Jan 22, 2025

宇宙ステーションへ

a1

あそこって、
もしかして転送装置で行くの?
そうなの。
ちょっとした酒場なんだけど、
宇宙ステーションの中にあるのよ。


a2

私と同じように
この上に乗ってね。
と言い終わると、カコの姿は消えていった。


a3

サラは言われた通り、
発光しているプレートの上に乗ってみた。


a4

ふっと一瞬意識が途切れ、
気がつくとそこは。


a5

無事に転送できたようね。
まっすぐ歩いてこっちに来て。
とカコが呼んでいる。


a6

ここはステーションの下層の隅っこの方だから
ちょっと歩くわよ。とカコが言っている。


a7

随分大きな宇宙ステーションなのね。
元はレプテュリアンの母船だったんだけど、
今では宇宙連合が改造して使っているからね。
彼らの古い転送装置があるのは昔の名残。
宇宙連合って?
あなたたちの星だと国連とかそういう感じかしら。
銀河系宇宙の様々な惑星文明の連合体。
あ、姉の勤めている管理局とは全く別組織よ。
あれはあれで結構厄介なの。


a8

この向こうはどうなってるのかしら。
そこのボタンに触ってみて。


a9

サラがボタンに触れると
白っぱく発光していた窓の
向こうの視界が開けた。

なんか人がテレビ見てるみたい。
そこは制御室のひとつね。
会話中なのよ。


a91

あの突き当たりのドアの向こうが
宇宙酒場。
通称エデンって呼ばれてる。


a92

カコがドアの前に立つと
センサーが稼働して、
音もなくドアが開いた。


a93

やあカコさん
いらっしゃい。
という声がした。



解説)
続きます。
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Jan 21, 2025

ホテルへの帰路

a1

サラは自分の部屋からカコたちのいる
ペンギン前に戻った。


a2

おかげで姉と久しぶりにゆっくり話ができたわ。
これからどうしましょう?
来る時に通りがかった広場を見物してみたいな。


a3

二人は広場に戻った。


a4

カコは大道芸人たちの歌と演奏を聴いている。
カコさんたちの住む星にも音楽はあるんですか。
あるわよ。音楽や詩は多くの文明で共通しているの。


a5

二人はマンゴー亭で休憩することにした。


a6

このお店の食べ物のことは、
リザードからも聞いていたわ。
確かに癖になりそうな味ね。


a7

そうでしょ。

うちの肉まん目当てに
広場に通ってくる観光客もいるんですよ。
とレイが言っている。


a8

やがて二人はアフリカに戻ってきた。

これお土産です。
と言っている。


a9

サラには、すごくお世話になっちゃったわね。
お礼に何かしたいんだけど。
お礼なんて。

私の気がすまないの。
そうだ。あそこで一杯飲みましょう。
あそこって?



解説)
続きます。
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Jan 20, 2025

ボスの胸像

a1

カコとミラの話は弾んでいた。
この星に管理局の本部があるって、
レプテュリアンたちは知ってるの?
当然知ってるでしょうけど、特に付き合いはないのよ。
この星の生物種と異星人の交流には基本的に管理局は関与しない。
他にやることがたくさんあって、
そういう細かい話はパス。
私たちがここに引っ越してきたのは、
2023年の初頭のことだけど、
至って平和なものだね。
とバグが言った。


a2

私たちは特に人間たちとも親密に交流もしないし、
ここで時の推移を見守っているだけ。
それでも今ちょっと注目しているのはこの星の魔族の魔法。
魔術師が増えたり、近年だんだん派手になってきているの。
面白そうだねー。

a3

あ、お話中悪いけど
私お客さんが部屋に来て待ってるらしいので、
一旦部屋に帰ります。
とサラが言った。あとでまた戻って来ますよ。


a4

サラが部屋に戻ると、
コート姿の男性がいた。
あ、この人は政府高官のSPだった人では?


