Jun 30, 2025
コンテストの参加登録

サラたちは町の広場に、
コスプレコンテストの参加登録にやってきた。

サラはエトナに
お久しぶりーと声をかけられている。
ここは変わらないわね。
サラの行ってる世界は、
変わってるの?
このひと月、
アイスやヴィヴァアンが探検して、
島やら雪山やら精霊の国やら、
新しい場所の発見が続いているのよ。

ルビーこんにちわ。
今月も月末になっちゃったけど、
コンテストの参加登録に来たの。
私のお友達のディアナとシビルよ。
それは助かるなあ。
今月も新規の参加者はゼロだったのよ。
優勝候補が二名ね。
とルビーが言った。

よろしくお願いします。
私人間じゃなくて精霊なんですけど、
いいんでしょうか。
とディアナが言った。
精霊でも夢食いでも妖怪でも全然OKよ。
先月も先々月も優勝は、
夢食いの女性だったわ。えーっと。
シーラにみすずよ。
とサラが言った。
そうそう。
サラの友達多すぎて、
名前覚えきれないなあ。

あ、マンスフィールドさん。
ちょっとお伺いしたいんですけど。
何かしら?
マンスフィールドさんは、
美術品や絵画のコレクターでしたよね。
お知り合いに、フクロウの置物の
コレクションを持ってる人って
ご存知ないですか。
フクロウの置物のコレクションねえ。。。
あ、そういえば、私が持ってるけど。
えええ。
コレクターの友人から譲ってもらったのよ。
置き場に困ってるからって。
郊外に借りた倉庫に保管してあるわ。
興味があるならご覧に入れてもいいけど、
倉庫までは結構遠いの。
それに今日は月末でこれから
コンテストの審査会があるから、
明日のコンテストの
結果の発表後にでもどうかしら。
よろしくお願いします。

ということですって。
とりあえず、二人の登録は済ませたから、
肉まんでも食べに行きましょう。
すぐそこの店よ。

3人はマンゴー亭で、
先に来ていたジョー軍曹と相席になった。
さっそく肉まんをぱくついている。

シビルが、
この味、命が蘇る感じがする。
と言っている。
さて、コンテストの優勝者発表は明日ね。
一旦、みすずの家に戻ってもいいけど、
せっかく来たんだし、
私たちの部屋に泊まって行ってよ。
明日は、倉庫も見せてもらえそうだし。
とサラが言った。
倉庫まで遠いって言ってましたよね。
そういえばそうね。

横で話を聞いていたジョー軍曹が言った。
遠出するのに足が必要なら、
ジープが出せますよ。
必要なら言ってください。
え、そうなの?
じゃ頼んじゃおうかな。
明日ね、郊外のマンスフィールドさんの
倉庫まで行きたいの。
おけ。
親切な方ですね。
とディアナが言った。
みんな出番がないからねー。
とサラが言っている。
解説)
続きます。
Jun 29, 2025
サラの招待

一人でみすずの家に戻ってきたディアナは、
みすずたちと顔を合わせた。
精霊の国ってどうだった?

人間の姿になったディアナは、
向こうの世界で知ったことを、
事細かく話している。
その国は、もともと魔族の女性が
とある美術品コレクターの倉庫に眠っていた、
フィギアや置物に宿った精霊たちのために、
作り上げた幻想の世界で、
私もその中の鹿のフィギアに宿った精霊の一人だったの。
記憶がなかったけれど、
話を聞いていて、うっすらと思い出したわ。
この夢の世界も元々はその魔族の女性が見ていた夢で、
彼女が私をこの夢の世界に連れてきたっていうのよ。
そう言われれば、なんとなくそんな気がしてきた。
そればかりか、私が望んだこの人間の姿は、
その魔族の女性にそっくりなんだって。
そんなことってあるのね。
とみすずが言った。
ディアナさん。
今の話で、美術品のコレクターって出てきたでしょ。
私、そういう人、一人だけ知ってる。
その人に聞けば何かわかるかも。
とサラが言った。
そうなの?
ぜひお会いしてみたいわ。
だったら、私の住む町に行かない?
もう月末だから、コンテストに登録して、
来月までいれば、チョコがもらえるよ。
その人は、コンテストの審査員もやってるの。
そうしなさいよ。
人間の住む町なんで初めてでしょ。
いっぱいチョコもらってきて。
とみすずも言った。
あ、彼女も誘ってあげよう。

サラはいつもフミコが
ミミコの世話をしている部屋を訪ねた。
やっぱりここにいた。
シビルさん、私たち、町に行くんだけど、
一緒に行きませんか。
え、町って人間の住む現実の世界でしょう。
どうして夢食いの私に。
多分初めてなんじゃないかと思って。
登録すれば参加賞でチョコがもらえる
コンテストを毎月やってるんですよ。
行ってらっしゃいよ。
マンゴー亭の肉まん美味しいわよ。
とフミコが言った。

かくて、サラは、
ディアナとシビルを連れて、
町にあるサラたちの家に
戻ることになった。
サラはアイスに教えてもらった
呪文を唱えている。
なんか人間たちの現実の世界なんて、
初めてで緊張するわね。
そうですねー。
と二人で話している。

サラは二人を連れて鏡の扉を抜け、
サラたちの部屋に戻ってきた。
さっそくディアナとシビルを紹介している。
私はメアリー=ケイトよ。
赤いのがケイで、ピンクがジェット。
そういう紹介って。

二人ともやや緊張している。
あ、今スムージーとサラダを
作ってたところなんだ。
よかったらどうです?

