Aug 14, 2024

海辺へ

a1

飲み会と化した
探偵事務所での懇談は続いていた。


a2

今日もいい天気。
今年の夏はひときわ暑いわね。
海にでも行きたいなあ。


a3

フミコ、
海って見たことあるの?
あるわよ。鏡の扉でどこにでも行けたから。
でもそれは遥か昔のこと。
ちょっと海辺の風景を思い浮かべてみて。


a4

たまきが海辺の風景を
思い浮かべると、窓の外に
海が見えた。

あらら。


a5

そうそう、
あんな感じだった。

これって魔法なんですか。
そうね。幻影。

白雲が湧き、気持ちよさそうに
椰子の葉がそよいでる。


a6

行ってみますか。
と言ってフミコが席を立ち、
部屋の隅に行って呪文を唱えると、
鏡の扉が現れた。

わーすごい。
行けちゃうの?


a7

たまきとモモコが鏡の扉を抜けると、
そこは海辺の波打ち際だった。


a8

探偵と鷲尾翠とエリスも
後に続いた。

ここはどこだろう。
この海は太平洋?


a9

ここはたまきの心から生まれた、
海辺のイメージの世界。
鏡の扉で別の場所に移動したわけじゃないのよ。



解説)
続きます。
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Aug 13, 2024

探偵事務所での会話

a1

探偵事務所では
飲み物がコーヒーから
ビールに変わっていた。


a2

テーブルには
各種ソーセージと、
チーズが並んでいる。


a3

フミコさんは魔族の方だとか。
私は仕事柄現実路線で、
魔法とかそういうのは
苦手だったんだけど、
この町に来てからは驚くことばかり。

確かに精霊とか、
別世界から来てる人とか、
色々いるみたいだからね。
見かけではわからないけど。
と探偵が言った。


a4

魔族にも住みやすい所みたいですね。
大昔に私たちが魔族だけで都を作ったのは、
普通の人たちからの迫害があったからなんですよ。

でも魔族や精霊や人間の区別って、
生命の営みっていうことから言えば、
それほど厳密なものじゃない。
例えば、そこにおいでのモモコさんっていう方、
すごく呪力をお持ちなのを感じます。


a5

え。私のことですか?
呪力って。
私、魔族じゃないし。

魔族じゃなくても
呪力を持つ人はいるのよ。
そんなにパワーをお持ちなら、
これまでに色々不思議な体験をされてるはず。


a6

あら、この大きなヤモリ。懐かしいわ。
爬虫類好きのレプティリアンたちがよく飼っていた。
ソーセージが食べたいって言ってるわ。


a7

ダルメの言葉がわかるんですか。
いいなあ。モモコやミューみたい。
と鷲尾翠が言った。

それクレステッドゲッコーというヤモリの、
ダルメシアンという品種にそっくりだそうです。
知能も高くて、サイズもずっと大きいですが。
ダルメって呼んでいます。
そのレプテュリアン、
トカゲ人間からもらったんですよ。


a8

そうそう。
去年の初めだったか、トカゲの顔をした人物に、
広場で失くした「カメ新聞」を探して欲しいという
依頼を受けたことがあってね。
見つけたお礼にと言って、カプセルをもらったんだ。
なんでも月世界でガチャをやって、
その景品だとか言ってたな。
そのカプセルから出てきたのが、そのヤモリなんですよ。

そうだったのね。
そのトカゲ顔の人物の容姿、
思い出せますか。


a9

探偵は昨年の2月9日に、
トカゲ顔の人物が事務所に来た時の情景を
思い浮かべてみた。


a91

やっぱり。
リザードだったのね。

お知り合いだったんですか。
あのトカゲ人間、時々ここに来るんですよ。
私が最初に知り合ったのは、
一昨年のハロウィーンの時でした。
私がサラに作ってもらったトカゲ頭の
被り物を被って広場にいたら、
お仲間と勘違いしたみたいで、
「人類のコスプレ文化を見るのは楽しいですな。」
って声をかけられたの。
と鷲尾翠が言った。

なるほどね。
早とちりしたのもリザードらしいわ。
そのトカゲ人間は私の恩人。
彼が伝承の呪文をアイスに教えてくれたおかげで
私は蘇生できたんです。



解説)
続きます。
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Aug 12, 2024

滝を見に行く

a1

4人はアーネストの診療所を目指している。
集落の家々はかなり広範囲に点在しているので、
診療所に行くにも、ジャングルに
分け入らなくてはならないのだった。


a2

アーネストの自宅兼診療所に到着した。
玄関先で葉巻を燻らせていたアーネストに、
佳奈とマークが声をかけている。


a3

あれから、お変わりなく?
うん。あの古代遺跡の探検以来、
グリーンマンに噛まれたという来院者が
いなくなってね。暇で、いたって平穏な毎日だよ。
お連れの方たちは、
新しい探検隊かな?

