるのを待っていた。
ここは先生の自宅兼診療所なの。


a4

やあ治療が済んだよ。
関節がやられていたから、
ねじ釘を打ち込んで
セロテープとホッチキスで
補強しておいたからもう大丈夫。
あ、今のは冗談だよ。
先生は冗談が好きなの。


a5

君たちは遺跡調査のために
谷に向かうんだろう。
あのあたりにはグリーンマンがいるから、
気をつけたほうがいいぞ。

グリーンマンって人間なんですか?
元人間と言えるのかもしれない。
原住民は森の精霊だと言ってるがね。
ゴリラなら大丈夫だが、
人が噛まれると感染して大変なことになってしまう。
ここではその治療研究も行っているんだ。
患者さんがいるんですか?
いるよ。会ってみるかい。


a6

二人は病室に案内された。
ベッドに横たわった青年のそばに
銃を携えた兵士らしき男が
新聞を読んでいる。


a7

あ、先生。

調子はどうかな。
今日は気分がいいです。
と言っている。


a8

治療も結構危険を伴うんでね。
彼らは私の部下なんだ。
実は私はある組織のリーダーでね。
祖国を追われ、アフリカに転戦して
某国の内戦に手を貸したせいで、
国際的に指名手配されてしまった。
ジャングルに潜伏して逃避行している際に、
マークに出会ったんだ。
この集落は身を隠すには最適の場所だから、
私のような人も多いようだよ。
ふむ。仕事の後の葉巻はうまいなあ。
とアーネストは言った。


a9

佳奈たちがアーネストの診療所を出ると、
シーザーがお礼を差し上げたいと言って、
自分の家まで案内してくれた。


a91

これ、家宝にしてたんですけど差し上げます。
魔術師に呪文を唱えて貰えば、
蘇らせることができるそうです。

それを見た二人は、
あ、お礼なんていらないから。
そうよ、お気持ちだけで十分。
家宝なんでしょ。大事にしなくちゃ。
と言っている。


a92

二人はシーザーと別れてクラウドの家に戻ってきた。

色々あって随分時間かかっちゃったわね。
とうとう断りきれずにもらっちゃったけど、
よかったのかしら。



解説)
続きます。
Posted at 20:29 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Jun 10, 2024

フラハとシーザー

c1

早朝に起き出したアイスは、
テラスに出てみた。

標高が高く、大気が澄んでいる。
集落にも馴染んでおきたいので、
散歩にでも行こう。


c2

クラウドの家を出るとマークに出会った。

おはよ。
やあ、散歩ですか?
調査の打ち合わせまでには時間があるので、
ちょっとぶらぶらと。
だったら、昨晩話に出た
魔術師に会いに行きませんか。
いいわね。


c3

彼は集落のはずれに住んでいるです。
なんていうお名前の人なの?
フラハと呼ばれてます。
彼は僕が砂漠からこの土地に来た時、
ここに住むことを受け入れてくれたんです。
どこも同じジャングルのようですが、
目には見えない境界があるのだとか。


c4

やがて二人は一軒の小屋の前にたどり着いた。


c5

男は射抜くような目をしてアイスを見詰めて、
押し黙っている。


c6

マークが両手をあげたので、
アイスも両手をあげてみた。
すると男もすかさず両手をあげた。


c7

ちょっと緊張して怖かった?
と言っている。
フラハは冗談好きなんだ。


c8

その頃、やはり早起きした佳奈は
リンと連れ立ってやや遠出の散歩していた。
昨日見た花の群生を
朝の光の中で確かめかったのだ。

それって薬草なのよ。
とリンに言われている。


c9

そうそうここだったわ。
ああ、なんて気持いい。


c91

その時ざわざわと音がして。


c92

みるとゴリラが両手をあげている。
佳奈に挨拶されたと思ったようだ。


c93

おはようございます。
とゴリラは言った。
あなた話せるの?

このゴリラはね、
集落の外れに小屋を立てて住んでるの。
知能が高くて人間の真似をしたいみたいで。
みんなシーザーって呼んでる。
あら、シーザー、左腕、重症じゃない!

グリーンマンにやられたんです。
それで、ここで薬草を採っていたんです。

アーネスト先生に診てもらわないと。
アーネスト先生って?
この集落にもお医者さんがいるのよ。



解説)
続きます。
Posted at 20:38 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Jun 09, 2024

マークに会う

b1

リンに呼ばれて
アイスと佳奈が部屋から来てみると、
男性がいた。

こちらがマーク。
私たちのリーダーなの。
と言っている。
ようこそ我がアルカディアに。
とマークは言った。


b2

再会したマークとラッセルとブラッドが
近況を話しあっているうちに、
日は暮れて、夜空に星が輝き始めた。


b3

夕食は肉と野菜とフルーツが
メインのようだ。

量だけはあるから
たっぷり食べてね。
と言っている。


b4

これアフリカ料理ですか?
もっと抽象的で無国籍な感じね。
などと言っている。


b5

食後、思い思いにくつろいで
懇談している。
アイスはマークに
ちょっと聞いてみたいことがあったのだった。

マークさんは別世界から来たって聞いたんですが、
そこは第二次世界大戦の最中だったとか。
うん、信じてもらえないかもしれないが、
僕はアフリカ戦線に従軍していたんだ。

異世界があるというのは信じますよ。
実は私、第二次世界大戦中の兵士たちが暮らす
異世界の村に行ったことがあるんです。
そこではその村だけが世界と隔絶されていて、
自衛のため米兵とドイツ兵が共存していたんですが、
彼らにとって戦争自体は終わっていない。

興味深いね。

ただ、その村の住人たちは人間じゃなくて、
フィギアの精霊だったんですが、
本人たちは自分は人間だと信じていたんですよ。

僕の記憶も作られたもので、
僕も元はフィギアの精霊だったかもしれない。
ということか。
昔の世界のことはだんだん忘れてしまって、
どうでも良くなっちゃったなあ。
でも僕の場合、
砂漠で嵐に襲われたのが世界が変わるきっかけだけど、
君はどうやってその異世界に行けたの?

仕組みは分かりませんが、魔術師が作る魔法の扉ですよ。
異世界の間を行き来できる扉があるんです。

ふむ。自分の身に起きたことを思えば、
そんな童話みたいなことでもあり得そうに思えてくるね。
この集落にも魔術師はいることはいるが。


b6

隣のスペースでは、
佳奈たちが話していた。

リンはどうしてこんな密林の奥地に来たの?
私とクラウドは探検家だったから、
アフリカの現地の部族に伝わる古い伝承をたよりに
遺跡を探索していたの。
遭難しかけていた時にマークに助けられてね。
それ以来この集落を拠点に、調査をしてるのよ。

ラッセルたちにも協力してもらって
遺跡らしき建造物を見つけたのは最近のことなんだ。
かなり古いものらしいが、まだよくわかっていない。
建造物は複数の場所で見つかっている。
それらをつなぐ地下通路があるようなんだが、
その入り口を見つけるのが今回の調査目的なんだよ。
とクラウドが言った。

通路があるとすれば、その規模からして、
広大なエリアにまたがっている。
地下に都市があったのか。
アリの巣みたいになっている可能性もあるね。
ロマンだろう。
とラッセルが言った。


b7

これからちょっとお酒を、
という男性連中と別れて、
部屋に戻ったアイスは
満天の星空を眺めていた。


b8

アイスは就寝前に護身用のコルトの整備をしている。
これ使うことがあるのかしら。
銃の整備は長年の習慣になっているのだった。


b9

今日は舟に乗ったりジャングルを踏破したり
豹と出くわしたり色々なことがあった。
ベーカリー前の広場でのんびり過ごすのとは大違い。
それにあのマークっていう人、
どこかでみた気がするんだけど。
などと思い巡らしながら
アイスは眠りに落ちていった。



解説)
続きます。
Posted at 20:24 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Jun 08, 2024

ベースキャンプへ

a1


この小さな集落には、
住居がそれぞれ、
そこそこの距離を隔てて
点在している。


a2

目指すのは、
この地域に詳しいクラウド博士の家。
ラッセルとブラッドは、
前回、博士と協力して遺跡の調査を行った。
今回も、博士の家を拠点にしながら、
調査に出かける予定なのだった。


a3

えっとどこだったかな。
ああこの道この道、
とラッセルが言っている。


a4

ああ、ここだここだ。


a5

こんにちわー。
ラッセルですけど、
クラウドさんご在宅ですか。


a6

あ、ラッセル。
それにブラッドも。
クラウドがお待ちかねよ。
おや他にもお連れがいるのね。


a7

ラッセルがアイスと佳奈を
紹介していると、クラウドがやってきた。

おお、ラッセル、
はるばるよくきたね。
おや、初めての人も。僕にも紹介してよ。
そうかそうか。
僕はクラウド。こちらはリン。
遺跡調査の相棒だよ。


a8

一行はリュックを下ろして懇談している。
ここは世界から隔絶された
別天地みたいなところですね。
コンビニがないから不便だけど、
まあ、住めば都だよ。
ふつう飲めば都ともいうが。

あ、リンさんは?
マークを呼びに行ったよ。
彼も会いたがっていたから。
マークって誰です?
この集落のリーダーなんだ。


a9

アイスたちはそれぞれ、
個室を割り当ててもらった。

シャワーも使えるっていうし、
快適すぎて言うことなしね。
夕食何かなあ。


解説)
続きます。
Posted at 21:42 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Jun 07, 2024

高台の集落

b1

一行は緩やかな起伏のある
高台を歩いている。


b2

野性の花々が群生している。
先頭を歩いていた佳奈は、
あれは。
と思わず声を上げた。


b3

どうしたの?
今、こっちの方にゴリラがいたんです。
確かこの地域では珍しくないはずだよ。
それが、白っぽい服を着ていたんです。


b4

このあたり、土が踏みならされて
道になっていますね。
もう集落の近くだからね。
とアイスとラッセルが話している。

私の見間違いだったのかなあ。
と佳奈は思っている。


b5

あそこにいるのは普通の猿だし。


b6

佳奈のしょんぼりしている様子を見て、
ラッセルが声をかけた。
そういえば集落には
頭のいいゴリラがいるっていう噂を
聞いたことがあるよ。
君の見たのはそれだったかもしれない。
そうなんですか。


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似たような平坦な景色ですけど、
道幅がだんだん広くなってますね。
もうまもなく着くはずだ。


b8

民家が見える。
目的の集落に到着したようだ。


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男がじっとこちらを見ている。


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ラッセルは両手をあげて、
何か奇妙な言葉を告げた。

背後で家の住人が興味深そうに見ている。


b92

男も両手をあげて何か言っている。


b93

今のはなんだったんです。
挨拶をしたんだよ。
両手を上げるのは敵意がないことを示す
仕草なんだ。
前に来たことを覚えてくれていたようで、
クラウドなら家にいると言っていた。


ああいう人たちばかりなんですか?
彼は特別。
この集落のことを知った現地人が、
稀に移住してくるみたいなんだ。



解説)
続きます。
Posted at 20:54 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Jun 06, 2024

高台まで

a1

湖で休憩を済ませた一行は、
さらに奥地に向かった。


a2

蔦や灌木が生い茂って歩きにくいので、
アイスはナタを取り出している。


a3

しばらく行くと、
先頭にいた佳奈が、
今、樹上で何か動いたわ。
と言った。


a4

アイスが見上げてみると。


a5

豹が様子を伺っている。


a6

アイスはナタを握りしめて
身構えた。
待って。
左の木の上にも。
とラッセルが言った。


a7

二匹の豹が様子を見ている。
二匹ともまだ子供のようだ。


a8

結局何事もなく
一行は静かにその場を通り過ぎた。

襲ってきたら、
眉間に一撃喰らわすところだったわ。
君の噂はルビーから聞いてるよ。
心強いボディーガードだね。
などとアイスとラッセルが話している。

あの豹の子可愛かったなあ。
と佳奈は思っている。


a9

さらに進むと、やや傾斜があり、
先頭にいた佳奈が声を上げた。

こんなところに小川があります。

それは高地からあの湖に注いでいる、
いくつもの湧き水の一つだよ。


a91

一行は水筒の水を補給するために
小休止することにした。

ここで水浴びできそう。
とアイスがつぶやいている。


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周辺を見て回っていた佳奈は
オウムを見つけた。
このオウム、全然逃げないですよ。
と言っている。


x93

一行が数時間かけて
ジャングルの傾斜を登り切ると、
高台が開けていた。

山があんなに迫っている。
この高台の向こうに集落があるんだ。
ここからは割と平坦で快適だよ。



解説)
続きます。
Posted at 20:48 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Jun 05, 2024

湖のほとりで

a1

一行はジャングルに分け入った。


a2

川のせせらぎの音を頼りに進んでいく。


a3

しばらくすると水辺に出た。
前方の空が開けている。


a4

そこはジャングルに囲まれた湖だった。
森閑として時折野鳥の囀りが聞こえる。


a5

いったんここで休憩しよう。


a6

ひと泳ぎしたくなっちゃった。
とアイスが言っている。
それはまたの機会に。
日が暮れる前につきたいからね。
それに、この湖には主がいるって言われているんだ。
何が棲んでるの?
巨大な生き物らしい。
ロマンだろう。


a7

佳奈が近くでバナナの木を見つけたようだ。


a8

ああ、それ昼食がわりになるね。


b9

このバナナうまいよ。
君もどうかな。
うん、アイスにもらったこれ食べてから。


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バナナいかがですか。
ああ、これ食べてからにする。
あ、それはカメロンパンではないですか。


b92

カメパン、美味しかったよ。
元気が出た気がする。
とブラッドが言っている。

ベーカリーのフレイムの特製だからね。
命が蘇るって評判なのよ。
さすがCGだね。
私も一つくださいと佳奈が言っている。


b93

さあ、腹ごしらえも済んだし
さらに奥地へ出発だ。
日暮までにはつきたいから急ごう。



解説)
続きます。

Posted at 20:29 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Jun 04, 2024

川をさかのぼる

a1

朝の強い日差しが
密林を照らしている。


a2

村の宿に宿泊した4人は
出発することにした。


a3

とりあえず小舟を調達して
行けるところまで川を遡ろう。
ちょうど良さそうなのがありますね。


a4

天気が良くて
今日はジャングルクルーズ日和。


a5

この川にはワニがいるんですか?
どこかにいるはずだよ。
その辺にいるかも。
などと話している。


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聴き慣れない野鳥の声を聴きながら
舟はどんどん上流へと進み。


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古びた船着場のようなところに
到着した。

ここからいよいよ徒歩だよ。
もう上流なので水深が浅いんだ。
とブラッドが言っている。


a8

ほんとだ。
ここなんか膝までしかありませんよ。
ワニ見たかったなあ。
などと話している。


a9

もうすぐ湖に着くはずだ。
この先、急流で足場も悪いし、
川は蛇行してるから、
ジャングルを抜けて行こう。



解説)続きます。
Posted at 20:25 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Jun 03, 2024

ジャングルまで

b1

空港にはドルフィンの
レンタルジープも搬出されていた。
すでに荷物類もまとめて載せてある。


b2

一行はジャングルの近くの村を目指して
出発した。


b3

しばらく砂漠地帯を走り続けると。


b4

やがて行手にジャングルが見えてきた。


b5

ジープはジャングルに間近な
村に到着した。
ここからは徒歩だよ。
と言っている。


b6

起伏もあって大変そうですね。
あそこを越えてから、かなりの道のりなんだ。


b7

なんと言っても地図にも記載されていない
小さな集落だからね。
でも僕とブラッドは一度行ったことがある。
川筋に沿って行って。


b8

小さな湖に辿り着けば、
さらにその先の山の麓に集落があるんだ。
ロマンだなあ。

そうでしょうか。


b9

ここは見晴らしがいいわね。
それっぽい雰囲気が出てるわ。
今日はこの村で休息して、
明朝出発だ。
などと話している。



解説)
続きます。
Posted at 20:22 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Jun 02, 2024

空の旅路

a1

調査チームを乗せた
CGの専用輸送機は飛行場を発進した。


a2

4人は貨物と一緒に搭乗している。
これみんな武器なの?
中身は知らない方がいいわよ。
などと話している。


a3

輸送機は雲海の上を飛び
時間経過が省略されて、
あっという間に。


a4

海の色が変わって、陸が見える。
もうアフリカね。
と麻生久美子が言っている。


a5

大きな都市がある。
行くのはもっと奥地よ。


a6

輸送機は広大な砂漠を内陸に向かい。


a7

やがて某国の飛行場が見えてきた。


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無事に着陸している。


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輸送機からは他の軍用車両も
下ろしている。


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佳奈の研修のリーダーだった
如月が久美子を迎えにきていた。
久美子たちは、
任務に戻るようだ。



解説)
生成AIの画像をベースに合成して、
遊ぶエピソードの始まりです。
Posted at 21:30 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Jun 01, 2024

5月のコンテストの発表

a1

広場は今朝も賑わっている。


a2

爽やかな朝の光を浴びて
服を着替えた田上うたが、
珍しく歌を歌っている。
キャサリンが聞き惚れている。


a3

広場にたまきと来ていたエレナは
舞に見つめられていた。


a4

駒井今子もおめかししていた。
アベルにそのライオンかわいいね
と言われている。


a5

ベーカリーでは審査会議が行われていた。

今月も新規の応募者が少ないわね。
着替えしてる人はいるんだけど。
あのブラッドっていう人、
探検家スタイルが似合っていたけど、
アフリカに行っちゃったしねー。


a6

審査が難航してるなら、
私のおすすめは。と舞が言っている。
観光の人ですけど、
月末に登録したみたいです。
知ってる女優さんにちょっと似てるの。
じゃあその人に。


a7

みなさん。
5月のコスプレコンテストの
優勝者を発表します。
厳正中立な審査の結果、
優勝したのは観光でいらっしゃった
エレナさんです。
とルビーがアナウンスしている。


a8

まさか私が?
こうなると思った。
新規の登録者って
今月はあなたしかいないのよ。
とたまきが言っている。


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エレナは万雷の拍手と歓声を浴びている。
嬉しいけど、私旅行中なので、
トロフィはとても持っていけないわ。
大丈夫です。表彰式は形式的なもので、
トロフィはドルフィンでお預かりしますので。


a91

舞がちょっと似ていると
言っていた女優さんというのは、
エステラ・ウォーレンのことだった。


a92

広場の賑わいをよそに、
ベランダではナディアとマヤが
話していた。

広場で、男の人から、
あなたに間違えられたの。
あとでマンゴー亭のアンナから、
ブラッドっていう探検家だって聞いたわ。


a93

ああ、ブラッドね。
私の研究所時代の友達なんだけど、
CGに転職してからずっと会ってなかったの。
この町に来てたなんて懐かしいなあ。


a94

まだ恋人ってわけじゃないのね。
でも運命が決まってるなんて
なんだか不思議。


解説)
あまり似てないのですが、
エレナのヘッドは、元々
エステラ・ウォーレンをモデルに制作され、
「PLANET OF THE APES/猿の惑星」(2001)
出演時のデイナの扮装で
2001年にハズブロから発売されたものでした。
Posted at 20:28 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

May 31, 2024

遺跡調査への旅立ち

a1

広場にリュックを背負った男性がやってきた。


a2

やあ、マヤじゃないか。
僕だよ。ブラッドだよ。


a3

え。ああ人違いです。
マヤは私のお姉さん。
私たち双子の姉妹なの。


マヤに双子の姉妹がいるなんて
聞いたことなかったなあ。

色々事情があってね。


a4

その時、マンゴー亭にいた
ラッセルがブラッドに声をかけた。

おーい、こっちだよ。


a5

これで全員集合だ。
出発前に、とりあえず紹介しておこう。
こちらが友人のブラッド。
左から、佳奈、ルビー、麻生久美子、
それにアイス。


a6

どうぞよろしく。
お会いできるのを楽しみにしていました。
調査に参加されるのは
二名と聞いてましたが。


a7

佳奈とアイスの二人だよ。
ここだけの話だが、
この4人はCGのメンバーでもあるんだ。
もちろん遺跡調査への参加はCGとは関係なく、
プライヴェートな話なんだが。


a8

私は今アフリカで仕事してるので、
ちょうど現地に戻るところ。
一緒にCGの輸送機で行けるように
手配したわ。


a9

ということで久美子は
ドルフィンからジープを
レンタルしてきた。


a91

これアフリカで使うの?
ジャングルの中までは入れないけど、
足があると便利でしょう。
空港からジャングルの入り口までね。
CGのバギーは私が仕事で使うから。


a92

やがてジープは排気音を上げて発進した。
アイス。仕事じゃないんだから
あんまり無茶しないでね。
とルビーが言っている。



a93

ナディアは、
ジープを見送りながら、
さっき声をかけてきた男性のことを
思い返していた。

マヤの知り合いか。
写真は一枚も残っていないけど、
父は探検家だったってマヤから聞いたことがある。
あの人が私のお父さん?
まさかね。


解説)
ようやく出発。
明日はコンテストの発表日なので
すぐには続きません。
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May 30, 2024

天気のことなど

a1

高台の休憩所に
エレナがやってきた。


a2

こんにちわ。
私エレナって言います。
たまきっていう人のいる家を探してるんです。
この辺に住んでるって聞いたんですけど。

たまきの家ならすぐ隣よ。


a3

ちょうど
コーラを買いにたまきがやってきた。

あ、エレナ。
町に来たんだね。

ええ。広場を見てきたけれど、
言ってた通り、
賑やかで面白かったわ。

そうでしょう。
もうコスプレコンテストに参加登録した?
毎月やってて、月初めが発表だから、
登録すると明後日にはチョコがもらえるよ。
まだだったらこれから行こうよ。


a4

カエル王女は
水盤に水を入れてもらって喜んでいる。
(よく見えませんが、
よく見ると水が入ってるのが見えます)

a5

サラたちの部屋では、
サラがメルティを連れて帰ってきていた。


a6

随分長い外出だったけど、
二人ですごい冒険してたんだね。
と、サラから話を聞いたジェットが言っている。


a7

ケイはてるてる坊主に顔を描き入れている。

洪水で水浸しの世界か。
もうすぐ梅雨だからなあ。
と訳のわからないことを言っている。


a8

てるてる坊主にお願いしても、
雨は降る時は降るのよ。
明日の天気は、
カエル王子にもらった
このハスの葉っぱが教えてくれるの。

私の夢の世界では
強く願わないと雨は降らないのよ。
とメルティが言った。


a9

この町にもあんまり降らないわね。
大体郊外の方だけ降ることが多いみたい。
とメアリー=ケイトが言った。

きっと雨って降らすの大変なんだよ。
とジェイソンが呟いている。



解説)
今回はとりとめのない
微妙な時の流れです。
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May 29, 2024

探検の予感

a1

広場はそこそこの賑わい。


a2

大道芸人たちは、
流石に暑いのでポンチョを脱いだようだ。
観光客に私と同じアロハですね。
と言われている。


a3

あなたこの町は初めて?
ええ。
ドールショーで知り合ったたまきっていう人に
この町のこと聞いてきたんです。
ロボットやドラゴンの子供がみられて、
いつも大道芸人たちが演奏しているから、
楽しい所だよって。

たまきなら高台の方に住んでるわよ。


a4

マンゴー亭では、
ベーカリーでチキンラーメンを食べてから
ベランダでアイスクリームを食べ終えたルビーたちが、
肉まんを食べていた。

ルビーはスマホを手にしている。


a5

それで、そのラッセルっていう人に
連絡ついたの?
と久美子が言っている。

ええ、
砂漠の遺跡のこと話したら、
すぐ来るってさ。
そういう話になると興味津々なのよ。


a6

アイスは佳奈が研修の終了記念にもらった
サバイバルナイフを見せてもらっている。
佳奈はアイスの愛用のナイフを見せてもらっている。

このナイフもCGの支給品なんですか?
いいえ。もとは暗殺教団の刺客が使ってたの。
どうやって手に入れたんですか?
詳しく聞きたい?


a7

アンナとレイは、
新しいお茶の試飲をしているようだ。
これ香りいいわねと言っている。


a8

やがてラッセルがやってきた。


a9

早かったのね。
改めて紹介するわ。
とルビーが言った。

隣にいるのが麻生久美子。私のCGの同僚よ。
アイスのことは知ってたわね。
それからあなたの隣にいるのが
ドルフィンのスタッフの中野佳奈。
彼女もCGの新メンバーなの。


a91

みなさん。どうぞよろしく、
とラッセルはいった。

ラッセルは有名な探検家なのよ。
とアイスが言った。
そーなんですか。
と佳奈が言った。

ところで、早速だけど、
とラッセルが言った。
砂漠の嵐で出現するピラミッドの話は、
現地の人から噂で聞いたことがある。

現地の人って?

今アフリカのジャングルの奥地の
秘境の遺跡を調査してるんだ。
そのわりと近くに小さな集落があってね。
そこをベースキャンプにしてるんだけど、
その集落のリーダーが聞かせてくれた、
奇妙な話なんだ。


a92

奇妙な話って?

なんでも彼は、嵐に遭遇して
そのピラミッドのある遺跡に辿り着き、
また嵐を潜り抜けて
なんとか戻ることができたんだけど。
戻ってみると、別世界だったというんだ。

その人にとって、この世界が別世界だったっていうと、
その人は別の世界から来たっていうことになるのね。

そうなんだよ。なんでも彼が元いた世界では、
第二次世界大戦のさなかだったらしい。
兵士だった彼は砂漠を横断中に隊から逸れて
その嵐に遭遇したというんだ。
結局、彼は変わり果てたこの世界に来てから、
ジャングルの奥地に移り住んで、
自分たちだけの集落を作ったんだ。


a93

ふーん、ファンタジックなお話ね。
それはともかく、ラッセル。
今はそのジャングルの遺跡を調査中なんでしょ。
その調査に同行させてもらえないかな。
最近運動不足というか、冒険不足で。
とアイスが言った。
私も行ってみたいです。
とすかさず佳奈が言った。


a94

それは歓迎するよ。
特殊技能を持つCGのメンバーが来てくれるなら、
調査も捗りそうだ。
ただね。そういう訳ありの場所だから、
公にはしたくない。国家や国連やCGにもね。

了解。プライヴェートの休暇ということで、
本部には内密に。それでいつ出発するの?

僕の友人で調査に同行する
ブラッドっていう探検家の相棒がいるんだ。
彼と打ち合わせて、
この店に集合することにしよう。
出発の日程が決まったら連絡するから
準備しといて。



解説)
やがてまたAIの生成画像との合成中心の
エピソードが始まりそうな感じです。

探検家ラッセルは久しぶりの登場。
古いルビーの友人で、
2022年6月30日に町にやってきて、
2022年7月21日までドラコのエピソードに
絡んで登場しています。
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May 28, 2024

ドールショーとデ・キリコ展 そのに

b1

ドールショーを見て、
買い物も済ませたたまきは、
ソフトクリーム売り場で、
エレナという女性と知り合った。

いま上野でデ・キリコ展やってるの知ってた?
そうなんだ。上野なら山手線で割と近いね。
これから行くから一緒に行かない?
行く行く。


b2

随分買い込んだのね。
頼まれてたのはサングラスだけなんだけど、
いつも、ついついなの。
などと話している。


b3

やがて二人は上野の都美術館に到着した。


b4

おっきなポスターだね。
などと言っている。


b5

やがて時は省略するかのように流れて、
たまきはエレナと別れて帰宅して、
戦利品を広げている。

可愛いワンピースね。
これは革装のアリス本じゃないか。
などと言っている。


b6

カラーの挿絵も載ってるよ。
革装の豆本って凄いなあ。
それ豆本なの?


b7

ワンピースをナオミが試着している。
これ「まほろば」っていう
出展者のブースで買ったんだよ。


b8

ジェニーは、春用カーディガンを着ている。
それはアゾンの製品なの。
ブックバンドの本は「CHUBEAR」、
革装の本は「みすとわん」っていう
ブースで買ったの。


b9

デ・キリコ展では、何点か気に入っ作品が
絵葉書になっていたので買いました。
室内にジオラマのような建物があるのが、
「緑の雨戸のある家」。
男性の体が訳のわからないものに包まれているのが、
「瞑想する人」です。



解説)
あれこれ掛け持ちで
充実の一日でした。
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May 27, 2024

ドールショーとデ・キリコ展

a1

たまきが高台の自販機で
コーラを買っている。


a2

カエル王女は、
水盤を設置してもらったようだ。

お水入れてください。
と言っている。


a3

そんな格好して
どこかにお出かけ?

今日は5月26日でしょう。
浜町町でやってるドールショーに行くの。


a4

ということで、
たまきはドールショー72夏の開催会場の
産業貿易センタービルまで出かけた。


a5

大きなポスターだなあ。
と思っている。


a6

会場内は基本的に撮影禁止で、
撮影には出展者の許可が必要。
でもOKになっている場所もある。


a7

ドールショー事務局前の展示。


a8

ジオラマ展示をしている
ブースがあった。
これはドーナツ屋さん。


a9

左奥の人は、ドーナツを揚げている。
とてもリアルなので、
たまきは思わず自分が小さくなって
注文している場面を空想したのだった。

揚げたてのあんドーナツ
一つください。


解説)
続きます。
Posted at 20:22 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

May 26, 2024

梅雨入りまで そのさん

a1

広場では、
佳奈たちの立ち話が続いていた。


a2

農家の直販店で
ロベリアが買い物を済ませたようだ。
随分買い込んだのね。
とアベルに言われている。


a3

その買い物カゴ素敵ですね。
と今井舞が言った。


a4

そうでしょ。
手作りなのよ。


a5

ベランダでは
チキンラーメンを食べ終えた
アイスとルビーが、
アイスクリームを食べながら
麻生久美子と話していた。


a6

それで本部に帰って調査部で
調べてもらったんだけれど、
そんな場所に遺跡はないって言うことだったの。


a7

砂漠の砂嵐で出現して
また砂に埋もれてしまったんじゃないの。

でも嵐の向こう側に遺跡があって、
また嵐を抜けて戻ってこられたんでしょう?
その嵐がカーテンのようになっていて、
異世界への扉だったのかも。


a8

遺跡の空は晴れ渡っていたし、
別世界と言われればそんな気もするわね。

如月はなんて言ってたの?

報告してもどうせ本部は動かないから、
この件は伏せておくことにしましょうって。

彼女らしいわね。


a9

異世界との通路があるという噂の
迷いの森だって、境界警備するだけで、
ずっと調査隊も派遣していないからね。
CGは国際的な陰謀やテロ活動に対処する組織だから、
本部の連中は頭が硬いのよ。
好みのジャンルが違うというか。


解説)
買い物カゴは、
手作りですが単品売りの市販品です。
秋葉原のアゾンで購入。
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May 25, 2024

梅雨入りまで そのに

a1

ペンギンをでたサラとメルティは
高台の休憩所に立ち寄った。

もう紫陽花の季節なのね。
と言っている。


a2

あら、さっきまで蕾だったのに。
とルルが言った。
二人はサラの頭の上のカエル王女に
注目している。


a3

紫陽花の花々が
豪勢に咲いている。


a4

局長からいただいた
フローラの草冠の効き目ね。
とサラは言った。


a5

その時、サラの頭の上に乗っていた
カエル王女がテーブルに
ぴょこんと飛び降りた。


a6

さらにカエル王女は紫陽花の花の上に
飛び乗った。

私ここが気に入りました。
と言っている。

a7

その頃広場には、
コフィが佳奈を訪ねて来ていた。


a8

コフィさん。
研修ではお世話になりました。
あれから私たち砂漠で嵐にあって
大変だったんですけど、
コフィさんは大丈夫でしたか?


a9

帰り道はサバンナ見物して快適だったわ。
また境界警備隊の任務に戻って
仕事続けてるけど、大抵暇だから、
たまには遊びに来てね。

そうそう、サバンナには、佳奈が言ってた
人懐っこくて負けず嫌いのライオンがいて、
記念写真を撮ったので見せにきたの。


a91jpg

ほんとだ。
あの時のライオンだ。


a92

これ誰が撮影したんですか。
セルフタイマーよ。
人懐っこいので撮影慣れしてたみたい。

そうか。



解説)
それぞれが
それぞれの思い出を。
Posted at 20:22 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

May 24, 2024

梅雨入りまで

a1

サラたちは
相変わらずペンギンで
コーヒーを飲んでいた。


a2

メルティさん
お昼寝してるみたい。

珍しいわね。
とカエル王女を頭に乗せた
サラが言っている。


a3

肘がガクッと外れた拍子に、
ハッとした顔をあげて、
メルティが目覚めたようだ。

ああ、私夢を見てたみたい。


a4

夢の中で居眠りして夢を見るなんて、
珍しいわね。
とミラが言った。

滅多にないけど、前にも一度、
三匹のウサギに出会う夢を見たことがあるんですよ。

夢の中で見る夢は、
心のさらに深層に向かうことだから、
あなたの夢が迷いの森の泉と繋がったことに
関係しているかもしれない。
それで、どんな夢だったの?

そこはいつも風ばかりが吹いているような、
一面の砂漠の世界でした。ピラミッドの前で、
なぜか自分がスフィンクスになっていて、
訪れた旅人の乗った車を追いかける夢だったの。

興味深いわね。
夢の世界の訪問者になってたわけじゃなくて、
むしろその世界を守る側だったわけね。
それはもしかすると、
あなたが夢食いになっていたって言うことよ。

そ、そうなんですか。
でもそうだとしたら、私は誰の夢を守っていたの?


a5

あなたその砂漠の世界に心当たりはない?
とミラは言った。

メルティは考え込んでいる。


a6

その頃広場のベーカリーでは、
佳奈が研修から戻ってきたところだった。
麻生久美子も一緒のようだ。


a7

なんだかちょっとだけ逞しくなった見たいね。
と佳奈はルビーに言われている。


a8

研修の終了記念に
サバイバルナイフをもらっちゃいました。

久美子久しぶり。
その袋はなあに?

これはお土産のチキンラーメンよ。
と麻生久美子が言った。


a9

おお、懐かしい。


a91

これ、熱湯をかけて、
蓋をして3分待つんでしたよね。


a92

これ好きだったのよ。
よく丼鉢に入れて蓋して食べたものだわ。
それっていつ頃の話?


a93

0秒チキンラーメンって知ってた?
なにそれ。
お湯をかけないで、
そのまま食べるおつまみなんだ。


解説)
チキンラーメンのアイテムは、ガチャで。

「日清チキンラーメン ミニチュアチャーム」(全5種)
昨年8月に発売され、今月再販されたBANDAIの製品です。
チキンラーメンのパッケージ入りが欲しくて
2回挑戦しましたがゲットできませんでした。
Posted at 20:21 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

May 23, 2024

佳奈の研修 そのはち

a1

3人の乗ったバギーは急発進した。
嵐に向かって、って言ってたわね。
あ、向こうの空の雲行きが怪しいよ。
そっちに行こう。


a2

逃がさないわよ。
と言っている。


a3

まさかあそこに向かっていくの?


a4

後ろから竜巻が追ってくるよ。


a5

竜巻に追われながら
嵐に向かうって。


a6

バギーは嵐の中に突入した。
嵐の中は意外に静かだった。


a7

しばらく走ると
竜巻が遠ざかっているのが見えた。


a8

もう大丈夫。
虹が出てるよ。


a9

空はすっかり晴れている。
奇妙な遺跡だったね。
いろんな異常気象が見られて
楽しかったなあ。
などと言っている。



解説)
佳奈の研修でのエピソードは
とりあえず今回で終了です。
Posted at 20:27 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

May 22, 2024

佳奈の研修 そのなな

a1

なんとか嵐を抜けたようだ。


a2

しかし、
こんなに砂漠が続いていたかしら。
何か変だわ。


a3

あんなところにピラミッドが。


a4

こんな場所に遺跡なんてあったかしら。


a5

さっきの砂嵐で出現したのかもしれない。
せっかくだから調べてみましょう。


a6

メルティと久美子は
スフィンクスを眺めている。


a7

どこかでみたような顔ね。
とメルティが言っている。

突然、スフィンクスが言った。
これは珍しい旅の人。
私の謎謎に答えられるかしら。
朝は4本足、昼は2本足。夜は3本足。
この生き物はなあんだ。

それは人間です。
有名な謎謎だから誰でも知ってますよ。
と佳奈が言った。

スフィンクスは黙り込んでしまった。
気分を害したようだ。


a8

お姉さんを怒らせたら怖いのよ。
今のうちに嵐に向かって逃げなさい。
と妹らしきスフィンクスが言った。


a9

どうも危険が迫っているみたい。
忠告に従って出発しよう。


解説)
続きます。
Posted at 20:26 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

May 21, 2024

佳奈の研修 そのろく

a1

砂丘の稜線を越えていく。


a2

雄大な景色が続く。


a3

スロープを下って。


a4

低地に降りてきた。


a6

サバンナを疾走する。


a7

あれは。
すごい雲が発達して
こっちにきますね。


a8

雷も発生してます。
嵐に巻き込まれないように急ごう。


a9

これはやばい。



解説)
続きます。
Posted at 20:32 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

May 20, 2024

佳奈の研修 そのご

a1

私服に着替えた佳奈たちは
オアシスを散歩して、
記念撮影してもらっている。


a2

たしかコフィさんは、
境界警備隊でパトロールを。
コフィでいいのよ。
警備隊はいつも暇だから、
今回の新人研修にヘルパーとして参加したの。
あら、ラクダがいるのね。
ちょっと見に行こうよ。


a3

ラクダって案外大きいのね。


a5

ちょっと大きすぎる感じも。


a6

コフィはラクダに
水を飲ませている。


a7

お迎えが来たみたいだから、
そろそろ撤収するわよ。
と如月が言った。


a8

砂塵をあげてバギーが到着した。


a9

あなたが噂の新人ね。
私は麻生久美子。
ルビーの推薦だって言うんで、
会えるのを楽しみにしてたのよ。


a91

コフィは乗らないの?