お味はどうですか。
うーん。美味しいわ。
このドレッシング何かしら。

これを使ったんです。
ふーん。
高級そうね。
そうでもないんですよ。
ガチャなら300円です。

サラ、帰ってきたの1カ月ぶりね。
そうなのよ。
こっちは変わりない?
埃の降り積もる静かな日々よ。
最近たまきが、生成AIを使った
動画制作に凝ってるらしいけど。
ふーん。
それって流行ってるのかな。
解説)
続きます。
Jun 28, 2025
ディアナの去就など

王座の間に
オウルはフクロウたちを招集した。
行方不明になっていた
ディアナ様が戻ってきたんだ。
また女王様になってもらうことにしよう。
ほーほーという
歓声があがっている。

オウルさん、悪いけど、
それは辞退するわ。
王様役はあなたにお任せする。
私は自由にしていたいの。
とディアナが言った。
そ、そうなのか。
ではこれまで通り女王様代理を
私が勤めることにしよう。
ほーほー、とみんなが言っている。
特に異存もないようだ。

その時、
入り口のドアが開き、セリーヌたちが
散歩から帰ってきた。

散歩はどうだった?
ローゴスの手下に出会ったわ。
向こうの世界から洞窟を抜けてきたみたい。
あそこ、入り口を塞いだほうがいいわね。
そうしましょう。
それで、その手下どうしたの?
用事を思い出したって言って、
飛んでっちゃった。
今もこの世界のどこかにいるはずよ。
被害が出ないうちに
消えてもらったほうが良さそうね。
探しに行かなくちゃ。
とヴィヴィアンが言った。
この国は山々に囲まれていますが、
けっこう広いですよ。
ちょうどみんながいるので
御触れを出しましょう。
とオウルが言った。

ということで、
みんなも聞いていたと思うが、
怪しい鳥を見かけたら、
報告してくれるように、
森の動物たちにも伝えてほしい。
とオウルが言った。
みんな、ほーほーと言っている。

さてと、一息ついたわね。
ディアナはこれからどうする?
私は、この世界で人間の姿になると、
みんなが混乱すると思うの。
だから、みすずの家に戻ろうかな。
それがいいかもね。
私は、トロンの家に戻って、
九官鳥の羽根を取ってくる。
空が飛べないと怪鳥を追いかけられない。
とアイスが言った。
それもそうね。
雪山に行くついでに洞窟の入り口を
雪で埋めといてよ。
わかったわ。
そうそう。お城の庭園の噴水に、
カエルの姿の彫像があって、
精霊が封印されてるって言ってた。
封印を解いてほしいって言われたのよ。
とセリーヌが言った。
どんな精霊なの?
わからないけど。
彫像に封印されるなんて、
いわくがありそうね。
じゃあ私はそこに行ってみるわ。
とヴィヴィアンが言った。

ディアナはみすずの家に戻り、
アイスとトロンは、雪山のトロンの家に、
行くことになり、
セリーヌは、ヴィヴィアンを
彫像のある噴水に案内することになった。

アイスたちは、トロンの家にやってきた。
ちゃんと羽根があってよかったわ。
この家、ドアに鍵もないでしょ。
盗まれないかちょっと心配してたの。
ここには誰もこないですから。
それにその羽根で空が飛べるなんて、
誰も知りませんよ。
そうね。
飛ぶには魔力も必要なのよ。

二人はトロンの家を出て、
洞窟の前に到着した。

アイスたちは雪塊を蹴り落として、
洞窟の入り口を埋めている。
解説)
続きます。
Jun 27, 2025
お城の部屋で

お城のアイスの部屋で、
ディアナは鹿に変身している。
私が人間の姿に変身することが
できるようになったのは
フミコの魔法のおかげ。
もし私が昔この世界にいたのなら、
ずっと鹿の姿だったはずね。
その通りね。
さあ、あなたを描いた絵画を
見にいきましょう。

3人は壁に絵画のかかっていた
部屋にやってきた。
あれはどう見てもあなたでしょ。
鹿になっている自分の姿は、
泉に映してしか見たことがないの。
でもきっとそう見えるのね。

その時、ミネルバがやってきた。
おお、これはディアナ様。
ずっと探していたのですよ。
洞窟の向こうの世界におられたというのは、
本当だったんですね。
私には昔の記憶がないの。
あなたはだあれ。
なんとなんと。
執事のミネルバですよ。
あ、すぐにお昼寝中の
オウル様をお呼びします。

