Aug 04, 2024
浴衣とフラハとの会話など
サラたちの部屋。
たまきが冷やし中華を
食べている間に。
サラは、フミコに浴衣の着付けをしていた。
よくお似合いよ。
ありがとう
この図柄も気に入ったわ。
なんだかすごく懐かしい人がいるなあ。
と頭蓋骨のお父さんが言った。
誰だったか忘れてしまったが。
メメもメーメーと言っている。
お面被ってるけれど、
あなたは頭蓋骨なのね。
とフミコは言った。
どなただったかしら。
私も思い出せないけど、
あなたたち、なぜかとても懐かしいわ。
アイスとフラハは
鏡の扉を使って魔術劇場に移動してきた。
この鏡の扉は誰でも使えるように
固定式にしたの。
ハリーは魔術劇場の中に、
扉のための専用の部屋を作ってくれた。
いくらでも魔法で部屋を増設できるなんて
便利だなあ。
この館には何人くらい住んでいるんだい。
数えたことないけど、
ハリーとカーミラと娘のヴィヴィアン。
ハリーの妹のジャンヌと娘のマリア、
劇場のショーに出演する操り人形のパペや、
人の身代わりになるセリア、
出入り口を管理しているピエロのエヴァ、
他は訳ありの同居人や客人たちね。
デジャの従業員になってるイリヤ、ヨシフ、ジョニー、
農家の手伝いをしてるヘルミーネや
部屋を管理してるデュアンとメルティ、
カーミラの知り合いの怪盗ゼロや
幽霊船船長のクックドゥー、路上アーティストのトマソン。
それに新しくフミコが加わった。
ざっとそんなところかしら。
夢見の水の精霊のバルも忘れないで。
と言いながらヴィヴィアンが現れた。
あ、私はハリーの娘のヴィヴィアン。
フラハさんね。お噂はかねがね。
父は魔術書を探してるけどすぐ来るわ。
椅子が足りなから、
その前にちょっと模様替えを。
椅子とテーブルと
食べ物、飲み物がセットされると
ハリー夫妻もやってきた。
面々の紹介が終わるとハリーが切り出した。
フラハ久しぶりだね。
100年ぶりくらいか。
もっとじゃないかな。
若い頃は
カエル王子ごっこなどをやって
よく遊んだな。
いつから姿をくらましたんだ。
ふむ。今でも、手に水かきがついている
夢を見ることがあるぞ。
私は魔法や魔族に対する風当たりが
強い西欧の某国にいてさ。色々あって、
すっかり人間の世界が煩わしくなったんだ。
それで、まだまだ魔術に理解のある
アフリカの部族社会に溶け込んだんだが、
その一つの村には長老がいてね。
彼に気に入られてある土地を譲られた。
土地と言っても境界線など誰にも見えない領域で、
見かけは一面のジャングルだったんだがね。
とにかくそこにいて、やがて訪れる
精霊の出現を待っていて欲しいと言われて
暮らしていたところ、
マークという放浪者のような男と出会った。
ひとめ見て、彼は人間じゃなくて
フィギアの精霊だとわかったよ。
彼に土地に住む許可を与えると、
マークは頑張って土地を開墾して、
そこは今では小さな集落になっている。
私はその集落の外れに住んでいるのさ。
なるほどなあ。
それが巡り巡って古代の魔族の復活に繋がるわけか。
その長老というのは未来が見える
魔族の預言者だったのかな。
それはそうと、これは
私とマーリンが苦労して手に入れた魔術書だ。
中世に散逸して幻の書と言われていたものだよ。
この手引書のおかげでマーリンは異世界を作れるし、
私も魔術劇場やら鏡の扉を作れるようになった。
君が読むなら喜んでお貸しするがどうかね。
ふむ。君がその本を持っていることはアイスから聞いたよ。
私も若い頃からずっと読みたいと思っていたが、
今思えば、君やマーリンへの対抗心があってのことかな。
呪文は覚えられても、持って生まれた
呪力だけはどうにもならない。
フミコの頭蓋骨の蘇生を試みて思い知ったよ。
だがもちろん魔術や呪文への関心を失ったわけではない。
貴重な本なのだろう。
これからは、ちょくちょくここに来て、
読ませてもらうことにするよ。
とフラハが言った。
解説)
続きます。
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