Jul 06, 2024
フラハの家で
夜が明けた。
おはよ。今朝も快晴ね。
おはようございます。
あ、アイスさん。
リンとマークが待ってますよ。
3人はさっそくフラハの家に向かった。
みんな早起きなのね。
ここでは夜明けとともに。
リンは変わったトカゲに見とれているようだ。
フラハは家の戸口で
3人を出迎えてくれていた。
こちらはリン。
ご存知と思いますが、
この集落でクラウド博士と一緒に遺跡の研究をしている。
今回の遺跡調査にも参加した人です。
とマークはリンをフラハに紹介した。
何度か見かけて顔は知っているが、
直接に対面してお会いするのは初めてだな。
何やら大変なものをバッグにお持ちのようだ。
ようこそ。どうぞよろしく。
とフラハは言った。
今日はそのことで伺ったんです。
実はバッグの中に二つの人の頭蓋骨が入っています。
それらを蘇生させていただけないかと。
なんとそんな難しいことを頼みにきたのか。
まあ、あっちで話を聞こう。
とフラハは言った。
3人は遺跡調査で分かったことのあらましを
口々にフラハに話した。
それでこの頭蓋骨から、ハンスという人物と、
フミコという魔術師を蘇生させろというのか。
動物や物品に宿っている精霊に働きかけて
人間の姿で目覚めさせることはできるが、
頭蓋骨から死者を蘇生させるのは難しいんだぞ。
集落にたまに来る原住民たちの間では、
あなたならできるだろうっていう噂ですよ。
とマークがいい、
強力な魔術師だったらできるかもしれないって
リンリンも言っていました。
とリンも言った。
頼まれて古いトーテムの精霊を
呼び出したりしてやったりしたからな。
噂は尾鰭がつくものだよ。
その場に突然人の姿が現れるので。
同じことのように思えるかもしれないが、
生きている精霊に働きかけるのはわけが違う。
幽冥界に働きかけるわけだから、
強力な呪力と特別な呪文が必要なのだ。
そうその特別な呪文を、
教えてもらってきたって、さっき話したでしょう。
とアイスはかめ新聞をフラハに示した。
そ、そうだったな。
ではやってみるか。
かめ新聞に書き付けられた呪文を暗記してから、
フラハはハンスの頭蓋骨を前にして、
呪文を唱えはじめた。
その槍も必要なんですか。
これは気持ちの問題だよ。
薄い煙が立ち上ると、
頭蓋骨の輪郭が薄れていき
なんとハンスが蘇った。
ここはどこ?
と呟いている。
お父さん、わかる?
リンよ。
駆け寄ったリンから話を聞いたハンスは
記憶を取り戻し、事態が飲み込めたようだった。
フラハは続けて
フミコの頭蓋骨に向かって呪文を唱えたが、
頭蓋骨は微妙に振動しただけで、
何も起こらなかった。
うーむ。反応はするものの。
これは私の呪力不足のせいだろう。
フミコと同時代に生きていた魔族の魔術師でも
蘇らせることができなかったというじゃないか。
それから途方も無い時が経っているし、
相当な呪力の持ち主でないとこれは
不可能だろうな。
分かったわ。
私魔族にも魔法にも詳しくないけど、
一人だけ心当たりがあるの。
とアイスが言った。
ハリーかい。それともマーリンかな。
確かに彼らは優れた魔術師だ。
だがあいつらとは何百年もの付き合いだが、
別の場所に移動できる鏡の扉や、
共同で夢見る異世界を生み出すことができても、
死者を蘇らせたという話は聞いたことがないぞ。
ハリーの養女で、マーリンの実の娘。
この前話したヴィヴィアンっていう悪魔よ。
確証はないけど、彼女ならできそうな気がする。
この頭蓋骨私に預からせて。
そうしてくれると私も嬉しい。
と二人のやりとりを聞いていたハンスが言った。
強力な魔術師を見つけてフミコを蘇らせるというのは
グリューンとの約束だったから。
その約束を果たせなかったまま死んだことが無念で、
私の魂は幽冥界に残されていたのかもしれないな。
娘との再会が叶わなかったのも、
無念だったんでしょう。
も、もちろんそうだよ。
解説)
続きます
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