Dec 21, 2024
ジェーンのいる世界 そのよん
この羽根、あまり高くまでは飛べないんだけど、
あそこまでなら行けそう。
外は危険がいっぱいよ。
猫やカラスもいるわ。
特に大きな人間に見つからないように気をつけてね。
モモコは身軽になるためにポシェットを
ジェーンに預けて、
羽根をパタパタさせて上昇していった。
本棚の一番上まで辿り着いて、
本を横に押しやると、天窓が見えた。
天窓の網戸を横にスライドさせると、
隙間ができた。
あの赤いのはきっと楓ね。
モモコは天窓に身を乗り出すと
ジャンプした。
ホバリングしながら、
なんとか着地に成功。
地面は一面の楓の落ち葉だ。
見渡すと、
末枯れた菊の鉢植えなどが見える。
モモコは低空飛行していく。
あっちに花が咲いている。
それは満開の山茶花だった。
6倍の景色って迫力あるなあ。
解説)
続きます。
Dec 20, 2024
ジェーンのいる世界 そのさん
この食器棚には、
普段は滅多に使われない食器が収納されているの。
この蓋つきのスペースには
お茶碗と急須のセットが仕舞ってあったけど、
苦心して別の棚の目につく場所に移動したのよ。
だからお茶碗セットが必要になっても、
開けられる可能性は少ない。
さすがジェーンね。
お部屋の中、見てもいい?
もちろん。
それは端切れを集めたの。
裁縫セットもある。
隅にあるのは香炉のようだ。
未使用のキャンドルや、
焼き鳥用の竹串も並んでいる。
各種調味料の入った小瓶がある。
あの絵がプリントされてる容器は?
あれはドロップの入っていた空き缶。
隅にあるのは何かしら。
あれはライター用のオイル缶。
もっぱらランプ用なのよ。
大きなお絞りやマッチ箱もあるのね。
そのキャップは最近借りてきたの。
お水を飲むのに手頃でしょ。
二人のおしゃべりは続いて、
話しているうちに話題はダリオのことになった。
ふーん。私と同じ種族の人なのね。
しかも魔法でモモコのいる世界に行って、
暮らしているなんて面白い人。
ジェーンはずっとこの家に住んでるんでしょ。
外には出ないの?
偶然窓やガラス戸が開いていて、
家の主人が留守の時、たまに出ることがあるわよ。
今年の4月にはトマソンさんと散歩したわ。
でも普段はドアや窓は閉まっているから
私の力では開けるのは無理。
そうか。
こっちの世界も季節は同じでしょ。
紅葉が見頃のはずだから、
ちょっと外に出てみたいなあって。
ふーん。
しばらく考えていたジェーンは
何か思いついたようで、
あなたなら出られるかも。
といった。
この書庫には天窓があるの。
その窓は通気のために、
網戸状態になっているはず。
そこまで登るのが大変だけど、
あなたなら。
二人は食器棚の家から出て、
壁の本棚の上方を眺めている。
あの本棚のてっぺんのあたりに、
天窓があるのよ。
モモコなら飛んでいけるでしょ。
よく見えないけど、そうなのね。
とモモコは言った。
解説)
続きます。
Dec 19, 2024
ジェーンのいる世界 そのに
今ちょうどこの家の主人が
留守していてよかったわ。
鉢合わせしてたら大変だった。
ここは危険だから
安全な場所に移動しましょう。
ところで今冬支度している最中だったの。
モモコも手伝ってくれる?
もちろんよ。
ジェーンは居間のサイドテーブルの棚の
隠れ家にあった手袋を抱えている。
モモコはキッチンテーブルの隅にあった
数字の形をした蝋燭を抱えている。
ここのサイドテーブルの棚の隠れ家って、
私が今年の4月に来た時泊まったところよね。
プチトマトが美味しかった。
そうなのよ。本家は別の場所にあるの。
二人は廊下に出た。
そっちにいくの?
うん。この部屋は
物置がわりに使われている書庫よ。
家の主人は滅多に入ってこないから。
二人はガラクタ置き場になっている
書庫の片隅のテーブルの上に
たどり着いた。
さあ。ここなら安全。
さっき早すぎるクリスマスプレゼントを
もらったからここで食べましょう。
これってベルギー製の、
ベルメーレンカラメルビスケットですって。
このチョコは?
クラリネクランチビスタって言って、
細かく砕いたピスタチオと
三種類のナッツが入ってるのよ。
ジェーンはなぜそんなに詳しいの?