オウルがやってきた。
ディアナ様。
お元気のようで嬉しいです。
私には昔の記憶がないのよ。

オウルさん。
順序立てて考えてみたいの。
この世界を生み出したのは魔族の女性。
ディアナは、その人が大切にしていた
鹿のフィギアだったのよね。
その魔族の女性って、
自分の生み出したこの世界に、
遊びに来たことがあるの?
とヴィヴィアンが尋ねた。

いいえ、お見えになったことはないんですよ。
倉庫に眠っていた精霊の宿ったフィギアや置物を、
この世界に来られるようにしてくれただけなんです。
でも、みんな一度は倉庫で出会っているので、
顔やお姿を見ればわかります。
とオウルは言った。
そーなのね。
もしかしたら。
ディアナ、人間の姿に変身してみて。
とヴィヴィアンが言った。

ディアナは人間の姿に変身した。
おお、これは。
この方です、私たち精霊を目覚めさせて、
この世界に導いてくださったのは。
お名前は存じ上げなかったのですが、
ディアナ様。あなただったのですか。
あ、それは誤解よ。
とディアナが言った。
この姿は、フミコが魔法で、
私を人間に変身させてくれた時に、
自然にこんな容姿になったのよ。
あ、うっすらと思い出したわ。
フミコに人間に変身させてもらった時、
私はなりたい人のイメージを思い浮かべたの。
もし自分が人間だったらって。
その時思い浮かべたのは。。。

思い出したわ。
私を大切にして、私にディアナっていう
名前をつけてくれた人。
その人みたいになりたいって思ったの。
おおお。
それでそっくりさんなんですね。

やっぱり。
そんなことじゃないかなって
思ったわ。
とヴィヴィアンが言った。
あと、これは私の想像だけど、
この世界を作った魔族の人は、
ある時、森で鹿と遊ぶ夢を見た。
その時、精霊のあなたはその夢の世界に
鹿の姿で連れてこられて、
一緒に遊んでいたの。
目が覚めれば夢は消えて、
あなたも元の世界に戻れるはずだけど、
何かの事情で、その夢は、
消えずにいつまでも残っていた。
夢の中に取り残されたあなたと共に。
こちらの世界で、ある時から、
あなたが行方不明になった理由も、
それで説明がつくんじゃない?
説得力あるけど、
夢のようなお話ですね。
夢の話そのものでしょ。
とアイスが言った。
解説)
続きます。
Jun 26, 2025
それぞれの行動

アイスはみすずの家の室内の情景を
思い浮かべ、心に浮かぶ呪文を唱えて、
みすずの家に通じる
鏡の扉を生み出している。
その便利な魔法、いつか私も覚えたいなあ。
とヴィヴィアンが言っている。

二人はみすずの家に到着した。
部屋には、タイミングよく、
みすずとディアナがいた。
お帰りなさい,
と言われている。
ちょうどよかった。
ディアナに話したいことがあるの。

西の果ての雪山にある洞窟を潜り抜けたら、
その向こうに精霊たちの住む別世界があって、
その世界のお城に住むフクロウから、
ディアナのことを聞いたの。
ディアナという鹿の精霊は、
随分昔にそのお城に住んでいて、
今では行方不明になっているって。
とアイスが言った。
人違いじゃないでしょうか。
あ、鹿違いね。
とディアナが言った。
お城にディアナそっくりの鹿の肖像画が
飾ってあったから、
多分鹿違いじゃないわよ。
名前も一致するし。
お城やフクロウたちのこと思い出せない?
とヴィヴィアンが言った。

思い出せないわ。
前にお話ししたかしら?
私は気がつくと、この森にいたの。
あの滝のそばで、みすずと出会うまで、
ずっとこの森で暮らしていた。
その前のことは思い出せない。
自分では、鹿だった自分が、
長い間森で暮らしていたら、
自然に精霊を宿したのだと思っていた。
ふーん。
でも本当のことを確かめるために、
精霊の国に行ってみない?
何か手掛かりが掴めるかも。
それはおっしゃる通りね。
私も本当のことを知りたいわ。

アイスたちはディアナを連れて、
精霊の国のお城に戻ってきた。
ここ、懐かしい気もするけど、
気のせいかも。
と言っている。

その頃、セリーヌとトロンは、
お城を出て、周辺の散歩をしていた。

湖面に山影を映して、
綺麗な湖だね。
その時、上空を怪鳥が近づいてきた。

怪鳥は急降下して、
まじかでホバリングして大きく口を開けた。
なんだ驚かないのか。
と言っている。
私たちは旅行者です。
洞窟を抜けてこの国に来たばかりなんですよ。
とトロンが言った。
なんだ俺と同じじゃないか。
俺はローゴスに誘われて、
忘れられた夢の世界に行ったんだが、
着いてみれば雪の山で、
ローゴスもその手下も恐竜もいない。
洞窟があったので抜けてきたら、
こちらは住みやすそうな天国のようだな。
どうだ、一緒に世界征服をしないか。
征服なんてするわけないでしょ。
私はセリーヌ、
夢食いのモンスターハンターよ。
ここは平和な精霊たちの国。
征服するというのなら消えてもらうわよ。
とセリーヌが言った。
なんとお前がセリーヌか。
誘う相手を間違えたな。
いいこと教えてあげる。
ローゴスもその手下もとっくに、
隣の夢の世界から消えてもらったのよ。
あなたは偶然出現する場所と時間を
間違えたその残党というわけ。
そ、そうだったのか。