私は野生動物が見たいから、
あのバイクでサバンナに行くつもり。

人懐っこくて負けず嫌いの
ライオンがいますよ。
などと話している。


a92

と言うことでコフィと別れ、
3人はオアシスを後にした。



解説)
続きます。

このところ生成AIで作った
風景画像に切りはり合成しています。
アンバランスながらそこそこリアルで、
実はどこにもない情景なのが面白いところ。

CGの麻生久美子は、3年ぶり。
2021年3月30日「クールガールたちがやってきた」
に登場しています。
Posted at 20:35 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

May 19, 2024

佳奈の研修 そのよん

a1

佳奈はバイクを飛ばしている。


a2

サバンナに出ると
さっそく縞馬の群れに出会った。


a3

ライオンもいる。


a4

ちょっと伴走してみる。
人懐っこくて、
負けず嫌いのライオンのようだ。


a5

サバンナが途切れ
砂漠地帯に入った。


a6

これはかなり本格的な砂漠。


a7

雄大な景色も楽しみたいけど、
制限時間までにつかないと。


a8

スロットル全開。
ようやく植物相が見えてきた。


a9

オアシスだ。


a91

オアシスには如月が待っていた。
時間ぴったりね。
と言っている。


a92

これで今回の研修は終了よ。
お疲れ様。



解説)
続きます。
Posted at 21:23 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

May 18, 2024

佳奈の研修 そのさん

a1

佳奈は休憩して
ヘルメットを外している。


a2

沼に有毒ガスが出るって
脅かされてたけど、
この暗視装置付きのガスマスクも
必要なかったなんてね。


a3

佳奈が水筒の水を飲んでいると、
研修のリーダーの如月がやってきた。

次のミッションで最後よ。

え、まだあるんですか。


a4

この先にサバンナと砂漠があるの。
砂漠の中のオアシスが終着点。
例によって時間制限があるから気をつけて。


a5

着替えが済んだようね。
これもつけてね。


a6

ヘルメット、と言うことは。


a7

コフィがバイクを曳いてきた。

私このオートバイの基本操作、
技能訓練で覚えたてなんですけど。
と佳奈が言った。


a8

最初はみんなそうよ。
野生動物も見られるから、
軽く砂漠見物するつもりで、
楽しんできて。


a9

佳奈はバイクに乗って
エンジンを始動させている。

砂漠でエンストしたら歩いてね。
骨は拾ってあげるから。
と脅かされている。


a91

いざ発進。



解説)
続きます。
Posted at 20:22 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

May 17, 2024

佳奈の研修 そのに

a1

佳奈は両手を上げながら
相手が近づくのを待っていた。


a2

素早く身を逸らせて
振り返りざま右手で
機銃の銃身をそらす。


a3

そのまま体を捻って
ハイキック。


a4

後頭部にキックが炸裂した。


a5

さらに倒れた相手に馬乗りになって、
油断大敵よ。
と言っている。


a6

そこまで。
という声の主に向けて、
佳奈はホルスターから引き抜いた
拳銃の銃口を振り向けた。


a7

ミッションは完了よ。
制限時間内にクリアしたわ。


a8

倒れていた女性も立ち上がって、
マスクをとった。

あ、コフィさんだったんですね。
と佳奈が言った。

名前覚えていてくれたのね。
今の、結構効いたわよ。
と言っている。


a9

ジャングルや沼地では
敵を全く見かけなかったんですけど。

緊張状態を保ってもらうのが狙いなのよ。
よくそのケンベロスの旧式装備で頑張ったわね。
といわれている。



解説)
続きます。
Posted at 20:24 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

May 16, 2024

佳奈の研修

a1

佳奈はジャングルの中の小径を
重装備で歩いていた。


a2

制限時間までに踏破しないと。
敵はどこに潜んでいるのか
わからない。


a3

しかも行手には
沼地が広がっている。


a4

銃を濡らさないようにしないと。


a5

ようやく岸辺だ。


a6

佳奈は小さな広場にたどり着いた。


a7

確かこの先がゴールのはずだけど。


a8

その時背後の茂みの中から。


a9

ホールドアップ!
油断は大敵よ。
と言われている。



解説)
続きます。
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May 15, 2024

晩春の日々 そのに

a1

サラとメルティは
ペンギンにやってきた。


a2

お店の中は
あいにく満席なんです。


a3

二人は屋外で
コーヒーを飲むことにした。


a4

居合わせたミラに
メルティの夢の部屋の話をしている。

迷いの森の夢見の水の泉と
繋がってしまって洪水になったんだけど。


a5

洪水はヘクトンっていう
カエルの姿をした夢食いの仕業だったのよ。

ヘクトンなら知っているわ。
古代の神の遠い親戚だっていう噂がある。
そうだ、ヘクトンといえば。
とミラが言った。


a6

その時カエルが
ベンチに飛び乗ってきた。

ああ、今言いかけたのは、この子のこと。
地下通路で見つけたの。
この世界に来たいっていうから、
連れて来ちゃった。
言葉が話せるし、たぶんヘクトンの娘よ。
連れてきたことは局の仲間には内緒でね。


a7

カエルはさらに
テーブルの上に飛び上がって、
サラの前に進んできた。

そのちょんまげ、
お兄ちゃんのでしょ。
とカエルは言った。


a8

ああ、これはカエル王子から
助けたお礼にってもらったのよ。

そうなんだ。
お兄ちゃん元気なのね。

元気は元気だけどね。
ここにはいないの。
あなたのお名前は?

カエル王女って呼んでください。


a9

その頃、広場では、
鈴木すずがスイカをもらっていた。


a91

すずは機嫌を直している。
いいなあ。
僕も泣き真似しようかなあ。
と池谷圭が言っている。


a92

ルビー。
最近佳奈を見かけないけど、
どうかしたの?
とリタが訊いている。


a93

佳奈はCGの研修で出張中なの。
今頃アフリカのジャングルで、
特訓を受けてるよ。
とルビーが言った。



解説)
また思いつきで
エピソードが始まるようです。
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May 14, 2024

晩春の日々

a1

メルティが絵画を見ていると、
ハリーがやってきた。

ほう、これは新しい絵画だね。
と言っている。


a2

マンスフィールドさんがお土産に
下さったのよ。
メルティも気に入ってるみたいね。
とヴィヴィアンが言った。

それはもう。
この絵、私の夢の中の部屋によく似てるの。
ハリーさん。こういう幻想的な絵画には、
別世界との通路があるんですか?
去年、私の夢の中で、
クノップフの「スフィンクスの愛撫」の中に
シュレディンガーが飛ばされたことがあったけど、
この絵にもさっき、カエル王子が飛び込んで行ったの。

ふむ。
そういう特別な絵画というものもあるが、
絵画のせいとばかりは言えないかもしれない。
この魔術劇場の室内も夢の世界のようなものだからね。
この建物は魔法陣の上に建てられているから、
屋内で魔法を使って、沢山の別室や、
別世界に通じる扉を生み出すことができるんだ。
そのカエル王子というのが夢食いの子供なら、
そんな力を持っていても不思議はないな。


a3

何してるんですか。
この葉っぱを髪飾りに。


a4

これからまた昼寝をするというバルと別れて、
サラとメルティは魔術劇場を後にして
広場に出て来た。


a5

サラさんそのちょんまげ
かっこいいですねえ。
と言われている。


a6

広場では、アベルと子どもたちが
走り回って遊んでいた。


a7

よそ見してると危ないよ。


a8

鈴木すずはバランスを崩して
こけてしまった。


a9

怪我はないようだが、
すずは泣いている。


a91

ほぼ半月ぶりだけど、
広場は変わらないわね。
久しぶりに熱々の
美味しいコーヒーでも飲みたい。
ペンギンに行こうよ。



解説)
今回はいつもの
思いつきの進行です。
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May 13, 2024

その後の池で そのさん

a1

一行は扉のある休憩場所まで
帰って来た。


a2

舟に乗ったり泳いだり楽しかった。
バルさんも戻って来られて良かったわ。
随分ここで過ごしちゃった。
そろそろ帰らないと。


a3

君はやがて一人前の夢食いになるんだろう。
メルティのこの夢は私たちが守っているんだ。
残念だけど共存はできないな。
とシュレディンガーが言っている。


a4

これからどうするの?
迷いの森のお父さんのところに
戻ればいいのに。
とメルティが言った。

僕は自立するんです。
これからはカエル王子と呼んでください。
とりあえず旅立とうと思います。

ヴィヴィアンならきっと
魔法で人間の姿にしてくれるよ。
たぶんカエル人間みたいになるけど。

それは避けたいなあ。
僕はいろんな池を訪れて、
安住の池を生み出すことのできる、
立派な夢食いカエルになるまで
修行をするつもりです。


a5

サラさん。
あなたは命の恩人です。
僕の大事な雨傘を差し上げましょう。


a6

いただいちゃって
いいのかしら。


a7

やがてメルティたちは、
魔術劇場に戻ってきた。

おや、おかえりなさい。
バルも戻ったのね。


a8

早速大きくしてあげる。
と言ってヴィヴィアンは
呪文を唱え始めた。


a9

薄い煙が立ち上り始めた時、
カエル王子は素早く
テーブルの上に飛び移って、


a91

絵画に描かれた
水の中に吸い込まれていった。

さようならみなさん。
また会う日まで。
と言っている。


a92

今のはなんだったの?
ま、いいか。
とヴィヴィアンが言った。

3人の姿は大きくなっている。


a93

サラ、
その手に持っているのはなあに?

これね。
カエル王子にもらったの。
持ってると明日の天気がわかるんだって。



解説)
今月初めから始まった
メルティの世界の冒険エピソードは
ひとまず完結です。

エピソードに出てきた
背景のジャングルや滝や廃屋、
水中の風景などは、
生成AIで制作した画像を
合成しました。
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May 12, 2024

その後の池で そのに

a1

サラが飛び込んだきり
浮かんでこないよ。


a2

サラは潜水していた。


a3

幻想的な世界ね。
水深は案外浅いんだ。


a4

カラフルな水生植物も見える。
あら、
あんなところに。


a5

サラは、岩の隙間に足を取られていた
カエルを引っ張り出した。


a6

あ、サラが昇ってくるのが見えるよ。
なんか抱えてる。


a7

サラとカエルは、
ぷふーと言っている。


a8

カエルは桟橋に飛び移った。


a9

あなたは昨日の。
おおメルティさんも。
また助けていただき
ありがとうございます。
お礼に良いことを教えましょう。
もうその手には乗らないわよ。

君はヘクトンの息子だろう。
ヘクトンは迷いの森に追い返したはずだが。
とバルが言った。

そうなんですが、
僕だけ岩の隙間に引っかかってしまいまして。

それは気が付かなかったな。
また渦を起こして
お父さんのところに返してあげよう。
とバルが言った。

いえいえ。いいんです。
僕も自立する年頃なので。

良いことってなあに?
とピノコが言った。

それは豆知識です。
水や池の夢に棲みつく夢食いには、
僕らの他にも、蛇とか鯉とか水龍とか、
いろいろな姿のものがいます。
勉強になったでしょう。

あんまり面白くないわ。



解説)
続きます。
Posted at 20:28 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

May 11, 2024

その後の池で

b1

翌日、メルティとサラを囲んで、
住人や猫たちが集まっている。
散乱していた家具類も集められ、
元の位置に戻されたようだ。

みなさんお疲れ様でした。


b2

この世界が乗っ取られずに済んだのは
バルという水の精霊のおかげだった。
バルは身を挺して
増え続ける池の水を収めてくれたんだ。
とシュレディンガーが言った。

お礼を言いたいけど、
私会ったことないのよね。
とメルティが言った。


b3

水の精霊か。
ねえ、池の様子を見に行かない?
随分落ち着いたみたいだし、
その人、戻ってくる頃かもしれないよ。
それに今日はむし暑いし
なんだか水浴びしたくなっちゃった。
とサラが言った。


b4

池の面は穏やかに凪いでいた。
ピノコたちは舟に乗り、
メルティは桟橋でくつろぎ、
サラは岩の上まで泳いで行った。


b5

サラ、その水着どうしたの?
泳ぎたいなあと思っていたら、
なぜか服の下に着込んでいたの。
夢だからなんでもありなのね。


b6

飛び込みまーす。


b7

池は随分小さくなってるけど、
深さ大丈夫なのかなあ。


b8

サラは岩の上から
ダイビングした。


b9

水しぶきとともに
サラの体は水中に。


b91

その時、
飛び散った水しぶきが集まり、
なんとメルティの横に置いてあった
ピノコの工事用ヘルメットの中に飛び込んだ。


b92

ヘルメットに溜まった水は
みるみる変形して
人間の姿になった。

初めまして。
私が夢見の水の精霊バルです。

あ、あなたが私たちの恩人なのね。
すごく大きくて背が高い方だって、
みんなが言ってたけど。

これは元のサイズなんです。



解説)
続きます。
Posted at 20:20 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

May 10, 2024

メルティの世界で そのきゅう

a1

ピノコたちは
水が引いた後の世界にやってきた。


a2

ジョン、帽子を見つけたよ。
と猫が言っている。


a3

二手に分かれて、
壁に沿って探索してみよう。


a4

ジョンとピノコたちは、
トンネル工事現場近くの
池があったところにたどり着いた。

水は随分引いたみたいだけど、
池は残っているんだね。
あ、あっちから舟が。


a5

メルティたちを乗せた舟は
ゆっくりと桟橋に近づいてきた。


a6

無事だったんだね。
心配してたんだよ。

水がどんどん増えて、
壁も霞んで見えなくなったの。
渦に飲みまれそうになったけど、
なんとか無事だった。


a7

こっちでも洪水状態で
大変だったんだ。
みんなで魔術劇場に避難したら、
ヴィヴィアンが呼び出してくれた
バルっていう水の精霊が
増水を止めてくれたんだよ。
とジョンが言った。

そんなことがあったの。


a8

ごめんなさい。
私が滝を見たいって願ったせいで、
沢山の滝の水が池に降り注いだの。


a9

その時、桟橋で水を飲んでいた子猫が言った。
池に何か映ってるよ!


a91

池の面に巨大なメルティの顔が
現れて、話し始めた。

メルティ、よく聞いて。
この池は、異世界の泉と繋がっているの。
それを望んだのはあなたであって、
あなたの夢を見ている私でもある。


a92

でも池の水が急に増え続けたのは、
あなたのせいじゃないのよ。
すごく悔やんでいるみたいだから、
それを伝えたくて出てきたの。

あれは、
カエルの姿をした夢食いヘクトンの仕業。
ヘクトンは、あなたに夢見の水を飲ませて、
沢山の滝を想像するように仕向けたの。

ずっと家にいてもいいって言ってた、
親切なカエルだと思ったのに。

それはあなたが消えちゃうとまずいからよ。
ヘクトンは迷いの森から
新しくできた水の通路を通ってやってきて、
この夢の世界を水で満たして、
カエルの楽園にするつもりだったみたい。
でもそのためには夢の主人公である
あなたの同意を得る必要があった。

それであんなに綺麗な滝のイメージを。

ヘクトンは泉の水の精霊の力で、
迷いの森に追い返されたわ。
この池の水はこれからは増えることも
減ることもない。
長い間目覚めることのない私たちの夢は、
夢食いたちの理想郷なの。
これからも気をつけてね。


a93

そう言い終えると
池の面の顔はうっすらと消えていった。

私も迷いの森から来たみたいですけど、
ここに住んでもいいですか?
とカタツムリが言った。
夢くいじゃなければいいわよ。



解説)
続きます。
Posted at 20:28 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

May 09, 2024

メルティの世界で そのはち

a1

薄い煙が立ち上って、
水差しの中からバルが現れた。
ピノコや猫たちが驚いている。


a2

昼寝してたところでした。
なんの御用でしょう。


a3

ヴィヴィアンから事情を聞いたバルは、
口を開いた。
わかりました。
たぶんヴィヴィアンさんの想像の通りですね。
メルティさんの異世界と繋がりたい
という願いが通じたのか、
メルティさんが夢見の水を飲んで
その影響を受けたのか、
とにかくメルティさんの夢の世界が、
私の泉と繋がっているのは確かなようです。
さっそく、水をひかせましょう。


a4

ジョンが扉を開けると
透明だったはずの境界の向こう側が
水に満たされているのが見えた。
ヴィヴィアンは呪文を唱えて、
水の侵入を押しとどめているようだ。


a5

バルも手をかざして呪文を唱えている。
水は自分たちの精霊のバルがいるのを知って
喜んで乱流を起こしているが、
一向に水嵩が減る気配がない。

ちょっと水量が多すぎるようです。
かくなるうえは。
とバルがいった。


a6

そんなことするとあなたが。

と言うヴィヴィアンの言葉が、
終わらぬうちに、
バルの半身は水に変化して、
扉の中に吸い込まれていった。


a7

ああ、あの人、
全身水になって行ってしまいましたよ。
とジョンが言った。
水になれるなんてすごい。
みずから水になるとは。
などと猫たちも驚いている。


a8

あの人、水の精霊だったんですか。
ええ、それも夢見の水って呼ばれている、
迷いの森に湧く特別な泉の水の精霊だったのよ。

もう元に戻らないんですか。
私が人間の姿になれる魔法の呪文を
教えてあげておいたから、大丈夫よ。
ただ、あれだけ大量の水の中に溶け込んで、
迷いの森の泉に導くつもりでしょうから、
どうなることか。


a9

その頃、
メルティたちの乗った舟は
巨大な渦に遭遇していたが、
不思議に舟は引き込まれなかった。


a91

だんだん水が引いていくよ。


a92

やがて扉の境界の向こうが透けて見え、
池の水はすっかり引いたようで、
猫たちはぞろぞろと帰りはじめている。

すごいもの見せてもらっちゃった。
とマンスフィールドさんが言っている。

メルティたち元気でいるかなあ。
ジョンさんの帽子探さなくちゃ。
掃除が大変そうだなあ。
あの池の水また飲みたい。
などと猫たちが話している。



解説)
続きます。
Posted at 20:27 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

May 08, 2024

メルティの世界で そのなな

a1

魔術劇場の応接室では、
絵画と人形のコレクターの
マンスフィールドさんが、
ヴィヴィアンと話していた。

お土産にお持ちした作品、
気に入っていただけたかしら。

素晴らしいです。
ちょうど最近住人が増えて、
新しい応接間に飾る作品が欲しかった
ところだったんです。
シュール好きの父もきっと喜びますわ。

それはよかったわ。
実はこの前メルティから
そのお話を聞いていたのよ。
この絵も私の保管倉庫のコレクションから
メルティが選んだの。
デ・キリコの「オデュッセウスの帰還」の
レプリカなんですよ。


a2

そうだったの。
あの子、この絵を自分の夢の部屋に
飾りたかったのね。
でもこういう美術作品のレプリカを
夢の世界に持ち込むと危険だから。


a3

そういうことみたいですね。
去年メルティにあげた
クノップフの「スフィンクスの愛撫」が、
大変な騒動を引き起こしたらしいですから。
ところで、あの絵は今どこに?

家族のリビングに飾っています。
部屋を管理してくれているメルティたちも
時々やってきて眺めていますよ。
とヴィヴィアンが言った。


a4

そのとき、扉が開いて
猫たちが部屋に飛び込んできた。
続いてジョンも現れた。

お話中申し訳ない。
ちょっと大変なことになりまして。


a5

ピノコとシュレディンガーも
扉からでてきて、ヴィヴィアンに
話している。

トンネル工事をしていたら
湧き出してきた水が溜まって池になり、
池でメルティとサラが舟遊びに出かけた後、
池の水がどんどん増水して、洪水状態になって、
やむなく、みんなで避難してきたんです。

メルティとサラがまだ帰ってきていないんですが、
もう陸地が無くなり始めて。


a6

初めて聞く話ね。
その池の水は地下から湧いてきたのね?

壁の向こうの世界に行くために、
メルティがずっと昔から掘っていたトンネルなんです。
掘っても透明な土が掘り出されるばかりでしたが、
掘るのをやめるとメルティが悲しむので。
ところがある日水が噴き上げて。
ついに外の世界と繋がったのかもしれません。


a7

池のお水は、肉まんの隠し味と
同じ味がしたよ。と一匹の猫が言った。
あの勢いだと、向こうの世界はもう
ほとんど水没しているはず。
と言いながら、ジョンは扉を押さえている。


a8

ちょっと考えさせて。
とヴィヴィアンは言って、
しばらく経ってから言った。

肉まんの隠し味っていうと夢見の水。
ということは、池の水は、迷いの森の泉から
流れてきていて、メルティの夢の世界は、
たぶん迷いの森と繋がったのよ。
デュアン、悪いけどバルを呼んで来て。
起きてるかな?


a9

デュアンは銀の水差しを持ってきた。
バルさんは、この中で寝てるはずです。

わかった。私が起こすわ。
ヴィヴィアンは手をかざして呪文を唱えた。



解説)
続きます。

マンスフィールドさんが、
去年の「大変な騒動」と言っているのは、
2023年4月19日「メルティの夢の部屋」
から、4月28日「絵画を返す」
までのエピソードのことのようです。
Posted at 20:25 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

May 07, 2024

メルティの世界で そのろく

a1

家の中に入ると屋内はぼろぼろだった。
あ、さっきのカエルがいるよ。


a2

大きなカエルが口を開いた。
ようこそ。
私はヘクトンと言います。
あなたがこの夢の世界のご主人ですね。
先ほどは息子たちを助けていただいて
ありがとうございます。
その上、たくさんの大きな滝を
思い描いていただいたおかげで、
池のお水が一気に増え続けています。

なんですって!
とメルティが言った。

もうすぐこの世界は一面の池水に
覆われることでしょう。
もっとも、この家は安全ですので、
いつまでもいてくださって構いませんよ。


a3

こちらにどうぞ。
メルティたちは客間に案内された。

まあ随分素敵なお部屋だこと。
風通しも良さそうね。
と、冗談はさておき、
ああ、私ったら。
こんなことになるなんて。
どうしようサラ。
とメルティはいった。

なんとか止めてもらえないかしら。


a4

二人は先ほどの部屋に戻ってみたが、
もうヘクトンの姿はなかった。

大丈夫。
全てが水とジャングルの世界になっても、
あなたの見ている夢なんだから、
きっとなんとかなるわよ。

でも、ジョンもピノコも、
シュレディンガーも猫たちも、
みんな外の世界からやってきた、
私のお友達でしょう。
溺れて死んじゃったりしたら、
私の夢の力では変えられないのよ。

とりあえず、この家を出て、
みんなのところに戻りましょう。
ヘクトンさんはいい人みたいだけど、
ここにいたら、掃除したくなって、
部屋が綺麗になったら
ずっと暮らしていたくなる気がする。
そうだね。

そばで聞いていたカエルが、
帰るの?
と尋ねた。
うんカエル。
もう帰れる場所はないよ。


a5

その頃、ピノコたちは困っていた。


a6

池の水がどんどん増水して、
とうとう、ここまで寄せてきましたね。
メルティたちは無事でしょうか。
舟に乗っているから、
池には浮かんでるはずだけど。


a7

ドア近くまで灌木が出現して
その縁まで池の水が増えているのだった。
うまいうまいと言いながら、
ごぶごぶと水を飲んでいる猫もいる。


a8

舟が見えない。
早く帰ってこないかなあ。


a9

このままじゃ溺れちゃうよ。
私泳げないのよ。
肉まんもうないの?
ひたすら眠い。
などと
猫たちは言っている。


a91

百猫の王シュレディンガー様。
お助けください。


a92

こうなったら、やむを得ないな。
メルティからは、
猫たちを通すなって言われてたけど、
みんなで扉から脱出しよう。


a93

その頃、
ジャングルの廃屋を後にした
メルティたちが目にしたのは、
茫洋とした一面のウォーターワールドだった。



解説)
続きます。
Posted at 20:23 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

May 06, 2024

メルティの世界で そのご

a1

舟は水路から戻っていく。
全く何が何だか。
ねえ、願い事が叶うって言ってたけど。
何がいいかなあ。
せっかくの舟遊びなんだから、
私はきれいな滝が見たいな。
いいわね。


a2

すると、やがて前方の岸壁に
滝が現れた。

おお、すごい。
右側に回り込めそうだよ。


a3

これはまた、
素晴らしい景観だね。


a4

滝巡りの旅だね。


a5

舟は滝の落ちる岸壁に囲まれた
狭い水路を抜け出た。
満喫したなあ。
と言っている。


a6

またジャングルみたいな
岸辺が続いているよ。
どこに向かってるのかな。


a7

あ、あんなところに
建物が見えるわ。


a8

舟はデッキのような場所に
横付け状態になって停止した。


a9

こんにちわ。
誰かいませんか。



解説)
続きます。
Posted at 20:22 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

May 05, 2024

メルティの世界で そのよん

b1

さらに舟は進んでいく。

桟橋も灌木も見えないわね。


b2

今度はハスの葉に乗った
カエルを見かけた。

お兄ちゃんはあっち、と言っている。


b3

ハスの茂みのようなものが見える。
岩の上にもカエルがいるようだ。


b4

ああ、これは良いところに。
ところで、どこも切り立った岸壁ばかりで、
上陸できないのです。
ほとほと泳ぎ疲れてしまいました。
平坦な岸辺まで乗せていってもらえませんか。
とカエルは言った。

いいわよ。
平坦な岸辺って私たちも
探しているところなの。


b5

これは水上タクシーですか。
そう見える?
私たちは舟遊びをしているだけ。
料金なんていらないのよ。
それはご親切に。


b6

やがて池に靄がかかり
幻影のような湿地帯が現れた。
カエルたちは、そこで一句。
と言いながら水音高く
池に飛び込んで行った。

やがて一匹のカエルが池面に
顔を出した。
ありがとうございました。
お礼に良いことを教えましょう。
この池に注ぐ清水を飲めば、
願い事が叶いますよ。
ではボン・ボヤージュ。


b7

清水なんて見なかったわ。
それにここはどうなってるのかしら。
あっちに水路があるよ。
小舟は不思議に勝手に進んでいく。


b8

小舟は水路の行き止まりで停止した。
あれが池に注ぐ清水らしいね。
喉も乾いてるし、
言われた通り飲んでみましょう。


b9

お、美味しい。
顔も洗うと気持ちいいわ。
この味は、夢見の水と同じよ。



解説)
続きます。
Posted at 20:34 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

May 04, 2024

メルティの世界で そのさん

a1

メルティとサラは
小舟に乗り込んだ。

気をつけてねー。
と言われている。


a2

小舟はゆっくりと出発した。
何もしていないのに動いていくよ。


a3

二人を見送ったピノコたちは、
池の岸辺の近くで、
肉まんを食べながら、
二人の帰りを待っていることにした。


a4

実は池の水かさが少しずつ
増えているのが気になるんだ。
とジョンが言っている。


a5

やがては大洪水になるっていうこと?
地球温暖化の影響なの?

それは絶対ないと思いますよ。

え、今誰が言ったの?


a6

猫たちが話してるわ。
とピノコが言った。

よく聞くと、猫たちの声がする。

この池の水美味しいね。
肉まんに隠し味で入ってるのと同じ味。
もひとつ食べようかなあ。
などと言っている。


a7

あなたたち人の言葉で話ができるの?
あ、わかります?
池のお水を飲んだら、
猫語が通じるようになったんですね。
私とはこれまで通りだね。
とシュレディンガーが言った。
猫族は以心伝心ですからね。


a8

その頃メルティたちを乗せた舟は
ゆっくりと池を進んでいた。

岸に沿って進んでいるから、
そろそろ一周する頃なのに。
大きさがわからないからねえ。


a9

あれは何?
岩の上に乗っているのは
カタツムリみたいよ。


a91

昼寝していたら池の水が増水して、
ここに取り残されてしまったんです。
とカタツムリが言った。

あなたカタツムリなのに
人の言葉が話せるの?
これは夢ですから。
それはともかく助けてあげましょう。


a92

ありがとうございます。
泉に落ちて渦に巻き込まれて、
やっと岸に辿り着いたと思ったら。
とカタツムリは言っている。
このカタツムリ
どこかでみたような気がする。
とサラは思ったが思い出せなかった。



解説)
薄緑色のカタツムリは、
「チョコエッグ 日本の動物コレクション 第4弾
107 アオミオカタニシ」(2000年販売)を使用しています。
実際には南西諸島や、台湾、パプアニューギニア
などに分布するものの準絶滅危惧種とか(wikによる)。

この世界では、
2021年5月13日「帰りついて」に登場しています。
迷いの森の探検に行ったモモコの
ナップザックの中に潜んで、
迷いの森から町に引っ越してきていました。
それ以降、ごくたまに背景に登場していたことがあります。
サラに見覚えがあったのは、
町中で見かけた記憶のようです。
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May 03, 2024

メルティの世界で そのに

a1

サラは歓待を受けている。


a2

相変わらず大勢の猫たちで
賑やかね。
あら、ジョンは?


a3

ジョンなら、
泉の様子を見に行っているよ。

実はね。
私、ずっと壁の向こう側の世界に行きたくて、
トンネルを掘っていたでしょう。
そこから地下水が湧いて、泉になったのよ。
泉の水はどんどん広がって、
今では大きな池になってるの。
そこに舟を浮かべてサラと一緒に遊べたら、
楽しいなって思ってたのよ。


a4

やがて、ジョンが戻ってきた。

やあ、サラ。
と言っている。


a5

泉の様子はどう?

小さな桟橋みたいなのができて、
小舟が停泊していたよ。

なんと!

ここは私の夢の世界だからね。
願い事が時々叶うのよ。
きっとサラが来てくれたからだわ。
とメルティが言った。


a6

一行は散歩を兼ねて、
泉の様子を見に行くことにした。


a7

サラが草むらを眺めながら歩いていくと、
草むらは次々と花の蕾をつけ始めた。


a8

どうしたのかしら?
これはきっと、
このフローラの草冠のせいよ。
とサラは言っている。


a9

もうすぐだよ。
この先から、
床が草地になってるわ。


a91

やがて一行は
トンネル工事の現場だった
付近までやってきた。
灌木が生い茂っている。


a92

あれが桟橋と小舟だよ。
とジョンが言った。

なんだかお風呂で遊ぶための
幼児用の玩具みたい。
夢だからね。
などと言っている。



解説)
どうなるのかわかりませんが、
続きます。
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May 02, 2024

メルティの世界で

a1

メルティとサラは
魔術劇場の応接間で、
肉まんを食べている
ヴィヴィアンとハリーに出会った。

やあサラ。


a2

ヴィヴィアンさん。
サラを私の夢の世界に
お連れしたいんですけど。


a3

断らなくても
好きにしていいのよ。
あ、魔法が必要だったわね。


a4

その包みはお土産の肉まんかい。
肉まんは美味しいからね。
とハリーが言った。

魔術劇場の部屋の管理は
私が見てますから、
どうぞごゆっくり。
とデュアンが言った。


a5

ヴィヴィアンは
二人に向かって呪文を唱えている。


a6

すると薄い煙が立ち上って。


a7

二人の体は小さくなった。


a8

サラの服、ちょっと違う気がする。
気にしないで。
夢っていうのは、そういうものよ。


a9

扉の鍵はかけないでおくけど、
猫たちには来ないように言ってね。
とヴィヴィアンが言った。


a91

二人が扉を抜けると、
そこはメルティの夢の世界だった。
さっそくサラは、
ピノコやシュレディンガーや猫たちに
歓迎されている。



解説)
続きます。
Posted at 20:27 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

May 01, 2024

4月のコンテストの発表

a1

今日は高台の方では雨が降っている。
曇天の広場はそこそこの賑わいだった。


a2

鈴木すずはドルフィンのリタから
新しいスケートボードをもらっていた。

倉庫に入荷してたのよ。
これで交代せずに遊べるね。
ずっと毎日遊んでたせいかなー。


a3

ベーカリーのテーブルでは
コンテストの審査が長引いていた。

4月は新規の応募者がいないのよ。
ジェニーフレンドたちも住み続けていて、
応募した住民の数は多いんだけど。
私が推すのはユニークな服装の局長。
でも、あの人はお忍びの休暇だったから、
知らせても絶対辞退するね。


a4

そういえば、気分転換って言って、
髪型変えて登録した人たちが何人かいたわね。
一番印象に残るのは、
なんと言っても。


a5

ルビーがマイクを片手にアナウンスしている。

みなさん、
4月のコスプレコンテストの優勝者の発表をします。
厳正な審査の結果、
優勝したのはジェニーさんです。


a6

ジェニーだって。
今日が発表の日だったんだ。
またチョコもらえるのね。


a7

ジェニーたちの部屋にも
拡声器のアナウンスが流れていた。

やったね。
やっぱりその奇抜なヘアースタイルが。


a8

やがて広場で、
万雷の拍手と歓声に迎えられて
ジェニーはトロフィを授与された。

エクセレンテ、ヴラーヴォ、
トレビヤン!などと声が飛び交っている。


a9

おめでとうジェニー、
その髪型初めてみるわ。
これね、実は初めてじゃないのよ。


a91

広場はジェニーのフレンドたちで
溢れている。
しかしよくみると群衆は
長蛇の列を作っているようだ。


a92

やがて程なく
参加賞のチョコの掴み取りが
始まったのだった。


a93

このトロフィ飾る場所ないんだけど。
ドルフィンで預かってもらえるよ。
私もそうしてるの。
と優勝経験者のアンナが言っている。



解説)
毎月恒例のコンテストは
ほぼ順当な結果だったようです。

ジェニーの稚児髷(ちごまげ)ヘッドは、
2006年6月29日「夏野菜とフィギアショップ そのいち」に
その回だけ登場しています。
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Apr 30, 2024

春たけなわの日々 そのはち

a1

今日は曇天ながら気温が上昇している。
ジェニーたちの部屋では、
ナオミが戻ってきて
ジェニーの気分転換ぶりに驚いている。


a2

その乙姫様みたいな髪型はなんていうの?
稚児髷(ちごまげ)っていうのよ。


a3

サラたちの部屋には
メルティが来ていた。

あなたも気分転換?
いいえ。今日はお誘いにきたの。
この前魔術劇場では、局長と一緒で、
部屋を案内してたので言い出せなかったけど、
久しぶりに私の世界に遊びに来ない?


a4

その頃、広場では。


a5

今日は蒸し暑いねー。


a6

もう4月も終わりなんですね。
ということは明日が今月のコンテストの発表か。
今月も選考が悩ましいわ。


a7

子供たちは今日も滑って遊んでいた。
フローラも着替えをしたようだ。


a8

ナディアとマヤが小声で話している。

昨日はどうなることかと思ったわ。
実はナディアは私の娘で、
二人が実の親子だって言っても
とても信じてもらえそうもないからね。
あの子はCGの新人で佳奈っていうのよ。
今はドルフィンのスタッフしてる。
それで戦闘服のこと知ってたのね。


a9

その頃佳奈はベランダで
アイスたちと話していた。

翠さんは探偵助手になりすまして
諜報活動してるんですか?
と、佳奈が聞いている。


a91

諜報活動っていうより、
基本的にCGのメンバーは、
普段は普通の職業についているのよ。
何かの時に動員されるわけ。
境界警備隊みたいなのは特別なの。
でも、普段から情報収集はしてるわね。
以前はよくペンギンに出かけて、
常連のお客さんから情報をもらってた。

こんな平穏そうな町にもスパイみたいな人って
いるんですか?


a92

郊外に住んでいるジムっていう人や、
マンゴー亭やデジャによく出入りしている
アンジーっていう人は英国の諜報機関の人よ。
とアイスが言った。
でもCGと敵対しているわけじゃない。
何かの時は協力する関係にあるの。
これまでも、町にヴィヴィアンが来た時、
協力して警護に当たったりした。

ヴィヴィアンって、あの魔法使いの。

その時は英国のマフィアや
ヴァンパイアの過激派が動いていてね。
他にも、秘密組織ジゾックス騎士団の残党の、
魔王メイヴを復活させようという企みを阻止したり、
水面下ではいろんな事が起きているの。
普通の町の住民たちのほとんどは知らないけどね。

平和な着せ替え人形のままごと遊びみたいな
世界だと思うと違ってるわけですね。
どうしてそんな比喩を思いつくのかな。


a93

その頃、魔術劇場の前では、
入り口の番人のエヴァに扉を開けてもらい、
メルティとサラが劇場に入るところだった。

お土産に肉まん買っていこうよ。
と言っている。



解説)
今回もほぼ続きでした。
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Apr 29, 2024

春たけなわの日々 そのなな

a1

ケヤキの若葉が生い茂って、
山々も堤防も隠れて見えなくなった。


a2

みんな出かけてるね。
僕が留守番してるから
ジェニーも気分転換してくれば?
と文学青年が言った。


a3

ジェニーはサラを訪ねていった。


a4

広場は平穏に賑わっている。


a5

子供たちは相変わらず
スケートボードで遊んでいる。


a6

ドルフィンに鷲尾翠が
衣替えに来ていた。

これ着てたの?
襟が豹柄で気に入ってたけど
流石にもう春だからね。


a7

農家の出店には、
ナディアがドラゴニアベリーを運んでいた。
いつもどうもね。

あ、マヤ。
と佳奈が言っている。


a8

CGの戦闘服着てたらまずいんじゃないの?
この子誰だっけと思って、
ナディアは戸惑っている。


a9

そこにマヤが駆けつけてきた。
佳奈、この子はね、
私の双子の妹で、ナディアっていうの。
この服はコスプレなのよ。

そーなんですか。
その時、ルビーが佳奈を呼ぶ声が聞こえた。


a91

なんでしょう。

あなたに紹介しようと思って。
身分を隠しているCGの仲間よ。

あ、鷲尾翠さんでしたよね。
今年のお正月に探偵事務所で。
名前の由来を伺っていた時に。

ああ、あの時の学生さん。よく覚えてたわね。
私、表向きはあの探偵事務所で助手をしてるの。


a92

その頃、サラたちの部屋では、
ジェニーの気分転換が終わっていた。


a93

ちょっと変えすぎじゃないですか。
このくらいにしないと。
と言われている。



解説)
今回もあれこれと。
Posted at 20:28 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Apr 28, 2024