私の友人のジョーとエルザです。
沼地の方の探検を終えて、
ここには観光気分で滝を見に来たの。
と佳奈が言った。

なるほど。
滝はそこの渓流を遡ればすぐ先にあるよ。
すぐ近くだけど川沿いのルートは
結構険しいから気をつけて。
もし滑って怪我でもしたら
帰りにここに来るといい。
ははは。


a4

4人はアーネストと別れて
川沿いに歩いて行った。
確かに滑りやすそうな石が
ゴロゴロとしている。


a5

涼しそうな、いい景色。
もうこのあたりでいいんじゃない。

まだまだ。
と佳奈が言って、
岩を登ろうとしている。


a6

滝ってここのことね。


a7

みんな思い思いに
くつろいでいる。

佳奈、いつの間に。
用意がいいなあ。


a8

気持ちいい。


a9

やっぱりこれが一番ね。
そのベルトのホルダーもビールなの?
もちろんよ。

私にもー。
と佳奈が言っている。



解説)
続きます。

Posted at 20:25 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Aug 11, 2024

探検を終えて

a1

沼地とジャングルを越えて、
無事にマークの家に帰り着いた4人は、
一息ついて居間で話し合っている。


さてと、探検は無事終了したわね。
目的地についてすぐ鳥を撮影できたから、
現地で泊まり込んだりせず、
予想してたより短い日程で済んだ。
これからどうしようか。

せっかくアフリカに来たんだし、
この近辺を見物したいなあ。
どこかおすすめの場所ありませんか。
とジョーが言った。

僕らが探検した古代遺跡はあるけど、
気軽に観光で行くには遠くて危険だね。
これまで住民たちも近寄らなかった場所なんだ。
基本この集落は深いジャングルの中にあって、
滅多に訪れる人もない僻地なんだよ。

あそこなら気軽に観光気分が味わえるかも。
と横で聞いていたアマンダが言った。

心当たりがあるのかい。

アーネストの診療所の前に
渓流が流れているでしょう。
そこを上流に辿っていけば滝があるのよ。

アーネストさんの診療所なら、
シーザーの怪我を治療してもらいに、
リンと行ったことがあるから場所わかるよ。
と佳奈が言った。


a2

また留守番頼んじゃって悪いね。
とマークがアマンダに言っている。

いえいえ。
みなさん。近場なので、
リュック背負っていくほどの
場所じゃないですけど。
あれって主に食料が入ってるの。
などと話していいる。


a3

ペンギンの前で。

たまきたちがコーヒーを飲んでいると、
ペンギンの二階の探偵事務所から、
ペンギンにコーヒーの配達を頼みに、
エリスが降りてきた。


a4

いつものコーヒーお願いね。
あら、たまきじゃない?
久しぶりね。
と言っている。


a5

ハロー、エリス。
あ、あなたにも、
この人を紹介しようと思ってたところ。
町に来たばかりで、
フミコっていうのよ。

そーなの。
初めまして、私はエリス。
この喫茶店の二階の探偵事務所で、
心理カウンセラーをやってるの。
そうだ。
暑いし、私たちの部屋で
コーヒー飲んだら?
部屋のみんなに紹介できるし、
冷房効いてるわよ。


a6

たまきとフミコは
探偵事務所でコーヒーを飲むことにした。
私立探偵の志津川和志と、探偵助手の鷲尾翠に
紹介されている。


a7

浴衣姿お似合いですね。
こー暑いと流石にこたえますなあ。
などと探偵が言っている。


a8

そうね。
赤道直下のジャングル程じゃないですけど。


a9

そこにモモコが
やってきた。
エリスいる?
と言っている。


a91

モモコはさっそくフミコに紹介されている。

こちらはモモコ。
モモコは時々、ここに遊びに来るお友達なのよ。

カウンセリング受けてるわけじゃないけど、
いつもエリスに見た夢の話を聞いてもらってるの。
私は普段ジェニーたちの部屋で暮らしてるけど、
外泊も多いから、フミコさんとは初対面ね。
ジェニーやナオミから聞いたけど、
昨夜の花火あなたの仕業だったって?
綺麗だったね。
とモモコは言った。