a5

やあサラさん。
うちのボスが今度退任するので、
記念に胸像を作ることになりまして、
工作のお得意なサラさんに依頼に来たんですが。

お留守だったので待っていたところなんですが、
そこの奥の女性があっという間に作ってくれたんですよ。


a6

ああ、サラ。
この人急いでいたみたいなので、
魔法を使って作ってあげたの。
とフミコが言った。


a7

テーブルの上には、
町の広場を何度か訪れたことのある、
元政府高官の胸像があった。


a8

流石にそっくりにできたのね。
とサラが言っている。
ありがとうございました。
今日は新大統領の就任式があるので、
対抗してご自宅の庭で
この胸像の除幕式をされるそうです。
急がないと。


a9

そういうと元SPの男性は
胸像を抱えて立ち去っていった。



解説)
続きます。
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Jan 19, 2025

姉妹の再会

a1

広場では平穏な日々が続いていた。


a2

ルルが植木鉢を並べて水をやっている。

ここのスペース、
魔術劇場が戻ってくるんじゃないですか。
その時はその時。
ここ殺風景だからね。


a3

佳奈は和服を着替えて
新そうなセーターを着込んでいる。
そのベレーは?
かっこいいでしょう。
倉庫にあったんです。


a4

サラとカコは鏡の扉を通って
デジャに現れた。

あらサラ。
もうホテルから戻ったの?
ハリーたちは元気だった?
そのお連れの方はどなた?

質問は一つづつ。
ご両親はお元気でしたよ。
こちらはカコ。
遠い世界から観光でみえたの。
あ、この人はヴィヴィアンと言って、
ハリーご夫妻の娘さんよ。

どうぞよろしく。


a5

二人はデジャを出て、広場を横切って
喫茶ペンギンに向かっている。


a6

サラさん。
と舞が声をかけた。
男の人がサラさんを探していましたよ。
なんか彫像の制作を頼みたいって言ってました。
サラさんたちの部屋の場所を教えてあげたんですが。
ありがと。
あとで部屋に帰ってみるわ。


a7

二人は高台の休憩所を通過している。

起伏があって風光明媚なところね。
そう見える?


a8

二人は喫茶ペンギン前の空き地に到着した。
いつものことで、
屋外のテーブル席でバグとミラが
お茶を飲んでいた。


a9

あら、カコじゃないの。
こんなところに現れるなんて。
何年振りの再会かしら。
とミラが言っている。


a91

忘れちゃったけど随分になるはずね。
お姉さんが管理局に就職してから、
ずっと会ってなかったから。
お姉さんがどんな環境で働いてるのか知りたくて、
この星に来てみたんだけど、
ホテルでここにいるサラと知り合って、
お姉さんのことを知ってるっていうんで、
連れてきてもらったの。


a92

ふーん。観光旅行のついでか。
いいわねー。私はここの元倉庫に住んで、
管理局の本部に勤めてるのよ。
毎日じゃないんだけど。

いつもここでお二人でお茶飲んでますよね。
とサラが言った。

そう見えるでしょ。
大抵そうなのよ。


a93

それにしても、管理局は
どうしてこの星に本部を構えたのかしら。
銀河系の中心部から3万光年も離れた辺境でしょう。
この星の生物種の文明も
特別に高度っていうほどじゃないみたいだし。

位置も距離も文明の程度もあまり関係ないのよ。
管理局のある領域は厳密にはこの宇宙とも別世界。
多種多様な異世界との交差点のような空間にある。
本部をこの銀河系宇宙のどこに置くかは
ほとんど局長の趣味なんじゃないかな。
あああの人ね。天使族の。
お姉さんをスカウトしにきた時、
一度会っただけだけど、あの時私も勧誘されたのよ。
ふーんそうだったの。
基本私たちって顔だけじゃなくて
考え方も似てるからね。
そーなのかなー。
などと二人の会話は続いていた。



解説)
続きます。
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Jan 18, 2025

ホテルでの会合

a1

サラたちがハリーたちの部屋に行くと、
フラハが何やら話していた。
サラがカコとルースを紹介し終わると、
フラハが再び口を開いた。


a2

さて、いまの話の続きだが。
私がこの土地にやってきて
先住部族の長老から、やがてやってくる精霊の
出現を待つようにと言われて、
この土地を譲り受けたというところまで話したね。
空き地にあるあの岩はその頃からあったんだ。
変わった形をしたすごく目立つ岩だろう。
元々先住民の祭祀に使われていたらしいが、
そんな言い伝えだけが残っているような状態だった。
出現したというプレートは、ここに来る前に
シーザーと確認してきたが、確かに
私もみたことがないものだったね。


a3

どうやらみなさん、
あの転送装置のことで、お騒がせしているようですね。
とルースが言った。
実は、あの岩にプレート部分を出現させたのは私たちです。
昨晩、この星に来るのに使ったんですよ。
あの岩全体が転送装置になっているんです。

