Apr 09, 2024
花の季節 そのはち
魔術劇場の中。
メルティは扉を抜けて、
二人を別の部屋に案内した。
この部屋は共同のスペースです。
逗留する人達の憩いの場。
室内にはカーミラとデュアン、
パペとヘルミーネがいた。
ヘルミーネはバナナのケースを
テーブルに運んできたところのようだ。
メルティはみんなを紹介して、
今、局長とサラに
魔術劇場の中を案内していた
ところだと言った。
これはこれは管理局の局長さん。
お初にお目にかかれて光栄ですわ。
ハリーやヴィヴィアンから
お噂はかねがね。
私はハリーの妻のカーミラと言います。
サラさんもお久しぶり。
とカーミラは言った。
魔術劇場が広場に越してきたので、
農産物の一時的な保管場所に使えて、
すごく便利になったんです。
とヘルミーネが言った。
ヘルミーネは農家の直販店の手伝いを
しているので広場でよく見かけるし、
カーミラとも何度か挨拶したことはある。
パペというゼンマイ仕掛けの人形の奏でる
「ある愛のうた」も聞いたことがある。
でもこのデュアンっていう人は、、、
とサラは思っている。
サラさん。私のことをご存知ないでしょうね。
普段外に出ないので。とデュアンは言った。
でもあなたが町に来る前から、
ずっとこの町に住んでいたんですよ。
2021年や2022年のハロウィーンには
修道女のコスプレで参加してたんです。
そこで知り合ったハリーさんに勧められて
2年前から魔術劇場に住むことになりました。
デュアンはね。
ずっと魔術劇場の屋内の管理を手伝ってくれているの。
入居者が増えたので、メルティにも頼んだんだけど。
もともとハリーのお招きしたお客様で
自由な身の上なのに感謝してるわ。
とカーミラが言った。
カーミラに先導されてサラたちが扉を抜けると、
そこは新しい応接間のようで、
ハリーとヴィヴィアンがワインを飲んでいた。
二人も着席して歓談が始まった。
魔術劇場の中はいかがでしたか。
最近は簡易ホテル状態になっていますが。
とハリーが言っている。
それぞれのお部屋が
鏡の扉で繋がっていて、
部屋数も自在に増やせるなんて、
便利そうですね。
管理局でも取り入れたいくらい。
あら。魔法を使えば簡単なんじゃない?
管理局には、そんな魔術師がいないのかしら。
とヴィヴィアンが言った。
この世界でいうハリーのような魔術師はいないわね。
もちろん私たちにも、
異世界を生み出すことや消滅させることは
簡単にできますよ。
でもそれは魔術とは別の力。
ついでに言うと、便利そうで取り入れたいけど、
管理局の中ではあなたたちの魔法は無効なのよ。
ああ、仕事の話はやめましょう。
と局長が答えた。
私はデュアンさんのことがお聞きしたいわ。
デュアンさんは私より前からこの町にいたって
おっしゃってましたよね。
でも広場にはおいでにならない。
何か特別な理由があるんですか。
特別な理由っていうこともないんですけど、
色々人間関係でごたごたがあって、
私修道院に入ろうと思っていたんです。
そんな思いもあって、ハロウィーンには
修道女のコスプレを着てたの。
その姿を見かけた私が声をかけたのです。
魔術劇場の中なら修道院のような
俗世間と離れた暮らしができますよってね。
とハリーが言った。
そのとき、鏡の扉から
エヴァが現れた。
お話中申し訳ないですが、
局長さん。管理局の方が入り口においでになって、
なんでもオリュンポスの方から
お呼びがかかっているとか。
あ。約束すっかり忘れてたわ。
もうそんな時期なのね。
行かなくちゃ。
と局長が言った。
解説)
デュアンのこと。
デュアンは、修道女のコスプレで、
2021年10月31日「ハッピーハロウィン」
2022年10月27日「もうすぐハロウィーン」
などに登場しています。
2022年の11月に入ってからデュアンが
魔術劇場で暮らすことになった、
という記載があります。
サラが町で暮らし始めるずっと以前の、
2008年4月24日からの「デュアン」シリーズに
登場していますが、
その後の行方は杳としてしれず、
色々苦労していたようなのでした。
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