May 07, 2024
メルティの世界で そのろく
家の中に入ると屋内はぼろぼろだった。
あ、さっきのカエルがいるよ。
大きなカエルが口を開いた。
ようこそ。
私はヘクトンと言います。
あなたがこの夢の世界のご主人ですね。
先ほどは息子たちを助けていただいて
ありがとうございます。
その上、たくさんの大きな滝を
思い描いていただいたおかげで、
池のお水が一気に増え続けています。
なんですって!
とメルティが言った。
もうすぐこの世界は一面の池水に
覆われることでしょう。
もっとも、この家は安全ですので、
いつまでもいてくださって構いませんよ。
こちらにどうぞ。
メルティたちは客間に案内された。
まあ随分素敵なお部屋だこと。
風通しも良さそうね。
と、冗談はさておき、
ああ、私ったら。
こんなことになるなんて。
どうしようサラ。
とメルティはいった。
なんとか止めてもらえないかしら。
二人は先ほどの部屋に戻ってみたが、
もうヘクトンの姿はなかった。
大丈夫。
全てが水とジャングルの世界になっても、
あなたの見ている夢なんだから、
きっとなんとかなるわよ。
でも、ジョンもピノコも、
シュレディンガーも猫たちも、
みんな外の世界からやってきた、
私のお友達でしょう。
溺れて死んじゃったりしたら、
私の夢の力では変えられないのよ。
とりあえず、この家を出て、
みんなのところに戻りましょう。
ヘクトンさんはいい人みたいだけど、
ここにいたら、掃除したくなって、
部屋が綺麗になったら
ずっと暮らしていたくなる気がする。
そうだね。
そばで聞いていたカエルが、
帰るの?
と尋ねた。
うんカエル。
もう帰れる場所はないよ。
その頃、ピノコたちは困っていた。
池の水がどんどん増水して、
とうとう、ここまで寄せてきましたね。
メルティたちは無事でしょうか。
舟に乗っているから、
池には浮かんでるはずだけど。
ドア近くまで灌木が出現して
その縁まで池の水が増えているのだった。
うまいうまいと言いながら、
ごぶごぶと水を飲んでいる猫もいる。
舟が見えない。
早く帰ってこないかなあ。
このままじゃ溺れちゃうよ。
私泳げないのよ。
肉まんもうないの?
ひたすら眠い。
などと
猫たちは言っている。
百猫の王シュレディンガー様。
お助けください。
こうなったら、やむを得ないな。
メルティからは、
猫たちを通すなって言われてたけど、
みんなで扉から脱出しよう。
その頃、
ジャングルの廃屋を後にした
メルティたちが目にしたのは、
茫洋とした一面のウォーターワールドだった。
解説)
続きます。
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