春たけなわの日々 そのろく

a1

広場は平穏を取り戻している。


a2

大道芸人たちの演奏も
始まったようだ。


a3

ドミノ、その楽器はなあに?
サズって言うトルコの民族楽器よ。
ドルフィンの倉庫の隅で見つけたの。


a4

あのからくり人形はどこに?
郊外に向かったみたい。
子供たちもついていったわ。


a5

ジルさん、助かりました。
森林公園に設置していただけるなんて。
皆さんの評判が良かったし、
ギルダも僕もあのフォルムが気に入っちゃったのでね。


a6

その頃、茶運び人形は、
郊外の森林公園に向かっていた。
公園管理を任されている、
ソローと権太が付き添っている。


a7

時々ゼンマイ巻かないと止まるけど、
これよく動くね。
公園に飾るなんてジルさんも酔狂だなあ。
いやいや案外
観光の目玉になるかもしれないよ。


a8

その頃広場のベランダでは、
トマソンとサルバドールが話していた。

今回の作品は随分作風が変わりましたな。
夢の世界で、これというモデルが見つからなくて、
戻りぎわに見かけた人形をモデルにしたのです。
でも作っていて、こういうものこそ自分は
作りたかったのだと思いました。


a9

なるほどなあ。
もう私の力は必要ないのかも。

え、サルバドールさんは、
すごい夢魔だって噂で聞いたんですけど、
やっぱり本当だったんですか?
とうたが尋ねた。

うーん。そう呼ぶ人もいますが、
私は芸術を愛する芸術家の味方なのです。
ただし人の夢の中に入り込んで、
想像力や創造力を増強する力を持っている。
それを当人や周囲が囚われた状態と思えば、
そんなふうに呼ばれることもあるだけなのですよ。

僕もハリーさんたちが話しているのを聞いて、
なんとなく気がついてはいました。
迷いの森でサルバドールさんとお会いして以来、
あの世界の夢ばかり見るようになったのだし。
でもたとえ操られていたのだとしても
とても感謝していますよ。
とトマソンが言った。

サルバドールはちょっと
うるっとしているようだ。


a91

その頃、茶運び人形は
森林公園に到着していた。


a92

やがて、茶運び人形は、
花壇の中央に設置されたのだった。


天使の彫像の方が良かった気がするなあ。
これはこれでユニークだよ。
などと言っている。



解説)
前回の続きのような展開に。

サズは遥か昔に製作した楽器アイテムで、
2006年2月3日「剣と魔法の国 その5」
に一度だけ登場しています。
Posted at 20:32 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Apr 27, 2024

春たけなわの日々 そのご

a1

広場では、
相変わらず人だかりがしていた。


a2

ドルフィンに戻ってきていた
マヤと佳奈が話している。

マヤはロボットに詳しいんでしょう?
あれは江戸時代に、からくり半蔵と呼ばれた、
細川半蔵っていう人が書いた指南書「機巧図像」を
元に作られたゼンマイ仕掛けの「茶運び人形」を、
そのまま6倍スケールに巨大にしたものよ。


a3

あの涼しげな澄んだ瞳と
謎めいた微笑みが素晴らしいですなあ。
ずっとみていると
気分がくるくるしてくるようだ。
とサルバドールが言っている。
そうなの?
とアイスが言っている。


a4

なんか足りないのよね。
とモモコ。
ルビーさん、これどうするんですか?
お店の前で邪魔だからね。
とりあえず撤去するしかないかな。


a5

そこにトマソンが
巨大な器を持ってやってきた。

これを置くのを忘れてました。


a6

これで完成なんです。

トマソンさん。
いつもの空き缶やペットボトルと違って、
粗大ゴミ扱いするのは、
ちょっと躊躇するんですけど、
ここはお店の前なので。

ああ、捨ててもらっていいんですよ。
作品を作って路上に設置するまでが、
僕の芸術行為なんです。


a7

ドルフィンのスタッフのリタと佳奈が、
撤去作業に取り掛かるために近づいてきた。
なんだか勿体無いな。
人間に似てるせいかしら。
なんでも顔がついてると捨てられなくなるのよね。
壊さずに移動できないの?
などと話し声が聞こえる。

移動ならできますよ。
とトマソンが言った。


a8

ゼンマイを巻いてありますから、
あとは茶碗の中に水を注げばいいんです。
受け皿の部分が重さを感知して移動するんです。

さっそくアイスがバケツで水を運び、
舞がヤカンから水を注いでいる。


a9

茶碗の水の重みで
内部の歯車のストッパーが外れ、
茶運び人形はそろそろと動き出していった。



解説)
なんとなく
一件落着ふうになったのでした。
Posted at 20:24 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Apr 26, 2024

春たけなわの日々 そのよん

a1

ミルフィーユは
ジェニーたちの部屋に帰ってきた。

うわ。随分。
と言われている。


a2

すっかり健康そうになって。
せっかく気分転換したから外出しようよ。


a3

ということで、翌朝、
たまきとミルフィーユは
ペンギンにコーヒーを飲みに出かけた。

イメチェンですね。
とはるなに言われている。


a4

二人の姿に気がついて
店内からジュリアナたちがみている。


a5

ジュリアナとエリカは、
日焼け仲間が増えたのね。
と喜んでいる。


a6

カオリも顔を覗かせた。
色白で対照的なので登場したようだ。


a7

この夏はこれで。
私はずっとこのままよ。
昔はやってたの?
みんな微妙に違うのね。
などと言い合っている。


a8

その頃、広場に向かった
モモコとナオミは、思わぬ光景に
遭遇していた。


a9

ルビーさん。
これ人形ですよね。
そうみたい。
今朝出現していたのよ。
モモコは、
これって見覚えがある。
と思っていた。


a91

エトナは早速カメラを構えて
撮影している。
この頭、微妙に動くよ。
と、舞が言っている。


a92

誰が置いたか大体見当がつくわね。
でもいつものオブジェとはちょっと違う。
大道芸人たちが演奏できなくて困ってますよ。
どうしましょうか。
燃えないゴミの日はいつだっけ?
などと言っている。



解説)
ちょっとだけ
変わったことが起きたようです。
Posted at 20:26 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Apr 25, 2024

春たけなわの日々 そのさん

a1

天候が回復したようで、
草木は光を浴びている。
モモコとナオミは部屋に帰ってきた。

みんな気分転換したのね。


a2

ミルフィーユも
気分転換してみたら?
どんな感じがいい?
うーん
健康的なのがいいなあ。


a3

ミルフィーユは
サラたちの部屋を訪ねることにした。
なんとなく無茶振りだなあ。


a4

その頃、ハーレーたちは、
道路の傍にバイクを停めて
パトルールの車両を待ちながら、
立ち話をしていた。

境界警備隊っていつ頃できたんですか?
地元で迷いの森って呼ばれていた
森林地帯で、失踪者が相次ぐので、
立ち入り禁止区域になって、
それから軍が調査に入ってからね。
調査隊が部隊毎消えたこともあって、
軍とCGが協力して監視のための
部隊が置かれたのよ。
3年前くらいかしら。
フェンスまで作られて随分物々しいんですね。
色々不可解なことがあるらしくてね。


a5

そこに境界警備隊のバギーが走ってきて、
急停車した。


a6

みんなに紹介したい新人がいて、
あなたたちが来るのを待ってたのよ。
とハーレーが言った。


a7

レイブンとコフィ、
ベレー帽かぶっているのが
リーダーのイメルダよ。
佳奈です、どうぞよろしく。
と佳奈は言った。


a8

あなた、CGのこと知ってる?
とレイブンが言った。

いえ、地球の平和を維持するための
国際的な秘密組織というくらいしか。
そうか、秘密だから無理ないわね。
どんな組織なんですか。
それが秘密なのよ。
新人を混乱させてはダメよ。
とハーレーが言っている。


a9

マヤ、こんなところで珍しいわね。

このところずっと出歩かなかったから、
久しぶりに郊外まで散歩に出て、
ついでに詰所に立ち寄ったら、
みんな出払ってたので帰る途中だったの。
そしたらハーレーたちに出会って。

なるほど。
そういえば、野菜運んでるの見たって聞いたけど。
ああ。あれはね。
暇だからたまに農家の手伝いしてるのよ。

そうなの。
お互い暇だからねー。
とイメルダは言った。


a91

その頃、サラたちの部屋では。

こんな感じだけどどうかしら。
ありがと。嬉しいわ。
すごく健康的で気分転換になります。
とミルフィーユが喜んでいる。



解説)
今回もあまり脈絡なく
時が過ぎていくのでした。
Posted at 20:21 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Apr 24, 2024

春たけなわの日々 そのに

a1

今日も雨模様で、
木々の緑がしっとりと濡れている。
たまきは部屋に帰ってきた。


a2

髪切ったのね。


a3

なんだか別人みたい。
気分転換よ。


a4

気分転換、気分転換と言いながら
モモコとナオミはサラたちの部屋に出かけていった。


a5

その頃、佳奈をのせた
ハーレーのオートバイは
郊外の道を走っていた。

もうすぐ境界警備隊の詰所に
到着するよ。


a6

誰か歩いてくる人がいる。
あれはマヤよ。彼女もCGのメンバー。
ドルフィンでアンのメンテをしてるって聞いたわ。
え、私見たことないですけど。


a7

マヤが軽く手をかざして、
ハーレーはバイクを止めた。

後ろの子は佳奈、この春入ったばかりのCGの新人よ。
まだ研修中でドルフィンのスタッフっていうことに
なってる。
とハーレーがマヤに佳奈を紹介した。

どうぞよろしく。
私はマヤ。去年の7月にアンのメンテナンスっていうことで、
不在中だったレイチェルの代わりにドルフィンに配属されたの。
あなたの1年先輩っていうことになるわね。
レイチェルが帰ってきて交代でメンテナンスしている。
でも顔を合わせたことなかったわね。

私、10日前にドルフィンに配属されたばかりなんです。
でもこの町に来たのは去年の暮れで、あちこちの家を回って、
学校の自由研究で名前の由来調べをやってました。
そしたら、CGにスカウトされて。
今までお会いしたことなかったのは、逆に珍しいですね。

最近はシェリー研究所に篭りきりで、
アンのメンテもレイチェルに任せきりだったからね。
あ、今みんなパトロールに出てて詰所にいないわよ。
ここで待ってれば、もうすぐ通ると思う。
とマヤは言った。


a8

その頃、サラたちの部屋では、
二人の髪型の気分転換が終わっていた。

後ろで編んでまとめてもらったの。
とナオミが言った。


a9

私はちょんまげを
おろしてもらったの。
とモモコが言った。


a91

二人はたまには
気分転換しないと。
と言っている。



解説)
たまきとナオミとモモコのヘッド、
いずれも古くからのストックで、
10数年前には登場していたことが
あったと思います。
Posted at 21:52 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Apr 23, 2024

春たけなわの日々

a1

たまきもサラに
髪を短くしてもらった。

さっぱりしたわ。


a2

どんな感じかな。


a3

そんなに日焼けしてたっけ?
ルージュの色も変えたのね。
などと言われている。


a4

その頃、広場では、
ハーレーと佳奈がオートバイに乗っていた。

今日は時間があるから、
このまま郊外の境界警備隊の詰所まで帰って、
この新人を仲間に紹介してくるよ。


a5

二人を乗せたバイクは
Uターンすると、
排気音とともに走り去っていった。


a6

詰所には軍の兵士たちもいるんでしょう。
CGの一員だって疑われないですか。
そう思われても特に問題ないのよ。
そう言われればそうですね。


a7

隣のマンゴー亭では、
サルバドールが、ジェニーフレンドたちの
会話に参加していた。

今走っていったオートバイ、
スワット仕様だったでしょ。
とロベリアが言っている。


a8

サルバドールさん。
ご支援のお申し出はありがたいんですが、
私、ヴィオリンはあくまでも趣味なんで、
プロの演奏家になるつもりはないんです。
と奈々子は言っている。

それはなんとも残念ですなあ。


a9

こんなに本人の意思がはっきりしてると、
夢の中に忍び込めそうもないなあ。
とサルバドールは思っている。



解説)
あれこれと
春の日が過ぎていきます。
Posted at 20:22 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Apr 22, 2024

ティモテのことなど

a1

今日は時々小雨。
モモコはジェニーたちの部屋に
帰ってきている。


a2

雨があがるとウグイスが鳴いて
教えてくれるのがいい感じね。
たまきはさっそく散歩に行ったよ。


a3

それでその巨人って
どんな人だったの。
隣のキッチンにいたから、
姿を見たわけじゃないのよ。
見つかったらどうなるの。
モスラに出てくる妖精みたいになるのかな。
古すぎてわからない。
などと話している。


a4

隣の高台では、
たまきがティモテと出会って
話していた。

この近くに、
すごく器用な人がいるって聞いて。
きっとサラのことね。
私知ってるから連れてってあげる。


a5

たまきはティモテをサラに紹介している。

あなた、印象的な長い髪で
コンテストで優勝した人でしょう?
そうなんですけど、
髪を短くしたいんです。
もう地面に届きそうで。


a6

その頃広場には、
CGのハーレーが遊びに来ていた。


a7

調子はどう?

私が境界警備隊に配属されたのは
去年の9月だけど、
至って平穏よ。もう暇で暇で。
そういえば新人が入ったって聞いたけど。


a8

もう噂になってるのね。こちらが佳奈ちゃん。
表向きはドルフィンのスタッフっていうことに
なってるから、よろしくね。

どうも。佳奈です。
ルビーさん。ベーカリーの皆さんの他にも、
身分を隠してるCGのメンバーって、
この町にいるんですか?

いるわよ。
今度紹介するわ。


a9

その頃、サラたちの部屋では、
ティモテのヘアーカットが終わっていた。


a91

こんな感じよ。
わーすっきりしました。
私も短くしてもらおうかな。
とたまきが言っている。



解説)
ティモテの長髪は、ヘッド全体を交換しているだけで、
実際に髪をカットしたわけではありません。
Posted at 20:22 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Apr 21, 2024

ジェーンの世界 帰還

a1

ジェーンが投げ上げた紐を伝って、
3人はサイドテーブルの上に
登って行った。
エリコは花瓶に生けられた小枝に
器用に体を絡ませて見下ろしている。


a2

モモコ、あなたたちは今
とても危険な状態にあるの。
居間の隅にある扉のついた建物。
あれが見つかれば大変なことになるのよ。

あ、うん。
でもエリコはどうして私がここにいるって
わかったの?
私はいつもあなたの心の中にいる。
と言っても、私の体は迷いの森にあるんだけど。
あなたがどこにいるのか位はわかるのよ。
あなたは第二のお母さんだからね。
そう言ってエリコは微笑んだ。

それで急いでやってきてみたら、
すごく危ないことになってた。


a3

エリコの忠告を受けて、
二人は元の世界に戻ることにした。

慌ただしかったけど、楽しかった。
テレビ体操も覚えたし。
また遊びに来るからね。
とモモコが言っている。


a4

二人の姿が鏡の扉の中に
吸い込まれるように消えると、
魔術劇場も消えてしまった。


a5

モモコたちは、
魔術劇場の応接間に帰り着いた。

やあ、おかえり。
それはなんだね?
とハリーが言っている。


a6

モモコは異世界での出来事をハリーに話した。

なるほど、忠告してくれたエリコというのは、
迷いの森に住む生き物で、
君たちの行った世界は、
迷いの森とも繋がっているんだね。

迷いの森の奥にあの世界があって
エリコたちだけが通れる通路があるんです。

ふむ。私たち魔族の先祖が、
迷いの森からやってきたという
古い言い伝えがあるんだ。
もしかすると、その世界が
私たち魔族の故郷かもしれないなあ。

じゃあ、ジェーンは、
魔族のご先祖様の一族かもしれないですね。
魔法なんて全然使えないみたいですけど。

ふむ。
このクラッカーうまいなあ。
それで、トマソン氏はいかがでしたかな。


a7

ジェーンにもらったイチゴを食べて、
ここが夢ではなくて現実だと実感した時から、
なんだか自分が変わったような気がしていたんです。
そうしたら、こっちの世界で眠っていた筈の
僕の体が消えちゃったって、モモコさんに教えられて。

ふむ。モモコさんが探しに行かなければ、
それこそ神隠しに合うところでしたな。

感謝してます。
オブジェのヒントは見つからなかったんですが、
向こうではジェーンに色々案内してもらったんです。
あれ作ろうかなあ。

a8


ハリーへの報告を済ませてモモコが
魔術劇場から出ると、
広場はかわりなくぼちぼち賑わっていた。


a9

その透明なレインシューズ
かっこいいわね。
と舞に言われている。



解説)
長いようであっという間の、
モモコたちの冒険が終わったのでした。
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Apr 20, 2024

ジェーンの世界 そのじゅう

a1

モモコは、
家の主がリモコンの操作をしているのを、
キッチンテーブルの上で見ていた。


a2

家の主はケトルに水を入れて火にかけ、
冷蔵庫の扉を開けて食パンやマーガリンを探している。
いつもの行動パターンだ。


a3

ジェーンは、素早く身を翻して、
椅子の上に滑り降りた。


a4

ここなら安全。
カリカリとコーヒー豆を挽く音がして、
やがてトースターから食パンが跳ね上がる音や、
淹れたての珈琲の香りが漂ってきた。


a5

ジェーンは椅子の上に潜んで
朝食中の家の主人と一緒に
テレビニュースを視聴していた。
あ、カーテンがずれちゃってる!
気がつかれなきゃいいけど。
とジェーンは思った。


a6

やがて家の主が朝食を済ませて
二階に引き上げた後、
ジェーンはテーブルの上に
開封されたクラッカーの箱を見つけた。


a7

ジェーンはクラッカーの包みを抱えて、
無事にモモコたちのところに戻ってきた。

心配してたのよ。
大丈夫、いつものことだから。


a8

その時、モモコの頭の中で、
懐かしい声がした。
モモコ聞こえる?
上よ上。


a9

モモコが見上げると、
サイドテーブルの上の花瓶の中に
巨大な虫のようなものの姿が見えた。

あ、エリコ。



解説)
続きます。
Posted at 20:28 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Apr 19, 2024

ジェーンの世界 そのきゅう

a1

家の主人も二階の寝室で眠りこみ、
夜も更けて居間のサイドテーブルの縁から
かすかな明かりが漏れている。


a2

書籍で遮蔽されたテーブルの棚の中では、
ジェーンたちがプチトマトを食べながら
歓談していた。

それとこれとは、大根と牛蒡くらいの違いよ、
いいえ、レンコンとちくわくらいの違いはあるわ。
などと話している。


a3

やっぱりこの世界楽しいわ。
プチトマトがこんなに大きいなんて。


a4

暮らしていくのは結構大変なのよ。
毎日危険と隣り合わせで。
紙芝居にしたら面白いでしょうね。
なぜ紙芝居なの?
レトロなのがいいんですよ。
そういえばトマソンさん
芸術家だったんだ。
好きなことしているだけですよ。
みんな人生は芸術なんです。


a5

3人の話は尽きず、
春の夜は更けて行った。


a6

翌朝。
モモコは、ジェーンから分けて貰った
輪ゴムと指サックで履き物を作っている。


a7

嬉しいなー。
ジェーンとおんなじだ。


a8

その時、遠くでドンドンという物音が聞こえた。
人が階段を降りてくる音のようだ。

モモコさん、
登ってきてください。
とトマソンが呼んでいる。


a9

二人は棚の中に隠れて
推移を見守っている。


a91

どこかでリモコンのスイッチが押され、
モニターに画像が映し出された。

あ、テレビ体操だ。
モモコはどこに?
キッチンの方に出かけてるはずです。



解説)
よくわからない事態に。
Posted at 20:28 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Apr 18, 2024

ジェーンの世界 そのはち

b1

鏡の扉から出て来たモモコは
居間のガラス戸沿いに歩いて行った。


b2

あ、あれはトマソンさんだ。


b3

トマソンは大きな鉢を押して
位置をずらせている最中だった。


b4

声をかけると
トマソンは振り向いた。

モモコさん。
どうしてここに。

魔術劇場の寝室で
ずっと眠っていた
あなたの体が
消えちゃったのよ。

え、そんなことが。


b5

この世界で眠って起きても、
この世界の夢から覚めないんです。
体も消えちゃったとなると、
やっぱりもう戻れないのかなあ。
だから私が助けに来たのよ。

などと二人で話していると、
キッチンの方から
プチトマトを抱えたジェーンがやって来た。


b6

モモコ、久しぶりね。
どうやってここに?

夢を見てるわけじゃなくて、
前と同じように魔術劇場の扉を使ってきたの。
トマソンさんの体がなくなっちゃって、
本人を探しに来たんだけど、
扉が見つかると大変だから急いで帰らないと。


b7

3人は居間の隅にある
魔術劇場の前まで行った。

せっかく来たんだから、
もう少しゆっくりしたいなあ。
僕もまだ作りたいオブジェのヒントを
見つけていないんです。
だったらカーテンで隠せば
きっと見つからないわよ。


b8

ジェーンたちはカーテンを引っ張って、
魔術劇場を覆い隠している。


b9

こんなんで大丈夫かなあ。
とモモコは思っている。


b91

モモコがサイドテーブルの横に戻ると、
ジェーンたちはサイドテーブルの棚の中に
プチトマトを運び入れていた。
さっきトマソンが動かしていた鉢は、
足場用に使われていたのだった。


b92

ここは仮の棲家なのよ。
とジェーンが言っている。


b93

サイドテーブルの棚の中は、
3方をカーテンと家具と、
並んだ書籍に囲まれ、
タオル地の掛けられた箱の横に、
狭い入り口のある空間だった。

棚板の上には古い手袋や端切れが敷き詰められ、
非常用の照明器具らしきものが
横倒しにされたままになっている。




解説)
すぐ戻るつもりが
なんとなく思わぬ展開に。
Posted at 20:23 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Apr 17, 2024

ジェーンの世界 そのなな

a1

モモコが扉を抜けると、
そこは魔術劇場の応接間だった。

ここにはほぼ2年ぶりですかな。
そろそろおいでになる頃かと
思っていましたよ。
とハリーが言った。


a2

トマソンさんがずっと眠ったままだと聞いて、
気になって来たんです。
この前トマソンさんにお会いした時、
いつも見ているっていう
夢の世界のスケッチを見せてくれたんですけど、
その世界が、私がジェーンに会った世界に
そっくりだったの。
ずっと眠り続けているっていうことは、
その世界に行ったままなんじゃないかって。


a3

そうでしょうとも。
私も同じことを考えていました。

私は魔術劇場の中で、魔法の力を使って、
その人が望む世界に行ける、
鏡の扉を作り出すことができますが、
それはあくまでも個人的な思いを
魔法の力で実体化する夢のような世界です。
けれど、かってモモコさんが訪れ、
今はトマソン氏も訪れていると思われる
ジェーンが住む世界というのは、
そうした個人的な夢や願望をもとに
魔法で生み出される異世界とは
かなり異質なのです。


a4

この古い魔術の本を紐解いて
調べてみたのですが、
本来、願望と魔法の力だけでは行けない世界です。
だからトマソン氏に取り憑いた凄腕の夢魔である
サルバドールでさえ入り込むことができなかった。

私は何年も前に迷いの森を探検して、
ジェーンの住む世界に行き着いたことがあったの。
でもその時は、見えない境界に阻まれて、
入り込むことができなかった。
でもなぜか私だけがハリーさんの
魔法の力を借りれば行けるのね。


a5

その時、鏡の扉が開いて
デュアンがやってきた。

今、トマソンさんの寝室に
様子を見に行ったんですが、
姿が消えていました。


a6

ふーむ。
どうやら肉体があちらの世界に
移動してしまったようだ。

そんなことってあるんですか。

私、兵隊さんたちの村で、
話していた途中でジェーンが消えちゃったりするの
体験したことがあるわ。
とモモコが言った。


a7

このままだと、
トマソンさんこの世界から
いなくなっちゃうよ。
私呼びに行ってくる。

勇気あるなあ。
とデュアンは思っている。


a8

訪問は2度目だからわかっていると思うけど、
向こうの世界には
扉が魔術劇場ごと出現するはずだ。
劇場が見つかって扉が取り上げられると、
戻れなくなるから気をつけて。
とハリーが言った。


a9

モモコが鏡の扉を抜けると、
そこは巨大な居間の隅だった。



解説)
モモコがジェーンの住む世界に
行きたくて、アイスと二人で
迷いの森を探検した経緯は、
2021年5月6日「モモコの計画」から
2021年5月12日「帰還まで」に
描かれています。

モモコとジェーンが会話中に
ジェーンが消えてしまうエピソードは、
2021年9月8日「願いのままに」。
その前後の回を見ると経緯がわかります。
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Apr 16, 2024

ジェーンの世界 そのろく

a1

ジェーンは面白そうなものが見たいという
トマソンを案内していた。

これは、からくり人形よ。
ゼンマイ仕掛けで、お茶を運ぶの。
随分埃をかぶっていますね。
ずっと前からあるけど、
私も動いてるところは見たことがないわ。


a2

これはカラー写真付きの葉書ですね。


a3

ずっと前から送ってくれる人がいて、
届くと大抵この箱に収納されているのよ。
花や虫や鳥の写真に季節感が溢れてるから
いつも覗くのが楽しみ。


a4

世界が変わって、
その頃サラたちの部屋では、
みんなでお茶を飲んでいた。


a5

そこに佳奈がやってきた。
就職の報告をしにきたようだ。


a6

私、ドルフィン工房のスタッフになれたんです。
この町に住めるようになって嬉しい。
サラ先輩、皆さんも、
これからもよろしくお願いします。


a7

こちらこそ。
良かったですねー。
とジェイソンも言っている。


a8

その頃広場ではそこそこの賑わいだった。


a9

これは倉庫に入荷した
新しい浮世絵です。
これで確か4枚目ね。
永谷園の鮭茶漬け食べたくなってきた。
などと言っている。


a91

あら、佳奈ちゃんは?

サラ先輩のところに
挨拶に行くとか言ってたよ。


a92

モモコは魔術劇場の入り口の
扉の管理をしているエヴァに話しかけていた。

トマソンさんが何日も眠ったままだって
聞いたんですけど。
そうなの。そのことを聞いて、
きっとあなたが訪ねてくるだろうって、
ハリーさんが言ってたわ。
どうぞ中へ。



解説)
なんとなく散漫に
少しずつ進展しています。
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Apr 15, 2024

ジェーンの世界 そのご

a1

ジェーンたちは
炬燵の裾で話していた。

あ、ジェーンさん。
僕まだこの世界にいるんだ。
そうみたいね。
よく眠ってたわよ。


a2

今日はいい天気。
居間の網戸を閉め忘れてるなんて、
ラッキーだわ。
外に出かけるんですか。


a3

滅多にないことだからね。
それにお花も見てみみたい。


a4

一面の桜ですね。
あっちの方に行ってみましょう。


a5

シュールな世界だなあ。


a6

巨人が電気工事してますよ。
見つかると危険だから、
引き返しましょう。


a7

ここもやばくないですか。
ちょっと見るだけ。


a8

ここなら安全よ。
巨大だけどシャガの花綺麗ですね。


a9

もう筍が。
今年は気温が高かったので、
例年より半月ほど早いって、
居間のテレビで言ってたわ。


a91

クリスマスローズや
スノーポピーが咲いてる。

眠って目が覚めても
こっちの世界。
僕もう戻れないのかなあ。
どうなんでしょう。
私にはわからないわ。



解説)
今日は天気が良かったので、
屋外で撮影して合成しました。
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Apr 14, 2024

ジェーンの世界 そのよん

a1

ベランダにはヴィヴィアンもやってきて
サルバドールと話していた。

トマソン氏が何日も眠ったままらしいのよ。
あなたが夢魔として取り憑いているんでしょう。
起こすことはできないの?


a2

確かに取り憑いてはいたんですが、
彼がいるのは夢の世界じゃなく、
実在する異世界なんです。
私はそのきっかけを与えただけで、
私がその世界に導いたというより、
その世界が彼の眠りに引き寄せられてしまったんです。
最初に迷いの森で眠ったせいかもしれない。
起きてこないのは、
彼自身が目覚めるのを望んでいないからですよ。
すごいオブジェのヒントでも見つけて
夢中になっているのかもしれない。
次の作品が楽しみだなあ。


a3

随分、気楽なものなのね。
あなたは芸術のためなら人を破滅に追いやることも
あるって聞いてるから、無理ないのかもしれないけど。
とヴィヴィアンが言った。

私は本人の願いを手助けしてあげるだけですよ。
芸術作品のためなら命も惜しくないという人もいるんです。
おお、この音色美しいですなあ。

ずっと眠ったまま夢を見ているとしたら、
私と同じね。
とメルティが言った。


a4

ヴィヴィアンはデジャに戻った。

どうも埒があかなかったわ。
サルバドールの関心は、
ヴァイオリンの音色。
次は奈々子に取り憑くつもりなのかしら。


a5

そのトマソン氏のいる異世界のことなんだが、
全てが6倍のスケールでできているというんだろう。
そういう世界だったら、
一昨年に魔術劇場にやってきたモモコという娘さんを
鏡の扉を使って案内したのを思い出したよ。
とハリーが言った。

そんなことがあったの?

お前が知らないのも無理もない。
あれはたしか、お前とカーミラが魔術劇場にやってくる
直前のことだったからな。

ハリーの後ろで二人のやりとりを聞いていたマリアが、
私もそのとき黒猫に変身して一緒に行ったのよ。
モモコの友達のジェーンという人がいたわ。
と言った。


a6

その頃、ベランダで
ヴィヴィアンたちの話を立ち聞きしていた
キャサリンが、
二階の部屋に戻って報告していた。

魔術劇場に住んでるトマソンさんが
何日も目を覚まさないんだって。

あの人、この前この部屋に来た時も、
突然すやすや眠っちゃったからね。


a7

トマソンさん、ずっとあっちの世界にいるんだ。
もしかしてジェーンと出会えたのかなあ。
とモモコは想像していた。


a8

広場では、
佳奈がルビーと話していた。

しばらくぶりね。
と言われている。


a9

この春、卒業して、
勧誘されてCGに就職したんですど、
採用試験もなかったんです。
と佳奈は言った。


a91

あなたの適性や成績は全てしらべてあるの。
CGは秘密組織だから、
表向きはドルフィン工房に
スタッフとして就職したことになってる。
この先、本部に出向いて、いろいろ、
特殊な訓練受けるでしょうけど頑張ってね。
この服装も支給されたんですけど。
誰の案かしら。好きな服着ていいのよ。



解説)
ハリーが思い出したのは、
2022年3月14日「モモコの体験」
からの小旅行のことを指しています。
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Apr 13, 2024

ジェーンの世界 そのさん

a1

デジャを訪れたメルティは、
ヴィヴィアンとハリーとの話を続けていた。

眠り続けてるっていうトマソンさんのことを話すとね。
とヴィヴィアンがメルティに言っている。


a2

あなたはサルバドールのことを覚えているでしょう。
忘れもしません。
去年の4月19日、私の夢に入り込んできて
シュレディンガーと対決した夢魔でしょう。

トマソンさんには、そのサルバドールが憑依しているのよ。
トマソンさんが眠り続けているっていうことは、
夢を見続けているっていうこと。
サルバドールが何か知ってるに違いないわ。

でもサルバドールさんは、
あれから迷いの森に帰ったはずですよね。

あなたは知らないかも知らないけど、
先月、町に戻ってきたのよ。


a3

サルバドールは、トマソン氏と迷いの森で知り合い、
彼の芸術家としての才能に惹かれて、
自分でも入り込めない特異な異世界に
トマソン氏の夢を導いたらしいんだ。
その世界でトマソン氏がインスピレーションを得て、
制作したオブジェの実物を、自分の目で確認するために
この町にやってきたという話だよ。


a4

サルバドールなら、今ベランダにいますよ。
と、広場を眺めていたゼロが言った。


a5

ガラス戸越しに見る広場は
相変わらず賑わっていた。


a6

子供達とアベルが
ローラースケートやスケートボードで遊んでいる。


a7

奈々子のヴァイオリンの音色に
みんな聴き入っている。

この技巧、パガニーニも真っ青だ。
と誰かが言った。


a8

ベランダでもサルバドールが
深刻そうな顔で
ヴァイオリンの音色に聴き入っていた。


a9

そこにメルティがやってきた。
サルバドールさん、お久しぶり。

あ、ちょっと待って。
今いいところだから。
とサルバドールが言った。



解説)
鈴木すずの乗っている
スケートボード(キーホルダー)は
ダイソーで購入しました。
Posted at 21:58 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Apr 12, 2024

ジェーンの世界 そのに

b1

ジェーンはフォークを手にして、
男(トマソン)に声をかけてみることにした。

こんにちわ。
あなたはどなた?

トマソンは最初びっくりしたものの、
ひと月ほど前にモモコから聞いていた、
夢の世界に住む女性の話を思い出した。


b2

僕はトマソンと言います。
もしかして、あなたはジェーンという名前ですか?

え。どうして知ってるの?

やっぱりそうか。
僕は今、夢の世界にいるんです。
僕と同じ夢を見たことがあるっていうモモコっていう人が、
そこにジェーンっていう友達が一人で暮らしているって、
教えてくれました。

ふーん。モモコの住んでる世界から来たのね。
最近会ってないけど、彼女元気なのかな。


b3

トマソンは、自分が
実物の6倍のスケールのオブジェを作る
造形作家であり、路上アーティストであること、
完璧な作品を作りたいと望んでいたら、
ある時から、全てが6倍のスケールの
夢ばかり見るようになったこと、
それ以来、夢を見るたびに、
制作するオブジェのモティーフを求めて、
夢の世界を探索していることなどを話した。

でも、あなたがここに暮らしているっていうことは、
ここは夢の世界じゃなくて、モモコさんが
言っていたように、実在する別の世界なんですね。

どうもそういうことみたいね。
でもあなたがこれまで何度もここに来てたのなら、
お互い気がつきそうなものだけど。

それは僕もそう思います。
ただ、僕のみる夢は最初はぼやけていたんです。
最近どんどん風景がクリアになって、
現実感が増してきて、もう起きている時と変わらない。
こうしてあなたと出会えたのも、
そういう変化と関係があるのかもしれません。


b4

あ、あそこに美味しそうなイチゴがあるわ。
とジェーンが言った。


b5

ジェーンたちはテーブルから床に降り立った。
ちょっと待っててね。
と言ってジェーンはキッチンの隅に隠してあった
紐を持ってきて投げ上げ、
手挽きコーヒーミルの金具に引っ掛けて、
器用に登っていった。

紐の輪に足をかけて、ゆっくり登って。
と言っている。


b6

いつもこんなことしてるんですか?
もちろんよ。


b7

二人はガスレンジを横切って、
苺の入った網かごの置かれた
まな板のある場所までたどり着いた。

これ美味しそう。
もらっちゃうんですか?


b8

借りるだけなの。
ちゃんと書き置きしておくから。
いいのかなあ。


b9

ついでにお水も汲んでおくわ。
指サックの靴が役にたっている。


b91

ジェーンは、
カッターの刃で作ったナイフで
イチゴをスライスして、
ボトルのキャプに水を注いだ。

二人は明るい出窓のスペースで
イチゴを食べている。

この甘酸っぱさ、絶対夢じゃない。
とトマソンが言っている。




解説)
今回は合成なしのオールロケでした。

トマソンがモモコからジェーンの話を聞いたのは、
2024年3月9日「春の足音 そのろく」でのことです。
Posted at 20:28 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Apr 11, 2024

ジェーンの世界

a1

デジャでヴィヴィアンとハリーが
話している。

魔族や悪魔と普通に付き合う天使って
聞いたことないわね。
あの天使は結構特別なんだよ。
それで局長を任されているんだろう。
それにしても、
デュアンの身の上話は初耳で驚いたわ。


a2

俗世間から隠遁したがっていたデュアンと、
逆に自分だけの夢の世界に閉じこもって
他人のいる別世界に憧れていたメルティ。
二人に魔術劇場の部屋の管理してもらうなんて、
お父さんも考えたわね。

すべて成り行きだよ。
こっちも助かってるしね。


a3

その時、メルティがやってきた。

おや、噂をすれば影かな。
この店まで来るなんて珍しいわね。
何かあったの?

実はこのところ
トマソンさんの様子が心配なんです。
ずっと眠ったきりで。

ということは。。。


a4

トマソンは、夢の世界にいた。
いつも見る世界なので、
自分で夢を見ていることを自覚しているが、
このところ感覚が鮮明になり、
あらゆるものがクリアに感じられて、
感覚的にはとても夢とは思えない。


a5

一人でサバイバル生活をしているジェーンは、
その隣の居間で、
サイドテーブルの上に座っていた。


a6

カラーの輪ゴムが入った箱と、
透明な指サックの入った袋を見つけたので、
指サックに足を入れて輪ゴムで留めて、
靴の代用品の工作をしていたのだった。

これならシンクで水に濡れても大丈夫。
と呟いている。


a7

その時キッチンの方で物音がした。


a8

振り向くと、
キッチンのテーブルの上に、
男の人が立っている。


a9

ジェーンは身を翻して
サイドテーブルの縁にぶら下がると。


a91

思い切りよく飛び降りた。
予想した通り、
うまく座布団の上に着地した。


a92

ジェーンは、
キッチンテーブル目指して
小走りに走り。


a93

屑籠を利用して
椅子の上までよじ登って、
男(トマソン)の様子を窺っている。



解説)
ジェーンの住む世界と、
トマソンの夢の世界が、
重なったようです。
Posted at 20:26 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Apr 10, 2024

花の季節 そのきゅう

a1

サラと局長は魔術劇場を辞して、
呼びに来たバグたちと共に
ペンギンの前にやってきた。

オリュンポスからお呼びがかかるって、
何か重大な案件なんですか。
そうでもないのよ。
毎年春先にフローラの代役頼まれていて、
今年も役目を終えたんだけど、
その報告をクロリスにするの忘れてたの。


a2

また来年遊びにくるからね。
ええ、楽しみにお待ちしてます。


a3

局長はバグを伴って
地下通路から迷いの森に帰って行った。

局長お忙しいんですね。
今回の休暇はこっちに二週間以上いたからね。
本人はお忍びって言ってるけど、
管理局の職員はみんな知ってるのよ。
まあ何か重大事件がなければ
局長不在でも仕事は回るから、
あまり気にする人はいないけど。

オリュンポスって、
神話に出てくる神々の住む世界でしょう。
管理局はそんな世界とも繋がっているんですか?