ちょっと用事を思い出した。
またな。
そう言い残して
怪鳥は去っていった。
二人は見送っている。
なんとなく哀れですね。
でもあの顔、怖くなかったですか?
解説)
続きます。
Jun 25, 2025
会見のあと

部屋に装備を置いて、
セリーヌもみんなに合流した。
これでみんな揃ったわね。
さて、さっきのオウルの話だけど。
どう思った?
ディアナがこの世界から来た
精霊だったというのには驚いたわ。
しかも記憶をなくしていたなんて。
とセリーヌが言った。
みすずの家に戻ってディアナに話してみようよ。
こっちに連れてくれば、
昔のことを思い出すかもしれない。

私はこの世界を作ったっていう、
魔族の娘っていうのが気になったわ。
とヴィヴィアンが言った。
向こうの「忘れられた夢の世界」も
元は魔族の人が見た夢だったっていうんでしょう。
その二人が同一人物だっていうこと?
わからないけど、もしそうだとしたら、
忘れられた夢の世界が、
いつまでも消えずに残っているのは、
自分が精霊たちのために
生み出したこちらの世界と、あの洞窟で、
繋がっているからかもしれない。
なるほどね。
彼女はこの世界に、
遊びに来たりするのかしら。
どうなんだか。
オウルはそのことを何も言ってなかったわね。

僕は森で出会った動物たちのことが、
ちょっと気になりました。
とトロンが言った。
ウサギやオオトカゲのことね。
みんな動物の精霊なんでしょう?
お城のフクロウの置物たちと
どういう関係なのか。
思い出してみるとあのオオトカゲ、
近くで見たらフィギアっぽかったわよ。
同じコレクターの倉庫にあったんじゃない?
とヴィヴィアンが言った。
そうなのかなあ。

結局よくわからないことばかり、
ということで話し合いは終わった。
じゃあ私とヴィヴィアンは
私用の貴賓室の壁に鏡の扉を作って、
ディアナを呼んでくるわ。
とアイスが言った。
じゃあその間、
私とトロンはお城の周りを散歩してくる。
とセリーヌが言った。

セリーヌたちは廊下に出て
城の玄関口のある広間を目指したが、
廊下は結構入り組んでいた。
迷いましたか。
あ、私はグーフォと言います。
広間に行くにはこの先のドアですよ。
と言われている。

親切なグーフォに、
玄関まで見送られて
いってらっしゃいと言われている。
グーフォさんて、
なんかシュールですね。
あなたもそうよ。

庭園の噴水の前まで来たら、
イブーとオイレに出会った。
お散歩ですか。
ちょうどよかった。
ちょっとご覧に入れたいものが。

オイレは彫像の置かれた噴水の前まで、
二人を案内した。
ほー。見事な彫像ね。
この彫像にも精霊が宿っているんですが、
魔法で封印されているんです。
封印を解いていただけないでしょうか。

外見はカエル王女のお仲間見たいね。
彼女は精霊じゃなくて、
私たちと同じ夢食いでしょう。
そうなのよね。ややこしい設定。
残念だけど、
私たちは魔法は使えないの。
ヴィヴィアンだったら、
封印を解けるかしら。
解説)
続きます。
Jun 24, 2025
城での会話

アイスたちは別室に案内された。
お伺いしたいことがたくさんあるんですが。
とアイスが言った。
いいとも。なんでも質問するがいい。
ここは精霊の集う国ということですが、
それは誰かの夢の中の世界っていうことですか?
とアイスが尋ねた。
似ているけれど
普通に人間のみている夢とは違うなあ。
魔法と精霊たちの夢見る力が創り上げた世界だよ。
ふーん。そうだとしたら、
私、そういう世界を知っています。
そこは兵士姿のフィギアに宿った精霊たちが、
二手に分かれて戦争をしている世界でした。
町の郊外に住んでいるジャンさんっていう
熱心なフィギアのコレクターがいて、
彼は自分の家の庭にフィギアたちのために、
ジオラマの村を作ったんです。
その世界では、その村がそっくり再現される形で、
人間の兵士姿になったフィギアたちが暮らしていました。
みんな自分が人間だと思い込んでいましたが。
ふむふむ。
ここはその世界によく似ているな。
その昔、動物や物品に宿る精霊と会話のできる、
魔族の女性がいてね。
ある日、彼女が、
とある美術品や骨董品のコレクターの倉庫を訪問して、
そこに集められていた精霊たちの願いを聞いて、
この世界を生み出してくれたんだ。

