Dec 20, 2024
ジェーンのいる世界 そのさん
この食器棚には、
普段は滅多に使われない食器が収納されているの。
この蓋つきのスペースには
お茶碗と急須のセットが仕舞ってあったけど、
苦心して別の棚の目につく場所に移動したのよ。
だからお茶碗セットが必要になっても、
開けられる可能性は少ない。
さすがジェーンね。
お部屋の中、見てもいい?
もちろん。
それは端切れを集めたの。
裁縫セットもある。
隅にあるのは香炉のようだ。
未使用のキャンドルや、
焼き鳥用の竹串も並んでいる。
各種調味料の入った小瓶がある。
あの絵がプリントされてる容器は?
あれはドロップの入っていた空き缶。
隅にあるのは何かしら。
あれはライター用のオイル缶。
もっぱらランプ用なのよ。
大きなお絞りやマッチ箱もあるのね。
そのキャップは最近借りてきたの。
お水を飲むのに手頃でしょ。
二人のおしゃべりは続いて、
話しているうちに話題はダリオのことになった。
ふーん。私と同じ種族の人なのね。
しかも魔法でモモコのいる世界に行って、
暮らしているなんて面白い人。
ジェーンはずっとこの家に住んでるんでしょ。
外には出ないの?
偶然窓やガラス戸が開いていて、
家の主人が留守の時、たまに出ることがあるわよ。
今年の4月にはトマソンさんと散歩したわ。
でも普段はドアや窓は閉まっているから
私の力では開けるのは無理。
そうか。
こっちの世界も季節は同じでしょ。
紅葉が見頃のはずだから、
ちょっと外に出てみたいなあって。
ふーん。
しばらく考えていたジェーンは
何か思いついたようで、
あなたなら出られるかも。
といった。
この書庫には天窓があるの。
その窓は通気のために、
網戸状態になっているはず。
そこまで登るのが大変だけど、
あなたなら。
二人は食器棚の家から出て、
壁の本棚の上方を眺めている。
あの本棚のてっぺんのあたりに、
天窓があるのよ。
モモコなら飛んでいけるでしょ。
よく見えないけど、そうなのね。
とモモコは言った。
解説)
続きます。
Edit this entry...
wikieditish message: Ready to edit this entry.
A quick preview will be rendered here when you click "Preview" button.