装置があの場所に設置されたのははるか昔のこと。
この星の魔族の住む都が栄えて、
レプテュリアンと交流があった頃のことだと聞いています。
その頃には他の天体からの訪問者も多く、
ああした転送装置があちこちに作られていたのですよ。
そのほとんどは破棄されたり、その存在さえ
忘れ去られてしまったようですが。


a4

ふむ。今のご説明でプレートが出現した理由がわかりました。
ところで転送装置とおっしゃいましたが、
あなた方は、その装置でどこか別の場所から移動してこられた。
それは、われわれ魔族が魔法で出現させることのできる
鏡の扉によく似ているようですな。


a5

確かに似てるわね。
あの転送装置は、レプテュリアンたちが作ったもので、
その頃彼らと交流があったあなたたち魔族の使っていた魔法から
転送の原理のヒントを得た可能性はあるわ。
ただあれはレプテュリアンの転送装置としては大昔のもので、
あの巨大な岩全体の内部が精密機械になっているの。
今ではもっとコンパクトなものが使われている。

呪力だけで生み出せる鏡の扉に
近づいていると言うことですかな。

そんなふうにも言えるわね。
ただし、広大な宇宙には無数の異なる文明があって、
その中には生物進化の果てに生まれた
想像を絶するような高度な精神文明も含まれます。
精神ということでいえば、あなたたち魔族の持つ呪力もそう。
レプテュリアンたちの一部はまだその秘密を知りたがっている。
でもご自分たちの尺度だけで世界を押しはかるのは危険ですよ。
ご自身にとって危険というだけですが。

カコさん!
いま思い出したんだけど、
あなたって、顔立ちが管理局に勤める
ミラっていう人にそっくりね。
おっしゃってることも、壮大なようで、
さりげなくアドバイスするところは局長にも似てる。
とサラが言った。

あら。
ミラや管理局の局長を知ってるの?

ええ、特に局長とは仲良しよ。
去年は草冠をプレゼントしてもらったし。

ふーん。ミラは私の姉なの。
姉が管理局にスカウトされて随分になるけど、
どんな環境に派遣されてるのか
ずっと興味があってね。
ルースがこの星の鶏のことを調べたいっていうので、
便乗してきたのよ。


a6

お二人とも宇宙から来られたんですね。
転送装置で来られたって驚きですけど、
転送装置のすぐ近くにこのホテルができたって、
ご存知だったんですか。

ええ。
一応この星にずっと住み込んでるのはレプテュリアンたちで、
私たちとは友好関係にあるの。過去の内紛の結果、
彼らはこの星の人間や魔族との直接的な接触を
自分たちには禁じているけど、それは建前ね。
ご存知だと思うけれど、彼らは透明なマントを着て、
あなたたちをよく観察してるし、接触している人もいる。
この星にルースの顔立ちに似た鳥がいるっていう情報も
そんなレプテュリアンから聞いたのよ。
ホテルができたことも
リザードっていうレプテュリアンから聞いたの。
とカコが言った。

リザードって、あの人だね。
と一同が言った。

みなさん、リザードも知ってるの?
知能の高い類人猿や魔法生物がやっているホテルだから、
歓迎して泊めてくれるだろうって言ってたわ。


a7

なるほどねー。
リザードがずっとホテルのことを観察してたなら、
犬猫猿鳥同盟が招待券風割引券を送って、
ハリーさんたちや私がホテルに泊まりにくることも
知っていたのかもしれない。
そこにカコさんとルースさんが泊まりに来たら、
当然私たちは出会うことになる。。。
リザードはどこまで予想してたのかな?

