Jul 02, 2024
アンドレアの告白
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日が暮れてコウモリが群れをなして飛び交っている。
湖の洞窟から集落跡の遺跡を目指してきているようだ。
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アイスとラッセルの報告を聞いた一同は、
夕食を済ませて話し合っていた。
遺跡の歴史の話も興味深かったけれど、
当面の問題はこの遺跡を守っているという
グリーンマンが怒っていて、
我々が極めて危険な状態にあるということだね。
とアーネストが言った。
グリーンマンの怒りがジャングルに生息する
他の獣たちに影響を与えているんじゃないかしら。
父たちの探検隊が全滅したっていうのも、
あちこちで興奮した動物たちに襲われたのかも。
とリンが言った。
とりあえず焚き火を盛大に燃やして、
この側に集まって夜を過ごそう。
銃を持って来てる人は弾丸を装填しておいて。
とマークが言った。
だけど、ラッセルの話だと
グリーンマンには知性があって、
フミコっていう人を復活させるために、
僕たちにわざと彼女の頭蓋骨を発見させて
持ち帰らせようとしたんだろう。
なぜ突然怒って我々を襲う理由があるんだ。
とブラッドが言った。
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遺跡前広場の周囲のジャングルには、
猿や蛇類も集まってきていた。
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豹の群れも。
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牝ライオンたちもいる。
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10や20ならならなんとかなるけど、
この数で一挙に来られたら
ちょっと無理ね。
とアイスが言っている。
ずっと黙ってみんなの話を聞いていた
アンドレアが立ち上がって言った。
みなさんにお話ししたいことがあるの。
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グリーンマンが怒った原因は
全て私にあるの。
グリーンマンが私のリュックを奪おうとしたのは、
その中にフミコの副葬品が入っていたからなのよ。
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アンドレアはリュックを背中から下ろすと、
カバーを開けてリュックの中から
宝石のついた肩飾りを取り出してみせた。
実は私、ドイツ語の読み書きができるの。
山の遺跡で頭蓋骨とバッグを見つけた時、
中にあったスケッチブックの日誌を読んで見たら、
副葬品の隠し場所が書いてあった。
咄嗟の思いつきで、そのページだけを
破いて抜き取ったの。
それから頭蓋骨と遺品を見つけたことを、
ブラッドとアーネストに知らせに行った。
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アンドレアは折りたたんだ
紙片をリュックから取り出して見せた。
ここに書いてあった隠し場所は
山の遺跡の広場にある水盤の側だった。
一枚の石畳をずらすと、水を流す設備のある場所に、
沢山の副葬品が押し込んであったわ。
私はアーネストとブラッドが、
遺跡の住居跡を探索している間に
その場所を見つけて、そこから、
この宝石のついた肩飾りを持ち出したのよ。
残りの副葬品は、この遺跡調査が終わった後で、
機会を見て再訪して運び出せばばいいと思ってた。
でもね。その時は本当に何にも知らなかったの。
ラッセルやアイスの話を聞いていたら、
私がこの副葬品を持ち去ろうとしたせいで、
グリーンマンを怒らせたんだって気がついた。
今となっては、
みんな殺されちゃうみたいだから、
どうしようもないんだけど。
この焚き火はまさに風前の灯ね。
死んじゃう前に本当のことを言っておきたかったの。
とアンドレアは言った。
解説)
続きます。
Jul 01, 2024
ジャングルの異変 そのに
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一行はなかば洞穴のような
崖沿いの細道を抜けて、
谷の渓流にたどり着いた。
![b2](/~shimirin/blog/kirita/entries//20240701202241.files/b2.jpg)
川沿いに下ると、
目印の古い橋を見つけた。
ここからならルートがわかるね。
と言っている。
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川筋に沿って
中流域までやってきた。
もうすぐだよ。
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ワニもどきは怒っているようだ。
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一行は川を離れて、
集落の遺跡のあるジャングルに向かった。
しかし草むらには蛇が群れている。
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寄ってくる動物たちの気配もある。
リンやアンドレアは威嚇のために発砲し、
一行はじりじりと進んでいった。
集落の遺跡まで、もう間近なはずだ。
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突然、大蛇が現れて
行手に立ち塞がった。
あれ、猛毒のやつだ。
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大蛇は素早い動きで地を這って
アンドレアの体に絡みつき、
倒れたところにさらにもう一匹が。
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大蛇は口を大きく開けた。
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その時、二発の銃声が轟き、
二匹の蛇の頭は撃ち抜かれていた。
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あなたは命の恩人ね。
私たち地下の都の探索を終えたので、
地上の集落の方を再調査する準備をしてた時、
何発も銃声が聞こえたので飛んできたのよ。
とアイスが言っている。
なんか全体にすごい殺気を感じる。
と佳奈が言っている。
![b93](/~shimirin/blog/kirita/entries//20240701202241.files/b93.jpg)
一行はなんとか遺跡前の広場まで
たどり着いた。
すぐにでも撤収したいところだが、
もうすぐ日が暮れるし、
ジャングルには尋常でない雰囲気が漂っている。
今日はここでキャンプして出発は明朝にしよう。
とラッセルが言った。
今日僕とリンとクラウドは
人語を解すチンパンジーと出会って、
いろんな話を聞いた。
アイスも水没した都の遺跡を発見して、
トカゲ頭の人間のような生き物から、
遺跡にまつわる話を聞いてきたという。
これからそれらの情報をみんなで共有したいと思う。
なんだかジャングルがざわついていて、
警戒も必要だ。長い夜になるぞ。
解説)続きます。