もちろん。
でも神々の世界を管理してるっていう訳じゃない。
局長は毎年春先になるとフローラに頼まれて
眠っている花々を目覚めさせる代役をしてるんだけど、
そういう繋がり方ね。
フローラのオリュンポスでの呼び名がクロリスなの。

ややこしいんですね。

古代ローマとギリシャの神話空間の違いね。


a4

夕方になって、
ジェニーたちの部屋にエトナが遊びに来ていた。
この前文学青年と舞と3人でお花見をして、
酒造に立ち寄った時の画像を
パソコンで表示しているのだった。


a5

これでおしまい。
ここは酒造の黒塀の前。
この後二人と別れた後も私は散歩を続けたの。
とエトナが言った。


a6

これは「身代わり地蔵」の写真よ。
このあたりにはお寺も多いんだよね。
と文学青年が言った。


a7

お稲荷さんの前を通りかかったら、
魔子さんに出会ったわ。
この人よくここで掃除してるんだよ。


a8

それから普通に桜の咲いてる場所を探して。
あ、ここは図書館だね。


a9

桜を撮影してたら、向こうに誰か。
たまきじゃないの?
小さすぎてよく見えない。


a91

たまきだったの。
これは玉川上水に架かる福生橋のたもと。
水鳥が泳いでるよ。


a92

そうそう思わず撮影しちゃった。
いつもこのあたりにいるんだよ。


a93

画像鑑賞会が終わり、
みんなは酒造でお土産に買った
日本酒を飲んでいる。

身代わり地蔵ってなんなの?
お地蔵様が怪我したときなどに
身代わりになってくださるのよ。
魔子さんって本当はキツネだって知ってた?
たまきが図書館に通ってたなんて信じられない。
などと話している。



解説)
今日は天気が良く、
ちょうど返却期限日だったので図書館へ。
後半はその道すがら撮影した画像を
とり混ぜて使っています。
Posted at 20:21 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Apr 09, 2024

花の季節 そのはち

a1

魔術劇場の中。
メルティは扉を抜けて、
二人を別の部屋に案内した。

この部屋は共同のスペースです。
逗留する人達の憩いの場。


a2

室内にはカーミラとデュアン、
パペとヘルミーネがいた。
ヘルミーネはバナナのケースを
テーブルに運んできたところのようだ。

メルティはみんなを紹介して、
今、局長とサラに
魔術劇場の中を案内していた
ところだと言った。


a3

これはこれは管理局の局長さん。
お初にお目にかかれて光栄ですわ。
ハリーやヴィヴィアンから
お噂はかねがね。
私はハリーの妻のカーミラと言います。
サラさんもお久しぶり。
とカーミラは言った。

魔術劇場が広場に越してきたので、
農産物の一時的な保管場所に使えて、
すごく便利になったんです。
とヘルミーネが言った。


a4

ヘルミーネは農家の直販店の手伝いを
しているので広場でよく見かけるし、
カーミラとも何度か挨拶したことはある。
パペというゼンマイ仕掛けの人形の奏でる
「ある愛のうた」も聞いたことがある。
でもこのデュアンっていう人は、、、
とサラは思っている。


a5

サラさん。私のことをご存知ないでしょうね。
普段外に出ないので。とデュアンは言った。
でもあなたが町に来る前から、
ずっとこの町に住んでいたんですよ。
2021年や2022年のハロウィーンには
修道女のコスプレで参加してたんです。
そこで知り合ったハリーさんに勧められて
2年前から魔術劇場に住むことになりました。

デュアンはね。
ずっと魔術劇場の屋内の管理を手伝ってくれているの。
入居者が増えたので、メルティにも頼んだんだけど。
もともとハリーのお招きしたお客様で
自由な身の上なのに感謝してるわ。
とカーミラが言った。


a6

カーミラに先導されてサラたちが扉を抜けると、
そこは新しい応接間のようで、
ハリーとヴィヴィアンがワインを飲んでいた。

二人も着席して歓談が始まった。


a7

魔術劇場の中はいかがでしたか。
最近は簡易ホテル状態になっていますが。
とハリーが言っている。


a8

それぞれのお部屋が
鏡の扉で繋がっていて、
部屋数も自在に増やせるなんて、
便利そうですね。
管理局でも取り入れたいくらい。


a9

あら。魔法を使えば簡単なんじゃない?
管理局には、そんな魔術師がいないのかしら。
とヴィヴィアンが言った。

この世界でいうハリーのような魔術師はいないわね。
もちろん私たちにも、
異世界を生み出すことや消滅させることは
簡単にできますよ。
でもそれは魔術とは別の力。
ついでに言うと、便利そうで取り入れたいけど、
管理局の中ではあなたたちの魔法は無効なのよ。
ああ、仕事の話はやめましょう。
と局長が答えた。


a91

私はデュアンさんのことがお聞きしたいわ。
デュアンさんは私より前からこの町にいたって
おっしゃってましたよね。
でも広場にはおいでにならない。
何か特別な理由があるんですか。


a92

特別な理由っていうこともないんですけど、
色々人間関係でごたごたがあって、
私修道院に入ろうと思っていたんです。
そんな思いもあって、ハロウィーンには
修道女のコスプレを着てたの。

その姿を見かけた私が声をかけたのです。
魔術劇場の中なら修道院のような
俗世間と離れた暮らしができますよってね。
とハリーが言った。


a93

そのとき、鏡の扉から
エヴァが現れた。

お話中申し訳ないですが、
局長さん。管理局の方が入り口においでになって、
なんでもオリュンポスの方から
お呼びがかかっているとか。

あ。約束すっかり忘れてたわ。
もうそんな時期なのね。
行かなくちゃ。
と局長が言った。



解説)
デュアンのこと。
デュアンは、修道女のコスプレで、
2021年10月31日「ハッピーハロウィン」
2022年10月27日「もうすぐハロウィーン」
などに登場しています。
2022年の11月に入ってからデュアンが
魔術劇場で暮らすことになった、
という記載があります。

サラが町で暮らし始めるずっと以前の、
2008年4月24日からの「デュアン」シリーズに
登場していますが、
その後の行方は杳としてしれず、
色々苦労していたようなのでした。
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Apr 08, 2024

花の季節 そのなな

a1

薄曇りだけど、
今日もお花見日和ね。


a2

気温上がりそうよ。
うん。羽織脱いでいくことにするよ。


a3

文学青年が坂を降りていくと、
桜を眺めている今井舞に出会った。


a4

二人で坂を降りていくと、
やはり桜を眺めているエトナに出会った。


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3人は堤防までやってきた。
今日も人出が多いようだ。


a6

エトナは盛んに撮影している。
流石に喉乾くね。
それ何はいってるの?
もちろん普通のお水よ。
などと話している。


a7

文学青年は河原を眺めている。
じっと聞き耳を立てていると、
堤防を行き交う人達の喧騒が遠のいて、
豊かな春の川音が聞こえてきた。


a8

ついでだから
近くの酒造まで足を伸ばそうか。
私まだ行ったことないの。
何年振りかなあ。


a9

酒造の庭は一般に開放されていて
レストランなどもあり、
いつも来訪者で賑わっている。


a91

庭には夫婦欅と呼ばれる
樹齢400年を超える二本の欅があって。


a92

根元には、お米の神様「大黒天」と、
お水の神様「弁財天」が祀られている。


a93

庭には資料館やお酒の直売店などもある。
3人はお土産にお酒を買ったようだ。



解説)
後半の画像は、近在にある石川酒造で撮影。
この酒造は日本酒「多満自慢」や地ビール「多摩の恵」で有名ですが、
最後の画像のお酒やビール瓶のラベルは別物です。
Posted at 20:22 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Apr 07, 2024

花の季節 そのろく

a1

堤防の桜の帯が
ほんのり色づいている。
そろそろ花盛りみたいだね。


a2

ということで、
ジェニーたちはお花見散歩に出かけた。
4人は多摩川にかかる睦橋の上から、
堤防の並木を眺めている。


a3

堤防は行き交う人で賑わっていた。


a4

まだほとんど散っていないね。
うす曇りの空だけど
かえって目に優しいわ。


a5

堤防の斜面を這うように伸びた枝も花盛り。
ここは撮影スポットね。


a6

探偵に声をかけられた。
振り向くとエリスもいる。
二人ともお花見に来ていたのだった。


a7

明神下公園の前では
これから堤防に行くという
ジェニーフレンドたちにも出会った。

提灯や屋台はないの?
今年のさくら祭りは
3月末日で終わっちゃったのよ。
今年は開花が遅れたから。
花見酒が。
などと言っている。


a8

屋台の撤去された公園の広場は
閑散としていた。
でもそこかしこに
シート広げてる人たちもいるよ。


a9

たまきたちは、公園の隅のオブジェを見ている。

これ鳥が翼を広げているところみたい。
翼の部分が日時計になってる。
面白いね。あの影の位置、
もうすぐ午後2時なんだ。


a91

やがて帰ってきた一行は
西陽の差し込む部屋で
留守番していた文学青年に報告している。

すごく綺麗だったわ。
それは良かったね、
僕も明日にでも行ってみるよ。
晴れるといいけど。
そうなの?


解説)
登場した公園のオブジェは
住谷正巳氏作「陽光と共に」。
福生市の鳥シジューカラがモチーフに
なっていると解説板にありました。
Posted at 20:27 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Apr 06, 2024

花の季節 そのご

a1

ハリーやヴィヴィアンが気軽に声をかけて
入居希望者を受け入れるから、
魔術劇場の中には沢山新しい部屋が生まれてるの。
それでハウスキーパーみたいに時々様子を見て
報告してほしいって言われてね。

部屋はそれぞれ鏡の扉で繋がっているんだけど、
どの部屋に行けるかは特定の念じ方があって
その方法をハリーから教えてもらったの。
だから私はハリー一家の暮らす
一部の部屋を除いて出入り自由なのよ。
おかげで色んな人とお友達になれた。

良かったら様子見ついでにご案内するわ。
とメルティが言った。


a2

サラたちがメルティに続いて
鏡の扉を抜けると、そこはベッドのある部屋だった。

この部屋は?
トマソンさんの寝室よ。

よくお休みみたいね。


a3

トマソンさんは
大抵そのベッドで眠っているか、
隣の作業室に篭りきりで、
オブジェを制作してる。


a4

次にメルティが案内したのは、
幽霊船の船長、
キャップテン・クックドゥーの部屋だった。

うたた寝していたクックドゥーは
物音に目が覚めたようだ。


a5

やあメルティ。
それに、サラさんもご一緒ですか。
最近はうつらうつらすることが多くて。
おや、さらにお隣にいらっしゃる女性は。


a6

あなたは幽霊船の船長さんね。
正確には元船長だった人物の
亡霊と言えばいいのかしら。
私は管理局の者です。
と局長が言った。

あなたが去年、生者の魂を幽冥界に
引き入れようとしたことは、
情報管理部のミラから報告を受けています。
あ、そのことを咎めに来たわけじゃないの。
今の管理局は、その程度のことに関心はないので
安心していいわよ。


a7

こ、これは身に余るお言葉。
私は骸骨なので、そうは見えないでしょうが、
嬉し涙が止まりません。


a8

そこに鏡の扉を抜けてフローラがやってきた。
こんにちわ。サラ。
あら、あなたも魔術劇場に泊まってるの?

そうなんです。
そちらの方はお忍びで休暇中という噂の
管理局の局長さんね。
私はフローラと言います。

春の花の女神と同じなんていいお名前ね。
と局長が言った。


a9

ありがとうございます。
私、魔術劇場に泊まっているんですけど、
船長さんとお友達になって、
この部屋によく遊びにくるんです。
船長さんの貝殻で夢を見るのが楽しくて。

わかるわかる。
とサラが言った。


解説)
幽霊船長は去年6月に船員の勧誘のために
町を訪れたものの、ヴィヴィアンに説得されて
改心して魔術劇場の住人になりました。
その後サラたちと親しくなって、
海辺の夢が見られる貝殻を
サラにプレゼントしたのでした。

船長の初登場は
2023年5月14日「海賊ブーム そのなな」から。
5月18日「船長の話」、5月19日「船長の話 そのに」などに続き、
ジェイソンやサラたちと知り合うエピソードを経て、
2023年6月9日「デッキチェア」からサラの夢の
エピソードが見られます。
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Apr 05, 2024

花の季節 そのよん

a1

蒸したてでホカホカですよ。

私ジェニーフレンドのロベリアっていう人と知り合って
広場に遊びに行ってたんだけど、
レイが魔術劇場に肉まんを運ぶっていうので、
ついてきちゃった。
とメルティは言った。


a2

私の世界と繋がる小さな扉のある部屋に
ピノコたちが来ているはずだから、
お食事が済んだら会いに行きませんか。

いいわよ、久しぶりね。
とサラが言っている。


a3

飲茶の会食が終わり、
サラと局長はメルティに案内されて
鏡の扉を抜けて別の部屋に出た。

そこにはピノコやシュレディンガーと、
あいこちゃんがいたのだった。


a4

局長とサラだ。
久しぶりです。とピノコが言った。
あいこちゃんは初対面でちょっと戸惑っている。

草の冠を被っている人はサラ。
操り人形だった私を修理してくれた恩人よ。
隣の人は管理局っていうところの局長さん。
とピノコが紹介した。

あ、私はジェニーフレンドのあいこです。
魔術劇場に泊まらせてもらってて、
さっきピノコと知り合いになったばかりなの。


a5

これはこれは局長にサラさん。
昨年はお世話になりました。
とシュレディンガーが言った。

あなた、たてがみ薄くなった?
経年劣化というやつです。


a6

小さな扉が開いて、ジョンもやってきた。
彼も局長とサラに挨拶している。

私はいつもメルティの夢の世界を
夢食いの侵入などから守っているので、
なかなか町まで出かけることはないんですが、
時々魔術劇場の中まで来て、
別世界の雰囲気を味わっているんですよ。
とジョンが言った。


a7

みなさんお元気そうで良かったわ。
この鉢植えの植物はなあに?
とサラが言った。

これは私たちの世界から、
ここに運んできたの。
この部屋何にもないから
インテリアなのよ。
とピノコが言った。


a8

サラがじっと見つめると、
植物は眠りから目覚めるように
さわさわと揺れて、
やがて花の蕾が膨らんで行った。
ピノコは驚いている。


a9

これは草冠の力。
というより、春の花の女神フローラの力が
まだ草冠に宿っているのよ。
と局長が言った。



解説)
サラと局長の魔術劇場の部屋巡りは
続くようです。

ピノコのこと。
ピノコは元々ハリーの注文で、
ドルフィンで作られた操り人形で、
たまきがピノコと命名しました。
一度劇中劇で使用されてのち10年以上
ドルフィンの倉庫で眠っていましたが、
サラが修理してハリーが動かしたところ
経年劣化で針金が切れて壊れてしまい、
人形に宿っていた精霊をヴィヴィアンが
魔法で人間に変身させ、
やがてメルティの夢の中で
暮らし始めた、という歴史があります。

ピノコが画像として登場した記録は
2023年1月14日「操り人形のことなど」の解説に。
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Apr 04, 2024

花の季節 そのさん

a1

ペンギン前では、
珍しく店のマスコットのフンボルトが
店内から休憩しに出てきていた。


a2

ジェニーフレンドの皆さんが
一斉に広場に出かけたので、
お店が空いたわね。
いつもご苦労様。
フンボルトさん、バナナも食べられるの?
なんでも食べられるんですよ。
特に鯖の味噌煮が好きですが。


a3

テーブルでは
バグとミラが話していた。

局長大丈夫かなあ。
全然心配ないわよ。
魔術劇場でハリーやヴィヴィアンと
会うんでしょう。
そうじゃなくて、居心地良すぎて、
休暇を勝手に延長するんじゃないかって。
ああ、それはありえるかも。
また自分がルールだからって、
言い出しかねないね。


a4

その頃、魔術劇場では、
マンゴー亭から飲茶を取り寄せて、
会食が行われていた。


a5

もう一年になるんですね。
局長におかれましてはお変わりなく。
昨年はとんだ飛び入りがありましたが、
今回はゆっくりしていってください。


a6

ああ、百猫の王のことね。
彼は元気にしているのかしら。


a7

シュレディンガーなら、
今もメルティの夢の世界で
元気に暮らしているわよ。
魔術劇場にも時々遊びに来ているみたい。
最近は同居人が多くて部屋も増えたので、
滅多に顔を合わせることがないんだけど。
とヴィヴィアンが言った。


a8

やがて時はすぎ。
もうお腹いっぱい。
とサラが言っている。


a9

追加の肉まんお持ちしました。
と言いながら、
マンゴー亭からレイがやってきた。
メルティも一緒のようだ。
メルティは、局長とサラに挨拶している。

局長はまだまだいけるわ。
と言っている。



解説)
特に仕事の話をしない
飲茶の会でした。
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Apr 03, 2024

花の季節 そのに

a1

今日も曇天で雨模様。


a2

たまきは参加賞のチョコを
もらって帰ってきていた。

私も広場に行かなくちゃ。
とナオミが言っている。


a3

たまきと一緒に遊びにきた
ミルフィーユも、しっかり
大量のチョコの入った袋を持っている。

チョコ鷲掴みにしたの?
3人分を預かってるのよ。


a4

隣の休憩所では
みんなバラの蕾の出現に驚いている。

どうして急にここに。
サラがじっと見つめてたわ。
サラは魔法なんて使えないはず。
もしかするとあの草冠のせいかも。


a5

サラと局長は
広場に戻っていた。


a6

エリカとオリーブと
ジュリアナが話している。

ミルフィーユはどこ?
たまきと一緒にジェニーのところに行ったよ。
食べすぎないように、
私たちのチョコ預けたままなの。
それは賢いわね。一かけら分けて。


a7

局長はサルバドールを見かけたので
話しかけている。

随分楽しそうね。
う、局長にはかなわないなあ。
この素晴らしいヴァイオリンの音色。
私がお手伝いすればさらに才能が。
掛け持ちはできないはず。
トマソンさんのことはどうするの?
そこが悩ましいところなのです。


a8

ああサラ。ヴィヴィアンからお話は聞いてるわ。
とエヴァが言った。


a9

ハリーさんがお待ちかねよ。



解説)
今日も昼過ぎから雨に。
散歩がてらの撮影は
そのうちに。
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Apr 02, 2024

花の季節

a1

サラと局長は
高台で休憩していた。

この植え込み、花が咲かないの?
とサラが言っている。


a2

局長はカラスと話している。
そのカラス、最近よく見かけるんですよ。
何話してるんですか。
私を歓迎してくれてるの。

ところで局長は
コスプレコンテスト参加されたんですか?
今広場で参加賞のチョコの掴み取りやってますよ。
そうなの?知らなかった。
管理局の職員は、訪問した世界での契約や、
そういう催しには関与しない決まりなのよ。
でも確か去年の9月にバグさんが優勝しましたよ。
ふーん。それも初耳ね。


a3

広場には、
ペンギンからもジェニーフレンドたちが到着して、
かなり賑わっていた。


a4

ベランダではリエたちがくつろいでいる。


a5

今日もあったかいわね。
もう上着がいらないくらい。
とリエが言った。


a6

ユーリシアはさっそく
参加賞でもらったチョコを
かじっている。

あ、ヴァイオリンの音色が聴こえるわ。


a7

広場に来た奈々子が
また大道芸人たちの演奏に
参加しているのだった。

サルバドールは、
音色に聞き惚れている。
この才能は。。


a8

暑いので
ジュリアナも上着を脱ぎかけていた。

なんかかっこいいデザインの服着てるね。
すごく昔の服なのよ。


a9

ミルフィーユとエリカと
オリーブたちも参加賞のチョコをゲットしていた。
ミルフィーユがみんなのもらったチョコを
まとめて保管しているようだ。

食べすぎると良くないから
分けて食べようよ。
と言っている。


a91

サヤカも上着を脱いで
果物を物色している。


a92

マンゴー亭では優勝したティモテと
ロベリア、リナたちが肉まんを食べていた。

ところで、私とティモテは遠い親戚なのよ。
私たちは顔の輪郭がそっくりなの。
とロベリアが言っている。


a93

サラと局長が立ち去った高台の休憩所で、
粉川和歌子は、
サラがずっと見つめていた植え込みの茂みに、
バラの蕾を見つけた。

あら、いつの間に。



解説)
今回は主にジェニーフレンドたちの顔を撮影。

ティモテはジェニーフレンドとして
1990年に発売されましたが、
2000年に発売されたロベリア、
2001年に発売された桜子のヘッドには、
ティモテと同じ[8K27]という金型が使われている、
とネットの情報で知りました。
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Apr 01, 2024

3月のコンテストの発表

a1

4月になって
今日も広場はそこそこ賑わっている。


a2

気温の高い日が続いたので
ドルフィンのスタッフたちは
ジャンパーを脱いでいる。


a3

そのペンダント変わってますね。
とサヤカに言われて、
リタはイルカのペンダントを見せている。


a4

ベーカリーでは
コンテストの選考会議が行われていた。

3月の新規応募者は、
ジェニーフレンドだけで、
15人もいるのよ。
とマンスフィールドさんが言っている。


a5

みんな微妙に個性があるからねえ。
やっぱり見た目で決めようか。


a6

やがてルビーが立ち上がって、
アナウンスが始まった。

みなさん。
3月のコスプレコンテストの
優勝者を発表します。
厳正な審査の結果、
優勝したのは、
美しいロングヘアーのティモテさんです。


a7

拡声器のアナウンスは、
ペンギンにも届いていた。

今日が発表の日だったのね。
ティモテここにいる?
花見酒が。
などとみんなで話している。


a8

ティモテはドルフィンの二階で
アナウンスを聞いていた。

優勝だって。
参加賞のチョコはもらえないの?
副賞で二回掴み取りができるはずよ。
やたー🎵。


a9

ティモテは万雷の拍手と喝采を浴びながら、
トロフィを授与されている。


a91

授賞式が終わると
参加賞のチョコの掴み取りが始まった。


a92

長い行列ができている。


a93

ティモテは舞たちに
話しかけられている。

素敵な長い髪。お手入れが大変でしょう。
シャンプーは何使ってるの?
もちろんそれは。



解説)
恒例のコンテスト発表の
回でした。
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Mar 31, 2024

春の誘い そのはち

a1

ペンギンの店内では、
ジェニーフレンドたちが騒いている。

やっと桜が咲き始めたね。
堤防の並木が。
見に行きたい。
花見酒が。


a2

サラたちの部屋では。
ケイたちが話していた。

コーヒー豆が
切れちゃったんだけど。
いつも買い出しに行く
サラがいないからなあ。


a3

前には私が行ったのよ。
天気がいいし私が。
とメアリー=ケイトが言った。


a4

今日は僕に行かせてよ。
最近引きこもりがちだし。
とジェットが言った。


a5

かくてジェットが
買い出しに行くことになった。

最寄りのJR拝島駅から電車に乗って。


a6

大学通りの桜並木は、
まだ二分咲きくらいかな。


a7

買い物を済ませたジェットは
北口駅前に行ってみた。

駅前の桜ジンダイアケボノは満開。
ジンダイアケボノはソメイヨシノよりも
開花が数日早く、花の色も少し濃く、
近年ソメイヨシノの代替品種として
推奨されている、とネットに。


a8

南口駅前では
「国立音楽フェスティバル」というのを
開催中だった。
演奏しているのは永見怜大さん。
ショパンのピアノ曲が朗々と。


a9

駅前で偶然見かけた
ドールパフォーマンス。
演じているのは
パントマイム・人形振りユニット「しろみときみ」。
活躍中のユニットのようで、
ネットで見ると動画も上がっている。


a91

ジェットは電車に乗って
地元に帰ってきた。


a92

広場でエヴァを見かけたので、
早速話しかけている。

面白いパントマイムを見たんだ。
エヴァがハロウィーンでやってたの
思い出しちゃった。


a93

ふーん。人間が人形の振りをするのね。
私はもともとピエロ人形だから、
人間の振りをしてることになるのかしら。



解説)
コーヒ豆が切れたので
買い出しついでに撮影を。
こういうことはごくたまにするのですが、
今日は意外な遭遇がありました。

エヴァの彫像のフリをした
パントマイム画像は、
2022年10月19日「お祭りの日々 そのきゅう」
2023年10月22日「ハロウィーンは続く そのろく」
などでみられます。

コーヒー豆の買い出し画像は、
2022年1月13日「アシュレイ(メアリー=ケイト)の買い物散歩」。
2021年10月18日「珈琲豆買って散歩」。
2008年6月11日「国立さんかく散歩」。
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Mar 30, 2024

春の誘い そのなな

b1

サラと局長は
堤防まで散歩に出かけた。


b2

さくら祭りをしてるから
人出はまずまずだけど、
まだほとんど咲いてないわね。


b3

でも新緑が綺麗。
白鷺もいるわ。


b4

サラは早咲きの桜が見られる
せせらぎ遊歩道公園に
局長を案内した。


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カラスが二人を眺めている。


b6

その頃広場では、
ヴィヴィアンに頼まれて、
ドルフィンのスタッフやアンが、
広場の隅の休憩所を片付けていた。


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龍の置物の台座も移動している。


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すっかり休憩所のベンチが
取り払われると、
ヴィヴィアンが呪文を唱えた。


b9

すると薄い煙が立ち上り。
そこに魔術劇場が出現した。


b91

これで元通り。
デジャに通うのも楽になったわ。

なんだかすごく安易な世界なのね。
とサヤカが言っている。



b92

扉が開いて鏡の中から、
あらら、と言いながらエヴァが現れた。


b93

広場に戻ることは聞いてたけど、
突然移転したから驚いちゃった。

言ってなかったっけ。
局長に来てもらうために、
急いだのよ。
とヴィヴィアンが言っている。



解説)
天気が良いので散歩がてら
堤防まで撮影に行きましたが、
堤防の並木のソメイヨシノで
咲いていたのは一本だけでした。
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Mar 29, 2024

春の誘い そのろく

a1

探偵事務所で。


a2

堤防を飾る花の帯はまだはっきり見えないわ。
東京の開花宣言は24日って聞いてたのに。
とエリスが言っている。


a3

さっきネットで地元の多摩川堤防をググったら、
今日3月29日の開花状況は、
まだつぼみ状態で、「全くまたは殆ど開花していない」
ってあったわよ。
と鷲尾翠が言った。


a4

寒い日も続いたからね。
と探偵が髭を剃りながら言った。


a5

男の人って毎日大変ね。
電動カミソリ使わないの?
この感触がいいんだよ。


a6

広場には
たまきが来ていた。


a7

ジェニーフレンドたちは
住民のほとんどを知らないので、
たまきは紹介役をしているのだった。

こちらはジルさんとギルダさん。


a8

ジルさんは大地主の資産家で、
郊外にいくつも別荘をお持ちなのよ。
一戸建てのバービーハウスも提供してるの。
ギルダさんはガールフレンドでいいのかな。

どうぞよろしく。
よろしくね。と言っている。


a9

ユーリシアです。あいこです。リエです。
かっこいいなあ。
それって本物みたい。
などと言っている。


a91

魔術劇場に泊まったロベリアは、
リナにメルティを紹介していた。

こちらはメルティ。
魔術劇場の応接間で知り合ったの。
最初、ドアのついた鏡の中から
小さな体で出てきたので驚いちゃった。


a92

こんにちわ。
私は扉の向こうの夢の世界に住んでるのよ。
精霊のお友達しかいないので、
時々この町に遊びに来るの。
とメルティは言った。


a93

隣のマンゴー亭では。

お天気次第ですけど、
また散歩にでも行きます?
桜はまだ蕾らしいけど、
局長が行けばきっと。

そうね。
でも桜の花を咲かすのは
お爺さんだから、私の領分じゃないのよ。
ぼんやり風に吹かれに行きましょう。

あ、魔術劇場を広場に戻しときますから、
管理局に帰る前に、またぜひお立ち寄りください。
父も喜びます。
とヴィヴィアンが言った。

お招きは喜んでお受けするわ。
ただし仕事の話は抜きでね。



解説)
前半にちらっとだけ写っている
探偵の顔のシェービングフォームは
「水がなくても、手が洗えるスプレー」
というハンドフォームを使いました。
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Mar 28, 2024

春の誘い そのご

a1

今日は雨模様。


a2

今朝は鶯の声で目覚めたけど、
雨が降り始めて、鳴き止んじゃった。
とジェニーが言っている。


a3

堤防近くの公園で桜祭りやってるけど、
雨の日が続いているよ。
月に叢雲、花に嵐だね。
などと言っている。


a4

まだ曇天の広場には
ジープが停車していた。


a5

ユーリシアとルビーが話している。
私たち、郊外のキサラとシオンの家に
泊まってたんだけど、
ビストロで知り合った軍人さんから
このジープ借りてきちゃった。
ロンメルさんかな。
免許証持ってるの?
それは当然みんな持ってるのよ。


a6

郊外にはバービーたちも住んでるのよ。
とリナがロベリアに報告している。


a7

随分賑やかですね。
ジェニーのお友達が大勢来てるから。
サルバドールさんも、
観光で見えたんですか?
いえ。私はトマソン氏の作品の
追っかけみたいなもので。


a8

バルは子供達と水遊びをしている。
バルが手をかざすと、
バケツの中の水が
喜んで波立つのだった。


a9

マンゴー亭の椅子席では、
ヴィヴィアンと局長たちが話している。

さっき広場でサルバドールに出会ったわ。
自分が夢魔であることを
トマソンさんには黙っていてほしいって、
頼まれちゃった。

芸術家本人が気づかないままに
夢食いや夢魔に取り憑かれているっていうのは
よくあるケースね。
と局長が言った。


a91

そうそう。夢食いっていえば、
あなたにぜひ聞きたいことがあったの。
去年の7月頃に、
何百年も隠されていた封印が解かれて、
メイヴっていう魔物が現れてね。
成り行きで私と対決したんだけど、
結果は痛みわけで、メイヴは、
迷いの森に行くって言って去っていった。
あれは何者で、管理局との関係は
どうなってるのかということ。


a92

うーん。その件については、
情報管理部のミラから報告があったわ。
多分メイヴは今も森に住んでるんじゃないかな。
あれはここの世界の言い方をすれば、
古い神々の時代に活躍した特異な夢食い。
強大な力を持っているけど、怒らせなければ、
普段はおとなしいものよ。
迷いの森は、さまざまな異世界から
ああいう連中がやってきて住み着いたり、
別世界に旅立つための交差点のようなところなの。
さらに深淵な力があって、管理局はそこと
繋がっているけど、一般的な意味で、
世界で生起する出来事全てを管理してるわけじゃない。
むしろ共存してるって言った方がいいかなあ。
ああ、仕事のことを忘れるために来たのに。


a93

私にはよくわからない話ですけど。
別世界があるっていうのは、わかるわ。
局長やヴィヴィアンが目の前にいるから。
とサラが言った。



解説)
迷いの森やサラたちの住む世界の実相に迫る
よくわからない話のようでした。

途中いくつものエピソードが
並行して進行しているので
すごくわかりにくいですが、町にやってきた、
ブラッディローズたちの探索に始まる、
メイヴとの遭遇までのエピソードは、
2023年5月15日「海賊ブーム そのはち」位から、
飛び飛びに掲載され、
2023年7月19日「夜の出来事」
からの「夜の出来事」シリーズで完結しています。
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Mar 27, 2024

春の誘い そのよん

a1

やがて少しだけ時が流れて。


a2

トマソンの周りには
人が集まっていた。


a3

新聞で見ました。
私ファンなんです。
サインしてください。
と観光客が言っている。


a4

捨てちゃう前にもう一度。
と言いながら、
エトナが写真を撮っている。


a5

魔術劇場から、逗留している
あいこちゃんやロベリア、サヤカと一緒に、
ヴィヴィアンが広場にやってきた。


a6

その姿を見かけた
サルバドールは。


a7

さっそく話しかけている。

ヴィヴィアンさん。
お久しぶりです。
その節は随分お世話になりました。

サルバドール。
迷いの森に帰って以来ね。
この町に舞い戻ってきたということは、
よほどトマソンさんの作品が気になったみたいね。

ああ、お見通しなんですね。


a8

トマソンさんから、迷いの森で、
サルバドールっていう人に出会って、
帰り方を教えてもらったって聞いた時から、
すぐにぴんときたわよ。
まして彼はこの町に来てから、
路上に放置するオブジェを量産し始めたから。
これは当然、
夢魔のサルバドールが取り憑いてるなってね。

そのことなんですが、
トマソン氏はそういう事情を全く知らないんです。
彼はすごく繊細な芸術家タイプなんで、
私が彼に憑依していることは、
できれば秘密のままにしておきたいんです。

いいわよ。
あなたが芸術家を破滅させることもある
高名な夢魔だっていうことも、黙っていてあげる。
でも父のハリーも気付いているし、
当然、管理局のバグやミラは知ってるでしょ。
いつまでも隠しておくのは難しいかも。
あ、管理局といえば、
また局長が遊びに来てるのね。

それもご存知だったんですか。
魔術劇場は今は郊外にあるけど、
私にはヒソコという派遣コウモリがついてるからね。
彼女がいつも広場の上空を飛び回っていて
教えてくれるのよ。


a9

サルバドールと別れたヴィヴィアンは
マンゴー亭のテーブル席にやってきた。

局長、今年もお会いできて。
ヴィヴィアンさん。
去年はおせわになりました。

あら、バルともうお会いになってるのね。
泉の水の精霊を、私が人の姿にして差し上げたけど、
その件で来られたわけじゃないでしょう?


a91

普通のプライヴェートな休暇ですよ。
ここの肉まん食べに。
と局長が言った。



解説)
二人にまつわる
あれこれが続いています。
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Mar 26, 2024

春の誘い そのさん

a1

局長とサルバドールは
サラと一緒に広場にやってきた。


a2

この肉まんの味が
忘れられなかったの。
時々、ミラたちに買ってきてもらってたけど。

管理局の方はいつも大量に
お買い上げくださるんで、
お得意様なんですよ。
とアンナが言った。


a3

そうそう、肉まんといえば、
去年は魔術劇場でハリー親子にご馳走になったわね。
さっき見たら広場に魔術劇場が無くなってたけど。


a4

魔術劇場は、今年の初めに
広場のスペースを開けるために、
郊外のジルさんの別荘に移転したんです。
お正月明けまでって聞いてたけど、
まだ移転したままになってるみたい。
でもハリーやヴィヴィアンは、
広場でよく見かけるし、元気なようですよ。


a5

そこに2階のデジャから
バルが降りてきた。
これはこれは管理局の天使さん。

あら、あなたは泉の精霊みたいだけど、
なぜそんな姿を?
と局長が言った。


a6

バルは、ヴィヴィアンに魔法で
人間の姿に変えてもらったことや、
変身する呪文を教えてもらったことを話した。

この前感じた波動がそれだったのね。
あの悪魔女子、相変わらず魔法を使い放題。

管理局としてはお咎めなしなんですか?