サラ、考えすぎじゃない?
あなたがホテルに泊まりに来たのはたまたまでしょ。
私たちもそうよ。誘ってもヴィヴィアンは来なかったし。
とカーミラが言った。


a8

やがて会合が終わった。
ルースはフンボルトに勧誘されている。

犬猫猿鳥同盟に入りませんか。
宿泊料金無料の特典が付きますよ。
それって何する団体?
時々集まってお茶を飲む会です。


カコ、あなたはこれからどうするの?
よかったらミラのところに案内するわよ。
そうねえ。
姉に内緒で来て、
環境の様子だけ見て帰るつもりだったので、
姉がどこに住んでるかも調べていなかった。
サラが、姉を知ってるとなると、
会ってみてもいいかな。


a9

サラは、とりあえずコートやマフラーを羽織って、
カコをミラのもとに案内することにした。
二人は鏡の扉のあるフラハの家に
やってきた。

やあ、先ほどはどうも。
あの鶏みたいな顔の人は一緒じゃないのかい?
ルースは、自分によく似た魔法生物たちに
興味を持ったみたいで、ホテルに残るって。
人間たちの町に行くことも気にしてたみたい。

あの町の広場界隈なら、
一年中なんでもありのコスプレコンテストやってるから、
変わった顔してても誰も気にしないのに。
ふーん。楽しそうなところね。
じゃ行きますか。



解説)
続きます。
Posted at 20:23 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Jan 17, 2025

調査の結果

a1

サラたちは
フラハの家の前を通過して、
マークの集落にある
豹変亭を目指している。


a2

メインストリートにさしかかった。
もうこの先よ。


a3

豹変亭に到着した。
だれかいませんかー。


a4

店主のローズが出てきて、
サラから事情を聞いて、
ルースに鶏を見せてくれた。

毎朝卵を探すのが大変だけど、
それがけっこう楽しいのよ。
と言っている。


a5

ルースは真剣な面持ちで
雄鶏を手にして食い入るように見つめている。
様々な思念を投射しているようだ。

あまりの真剣さに、
ローズから、よろしければ
その雄鶏差し上げますよ。
と言われている。


a6

調査結果はどうでした?
残念ながら、頭部の見かけは
私とそっくりですが、
これはという構造的な
類縁関係は見つかりませんでした。

構造的な類縁関係ですか?


a7

サラさん。
もうお気付きかと思いますが、
私もルースも別々の星から来たのです。

ルースの住む星では、
みんなルースのような外見をしています。
この星に、ルースたちと頭部がそっくりな、
鶏と呼ばれる鳥類の生物種がいると聞いて、
はるばる調べにきたと言うわけ。

そーだったんですか。

残念だけど、別々の星で進化を遂げた生物種の
外見だけがよく似ると言うのは、よくあることね。
私が生まれ育ったのも
この星からはるか遠いところですが、
この宇宙ではヒト型生物に分類されて、
外見はあなたたちとそっくり。

そーなんですね。
そういえばレプテュリアンの人たちも
顔は爬虫類のトカゲそっくりですねー。


a8

一行はホテルに戻ることにした。

あの雄鶏どうしたんですか。
結局お店にお返ししました。
あそこにいた方が幸せだろうし。


a9

ホテル前に着くと、
シーザーと出会った。
フラハが来て、
ハリーたちと話し合っている最中だという。



解説)
続きます。
Posted at 20:21 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Jan 16, 2025

訪問客と話す

a1

一晩で円形の床みたいなものが出現するなんて、
誰かが魔法でも使ったのかしら。
とカーミラが言った。
ふむ。その可能性はあるな。
大きな岩の地下に埋まっていた部分が、
隆起したようにも見えるわね。

この岩のことなら、
フラハさんがご存知かもしれません。
とシーザーが言った。


a2

あれこれ考えてたら
お腹が空いちゃった。
とりあえずホテルに戻って
朝ごはん食べましょう。
ドルチェのチョコパフが美味しいのよ。
ダリオさんから仕入れたんですよ。
サラさんもいかがです?
私は外食するつもり。


a3

フラハに報告に行くというシーザーと別れて、
一行はホテルに戻った。


a4

朝食を摂るというハリー夫妻と別れて
サラがロビーに行くと、
朝方見かけた二人連れがいたので
サラは思い切って声をかけてみた。

こんにちわ。
私はサラと言います。
いいお天気ですね。
こちらへは観光ですか?