さっき栞の説明書きを読んだばかりだからね。
ビスケットはこのパッケージの裏に
日本語で書いてあるの。
二人はビスケットとチョコを
食べている。
私4月には、トマソンさんを呼びに来たんだった。
あの時はみんなで居間の棚で寝泊まりしてたけど、
ここは仮の棲家なのって、言ってたわよね。
よく覚えてるわね。
トマソンさんとは知り合ったばかりだったし、
本宅の場所は彼には内緒にしてたのよ。
さすがジェーンね。
彼は元気?
ええ。町が気に入って
魔術劇場に居候してるみたい。
それはよかったわ。
ちょっと喉も乾いたし、
モモコには本宅の場所を教えてあげる。
嬉しいな。
でもジェーンの家ってどこにあるんだろう。
色々想像してたのよ。
屋根裏とか地下室とか?
転居を繰り返したんだけど、今は、
すぐそこにあるのよ。
ジェーンは後ろを向いて、
背後の小さな食器棚の
取手に結びついていた紐を掴んできた。
一人でも簡単にできるんだけど、
ついでに紐を引っ張るの手伝って。
と言っている。
扉が開くと、
食器棚の奥に何やら小物類の並んだ
ジェーンの住まいの様子が見えた。
解説)
続きます。
二人の会話に出てくる4月の出来事は、
夢の中でジェーンの住む世界に行ったきり
トマソンが戻れなくなって、
モモコが助けに行くというストーリーで、
2024年4月11日「ジェーンの世界」から、
2024年4月21日「ジェーンの世界 帰還」までに、
描かれてます。
Dec 18, 2024
ジェーンのいる世界
ジェーンは一人暮らしの人間の家に
ひそかに住み着いている。
日用品や食料品は、もっぱら
家にあるものを拝借しているが、
自分では借り物暮らしをしているつもりだ。
ジェーンは今日も
キッチンテーブルを覗きに行った。
あれは何かな?
使用済みの新宿御苑の入場券と
どんぐりの実のようだ。
いつも巡回するのは出窓の付近。
ガジュマルの鉢植えが乾燥していると、
見かねてたまに水をやったりする。
ジェーンが出窓の前にたどり着くと、
黒っぽい紙の上に、
小さな紙片と共に、チョコと
クッキーが置いてあった。
これは、今年の4月頃に私が残した
書き置きだわ。
裏返すと、メッセージが書いてあった。
黒い紙はモロゾフのチョコの栞のようで、
チョコレートの説明が書かれている。
ジェーンは背中の箱から
付箋のメモ用紙を取り出して、
返事を書き残しておくことにした。
ジェーンが立ち去ろうとした時、
ジェーン。と呼ぶ声がした。
なんとモモコが羽根をパタパタさせながら
空中に浮かんでいる。
また遊びに来ちゃった。
と行っている。
羽根のついた変わった服着てるのね。
これ妖精のコスプレなの。
解説)
続きます。
ジェーンの借り物暮らしは
今の家に住み着いてから、
もう17年くらいになるので、
家の主人にはバレバレで、
お互いに微妙に気遣う関係になっているのでした。
ジェーンの最初の登場は、
2007年1月18日「間借り人ジェーン」です。
Dec 17, 2024
モモコの願い
モモコはフミコたちと話している。
あれからどうしてたの?
アイスとアフリカに行って、
フミコさんに魔法をかけてもらった
この羽根の力で空を飛んだんです。
そしたら、本物の妖精と勘違いした
グリーンマンが現れて、
妖精にそっくりだと言ってお花をくれました。
それは良かったわね。
その花は妖精たちが好きだった花ね。
それで今日お願いに来たのは、
私ジェーンの住む世界にまた遊びに行きたいんです。
ハリーさんに頼めば、魔術劇場の中から
鏡の扉を開いてくれるんですけど、
すごく危険を伴うことがわかって。
フミコさんなら、どこからでも
望んだ場所に連れて行ってくれるって。
どんな方法で行こうと
別世界を訪問するには危険は伴うのよ。
それにあの世界は特別。
それでも自己責任で行きたいっていうなら、
あなたに力を授けましょう。
フミコは立ち上がると、
モモコに向かって呪文を唱えた。
薄い煙が立ち上ったが、
一見何も変わったことは起きなかった。
今、あなたに魔力を授けたの。
とフミコは言った。
魔力、とは言っても、ささやかな力よ。
グリーンマンがあなたにあげたお花が、
扉を開く鍵になるわ。
そのお花に向かって、行きたい世界を
思い描いて念じると扉が現れるから。
帰ってくる時も同じようにしてね。
大昔には妖精たちも、
あのお花に願い事をして遊んでいたのよ。
あなたに授けたのはそんな妖精たちの能力。
あなたは魔族並みの呪力を持っているから、
上手く使いこなせると思う。
あ、ありがと。
モモコは早速
ジェニーたちの部屋に戻った。
ああおかえり。
どうだった?
