Jul 15, 2024

フミコの帰郷

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鏡の扉が現れたのは、
集落の遺跡の建物の中だった。


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鏡をすり抜けてフミコが姿を現した。


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続いてアイスもやってきた。
ああ、こんなふうに変わり果てて。
とフミコが言っている。


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ジャングルの眺めは変わらない。


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あそこの石畳が動いて、
地下へ降りる階段が開いたんだけど。
ええ、その仕掛け覚えてるわ。
戦さの前には仕掛けはなくて、
誰でも自由に降りていけたの。


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二人は集落の遺跡の外に出て、
遺跡前の広場を歩いている。

ここには賑やかな市が立ったの。
魔族以外の人たちとの交易も盛んだった。

この城塞都市みたいな造りはどうして。
最初は他の部族からの攻撃を防ぐためだった。
でもこんな風にしたのは、むしろ権威付のためよ。
この牢固で神聖そうな壁のおかげで、
地上での争いはほとんどなくなった。


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ちょっとだけ一人にしてね。
と言ってフミコは広場に佇んでいた。
はるか昔を思い出しているようだ。


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やがてジャングルの茂みから
グリーンマンが姿を現した。
嬉しそうな顔をしているようにも
見ようと思えば見える。


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フミコも気がついて
グリーンマンに近づいていった。
グリーンマンはバッグから
肩飾りを取り出して、
フミコに差し出している。

二人は声に出さない会話をしていた。
グリーンマンの顔には
やはり嬉しさが滲み出ている気がする。


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私の頭蓋骨を受け取ってくれて、
魔術師を見つけて私を蘇らせてくれたあなたに、
お礼を言いたいって言ってる。

お礼なんて。
まあよかったよかった。
と照れながらアイスは言った。


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やがて周りに動物たちが集まってきた。
フミコはかなり長い間、
アイスには聞き取れない会話をしていた。


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二人は鏡の扉のある建物に戻った。

アイスは他の遺跡は見たの?
調査隊は三つのグループに分かれて別行動したからね。
私が見たのはこの集落跡と地下の都だけ。
だったらこれから見てまわりましょう。
どんな様子か知りたいの。
と肩飾りを外したフミコが言った。

うん。ところでさっき
何話してたの?
色々とね。あとで話すわ。



解説)
続きます。
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