解説)
続きます。
Posted at 20:33 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Aug 10, 2024

鳥を探しに そのよん

a1

一行は屋内に招かれた。

このあたりは天候が変わりやすくて、
雷雨が多いんだ。
何もないジャングルで危険だし、
滅多に人は来ないんだよ。

私たち、大きな鳥の羽根を拾って、
その本体である鳥の存在を
確認しに来たんです。


a2

それで、見つけたのかな。

はい。見つけました。
正体は大きな九官鳥でした。

ふむ。
それはラッキーだったな。
ともあれ、この風雨はやみそうもない。
今夜はここに泊まっていくといいだろう。


a3

翌朝になった。
空はすっかり晴れている。

すごくいい天気よ。
あーよく寝た。
昨日は体力消耗したからね。


a4

おはよう。
エルザたち、
もう起きてコーヒー飲んでますよ。


a5

佳奈は深呼吸している。

おはよ。
ダリオさんが、朝食済ませたら、
帰る前にお話ししましょうって。

あの人、ダリオっていうんだ。
そう言ってたわ。


a6

ここに一人でお住まいなんですか?

そうなんだ。
人里離れていても、自給自足、
食べ物には事欠かないからね。
気楽なものだよ。

私も沼地をこえたジャングルの向こう、
半日ほど行ったところに居を定め、
開墾して、今では小さな集落になった場所に
住んでいるんです。
とマークが言った。

地元の原住民とも多少の付き合いはあるんですが、
沼地の近くに人が住んでいるという話は
聞いたことがなかったなあ。
それはともかく、
一人で人里離れたジャングルの中に
暮らしたいという気持ちはわかります。
初めは私もそうでしたから。

でもすごく立派で快適そうなお家ですね。
建築資材や家具なんてどうやって運んだんですか。
とエルザが聞いた。

ふむ。どこまで話していいものか。
君たちは魔族というものを知っているかね。

ええ。
と4人は頷いた。
親しい友人に魔族の人がいます。
彼は私たちの集落に住んでいるんですよ。
とマークが言った。

実は私は別の世界から来たんだ。
その世界は実に生きにくくてね。
私はその世界で、いわばこの世界でいわれる、
変わり種の魔族だった。
そういえばわかってもらえるかな。
魔法で作った特別な扉を通って来たのさ。

わかるわかる。
と4人は頷いた。
私たちもその手の魔法の扉の恩恵に
預かって、遠いところを移動して来たんです。
とエルザが言った。
でもそんな力をお持ちなら、どんな世界でも、
生きにくい、なんてことないように思えますけど。
と佳奈が言った。


a7

そうでもないんだよ。
私のいた世界には、私たちとは別の種族がいた。
昔は共存していた時もあったんだが、
やがて彼らが全てを支配するようになったんだ。
体がずっと小さかった私たちの種族は、
片隅に追いやられて隠れて生きるしかなかった。

巨人の支配する世界だったのね。

この世界に魔族がいるように、
私もたまたま特殊な能力を持って生まれてきた。
だから巨人たちの住む家に潜んで
彼らのものを借りて住む生活が嫌になって、
魔法の扉を作って、この世界に逃れて来たというわけさ。
巨人たちと共存するサバイバル生活が好きな仲間もいるが、
今や絶滅危惧種状態だ。

巨人たちって、どのくらいの大きさなんですか?