確かにそういう世界を生み出す魔法なら、
魔族に伝わっているわよ。
私の実の父親マーリンは、
滅びゆく吸血鬼たちのために
彼らが住める世界を作ってあげた。
魔術書があるから、義父のハリーにも作れるはず。
でもいろんな条件が必要だって言ってたわ。
あ、私は魔族とヴァンパイアの娘で、
今は悪魔なの。
とヴィヴィアンが言った。
ふむふむ。
魔族で悪魔とは珍しい。
私も望めば人間の姿にしてもらえるのかな。
本当にあなたがそう望むならね。
でも頭だけフクロウのままになるかも。
とヴィヴィアンが言った。

壁にかかった絵画を見ていたセリーヌが、
この鹿はディアナじゃない?
と言った。
なんと、ディアナを知っているのか。
ディアナは、魔族の娘が大事にしていた
鹿のフィギアに宿った精霊だった。
この世界が作られた時、
最初にお城に住んでいたんだよ。
私たちフクロウの置物コレクションの精霊たちが、
この世界に来た時、お城に招いてくれたんだ。
ずっと女王様でいて欲しかったんだが、
自由に森を駆け回るのが好きで、
随分昔に森で行方不明になってしまった。

東の雪山には洞窟があって、
それが別の世界に通じていることは知っている。
私たちはディアナの行方を探し回り、
もしかしてと思って探索にも行ったのだが、
向こうは雪に閉ざされた酷寒の世界。
ディアナを見つけることはできなかった。
それは無理ないかもね。
徒歩じゃとてもあの雪の山岳地帯は抜けられない。
でもずっと東に進んでいけば、
この世界と同じような豊かな森林があるのよ。
ディアナはそこで元気で暮らしているわ。
もっともディアナ自身は森の西の果てに
雪山があることも知らなかったみたい。
あなたのいうことが本当ならば、
すっかり記憶を無くしているっていうことね。
とヴィヴィアンが言った。
なんとなんと。
この世界のことを忘れてしまっているのか。
しかし生きていたとは嬉しいなあ。
洞窟の向こうは夢の世界。
いつか夢食いが来ることがあるのでは、
とは思っていた。
そうそう長旅でくたびれたことだろう。
とりあえず部屋で
くつろいでくれたまえ。

セリーヌは、ミネルバに
来賓用の個室に案内された。
随分物騒なものを持ってるんだね。
私は夢食いのモンスターハンターなの。
夢を独占したがる夢食いのモンスターを
退治するのよ。

ここは精霊の国だけど、何かの弾みで、
夢食いや人間が迷い込むこともある。
でも、たちの悪い夢食いのモンスターが
来たことはないよ。
私はもっぱら人間のみる夢の世界が専門。
精霊たちだけの世界があるなんて、
初めて聞いたわ。
夢食いは大抵目的を持って
夢を渡り歩くそうだからね。
この世界は、夢と夢の狭間にある。
夢見る人には区別がつかなくて、迷い込んでも、
たぶん動物と会話できたりする
変わった夢だという感じだろうね。

アイスたちもそれぞれ
賓客用の部屋に案内されていた。
二人はバルコニーから外を眺めている。

森と泉に包まれて、か。
ここは周囲を山々に囲まれた
盆地みたいな世界ね。

アイスたちは部屋に戻ってくつろいでいる。
フクロウが食べ物を運んできた。
あ、ありがとう。
お腹すいてたところ。
あなたたちもお腹が空くの?
とヴィヴィアンが言った。
いいえ。私たちは元置物ですから
食べる必要がないんです。
これは森から採ってきたんですよ。
解説)
続きます。
Jun 23, 2025
お城で

一行が城に入ると大広間に出た。
こんにちわ。
誰かいませんかー。
返事がないみたい。
二手に分かれて
城内を調べてみましょう。

アイスとトロンは
左手のドアから
通路に出た。
正面にドアがあるようだ。

ドアを開けて部屋に入ると、
二体のフクロウの形の置物があった。
と、置物は振り向いて話しはじめた。
おや、さっきの声は
やっぱり空耳じゃなかったんだ。
これは失礼したね。
この城を訪問する人は滅多にいないんで。
と石の置物のようなイブーが言った。
あ、どうも初めまして。
私はアイス、こちらはトロンです。
雪山の洞窟を抜けてこの世界にやって来たんです。
なんと。
それはそれは。
私はイブー。隣にいるのはオイレ。
やっぱりオウル様が言ってた通りだな。
いつかこういう日が来ると。
と、木製の置物のようなオイレが言った。