この前グリーンマンからもらった
花を生けた花瓶あるかな。
もちろん。
ずっと元気に咲いてるよ。
モモコはたまきたちに事情を話し、
花瓶から花を一輪手にとって、
ジェーンのことを思い浮かべてみた。
すると鏡の扉が突然室内に出現した。
ちょっと扉が出現する場所を決められないの?
それは無理みたい。
モモコは小さな皮のポシェットを
身につけて、帰還する時のために花を一輪
持っていくことにした。
モモコが帰った後の
サラたちの部屋では。
なんだかややこしい手続きが必要なのね。
すぐに扉を出現させられなかったの?
彼女が自分の力で行けるようになるのが、
一番でしょう。あの子素質あるから。
深いのね。
あの格好で寒くないのかな。
それは大丈夫。
妖精の感覚だから。
解説)
続きます。
Dec 16, 2024
外出の後で
崖沿いの楓は日毎に
色合いを深めている。
御苑の散歩から戻ってきた
ジェニーとたまきは
文学青年と話している。
すごく綺麗だったわよ。
図書館裏の雑木林はどうだった?
特に紅葉が目立つ木立があるわけじゃないからね。
もの寂しくて寒々とした感じだったよ。
でも風のない午後で日差しは不思議と暖かかった。
うとうとしてたら影が話しかけてきたんだ。
ふーん。変なの。
ナオミはドラムに夢中だし、
私がずっと留守番してたのよ。
とモモコがいった。
私もどこか行きたいなあ。
いつも出掛けてるじゃない?
そうなんだけどね。
行きたいのはジェーンのところでしょ。
うん。でも魔術劇場のハリーさんに頼むと、
心配かけるし、大変なのよね。
魔術劇場自体も危険に晒すことになるし。
だったら、フミコさんに頼めば?
あの人ならどこでも鏡の扉を作ってくれるわよ。
その頃、ペンギンの前では、
佳奈とライトニングが話していた。
あちこち案内してもらって、
すっかりお世話になっちゃったわね。
全然気にしなくていいんですよ。
先輩。これからどうされるんですか。
一度本部に戻ることにするわ。
少佐に掛け合って境界警備隊に
配属してもらえるように頼んでみる。
わー。そしたらこの町に。
そうね。
ジャンや文学青年とも再会できたし。
この町居心地良さそうだから。
あなたのおかげよ。
コーヒー中毒気味のジャンは、
またペンギンに入り浸っている。
サラたちの部屋では、
今日もストーブを炊いていた。
外は冷え込んでるねー。
そこにモモコがやってきた。
フミコさんいますかー。
と言っている。
解説)
続きます。
Dec 15, 2024
御苑を散歩
たまきとジェニーは、
紅葉見物に新宿御苑を訪れた。
銀杏が綺麗だねー。
日本庭園の方に
行ってみよう。
池がある。
あっちには何があるの?
あれは旧御涼亭だよ。
数少ない本格的中国風建築なんだって。
あ、あの人は何してるの?
リカちゃん人形を撮影してるみたい。
邪魔しないようにしよう。
ああいう変わった趣味の人もいるんだね。
紅葉が綺麗だしね。
寒くなったし、そろそろ帰ろうか。
二人は出口の新宿門に向かう途中で
バービーとケンに出会った。
さっき清水さんも来てたわよ。
などと言っている。
解説)
続きます。
今回は、昨日新宿御苑で
撮影した画像を合成しました。
実際に清水さんと出口のところで遭遇。
Dec 14, 2024
森林公園へ
魔子を乗せた人力車は
郊外の森林公園に向かっていた。
ちょっと回り道ですが、
郊外の並木道を通って行きましよう。
こんな道があったのね。
もうすぐ到着しますよ。
なんだかもう紅葉を
堪能した感じ。
森林公園につきました。
駐車場のある入り口は?
ここは公園の裏手に当たるんです。
これは桜の落ち葉かしら。
ともかくどこも
カラフルな景色。
行楽客も随分来てるのね。
シーズンですから。
解説)
続きます。
背景は、デジカメの実景や、
生成AIのサイトで制作した画像、
ネットから借用した風景画像などを
混ぜこぜに合成して使用しています。
Dec 13, 2024
再会など そのに
マンゴー亭では
佳奈とライトニングが話していた。
先輩は以前にも
この町に任務で来たことがあるって。
そうね。
あれは3年前の早春だったわ。
まだ寒い日でね。
確かレトロな石炭ストーブのある部屋で
休憩したのを覚えてる。
レトロな石炭ストーブ。
多分そのストーブなら、今もありますよ。
サラさんのところで毎冬使ってます。
そうなの?