ふむ。
君たちは昨日、
巨大な九官鳥を見たと言っただろう。

はい。

あれがその世界では普通のサイズの九官鳥なんだ。
あの九官鳥は、私のいたその世界から、
そのままの大きさでこの世界に現れたんだよ。

お話を聞いていて、もしかしたら、
ダリオさんが魔法で大きくしたんじゃないかと思ってた。
と佳奈が言った。

そうじゃない。
あれは砂漠の嵐の中から現れた。
砂漠を越えてジャングルに飛んできたんだ。
大きな樹木があっただろう。
あれは昔は原住民に生命の木と呼ばれていた
神聖な樹木らしい。
そこが気に入ったらしくてずっと
住み着いているんだ。

九官鳥は別世界に転生したんですね。
まるで私の身の上とそっくりだ。
とマークが言った。

転生したのが私が来た世界と同じだったのに驚いたが、
あれはものまね鳥で、
意味のあることを話しているんじゃない。
前に生きていた世界で、
巨人たちに教え込まれた言葉を
繰り返しているだけなんだ。

別世界に転生しても、
昔習った言葉を忘れないなんて、
なんだか切ないですね。

ふむ。
さて、随分長話をして、足止めしてしまったようだね。
これから沼地とジャングルを越えるんだろう。
玄関先まで見送ろう。


a8

ダリオは、裏庭にある
小さな小屋を見せてくれた。
その中に魔法の扉が設置してあると言ったが、
遠目から屋内は暗くてよく見えなかった。


a9

お世話になりました。
私たちの集落にもぜひ遊びに来てください。
とマークが挨拶して、
4人はダリオの家を出たのだった。

巨人たちの住む世界か。
すごい話だったね。
その世界からすれば、
私たちの世界は小人たちの住む世界なのね。
ジャンのジオラマの村みたい。
などと話している。



解説)
続きます。
Posted at 21:49 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Aug 09, 2024

鳥を探しに そのさん

a1

4人は木陰で休憩している。

佳奈はさっそく近くを探索して
バナナを調達してきた。

あの鳥は九官鳥でしょう。
九官鳥はアフリカには
生息していないはずだよ。

あの大きさですから、
インドの中東部あたりから
渡ってきたのかも知れません。

それはどうかなあ。


a2

何か話しかけていたんでしょうか。
フランス語で挨拶してたわね。
あれが言葉だとすれば。

撮影には成功したんですか。
なんとかね。

飛んでいっちゃたし、
捕まえることはできそうもないから、
これで目的は達成ね。

なんだか雲行きが
怪しくなってきましたね。

とりあえず、この斜面を下って、
沼地の近くの平地まで戻って、
そこで野営することにしよう。
一晩かけてあのジャングルを移動するのは、
危険だからね。


a3

一行は山の中腹から下山を始めた。

なんかすごい雲が湧いてますよ。
これは急いだほうがいいね。


a4

一行が斜面を下り切らないうちに
激しい雨が降り始めた。


a5

雷鳴が轟いている。


a6

至近の樹木に落雷が。
佳奈は思わず滑って転んでしまった。

大丈夫?
ええ。なぜか私よく転ぶの。
と言っている。


a7

急いで斜面を下っているうちに
沼地に出るルートをそれてしまったようだ。
一行がジャングルを踏み分けていくと、
一軒の小屋に灯りが点っているのが見えた。

こんなところに。


a8

こんばんは。
どなたかいらっしゃいますか。
とマークが声をかけている。


a9

やがてドアが開き、
家の中から一人の男が現れた。


その格好は探検家かい。
こんなところまで人が来るとは、
珍しいな。
と言っている。



解説)
続きます。

今日は現実にも
雷雨で落雷があり、
今年2度目の停電状態に。
Posted at 20:24 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Aug 08, 2024

鳥を探しに そのに

a1

一行はようやく沼地を抜けた。
地面が少し傾斜して上りになっている。


a2

見晴らしのいいところまでやってきた。

あの山の中腹で
羽根を拾ったんだ。


a3

登りだけど、
空が見えると気分がいいなあ。


a4

ねえ聞こえない?
ハヨー、ハヨー。
っていう鳥の鳴き声。
本当だ。


a5

ハヨー、ハヨー。

頭上に巨大な鳥が舞っている。
マークは
急いでカメラを構えている。


a6

鳥は少し離れた場所に立つ
巨木の方に飛び去って行った。


a7

一行は後を追いかけて
巨木の根元に辿り着いた。


a8

見上げていると、
先ほどの鳥がマークたちに気がついたようで、
枝分かれした梢の間から顔を出した。
じっと眺めている。


a9

驚いたことに巨大な鳥は
草むらに舞い降りて、
トントンと両脚を揃えて
跳ねるように近づいてきて、
一声、ボンジョールノ。
と鳴いた。


a91

ボンジョールノ。ボンジュー、ボンジュー。
鳥はそれだけ鳴くと、
一度首を傾げるような仕草をしたが、
やがて羽根を広げて羽ばたき、
再び、空高く飛翔して、
飛び去って行った。

今のはなんだったの。



解説)
続きます。
Posted at 20:22 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Aug 07, 2024

鳥を探しに

a1

マークの家で。

一夜が明けて、
4人はいよいよ鳥探しの探検に
出発することにした。

よく眠れたねー。
液体ムヒ持ってきた?

