May 05, 2024
メルティの世界で そのよん
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さらに舟は進んでいく。
桟橋も灌木も見えないわね。
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今度はハスの葉に乗った
カエルを見かけた。
お兄ちゃんはあっち、と言っている。
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ハスの茂みのようなものが見える。
岩の上にもカエルがいるようだ。
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ああ、これは良いところに。
ところで、どこも切り立った岸壁ばかりで、
上陸できないのです。
ほとほと泳ぎ疲れてしまいました。
平坦な岸辺まで乗せていってもらえませんか。
とカエルは言った。
いいわよ。
平坦な岸辺って私たちも
探しているところなの。
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これは水上タクシーですか。
そう見える?
私たちは舟遊びをしているだけ。
料金なんていらないのよ。
それはご親切に。
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やがて池に靄がかかり
幻影のような湿地帯が現れた。
カエルたちは、そこで一句。
と言いながら水音高く
池に飛び込んで行った。
やがて一匹のカエルが池面に
顔を出した。
ありがとうございました。
お礼に良いことを教えましょう。
この池に注ぐ清水を飲めば、
願い事が叶いますよ。
ではボン・ボヤージュ。
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清水なんて見なかったわ。
それにここはどうなってるのかしら。
あっちに水路があるよ。
小舟は不思議に勝手に進んでいく。
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小舟は水路の行き止まりで停止した。
あれが池に注ぐ清水らしいね。
喉も乾いてるし、
言われた通り飲んでみましょう。
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お、美味しい。
顔も洗うと気持ちいいわ。
この味は、夢見の水と同じよ。
解説)
続きます。
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