懐かしいわね。
じゃあ、一緒に見に行きましょう。
ライトニングと佳奈が
サラたちの部屋に到着すると、
すでに先客があった。
こんにちわ。
サラ、ストーブを見せてもらいに来たの。
あ、あなたは
あの時の。と言われている。
文学青年さん、
また会えたわね。
やあ、どうも。
僕らもこのストーブが懐かしくて、
見せてもらいに来てたんですよ。
あの日の3人が再会するなんて、
これも何かの縁かもしれないわ。
このストーブ、これまでは、
人が見にくることなんてなかったのに。
偶然、思い出のある人が集まったのね。
その頃ジェニーたちの部屋では。
崖沿いの楓がやっと色づき始めたわ。
ナオミは事務所から帰ってこないし、
文学青年も図書館に出かけたきり。
どこで油売ってるのかしら。
解説)
続きます。
Dec 12, 2024
再会など
図書館帰りの文学青年は
久しぶりにペンギンでコーヒーを
飲むことにした。
東屋で知り合った影は、
いつの間にかいなくなっていた。
ペンギン前にはナオミが来ていた。
今日は珍しく
店内の席が空いていますよ。
と言われている。
文学青年が店内に入ると、
入れ違いに
ペンギンの二階の事務所から
トムが階段を降りてきた。
お待たせしたね。
一区切りついたので、
選手交代。
と言っている。
ナオミは探偵事務所にドラムを叩きにきて、
トムが交代してくれるのを待っていたのだった。
ずっとカントリーだったわね。
奈々子さんがフィドルで参加してるからね。
ナオミはさっそく
二階の事務所に上がって、
演奏に参加している。
Take Me Home,Country Roads🎵
トムはコーヒーを注文して
二階から流れてくる曲を聴きながら、
リズムに合わせてカタカタと
テーブルを小さい音で叩いている。
これ癖になっちゃうんですよ。
文学青年が席を物色していると、
奥のベランダ席の青年ジャンが
こちらを見つめているのに気がついた。
あ、あなたはもしかして。
と言っている。
ジャンは立ち上がると、
文学青年の前の席に移動してきた。
やっぱりあなただ。
何年振りでしょう。
ほら、あの石炭ストーブのあった部屋で。
ああ、あの時の。
あの時も十数年振りだったけど。
あの石炭ストーブ懐かしいなあ、
今でもどこかにあるんでしょうか。
あれならサラたちが毎冬使ってるみたいですよ。
サラたちとは親しいから、見に行きますか。
え、それは嬉しいなあ。
解説)
続きます。
青年ジャンは、
たぶん2021年の8月5日以降、
常設セットの喫茶ペンギンの客席に
ずっと座り続けている常連客です。
その前に登場したのは、
2021年3月2日「再会」のことで、
この時のことが二人の話題になっています。
この時は男というだけでまだ名前がなく、
今回はじめてジャンと命名しました。
Dec 11, 2024
車輪で遊ぶ
広場では、
ドルフィンのスタッフが
何やら店を広げている。
倉庫に木製の車輪が入荷してたんだけど、
何かに使えるかなあ。
随分頑丈そうだね。
その車輪で、
人力車を作れますか?
と、ドルフィンにコスプレの
登録をしにきて、側で話を聞いていた
駒井魔子がいった。
あ、突然すみません。
森林公園の屋外管理人をしている、
ソローさんが、車夫のコスプレするって
言ってたもので、つい。
人力車か。
それもいいんじゃない?
私は車椅子くらいしか思いつかなかったけど。
とアイスが言った。
人力車に使うには、車輪のサイズが
二回りくらい小さいですが、
やってみましょう。
とマスターがいった。
倉庫から資材を出してきて、
スタッフは早速設計と
組み立て作業を始めている。
あっという間に数時間経って、
人力車が完成した。
角度が調整可能な
足の踏み台をつけたんだよ。
後ろには泥除けのカバーをつけたの。
おしゃれでしょう。
そこにソローが、
コスプレの登録にやってきた。
人力車作ったんですか。
ほーこれはなんという偶然でしょう。
それ使ってもいいですか。
魔子は人力車に乗せてもらっている。
お客さん、どちらまで?
森林公園まで紅葉狩りに。
よしきた。
解説)
セリアのインテリア小物で、
天然素材の「ウッドミニホイール」と言うのを
見つけたので、早速工作して遊んでみました。
人力車の本体には、
ボール紙とスチロール製の弁当箱を使用。
座席はバービーの馬車のパーツを流用。
他に太めの針金やストローを使っています。
後部のカバーはそのまま弁当箱のプリント模様です。
Dec 10, 2024
図書館に行く
たまきが今日もいい天気よ。
と言っている。
そろそろ本の返却日じゃなかった?