マークはアマンダに、
また留守番を頼んでいる。


a2

今日もいい天気ね。


a3

4人は早速
ジャングルに分け入った。


a4

このあたりは滅多に人が
入らないんだ。


a5

樹海のようなジャングルは。


a6

延々と続くように思えた。


a7

しかし
やがて行手に沼地が。


a8

やっと風景が変わったわ。
この沼地を越えると
羽根を見つけた場所まで、
もうすぐだよ。


a9

ワニに気をつけて。
ヒルは防ぎようがないけど。
と言われている。



解説)
続きます。
Posted at 20:25 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Aug 06, 2024

案内されるフミコとフラハ

a1

コーヒー飲みにきたんだけど。


a2

あいにく、店内は満席です。
毎日すごく暑くて、
冷房がんがん効かせてるので、
人気なんですよ。


a3

たまきとフミコは、
屋外の席でコーヒーを飲むことにした。

さっそくバグに話しかけられている。

こんにちわ、たまきさん。
毎日あっついですね。
おやそちらの涼しげな方は?

フミコと言います。

フミコは昨日この町にきたばかり。
今案内してる最中なの。


a4

そうでしたか。
僕はバグでこちらはミラ、
この裏手の元倉庫に住んでいるんで、
この店の常連なんですよ。

昨日といえば、
昨夜の花火綺麗でしたね。
あれは音がしなくて
本物じゃなかったみたいだけど。


a5

綺麗だったでしょ。
私が心の中で思い浮かべた通りだったの。
フミコが夜空に映し出してくれたのよ。

ほー。
あんなことができるのは魔族だけ。
ハリー一家の誰かの仕業かと思ってました。

私、打ち上げ花火って見たことなかったので。
つい、とフミコは言った。


a6

魔術劇場でハリーに再会したフラハは、
話を終えてヴィヴィアンやアイスと共に、
広場に出てきた。
フラハは大道芸人たちの演奏に聞き入っている。


a7

狐の精霊の化身である駒井魔子は、
フラハの視線を感じて、ちょっと緊張している。
あの人も魔族だわ。


a8:jpg

アイスはルビーに、
魔術劇場の中に設置した鏡の扉のことなどを
報告している。

これで誰でもアフリカに行けるようになったわ。
もちろん魔術劇場に入るには、扉の番人のエヴァに
入り口を出現させてもらわなきゃならないから、
一応セキュリティも万全。
ルビーなら顔パスでしょ。

面白そうね。そのうち行ってみる。

ところで、フミコは?


