Mar 24, 2024

春の誘い

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ペンギンでは
ジェニーたちの部屋から来た
オリーブ、奈々子、エリカ、
探偵事務所に泊まった
ミルフィーユとアベルが
コーヒーを飲んでいた。

昨夜は日本酒飲み過ぎちゃって。
歌い過ぎで喉が。
などと話している。


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ジェニーフレンドの皆さんは
いつも楽しそうだなあ。
と、はるなは思っている。
その時、物音と声が。


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ペンギンの隣の家の戸口から
男女が現れたのだった。
ベンチに座っていたバグが、
思わず席を立って挨拶している。


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これは局長。
突然のお越しですか。
言ってくださればお供しましたのに。
地下通路は去年も通って来たから、
道順はよくわかってるの。一本道ですしね。

それにサルバドール。
男性は照れくさそうにしている。


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あなた、迷いの森に迷い込んだ
トマソンっていう人に、
地下通路のことを教えたっていうじゃない?
それは重大な規則違反よ。
とミラが言った。
はい。いけないこととは知りながら、
もとの世界に戻りたいっていうので、
つい願いを叶えてあげたくなってしまったんですよ。
それで、夢魔のあなたがなぜ
戻ってきたの。


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はるなが注文されたコーヒーを出した後も
4人の話は続いていた。

私は森に迷い込んだトマソンさんと知り合って、
彼の精神世界にただならぬ芸術的才能を見出したのです。
そこで彼の心に。
夢魔として憑依したっていうわけね。

それが私の定めでもある使命なのです。
ところが、彼が望むものは6倍スケールのオブジェの創作。
そこで私は彼の見る夢を、迷いの森からも通じている、
既存の特異な異世界に導いたわけです。
しかし、ご存知のように夢魔としての私は
孤独な芸術家のごく個人的な夢の形象をコントロールするもの。
彼をその異世界に導いて創作を促すことはできても、
その世界に直接入り込んで観察することができないのです。
でもどうしても彼の生んだ作品の現物を見たくなりましてね。

それで地下通路を通って
この町にやってきたというわけね。
ところが、隠しごとはできないもので、
ちょうど休暇でこの町に向かう途中の局長と、
通路の中でばったり出会ってしまいまして。


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サルバドールが管理局の
職員専用の秘密通路を使うという
禁を破ったのは確かだけど、
事情を聞けばわからないわけじゃない。
それで今回は大目に見ることにしたの。
話を聞けば、この町のことをよく知ってるし、
サラとも知り合いだというんで、
盛り上がっちゃって。
と局長は言った。

いつもは時に人を破滅させるような夢魔は
嫌いだって言ってるのに、
局長は相変わらず甘いなあ。
とミラは思っている。


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局長、その髪の飾りはなんですか?
とバグが訊いている。


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ああ。
これは草冠というものよ。
野原で眠っている花々を
目覚めさせる仕事の合間に作ったの。
サラへのお土産。
と局長はいった。



解説)
なんとなく
新しいエピソードが始まったようです。

二人の過去のこと。
かって局長が休暇をとって町に遊びに来たのは、
2023年3月25日「局長の休暇」から、
2023年4月3日「再会と局長の帰還」までのことです。
サルバドールが最初に登場したのは、
2023年4月20日「メルティの夢の部屋 そのに」で、
その後、町の住民たちと交流したのち、
2023年5月11日「広場にて そのよん」で
迷いの森に去って行きました。
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