その頃、広間の右手の扉から、
通路に出たヴィヴィアンとセリーヌは、
突き当たりのドアから室内に入っていた。
石のような置物がある。
流石に上品な調度品ね。
座り心地が良さそうな椅子。
とヴィヴィアンが言った。
これはこれは、
お褒めに預かり。
と石のような置物が言った。

石のような置物は振り向いた。
なんとそれはフクロウの置物だった。
さっきの声は君たちだったか。
てっきり空耳かと思ったよ。
あ、ここにお住まいの方ですか。
私はヴィヴィアン、隣にいるのはセリーヌと言います。
雪山の洞窟を抜けて、この世界に来たばかりです。
とヴィヴィアンが言った。
なるほど。
それで森を越えて、
この城に辿り着いたということか。
久しぶりの客人だ。
オウル様も喜ばれるだろう。
オウル様、って、
あなたじゃないんですか?
とセリーヌが尋ねた。
私は執事のミネルバ。
君たちのことはオウル様にお伝えしよう。

二人が王座の間に案内されると、
すでにそこには、アイスたちも来ていた。
部屋の壁際には、
フクロウの置物のような姿の、
何体ものフクロウたちが並んでいる。

やがて、ぬいぐるみのフクロウのような姿のものが、
奥のドアから現れて、玉座の前に座った。
お待たせしたね。
私がオウルだ。
ちょうどお昼寝タイムで、
ノネズミを追いかける夢を
みていたところだったんだ。
と言っている。

アイスたちは自己紹介して、
自分たちが、雪山の洞窟を抜けて、
「忘れられた夢の世界」から探検に来たことを伝えた。
それはそれは、はるばるご苦労様。
ここは精霊たちの暮らす国。
ゆっくり見物されるといい。
周囲は峻険な山々に囲まれているが、
森と泉に~包まれて静かに眠~るブルーブルーシャトー🎵
と大昔に謳われたこのお城の周辺は、
常春の世界だよ。
とオウルは言った。

精霊たちの暮らす国って、
失礼ですが、もしかして、
あなたも、ここにいる皆さんも、
フクロウの置物やぬいぐるみに宿った
精霊なんですか?
とアイスが尋ねた。
そうその通り。
君は人間のようだが頭がいいね。
すごく古びたり、持ち主に愛された道具や、
すごく年取ったり、持ち主に愛された動物には、
精霊が宿ることがある。
しかしいろんな事情で見捨てられることもあるんだ。
ほこりに~まみれ~た~人形~み~た~い~に🎵
という古い歌の歌詞のようにね。
ここはそんな精霊たちの集う国なんだよ。
そういうと、オウルのつぶらな瞳が輝いた。
解説)
続きます。
Jun 22, 2025
森の中

道は細くなっても続いていた。

一本の木の根元に
大トカゲがやすんでいる。
こんにちわ。
起こしちゃったかしら。
お城に行くには、
この道でいいの?
お城に何の用だね。
まあいいか。
すぐその先だよ。
あなたはここで何を?
とヴィヴィアンは尋ねてみた。

もちろん昼寝だよ。
眠ってトンボを追いかける
夢を見てるのが最高。
と、あくびをしながら
大トカゲは言った。

細道が続いている。
言葉の通じる
動物がいるっていうことは、
わかったわね。

しばらく行くとお城が見えた。
なんかメルヘンの世界みたいね。
とアイスが言っている。

ここが城門ね。
私が魔法で。
とヴィヴィアンは
呪文を唱えようとしている。
あ、ヴィヴィアン、
魔法を使わなくても、
入れるみたい。
とセリーヌが言っている。

外壁の中は、庭園になっているようだ。

噴水が水を噴き上げていた。
そよ風が気持ちいい。

ようやく城に近づいてきた。

ここが入り口のようね。
アイス、その銃は。
一応用心のため。
解説)
続きます。
Jun 21, 2025
新しい世界

洞窟のトンネルを抜けると
やはり雪景色だった。

ここは別世界なの?

別世界だとすれば、私たちが
洞窟を抜けてきた方角に飛べば、
バリアがあるはず。
あちらの山脈の方ね。
確かめてくる。
と言ってヴィヴィアンは飛んで行った。

一行は雪の斜面を下っていった。
すると森林地帯が広がっていた。
そこにヴィヴィアンが偵察を終えて
戻ってきた。
やっぱり透明なバリアで、
大気が遮られていたわ。
ここが別世界なのは間違いなさそう。
誰かの見ている夢の世界なのか、
魔族の魔法で生み出された幻想世界なのか、
AIの作った仮想現実世界なのか、
いつかどこかの現実世界なのかはわからないけど。
いくつも可能性があって、
ややこしいですね。