a9

コンテストの参加賞をもらいにきて、
横で話を聞いていたナオミが言った。

昨晩はうちに泊まったの。
今頃ペンギンにいるんじゃないかしら。
たまきがフミコをサラに紹介してから、
二人でペンギンに行くって言ってたから。


a91

ヴィヴィアンは
暑いから冷房の効いているデジャに行きましょう。
と言って、フラハをデジャに案内している。
通路の途中のマンゴー亭にさしかかった。

レイがかき氷始めました。
と言っている。


a92

スイカのフルーツポンチも
ありますよ。
とアンナが言っている。


a93

二人は誘惑に負けて
肉まんとかき氷を注文している。

この広場には、人間ばかりじゃなく、
ドラゴンの子供やロボットや
動物の精霊までいて随分賑やかなんだな。

そうでしょう。
魔族にも住みやすいわよ。



解説)
続きます。




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Aug 05, 2024

スリッパとマークたち

a1

サラたちの部屋


a2

サラはシューズボックスを
運んできた。

フミコはずっと裸足だったのね。
これはスリッパだけど。


a3

最近、ドルフィンの倉庫に
入荷してたの。


a4

色合いもちょうどいいんじゃない。


a5

フミコの装身具は
バッグに収納して部屋で保管することになった。

肩飾りとか、
身につけなくていいんですか。
とジェイソンが言っている。

つけていると呪力が増大するけど、
私にはほとんど気持ちの問題なのよ。


a6

たまきはフミコを
喫茶ペンギンに案内している。


a7

浴衣って夏らしくていいですね。
とはるなが言っている。


a8

その頃、フラハの家を出た
4人はマークの家に向かっていた。

僕の家までは、
ちょっとだけ距離があるんだ。


a9

あの蔦のゲートをくぐると、
クラウドの家ね。
みんな元気かしら。
と佳奈が言っている。


a91

マークの家に到着した。
庭にいたアマンダが
お帰りなさいと言っている。


a92

マークは大きな鳥の羽根を
ジョーたちに見せて話している。

大きいとは聞いてtけど、
これほどとは。
形状はカラスの風切り羽根みたいですね。

とても捕獲できそうもないわね。

姿を確認できて、
撮影できればいいんじゃない?

何食べるんだろう。
雑食かな。
人も襲うのかしら。



解説)
続きます。

登場したスリッパはガチャで。
J・ドリームの「room’s MINIATURE SLIPPERS」
色違い全五種のうちのネイビーです。
サイズは1/6アクションフィギアの男性素体の足には、
やや小さめですが、女性素体の足にはほぼぴったり。
バービーやジェニーたち(オビツやボークスの素体なども)
には大きすぎます。
靴箱付き。
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Aug 04, 2024

浴衣とフラハとの会話など

a1

サラたちの部屋。


a2

たまきが冷やし中華を
食べている間に。


a3

サラは、フミコに浴衣の着付けをしていた。


a4

よくお似合いよ。
ありがとう
この図柄も気に入ったわ。


a5

なんだかすごく懐かしい人がいるなあ。
と頭蓋骨のお父さんが言った。
誰だったか忘れてしまったが。
メメもメーメーと言っている。


a6

お面被ってるけれど、
あなたは頭蓋骨なのね。
とフミコは言った。

どなただったかしら。
私も思い出せないけど、
あなたたち、なぜかとても懐かしいわ。


a7

アイスとフラハは
鏡の扉を使って魔術劇場に移動してきた。

この鏡の扉は誰でも使えるように
固定式にしたの。
ハリーは魔術劇場の中に、
扉のための専用の部屋を作ってくれた。

いくらでも魔法で部屋を増設できるなんて
便利だなあ。
この館には何人くらい住んでいるんだい。

数えたことないけど、
ハリーとカーミラと娘のヴィヴィアン。
ハリーの妹のジャンヌと娘のマリア、
劇場のショーに出演する操り人形のパペや、
人の身代わりになるセリア、
出入り口を管理しているピエロのエヴァ、
他は訳ありの同居人や客人たちね。

デジャの従業員になってるイリヤ、ヨシフ、ジョニー、
農家の手伝いをしてるヘルミーネや
部屋を管理してるデュアンとメルティ、
カーミラの知り合いの怪盗ゼロや
幽霊船船長のクックドゥー、路上アーティストのトマソン。
それに新しくフミコが加わった。
ざっとそんなところかしら。


a8

夢見の水の精霊のバルも忘れないで。
と言いながらヴィヴィアンが現れた。

あ、私はハリーの娘のヴィヴィアン。
フラハさんね。お噂はかねがね。
父は魔術書を探してるけどすぐ来るわ。
椅子が足りなから、
その前にちょっと模様替えを。


a9

椅子とテーブルと
食べ物、飲み物がセットされると
ハリー夫妻もやってきた。
面々の紹介が終わるとハリーが切り出した。

フラハ久しぶりだね。
100年ぶりくらいか。

もっとじゃないかな。


a91

若い頃は
カエル王子ごっこなどをやって
よく遊んだな。
いつから姿をくらましたんだ。


a92

ふむ。今でも、手に水かきがついている
夢を見ることがあるぞ。

私は魔法や魔族に対する風当たりが
強い西欧の某国にいてさ。色々あって、
すっかり人間の世界が煩わしくなったんだ。
それで、まだまだ魔術に理解のある
アフリカの部族社会に溶け込んだんだが、
その一つの村には長老がいてね。
彼に気に入られてある土地を譲られた。
土地と言っても境界線など誰にも見えない領域で、
見かけは一面のジャングルだったんだがね。
とにかくそこにいて、やがて訪れる
精霊の出現を待っていて欲しいと言われて
暮らしていたところ、
マークという放浪者のような男と出会った。
ひとめ見て、彼は人間じゃなくて
フィギアの精霊だとわかったよ。
彼に土地に住む許可を与えると、
マークは頑張って土地を開墾して、
そこは今では小さな集落になっている。
私はその集落の外れに住んでいるのさ。


