Haizara-Cho::Suigara-yama 99[Shinsuke Kirita]

ケントの着付け

サラたちの部屋に
ケントが訪ねてきた。




こんばんわ。
みなさんお久しぶり。
ディリープラネットのクラーク・ケントです。
今月は長期休暇が取れたので、
ゆっくりこの町で過ごすつもりなんですが、
ついてはコスプレコンテストのコスチュームの着付けを、
またサラさんにお願いしようと思って伺いました。

お安いご用ですよ。
とサラが言った。
あ、こちらはフミコさんです。




初めまして。
とフミコと言います。
あなた、魔族の方ね。

え、わかりますか。
確かに生まれは魔族ですが、
魔法の能力はさっぱりなので、
普通の人と変わりなく暮らしています。




すぐに着付けをすることになった。

私が魔族の出身だということは
誰も知らないはず。
フミコさんて何者なんです？
彼女も魔族の人よ。
彼女については、
いろいろ公にできない
事情があるみたいなの。
着付けが終わったら、
あとでお話しましょう。




ケイとジェットも、
あれこれコスプレの準備をしていた。

ケントさんって、
またあの扮装するんだろう。
僕らはどうも地味だなあ。
などと話している。




着付けが完成したようだ。
ケントはスーパーマンの扮装を
している。




コーヒーを飲みながら、
ケントはフミコの口から、
アフリカの魔族の古代遺跡のことや、
ヴィヴィアンの魔法によって蘇生したことなど、
驚くべき出来事の数々を教えてもらった。




なるほど。
そんな事情がおありだったのですね。
にわかには信じられない話ですが、
私も魔族の出身なので、
子供の頃に、魔族の都の伝説は
親から聞かされたことがありました。
もちろん今のお話は記事にはしません。
それにしても、
一目で私を魔族出身者だと見抜かれたのは、
やはり魔族特有の眼力というやつですか。




それはその通りなんですけど、
あなたによく似た人を存じ上げていたんです。
もしかして、その人とはご兄弟なのでは？
とフミコは言った。




ななんと。
確かに私にはフラハという双子の弟がいました。
私と違って魔力の才能があって、
手に負えない悪戯者でしたが、
子供の頃、世界一の魔術師になると言い残して
家出してしまったんです。
それ以来ずっと音信不通で。
多分魔術師修行でもして、どこかで
生きているんだろうと思ってはいました。
とはいえ、それはもう何百年も前のことで
最近はあまり思い出すこともなかったんですが。

そのフラハさんなら、
今もアフリカで元気でお暮らしですよ。
とフミコが言った。

ななんと。




フミコは心に描いたフラハのイメージを
魔力を使ってケントの心に送り届けた。
ケントは突然人の姿が幻のように
脳裏に浮かんだので驚いている。

それは現在のフラハさんの姿です。

これはこれは。
あいつはこんな格好をしているのですか。
相変わらず趣味悪いなあ。




オセロは
夢中になってイチゴを食べている。



解説）
続きます。

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