この低地の先には針葉樹の森が、
広がっていたわ。
とヴィヴィアンが言った。

とりあえず一行は、
森の中に分け入った。

道が続いているよ。
ということは、
全くの天然の原生林じゃないっていうことね。
この道を辿ればどこかに行けるかも。

なんと道の真ん中に
三匹のうさぎがいた。

逃げないみたい。
話ができるのかな?
こんにちわ。
私たちは洞窟を抜けて来たんです。
あなた方は?
見た通りの白うさぎよ。
洞窟から来たんだって。
しっかり隠したのに。
いつか夢食いが来るって、
オウル様が言ってた。
夢食いだけじゃないみたいよ。
などと仲間内で話している。
私はアイス。人間です。
ここは夢の中なの?
とアイスが尋ねた。
夢の中なのかだって。
夢の中に思えるのね。
区別がつかないんでしょうね。
人間なら無理ないわ。
などと仲間内で話している。
さっきオウル様って言ってたわね。
そのオウル様にはどこに行けば会えるの?
とヴィヴィアンが言った。
お城に決まっているでしょう。
お城に行きたいの?
お城ならこの道の先にあるわ。

アイスたちは言われた通り、
道を進んでいくことにした。
うさぎたちは見送っている。
解説)
続きます。
Jun 20, 2025
雪の山へ

雪の山のトロンの家に
アイスとヴィヴィアン、
セリーヌがやってきた。
先に戻っていたトロンは、
セリーヌを紹介されている。

有名なモンスターハンターに
お会いできるなんて嬉しいなあ。
すごい重装備なんですね。
どんな夢食いのモンスターに
出会うかわからないからね。
トロンさんは子供のみる夢に
入り込んで遊び相手になるって聞いたけど、
そこにモンスターが侵入したらどうしてるの?
子供は怖い夢を見ると、
すぐ目を覚ましちゃうんですよ。

みんなは洞窟探しに
出発した。
飛ぶのは一人で十分よ。
とヴィヴィアンが言っている。
アイスは身軽に動くため、
九官鳥の羽根を部屋に
置いていくことにした。

セリーヌは雄大な景観に
感動している。
砂漠とは大違いね。

3人は斜面を下り切って、
滝のあるところまでやって来た。
いつもここで水を飲んでるんです。
洞窟ってどこなの?
すぐこの先にありましたよ。

おかしいなあ。
確かこの辺にあったんですが。
ここは雪を被ってるのよ。
私たちも不自然だなあって話してたの。
その時、
ヴィヴィアンも舞い降りてきた。

ここなのね。
ヴィヴィアンは雪塊に向かって、
呪文を唱えた。
すると薄い煙がたちのぼり。

なんと雪塊が消えて、
洞窟が現れた。
いつもながら
便利な魔法だなあ。
とアイスが言っている。

みんなは洞窟の中を進んでいく。
しばらく行くと、
行手に出口の明かりが
見えてきた。
解説)
続きます。
Jun 19, 2025
セリーヌの家で

ツナたちは、
6分の1の大きさになった
オートバイや車両を持って、
鏡の扉を抜けて砂漠のセリーヌの家を訪れた。
寛いでいたセリーヌとラルゴに、
初対面のヴィヴィアンが紹介されている。
それラジコンですか?
オートバイの玩具なんか持って、
どうしたの?

みんなは一階のテラスに降りてきた。
これを大きくするのよ。

ヴィヴィアンが呪文を唱えると、
薄い煙がたちのぼり、
ナディアの愛車ビーグル号が大きくなった。

ツナもオートバイを元の大きさに
変えてもらった。
さっそくドライブしてくるわ。
と言っている。

二人は家から出発した。
やっぱり見晴らしが良くて、
平地が最高ね。

早くも家の近くの
泉の横を走り抜けていく。

気持ちよさそうに
走っていくわね。
私たちも東に飛んでみる?
砂漠の探検は
彼女たちに任せましょう。
じゃお水でも飲みますか。
とセリーヌが言っている。

お、このお水結構冷たいじゃない?
それにこの料理は。
泉が湧いたので、
冷たい水が飲めるようになったのよ。
それと魚も釣れるの。
食生活が改善したのね。

アイスとヴィヴィアンは
帰ることになった。
ご馳走様。
そうそうセリーヌ、
あなたはモンスターハンターなのね。
ローゴスと勇敢に戦ったって話を聞いたわ。
私たち、これから西の雪山に行くんだけど、
よかったら一緒に来ない?
とヴィヴィアンが言った。
そうねえ。
恐竜の本を読みかけなんだけど、
雪山で何するの?
別世界に通じているかもしれない洞窟を探すのよ。
面白そうじゃないですか。
私はここで留守番してますから。
探検を楽しんできてください。
とラルゴが言った。
解説)
続きます。
Jun 18, 2025
車両のことなど

北の島のことや、西の雪山のことを
南の世界の連中に話してくるわ。
とアイスが言っている。
暇だから私も一緒に行く。
とヴィヴィアンが言った。

二人は鏡の扉を使って、
バーボンハウスを訪れた。
あら、しばらくぶりね。

ふーん。
夢の世界で西の山脈に行ったり、
北の海で小島を発見したり、
あなたたち冒険してたのね。
いいなあ。
とツナが言った。
世界の果てがどうなってるのかと思って、
飛んで行った結果なの。
まだ東の砂漠の果てには行ってない。
探検してみたいなら、譲るわよ。
とヴィヴィアンが言った。
こっちの様子はどうなの?
とアイスが尋ねた。
草食恐竜が菜園にやってくるけど、
あとは至って平和。
とレイチェルが言った。
変わったことといえばね。
前の世界で私とナディアが使っていた、
オートバイと車両が見つかって。
とツナが言った。

