Mar 27, 2024

春の誘い そのよん

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やがて少しだけ時が流れて。


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トマソンの周りには
人が集まっていた。


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新聞で見ました。
私ファンなんです。
サインしてください。
と観光客が言っている。


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捨てちゃう前にもう一度。
と言いながら、
エトナが写真を撮っている。


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魔術劇場から、逗留している
あいこちゃんやロベリア、サヤカと一緒に、
ヴィヴィアンが広場にやってきた。


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その姿を見かけた
サルバドールは。


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さっそく話しかけている。

ヴィヴィアンさん。
お久しぶりです。
その節は随分お世話になりました。

サルバドール。
迷いの森に帰って以来ね。
この町に舞い戻ってきたということは、
よほどトマソンさんの作品が気になったみたいね。

ああ、お見通しなんですね。


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トマソンさんから、迷いの森で、
サルバドールっていう人に出会って、
帰り方を教えてもらったって聞いた時から、
すぐにぴんときたわよ。
まして彼はこの町に来てから、
路上に放置するオブジェを量産し始めたから。
これは当然、
夢魔のサルバドールが取り憑いてるなってね。

そのことなんですが、
トマソン氏はそういう事情を全く知らないんです。
彼はすごく繊細な芸術家タイプなんで、
私が彼に憑依していることは、
できれば秘密のままにしておきたいんです。

いいわよ。
あなたが芸術家を破滅させることもある
高名な夢魔だっていうことも、黙っていてあげる。
でも父のハリーも気付いているし、
当然、管理局のバグやミラは知ってるでしょ。
いつまでも隠しておくのは難しいかも。
あ、管理局といえば、
また局長が遊びに来てるのね。

それもご存知だったんですか。
魔術劇場は今は郊外にあるけど、
私にはヒソコという派遣コウモリがついてるからね。
彼女がいつも広場の上空を飛び回っていて
教えてくれるのよ。


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サルバドールと別れたヴィヴィアンは
マンゴー亭のテーブル席にやってきた。

局長、今年もお会いできて。
ヴィヴィアンさん。
去年はおせわになりました。

あら、バルともうお会いになってるのね。
泉の水の精霊を、私が人の姿にして差し上げたけど、
その件で来られたわけじゃないでしょう?


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普通のプライヴェートな休暇ですよ。
ここの肉まん食べに。
と局長が言った。



解説)
二人にまつわる
あれこれが続いています。
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