Sep 23, 2024
山に行く
アイスとダリオとマリアは
山の中腹にあるという、
九官鳥が巣をかけている木を見に行った。
実はさ、ルビーから聞いたんだけど、
九官鳥に小さな宇宙人がさらわれて
レプテュリアンが円盤で
取り返しに行ったというのよ。
とアイスが言った。
それは知らなかったな。
僕はずっと君たちの町にいて、
留守していたからね。
これは佳奈から聞いたけど、
その九官鳥の住む樹木って、
生命の樹って言われていたらしいわね。
それを佳奈に教えたのは僕だよ。
原住民の間でそんなふうに言われてた。
もう随分昔のことだけど。
あ、もうすぐこの先だよ。
黒猫に変身しているマリアは
走り出している。
3人は樹木の見える場所に
やってきた。
おおこれは。
なんという。
ちょっと気になってたんだけど、
やっぱり悪い予感が当たっちゃったみたい。
たぶん宇宙人を救出したレプテュリアンが、
九官鳥の巣を破壊していったのよ。
これは相当だなー。
九官鳥は無事のようだが、
巣を無くして戸惑っているようだ。
私なんとかしてみる。
そういうと、アイスは
心に浮かんだ呪文を唱え始めた。
すると周囲に薄い煙が立ちのぼり、
やがて一陣の風が煙を吹き払うと
緑の生い茂る木立の姿が現れた。
樹木の高みの太い幹の中から
顔のようなものが出現した。
あなたが癒してくれたのね。
どうもありがとう。
とその顔は言った。
あなたはどなたです?
とアイスは言った。
見ての通り、私はこの樹木の精霊。
長いこと生きてると、
いろんなことがあるものね。
あら、あなたは魔族じゃないのね。
まあどうでもいいけど。
お礼に何か願いを叶えてあげましょう。
お礼なんていいですよ。
とアイスは言った。
ふーん。そうなの。
ここにはいろんな人がやってきて、
願いごとをしていったのよ。
それはもう昔の話だけど。
とりあえず、枝葉の修復に
何十年もかかるところだった。
どうもありがとう。
あなたのことは忘れないわ。
そう言うと、
顔は幹の中に沈み込むように消えていった。
さっきの呪文、なんだったんです。
聞いたこともない言葉でしたが。
よく覚えてないわ。
ただ心に浮かんだ言葉を言っただけ。
九官鳥も喜んでいるようだ。
解説)
続きます。
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