a5

観光?ああそうね。
私はカコっていうの。
よろしくね。
と女性は帽子をとって挨拶した。


a6

サングラスを外したその顔は
誰かによく似ている気がしたが、
サラは誰だったか咄嗟に思い出せなかった。


a7

僕はルース。
僕も観光みたいなものだけど、
ちょっと調べたいことがあって
ここに来たんです。
と鶏顔の男性は言った。


a8

調査ですか。
私も昨日から観光で来てるんですけど、
今日の予定は特にないの。
何かお手伝いできれば。

それはありがたい。
ここには鳥という動物種がいるそうですね。
僕の顔によく似た鳥を知りませんか。
鶏と呼ばれているそうです。
その鳥を調査したいんです。

変な調査だと思われるかもしれませんが、
ルースにとっては結構大事なことなの。


a9

サラはルースの調査を手伝うことにした。
早速別棟にクロを訪ねて、
話を聞いている。

この辺で鶏を飼っている家ねー。
そうそう、卵を取るために豹変亭で
放し飼いにしていたはずよ。



解説)
続きます。
Posted at 20:30 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Jan 15, 2025

空き地の散歩

a1

予約してないんだけど、
お部屋空いてるかしら?
はい。すぐにご用意できます。
ご希望は?
特にないのよ。


a2

リンリンが部屋に案内していった。


a3

今の人、フンボルトさんのお知り合い?
いえ。
あ、散歩に出るから、キーを預かってね。
承知しました。


a4

アフリカの空は綺麗だなあ。
とサラが空を見上げていると、
シーザーがやってきた。


a5

サラさん、今日はどちらへ。
特に決めてないの。
あ、さっきロビーから見てたら、
ホテルの裏に空き地があるのね。
ジャングル地域なのに珍しいでしょう。
行ってみますか?


a6

こっちから行くんですよ。
設定が細かいのね。


a7

この空き地は、
ずっと昔に原住民が開墾したんだって
フラハさんから聞きました。
ふーん。あれはなんだろ。
この辺りでは珍しい巨石ですよ。
大昔からあったって聞いてます。


a8

あら、ハリーさんたちだ。
朝のお散歩のようですね。


a9

おはようございます。
やあサラ。
毎朝このあたりを散歩するんだが、
今朝は不思議なものを見つけてね。
この石造りの基盤のようなものは、
昨日まで、なかったはずなんだが。

ほんとだ。僕も初めてみます。
とシーザーが言っている。




解説)
続きます。
Posted at 20:22 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Jan 14, 2025

ホテルの朝

a1

サラはシャワーを浴びて涼んでいる。


a2

ガラス戸閉めなくちゃ、
と思いながら、眠気に襲われて
サラはすとんと眠り込んでしまった。


a3

早めに眠りについたせいか、
サラは早朝に目覚めた。

綺麗な朝焼け。
どこかで鳥がハヨーハヨーと鳴いている。


a4

シャワーを浴びてシャキッとする。


a5

サラは着替えを済ませた。
今日は何しようかな。


a6

おはようございます。
よくお休みになれましたか。
おはよ。
快適だったわ。


a7

サラはロビーを見て回っている。
ホテルの裏手の一画には空き地が広がっていた。
よく見ると、ドビーとトラが
何か作業しているようだ。


a8

サラさん。おはようございます。
おはよ。
ここからはわりと見通しがいいのね。
周りはすぐジャングルなんですけどね。
あそこにドビーとトラがいるでしょう。
空き地を利用して畑を作っているんです。
朝早くから働きものなのね。


a9

そのとき、
ホテルを二人連れの客が訪ねてきた。

いらっしゃいませ。
とフンボルトが言っている。



解説)
続きます。
Posted at 20:25 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Jan 13, 2025

