Mar 08, 2024
春の足音 そのご
今日も雨模様の曇天。
広場ではレイチェルを見かけたルビーが、
声をかけていた。
こちらはバルさん。
バルさんは夢見の水の精霊なんだけど、
ヴィヴィアンの魔法の呪文で人間の姿になったのよ。
呪文を教えてもらって、いつでも自分で
この姿になることができるようになりました。
あの人、相変わらず魔法使いまくってるのね。
私はロボット学者のレイチェル、どうぞよろしく。
ところで、バルさんが、
夢見の水がシェリー研究所に運ばれるのを見て、
何に使ってるか関心を持っているの。
シェリー博士にお話聞けないかな。
ああそれなら、事情を話して博士をお連れするわ。
私も大体のことは知ってるけど、
密猟者から入手した夢見の水を使ってることは、
一応秘密だから博士に相談しないと。
とレイチェルが言った。
ベーカリーの二階のベランダでは、
天気が怪しいので、
ペギーが洗濯物を取り込んでいるところだった。
休憩用の椅子にはトマソンがいて、
しきりにノートに何か描いている。
トマソンは、自分が夢で見た世界を、
思い出しながらスケッチしているのだった。
ベランダと扉を隔てた
ドルフィンの二階では、
モモコと駒井今子が、
相変わらずお茶の作法を真似して遊んでいた。
ニッキーはデイリープラネットを読んでいる。
トマソンさんを扱った連載記事に
本人の写真とインタヴューが載ってるわよ。
「僕の作品のアイデアは夢の中にあるんですよ。
僕はよく、この世界の6倍スケールの
とてもクリアな夢を見て、
そこで見たものを忠実に再現しているんです。」
ですって。
6倍のスケールの世界ですって?
それって私が夢で見た
ジェーンの住んでいる世界と同じ。
私トマソンっていう人に会って
そのお話聞きたいなあ。
洗濯物を取り込んで、
部屋に入ってきたペギーが、
トマソンさんだったら、
今ベランダに来てるわよ。
と言っている。
解説)
都合のいいタイミングで、
エピソードらしきものが
始まったようです。
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