そういう細かいことには口を出さないことにしてるの。
局内には規制強化を求める声もあるけど、
私がルールだから。
と局長は言った。


a7

サルバドールは、ルビーたちと話していた。

トマソン氏の作品を
ドルフィンの倉庫で保管してるって
聞いたんですが。


a8

分別収集でゴミ出ししちゃったのも
あるんだけど。
と言いながら、
リタは倉庫から作品を運び出してきた。


a9

おお、なんという出来栄え。
なんというリアリティだ。


a91

おや、これはこれは、
サルバドールさんではありませんか。
と言いながら、トマソンがやってきた。


a92

迷いの森ではお世話になりました。
お陰様で無事に地下通路を抜けて、
元の世界に戻ってこられました。
あなたは命の恩人です。

なんのなんの。
それより立派な作品を拝見できて
感動しています。



解説)
微妙に二人の言動を
中心に進んでいます。
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Mar 25, 2024

春の誘い そのに

a1

ストーブが撤去されて、
ざっと掃除も済ませたサラたちの部屋では、
みんなでコーヒーを飲んでいた。
すっきりしたわねー。
と言っている。


a2

そこに局長とサルバドールが
訪ねてきた。
お久しぶりー。
と歓迎されている。


a3

ほぼ一年ぶりだね。
意外な取り合わせ。
二人はお知り合いだったんですか。
この町に来る途中で。
などと言っている。


a4

この草冠、
あなたへのお土産よ。
と局長が言った。


a5

サラは喜んでいる。
この草冠って。
春の花の女神フローラの草冠っていうのは、
幸運を呼ぶって言われているの。

聞いたことないけど、
よかったですねー。
とジェイソンが言っている。


a6

ところでみなさん、
トマソンっていう人知りませんか。
路上アーティストなんですけど。
とサルバドールが言った。


a7

彼の名前ならみんな知ってますよ。
この新聞にも彼の作品を紹介した
連載記事が載っているくらいです。
とメアリー=ケイトが言った。


a8

サルバドールは、さっそく
デイリープラネットの記事を読んでいる。

ふむふむ。やはり才能を開花させておるようだ。
彼の作品はどこで見られるんでしょう。


a9

とつぜん路上や広場に設置されるみたいだけど、
通行の邪魔になるのですぐ撤去されちゃうみたいです。
この町だとゴミに出されるか、
ドルフィンの倉庫に保管されるのかな。
なんと。


a91

それはともかく、
肉まんのお店に行きましょうよ。
と局長が言っている。


解説)
しばらく二人の動きが
注目されるようです。
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Mar 24, 2024

春の誘い

a1

ペンギンでは
ジェニーたちの部屋から来た
オリーブ、奈々子、エリカ、
探偵事務所に泊まった
ミルフィーユとアベルが
コーヒーを飲んでいた。

昨夜は日本酒飲み過ぎちゃって。
歌い過ぎで喉が。
などと話している。


a2

ジェニーフレンドの皆さんは
いつも楽しそうだなあ。
と、はるなは思っている。
その時、物音と声が。


a3

ペンギンの隣の家の戸口から
男女が現れたのだった。
ベンチに座っていたバグが、
思わず席を立って挨拶している。


a4

これは局長。
突然のお越しですか。
言ってくださればお供しましたのに。
地下通路は去年も通って来たから、
道順はよくわかってるの。一本道ですしね。

それにサルバドール。
男性は照れくさそうにしている。


a5

あなた、迷いの森に迷い込んだ
トマソンっていう人に、
地下通路のことを教えたっていうじゃない?
それは重大な規則違反よ。
とミラが言った。
はい。いけないこととは知りながら、
もとの世界に戻りたいっていうので、
つい願いを叶えてあげたくなってしまったんですよ。
それで、夢魔のあなたがなぜ
戻ってきたの。


a6

はるなが注文されたコーヒーを出した後も
4人の話は続いていた。

私は森に迷い込んだトマソンさんと知り合って、
彼の精神世界にただならぬ芸術的才能を見出したのです。
そこで彼の心に。
夢魔として憑依したっていうわけね。

それが私の定めでもある使命なのです。
ところが、彼が望むものは6倍スケールのオブジェの創作。
そこで私は彼の見る夢を、迷いの森からも通じている、
既存の特異な異世界に導いたわけです。
しかし、ご存知のように夢魔としての私は
孤独な芸術家のごく個人的な夢の形象をコントロールするもの。
彼をその異世界に導いて創作を促すことはできても、
その世界に直接入り込んで観察することができないのです。
でもどうしても彼の生んだ作品の現物を見たくなりましてね。

それで地下通路を通って
この町にやってきたというわけね。
ところが、隠しごとはできないもので、
ちょうど休暇でこの町に向かう途中の局長と、
通路の中でばったり出会ってしまいまして。


a7

サルバドールが管理局の
職員専用の秘密通路を使うという
禁を破ったのは確かだけど、
事情を聞けばわからないわけじゃない。
それで今回は大目に見ることにしたの。
話を聞けば、この町のことをよく知ってるし、
サラとも知り合いだというんで、
盛り上がっちゃって。
と局長は言った。

いつもは時に人を破滅させるような夢魔は
嫌いだって言ってるのに、
局長は相変わらず甘いなあ。
とミラは思っている。


a8

局長、その髪の飾りはなんですか?
とバグが訊いている。


a9

ああ。
これは草冠というものよ。
野原で眠っている花々を
目覚めさせる仕事の合間に作ったの。
サラへのお土産。
と局長はいった。



解説)
なんとなく
新しいエピソードが始まったようです。

二人の過去のこと。
かって局長が休暇をとって町に遊びに来たのは、
2023年3月25日「局長の休暇」から、
2023年4月3日「再会と局長の帰還」までのことです。
サルバドールが最初に登場したのは、
2023年4月20日「メルティの夢の部屋 そのに」で、
その後、町の住民たちと交流したのち、
2023年5月11日「広場にて そのよん」で
迷いの森に去って行きました。
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Mar 23, 2024

ストーブの片付けなど

a1

ケイとジェットとアンが、
石炭ストーブや煙突などを
ドルフィンの倉庫に運んでいる。


a2

やあ、この前はどうも。
とアイスが言っている。

ケイの淹れたコーヒーおいしかったわ。
お土産にもらったプディングも
評判だったわよ。
ああ、佳奈が大量に作ったやつだね。


a3

私も運ぶの手伝いたかったなあ。
と舞が言っている。


a4

サラたちの部屋では
ストーヴの片付けが終わって
掃除中だった。


a5

サラは煙突用の壁の穴を塞いで、
そこに小型のエアコンを設置している。


a6

ずっとそれ使えばよかったんじゃない?
いえいえ。冬はやっぱり石炭ストーブでなくちゃ。
などと話している。


a7

ジェニーたちの部屋でも
ジェニーがテーブルの拭き掃除をしていた。
エ~リカ🎵と口ずさんでいる。


a8

昨夜は歌謡曲で盛り上がったね。
オリーブとエリカと奈々子は
ペンギンに行ったし、
ナオミと文学青年は図書館に出かけたよ。
え。これ?


a9

まだ気が早いけど、
この五月人形、倉庫で見つけて、
借りてきて飾ることにしたの。
可愛いでしょ。



解説)
熊に乗った金太郎は、
セリアで購入しました。
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Mar 22, 2024

トマソンの新作

a1

朝になって、アイスたちは、
広場にオブジェが置かれているのを見つけた。


a2

これは巨大なペットボトルだね。
キャップに穴が空いてるわ。


a3

ルビーもやってきた。
またトマソンさんの作品ね。
こんなの見たことないなあ。
と言っている。


a4

そこにトマソンが
大きな棒のようなものを持って現れた。
ご想像の通り、
これは新作なんです。
この巨大な鉛筆とセットなんですよ。


a5

これってもしかして
鉛筆削りなの?
と舞が言った。


a6

アイスは、トマソンに言われるままに、
キャップの穴に巨大な鉛筆を差し込んで、
回している。

これ、鉛筆の軸を回転させるのに力がいって、
かなりの重労働よ。


a7

なんとか削り終えたようだ。
この鉛筆抱えて文字を書くのも、
けっこう大変そうだけど。

これは空のペットボトルを
リサイクルできる、
実用性を兼ねたオブジェなんです。


a8

やがて広場に
人通りが増えてきた。
メアリー=ケイトはアンと話している。

アン。部屋のストーヴを
片付けることになったんだけど、
また運ぶの手伝ってくれない?
オヤスイゴヨウデス。


a9

これ誰も使わないね。
エトナがオブジェを撮影している。

通行の邪魔だから倉庫に片付けるわ。
とリタが言っている。



解説)
空のペットボトルが使える
キャップ型の鉛筆削りは、
最近はあまり使う機会がなく
思わぬ再利用でした。
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Mar 21, 2024

早春のしらべ そのきゅう

a1

その夜、ジェニーたちの部屋には
オリーブと奈々子とエリカが
遊びに来ていた。


a2

奈々子は歌謡曲の
メロディを奏でている。

あ、その曲は。


a3

エ~リカ〜  エリカのは~なの
咲く村に~🎵


a4

それって西田佐知子でしょ。
都はるみじゃないの?
都はるみの曲は「エリカの花の咲く頃に」だよ。
なぜ文学青年が知ってるの?
さっきネットで。


a5

探偵事務所には
エリスがペンギンで知り合った
アベルがミルフィーユを連れて
遊びに来ていた。
ここでは来客があると、
たいてい酒盛りになるようだ。


a6

ジェニーフレンドって呼ばれる
ジェニーのお友達って
何人くらいいるのかしら。

50人以上いるらしいですけど。
私も知らない人が多くて。
とミルフィーユが言った。


a7

ところで、
君は未成年みたいに見えるけど、
お酒飲んで大丈夫なの?

そう見えます?
とアベルは言っている。


a8

やがて深夜になり。
みんな寝静まっている。


a9

広場にトマソンが現れた。
ひそかにオブジェを置いていくようだ。


解説)
今回は夜のシーンの続きでした。
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Mar 20, 2024

早春のしらべ そのはち

a1

夜になって、ジェニーフレンドたちは
それぞれに別行動をとって、
グループに分かれていた。

魔術劇場に間借りすることにした、
サヤカやあいこちゃんたちは
デジャで呑んでいる。


a2

キサラやシオンの暮らす
郊外のバービーハウスにも
泊まってみたかったなー。
とロベリアが言った。
流石に一度にみんなは無理でしょ。
そのうち交代して貰えばいいのよ。


a3

あ、その水差しのお水は
飲めないのよ。
とヴィヴィアンが言っている。


a4

フローラとさゆりは
ガラス戸越しに広場を眺めている。
もう随分夜が更けたね。


a5

広場ではアイスと水戸里美が
ベーカリーの片付けをしていた。


a6

正面のドルフィンの2階からは
あかりが溢れ、賑やかな声が聞こえる。


a7

2階の部屋には
ティモテとジュリアナが
泊まることになったのだった。
モモコと今子は
洋服に着替えている。


a8

私の名前の由来はね。
随分前のことだけど、
ジュリアナ東京っていう
超有名なディスコがあって。
とジュリアナが言っている。


a9

聞いたことないなあ。
私生まれてなかったかも。
とニッキーが言った。
そうなのかな。
とモモコは思っている。


a91

今子、どうしたのその髪。
これはね。服装に合わせたの。
さすがに日本髪だと変でしょ。
お姉さんも衣替えしたら。
髪の色のことを言ってるのよ。
いつも目立たないようにって、
言ってるでしょ。
このほうが目立たないと思う。
狐色だし気に入ってるの。
駒井姉妹は激論を交わしている。


a92

みんなの会話は続いているようだ。

そのディスコにはね。
お立ち台っていうのがあって。
何それ。
見つかると
襟巻きにされちゃうのよ。
気をつけるから。
しょうがない子、気をつけてね。



解説)
今日は風の吹き荒れる
春分の日でした。
今回は夜のシーンを撮影。
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Mar 19, 2024

早春のしらべ そのなな

b1

アベルは一人でペンギンに来ていた。
常連客は声をかけようか迷っている。


b2

やがて二階の探偵事務所から
エリスが降りてきて
コーヒーを注文した。

店内の席に座れるのは久しぶり。
あら。ローラースケートなんて珍しい。
と店の隅に揃えて置かれていた
スケート靴をみてエリスが言った。

それ私が履いてたんです。
とアベルが言った。


b3

お店から堤防の桜が見られるって聞いて、
来たんですけど。まだみたいですね。
今年の開花予想日は24日だそうよ。
などと話している。


b4

外の席の様子を見にリズが表に出ると、
ちょうど広場のドルフィンで衣替えを済ませた
はるなが戻ってきた。


b5

随分すっきりしたわねー。
と言われている。


b6

広場では、大道芸人たちの演奏に
奈々子が加わって。


b7

フィドル(ヴァイオリン)を弾いていた。


b8

お~お~スザンナ~
泣くのじゃない~
バンジョ~持って出かけ~た
ところです~🎵


b9

これ私大好きな曲なの。
とスーザンが言っている。


b91

ミツキとユーリシアは
アンとすっかり仲良くなっている。

アンって、お顔を変えられるんですって?


b92

アンが頭部を回転させると、
ロイドの顔が現れた。
わーお。
すごく便利なのね。
フダンハ、ツカワナインデスヨ。
とアンが言っている。



解説)
今回もジェニーフレンドたちが
住民たちに馴染んでいく様子です。

ロボットのアンが町に来たのは、
2022年2月24日「春を待つロボット」でのこと。
お面をつけてもらい、
アンとロイドと名付けられたのは、
2022年2月26日「春を待つロボット そのさん」
でのことでした。
Posted at 20:24 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Mar 18, 2024

早春のしらべ そのろく

a1

広場は賑やかなまま
少しだけ時がたっている。


a2

ミツキたちは、
アンにアンの背丈を高くしてもらって
喜んでいる。
すごいすごい。


a3

オーケストラでジャーンってやる時、
そうすると迫力あっていいですね。
コンナカンジデショウカ。


a4

ジェニーたちはドルフィンの倉庫に行って、
これまで着ていた和服を返して、
洋服に着替えて出てきた。

ペンギンからはるなも衣替えにやってきたようだ。
ナオミさん涼しそうですね。
このTシャツは海賊風コスプレの名残。
実は着物の下にずっときてたの。


a5

ジェニーとたまきも
衣替えを済ませていた。

みんなの服見てたら、
そろそろ衣替えしようってことになって。


a6

まだ寒い日もあるから
散歩好きは何着るか悩ましいところね。
そのヴァイオリンは?

倉庫にあったの。
奈々子ヴァイオリン弾けるでしょう。


a7

え。バンブーハウスの落成記念パーティ、
あれ覚えていてくれたんですね。
と奈々子は言った。
バンブーハウスか。懐かしいわ。
とカオリも言った。


a8

隣では、シオンが、
アルのビストロの宣伝をしていた。
最近、デザートにクレープや
バナナブレッドのプディングも始めたの。
すごく美味しいわよ。


a9

行きたいけど、郊外で遠いんでしょう。
しばらくいるつもりなら、
私たちの住む郊外のバービーハウスに泊まればいい。
私もシオンもそれぞれ一戸建てに住んでるから、
何人も泊まれるよ。
とキサラが言った。


a91

その隣でさゆりとルビーも
この先のことについて話していた。

みんな来月初めのコンテストの優勝者発表後に、
参加賞もらうつもりでいるみたい。
泊まれる場所がないから、
一旦段ボールハウスに帰ってもらってもいいんだけど。
そこにヴィヴィアンがデジャから降りてきた。


a92

そういうことなら、
みんな魔術劇場に泊まればいいのよ。
部屋ならいくらでも作れるの。
もちろん、それぞれの自由だけど、
必要なら誰でも歓迎するわ。

それって、この町の住民になれるってことですね。
わたしずっと泊まっていたい。
とフローラが言った。
なんだか保管場所、じゃなかった
住む場所の名前が変わるだけみたいな
気がするけど、いいんじゃない。
とルビーが言った。


a93

その頃、アベルは
一人で高台の休憩所に来ていた。

ペンギンってあっちですか。
そうよ。あっちの坂を下っていくの。
よそ見して転ばないでね。



解説)
今回も特に何事もなく。

奈々子がヴァイオリンを弾く画像があるのは、
2006年6月12日「もちよりパーティ」です。
カオリは、
2006年5月19日「バンブーハウス そのに」
2006年5月27日「バンブーハウス そのよん」
にちらっと登場しています。
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Mar 17, 2024

早春のしらべ そのご

a1

ジェニーフレンドたちで
賑わっていた広場に。


a2

さゆりが、さらに
フレンドたちを観光ツアーで
連れてきた。


a3

アベルはローラースケートを履いて、
トップを切っている。


a4

ユーリシアにカオリ、
ミツキ、星澤奈々子の顔も見える。


a5

そこにキサラとシオンの乗る
ペスパが走り込んできた。


a6

大勢ジェニーフレンドが
広場に来てるって聞いて、
ビストロのバイト休みもらって来たの。
とキサラが言った。


a7

リエね。私とよく似てるから
すぐわかったわ。
とキサラ。
私にもちょっと似てる。
とシオンが言った。


a8

私はアベル。
チョコもらえるんですよね。
参加賞の掴み取りは、
来月初めの発表の後なんです。
そうなのかー。

アベルって、
すごい名前だなーと、
アイスは思っている。


a9

奈々子とカオリだ。
久しぶり。
ところでチョコってハーシー?
と聞いている。


a91

ミツキとユーリシアは、
ロボットのアンに興味を持って
さっそく声をかけているようだ。
遅れてきたエリカもその様子をみている。


a92

結局何人連れてきたの?
えーっと、六人だったかな。
コンテストでチョコもらえるって言ったら、
急に参加希望者が増えちゃって。



解説)
特に何も起きないまま
人が増えています。
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Mar 16, 2024

早春のしらべ そのよん

a1

リナたち呼んでくるの忘れちゃった。
みんな広場に行っちゃったのよ。
とたまきが報告したので。


a2

ジェニーたちは
フレンドたちで賑わう広場に
出かけて行った。


a3

リエとリナ!
十数年ぶりの再会なんだけど、
この感動はなかなか伝わらないわね。
などと言っている。


a4

ティモテはどこ?
モモコと一緒にドルフィンの二階に
上がって行ったよ。


a5

ようこそここに。
素敵なお部屋ですね。
などと言っている。

あれ、トマソンさんはどこ?
なんか夢でアイデア
閃いたらしくて、
飛び起きて
魔術劇場に帰って行ったよ。


a6

ジェニフレンドたちは
それぞれに住民と交流を始めていた。

あの二つの曲の出だしの部分そっくりなんですね。
モーツァルトの「春への憧れ」
にも似てるって言われてるのよね。
みんな今の時期にぴったり。


a7

ミルフィーユってちょっとかわってるけど、
ひびきのいい名前ね。
私プロヴァンスの生まれらしいんですけど、
古典的なフランスのお菓子の名前と同じです。
直訳すると1000の葉っていう意味で、
薄いパイ生地の層状の形から来てるとか。
さすがに詳しいわね。
さっきネットで。


a8

マンゴー亭では
あいこちゃんと、ロベリアと
フローラが肉まんを食べていた。


a9

ジューシーで美味しいわ。
私クリスマスに広場でケーキ売りの
アルバイトしてるから知ってるの。
サンタも食べにくるのよ。
とフローラが自慢している。

奥ではアンナとレイが
やっぱり混んできたね。
と話している。


a91

お仲間が勢揃いね。
まだ広場に来たがっている人たちいるんですよ。
また観光ツアーして呼んでもいいですか。
もちろんよ。
とルビーが言った。



解説)
特に何も起きない
回が続いています。
Posted at 20:32 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Mar 15, 2024

早春のしらべ そのさん

a1

広場は引き続き
ジェニフレンドたちで賑わっていた。


a2

ほとんどみんな
大道芸人たちの演奏に聴き入っている。


a3

うたがアコーディオンで
出だしの旋律を奏でている。

これは知床旅情ね。


a4

はる~はな~のみ~の
かぜ~のさむさよ~🎵

あ、早春賦だったか。
これわからないわ。


a5

サヤカはきゅうりの
品定めしている。


a6

圭くん。重みとハリと色の濃さが
ポイントなのよ。
糠漬けにしても美味しいですよ。
味見してみますか。
と言われている。


a7

ロベリアってちょっとかわってるけど、
ひびきのいい名前ね。
私ベルギー生まれらしいんですけど、
お花の名前と同じです。
その花の名前はフランドルの植物学者
マティアス・デ・ロベル氏の
名前が由来なんですって。
さすがに詳しいわね。
さっきネットで。


a8

ねーモモコって、あの二階に住んでるの?
いえ、住所不定なのよ。
でも大抵ジェニーたちと一緒の部屋にいるわ。


a9

ドルフィンの二階では、
トマソンが昼寝していた。


a91

ずっと根つめて細密画を描いてたせいかしら。
急に眠くなっちゃって、と言って、
横になっちゃった。
寝つきがいいのね。また夢見てるのかな。


a92

トマソンはすやすや
寝息を立てていた。



解説)
今回もとくに何事もなく。
Posted at 20:30 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Mar 14, 2024

早春のしらべ そのに

a1

広場はジェニフレンドたちで賑わっていた。


a2

君の名前は。
池谷圭です。
私はサヤカ。


a3

ミルフィーユは、
チョコの味を思い浮かべている。


a4

登録って、なんだか緊張するなあ。
とロベリアは思っている。


a5

私の名前は、あいこです。


a6

あいこちゃんね。
ジェニーフレンドのコスプレで、
登録しておくわ。
とマンスフィールドさんが言っている。
今月は選考に悩みそうだなあ。
とボニーは思っている。


a7

ドルフィンの二階の部屋には、
かなが、お裾分けの
バナナブレッドのプディングを持ってきていた。
たくさん作ったので。
と言っている。


a8

なんだか広場が騒がしいわね。


a9

モモコはガラス戸から
広場を見下ろしてみた。


a91

ティモテが見上げて
手を振っている。


解説)
ひたすらジェニーフレンドたちを
撮影するだけの広場の様子でした。
Posted at 20:31 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Mar 13, 2024

早春のしらべ

a1

今日も天気がいいね。
みんなまだペンギンにいるんでしょう?
きっとコーヒー飲んでるわ。


a2

私会いに行ってくる。
とたまきが言った。
全員は無理だけど、まだジェニーや
ナオミに会ってない子を連れてくるよ。


a3

ということで、
たまきとオリーブは、
ペンギンに出かけた。


a4

ハローみなさん。
とたまきが言っている。


a5

みんなオシャレな服着てるのね。
広場のベーカリーで、
毎月コスプレコンテストやってるの知ってる?
参加するだけで、発表の後に参加賞のチョコレートが
もらえるのよ。それも掴み取りで。

見た見た、とリエたちが言った。
トマソンっていう人がトロフィもらってたわ。


a6

それ私たちも参加できるの?
これってコスプレじゃないよ。
などと言っている。

もちろんなんでもOKなのよ。
すごくいい加減、じゃなかった
新しい参加者が少ないこともあって、
普通に服着てれば誰でも参加できるの。


a7

あっという間に
みんな広場に出かけて行った。
リズがテーブルを拭いている。

コーヒー飲みますか?
うん。あ、リエとリナとティモテに
声かけるの忘れちゃった。
とたまきが言っている。


a8

広場のマンゴー亭では
シェリー博士とレイチェルが研究所に帰った後も
バルとツナが話していた。


a9

未来の世界にもさ、
地形を変えて森を生成する精霊みたい存在が、
やってきて住み着いているんだけど、
知ってるかな。ミズハっていうんだ。


a91

ミズハなら迷いの森に住んでいますよ。
絶えず迷いの森の地形を変えているのは
彼女たちの働きです。
彼女がそんなことをする未来もあるんですね。

えー。未来って一つじゃないの?
あ、一つだと思っていて、いいんですよ。


a92

あら、ジェニーのお友達が大勢
広場に来たみたい。
また忙しくなりそう。
とアンナが言った。



解説)
春へと少しずつ。
Posted at 20:33 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Mar 12, 2024

春の足音 そのきゅう

a1

空が陰ってきた。
また少し寒くなりそうだ。


a2

サラたちの部屋から戻ってきたアイスは、
お土産に貰った、
バナナブレッドのプディングの箱を開けている。

かなっていう学生さんが来ていて、
この作り方覚えるって、量産してたのよ。
とアイスが言っている。


a3

ああ、あの縄跳びやってた子ね。
彼女、今年卒業でしょう。
すごく運動神経いいみたいだから、
CGにスカウトできないかしら。


a4

調査部に調べてもらって問題なければ、
当人の意向を聞いてみるのも良いかもね。
でも今時、CGって言っても
通じるかな。


a5

入間ルイは子供達に
バナバナと言っている。
きっとバナナのことだよ。


a6

農家の直販店の前では
エトナがかがみ込んで撮影していた。
何撮ってるのとボニーが話しかけている。


a7

この糠漬けよ。
トマソンさんの人工的なオブジェばっかり撮影してると、
たまにはこういうものが撮影したくなっちゃって。
これ売り物ですか。
いえ、非売品で夕食用です。
とヘルミーネが言っている。


a8

マンゴー亭のテーブルでは、
シェリー博士たちがバルと話していた。

わざわざお呼びだてして。
とバルが言っている。


a9

いえいえ。とシェリー博士は言った。
研究所で夢見の水を、
どんなふうに使っているかとのお尋ねですね。
主に研究所のエネルギー源として使っています。
正直なところ、その仕組みは解明されていないんですが、
普通の水の代わりに使うと、システムの性能が
劇的に向上することが発見されて以来のことです。
それは、水をエネルギー源とするアンというロボットに、
誤って夢見の水を補給したことで、
そのロボットのAIが急激に進化したことが発端なんです。
今ではそのAI自身が謎の解明に挑んでいますが、
まだ何も手掛かりがないという状態です。
私はただのロボット学者で、魔法とか精霊とか
そういう世界には全く疎いんですが、
バルさんは、その夢見の水の精霊でいらしゃるとか。
もしかしたら、その水の秘密が
伺えるんじゃないかと思ってとんで来たんですよ。


a91

なるほど。お話を伺って、
泉の水が何に使われているかという疑問が解けました。
ただ泉の水が及ぼす効力ということに関しては、
私にも説明できないんです。
私たちはただ3態の変化のままに世界を循環するもの。
その無意識とも見える意思の化身が私なのです。
水の化身といえば、おかしいかもしれませんが、
あなたたちの体も半分以上が水でできているんですよ。
水に満たされた水袋同士が話しているようなものです。

面白いですね。バルさん。
でも夢見の水は特別な水で、
未来の世界でもエネルギー源として使われています。
何か普通の水とは違うパワーがあるんです。
とツナが言った。


a92

迷いの森の泉に湧く夢見の水は、
一応汲みにいくのは禁止になっているけど、
住民の間では結構流通してるんです。
と立ち聞きしていたアンナが言った。
このお店の肉まんや、ベーカリーの
カメロンパンなどにも使われてるんですよ。
美味しさの秘訣なの。

大体迷いの森の湧水は、
地下水として町に流れ込んでるからね。
この土地一帯に夢見の水が染み通っているのよ。
とレイチェルも言った。


a93

なるほどねえ。
私が人間の姿になれたのは、
雪だるまを作ってくれた子供達や
呪文を唱えて教えてくれたヴィヴィアンのおかげですが、
そもそも私が雪の姿でこの町の広場に降って来られたのも、
そんなこの土地との結びつきがあったのかもしれませんね。
夢見の水が自分で言うのも変ですけど。
とバルは言った。



解説)
いつもながら
よくわからないまま
話が進んでいます。
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Mar 11, 2024

春の足音 そのはち

a1

今日は天気がいいので、
買い物がてら散歩してこよう。


a2

梅は綺麗に咲いているけど、
そろそろ終わりかな。


a3

福祉センターの前では
思いがけず早咲きの桜が満開だった。
メジロが群れて盛んに蜜を吸っている。


a4

賑やかな桜に惹かれて
隣のせせらぎ遊歩道公園にも寄ってみた。
桜っていえば、去年は
局長と二人で堤防に見に行ったなあ。
とサラは思い出していた。


a5

枝に留まっている
ワカケホンセイインコやヒヨドリを見かけた。
インコは大きくて存在感がある。
左上は拡大画像。


a6

この公園、名前にある遊歩道はすごく短くて、
見かけよりずっとこじんまりしているけど、
ぼんやりするには良いところ。


a7

サラはコーヒーでも飲もうと思い、
買い物帰りにペンギンに立ち寄った。
いらっしゃいませと言われている。


a8

店内は満席状態が続いている。


a9

サラさん、お久しぶりね。
去年、局長がお忍びの休暇で来た時、
お世話になって以来かしら。
とミラが言った。


a91

あれはほぼ1年前。
もうそんなになるのね。
さっき早咲きの桜を見ながら、
局長のことを思い出していたところよ。
あの方、お元気なの?


a92

元気も元気。
今頃、毎年恒例の春の目覚め役を頼まれて、
あちこちの世界で花を咲かせてるところよ。
それが終わると休暇をとって、
今年もこの町に来るのかな。
きっと来るわよ。
なんと言ってもサラさんがいて、
肉まんが食べられるからね。
と言って二人は楽しそうに笑っている。



解説)
管理局の局長が遊びに来たエピソードは、
2023年3月25日「局長の休暇」から、
数回にわたって掲載されています。

途中で梅の花でも撮影しようと、
デジカメを持ってスーパーに買い物に出掛けて
満開の早咲き桜を見かけたので、
思いつきのエピソードに発展しました。


a93

おまけ画像。
スーパーの駐輪場で見かけたワンちゃんを撮影。
右奥に隣のセリアの建物の入り口が写っています。
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Mar 10, 2024

春の足音 そのなな

a1

広場は薄曇り。


a2

今井舞は
入間ルイを乗せて
手押し車を押している。

ルイちゃんの親御さんって
見たことないんだけど。
ずっとマンスフィールドさんが
預かってるのよ。


a3

大道芸人たちは
相変わらず歌声を響かせている。

春一番のかぜ~は~
春一番のかぜ~は~
ヤースガーズ・ファームへ君を~
連れていく~のだろ~か~🎵


a4

天気が持ち直したようなので、
ペギーは洗濯物を干しなおしている。


a5

ドルフィンの二階では
モモコたちの会話が続いていた。


a6

モモコさんは、その夢よく見るんですか?


a7

そうでもないの。
でも魔術劇場に行けば、
ハリーさんの魔法でその夢の世界に行くことができる。
それに、ジェーンの消息は、
郊外の森林公園に行って、
迷いの森に暮らすエリコっていう友達に会えば、
教えてくれるから。
エリコは迷いの森から、
その世界に遊びに行くことがあるのよ。


a8

トマソンさんは、
その世界の夢を毎日見てるんですか?
とニッキーが尋ねた。


a9

このところ、ほぼ毎日です。
最初はぼんやりしてたんですが、
最近はだんだんリアルさが増している気がします。
夢の世界が迷いの森につながっているというのは、
初めて聞きました。
そのジェーンという人、
一度出会ってみたいものですなあ。




解説)
元々メアリー・ノートンの児童文学小説
「床下の小人たち」のような小人が
我が家に住んでいたら、という発想で、
ジェーンが住み着いたのですが、
その後、モモコが夢の中で、ジェーンにであったり、
ジェーンが夢でフィギアたちの村にやってきたりと、
十数年かかって、だんだん話が膨らんで
今に至っています。

間借り人ジェーン 2007年1月18日
間借り人ジェーン再び 2008年5月6日
ひな人形とジェーン 2009年3月3日
庭に出てみたジェーン 2009年4月4日
モモコの夢  2010年9月2日から
ジェーンのこの頃 2021年9月5日 
など。
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Mar 09, 2024

春の足音 そのろく

a1

モモコはベランダに出て、
トマソンに声をかけている。

お仕事中突然すみません。
私モモコと言います。
路上アーティストのトマソンさんですね。

あ、はい。
そうですが。


a2

新聞のインタヴュー記事で知ったんですが、
トマソンさんはこの世界の6倍スケールの
とてもクリアな夢を見られるとか。
私もそんな夢を何度か見たことがあるんです。
信じてもらえないかもしれないけど、
その世界にはジェーンっていう友達がいて、
私はあれは夢なんかじゃないって信じてるんですけど。


a3

なんと。そうでしたか。
僕の夢の場合は、人は出てこないなあ。
本当にクリアな夢を見るようになったのは、
最近のことなんですが、そこはたいてい
同じ一軒家の室内。
それもキッチンや居間のような場所なんですよ。


a4

そういうと、トマソンは、
ノートに描かれたスケッチを見せてくれた。

わーすごく細密ですね。
これは居間のようなところです。
こたつがあって。


a5

それはキッチンですね。
いつも結構散らかっていて、
オブジェの宝庫なんですよ。


a6

そのスケッチは廊下です。
手作りの本棚が片面に並んでいます。

あ、もしかして
この突き当たりが玄関で
その手前の左手に階段が。
とモモコが言った。


a7

なんと。
その通りです。
階段はそんな感じで。


a8

このトマソンさんの夢の世界って、
ジェーンの住んでる家と同じだわ。
私、この階段を登ったことあるの。
とモモコが言った。


a9

不思議ですね。ある種の夢の世界って、
繋がっているっていう話を聞いたことがあります。
僕もこの夢があまりにリアルなので、
どこかに実在する世界ではないかと、
疑っていました。


a91

駒井今子が様子を見に来た。

モモコ、
部屋の中でお茶飲みながらお話しない?
雨になるかもしれないわよ。



解説)
続きます。
Posted at 21:12 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Mar 08, 2024

春の足音 そのご

a1

今日も雨模様の曇天。
広場ではレイチェルを見かけたルビーが、
声をかけていた。


a2

こちらはバルさん。
バルさんは夢見の水の精霊なんだけど、
ヴィヴィアンの魔法の呪文で人間の姿になったのよ。
呪文を教えてもらって、いつでも自分で
この姿になることができるようになりました。
あの人、相変わらず魔法使いまくってるのね。
私はロボット学者のレイチェル、どうぞよろしく。


a3

ところで、バルさんが、
夢見の水がシェリー研究所に運ばれるのを見て、
何に使ってるか関心を持っているの。
シェリー博士にお話聞けないかな。

ああそれなら、事情を話して博士をお連れするわ。
私も大体のことは知ってるけど、
密猟者から入手した夢見の水を使ってることは、
一応秘密だから博士に相談しないと。
とレイチェルが言った。


a4

ベーカリーの二階のベランダでは、
天気が怪しいので、
ペギーが洗濯物を取り込んでいるところだった。


a5

休憩用の椅子にはトマソンがいて、
しきりにノートに何か描いている。
トマソンは、自分が夢で見た世界を、
思い出しながらスケッチしているのだった。


a6

ベランダと扉を隔てた
ドルフィンの二階では、
モモコと駒井今子が、
相変わらずお茶の作法を真似して遊んでいた。


a7

ニッキーはデイリープラネットを読んでいる。
トマソンさんを扱った連載記事に
本人の写真とインタヴューが載ってるわよ。


a8

「僕の作品のアイデアは夢の中にあるんですよ。
僕はよく、この世界の6倍スケールの
とてもクリアな夢を見て、
そこで見たものを忠実に再現しているんです。」
ですって。


a9

6倍のスケールの世界ですって?
それって私が夢で見た
ジェーンの住んでいる世界と同じ。
私トマソンっていう人に会って
そのお話聞きたいなあ。


a91

洗濯物を取り込んで、
部屋に入ってきたペギーが、

トマソンさんだったら、
今ベランダに来てるわよ。
と言っている。


解説)
都合のいいタイミングで、
エピソードらしきものが
始まったようです。

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Mar 07, 2024

春の足音 そのよん

a1

シェリー研究所に
夢見の水を運んだピエールは、
ドロレスと話している。

今回はこれでおしまい。
いつも君が手伝ってくれて助かるよ。
見張り役だけですけどね。
迷いの森も春間近になって、
景色の変化が楽しいわ。


a2

そこに、シェリー博士とツナが、
探偵事務所から帰ってきた。

すっかり長居しちゃって、
帰りが遅くなっちゃった。
あ、ピエールさん、来てたの?
どうも。


a3


今、研究所の前に、
地味なシャツを着た青年が、
立っていたけどお知り合い?
あ、そうですか。
ずっとあとをついてくるので、
おかしいと思ってたんですが、
やっぱり尾行されてたのかな。


a4

ピエールを尾行していたバルは、
広場に戻ってルビーと話していた。

夢見の水が入った
容器を運んでいる人がいたので、
あとをつけてみたんですが、
シェリー研究所って表札のある建物に
入っていきました。


a5

ああ、それはね。
きっとピエールよ。
ピエールは立ち入り禁止になっている
迷いの森の泉から泉の水を汲んでくる、
密猟者って言われている人たちの一人。
最近は専属で、シェリー研究所に
水を運んでいるらしいの。
あなたは泉の水の精霊だから、
気になるのは無理ないわね。
止めて欲しいの?

別に全然構わないんですけど、
何に使われてるのか、
ちょっと興味があって。

だったら
シェリー博士に直接聞いてみればいいのよ。
ただ研究所の企業秘密かもしれないけど。


a6

バナナ売れてる?
とレイチェルが訊いている。
おかげさまで。
安くて甘いと評判で売れ行き好調ですよ。
ツナさんたちの住んでるところ、
バナナ園でもあるんですか?
密林に自然になってるのよ。


a7

サラたちの部屋では、
コーヒータイムの後で
みんなくつろいでいた。


a8

このロックフェスティバルのライブ盤、
前にジェニーたちの部屋で、
聴いたことがあるよ。
アイスたちのバンドの演奏すごかった。
そうでしょうとも。


a9

オセロはバナナをもらって
食べている。



解説)
ケイが持っている不気味なカバーのアルバムは、
2007年9月23日に開催された、
「吸殻山ロックフェスティバル」のライブで、
2022年3月15日「春めく日々 そのろく」
にも登場しています。


xx

バナナブレッドのプディングの
おまけ画像。
アルミホイルがなかったので、
加熱時に焦がしてしまいましたが、
味の方は美味しくできました。
レシピはネットから。
ラム酒を少々、仕上げに蜂蜜をかけています。
Posted at 20:25 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Mar 06, 2024

春の足音 そのさん

b1

サラたちの部屋を訪問したアイスは、
リタから預かってきた
コーヒーミルをサラに渡している。


b2

これは新製品かしら。
カルディっていうロゴがあるわ。
カルディコーヒーの
オリジナル製品らしいよ。


b3

かなは、サラに教えてもらった
バナナブレッドのプディングの
レシピに自力で挑戦していた。


b4

サラはアイスが持ってきたレコードを
レコードプレーヤーにかけている。
アイスは足元の箱からアルバムを探してる。

貸してたって言っても、
このクラプトンのレコード、
元々アイスのコレクションだったのよね。
やっぱりギターが最高。
あ、こんなのあったの。


b5

これはジェニーたちのバンドのアルバムだね。
ジェニーが貸してくれたの。


b6

ケイはさっそく
コーヒーミルを使ってみることにした。


b7

まず上蓋を外して、
コーヒー豆を注ぎ入れる。


b8

上部の軸に取手を装着して
回転させて豆を挽き、


b9

容器の下の部分を外して、
挽き終わった珈琲の粉を
ドリッパーに落として、


b91

お湯を注げば出来上がり。


b92

コーヒータイムになった。

なかなか美味しいわよ。
なぜかいつも僕がコーヒーを淹れる
役だからね。慣れてるんだよ。
とケイが言っている。


b93

上手く焼けたかな。
と言いながら、
かなはオーブンレンジを覗き込んでいる。


解説)
過去の目次を見ると、
サラたちの部屋にオーディオセットが入ったのは、
2022年3月6日。
アイスが自分のレコードコレクションを
置いて行った、ということになっています。

ミニチュアのセラミックコーヒーミルは、
カルディコーヒーで一定額以上の買い物をすると
期間限定でプレゼントされる非売品のようです。
今年の2月16日からのキャンペーン。
他に、コーヒポットや、マグカップなどもあり、
全五種類のうちの一つがもらえます。
コーヒーミルは、
パーツが5つもある精密な出来栄えで、
使用するシーンにこだわってみました。
Posted at 20:23 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Mar 05, 2024

春の足音 そのに

a1

今日は薄曇り。
雨になるかもね。


a2

雛人形、もう片付けちゃうの?
雛人形は、早く片付けるものなのよ。


a3

ところで、あれは書き初め?
とオリーブが尋ねた。

そうなの。最初2006年のお正月に、
あいこちゃんが書いたのよ。
去年私が真似して書いて、
名文句だから一年中貼ってあるの。
あいこちゃん!今ペンギンに来てるね。
本人が知ったらきっと喜ぶわ。


a4

戦前のかるたの言葉なんだってね。
と文学青年が言った。
「よ」だったら、
「葦(よし)の髄から天上のぞく」とか
「夜目遠目傘のうち」とか
「よこ鎚(づち)で庭掃く」とかじゃないの?
とオリーブが言った。
きっと色々あったんだよ。
全然意味わかんない。
とたまきが言った。


a5

その頃広場では子供達が歩いていた。


a6

あ、元雪だるまのバルさんだ。


a7

バルは、夢見の水の入った容器を運ぶ
ピエールを見かけて、
興味を持って追跡しているところだった。


a8

ベーカリー前では
アイスとリタが話している。

レコード持って、お出かけ?
うん。サラたちのところに、
借りてたレコード返しにいくの。


a9

だったら、ついでに
これも持って行ってくれない?
ドルフィンの倉庫に入荷した、
頂き物のコーヒーミルなんだけど。
いいわよ。


a91

その時、
鈴木すずはバルの残した
凍った水たまりで滑って、
転んでしまった。


a92

すずちゃん、大丈夫?
よそ見しないで歩いてね。
と言われている。



解説)
よそ見していなくても
子供がよく転ぶのは、
体に対して頭が大きいという、
バランスの問題が大きいそうです。
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Mar 04, 2024

春の足音

a1

椅子の搬入作業を終えた
ドルフィンのマスターとアンは、
ペンギンの前で休憩していた。


a2

いつも重いもの運んで大変ね。
オモサハカンジナインデス。
アチコチイケテタノシイデスヨ。


a3

アンもはるなさんも、
マスターもいつもお仕事してるのね。
それに引き換え私は。

モモコさんは、
夢を見たり冒険したり。
それが役目みたいなものですよ。


a4

そーなのかなー。
役目がみんな違って、
世界の意味を深めているんです。
マスターって優しいのね。


a5

三人は広場に戻って行った。


a6

椅子はどうでした?
カウンターにぴったりでしたよ。
また夜にお酒も出せるって、
喜んでました。
前にもカクテルバー「タイニー」って、
やってたわね。今度のみに行こう。
今は混んでてとても無理だよ。
などと言っている。


a7

モモコは魔子に声をかけられている。
今子が探してたわよ。


a8

モモコがドルフィンの2階に行くと、
今子が雛人形を見せてくれた。


a9

今年もお稲荷さんのお蔵から
お姉さんが借りてきてくれたの。
返す前に見せたかったから、
探してたのよ。
昔はこんなふうな
素朴な立ち雛が多かったんだって。
昔っていつの頃だろう。


a91

デイリープラネットで、
トマソンさんの路上芸術を扱った
連載記事が始まって、
作品が紹介されているわよ。
とニッキーが言った。


a92

撮影者はエトナになってる。
カラスが来て、
鳴いてる瞬間を撮ったみたいだけど、
カラスの方が作品みたいだわ。



解説)
過去のペンギンのカクテルバー「タイニー」の営業風景は、
2021年10月30日「バータイニー そのいち」
から数回に渡ってみられます。
立ち雛は、2022年3月3日「春をよぶこえ そのさん」
にも出てきます。
Posted at 20:30 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Mar 03, 2024

カウンター用の椅子

a1

喫茶ペンギンでは
賑やかな団欒が続いていた。


a2

それで、ドルフィンに
カウンター用の椅子を注文したのよ。
前にありましたよね。
あれはデジャが開店した時、
貸したままになってるの。
向こうのお店では必需品だからね。
こんなにお客さんがどっと来るとは、
思わなかった。
そろそろ完成してる頃だから、
取りに行ってくれない?
わかりました。


a3

はるなは早速
広場にあるドルフィン工房に向かった。


a4

ちょうど今出来上がったところだよ。
とマスターが言っている。


a5

支柱の部分は一体成形で
ポリプロピレン製。
見かけほど重くないんだ。


a6

こう言う時はアンに頼むといいわ。
とルビーが言った。


a7

アンは軽々と椅子を二つ両手で
抱え上げている。
ドルフィンのマスターも
運ぶのを手伝ってくれるようだ。


a8

ペンギンに到着。
ジェニーフレンドたちは
ロボットのアンをまじかで見るのは
初めてなので、驚いている。

こちらは赤毛のアンさんよ。
とモモコが言った。
ドウゾヨロシク。


a9

突然の工作ありがとう。
店内は混んでるけど、
外の椅子席でコーヒーでも
飲んで行って。
と言われている。


a91

カウンターの椅子席が増えて
ペンギンは、ますます賑わっている。


a92

その頃ジェニーたちの部屋には、
ティモテたち三人が、
新しくペンギンに来たことを知らせに
オリーブが来ていた。

これはね。サラっていう友達が
作ったバナナブレッドのプディング。
お裾分けですってもらったの。
美味しそうね。
これコミック読んでから、
いつか食べたかったの。


a93

たまきは雛人形を飾っていた。
今日は何の日だっけ。
耳の日でしょ。



解説)
前のカウンター用の椅子が
デジャに運ばれた経緯は、
2022年11月8日「開店の準備」に。


a94

新しいカウンター用椅子の簡単工作。
セリアで購入した
キャンドルスタンド風オブジェと、
パルプ製の焼き菓子用トールカップを
使っています。
カップの底の部分を切り取って、
この上に艶消しの黒いテープを貼って
クッション部分を作り、
スタンドに被せて完成です。
高さを調整するために中にボール紙を
輪状にして入れています。
Posted at 20:26 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Mar 02, 2024

ジェニーフレンドたち

a1

モモコの案内で、
3人のジェニーフレンドたちは
ペンギン前に到着した。


a2

あいにく満席なんですよ。
とはるなが言っている。
3人の到着に気がついたオリーブが、
お店から出てきたようだ。


a3

あ、私たちもう席を外すから。
ここを使って。
とミラが言っている。
気にしないで。
いつものことなの。


a4

みんな集まってるね。
ペンギンが入り口は向こうですって
言ってるよ。


a5

こうして3人は
屋外のテーブル席に落ち着いた。
さゆりも店内から
顔を出した。

バナナは本日のサービスです。
とはるなが言っている。


a6

ここ居心地が良くて、
観光ツアーの勧誘忘れちゃって、
とさゆりが弁明している。

しばらくっていうか、
もう十数年会わないうちに。
とモモコが言った。


a7

ティモテの髪、
随分伸びたんじゃない?

