Sep 24, 2024
山に行く そのに
魔術劇場では、
ハリー一家と、遅く起きてきた
フミコがお茶を飲んでいた。
昨夜は楽しいおもてなしを
ありがとうございました。
すっかりご馳走になっちゃって。
いやいや。
ああして魔族が集まったのは久しぶりだ。
先祖の君がいてくれたおかげで、
大いに盛り上がったよ。
みんな興味津々だったからね。
考えてみればそれもアイスのおかげかな。
アイスといえば、
彼女、強力な再生の呪文を使ったみたいですよ。
ふーん、どうしてわかるの?
とヴィヴィアンが尋ねた。
アイスには、この肩飾りの宝石を一つ外して、
指輪を作ってあげたんです。
その指輪から私に波動が伝わってくるの。
フミコが手を振ると、
部屋の壁に、アイスが呪文を唱えている
情景が映し出された。
あ、マリアもいるのね。
あの子いつの間に。
情景は樹木の変化の様子を
映し出している。
これはすごい、
なんでもありのパワーだわ。
あの人、人間でしょう。
魔術の書には載っていない呪文だな。
立派な樹木ね。あそこはどこなのかしら。
などと言っている。
あれはアフリカです。
そうそう、お世話になっているお礼に、
御一家を私の故郷にお招きしたいんですが。
故郷といっても、今はもう何もない
寂れた遺跡なんですが。
それは嬉しいわ。
ずっと旅行してないし。
お母さんはここにいても
ずっと引きこもりだからね。
喧騒が苦手なのよ。
遺跡に人は誰もいません。
旅行といっても鏡の扉を
潜り抜けるだけなんですよ。
遺跡の町と湖と高原と
どこがいいですか。
もう秋だから高原ね。
とヴィヴィアンが言った。
その頃アイスたちは、
山の中腹を下り、ダリオの家に
帰る途中だった。
しかしレプテュリアンって冷酷だね。
あそこまでしなくてもいいのに。
自然や動物愛護の精神に欠けてますね。
それでいてリクガメが好きなんだから、
やることが人間と同じだね。
などと話している。
そのとき、九官鳥が
ハヨーハヨーと鳴きながら、
上空を掠め飛んでいった。
九官鳥は、
風切り羽根を落としていったようだ。
マリアは人の姿になった。
随分大きいわね。
これ使えるかも。
などと言っている。
アイスとマリアは、
羽根にまたがると
呪文を唱えて空中に飛翔した。
やっぱりね。
ちょっと散歩してくる。
なんでもありですな。
僕は家に帰ってますから。
とダリオが言っている。
解説)
続きます。
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