Haizara-Cho::Suigara-yama 99[Shinsuke Kirita]

海辺へ

飲み会と化した
探偵事務所での懇談は続いていた。




今日もいい天気。
今年の夏はひときわ暑いわね。
海にでも行きたいなあ。




フミコ、
海って見たことあるの？
あるわよ。鏡の扉でどこにでも行けたから。
でもそれは遥か昔のこと。
ちょっと海辺の風景を思い浮かべてみて。




たまきが海辺の風景を
思い浮かべると、窓の外に
海が見えた。

あらら。




そうそう、
あんな感じだった。

これって魔法なんですか。
そうね。幻影。

白雲が湧き、気持ちよさそうに
椰子の葉がそよいでる。




行ってみますか。
と言ってフミコが席を立ち、
部屋の隅に行って呪文を唱えると、
鏡の扉が現れた。

わーすごい。
行けちゃうの？




たまきとモモコが鏡の扉を抜けると、
そこは海辺の波打ち際だった。




探偵と鷲尾翠とエリスも
後に続いた。

ここはどこだろう。
この海は太平洋？




ここはたまきの心から生まれた、
海辺のイメージの世界。
鏡の扉で別の場所に移動したわけじゃないのよ。



解説）
続きます。