いいえ、これは元からなの。
とティモテは言った。
みんなの中で一番長いかも。


a8

リエはキサラによく似てるね。

よく言われるけど、
眉毛が違うのよ。
とリエが言った。


a9

ちょっと大人っぽくて
かしこそうなリナの顔立ちは。


a91

ちょっと大人っぽくて
かしこそうな私に似てる。
とオリーブが言っている。


a92

その頃、
高台の休憩所では、
エトナがコーヒー缶のオブジェを
撮影していた。

そのポーズで動かないでね。
と言っている。


a93

さっきここを通って、
モモコと一緒にペンギンに行ったの
ジェニーフレンドたちでしょう。
ざっと数えてみたんだけど、
多分ペンギンに11人集まってるよ。
そーなのね。
もう誰が誰だか。



解説)
みんな帰らないので
ジェニーフレンドが
次第に増えていっています。
Posted at 20:22 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Mar 01, 2024

2月のコンテストの発表

a1

今日の広場は快晴。


a2

農産物の直販店に
大根が入荷したようで、
子供達が見ている。

大根は先の方が辛いんだよ。
葉っぱも美味しいね。


a3

へルミーネは見慣れぬ観光客に
喫茶ペンギンの場所を聞かれて、
あの階段を登って高台の方から。
と方向をさし示している。


a4

休憩所では、
ドルフィンの二階から降りてきた、
駒井魔子とモモコが話していた。

魔子さんは300年以上生きてるんでしょう。
一茶が生きていた時代ってどんな感じだったの。
江戸の文化・文政の頃。
そーねえ。
庶民の暮らしはそんなに変わらないのよ。
ほらあそこ。


a5

一茶に
「大根(だいこ)引大根で道を教へけり」っていう
句があるの。
ふーん。同じことしてるのね。

あ、あの子たち。


a6

モモコは立ち上がって歩いて行き、
3人連れの観光客に話しかけている。

いつ来たの。
さっき来たばかりよ。


a7

それはジェニーフレンドの
ティモテとリエとリナだった。

みんな久しぶりだねー。
さゆりとフローラが、
観光ツアーの参加者募集してるって
聞いたんだけど、
段ボールハウスに帰ってこないから、
行ってみようってことになって。
ペンギンに居るって聞いたんだけど、
場所がわからなくて。
私が案内するわ。
とモモコが言った。


a8

ベーカリーのテーブル席では。

ルビー。今日は
コンテストの優勝者発表日だよ。
選考結果は?

それがまだ。
住民はみんな登録してくれてるけど、
2月も新規の参加者が少なかったんだ。
最近の新しい住人といえば。


a9

水の精霊のバルさんか。
あの人は地味だからなあ。
トマソンさんも地味だけど、
なかなかユニークよ。


a91

ルビーはマイクを握って
アナウンスしている。

みなさん。
2月のコスプレコンテストの優勝者の
選考結果を発表します。
厳正な審査の結果、
優勝したのは路上アーティストの
トマソンさんです。


a92

トマソンはいつものように
万雷の拍手喝采で迎えられて
トロフィを授与されている。

ほんとに僕ですか?


a93

この服装は、
一見芸術家風地味渋さを狙った
黒のとっくりセーターに
黒皮のベストというコーディネートなんですが、
僕はプロの芸術家なので、
コスプレではないんですよ。
でも優勝者に選ばれたというのは光栄です。

なんだかわからないけど、
よかったねー。
などとジェニーフレンドたちは
喝采している。



解説)
早くも3月。
Posted at 20:23 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Feb 29, 2024

バナナブレッドのプディング

a1

冬の日はまだ短くて。


a2

あっという間に
日が暮れていった。


a3

サラたちの部屋では、
調理がまだ続いていた。


a4

お味はどう?
カサカサ枯れ草、じゃなかった。
すごく美味しいよ。


a5

テーブルの上には、
バナナブレッドのプディングが
出来上がっていた。
このレシピは?


a6

すごく簡単よ。
パンを、
卵とお砂糖と牛乳で作った
プリン液に浸して。


a7

十分に味が染み込んだら、
千切って液ごと耐熱容器に移して、
上にバナナを飾って、
蜂蜜をかけてオーブンで焼き上げるの。


a8

ケイたちは、
ソーセージをクレープに包んでもらっていた。
今日は食べ続けだなあ。
コーラが合うんだよ。
とジェットが言っている。


a9

サラは、
苺とバナナと牛乳と蜂蜜で、
スムージーも作ったようだ。


a91

それで、ビストロのメニュー、
何にするか決まった?
うん。両方とも出すことにするよ。
とアルが言っている。



解説)
数日前の夕焼けが綺麗だったので、
掲載することに。

かなが切り分けているバナナや、
バナナブレッドのプディングの
トッピングのバナナは、
紙粘土を着色して棒状にして
切り分けて作ったものです。
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Feb 28, 2024

クレープ

a1

広場ではサラとアルの
立ち話が続いていた。


a2

バナナ挟んだクレープがいいなあ。
とかなが言っている。
このキウイも安売りなの?


a3

はい。さっき入荷したんです。
苺もまだ安いですよ。


a4

クレープに苺やキウイも使えるの?
もちろん。なんでもただ
くるむだけだから。
作るとこお見せしましょうか?
うん。食材は僕が買うから。


b1

ということで、
バナナと苺とキウイを買った3人は
部屋に帰って、サラはさっそく調理を始めている。


b2

薄力粉とお砂糖と牛乳と卵で生地を作って、
あとはお玉一杯分をすくって、
フライパンに薄く広げて中火で焼くだけ。


b3

アルさんビストロのオーナーなんだから、
こういう手順、よくご存知でしょう。
僕はみてるのが好きなんだ。


a8

ちょうどフライパン使ってたところよ。
私も焼くの手伝ってあげる。
とメアリー=ケイトが言った。


a9

ケイたちはまだ食事中だったのだった。
これ急いで食べなくちゃ。
そうだね。
とジェットも言っている。


a91

あっという間に、
クレープはどんどん出来上がった。


a92

苺にキウイ、チョコレートやバナナが
ホイップクリームと一緒にくるまれている。


a93

もしかして
ベーコンエッグ挟んでも
美味しいんじゃない?
とケイが言っている。


解説)
クレープは、ぷちサンプルの
「食べ歩き日記」の「1.たっぷりくりーむクレープ シュークリーム」
「ママといっしょにクッキング」の「1.ハッピークレイプにトライ」
などを使っています。
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Feb 27, 2024

春を待つ日々 そのきゅう

a1

今日は風があり、
明るい冬の日差しが
影を浮き立たせている。


a2

サラたちの部屋では
食事の支度中だった。


a3

テーブルには
食器が所狭しと並んでいる。


a4

カリカリのベーコンできたわよ。
とメアリー=ケイトが言っている。


a5

最近は便利になったなあ。
とジェットが言っている。


a6

唐揚げできましたよ。
とジェイソンが言った。


a7

ジェニーたちの部屋でも、
おやつどきだった。

まだ安売りしてたから、
苺とホイップクリーム買ってきた。


a8

スポンジケーキを切り分けて。


a9

これたまきが作ったの?
見るからにワイルドで
美味しそうでしょ。


a91

これはペンギンで
ジェニーが食べてたやつと
そっくりだね。


a92

どんなの作る?
おなじので。


a93

高台では。
このコーヒー缶は新作ね。
こういうの飲む人って、
きっと普段でもお砂糖入れないよ。
などと言っている。



解説)
ワイルドなショートケーキは、
ぷちサンプルU.S.Aバージョン「Mini Sweets」
の「9. Strawberry Shortcake」で、
たまきの創作ではありません。
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Feb 26, 2024

春を待つ日々 そのはち

a1

かなはアンナを見つけて
近づいて行った。
先輩何してるんですかー。


a2

縄跳びの道具を、
貸してもらったの。


a3

すずは早速ジャンプして。


a4

こけてしまった。


a5

私がお手本見せてあげる。
とかなは言った。


a6

この縄、私にはちょっと
短いわねえ。
と言っている。


a7

両手の位置はそんなに
あげなくていいのよ。
両足は揃えて一緒にジャンプね。


a8

高く飛ばなくても
縄が抜ける隙間があれば十分なの。


a9

小さい子は力がないから、
縄を重くした方が、
飛びやすいかもしれない。
頑張ってね。
すずは、うす、と言っている。


a91

さすが現役の陸上部ね。
やかんのお水飲む?
と舞が言っている。


a92

サラとアルは
全然気が付かずにバナナの話をしていた。
クレープに挟んでも美味しいわよ。
ますます迷っちゃうなあ。



解説)
使用した縄跳びは、
リーメントのぷちサンプル
「さわやか4組」(2016年発売)の
「3 ロッカーの中身は」
のアイテムです。

Posted at 20:23 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Feb 25, 2024

春を待つ日々 そのなな

a1

サラが佳奈と連れ立って
広場にやってきた。


a2

まだ寒いけど、
「春一番」のBGMがあると気分が弾むわね。
かなは、大安売りの
バナナの山を見つけたようだ。


a3

じゃあ一箱分お買い上げですね。
あとでビストロにお届けします。
とヘルミーネが言っている。


a4

かなは、早速試食させてもらっている。

あら、アルさん。お久しぶり。
やあサラ。
バナナ買ったんですか。
うん。ビストロで使いたいんだけど、
どんなふうに調理しようか
考えてるんだ。


a5

バナナブレッドのプディングがいいわよ。
それ美味しいの?
かなが、アルに挨拶した。
え、君は。
この前、探偵事務所で。
あああの時の学生さん。


a6

アンナと舞は運動着に着替えていた。
やっぱり健康が第一ね。

アンナさん。
とすずが言っている。


a7

私たちもトランクスに履き替えたの。
アンナさんと一緒だね。
と言っている。


a8

ルビーはリタと話している。
倉庫にあった古い水差し借りていくって、
ヴィヴィアンが言ってたわよ。
あの金属製の重いやつですね。
なんに使うんでしよう。


a9

デジャでは、
ヴィヴィアンがバルに呪文を伝授していた。
水の精霊なら、
自分で変身できる力があるはずよ。


a91

バルが立ち上がって
教えてもらった呪文を唱えると。
薄い煙が立ち上って。


a92

バルはどんどん小さくなっていった。
やっぱりね。予想通り。
お前いつ、そんな
呪文を覚えたんだ?
とハリーに言われている。


a93

バケツの中ですっかり水の姿に戻ったバルを、
ヴィヴィアンは水差しに注ぎ入れた。
これがあなたの借りのおうち。
これからは好きな時に呪文を唱えて
人間になればいい。

間違って飲まないでくださいね。
とバルが言っている。



解説)
あれこれと
いつも通りの思いつきで
時が流れています。
Posted at 20:25 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Feb 24, 2024

春を待つ日々 そのろく

a1

広場では、
トマソンが白熊型の容器を
二つに分離していた。


a2

もう一度魔法をかけてみるわ。
とヴィヴィアンが言って、
バルに向かって呪文を唱えると、
薄い煙が立ち上り。


a3

バルは人間の大きさに変身した。


a4

ありがとうございます。
すごい魔法使いなんですね。
ちょっと違うんだけどね。
などと話している。
ドルフィンから一部始終を見ていた
ルビーも近くに寄ってきた。


a5

水の精霊は変幻自在のようで
実はそうでもないんですよ。
三態変化は得意なんですが。
と言っている。


a6

トマソンは白熊型の容器に
興味を持っているようだ。
この造形美、やっぱり魔法で
巨大になった本物は違うなあ。
これもらっていいいですか?
いいけど、
同じもの作らないでね。
とルビーは言った。


a7

突然バルが大きくなったことは、
話に夢中だった観光客や、
演奏に夢中だった大道芸人たちは
気がついていないようだった。


a8

あなた泊まる場所ないんでしょ。
魔術劇場にいらっしゃい。
とヴィヴィアンが言っている。


a9

その頃、探偵事務所では
来客の歓待にかこつけた
酒盛りが始まっていた。


a91

この塩辛美味しそうね。
とシェリーが言っている。


a92

子持ちししゃもが最高なのよ。
くにはちを思い出すなあ。


a93

日本酒も美味しいですねえ。
未来世界ではお米作ってないので、
洋酒ばかりなんですよ。
今度田んぼを作ろうかなあ。
とツナが言っている。


解説)
水の精霊のバルが魔術劇場の
住人に加わったようです。
名前の由来は、
「バルくん 虫こないでネット:クマタイプ」
という商品名から。
Posted at 20:25 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Feb 23, 2024

春を待つ日々 そのご

a1

気温の下がった広場は割と
閑散としていた。


a2

今日は寒いですね。観光の方ですか。
ずっとペンギンにいたんですけど、
ジェニーフレンドの皆さんに、
席を譲ってきたんです。


a3

アルがビストロで使う
食材の買い付けに来ている。
このバナナ甘いね。
お買い得ですよ。


a4

子供達はデジャの入り口で
いつも入店する客をチェックしているヨシフに
話しかけている。


a5

ヨシフは早速デジャに。

ヴィヴィアンさん。
子供達があなたに
相談したいことがあるって言ってます。
わかった。今いくわ。


a6

ふーん。
これが元雪だるまだったという氷水ね。
そうなんです。
いつまでも蒸発しないの。


a7

なるほど、何かの精霊が宿っているようね。
それに人間になりたがっているみたい。
ヴィヴィアンは呪文を唱えた。


a8

すると薄い煙が立ち上り、
そこに雪だるまが現れた。
しかし、よく見るとそれは白いクマで、
胴の部分が格子状の窓になっていた。


a9

中に誰かいるよ。
とすずが言っている。
中から、
おお、魔法で人間の姿にしてくれたのですね。
という声がした。


a91

私はバルという、迷いの森の泉の水の精霊です。
雲や雨や雪やあられやこんこんと、
これまであれこれと姿を変えて世界をめぐり、
ずっと人間になりたいと願っていましたが、
この子供さんたちの望みと共振して、
雪だるまにしてもらえました。
すぐに溶けてしまうのが悲しくて
頑張って氷の状態でいたのです。
まさかこんな形で願いが叶うとは。

でも体が小さいままだよ。
それに檻の中に。


a92

大きさも人の姿になる魔法をかけたはずのに、
この雪だるま風の白熊が邪魔していたのね。
外に出てきたら?
開け方がわからないんです。
とバルが言った。

僕、この白熊型の入れ物
夢の中の6倍世界で見たことありますよ。
本物はもっと小さい。
虫除けに使うグッズです。
開け方ならわかりますよ。
とトマソンが言った。


a93

今の波動感じた?
またヴィヴィアンが魔法使ったのかな。
けっこう強烈だったわね。
などと噂している。



解説)
バルくんの虫除けグッズは、
セリアで購入したものです。
Posted at 20:28 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Feb 22, 2024

春を待つ日々 そのよん

a1

今日は雨。
気温も下がってるね。


a2

ほのかな梅の香り。
蕾がほころんでいるのかしら。
一茶に「梅がかやどなたが来ても欠茶碗」
っていう句があるんだ。
ふーん。うちのお茶碗は落としても
割れないから安心ね。


a3

サラたちの部屋でも
ケイが窓の外を眺めていた。
また雪になるところもあるそうだよ。


a4

遊びに来た鈴木すずと池谷圭は、
サラの作った苺のタルトを
もらって喜んでいる。


a5

その苺のケーキ大きいね。
これはドラゴニアベリーを使ったんだよ。


a6

このトランクス、
セリアでうってたんだけど、
二人の運動着に
ピッタリじゃないかと思って。
とサラが言っている。


a7

わー嬉しいなー。
と圭が言っている。
また雪が降らないかなー。
そしたら元雪だるまが
元気になるのに。
とすずが言った。


a8

すずから元雪だるまの水溜りの話を聞いたサラは、
その薄氷にはきっと精霊が宿っているのよ。
ヴィヴィアンに頼めば、
魔法でなんとかしてくれるかも。
と言った。


a9

サラ先輩。ヴィヴィアンさんって、
本物の魔法使いなんですか。
デジャではとてもそんなふうに
見えなかったけど。

ヴィヴィアンは魔法使いというより、
悪魔なんです。
本当の姿は翼があって怖いんですよ。
すごく優しい人ですけど。
とジェイソンが言った。



解説)
流石にまだ2月、
また寒くなるようです。
Posted at 20:27 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Feb 21, 2024

春を待つ日々 そのさん

a1

ドルフィンの二階では、
おやつタイムが始まっていた。
みんなモモコの
お茶碗捌きに注目している。


a2

モモコ。その斜めの手の角度、
とても優雅ね。
と言われている。


a3

あ、ところで、今子に教えてもらった一茶の句。
「狐の子そこのけそこのけ子熊が通る」って、
文学青年がちょっと違うって言ってたよ。
狐の子と子熊じゃなくて、雀の子とお馬なんだって。
え。
そうなの。私お姉さんから教わったのよ。
お姉さんは一茶が生きていた時代の
生き証人なんだから。


a4

横で聞いていた駒井魔子が言った。
そうか。あなたももう大人なんだから、
本当のことを知った方がいいわね。
それはね。文学青年の指摘が正しいの。
私は、幼なかったあなたのために
狐バージョンを作って教えていたのよ。
他にも、「我と来て遊べや親のない狐」とか。

そーだったんだ。
その句も大好きで私随分慰められた。


a5

妹想いのお姉さんだったのね。
とペギーが言った。


a6

あ、デイリープラネットに
春節の龍の舞の写真が載っているよ。
「龍の舞で起きたミラクル」
っていうタイトルの記事。
とニッキーが言った。


a7

記事の横には、
エトナが撮影した写真が
掲載されていた。


a8

その頃、デジャには、
春節が終わって一息ついた
マンゴー亭のシェフの
丹下健太が休憩に来ていた。


a9

この町に来て、
あなたの踊りを見られたのは幸いでした。
造形美術とはジャンルは違いますが、
あの舞踏は芸術作品ですなあ。
とトマソンが言っている。


a91

そうそう。
僕も双眼鏡でここから見てたんだけど。
あのハイジャンプ。
しばらく空中に浮いているように見えたよ。
とゼロが言った。


a92

あれはね。
確かに私の長年の修練の成果でもありますが、
あのガルーダの被り物に
特殊な霊力が備わっているんです。
普通の人が被ると、
制御できなくなって踊り狂いますから。

そういえば、一昨年チンパンジーが被って
騒動になったことがあったわね。
とマリアが言った。


a93

ふむ。むしろそういう
霊力や魔力を修練によって
制御して作品に昇華するのが
芸術の営みなのかもしれないね。
トマソン君は最近作品を量産しているようだが。

このところリアルな夢ばかり見て、
絶好調なんですよ。
とトマソンが言った。



解説)
新聞掲載の画像は再掲です。
Posted at 20:29 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Feb 20, 2024

春を待つ日々 そのに

a1

ドルフィンの倉庫から、
梅の盆栽が届けられた。
さっそくウグイスが飛んで来たので、
みんなで鑑賞している。


a2

一つだけの蕾を
ウグイスはじっと見つめている。


a3

この盆栽、すごく前からあるわよね。
15年前に作ったんだ。
飾るとすぐウグイスが飛んで来るんだよ。


a4

ちゃぶ台の上には
たまきが自販機で買ってきた
烏龍茶のボトルがある。
モモコはどこ行ったの?
ジェニーフレンドが来てるって聞いて、
ペンギンに。
そのままドルフィンの二階に
遊びに行くって言ってたよ。
よっぽど今子さんと気が合うんだね。


a5

その頃ペンギンで、モモコは、
こんにちわ~
みなさんお久しぶり。
と言っていた。


a6

モモコだモモコだ。
髪型変えたでしょ?
などと言われている。


a7

ひとしきり昔話をした後、
モモコはお土産用に
ショートケーキを買っている。


a8

お店随分賑やかね。
ずっと満席状態なんですよ。
このチップスターの筒どうするの?
どう見ても邪魔ですねー。
などと話している。


a9

ペンギンの二階では、
訪問したシェリーとツナを交えて、
みんなでお茶を飲んでいた。


a91

じゃあ、お正月はずっと、
研究所で過ごしたのね。
また何か新しい研究してるの?


a92

ミューと仮想現実体験装置の
システムのAIのアンが、
二人で色々やってるみたいだけど、
私にはもうさっぱり。
とシェリーが言った。

今の転送装置は私たちの住む未来世界と、
こちらの世界との往還しかできないんだけど、
別の時空にも行ける本格的なタイムマシンに
改造できないかと研究してるのよ。
さっき会った管理局の人には
見透かされてるみたいだった。
とツナが言った。


a93

ドルフィンの二階に到着したモモコは
さっそくお土産のショートケーキを
箱から取り出している。

日本茶にも合いそうね。
また太りそう。
などと話している。



解説)
登場した盆栽の初出は、
2009年2月11日「梅とウグイス」です。
その頃にはまだ梅の花や
蕾がいくつかついていたのですが。
Posted at 20:34 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Feb 19, 2024

春を待つ日々

a1

文学青年とモモコが話していると、
ジェニーたちがペンギンから戻ってきた。
お土産のショートケーキで、
おやつタイムが始まっている。


a2

ペンギンのショートケーキって
珍しいね。
特別に今だけらしいのよ。


a3

ケーキならいくらでも食べられるわ。
そーでしょうね。
あれ、たまきは?
自販機でおーいお茶を買うとか言って、
高台の休憩所に行ったよ。


a4

自販機に、おーいお茶はなかった。
たまきは相変わらず
見るからに忙しそうな格好してるのね。
そう見えるでしょう。
このカラス、懐いちゃったみたい。
などと言っている。


a5

サラたちの部屋でも
大安売りの苺がブームだった。


a6

サラ先輩はなんでも
器用なんですね。
二切れ食べてもいいわよ。


a7

広場に出かけていた
探偵事務所の面々は、
帰宅して、帰りがけに買った
ペンギンの苺ケーキを
食べかけていた。

久しぶりに踊ったわ。
味噌ラーメンが美味しかった。
などと話している。


a8

ダルコとクロコは、
何事かと眺めている。


a9

そうそう、シェリーが
久しぶりに遊びに来るって。
夏目ツナっていう人を
一緒に連れてくるって言ってたわ。
え、その人もしかして。
と探偵が言った。


a91

その頃、ツナとシェリー博士は、
探偵事務所下のペンギン前まで
やってきていた。

あちらが、管理局にお勤めの、
バグさんとミラさんよ。
こちら夏目ツナさん。
とシェリー博士が言っている。


a92

これは、これは。
お噂はウェルズから聞いています。
仮想の未来世界では大活躍のようですね。
うちの時間管理部の職員の件では、
色々お世話になりました。
とミラが言った。


a93

あ、大活躍って、
普通に生活してるだけなんですよ。
ただ過去の世界とは環境格差があまりに大きすぎて。
こっちには瞬間移動装置で遊びに来てるんです。
ところで、管理局としては、
こういう移動自体はokなんですか?

その世界の生物が進化した段階で、
自然に発生することですからね。
その世界の歴史に大きな改変の危険がなければ、
管理局は基本的に介入しない方針です。

よかった。ちょっと気になってたんです。
いつかウェルズさんみたいな
時間パトロールの人に捕まるんじゃないかって。

別にタイムマシンは登録制じゃないのよ。
とミラが言った。



解説)
あちこちで苺が人気のようです。
Posted at 20:22 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Feb 18, 2024

春節 そのきゅう

a1

ジェニーたちの部屋に、
久しぶりにモモコが帰ってきた。


a2

あれ、みんなはどうしたの?
ペンギンに行ってるよ。
ジェニーフレンドたちが集まっているんだ。
そうなのか。

春節も昨日までだったね。
モモコさんは、
ずっとドルフィンの二階にいたの?


a3

うん。
ずっと駒井今子さんと遊んでた。
おかげでお茶碗回し上達したのよ。
こんなふうに。


a4

僕は基本は読書三昧だった。
今、「小林一茶名句百選」っていうのを
読んでるんだ。
ああ知ってる。
今子さんが教えてくれたよ。
「狐の子そこのけそこのけ子熊が通る」、
っていう句をつくった人でしょう。


a5

その頃、広場では
春節が終わって、
ラーメンの屋台が撤去され、
ヘルミーネが掃除をしていた。


a6

早速開店したのね。
今日はバナナが大安売りですよ。


a7

子供達は
バナナを分けてもらって食べている。

この水たまり、まだ凍ってるの?
元雪だるまは強いんだよ。
薄氷負けるな一茶これにあり。
と誰かが言った。


a8

ベランダでは、
春節の演奏で知り合った
うたたちが、音楽談義をしている。

ヒッチハイクしながら、
あちこちで音楽を演奏してたなんて、
大道芸人みたい。
ローレンスさんに憧れるなあ。
そうですねえ。
僕も彼らと一緒にいて、
演奏の魅力に目覚めました。
とレオも言っている。
もう昔のことですよ。
とローレンスは言った。


a9

ケントがルビーと話している。

ところで、最近話題の路上アーティスト、
トマソン氏のことご存知ですか。
デイリープラネットでも、
彼の芸術活動の紹介記事を
連載することにしたんです。

トマソン氏がこの町に滞在していると聞いたので、
さっそく専属カメラマンのエトナに頼んで、
作品を発見次第、撮影してもらうことにしました。
なるほど、それらしきオブジェを見つけたら、
エトナに知らせますよ。
ありがとうございます。


a91

エトナは、ペンギン前のスペースで、
早速撮影を始めていた。

これ作った人、
スポンサーから
お金もらってるのかなあ。
と言っている。



解説)
中華圏のお正月、春節(日本の旧正月)は、
新暦では毎年始まる日が異なりますが、
今年は2月10日から2月17日までが
連休期間とネットにありました。
Posted at 20:39 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Feb 17, 2024

春節 そのはち

a1

ジェニーたちも
ペンギンでコーヒーを飲むことになった。


a2

テラス席に移った常連客が、
そこのあんころもちのお皿、
取っていただけますか。
と言っている。


a3

とつぜんお店占領しちゃって
席かわってもらって悪いわね。
あちらの方にもショートケーキを。
とサヤカが言っている。


a4

たまきはパンフレットを
眺めている。
このお店いつから
ケーキ出すようになったのかしら。


a5

それにジェニーのケーキだけ
苺が多いのはなぜ。


a6

苺大安売りしてたから、
今だけショートケーキ出してるのよ。
とマスターのマリーネが言っている。
あなたがお店のマスコットで
ごく一部で人気者のフンボルトさんね。
はい。


a7

店内では春めいた陽射しを浴びて
賑やかな思い出話に
花が咲いている。


a8

お店満員だね。
私たちはツアーの企画者だから。
また誰か呼ぼうよ。
などとフローラと、
さゆりが話している。


a9

このところ珍しくあったかいから、
外の席でも快適ですね。
とはるなが言っている。


a91

あれ、あんなところに
大きな筒が。
あれなんでしょう。
とオリーブが言った。



解説)
今回はジェニーたちの
再度の同窓会の様子でした。
Posted at 20:22 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Feb 16, 2024

春節 そのなな

a1

今日も快晴で少し風がある。
昨日は春一番が吹いたという。
あ。あんなところに。


a2

カラスが留まっているよ。


a3

その時、オリーブがやってきた。
ペンギンにミルフィーユと
ロベリアが来てるのよ。


a4

カラスは高台の休憩所の
テーブルの上の菓子パンを見つけ、
速攻で飛んできたようだ。


a5

このカラス、素早い動きだったね。
今日は和歌子は来てないの?
広場で踊ってるみたいだよ。
などと話している。


a6

広場では春節を祝う歌と踊りが
続いていた。


a7

粉川和歌子も踊りに参加している。
こんな時じゃないと出番が。
と呟いている。


a8

屋台ではエトナとケントが
ラーメンを食べながら話していた。

この人が、
新聞に掲載していただいた
花魁の写真のモデルになったアンナさん。
そうでしたか。
それは全然気が付かなかった。
人はコスプレによって変わるものですねえ。
クラーク・ケントさんほどじゃないですよ。
などと言っている。


a9

実は最近、繁華街の方で、
巨大な缶コーヒーの空き缶が
放置されているのが見つかりまして。
ああ。
それはたぶん路上アーティストの芸術作品ですよ。
そうだったんですか。
芸術家のやることは意味不明ですなあ。


a91

その頃、
オリーブに知らされて
ペンギンに到着したジェニーたちは、
ミルフィーユやロベリアと
十数年ぶりに再会していた。


a92

わーわー。
なんて美味しそうなショートケーキ。
とたまきが言って、
そこなの?
と言われている。


a93

冗談よ。
みんな久しぶりだねー。
たまきは変わらないねー。
誰一人見かけは変わらない。
これでも風雪と紆余曲折に耐えてるのよ。
などと言い合っている。



解説)
春一番が吹き、
春節らしい日々が過ぎていくようです。
Posted at 20:31 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Feb 15, 2024

春節 そのろく

a1

広場での住民たちの踊りは
しばらくして一息ついたようだった。
遅ればせながら、
シティポリスが警備にやってきている。


a2

運動の後のラーメンは
美味しいわ。
とキャサリンが言っている。


a3

観光客や兵士たちは
まだ踊り続けていた。


a4

これはケントさん。取材に見えたんですか。
はい。仕事の都合で遅れてしまい
龍の舞は見逃してしまいましたが。
写真撮ったので使ってください。
とエトナが言っている。


a5

丹下さん。踊りすごく良かったですよ。
それはどうも。


a6

小池恵子は出来上がったラーメンを
出そうとしている。
これってリアルな情景なのね。


a7

空いたテーブル席には、
入れ替わりにアンジーとジムが来て
肉まんを食べていた。


a8

丹下さんのガルーダの踊りの
ハイジャンプには、驚かされました。
キレキレのトランペットもすごかった。
アンジーさんは、ずっと丹下さんの
追っかけをされていたと聞きましたが。
とジョー軍曹が言った。


a9

追っかけって言っても、
彼の作る料理の味に惹かれてね。
彼がシェフをしてるレストランの追っかけ客だったのよ。
あのトランペットの人、ローレンスは、
丹下さんのニューヨーク時代からの友人で、
あれでけっこうキャリアのある、
実力派のミュージシャンなのよ。
以前この町にも何度か来て、
演奏したことがあったはず。

調査済みか。
さすがプロだね。
とジムが言った。


a91

その頃、さゆりの引率する
ジェニーフレンドの一行は、
ペンギンに到着していた。
椅子を御用意しましたよ。
とはるなが言っている。


a92

この苺おいしそうだけど、
せっかくだからケーキ注文しようかな。


a93

さゆりたちの到着に気がついて、
店内からオリーブも顔を出している。




解説)
まだフィギアに名前をつけていなかった頃、
ローレンスは、
2007年3月9日「ペンギンのコンサート」
2009年4月24日「春の夜のジャズコンサート」
に登場しています。
Posted at 20:28 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Feb 14, 2024

春節 そのご

b1

ローレンスの吹く
甲高いトランペットの音色が
響いている。
健太は配置についているようだ。


b2

ガルーダの踊りが始まった。


b3

これ東南アジアの伝統芸能なの?
振り付けは健太さんのオリジナルらしいよ。


b4

耳に残って頭がキンキンしてくるような
金管楽器の音色とともに、やがて踊りは
白熱してクライマックスに。


b5

健太は鶴の恩返しと呟いている。


b6

今日も日本晴れと呟いている。


b7

跳躍して飛翔したガルーダが羽ばたいている。
その体は空中にしばらく浮いているようにも見えた。
これにはニジンスキーも真っ青だ。
と誰かが叫んだ。


b8

健太は着地すると
姿勢を整えている。


b9

ご観覧ありがとうございました。
と言っている。
では。次は、
みなさん楽しくご一緒に。


b91

ファンキーなダンスミュージックが演奏されて、
みんなもこぞって踊り始めた。


b92

えらいやっちゃいいじゃないか。
というかけ声も聴こえる。


b93

ルビーは踊らないの?
何かあったら止める人がいないと。
などと話している。



解説)
2022年の春節では飛び入り参加でしたが、
健太のガルーダの踊りも洗練され、
お祭りは盛況のうちに過ぎていくようです。
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Feb 13, 2024

春節 そのよん

a1

時はわずかに過ぎて。


a2

ローレンスは、
ケースから楽器を取り出している。


a3

丹下健太は
ガルーダの被り物を装着して、
踊りの準備をしている。


a4

大道芸人たちの
歌と演奏は続いていた。

キャサリンは
アコーディオンを弾くうたを声援している。


a5

レオさんのテナーが最高。
とアシュレイは思っている。


a6

屋台では黙々とラーメンが
食べ続けられていた。


a7

すずは、アンナに頼んで
おもちゃを動かしてもらった。
おもちゃの人形は体操選手のように
回転している。

すごいすごい。
どうやって動いてるの。
ゴム紐の原理だよ。


a8

ベランダでは、
フローラたちがペンギンに
出かけようとしていたところに
バービーたちがやってきた。


a9

あら珍しい。
ジェニーフレンドの皆さんね。
私もバービーの皆さんを
まじかで見るのは久しぶり。
とミルフィーユが言っている。


a91

私たちみんなこんなに可愛いのに、
どうして出番が少ないのかしら。
とBBが言った。
なぜなんでしょう。
考えたこともなかった。
リアルさを探求しているのかも。
などと言い合っている。


a92

マンゴー亭には、
農家の岸芳樹が料理用の食材を運んできていた。
春節はお店大忙しですね。
これってすごくリアルな情景の気がするわ。



a93

兵士たちの歓談は続いていた。

それですれ違いざまに、その人の
つぶやきが聞こえてきて。
「…人間が羨ましくて仕方がないんだ」
って聞こえたんです。

気になって振り返ったら、
もう誰もいなかった。
それって怖いね。

あ、トランペットの音色が聞こえますよ。
何か始まるのかな。



解説)
今回は前回の少し後の
情景スナップでした。
Posted at 20:33 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Feb 12, 2024