滝を見て帰る

a1

涼しくていいところね。
前に来た時、
佳奈はこの淵で泳いだんだよ。
あの子らしいわ。


a2

あ、あれは何?
ジャングルでは
たまに見かけるんだ。


a3

しばらく休憩した後、
3人は滝を後にした。

泳がなかったんですね。
水着持ってこなかったからね。


a4

診療所の前を通りかかった時、
ちょうど家の前にアーネストが
葉巻を喫いに出ていた。

おや、珍しいね。
滝見物かい、と声をかけられている。


a5

挨拶が交わされ、
アーネストはサラたちを
部屋に招き入れた。

なるほど、サラさんは、
あのホテルにお泊まりですか。
そういえば数日前に
やはりホテルに宿泊中だという
カップルと知り合ったよ。
名前はなんと言ったかな。
とアーネストが言っている。


a6

アーネストはビールと
簡単な手料理でもてなしてくれた。
美味しそう。
それ何のお肉ですか?


a7

サラが集落でダリオやマークと別れ、
ホテル前に帰り着いたのは
夕暮れ時だった。


a8

サラさん、お帰りなさい。
お散歩はいかがでした?
とフンボルトに言われている。

渓流に滝を見に行ったのよ。
それはそれは。


a9

サラがジャングルの夕映を眺めながら、
部屋でくつろいでいると、
リンリンが紅茶を運んできてくれた。
思わず話が弾んでいる。


滝を見に行かれたんですって?
いいところでしょう。
ええ。
でもちょっと驚いたことがあった。
滝の上の空を円盤みたいなものが
飛んでいるのが見えたの。

ああ、あそこではよく見かけるんですよ。
実はあの滝のさらに上流の台地には、
薬草の群生地やリクガメの生息地があって、
カメ好きのレプティリアンが
円盤に乗ってよく飛来するんです。
あ、サラさん、レプティリアンってご存知ですか。

知ってるわ。
フミコのお友達でしょう。
私たちの部屋にもフミコに会いに来たことがある。

そうでしたか。円盤は彼らの乗り物なんですよ。
あ、夕食はどうされますか?
アーネストさんにご馳走になったから、
お腹は空いてないの。
さすがにちょっと歩いて疲れたから、
シャワーでも浴びて眠るわ。

了解しました。
あ、用心のためにガラス戸は閉めて
お休みになった方がいいですよ。
そうね。



解説)
続きます。
Posted at 20:24 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Jan 12, 2025

滝へ行く

a1

ダリオさんはどこにお住まいなの?
僕の家はここから、かなり離れた山の麓にあります。
徒歩だと半日くらいかかりますよ。
でも、アイスが家に鏡の扉を作ってくれたおかげで、
今では魔術劇場経由で簡単に行き来できるんです。

ふーん。アイスともお知り合いなのね。
みんなとどうやって知り合ったのかしら。
話せば長いんですがお話しましょう。

元々私は別世界に住む魔術師で、
魔法の扉を使ってこの世界に移り住んできたんですが、
人里離れたジャングルの奥地に家を建てて
一人で暮らしていたんです。
それが去年の夏の嵐の夜に、
マークと佳奈とジョーとエルザが、
私の家に避難してきたのが出会いのきっかけでした。
話を聞くと佳奈たちも魔法の扉を使って
マークの住む村に来たという。
この世界にも魔族がいるらしいことを知って、
興味を持った私がマークの住むこの村を訪ねて、
さらにあなたたちの暮らす町まで案内され、
アイスやモモコや魔子さんはじめ、
ハリー一家や魔族の方達を紹介されたというわけです。
もちろんサラさんのお宅にも伺って、
お世話になったのはご存知の通り。
なるほどね。


a2

その時、店にマークがやってきた。

やあダリオ。そちらはもしかしてサラさん?
そうだよ。こちらはマーク。
二人は初対面だったの?

多分ね。さっきフラハの家に寄ったら、
サラっていう人がホテルに来てるって言ってたから。
とマークは言った。


a3

マークさんって、この集落を開拓した方ね。
お噂はアイスや佳奈から沢山聞いてましたけど。

僕もお噂はかねがね。観光ですか。
ええ。
何もない村ですけど、
近場であまり危険じゃない場所なら、
滝が見どころかな。
これから行ってみますか。


a4

3人は滝を目指すことにした。

僕は元々この村の住民じゃないし、
その滝に行くのは初めてだよ。
とダリオが言った。

これまで観光で来る人なんて
ほとんどいなかったからね。
これから行く滝はね、
前に佳奈たちも案内したんだ。


a5

ここは渓流沿いのお宅なのね。
アーネストっていうお医者さんの
自宅兼診療所なんだよ。
この渓流に沿っていくんだ。


a6

マークが先導していく。
滑りやすいから気をつけて。


a7

なぜか初めて見る景色という気がしないわ。
使い回しじゃないの?
え。何か言った?