整備してこの辺りを乗り回しているの。

ジャングルの中で巨大恐竜の群れが
移動した跡は道路みたいになっていて。

快適に走れる場所もあるんだけど、
植物がどんどん生長するから、
湖まで行くのも難しい。
だったら、見通しのいいところで、
使えばいいのよ。
とヴィヴィアンが言った。

二人はツナに案内されて、
倉庫に車両を見に向かった。

別の場所に移動したくても、
大きすぎて鏡の扉は通れないわ。
私が小さくしてあげる。
というと、ヴィヴィアンは
呪文を唱え始めた。
すると薄い煙が立ち上り。

ツナのオートバイと、
ナディアのビーグル号は
持ち運ぶのに手頃な大きさに変化した。
これでセリーヌのいる砂漠の家に運べるわね。
向こうで元の大きさに戻してくれる?
もちろんよ。
私も砂漠が見てみたかったの。
とヴィヴィアンが言った。
解説)
続きます。
Jun 17, 2025
静かな島に

3人は火山から降りてきた。
このところ、
ずっと雨が降り続いていたのよ。
とバーンが入っている。

どこもかしこも水浸し。
あちこちの窪地に池ができている。
恐竜たちは無事だったみたいね。

一行は、焼けた樹木を
魔法で再生していたフミコに出会った。
こちらは火の精霊バーンさん。
こちらは魔族のフミコよ。
樹木を再生できるなんて素敵ですね。
私は燃やすことしかできなくて。
などと話している。
ここの池には
恐竜が来ていないわね。

池の中からバルが現れた。
ふー。さすがにくたびれました。
あ、この池は温泉なんですよ。
バル。お疲れ様。
こちらはバーンさんよ。

火山は噴火活動を弱めて
元のようにくすぶりはじめ、
一行は島を後にしたのだった。

みすずの家に戻ってきて、
バーンは水晶玉と再会している。
人間の姿にしてもらったのね。
そうなのよ。
それにいつでも自分の力で
人間に変身できる魔法をかけてもらったの。
それは嬉しいんだけど、
初めてのことで、ずっと水たまりの中を
歩いてきて、ちょっとくたびれちゃった。
と、バーンは弱々しい声で言った。
だったらいい考えがあるわ。
とヴィヴィアンが言った。

ヴィヴィアンが、銀の器を用意して、
注いだ油に魔法をかけると、
バーンは喜んでその中に飛び込んだ。
その中で休んでいてね。
ミミコもご機嫌のようだ。

アイスはサラに、
島で起きたことを話している。
ふーん。温泉が湧いたのね。
行ってみたいなあ。
そこなの?
いいお湯加減でしたよ。
バーンは火の姿に戻ったみたいですが、
僕も雨になったり雲になったりで、
さすがにくたびれました。
とバルが言った。

バルはポットを用意してもらい、
その中に飛び込んだ。
ゆっくり休んでね。
とサラが言っている。
しかし、なんかすごく変なことが
起きてる気がするんだけど。
これは夢の中だからね。
解説)
続きます。
Jun 16, 2025
バーンに会う

アイスたちが島にやってきた。
この家はよく無事だったわね。
一応魔法で防火用バリアをかけておいたの。

私たちは火口近くに行ってみる。
私はジャングルで、
焼けた樹木を修復するわ。
とフミコが言った。

二人は火口に向かった。
まだ燃え残っているところがあるわね。

もうすぐ火口よ。
さすがに熱風がきついなあ。

二人は火口付近に
降り立った。
火の精霊はいるのかな。
すごく気配を感じるわ。
バーン。そこにいるのね。
人の姿にしてあげるから、
変身したかったら出ておいで。

ヴィヴィアンが呪文を唱えると、
溶岩が飛び出してきた。

燃え上がる火の玉の中から、
バーンが現れた。
人間にしてくれてありがとう。
こんな魔法が使えるなんて、
あなたは悪魔かしら。
どうして私の名前を知ってるの。

ヴィヴィアンは水晶玉から
名前を聞いたことを打ち明け、
火山の噴火を止めてほしいと言った。
この山は、休火山で、
ずっとくすぶって、うとうと居眠りしてたのよ。
私が解放された結果、目が覚めちゃったの。
もう噴火は止められないけど、
人間の姿にしてくれたお礼に、
勢いを鎮めてあげる。

バーンはマグマの噴出口に
半身を浸している。
噴火は次第に鎮まっていくようだ。
バーンって、
女性だったんですね。
見かけはそうみたいね。
解説)
続きます。