春節 そのさん

a1

春節の広場は
主に住民たちで賑わっていた。


a2

ラーメンの屋台が出て、
見物に来た探偵事務所の面々が、
さっそく食事をしている。


a3

お箸の持ち方上手ですね。
これは角度にコツがあるんです。
鈴木すずは
動くおもちゃに興味を惹かれているようだ。


a4

郊外に住む
バービーたちも遊びに来たようだ。
ケンは来てないの?
いないみたいだよ。


a5

ベランダには、
さゆりが観光ツアーを組んで、
ジェニーフレンドたちを連れてきていた。


a6

春節に思い出の町に来られたなんて、
今年は春から縁起がいいわ。
とミルフィーユが言っている。


a7

私はこの町に来たのいつだったか、
完璧に忘れてます。
とロベリアが言った。
まだオリーブたち、
ペンギンにいるはずだから、
あとで行ってみようよ。
とフローラが言っている。


a8

マンゴー亭では、
龍の舞の黒子を務めた兵士たちに
食事が振舞われていた。

お手伝い、ご苦労様。
なんのなんの。
一仕事終えた後のの肉まんは
格別ですなあ。


a9

それに我らが英雄、
アイスさんの指示で動けたのは光栄です。
ジョー軍曹も大活躍で。
あの龍はどこへ飛んでいったんでしょう。
などと話が弾んでいる。

お茶のおかわりは?
と今井舞が言っている。


a91

ドルフィンの前では、
ルビーと丹下健太が話している。
ガルーダの被り物が用意されているようだ。

では今回もガルーダの舞を。
ここの春節は踊りの祭典ですからね。
あ、今回は、友人のローレンスが
トランペットを吹いてくれるんです。
と健太が言った。


a92

ルビーさん、お久しぶりです。
とローレンスは言った。
この町に来るのは、
一昨年のハロウィーンのコンテスト
に参加して以来です。
ああ。思い出したわ。
コスプレのマトリックスのメンバーね。



解説)
あちこちで賑やかな
春節の広場の情景でした。
Posted at 20:25 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Feb 11, 2024

春節 そのに

a1

龍の舞の一行は
広場に到着した。


a2

お囃子の銅鑼や太鼓も
賑やかに始まった。


a3

キャサリンや今子は
龍の舞を見るのは初めてなので、
ベランダから身を乗り出している。


a4


軍服のコスプレの人たちが
動かしてるのね。


a5

あの頭は重そう。
粘土でできてるらしいよ。


a6

龍の舞は佳境に入り。


a7

宝珠を見つけた龍が
喜んで地を這うような仕草から、


a8

一転して、
天に還っていく動きに
変化していった。
これが龍の舞の大円団だった。


a9

これでおしまいだねー。
面白かったー。
などという声が飛び交う中、
デジャからトマソンたちと降りてきた
ハリーが呪文を唱えた。


a91

すると龍は支持棒を離れて、
スルスルと天に昇り始めた。


a92

やがて
龍は空の彼方に消えていった。


a93

ハリーさん。あれは。
とルビーが言っている。

龍の舞の掉尾を飾る、
魔法のアトラクションだよ。
大丈夫、
心配ないよ。
龍は郊外のジャンの庭に
着地させるから。



解説)
思いつきのハプニング付きの
春節の情景でした。
Posted at 20:34 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Feb 10, 2024

春節

b1

今日は春節。
龍の舞の行進が
始まった。


b2

お祭り用のドラゴンは、
事前にドルフィンからジャンの家の庭に運ばれ、
異世界の村の兵士たちによって、
郊外から広場に向けて移動していたのだった。


b3

この辺りにはまだ誰もいませんね。
外は寒いからねー。


b4

でも行進には意味があるのよ。
これは龍が宝珠を求めて、
動いていく姿なの。
と振り付けのアイスが言っている。


b5

黒子役には、
ドイツ兵と米兵が
混成で協力しているようだ。


b6

龍はうねうねと動いていく。


b7

お腹が空いてきたなあ。
広場に行けば肉まんが。
今日は餃子でしょう。
などと言っている。


b8

かくて一行は
一路広場に向かっていくのだった。


b9

その頃、デジャでは、
ヴィヴィアンがトマソンを
ハリーに紹介していた。

この人が有名な
路上アーティストのトマソンさん。
しばらく魔術劇場に逗留して
いただくことにしたの。
ふむ。
部屋はいくらでも増やせるから、
お好きなだけいてもらうといい。


b91

おそれいります。
魔術劇場とハリーさんのお噂はかねがね。
ふむ。ところで、
このオブジェは魔法を使わずに
作られたとか。
はい。僕も魔法が使えればいいんでが。
そっちの才能はからきしで。
神出鬼没の魔術劇場にはずっと憧れていて、
いつか本物の魔法を
まじかで見たいと思っていたんですよ。
おや爆竹の音が聞こえますね。

龍の舞の行進が
広場に到着したみたいね。
とヴィヴィアンが言った。


b92

ふむ。
今日は春節で中華圏の新年だったか。
お祝いに、何か面白いものでもお見せしよう。
とハリーが言った。



解説)
久々に家の裏手の崖側で
ロケを敢行しました。
Posted at 22:59 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Feb 09, 2024

春節の準備 そのに

a1

今日もいい天気。
いよいよ明日から春節なのね。

昨日、図書館から借りた本を
寝床で読んでいたらさ。
と文学青年が言っている。


a2

短編小説の中に、突然、
春節の龍の踊りの描写が出てきてさ、
ニューヨークのチャイナタウンで、
主人公がデイトする背景に出てくるんだけど、
実際の龍の踊りってどんなものだろうって、
想像していたところだったんで驚いたよ。
そういう偶然ってよくあるのよね。


a3

広場では、春節の準備が進んでいた。


a4

このジャガイモ積んだら終わりです。
しばらくお店はお休みですね。
観光客が増えるからね。
あの場所はラーメンか何か出す、
屋台のスペースになるみたいだよ。


a5

飾り付けも完了したわね。
倉庫に特に春節用のものって
なかったんですが、
それっぽいのを見つけてきました。
とレイと小池恵子が話している。


a6

マンゴー亭の壁に
七福神の飾りが吊られている。


a7

この屋台用の飾り、
おもちゃみたいだなあ。
とヨシフは思っている。
ボタンを押すと人形が
回転する仕掛けのようだ。


a8

調理台では
餃子を拵えていた。


a9

アンナは水餃子を作る
準備をしている。


a91

こんなに作っちゃって
大丈夫ですか。
うん。大晦日に餃子を食べたいって、
注文が何件もあるんだよ。


a92

子供達は、
水たまりを邪魔にならない場所に運んでいた。

この水たまり凍ってるの?
元雪だるまだからね。



解説)
なんとか準備が整って、
春節を迎えられそうです。
Posted at 20:39 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Feb 08, 2024

春節の準備

a1

時は足早に過ぎ、
夕暮れまじかの広場。


a2

すっかり片付きましたね。
腰大丈夫ですか。
うん。


a3

大道芸人たちは、
珍しく春節用の演奏のリハーサルをしていた。


a4

うたがアコーディオンで参加し、
アンは銅羅代わりのシンバルを、
大道芸人はタブラを叩いている。

これ、龍の舞に合うのかな。
とルビーは思っている。


a5

あれ、ここにあったトマト。
ああ。今日の分は完売しました。
春節の料理の下ごしらえに
需要があるんです。


a6

肉まんを食べに来たエトナは、
今日は店頭販売だけ。
テーブル席は準備中です、
とレイに言われている。


a7

テーブル席のスペースには、
調理台が置かれていた。


a8

アンナは春節の間はお揃いで、
と雇い主の小池恵子に言われて、
チャイナ服に着替えていた。

大根の次はきゅうりを
お願いね。
と言っている。


a9

シェフの丹下健太は
真剣な顔で人参を吟味している。


a91

子供達は、雪だるまのあった場所から、
雪水を掬ってバケツで運んできた。
これは元雪だるまだね。
と言っている。



解説)
今回はとりとめのない
春節の準備風景でした。
Posted at 20:27 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Feb 07, 2024

雪景色 そのに

a1

雪だるまは
広場の隅に移された。

やったねーと言っている。


a2

しかしどんどん溶けていって。


a3

もう消えちゃった。
と言っている。


a4

広場では雪かきが始まっている。


a5

マスター、替わりましょうか。
まだ大丈夫。


a6

さすが腰が決まっているなあ。
とヘルミーネは思っている。


a7

ベーカリーの屋根にも雪は積もり、
ベランダでは、ヴィヴィアンが
トマソンと話していた。


a8

魔法も使わずに
実物そっくりの6倍の大きさの
オブジェを作れるなんて大したものね。
何を作るか、どんなふうに決めてるの?


a9

夢で見るんですよ。
僕の芸術の源泉は夢のイメージなんです。
特に最近、
サルバドールっていう人に会ってから、
全てが6倍の大きさの、
リアルな部屋の夢を
よく見るようになりました。
そこで見たものがヒントになるんです。

サルバドール。
あの夢魔が後押ししてるのね。

あ、泊まれる場所探しているなら、
魔術劇場にいらっしゃいよ。
宿代が浮くわよ。
とヴィヴィアンは言った。


a91

マンゴー亭では、
今井舞がチャイナドレスに着替えていた。

それ前にここでアルバイトしていた
レイラが着ていた服でしょう。
春節用に着たらって、貸してくれたの。
不思議なコーディネイトだけど、
よく似合ってるよ。
などと言っている。



解説)
雪だるまは数時間で
溶けてしまいました。
トレイに乗せて撮影しています。
Posted at 20:22 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Feb 06, 2024

雪景色

a1

雪は一晩かけて降り続け、
広場は雪景色になった。


a2

休憩所の日傘も雪をかむっている。


a3

滅多にない銀世界だわ。
と水戸里美が呟いている。


a4

流石に冷え込みますね。
今日もお店やるんですか。
雪景色だと野菜や果物が映えて
いい感じなんだ。


a5

子供達ははしゃいでいる。
わー雪だ雪だ。
これが雪なんだね。
すごく雪みたいに見えるよ。


a6

ドルフィンには
再び特殊部隊の隊長がやってきて、
相談していた。


a7

いやーまいったよ。
この突然の雪で街道の除雪作業に
特殊部隊にお呼びがかかってね。
ちょっと舞の練習の時間が
取れそうもない状況なんだ。
それは困ったわね。


a8

ということで、相談なんだけど、
異世界の村の皆さんに、龍の舞の
黒子役をしていただけないかしら。
とルビーが言っている。

お安いご用です。
みんなも喜びますよ。
と、ジョー軍曹が言った。
早速村に帰って、準備を始めます。
私が一緒に行って振り付けを指南するわ。
とアイスが言った。


a9

子供達は、雪だるまを作っている。


a91


ドラコとベスが見にきたようだ。



解説)
雪は滅多に降らないので、
雪が降って積もると、
本物の雪を使って何かしたくなります。
今回は庭に積もった雪を使って
雪だるまを作りました。
目次から過去の画像を見ると、

2006年1月21日「雪だるまを作る」
では雪だるまを。
2008年2月4日「雪の公園」でも
雪だるまや雪合戦を。
2014年2月10日「雪の日」
ではかまくらを。
2022年1月9日「雪の日 そのに」
では雪うさぎを作っています。
Posted at 20:25 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Feb 05, 2024

雪模様

a1

昼過ぎから雪が降り始めた。
シュロの葉にうっすらと積もっている。


a2

ナオミは届いたデイリープラネットを見て、
アンナの写真を話題にしている。

この記事書いたケントさん。
広場でしばらく見かけないね。
春節にはまた取材に来るんじゃない?

たまきは紙面の写真をパソコンに取り込んで、
さっそくネットの画像生成AIツール
「Seaart」で遊んでいる。


a3

あっという間に生成できたよ。
ボタンクリックするだけ。


a4

AIフィルターの「金髪の少女」、
「サイバーパンク」、「ポップアート」で、
試してみたんだけど。
フィルターのタイトルはアバウトな感じだね。


a5

立ち姿では、これがいいかな。
できた画像をプリントしてアンナにあげよう。


a6

サラたちの部屋では、
デジャから戻ったかなが話をしている。
なんかみんな怖そうな人ばかりで。


a7

テーブルには新しい筆箱が載っている。
窓から落とした古い筆箱は
見つからなかったようだ。

あそこは魔族の経営する、
悪魔の巣窟だからね。
子供は普通は入れないのよ。
でも話すと優しい人ばかり。


a8

そうなんですね。
サツマイモの甘煮は美味しかった。
それで、自由研究の成果はあったの?

大体調査し終わりました。
傾向として、日本名の人に
なぜか回文になっている名前が多くて、
名付け親になった世代に
子供に回文で名前をつけることが、
密かに流行していたのではないかと。


a9

それはすごい研究成果だね。
そうでもないと思いますけど。


a91

中野佳奈っていう、
私の名前もそうなんですけど。
なぜそんなことしたんでしょう。

苗字か名前、どっちか忘れた時に、
思い出しやすいから便利だよ。
とジェイソンが言った。
ただ面白かったからじゃない?
とサラが言った。


a92

今夜は積もるって言ってた。
そろそろ帰らなくちゃ。
と粉川和歌子は雪景色を眺めていた。



解説)
今日は雪になったので、
窓の雪景色を撮影しました。
Posted at 20:27 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Feb 04, 2024

春節の準備など

a1

今日も冷え込んでいるが
広場は晴れていた。


a2

ルビーはコンテストで優勝した
ボブと話している。

ハロウィーン、クリスマス、
お正月、春節って、
この町はお祭り続きですね。
今年は龍の舞が見られるそうじゃないですか。
観光客には楽しい限りです。


a3

春節に龍の舞が見られるのは、
珍しいことなのよ。
一昨年は特別だったけど、
その前は、今から12年前の辰年だった。
それが始まりね。


a4

この町の春節には踊りがつきものなのよ。
みんなお祭り気分で踊り出すから。
僕は一昨年はいなかったから知らないけど、
最初の時はブレイクダンスをしてる人もいた。
とボニーが言った。
それがマンゴー亭の丹下健太さんよ。
彼は一昨年の春節の踊りがきっかけで
この町に住むようになったの。


a5

隣で、特殊部隊の髭の隊長と
ドルフィンのマスターたちが話している。

龍の舞の黒子スタッフ、
今年もご協力いただけるとのこと感謝します。
いやいや、CGからも要請があって、
私たちも喜んでいるんですよ。


a6

なんと言っても、他に出番がなくて、
これが2年ぶりですから。


a7

私アコーディオン弾けますよ。
と、うたが大道芸人に言っている。
リタがドルフィンの倉庫から、
春節用に楽器を運んできたようだ。


a8

ドラ代わりのシンバルや太鼓、
アコーディオンが入っている。


a9

バー・デジャから降りてきた
ヴィヴィアンは、トマソンの作った作品を見ている。
エトナが、ヴィヴィアンに、
あら、メガネ変えたの?
と言った。


a91

よくわかったわね。
この前転んだ時なくしちゃったのよ。
それで同じデザインのものに変えたの。
それはそうと、
この巨大な味の素の瓶、
魔法で大きくしたものじゃないわね。
手作り感がある。

トマソンっていう
路上アーティストの作品よ。
彼、この町で暮らしたいみたい。


a92

その頃、トマソンは、
ベランダの休憩スペースで、
その場にいたキャサリンと話していた。

ここは住みやすそうな町ですね。
住み心地いいですよ。
ところで、突然失礼ですが、
あなた、さる漫画家の描くキャラクターに、
雰囲気が似てるって言われません?


a93

よく言われますよ。
自分ではそんなふうには思えないんですが。
とトマソンは言った。



解説)
今回も少しだけ時間が進展。
気分は春節に向けて。

1回目の龍の踊りは、目次から、
2012年1月15日「龍の年」
2回目の龍の踊りは、
2022年2月2日「龍の舞 そのいち」
で見られます。
Posted at 20:10 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Feb 03, 2024

一月のコンテストの発表

a1

広場では、
大道芸人たちの「キツネ狩の歌」の演奏が
続いていた。


a2

ジャズっぽいアレンジもいいですね。
この曲の歌詞は、女性をキツネに見立てて、
ガールハントする男性に
語りかけているみたいな内容でしょう。
そうとも言えるわね。
化かされないようにって。


a3

ドラゴンの補修作業を終えて、
ドルフィンの倉庫に運び終えた
二人が話している。

今年の春節は2月10日からだから、
なんとか間に合いましたね。
うん。龍の舞は2年ぶりだ。
あとは動かす人員の確保。
また特殊部隊のお世話になるかな。


a4

広場のスペースも空いたし、
1月のコンテストの発表しないの?
とアイスが訊いている。


a5

前回の発表が1月8日で
募集期間が短かったから、
新規の応募者がほとんどいなかったのよ。
いつものコスプレの近所の人ばかりで。
その中から選んでもいいんだけど。


a6

あ、そういえば。
とルビーが思い出したようだ。


a7

みなさん。
1月のコンテストの優勝者を発表します。
厳正な審査の結果、
優勝したのは当地に観光に来ている、
ベンさんです。


a8

まさか僕が。
とベンは驚いている。


a9

ベンはいつもの万雷の拍手に迎えられて
優勝トロフィを授与されている。


a91

あの時、席を空けて気まぐれで、
登録しなかったらこんなことには。
やっぱり親切はするものですねえ。
と言っている。


a92

子供達はトマソンの作品で遊んでいる。

この爪楊枝も本物そっくりだよ。
大きいけど。
焼き芋刺すのに使えるかも。


a93

もしかしてあなた、
伝説の路上アーテイストのトマソンさん?
とエトナが言った。
え、私のことをご存知でしたか。
知ってますよ。
アフリカの砂漠に6倍スケールのモデルハウスを
建てたとかいう。
ああ、そんなこともありました。
あの作品は、もちろん誰も住む人がいなくて、
砂漠の砂嵐で消えてしまいました。



解説)
毎月恒例のコンテストは
やや住民の関心が薄らいでいるようです。
Posted at 20:27 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Feb 02, 2024

新しい住人 そのに

a1

今日のサービスは、新鮮なイチゴです。
とはるなが言っている。


a2

これは美味しそうだね。
広場で大安売りしてたんですが、
結構酸っぱくて美味しいですよ。


a3

この大きなコーラの缶。
邪魔になったら処分して構わないって、
トマソンさんが。
灰皿代わりに使えるよ。
と、バグが言った。


a4

あの人、広場に行って
宿を探すって言ってたね。
あの名前、どこかで聞いたことない?
昔のプロ野球選手にいたかも。
などと話している。


a5

その頃、広場では。


a6

随分はかどっているようですね。
とルビーが言っている。

場所が場所なので、急がないとね。
塗装の剥げてる部分に、
ペンキを塗っているんです。


a7

新しいヒゲが完成しました。
とリタが言った。
塗装が乾いたら、接着しよう。


a8

駒井魔子は、
座布団のある休憩コーナーが
気に入ったようだ。

リクエストしていいかしら。
「キツネ狩りの歌」。


a9

キツネ狩~り~にゆくなら~
ララ気をつけておゆきよ~
キツネ狩~りは素敵さ~
ただ生き~て戻れたら~🎵


a91

ねえ、これなーに。
味の素の瓶みたいだよ。
すごく大きいけど。
と子供達が言っている。


a92

中に大きな爪楊枝が入っているよ。

見るからに実用的だろう。
大きすぎて使えないけど。
これは私が作ったんだよ。
とトマソンが言った。



解説)
月例のコンテストの発表は明日に。
Posted at 20:24 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Feb 01, 2024

新しい住人

a1

ジェニーフレンドたちは、
喫茶ペンギンに集まっていた。


a2

オリーブはマスターのマリーネと話している。
昔の店があって嬉しいわ。
途中で休業したり移転したりしたけど、
店名も経営者も変わってないの。


a3

ペンギンが開店したのは、
2007年の3月4日だったから、
17年前か。
マスター全然変わらないね。
これでも微妙に劣化してるのよ。


a4,jpg

崖の見える場所の立地も同じなんだね。
あ、このあんころもち美味しそう。
お店のサービスみたいです。
食べていいですよ。
私は胃薬が飲みたい。
とあいこちゃんは言っている。


a5

リズは初期の頃のペンギンを知らない。
みんな似てるけど、どこか個性的な人たち。
ジェニーの友達って
何人くらいいるのかしら。


a6

店の外では。


a7

この大きなコーラの缶、
さっきから気になってるんですけど。
とはるなが言っている。


a8

これはどうも。これは私の作品なんです。
と男の人がやってきて言った。

作品って。
私はこの世界のものを
6倍サイズに巨大化して、正しく
再現したオブジェを制作している
アーティストなんです。


a9

それをどうしてこんなところに。
完成した作品を、街中にそっと放置しておくのも、
芸術なんですよ。


a91

私の名前はトマソンと言います。
世界のあちこちで作品を制作しながら、
旅をしていましたが、
迷いの森に迷い込んでしまい、
そこで出会ったサルバドールという人に、
この町に抜けるトンネルの道を
教えてもらったんです。


a92

トンネルの道って、
あれは管理局の職員専用の通路よ。
とミラが言った。
それにサルバドールといえば、夢魔。
なんだか怪しい話だなあ。
とバグが言った。
それもそうだが、私はどうも、
この人の発想が気になる。
とウェルズが言った。



解説)
思いつきの新展開です。
Posted at 20:21 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Jan 31, 2024

ジェニーたちの集い そのよん

a1

宴会の翌日の
ジェニーたちの部屋で。


a2

結局みんなで飲み明かしちゃったの。
文学青年もデジャで飲んでたの?
とナオミが聞いている。
たまきは相変わらず
パソコンのAIアプリに夢中のようだ。


a3

うん。
入れ違いになっちゃっったけど、
私のフレンドたち、いつか改めて紹介するわ。
とジェニーが言った。


a4

サヤカとジュリアナは高台で
景色を眺めていた。

なんだか懐かしいね。
確かこの高台にバンブーハウスがあって、
窓やベランダから、
あの山並みを眺めたものよ。
自然の景観は変わらない。


a5

ペンギンの前に、
シオンとキサラが、
あいこちゃんを案内していた。


a6

私たちはビストロでバイトがあるから、
ここでお別れ。
あいこちゃんはペンギンに。
あとでジュリアナたちも来るって言ってたわ。
18年ぶりにマスターに会うのが楽しみね。


a7

広場では、観光ガイドをしている
さゆりが、フローラとオリーブを
引率していた。


a8

こんなところで観光ガイドが役に立つとは。
こういう状況にぴったりの職業だったわね。
私はケーキ売りしてたから、
この辺りのことはよく知ってるけど、
オリーブは初めてだからね。
そうだ。さゆり、
今度、段ボールハウスにいる
ジェニーフレンドたちを募って、
この界隈の観光ツアーをしたら?
とフローラが言っている。

オリーブは誰かを見つけたようだ。


a9

もしかして
銀河食堂やってたルビーでしょ。
え。うーん。もしかして、
「鏡の国のアリスとオリーブ」に、
出演してたオリーブ?
そんなの、よく覚えてたわね。


a91

ずっと何してたの。
ほとんど家で寝てた。
などと話している。



解説)
久しぶりにこの界隈を見聞した
ジェニーフレンドたちは、
懐かしの喫茶ペンギンに集合して、
しばらく町に残るようです。
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Jan 30, 2024

サラたちの部屋で

a1

サラたちの部屋には、
レイチェルが、アンを連れて
服の着せ替えを依頼しにきていた。


a2

ジェイソンは珍しく窓を開けて
崖ぎわを覗き込んでいる。

この下に落とした筆箱が
見つからないんだ。


a3

デイリープラネットに、
エトナの撮った写真が載ってるよ。
とメアリー=ケイトが言った。


a4

それは花魁に扮した、
アンナの写真だった。


a5

これでまた観光客が増えるかなあ。
来ても花魁なんていないのにね。


a6

私もこのブラックウィドーのコスプレ、
そろそろ着替えようかしら。
でも未来世界では便利なんだよね。
とレイチェルは呟いて、
ケイになんのこっちゃと、言われている。


a7

アンの着付けが終わったようだ。

派手さはないけど、シックでしょう。
ダイヤのカードのペンダントがポイントよ。
ウレシイデス。
とアンが言った。


a8

うん、なかなかよく似合うよ。
あ、このカバン、カナちゃんのだね。


a9

そこに、あー怖かった。
と言いながら、かなが帰ってきた。



解説)
時は忘れ物を思い出したかのように
ささやかな出来事を拾って流れています。
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Jan 29, 2024

お昼前の広場

b1

お昼前の広場。


b2

おや、これは春節で龍の舞に使う、
ドラゴンですね。


b3

今年は辰年だから、
春節には、ぜひ又龍の舞をって
要望があるんだけど、
保管状態がイマイチでね。
あちこち修理が必要なんだ。

ツノも折れてるし、
ヒゲも片方見つからないですよ。
とリタが言っている。


b4

駒井魔子はジョー軍曹と話している。

いいところに休憩所ができましたね。


b5

はい、座って音楽を聴くのに最適です。


b6

農家の直販店にも
買い物客がそこそこ。

今日もイチゴが安売りね。
蛇苺って食べたことある?
などと言っている。


b7

マンゴー亭でも
話し声が絶えない。

それだと、怪我人みたいです。
と舞が言っている。


b8

ドルフィンの二階でも
相変わらず、今子とモモコは
お茶碗回し遊びに興じ。


b9

ニッキーやペギーたちは、
会話に花を咲かせていた。

それでその人ったらさあ。
大きなコーラの缶を作ってるんですって。
見せてもらったら本物そっくり。
ほんとそれ?
などと言っている。


b91

ともあれ
なんとか明日に続きそうな
平穏な広場界隈の情景だった。



解説)
今回は、
広場界隈の
普通の日常の風景です。
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Jan 28, 2024

ジェニーたちの集い そのさん

a1

夜が随分更けて、
ジェニーたちの同窓会は、
宴会にかわりかけていた。

遅れて一升瓶を抱えてやってきた
あいこちゃんも、
話に加わっている。


a2

あいこちゃんって、
グッピー飼ってた花屋さんでバイトしてたでしょ。
そうなの。
あのグッピーどうなったの?
水槽から飛び出してね。


a3

2006年頃の繁華街では、
コンビニでミルフィーユがバイトしてたり、
ヘアーサロンで、サヤカが仕事してたり、
ジーンズショップでティモテがバイトしてたり、
最初の頃は道で出会う人も、
ほとんどがジェニーフレンドばかりで
賑やかだったけど、
だんだん知らない人が増えてった。


a4

そうそうこの写真。
2007年の3月の卒業と入学シーズン。
ジェニーフレンドがセーラー服着て、
みんなが集まったのは、
この時が最初で最後だったね。
とシオンが言った。


a5
2007.3.17

たまきたち、この日の前に
ワイン飲んだり煙草吸ってたでしょ。
いくつだったの?
これはイメージ画像だから。
この時にしか顔出してない人もいるんじゃない?
もうよく覚えてないなあ。


a6

なんかしんみりしちゃったね。
でも私たちだけずっとここで暮らしてたら、
今いる人たちはみんないなかったわけだから、
それはそういうものなのよ。
とジュリアナが言った。


a7

いつでも遊びに来ればいいのよ。
とたまきが言った。
段ボールハウスにみんな住んでるんだから。
誰か日本酒飲む人いる?
とナオミが言った。


a8

私、最近日本酒党なの。
おかんつけて。
とサヤカが言った。
大体こういう集まりだと、
そういう人、一人くらいいるんだよね。
と言われている。


a9

その頃、バーデジャでは、
ヴィヴィアンと文学青年が話していた。


a91

それで部屋を空けて来たってわけ?
気が利くのね。
いや魔法の本返しに寄ったんだよ。
あれ面白かったよ。
煎じ薬の作り方たくさん載ってて。
毒薬とか惚れ薬とか。
魔女ってああいうの作れるの?


a92

それは当たり前でしょ。
そもそも私は悪魔なんだから。


a93

あくまでも悪魔か。
あら、もう酔っ払っちゃたの?
部屋に戻れないなら、
魔術劇場に泊まって行けばいいわよ。
それとも、ここで夜明けまで飲む?
と言われている。


a94

それぞれの夜は
それぞれに更けていくのだった。



解説)
今回は、流れの勢いで続きを作りました。
Posted at 20:21 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Jan 27, 2024

ジェニーたちの集い そのに

a1

夜が少し更けて、
ジェニーたちの部屋では、
思いつきの同窓会がたけなわだった。


a2

私が町に来たのは2005年のこと、
繁華街でよく買い物したわね。
とジェニーが言った。
私がミニチュアのミニタリーフィギアショプで、
店番してたの覚えてる?
とオリーブが言った。


a3
2006.7.23

そのころの繁華街は、
店舗が入れ替わって、
行くたびに変化していた。


a4
2006.6.29

そうそう、そうだったっけ。


a5

私は2006年のお正月に、
キサラと一緒に記念写真撮影してた。
とジュリアナが言った。


a6
2006.1.6

レフ板を持って、
キサラの撮影助手だったけどね。


a7

「剣と魔法の国」っていう
シリーズものの中世劇をやったのは、
そのすぐ後だったよね。
私とナオミとキサラが冒険者でさ。
とサヤカが言った。


a8
2006.2.17

それ私は魔法使いで出演してた。
とシオンが言った。


a9

ナオミがクロスボーで、
フローラの頭上のリンゴを射落として。


a91
2006.3.16

あの時死ぬかと思ったわよ。
とフローラが言い、
みんなの昔話は尽きないのだった。


a92

その頃、隣の高台の休憩所では。
あのー、ジェニーの住んでる家って、
どこでしょうか。
と、あいこちゃんが尋ねていた。


a93

もう帰ろうよ。
と子供達が話している。



解説)
今回は、
暗くなるのを待っての撮影で、
アップにあっぷあっぷ。
枠のある回想のアルバムの画像は、
2006年に掲載のものです。
日付をつけましたので、
「目次」から探すと見られます。
Posted at 20:25 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Jan 26, 2024

ジェニーたちの集い

a1

西陽の射すジェニーたちの部屋。


a2

ジェニーフレンドたちに声をかけたものの、
オリーブの後でやってきたのは、


a3

クリスマスに、ベーカリーで
ケーキ売りのアルバイトをしていたフローラと、
観光ガイドをしているさゆりだけだった。


a4

やっぱりキサラの思いつきの
急な召集だったからね。
もう20年近くブランクあるし、
来られる人限られてるよ。
とシオンが言っている。


a5

ここにアルバムがあるから、
昔の思い出話でもしよう。
お寿司とって飲もうよ。
などと言っている。


a6

その頃、隣の高台の休憩所では。


a7

あのー、このあたり来るの初めてなんですけど、
ジェニーたちの家っってわかりますか。


a8

尋ねたのはサヤカとジュリアナだった。


a9

子供達は凧がーと騒いでいる。


a91

フェンスに引っかかって、
凧が風にはためいている。


a92

よくあることよ。
今とってあげるから。
と粉川和歌子が言っている。


解説)
今回は文学青年が出かけた後で、
時間的には夕暮れまじか。
西陽の強い時間帯の撮影になりました。
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Jan 25, 2024

図書館のリニューアル

a1

ジェニーたちの部屋では、
ジェニーフレンドを呼ぼう、という、
キサラの提案で声がかけられ、
旧友たちが来訪し始めていた。


a2

オリーブ。
再会できて嬉しいわ。
久しぶりだねー。
18年ぶりくらいかなあ。



a3

僕は図書館まで出かけてくるよ。
と文学青年が言っている。

デジャに寄って、ヴィヴィアンに
借りてた魔法の本も返してくるから、
帰りはちょっと遅くなる。


a4

ああ、図書館。1年八ヶ月ぶりに、
改良工事が終わって、
リニューアルオープンしたのね。
今度私も行かなきゃ。
と読書好きのナオミが言った。

部屋のスペース空けるために、
気遣ってくれるなんて感謝するわ。
さすが文学青年ね。
とキサラが言った。


a5

今日は冷え込んで快晴だ。
図書館までは徒歩で10分くらい。
とはいえ踏切を二つ越えていく。


a6

図書館の外観は変わらなかったが、
館内にエレベーターが敷設されたり、
新刊書コーナーが拡張されたりしていた。
電子書籍が借りられる
電子図書館サービスも始まったという。


a7

図書館からの帰り道。
玉川上水にかかる小さな橋を渡る。


a8

近所の小さなお稲荷さんの前を
通りがかったところ、
短い参道で箒を手にした駒井魔子に出会った。

おや。お散歩ですか。
と聞かれている。


a9

早いものですね。
一昨年の2月の15日。
あの日、ここで私が掃除中に、
あなたが貴理子さんとお見えになられて。

ああ、あれがあなたとの初対面でしたか。
あの時も僕は図書館に行く途中だったんです。
改装工事が始まる前のこと。
もうそんなに経つんですね。



解説)
今日はリニューアルした図書館に、
行ってみたので、撮影も便乗して。
途中でデジカメの電池が切れたので、
図書館の建物の写った画像だけ、過去のものを
加工して使いまわしています。
Posted at 20:34 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Jan 24, 2024

佳奈の自由研究 そのよん

a1

あら、どうしたの?