a8

もうこの先だよ。
とマークが言っている。


a9

サラたちが段差を登り切ると、
一筋の白い水流が音を立てて
滝壺に流れ落ちている様子が見えた。



解説)
続きます。
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Jan 11, 2025

集落への散歩

a1

散歩してきたばかりのハリーたちに
負担をかけまいと、
サラは夫妻と別れてきたものの、
この辺のことはわからない。

とりあえずフロントにルームキーを預けて
出かけよう。
良い一日を。と言われている。


a2

ホテルを出ると、
ちょうど森から帰ってきたらしいシーザーと
ダリオに出会った。

二人とも去年のハロウィンの時に、
サラたちの部屋を訪れ、
シーザーには猿の惑星の着付けを、
ダリオにはアフリカの民族衣装の着付けをしたので、
サラとは顔見知りだった。


a3

サラさん、泊まりに来てくださったんですね。
そうなの。ホテルは順調みたいね。
これから散歩に行くんだけど、
このへんのこと全く知らないの。

ここはマークの集落の外れですからね。
集落までちょっとだけ離れていますよ。

ジャングルに迷い込むと危険です。
よかったら僕が集落まで案内しましょう。
とダリオが言った。


a4

良い1日を。
とシーザーが叫んでいる。

助かるわ。
ところで、ダリオさんはどうしてホテルへ?
ホテルに食品を卸すアルバイトを始めたんです。
ふーん。逞しいのね。
食品は向こうの世界から借りてくるんですよ。
それってずるくない?


a5

ここは知ってる。ホテルに来る時通ったわ。
フラハの家に抜ける道です。
道に見えないけど。


a6

フラハの家の前にでた。
会うと足止めされそうな予感がするから、
通り過ぎましょう。


a7

ここからは平坦な道が続きます。
集落の中心部までちょっとあるのね。


a8

いよいよ中心部ね。
この道がメインストリートです。


a9

ここはレストラン?
豹変亭っていう飲み屋を兼ねた食堂ですよ。


a91

一応集落に来る目的を達成したので、
二人は休憩していくことにした。

店の奥から出てきたアンドレアが、
いらっしゃいませー。
と言っている。



解説)
続きます。

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Jan 10, 2025

ホテル・ナジャで

a1

サラは着替えを済ませた。


a2

ガラス戸を開けると、
程よい熱気と風が吹き込んできた。


a3

リンリンが紅茶を運んできてくれた。
ありがと。
ハリー夫妻がお戻りになったようですよ。


a4

サラは挨拶をしに、
フロントまで出て行った。

やあサラ。
今年もよろしくね。
と言われている。


a5

散歩から帰ってきて
一休みしようと思ってたところだ。
もしよかったら僕らの部屋に来ないか。


a6

どの部屋も似た感じみたいだけど、
このテラスからは結構眺めがいいだろう。


a7

私は去年一度アイスとフミコと一緒に、
出来上がったばかりのこのホテルに
来たことがあるんですけど、
その時は山上のストーンサークルから直接魔法で来て、
ホテルを見学してすぐに帰ったので、
このあたりのことは全然知らないんです。

私たちも似たようなものよ。
去年、フミコに招待されて高台の遺跡を訪れ、
近くの山頂にあるというストーンサークルを訪れただけ。
ホテルやマークの集落のあるこのあたりには
初めて来たの。

暮れからずっとホテルに逗留して毎日散歩してるから、
少しづつ様子がわかってきたけどね。
ジャングルの中はとても無理だけど、
マークの集落だったら案内してあげられるよ。
集落の住民たちとも結構知り合いになれたし。
とハリーが言った。

ありがとうございます。
でもちょっとこれから一人でうろついてみます。
成果は明日にでも。

そう言ってサラは席を辞したのだった。



解説)
続きます。
Posted at 20:22 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Jan 09, 2025