a93

なるほどなあ。
それが巡り巡って古代の魔族の復活に繋がるわけか。
その長老というのは未来が見える
魔族の預言者だったのかな。

それはそうと、これは
私とマーリンが苦労して手に入れた魔術書だ。
中世に散逸して幻の書と言われていたものだよ。
この手引書のおかげでマーリンは異世界を作れるし、
私も魔術劇場やら鏡の扉を作れるようになった。
君が読むなら喜んでお貸しするがどうかね。

ふむ。君がその本を持っていることはアイスから聞いたよ。
私も若い頃からずっと読みたいと思っていたが、
今思えば、君やマーリンへの対抗心があってのことかな。
呪文は覚えられても、持って生まれた
呪力だけはどうにもならない。
フミコの頭蓋骨の蘇生を試みて思い知ったよ。
だがもちろん魔術や呪文への関心を失ったわけではない。
貴重な本なのだろう。
これからは、ちょくちょくここに来て、
読ませてもらうことにするよ。
とフラハが言った。



解説)
続きます。
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Aug 03, 2024

扉を抜けて

a1

たまきがフミコを最初に案内したのは、
サラたちの部屋だった。

フミコは冷やし中華を
ご馳走してもらっている。


a2

このところ連日作ってるの。
お味はどう?

冷たくて甘酸っぱいタレが、
とても美味しいわ。


a3

たまきの分も
今できるよ。

その片手ザル新しいのね。
気がついた?
とジェットが言っている。


a4

フミコさん、
お箸の使い方上手なのね。

昨日の晩、
ざる蕎麦ご馳走になったとき、
覚えたばかりなんです。


a5

マークの集落のフラハの家では、
鏡の扉が出現してアイスが姿を現した。

コーヒーを飲んでいたフラハは、
おお、また現れたか。
と言っている。


a6

アイスの後から、
ゾロゾロと人がついてきた。
アイスとフラハは
冗談のような挨拶を交わしている。


a7

実はね。鏡の扉をあそこに固定して、
ハリーさんの魔術劇場との通路にしたいんだけど。

え。なんということを。

どこに作るのがベストか色々考えたのよ。
昔の魔族は不思議な扉を使って遠方と行き来していた。
まだそんな伝承が残っているから、
魔族の魔術師のフラハさんの家だったら、
みんな受け入れやすいでしょう。
それはみんなに魔族や魔法のことを
再認識してもらうきっかけにもなるの。

ふむ、お前の考えはわかった。
まるで魔族の身内の話を聞いているようだな。
静かに暮らしていたかったんだが、
まあこれも何かの縁で成り行きなんだろう。
協力してやろう。


a8

アイスは、ジョー軍曹とエルザを
フラハに紹介している。

ふむ。どうやらお二人は人間ではなく、
マークのお仲間のようですな。

やはりわかりますか。
とジョーが言った。

私も魔術師の端くれなので、
人と精霊を見分ける力は備えているのだよ。
それで早速観光に来られたのかな。

探検隊なんです。
マークさんが見つけたという巨大な鳥の羽根。
4人でその鳥の本体を探しに行くの。
とエルザが言った。

そうかそうか。
まあそんな探索も今時のロマンなのだろうな。
ここも充分人里離れた僻地だが、
さらにジャングルの奥地に行くのは大変だぞ。
せいぜい気をつけて頑張りたまえ。


a9

4人はフラハの家を出た。

ここがアフリカとはね。
空気が違うなあ。
とりあえず僕の家に。
とマークが言っている。


a91

ハリーさん呼んできましょうか?
いや、こっちから出向くよ。
鏡の扉を抜けるのは久しぶりだし、
ご家族にも会ってみたいからな。



解説)
続きます。

ジェットの持っている片手ザルは、
セリアで見つけた
線香やお香用の燃えかすとりを、
そのまま使っています。
Posted at 20:22 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Aug 02, 2024