かなが、ヨシフと話していると、
そこにヴィヴィアンがやってきた。


a2

ふーん。
自由研究で名前の由来を調べている
今時感心な学生さんなのね。
いいわよ。特別にお店に入れてあげる。


a3

かなは、バー・デジャに入らせてもらった。
悪魔の巣窟へようこそ、
と言われて、かなり緊張しているようだ。


a4

子供はコーラだね。
そのサツマイモの甘煮は、
CGのアイスの手料理だよ。
甘くて美味しいよ。


a5

あのー早速ですが。


a6

私はこの店のオーナーで、
ヴィヴィアンっていうの。
残念だけど名前の由来は、よく知らない。
お父さんに聞けばわかるかな。
隣にいるのは。

僕はゼロと呼ばれている。
もちろんニックネームだよ。
宝石泥棒をするのが趣味でね。
本名はもちろん明かせない。


a7

私の名前はハリー。
ヴィヴィアンの義理の父親だ。
だがヴィヴィアンの名付け親は、
彼女の実の父親のマーリンだから、
彼女の名前の由来は、
マーリンに聞かないとわからないな。

そうそう。私の名前は、ハリー原と言って、
魔術劇場のことを書いた
小説の主人公から借りた名前なんだよ。
その名前は実作者のイニシャルから作られているんだ。
そこが気に入ってね。
私が魔法使いであることから、
よくハリー・ポッターを連想されるんだが、
それは偶然なんだよ。


a8

私はスーザン。
と右端の女性が言った。
今日はアイスに頼まれて
甘煮を届けに来ただけだけど、
名前の由来は親の好きだった曲に出てくる
女の子の名前からとったって聞いてる。

隣の女性が言った。
私はレイラって言うんだけど、
名前の由来はスーザンと同じ。
よくあるパターンよね。

僕はイリヤ。
と背広の男性が言った。
60年代の人気テレビドラマに出てた
俳優の役柄の名前で、
似てるって言うんで、そう呼ばれてる。
もちろん裏世界の通り名だよ。

不死身のイリヤって有名でしたね。
と黒シャツの男性が言った。
あ、これは余計なことを。
僕はジョニー。
英国でマフィアだった頃から
みんなにそう呼ばれてるんだ。
覚えやすいありふれた名前だからね。
お嬢さん。そんなに怖がらなくてもいいですよ。


a9

そこにマリアがやってきた。
あら、珍しく未成年がいるのね。
ふーん。名前の由来を調査してる学生って、
あなたのことか。
私の名前はマリア。由来は、なんでしょう。
親が魔族で魔法使いだから、
こういうのつけたがったんじゃないかな。
母親はハリー叔父さんの妹で
ジャンヌっていうのよ。



解説)
かなの調査は
なんとか進展しているようです。
Posted at 20:26 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Jan 23, 2024

時の流れに乗って そのなな

a1

昼下がりの広場。


a2

エトナが、ドラゴニアベリーを、
ドラコに与えている。


a3

ドラコは合唱がしたくて、
大急ぎで食べているようだ。


a4

農家の直販店には
ツナが来ていた。


a5

ドラゴニアベリーはあっという間に
売りきれちゃいましたよ。
さっそく補充してもらってありがたい。
ツナさん、どこの農園から?


a6

自然に森から採取してくるのよ。
こういう果実もあるけどどうかな。
おお、これはなんと、
私が品種改良したパフの実ではないですか。
これをどこで。
森に自生してるのよ。
ヘルミーネはちょっと不審がっている。


a7

ルビーは
アンを連れてきたレイチェルと話している。

久しぶりだね。
お正月は見かけなかったけど。


a8

大道芸人たちも広場にいなかったし、
いい機会だから、シェリー博士の研究所で、
ずっとアンのメンテナンスしていたの。

アンの服もそろそろ変えてあげたいね。
またサラに頼んでみるわ。
ソレハウレシイデス。
とアンが言った。


a9

自由研究進んでる?
とかなはレイに訊かれている。

おかげさまで、
この地区の個別訪問はだいたい終わりました。
あとお店は回ってないけど。
このお店の人は。


a91

名前の由来?
僕の名前は丹下健太。
高名な建築家の息子に相応しそうだろう。
だけど全然無関係なんだ。
親父が回文好きでね。

私は小池恵子。
平凡そうな名前だけど、
回文になってるのよ。

隣では今井舞がアンナに、
その鉢巻はやりすぎでは?
などと言っている。


a92

かなは、デジャを訪問しようとしたが。

名前の由来の自由研究?
ここは会員制のバーだし、
未成年は入れないよ。
あ、僕の名前はヨシフ。
故郷ではよくある名前なんだ。



解説)
今回は無事昼過ぎに撮影。
最近は撮影する時間より、
使いたいアイテムを探す時間の方が
長かったりします。
Posted at 20:26 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Jan 22, 2024

時の流れに乗って そのろく

a1

前回とほぼ同じ時刻の夕暮れの広場。


a2

ペギーは久しぶりに
ドルフィンの二階の部屋に帰宅する途中だった。


a3

農家の直販店の前に
人だかりがしている。


a4

今日はいちごの大安売りですよ。
たった今入荷したての、
それはそれは珍しい
大きなドラゴニアベリーもあります。


a5

これって、伝説のドラゴンも
大好物っていうあれ?
栽培がすごく難しいって聞いてるけど。
これ、入手経路は明かせませんが、
特別に入手できたんです。
お安くしときますよ。


a6

その頃、シェリー研究所では、
特に出番がなくて、
すごく暇なお正月を過ごした面々が
話をしていた。


a7

私によく似た未来の娘が
目の前にいるなんて、
今でも信じられないわ。
とマヤが言っている。


a8

お母さん、それは私も同じよ。
とっくの昔に亡くなったはずの母親が、
目の前にいるなんてね。
それも今の私にそっくりで。
とナディアが言っている。

ツナさん、肉まん随分買い込んだのね。
とシェリーが言った。


a9

実はね。未来の世界から転送装置で、
森のドラゴンベリーをこっちに運んで、
農家の直販店の人に買い上げてもらったのよ。
そのお金で肉まん買ったり、ツナ缶買ったり
できるというわけ。
それまずいんじゃない?
管理局に見つかると注意されるよ。
そういえば管理局の人、
博士のお知り合いなんでしょう。
今度紹介してよ。


a91

その頃、ドルフィンの二階に帰り着いたペギーは、
お土産に買ってきた
ドラゴニアベリーを振る舞っていた。

お裾分けしたらドラコが喜びそうね。
とエトナが言っている。


a92

ペギーさんのお名前の由来は?
ペギーっていうのは愛称なの。
リズとニッキーと私は、
お互いに顔立ちの似た有名人の
名前で呼び合ってるのよ。
ペギー葉山ですか。
誰それ。



解説)
ペギーはほとんど
エピソードに絡んだことのない住人で、
ほぼ三年ぶりの登場。
ヘッドをどこにしまってあったか探して、
今日も夕方の撮影になってしまいました。
ちなみに郊外に住むメイヴィスとは、
双子の姉妹です。
Posted at 20:35 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Jan 21, 2024

佳奈の自由研究 そのさん

a1

あっという間に夕暮れ。


a2

ドルフィンの二階の部屋に行くために、
かなは広場に戻ってきた。

簡易休憩コーナーが移動している。


a3

コーナーがあった場所には、
農家の簡易直販店が開店していた。
岸芳樹とヘルミーネが話している。

今年もこの場所で
お店開けてよかったですね。
何かあるたび引っ越すけどね。


a4

いちごが大量入荷してます。
大安売りですよ。


a6

マンゴー亭では、
アンナが運動着姿で話している。


a7

やっぱりそれにしたの?
健康第一ですから。


a8

かながドルフィンの二階に着くと、
みんなが出迎えてくれていた。

ジェニーから話は聞いてるわ。
自由研究で名前の由来を調べてるのね。
はい。早速ですが。


a9

私はアシュレイ。
サラのところにいる、メアリー=ケイトと、
双子の姉妹なの。
名前の由来はよく知らないのよ。

私の名前はニッキー。
さる女優さんに似てるって言われて
ニックネームで呼ばれてるの。


a91

右にいた魔子が口を開いた。
私はここに同居させてもらっている
駒井魔子で、隣にいるのが妹の今子。
駒井という苗字は古くは狐舞と書いたの。
名付けてくれた人が回文が好きで。
その隣は遊びに来てるモモコさん。

私は名前の由来よく知らないの。
大勢いそうな、ありふれた名前でしょ。
とモモコが言った。
この子は、入間ルイちゃんと言って、
マンスフィールドさんのご親戚のお子さんよ。

私はエトナ。
シチリア島の火山から
つけたって親が言ってたわ。


a92

他にもこの部屋には、
いつもマンゴー亭でバイトしている
アンナとレイと、
喫茶ペンギンでバイトしてるリズと、
ペギーと今井舞っていう子が住んでるのよ。

すごい大所帯なんですね。
とても覚えきれない。
最近私もそうなのよ。
とニッキーが言った。


a93

ニッキーは三年前に
ペギーとリズと3人で、
ここで暮らし始めた頃のことを、
思い出しているようだ。



解説)
今回はほぼ住人紹介に。
Posted at 20:31 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Jan 20, 2024

キサラとシオン

a1

かなは、自由研究の続きをするため、
ドルフィンの二階の部屋を紹介してもらった。

エトナに言ったら、
いつでもどうぞって言ってたよ。
かなは、おせわになりました。
と言っている。


a2

そこに、キサラとシオンがやってきた。
おお、お久しぶり。
去年のお正月以来だね。


a3

キサラとシオンは
アルバイトしているアルのビストロの
休みをとって来たのだった。

かなは、
お土産のピザがあるみたいだから、
かなちゃんも食べて行きなよ。
とジェニーに言われている。
ではでは。


a4

年末年始、お店忙しかったでしょう。
それは結構ね。
オーナーのアルさんが、
忘年会に行くって出かけたまま
帰ってこなくて。
探偵事務所で飲み続けてたらしい。
それでお正月明けてボーナス休暇。


a5

あ、わたし探偵事務所でアルさんに
お会いしましたよ。
と、かなが言った。
渋くてかっこいい紳士ですね。
オーナーは探偵さんと親しくて、
いい飲み友達なのよ。


a6

早速お土産の
ビストロのピザを食べよう。


a7

子供はコーラね。
シオン、去年ここに遊びに来て、
日本一周すごろくした時も、
その晴れ着着てたね。
あの時は記念撮影用に着てたの。
なかなか出番がないと
そういうことなのね。


a8

キサラもそのはっぴ去年も着てたでしょう。
これ呼び込みにいいのよ。
せっかくのお休みだから、
ジェニーフレンドの同窓会でもやろうか。
急に声かけても、みんな集まるかなあ。


a9

あ、わたし今、
画像生成AIアプリに、はまっってるの。
写真画像があればイラスト風にできるのよ。
とたまきが言っている。
隣の高台の休憩所に
きっと誰かいるから撮影してもらおうか。
と文学青年が言った。


a91

撮影された画像をアップロードして、
たまきはさっそく画像生成AIを使った。
フィルターのタイトル、「美少女」で。


a92

これは、「淡彩」。


a93

「レトロな油絵」。
色々言いたいこと満載だけど、
これ面白いわ。
と言っている。



解説)
なんとなく思い出したので、
ほぼ一年ぶりにキサラとシオンが登場。
たまきの熱中ぶりは
相変わらずのようです。
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Jan 19, 2024

たまきがAIアプリで遊ぶ そのに

a1

冬の日は暮れるのが早い。


a2

あ、もう日暮れ時になっちゃった。
と佳奈が言っている。


a3

モモコなかなか帰ってこないわね。
駒井姉妹に誘われて、
ドルフィンの二階に遊びに行くって言ったよ。
あの姉妹、お稲荷さんの狐の精霊なんでしょう。
モモコ夢見る少女タイプだから、
きっと気が合うんだね。


a4

たまきは相変わらず画像生成AIアプリで
遊んでいた。

かなちゃんは、目はいいの?
メガネかけると賢そうに見えるよ。


a5

まだあの画像で遊んでるんですか。


a6

どれどれ。
目はいいんですよー。

他にも色々変えてみよう。


a7

ニヤリと笑ってみたり。


a8

怒ってみたり。


a9

このAIアプリにはね。
もともと何種類もモデルが用意されているの。
実はかなちゃんの写真の変えたい部分の、
画面の領域を塗りつぶして、
プロンプトで表情を指示して、
そのモデルのパーツに置き換えているだけ。
だから、顔全体を塗りつぶして、
「笑い」と入力指定すると、
そのモデルの顔のバリエーションになっちゃう。


a91

わー。これはかなとは別人だ。
でも同じ顔には滅多にならないのよ。
バリエーションがすごくあるから。

他にLoRAっていう追加モデルもあって、
それも複数の中から選べるんだけど、
それも追加すると、そのモデルの要素を加味した、
より個性的なものが作れる。
同一人物の複数の画像データをAIに学習させて、
自分だけのLoRAを作ることもできるのよ。
大変だからしないけど。


a92

ということで、今日も楽しかったわ。

これって人形の画像にも使えるかな。
そうすると笑う人形の画像が作れるわね。
とジェニーが言っている。
そんなことする人がいるかなあ。


a93

たまきはおしまいに
アプリのAIフィルターの「2.0アニメ風」で、
遊んでみたようだ。



解説)
今回の画像生成AIの画像も、
Seaartというサイトの
Img2Imgという機能や、
画像フィルター機能を使用しました。
Posted at 20:34 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Jan 18, 2024

たまきが画像生成アプリで遊ぶ

a1

かなは相変わらずジェニーたちの部屋で
善哉をご馳走になっていた。


a2

このお餅よく伸びますねー。
と言っている。


a3

かなちゃん。
さっき撮影した写真
パソコンに取り込んだよ。
これからAIフィルターにかけるから。


a4

これが元画像、トリミングして、
拡大したからちょっと荒くなってるけど、
これをアップロードして。


a5

いろいろ加工法が選べるんだけど。
「Prety Girl」っていうのを
選んでみた。
出来上がっ三種類の中では、
これがいいかな。
かなちゃん、他に写真持ってない?


a6

これ、サラ先輩たちの部屋で、
絵を描いていた時の写真です。
ジェットさんが撮ってくれて。

じゃあ、それ使ってみよう。
アプリにアップロードして、
今度は「Joker」っていうのを選んでみる。


a7

これは出来上がった三種類のうちの一つよ。
こ、これは。
背景がキッチンじゃなくなってるけど、
部屋の雰囲気はイラストっぽく再現されてるね。
動作表現も生き写し。


a8

でも私の描いた絵は、
なんかよくわからないものに変わってますね。
そこは面白いわね。
胴体の丸い形状だけ認識して再現したみたい。
手足の部分は、文字やロゴみたいになっている。
逆さになった人体には見えなかったみたい。
でもその解釈がすごいよ。
う。
あら、どうしたの。
ちょっとお餅が喉に詰まっちゃって。


a9

お水お水、と言っている。




解説)
今回の画像生成AIの画像は、
Seaartというサイトの
画像フィルターの機能を使用しました。
Posted at 20:33 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Jan 17, 2024

時の流れに乗って そのご

a1

翌日のベーカリー。
店内に記念撮影会に参加していた
カメラマニアが来て、
シェフのフレイムに、
厨房の写真を撮らせて欲しいと言っている。

前から気になってたんですよ。
今、光の加減がいいので、ぜひ。


a2

なるほど、気持ちがいいほど、
すっきり整頓されてますなあ。
あ。あなたも。


a3

ウェイトレスをしている水戸里美も
撮影してもらった。
主役みたいに写してもらうの何年振りかしら。
と言っている。


a4

日の翳ったベーカリー前では
ルビーが観光客と話していた。
あなたはいつも店のテーブル席においでの、
常連のお客さんですね。
コンテストに登録ですか?


a5

厨房を撮影したいっていう人がきて、
撮影の邪魔になりそうだから、
席を空けてきたんです。
ついでに登録しちゃおうかなあ。
お名前は?


a6

ベンと言います。
よくご年配のご婦人に、
「卒業」っていう映画に出た俳優の
若い頃に似てるって言われるんですよ。
それでベンという通称に。
それもう半世紀以上前の映画よね。


a7

カイトをドルフィンに返却した
うたとキャサリンは音楽に聴き入っている。
エトナも撮影に余念がないようだ。
渋いなあこのテナーの音色。


a8

モモコさん、お茶碗回し上手になったね。
今子、何してるの。


a9

あ。お姉さん。
お茶碗回しのお稽古。
和菓子は、懐紙を敷いて置いて、
お茶を飲む前にいただくのよ。


a91

アンナ、その格好いつまで続けるの?
とレイが言っている。


a92

さすがにそろそろ着替えなくちゃね。
さて何着るか。
白のチャイナドレスもう乾いてるけど、
運動着がいいよ。
と舞がいった。



解説)
1日経ったという設定ですが、
何もあまり変わらない日常です。
Posted at 20:21 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Jan 16, 2024

時の流れに乗って そのよん

a1

前回からしばらく経った
後の広場。
上空にはカイトがはためいていて、
ひそこと戯れている。


a2

ドルフィンの二階の部屋では、
撮影会が再開されていた。

私いい写真撮れたら、
デイリープラネットに送るつもり。
とエトナが言っている。
専属カメラマンはいいなあ。


a3

花魁はクールジャパンだからね。
アンナのアルカイック・スマイルが
なんとも言えない。


a4

広場ではマスターとジャマイカの人が
話していた。
さすがに凧あげはおしまいですか。
やりすぎて肩と首が凝ってしまって。


a5

ルビーたちはたこの歌に聞き入っている。
ドラコもダーダーと歌っているようだ。
ジャズっぽいイントロよかったなあ。


a6

そうそう。
時計回りに二度回して、
お茶は3回に分けて飲み切るのよ。


a7

子供達は?
高台に行ったよ。


a8

すずと圭は、
高台で凧をあげていた。


a9

広場ではカイトに絡まりそうになるんだ。
寒いのに元気なのね。
でもそろそろ夕暮れよ。


a91

タコは夕日を浴びて
西空にはためいていた。



解説)
今回も前回の続きで、
ほぼ同じ顔ぶれです。
ゆっくり時間が経って、
やっと夕暮れに。
Posted at 20:29 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Jan 15, 2024

時の流れに乗って そのさん

a1

前回から1時間ほど経った
後の広場。


a2

倉庫にあんなものが
仕舞い込んであったのね。
使う人がいたとは。


a3

うたとキャサリンは
ドルフィンの倉庫から、
借りてきた凧をあげていた。


a4

それは巨大な洋だこだった。


a5

物珍しいので、
ドルフィンの二階からも、
みんな注目している。


a6

大きなゲイラカイトですなあ。
それもすごいけど、
空模様も荒模様ですごいわね。


a7

やがて、大道芸人たちの演奏も
始まった。
テナーがファンキーなイントロを
奏でている。


a8

やっぱり音楽があるのがいいわね。
これなんていう曲かしら。
このフレーズのメロディは「たこのうた」じゃないの?
やがて、
たーこーたーこーあーがーれ🎵
と歌声が始まった。


a9

モモコは駒井今子と
仲良くなったようだ。
お茶席でお茶碗は
こうしてこう回していただくのよ。



解説)
前回の1時間後の設定で、
ほぼ同じ顔ぶれで時が流れています。
Posted at 20:23 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Jan 14, 2024

時の流れに乗って そのに

a1

広場は今日もそれなりの
人出だった。


a2

マスター。
このソファどうしたの?
2階で使ってたんだけど、
撮影中預かって欲しいって。
まだ記念撮影やってるのね。


a3

この着物気に入ってるんだけど、
注目されなかった。
モモコさん、私は清楚でとても好きですよ。


a4

魔子さん、この着物お返しします。
ありがとうございました。
私このチャイナドレスの上に着てたんですよ。
本当はすごく着膨れしてたの。
それは誰も気が付かないわ。


a5

ジョー軍曹たちは相変わらず、
凧を上げていた。


a6

私も凧あげしたいなー。
まだ倉庫にあるかもしれないよ。


a7

ドルフィンの二階では
撮影会が続いていた。


a8

長煙管を持つと粋ですねえ。


a9

ソファせっかく片付けたのに、
本棚が写り込んじゃって、
あんまり和風の雰囲気でないね。
トリミングすればいいのよ。
などと言っている。


a91

そうこうするうちに、
大道芸人たちが、歌いながら、
広場に戻ってきた。


a92

またここでお世話になるわ。
とドミノが言っている。
それは大歓迎。
ドラコが寂しがっていたわよ。
あれ、レオさんも参加してるの?


a93

市街地の興行でも、
ずっと聴きに来てくれたんだけど、
今は特別参加。
テナーが結構上手なのよ。



解説)
普段通りのあれこれ
スナップ風景です。
Posted at 20:49 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Jan 13, 2024

かなの自由研究 そのに

b1

あなた自由研究で
個別訪問してるんでしょう。
よかったらジェニーに連絡しとくわよ。
とほろ酔いのエリスが言ってくれたので。


b2

かなはジェニーたちの家にやってきた。


b3

かなさんはサラの後輩なんだって?
そうなんです。美術部で。
早速ですが。


b4

私の名前はジェニー。
ミュージカル「ジェニー」のヒロインの
名前から名付けたって、
タカラっていう人から聞いたわ。

私の名前のたまきも、
タカラっていう人がつけたらしい。
苗字はみんな知らないけど
木俣っていうのよ。回文へのこだわり。


b5

私はナオミ。
私の名前もタカラっていう人が名付け親。

この人はみんなに文学青年って、
呼ばれているけど、
本名は聞いたことなかったわね。
それでいいんです。


b6

あれ。
この絵、かなさんが描いたの?
あ。そうなんですよ。


b7

この絵を元に、
生成AIにイラストを描いてもらいましょう。
たまきはね。
最近、ネットの生成AI画像ジェネレーターで、
遊んでばかりいるのよ。


b8

この絵をデジカメ写真に撮って、
パソコンに取り込んで、
ファイルをアプリにアップロードするだけ。
いろんな画風を選べるんだけど、
「ピンクのバーニー」
っていうのを、試してみましよう。


b9

あっという間に出来上がったようだ。


b91

これはこれは。
丸い体の輪郭と、細い腕の形から、
雪だるまを連想したのかな。
確かにピンクものを身につけているね。


b92

これは今ののバリエーションね。
一度に3枚できるんだけど。
その一つ。
もう、こういう時代なんですね。
イラストレーターになるの、
諦めた方がいいかなあ。
とかなが言っている。


b93

かなさん。お餅焼けてるけど、
善哉食べませんか?
と言っている。


解説)

写真画像からイラストに変換するのに
使った画像生成AIアプリは、
Seaartでした。
Posted at 20:50 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Jan 12, 2024

かなの自由研究

a1

サラたちの部屋では、
記念撮影から戻ったジェットとケイが、
くつろいでいた。


a2

優勝したなんて、すごいわね。
サラのおかげだよ。
おや、新しいマフラーだね。
セリアで買ったの。
あったかいのよ。
これがあのお値段で。


a3

あの値段は、
高いのか安いのか。
ジェット、長いキセルはどうしたの。
アンナに貸したんだ。
撮影用の小道具に使いたいんだって。


a4

これから自由研究で、
個別訪問に出かけるのね。
エリスに言っといたから、
待ってるわよ。
探偵事務所の場所わかる?
はい。ペンギンの2階ですね。


a5

かなは、ペンギンを目指して外出した。
高台で、今日もキリリと寒くて良い天気ね。
と言われている。


a6

ペンギン前では、仕事中のはるなに出会った。
着物もう着替えちゃったの?
ええ。はるなは見るからに忙しそうね。
と言っている。


a7

探偵事務所につくと、
酒盛りの最中だった。


a8

あなたが、かなちゃんね、
サラから話は聞いてるわ。
名前の由来が知りたいんですって?


a9

子供はコーヒーをどうぞ。
ありがとうございます。
早速ですが。

私は鷲尾翠。
親が押井守の「犬狼伝説」のファンで、
登場キャラにあやかって
つけたらしいの。


a91

私はエリス・デ・フリース。
映画「ブラックブック」の女性主人公が、
映画の中で使った偽名に由来するって聞いたわ。
親の趣味なんでしょうけど。

僕は私立探偵で、
本名は志津川和志っていうんだけど、
尾形孝雄とか、菅見文和など、
偽名をいくつも使っているんだ。


a92

なるほど。
その名前、みんな回文ですね。
親が回文マニアだったもので、
つい、僕も真似したくなるんだよ。
それっておかしくないですか。


a93

ああ、僕はそろそろおいとまするよ。
と背広を着ながらアルが言った。
僕の名前はアル。
郊外でビストロを経営してる。
お嬢さんの参考までにいうと、
僕の名前は、顔立ちが僕に似た、
有名俳優から取られた愛称なんだ。



解説)
かなの自由研究は続くようです。
Posted at 20:50 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Jan 11, 2024

記念撮影会

b1

今日は撮影日和。


b2

広場はコスプレコンテストの
参加者たちの写真撮影で賑わっていた。


b3

これは逆光だなあ。
あ、右の人少し左を向いて、
こっち向いてください。
ボニーさん、カメラが
あちこちから撮影してますから。


b4

なんだか賑やかですね。
カメラマニアたちの撮影で
騒然としてるんですよ。


b5

ドラコはアイスにダーダーと
話しかけていた。
大道芸人たちが帰ってこない?
ああ、また一緒に歌が歌いたいのね。
市街地の方で稼いでるらしいよ。
お正月も終わったし、
そろそろ戻ってくるんじゃないかな。


b6

随分派手な民族衣装ね。
あれは特別なんですよ。


b7

はいチーズ。
顔が引き攣っちゃうわ。
あなたはいつも笑顔でしょ。
などと言い合っっている。


b8

魔子さんは写真写してもらわないの?
私はこういうの苦手で。


b9

新春の明るい日差しの中、
撮影は続いていた。


解説)
お正月気分が
なかなか抜けないようです。
Posted at 20:27 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Jan 10, 2024

たまきの竜退治の続き

a1

ジェニーたちの部屋では、まだ
たまきが作った画像のお話の
話題で持ちきりだった。


a2

あの竜退治の話には、
たまきが登場しなかったね。

たまきの顔をAIが認識するのは
難しいでしょ。
いえいえ。
私はテキストから画像を生成したけど、
画像から画像を作ることもできるのよ。
でもそれはせずに、
私は出来上がった画像に、
デジカメで撮った画像を
切り取って貼り付けてる。
たとえばこんなの。


a3

生成AIが作った鎧を着た少女剣士の画像に、
私の顔を貼り付けたの。
ふーん。なかなかよく似合ってる。


a4

こういう画像は作ってあったけど、
省略しちゃった。
お話に3人も登場すると、長くなっちゃうからね。
少女剣士たまきは、
竜に乗らないの?


a5

少女剣士の画像を作ってたら、
こんな座った姿勢の画像ができたから、
あとで顔を貼り付けた。


a6

これを切り取って、ドラゴンの画像に貼り付けて、
こんな感じに合成したの。
ふーん。そこは手作業なんだね。
作りたいイメージに向かって、
AIと協力しあってるのよ。
元々こういう、ドラゴンに乗った少女、
というテキストで画像を指定して、
あとで顔だけ貼り付けてもいいけど、
情景や姿勢など、全く別のものになる。

この画像、背景を入れたら、
使えそうだね。
お話がどんどん長くなるけどね。


a7

あとはね。
これも使わなかったんだけど、
3人で相談しているシーン。
生成画像では、顔が崩れちゃうんだけど、
貼り付けたら使えそうな情景がたくさんできる。
たまきだけ人形顔だね。
それはなぜかしらね。

それに左の子、鎧が溶けてる。
こういうのも、よくあることなのよ。


a8

これはドラゴンを仲間にして、
村人たちの喝采浴びているところ。
使わなかったけど、
お話のラストシーンに使えそうでしょ。
お城、空を飛ぶドラゴン、群集、
3人の少女剣士、なんていう言葉を、
指定するとできちゃうのよ。
でももちろんうまくいかないのもあって、
何枚も作ったうちの一つ。

後ろの人たちの顔がひしゃげてる。
人が大勢だと、割とこうなっちゃうのよ。
この画像、手前の3人の顔もひしゃげてたけど、
貼り付け合成したの。


a9

みんなでわいわい言い合っているうちに、
外は暗くなっていた。

色々省略したシーンがあったのね。
たまきが、自分の顔つけて遊んでたのは
分かったけど、顔のイメージが違うから、
やっぱりあの二人だけでよかったかも。
そうかな。
なんでもありでいいんじゃない?
この町のみんなとおんなじだよ。
二人の少女剣士、
私とナオミにすればぐっと統一感が出るよ。
とジェニーが言っている。


a91

何にも考えてなかったからねー。
少女剣士、って指定したら、
凛々しい少女画像ができちゃったので、
つい使いたくなっちゃったのよ。



解説)
今回はたまきたちの、
生成AI画像をめぐる
よもやま話でした。
Posted at 20:28 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Jan 09, 2024

時の流れに乗って

a1

ペンギン前のスペースでは、
はるなが店に戻っていた。


a2

はるなちゃん、
その格好でウェイトレスするの?
はい。襷掛けすると、
忙しい雰囲気が出せるって、
教えてもらって。


a3

テーブルでは、
管理局の面々がコーヒーを飲んでいた。

はるなちゃんは
忙しそうで、働き者だなあ。
管理局にリクルートしたいものだね。


a4

ペンギンの店内では、
店のマスコットのフンボルトが、
今日もすごく暇だなあ、と呟いている。


a5

サラたちの部屋では、
晴れ着を着替えた佳奈が、
私服が着たいと言って、
サラにコーディネイトをしてもらっている。


a6

ドルフィンの倉庫から選んできたけど、
サイズはまずまずね。この服でいいかしら。
すごく気に入りました。
先輩センスいいですね。
まだ自由研究続けるの?
はい。今度は個別訪問しようと思って。


a7

外出する時は、スクールコート着て、
あったかくしないとダメよ。


a8

これで完璧ですね。
下のロングニットのセーターと
合ってないところがなかなかリアルよ。


a9

学生時代か。
若さっていいなあ。
あ、このご飯に海老フライ乗せて
食べようかなあ。
とメアリー=ケイトは思っている。



解説)
また時の流れのままに
普通の出来事が進んでいます。
Posted at 20:26 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Jan 08, 2024

コンテストの結果発表

a1

広場では、
まだ正月気分で賑わっていた。


a2

なんか久しぶりに注目されてるね。
この格好だからなあ。


a3

私江戸時代に憧れるなあ。
普通の人の生活は、
そんなに今と変わらなかったわよ。


a4

マンゴー亭に戻ったアンナは、
レイに、何か御用ですか?
と言われている。


a5

おかしくないギャグ言わないで。
従業員が二人も抜けて、
どうしてるかと思って
とんできたのよ。


a6

ああ、お店なら、
私一人で大丈夫ですよ。
テーブル席一つしかないですから。
忙しいのは調理場の方です。
そうなのよね。
と奥で小池恵子が言っている。


a7

広場では、カメラマニアたちが
寄り集まっていた。

ボニーさん、コンテストの審査の方は?
うん。撮影の方が面白そうだから、
ちょっと抜けてきちゃった。


a8

ルビー、昨日は七草粥も食べたし、
そろそろ、コンテストの発表じゃない?
ああ、そうだったわ。


a9

みなさん、
12月初めから今月のお正月までの
コスプレコンテスト結果を発表します。
厳正な審査の結果。
優勝したのは、歌舞伎者に扮した、
ケイさんです。


a91

これはなんと意外だなあ。
そうでもないと思うよ。


a92

ケイは万雷の拍手に迎えられて、
トロフィを授与されている。


a93

てっきりアンナの花魁が優勝すると思ってたけど。
いえいえ、今回は歌舞伎者も力作揃いで、
選考審査が大変だったのよ。
忙しさを演出する着物姿を推してたボニーが、
途中で撮影したいって抜けちゃうし。
最後は私の独断と偏見で。
番傘の色とのコーディネイトがポイント高かったわ。
あれ、裃ぬいじゃったの?
あれ動きにくいんで。
そのほうがスッキリしてていいかもね。



解説)
毎月恒例のコンテストの結果発表でした。
Posted at 20:29 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Jan 07, 2024

たまきの竜退治

a1

たまきの生成AI画像芝居が始まった。

昔々あるところに、
小さな村がありました。
村人は平和に暮らしておりました。
子供達が花摘みをしています。


a2

ところが、ある日突然、
子供達はパニックになって、
村に逃げ帰ってきました。



a3

岩山に住むドラゴンが現れたのです。


a4

私が退治しましょう。
とお城の少女剣士は言いました。


a5

私も加勢するわ。
ともう一人の少女剣士も言いました。

a6

二人はドラゴンの住む岩山に向かい、
激しい戦いが繰り広げられました。


a7

戦いは長い間続きましたが、
二人の活躍は素晴らしく。


a8

とうとう、
二人の実力を認めたドラゴンを
従わせることができたのです。


a9

少女剣士は、
ドラゴンに乗って凱旋しています。


a91

それはそれは、
凛々しい姿でした。
めでたしめでたし。


a92

これでおしまいね。
あー面白かった。
とジェニーとナオミが言っている。


a93

ところで最後の少女剣士が
乗っていた不気味な動物はなあに?
気がついた?生成画像では、
ああいうことがよくあるのよ。



解説)
今回の画像生成AIの画像は、
Seaartというサイトで制作して、
少女剣士の顔の部分を統一するなど、
少し修正しています。
Posted at 20:44 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Jan 06, 2024

新年のスナップ そのろく

a1

サラたちの部屋では、
レイが来て、
サラに着物の着付けをしてもらっていた。

アンナみてたら、
私も着物着てみたくなっちゃって。
コンテストにも参加できるし。


a2

これで、完成、
二人は先に広場に行ってるからね。
二人って?
ケイとジェットの着付けもしたの。
そうでしたか。
ありがとうございます。
あの。ブーツ履いたままでいいんですか。
これは歌舞伎者のスタイルだから、
なんでもありなの。


a3

その頃、
広場にはケイとジェットが到着していた。


a4

二人とも
歌舞伎者のスタイルのようだ。

はるなが、
わー派手だなあと言っている。


a5

ジェットはジーパンを履いたまま、
着物の裾をたくし上げて、
長いキセルを持っている。


a6

これは、江戸時代初期に流行った、
歌舞伎者のなんでもありのスタイルね。
お姉さん懐かしいでしょう。


a7

やがて着付けを済ませて、
レイも広場にやってきた。

おお、レイだ。
見違えるなあ。


a8

この着物は魔子さんから借りたのよ。
お姉さんの古着だったんだ。
どおりで江戸時代の貫禄あるわ。

御用提灯、意味不明だけど、
かっこいいですね。
とはるなが言っている。
みんなサラが選んでくれたの。


a9

コンテストは正月明けまでと
聞きましたが。
まだ大丈夫よ。
関東だと7日くらいまで松の内。


a91

ドルフィンの二階から、
広場の様子を見てアンナも降りてきた。
レイも和服きたのね。
マンゴー亭、舞ひとりで大丈夫かしら。

華やかなお正月だなあ。
とアイスは思っている。


a92

ジェニーとナオミが
広場での登録を終えて戻ると、
たまきがまだパソコンに向かっていた。

ずっと画像生成AIソフトで遊んでたのね。
すっかり夢中なのね。


a93

できた画像を組み合わせて、
紙芝居みたいな作品作ったの。


解説)
今回はまた思いつきで
着せ替え遊びです。
Posted at 20:23 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Jan 05, 2024

新年のスナップ そのご

a1

ジェニーたちの部屋では、
たまきと文学青年が留守番をしていた。


a2

文学青年は善哉を作っていた。

できたよ。
熱いうちに食べると美味しいよ。


a3

ありがとう。
やっとできたわ。
これで完成。


a4

たまきは画像生成AIの自動生成サイトで、
ドラゴンのイラストを作っていたのだった。

このドラゴン、ドラコにちょっと似てるわ。
作者のサイン入れたいけど、
文字書いてクリックしただけだからねー。


a5

わー美味しそうだね。
文学青年は器用なんだなあ。


a6

たまきも仲々プロンプトの
文才あるよ。
ジェニーもナオミもモモコも、
広場に登録に行ってるんだね。
お餅焼くのは帰ってからにしよう。


a7

その頃広場では、
夕暮れだが、まだ凧揚げをしている人もいた。
魔術劇場は、スペースを開けるため、
お正月の間、ジルの別荘に引っ越したようだ。


a8

風向きが変わったようで、
みんなは階段付近で凧をあげている。

微妙な風向きだね。
エアコンのような微風だよ。
季節を忘れますなあ。
などと言っている。


a9

はるなは、ドラコに肉まんをあげている。
ドラゴンの子供もいるんだね。
これ一度やってみたかったの。
ドラコはダーダーと言っている。


a91

ジェニーたちはコンテストの
参加登録をしていた。

お正月は着物コンテストなんですか。
そういうわけじゃないけど、
着物でもコスプレということにしたのよ。
その和服は、晴れ着というより、
仕事着のようね。
もちろん、OKだけど。


a92

これは忙しさの演出効果なんです。
いかにも忙しそうでしょう。
それは言えてるわ。
とアイスが言っている。


a93

駒井魔子と駒井今子の姉妹が
話している。

お姉さんはお正月も
巫女さんの服装なのね。
お正月は参拝客が多いから、
お稲荷さんの掃除とか、
案内とか色々あるのよ。
あなたは気楽でいいわね。
私も初詣すると
ご利益があるって宣伝してるのよ。



解説)
今回も画像生成に使用したのは
「Mage space」というサイトの
自動生成サービスでした。
Posted at 20:32 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Jan 04, 2024

新年のスナップ そのよん

b1

デジャでは、CGの境界警備隊の
メンバーが勢揃いしていた。


b2

正月休みも終わっちゃったね。
明日からまた仕事だ。

ルビーとアイスは?
二人とも店に戻ったよ。
ベーカリーはもう開店してますよ。
うちも稼ぎ時だから。
マヤも来てないね。


b3

マヤは髪の毛染めちゃって、
何かあったのかな。
あんまり話もしないんだ。
まあ、色々事情があるんだろうね。


b4

マンゴー亭でマヤに変装した
ナディアは肉まんを食べていた。
確かに母の記憶に残るわけだ。
ここの肉まん美味しい。


b5

アンジーさん、お連れのジムは?
広場で、着物姿の今子とかいう女性に
つかまっちゃって話してる。
お稲荷さんに初詣に行ったと言ったら、
すごく喜んじゃって。


b6

そういえば、いつも体操着着てる
店員さんもいませんね。
アンナはお休みして、私が代わりに
アルバイトしてるのよ。
たぶん今頃花魁姿で遊んでる。


b7

隣の広場は着物姿の人たちで
賑わっていた。

ここに椅子とテーブルがある。
お正月の間休憩所にするんですって。
赤い毛氈に座布団って、和風でいいね。


b8

そろそろ替わってよ。
とすずが言っている。


b9

圭のあげている獅子舞凧は
元気よく風にはためいている。


b91

広場の隅では、
ジムが今子と話していた。

お稲荷さんに初詣するなんて
ご殊勝な心がけですね。
きっといいことありますよ。
それはどうも。
どんなことかなあ。
例えば人に褒められるとか。



解説)
今回もあちこちと、
場面と話題が流れのままに。
Posted at 20:21 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Jan 03, 2024

新年のスナップ そのさん

a1

広場では凧あげをしている。


a2

凧は新春の空に舞っている。


a3

ヒソコも喜んでいるようだ。


a4

あんまり近づくと、
糸が絡まるよ。


a5

上手いもんだねルビー。
ところで、去年の暮れのコンテストの結果発表は?
あ、すっかり忘れてた。
みんな晴れ着を着てるから、
正月明けまで募集期間を延長して、
和服姿もコスプレ参加に含めよう。


a6

ベランダでは、
うたとキャサリンが凧を眺めていた。
屋根の上ではドラコも見ている。


a7

その横のドルフィンの二階からは、
入間ルイとアシュレイが眺めていた。


a8

奥では、
花魁姿で部屋に戻ったアンナが
ニッキーや駒井魔子と話している。


a9

だらりの帯脱いじゃうの?
これ締めてると、普通に動けないからね。


a91

花魁を見るの何百年ぶりかしら。
と駒井魔子が言っている。
18世紀の中頃には消滅したって、
ウィキペディアに書いてあったわよ。
そうなの。もうそんなに経つのね。


a92

部屋にはエトナとカメラマニアが
撮影に上がり込んでいた。

あれ何の話してるんですか?
ここだけの話だけど、
魔子さんは、実はお稲荷さんの
狐の精霊で、すごく長生きなのよ。
ふーん。
それできつねうどんやいなり寿司が
あるんですね。
このいなり寿司、うまいなあ。



解説)
今回は凧揚げシーンで
遊びました。
Posted at 20:22 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Jan 02, 2024

新年のスナップ そのに

b1

新年の広場はまだ閑散としていた。


b2

アンジーさん、ジムさん。
おめでとうございます。
お正月らしい装いですね。
写真撮ってもいいですか。
とエトナが尋ねている。


b3

近所のお稲荷さんに
初詣してきたアンジーとジムは
写真を撮ってもらった。


b4

前はその稲荷神社に住みついていて、
今はドルフィンの二階で居候している
狐姉妹の駒井今子も
二階から降りてきて
カメラマニアの観光客に
撮影してもらっている。


b5

今子はちょっと緊張している。


b6

その時、だらりの帯の
花魁姿の女性が現れた。


b7

扇を取るとなんとアンナだった。


b8

アンナはたちまちカメラに囲まれている。
素足で寒くないですか。
鍛えてますから。
それにこれは花魁の決まりごとなの。


b9

やがてドルフィン前には
修理の終わった凧を持って
はるなたちもやってきた。


b91

わー。みなさん着物姿なんですね。
お正月だから華やかで楽しいわね。
ルビーさんは?
私は特に変わらないの。



解説)
今回は着物尽くし。
アンナと今子の日本髪は
日本人形のものに挿げ替えています。
Posted at 22:18 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Jan 01, 2024

新年のスナップ

a1

年が改まった。
今日も木々は新しい光を浴びている。


a2

ジェニーたちの部屋では、
みんな集まって元旦を過ごしていた。


a3

文学青年は切り餅を焼いている。
よく膨れてるね。
火力が結構強いんだよ。
きっとそうなのね。


a4

たまきたちはパソコンで、
ネットの画像生成AIの自動生成サービスで遊んでいた。

「ドラゴンと少女」って文字を打ち込む
だけで絵ができたんだ。
あとは、マックのプレヴュー使って、
文字を入れれば。


a5

これで出来上がり。
ちょっと古風でシックな色合いだねー。
そこがいいのよ。


a6

その頃、サラたちの部屋では、
はるなとかなが来て混み合っていた。


a7

マヨネーズはどこ?


a8

出してないから、冷蔵庫にあるよ。
ところで、
このお年玉は、誰から誰に?


a9

それは、私からかなとはるなちゃんに。
凧とドラゴンの置物修理したから、
ドルフィンからちょっとお駄賃貰ったのよ。

サラは着物の着付けをして
いたのだった。


a91

着付けが済んだら、
晴れ着姿で凧をドルフィンまで届けてね。
はーい。
今年もよろしくお願いしまーす。
はるなどっち見て言ってるの。



解説)
画像生成に使用したのは
「Mage space」というサイトの
自動生成サービスでした。
Posted at 20:29 in n/a | WriteBacks (0) | Edit
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