Apr 27, 2024
春たけなわの日々 そのご
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広場では、
相変わらず人だかりがしていた。
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ドルフィンに戻ってきていた
マヤと佳奈が話している。
マヤはロボットに詳しいんでしょう?
あれは江戸時代に、からくり半蔵と呼ばれた、
細川半蔵っていう人が書いた指南書「機巧図像」を
元に作られたゼンマイ仕掛けの「茶運び人形」を、
そのまま6倍スケールに巨大にしたものよ。
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あの涼しげな澄んだ瞳と
謎めいた微笑みが素晴らしいですなあ。
ずっとみていると
気分がくるくるしてくるようだ。
とサルバドールが言っている。
そうなの?
とアイスが言っている。
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なんか足りないのよね。
とモモコ。
ルビーさん、これどうするんですか?
お店の前で邪魔だからね。
とりあえず撤去するしかないかな。
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そこにトマソンが
巨大な器を持ってやってきた。
これを置くのを忘れてました。
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これで完成なんです。
トマソンさん。
いつもの空き缶やペットボトルと違って、
粗大ゴミ扱いするのは、
ちょっと躊躇するんですけど、
ここはお店の前なので。
ああ、捨ててもらっていいんですよ。
作品を作って路上に設置するまでが、
僕の芸術行為なんです。
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ドルフィンのスタッフのリタと佳奈が、
撤去作業に取り掛かるために近づいてきた。
なんだか勿体無いな。
人間に似てるせいかしら。
なんでも顔がついてると捨てられなくなるのよね。
壊さずに移動できないの?
などと話し声が聞こえる。
移動ならできますよ。
とトマソンが言った。
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ゼンマイを巻いてありますから、
あとは茶碗の中に水を注げばいいんです。
受け皿の部分が重さを感知して移動するんです。
さっそくアイスがバケツで水を運び、
舞がヤカンから水を注いでいる。
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茶碗の水の重みで
内部の歯車のストッパーが外れ、
茶運び人形はそろそろと動き出していった。
解説)
なんとなく
一件落着ふうになったのでした。
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