May 10, 2024
メルティの世界で そのきゅう
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ピノコたちは
水が引いた後の世界にやってきた。
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ジョン、帽子を見つけたよ。
と猫が言っている。
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二手に分かれて、
壁に沿って探索してみよう。
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ジョンとピノコたちは、
トンネル工事現場近くの
池があったところにたどり着いた。
水は随分引いたみたいだけど、
池は残っているんだね。
あ、あっちから舟が。
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メルティたちを乗せた舟は
ゆっくりと桟橋に近づいてきた。
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無事だったんだね。
心配してたんだよ。
水がどんどん増えて、
壁も霞んで見えなくなったの。
渦に飲みまれそうになったけど、
なんとか無事だった。
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こっちでも洪水状態で
大変だったんだ。
みんなで魔術劇場に避難したら、
ヴィヴィアンが呼び出してくれた
バルっていう水の精霊が
増水を止めてくれたんだよ。
とジョンが言った。
そんなことがあったの。
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ごめんなさい。
私が滝を見たいって願ったせいで、
沢山の滝の水が池に降り注いだの。
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その時、桟橋で水を飲んでいた子猫が言った。
池に何か映ってるよ!
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池の面に巨大なメルティの顔が
現れて、話し始めた。
メルティ、よく聞いて。
この池は、異世界の泉と繋がっているの。
それを望んだのはあなたであって、
あなたの夢を見ている私でもある。
![a92](/~shimirin/blog/kirita/entries//20240510202732.files/a92.jpg)
でも池の水が急に増え続けたのは、
あなたのせいじゃないのよ。
すごく悔やんでいるみたいだから、
それを伝えたくて出てきたの。
あれは、
カエルの姿をした夢食いヘクトンの仕業。
ヘクトンは、あなたに夢見の水を飲ませて、
沢山の滝を想像するように仕向けたの。
ずっと家にいてもいいって言ってた、
親切なカエルだと思ったのに。
それはあなたが消えちゃうとまずいからよ。
ヘクトンは迷いの森から
新しくできた水の通路を通ってやってきて、
この夢の世界を水で満たして、
カエルの楽園にするつもりだったみたい。
でもそのためには夢の主人公である
あなたの同意を得る必要があった。
それであんなに綺麗な滝のイメージを。
ヘクトンは泉の水の精霊の力で、
迷いの森に追い返されたわ。
この池の水はこれからは増えることも
減ることもない。
長い間目覚めることのない私たちの夢は、
夢食いたちの理想郷なの。
これからも気をつけてね。
![a93](/~shimirin/blog/kirita/entries//20240510202732.files/a93.jpg)
そう言い終えると
池の面の顔はうっすらと消えていった。
私も迷いの森から来たみたいですけど、
ここに住んでもいいですか?
とカタツムリが言った。
夢くいじゃなければいいわよ。
解説)
続きます。
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