ホテル・ナジャへ

a1

サラは鏡の扉を抜けて、
フラハの家の裏庭に出た。
ここには去年の秋に一度来たことがある。
訪問者の気配に気付いたフラハが
早速室内から姿を現した。

やあサラ。
君もホテルへ?


a2

サラは招待券が送られてきたことをフラハに話している。
そうなんだよ。犬猫同盟の連中が考えたんだ。
あれはよく見ると招待券じゃなくて
宿泊料金の割引券なんだけど、
勘違いする人もいるだろうね。

やっぱりそれが狙いなのね。
でもほとんどタダ同然の格安料金よ。
犬猫同盟の連中はホテルの隣の別棟に住んで
畑作ったりして自給自足してるから、
ホテル業は趣味みたいなものなんだよ。
基本魔法生物の彼らはきっと人と交流したいんだね。
犬猫同盟って、もっと長い名前じゃなかったかしら。
ああ、正式の名称は犬猫猿鳥同盟だったっけ。
長いから略したんだ。
あ、道順はわかるかな。
ええ、ここからすぐ近くでしょ。
去年の秋に見に行ったから。


a3

サラは記憶を辿ってホテルに向かった。
近いとはいえジャングルを抜ける。


a4

見覚えのあるゲートだ。


a5

そうそう。確かこの奥。


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ホテルはこの突き当たりの建物。
サラの姿に気がついたリンリンが
手を振っている。


a7

去年様子を見に来た時と同じで
ホテルのフロントには
フンボルトが座っていた。

お泊まりですか。
あ、招待券風割引券をお持ちのようですね。
お部屋のご希望はありますか。
じゃあ、去年アイスたちと来た時、
見学させてもらったお部屋がいいわ。
とサラが言った。

僕がお部屋までご案内します。
とリンリンが言った。


a8

嬉しいなあ。サラさんが宿泊客第2号です。
ハリー夫妻が泊まってるって聞いたけど。
ええ。去年の暮れからずっと逗留されています。
今はお散歩にお出かけです。

みんな元気なの?
元気ですよ。シーザーは森に。
ドビーやトラは
近くの畑に出ています。
クロは厨房に。
僕は客室係です。
何かあれば呼んでください。


a9

リンリンが部屋を出ていくと
サラはドラス戸に近寄って、
ジャングルの景色を眺めた。

外は夏の日差しね。
室内は冷房が効いて快適だけど、
着替えて風を入れよう。



解説)
続きます。
Posted at 20:27 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Jan 08, 2025

ちょっと動き始める そのに

a1

サラは大道芸人たちの歌を聴いている。

倖せ~ それは~ああ~
そこにいたこと~🎵

なんか懐かしい歌だわ。


a2

あ、サラ。リズの記念写真撮るんで、
悪いけどそこちょっと移動してくれない。
とボニーに声をかけられた。


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初七日すぎたし、そろそろ、
門松片付けちゃうそうなので。
急いで撮らないと。


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はいチーズ。


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サラはアイスに声をかけてみた。
ホテルねー。
ちょうど本部の少佐に呼ばれてるの。
残念だけど、また今度にするわ。


a6

サラは、いつもバー・デジャの
ガードマンをしているヨシフに
声をかけている。

あ、サラさん。
おめでとうございます。
どうぞお通りください。


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サラはデジャの常連客のアンジーや
バーテンのジョニーと
年始の挨拶を交わしている。
確か店の奥に
魔術劇場へ通じる鏡の扉があるはず。


a8

あらサラ。今年もよろしくね。
とヴィヴィアンが言った。
その格好、ホテル・ナジャに行くんでしょ。
私たちにも招待券という名前の割引券が送られてきて、
両親が泊まりに行ってるわ。
私はパス。どうも親子一緒だと、
気を使っちゃうから。
ドアはそこの隅よ。


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サラが鏡の扉を抜けると、
魔術劇場の室内だった。
尼僧姿のデュアンが切り花の手入れをしていた。

あ、サラさん。ハリーご夫妻は
アフリカのホテルに行ってらしてお留守なんです。
もしサラさんも、ホテルに行かれるのでしたら、
そこの扉です。フラハさんの家の裏庭に通じていますよ。



解説)
続きます。
Posted at 20:29 in n/a | WriteBacks (0) | Edit
January 2025
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