あ、そういえばそうだね。
図書館にいかなくちゃ。
文学青年は図書館に向かった。
銀杏の黄葉が盛りを迎えている。
本を返却してまた仕入れた文学青年は、
図書館裏の雑木林に寄ってみることにした。
雑木林の付近は少しだけ高台になっている。
林の中程の空き地に東屋があった。
文学青年は休息を取ることにした。
風もなく寒さはそれほど感じない。
晩秋の光とくっきりとした影の対比を眺めていて、
日のぬくみに文学青年はうとうとしている。
目を開けてふとみると、
目の前の影の中から
影帽子のような人の姿が立ち上がって
話しかけてきた。
こんにちわ。
私を見つめてまどろんでいらしゃったので、
なんとなくお近づきになりたくて
現れました。
君はどこから来たの?
影の世界から来ました。
暗いのでみんなごちゃごちゃなんですよ。
解説)
続きます。
Dec 09, 2024
平穏な日
サラたちの部屋では
遅い朝食を食べていた。
これ美味しいわね。
とフミコが言っている。
ピーナツバターって言うんだよ。
クラッカーに塗っても美味しいわよ。
私ひと瓶食べられるわ。
ジェニーたちの部屋には、
ナオミとたまきが戻ってきたようだ。
探偵事務所でブルース聴いてたんだけど、
奈々子とロベリアが来たので
席をゆずってきたの。
親切なのね。
部屋がすごく狭いのよ。
高台でシャンソンの伴奏してたんだけど、
この太鼓の音いまいち合わなくて。
本格的に叩きたいなら探偵事務所に行けば?
昔あなたが使ってたドラムセットがあるそうよ。
隣の高台では、友恵が
うたのアコーディオンで、
「ルナ・ロッサ」を歌っていた。
探偵事務所では
奈々子がヴァイオリンを弾いている。
「冬の星座」って
カントリーだったのね。
解説)
続きます。
Dec 08, 2024
夕暮れの事務所など
探偵事務所では
音楽好きの住民たちの演奏が続いていた。
雰囲気を出すために
照明が落とされている。
トムは8ビートを刻んでいる。
曲はアコースティックギターによる
素朴なブルースのようだ。
暮れていく西空に
夕日が沈みかけている。
雰囲気はいいけど、
手元が暗すぎて。
瓶ビールどこ?
とたまきが言っている。
ブルースの音色は
階下のペンギン前にも届いていた。
このツリーにも
電飾をつけたんだね。
電飾っていうの?
今日も店内は盛況のようだ。
朝からブルースばかりね。
カントリーでもやらないかな。
奈々子フィドルで参加すれば。
などと話している。
あっという間に日は落ちて、
店のベランダから見渡せる
崖下の民家に灯が灯っている。
夕暮れ時、サラたちの部屋でも
雰囲気を楽しむために卓上ライトをつけていた。
手をかざすと暖かいわ。
そう?
暗すぎ。
やっぱり明かりつけようよ。
ダリオさん、この蛇
忘れていったのかなあ。
自分の意思でのこったんじゃない?
ジャングルのその種の蛇は賢いのよ。
とフミコが言った。
ダリオさん、友達だって言ってたよね。
そういえば来年の干支は蛇なのね。
干支ってなあに?
解説)
続きます。
ミニライトなどの照明だけで撮影する試みは、
やはり暗すぎ。
フラッシュを炊くとこんな感じです。
Dec 07, 2024
冬支度
ここ数日で、ケヤキの葉がほとんど散って
空が明るくなった。
みんなはいないの?
ナオミは高台で太鼓叩いてるし、
たまきは探偵事務所で音楽聴いてるわ。
あ、こたつと火鉢入れたのね。
冬の和室はこれじゃないと。
もう暖めてるの?
もちろんだよ。
モモコは確かめてみた。
遠赤外線なのね。
すーすーするよ。。
と文学青年に言われている。
サラたちの部屋でも、
恒例の石炭ストーブのセットが
運び込まれていた。
設置作業が完了した。
早速焚き付けてみましょう。
ガンガン燃えている。
調子はいいようね。
フミコは、
ストーブに興味を持っているようだ。
この国では冬の必需品なのね。
直に炎が見れるのが素敵。
解説)
続きます。
こたつやストーヴの明かりは
インテリア小物のミニライトを、
赤いセロファンに包んで点灯させています。