夏の夜の夢

b1

ねえ、マーク。
あの大きな鳥の羽根のことだけど、
ラッセルやブラッドは、
あまり乗り気じゃなかったみたいだから、
私たちで鳥を探しに行かない?
と佳奈が言った。

それは嬉しいな。
でも二人だけだと危険だよ。
結構奥深いジャングルなんだ。

リンやクラウドやハンスさん。
集落にはプロの探検家が揃ってるから、
声をかけてみたらどうかな。

うーん、彼らは遺跡調査が専門だからね。
鳥を探しに行くって言っても。


b2

よかったら僕らが。
とジョーが言った。

ご一緒しますよ。
エルザも行きたがると思います。
アフリカのジャングルは初めてですが、
サバイバル生活は戦地で慣れてますから。


b3

いいんじゃない。
とアイスが言った。
佳奈もCGとしての訓練になるし、
ジョーたちが行ってくれれば、
交流の第一歩になるわ。

お話が続きそうで、
よかったわね。
とアンナたちが言っている。


b4

夜になって
夕食にざる蕎麦をご馳走になったフミコは
ジェニーたちの部屋に
泊まることになった。


b5

フミコ。
打ち上げ花火って見たことある?
この季節、
夜空を彩る夏の風物詩なのよ。

それは見たことがないわ。
どんなものなのかしら。
ちょっと心の中で思い浮かべてみて。


b6

たまきが花火のイメージを
思い描くと、障子の外に。

ふーん、随分綺麗なものなのね。


b7

欅の木が茂って
遠くの空まで見えないはずなのに。

あれは幻影なのよ。
ひとときの夢。


b8

あらら。
花火大会なんてやってたっけ。


b9

すごい迫力。夕涼みに最高ね。


b91

音が聞こえないけど、
どこで打ち上げてるのかしら。



解説)
続きます。
Posted at 20:26 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Aug 01, 2024

コンテストの結果発表など

a1

あっという間に8月。
月初めは月替わりのコスプレコンテストの
優勝者の発表の日。

暑さでわりと閑散とした広場では
マイクを手にしたルビーが
アナウンスを始めていた。


a2

みなさん。
7月のコンテストの
優勝者を発表します。
厳正中立な審査の結果、
優勝したのは今井舞さんです。


a3

あら、私なの。
と舞は驚いている。


a4

舞は広場に居合わせた人々の
拍手と喝采を浴びながら、
トロフィを授与されている。


a5

私が選ばれた理由が
よくわからないんですけど。

毎日暑いし、深く考えなくていいのよ。
涼しそうな浴衣姿が
よく似合っているということで。


a6

マンゴー亭では
ジョーと佳奈、マークとアイスが
肉まんを食べていた。


a7

アルバイトのアンナとレイが話している。

今月のコンテストは意外な結果ね。
私てっきりフミコっていう人が選ばれるかと。
私はそこにいるマークさん推しだった。
でも二人ともコンテストに、
参加登録しなかったみたいなのよね。
舞ちゃんでよかったんじゃない。
いつも広場でジャージ着て
薬缶持ってたし。


a8

残念だなあ。
ラッセルやブラッドとは
行き違いだったのか。
とマークが言っている。

二人とも自分の住まいに帰ったの。
まさかこんなにすぐに、
マークがこの町に来るとは
思っていなかったでしょうからね。

マークはこれからどうするの?
アイスが通路になる扉を
作ってくれるというんで一旦家に帰るよ。
アマンダに留守番頼んでいるし。


a9

いつでもすぐ戻って来られるしね。
と佳奈が言った。

その扉を使って
僕らが遊びに行ってもいいんですか。
とジョー軍曹が尋ねた。

もちろん、大歓迎だよ。
とマークが応えた。


a91

聞いていたアイスが言った。
交流するために通路を作るんだからね。
ただね。鏡の扉は、あくまでも魔法の力。
マークの集落の側の扉は、フラハの家に作ることにしたの。
マーク、それでいい?

もちろん。でもどうして。

みんなが魔族や魔法のことを忘れないためよ。
とアイスは言った。



解説)
続きます。
Posted at 20:22 in n/a | WriteBacks (0) | Edit
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