May 31, 2024
遺跡調査への旅立ち

広場にリュックを背負った男性がやってきた。

やあ、マヤじゃないか。
僕だよ。ブラッドだよ。

え。ああ人違いです。
マヤは私のお姉さん。
私たち双子の姉妹なの。
マヤに双子の姉妹がいるなんて
聞いたことなかったなあ。
色々事情があってね。

その時、マンゴー亭にいた
ラッセルがブラッドに声をかけた。
おーい、こっちだよ。

これで全員集合だ。
出発前に、とりあえず紹介しておこう。
こちらが友人のブラッド。
左から、佳奈、ルビー、麻生久美子、
それにアイス。

どうぞよろしく。
お会いできるのを楽しみにしていました。
調査に参加されるのは
二名と聞いてましたが。

佳奈とアイスの二人だよ。
ここだけの話だが、
この4人はCGのメンバーでもあるんだ。
もちろん遺跡調査への参加はCGとは関係なく、
プライヴェートな話なんだが。

私は今アフリカで仕事してるので、
ちょうど現地に戻るところ。
一緒にCGの輸送機で行けるように
手配したわ。

ということで久美子は
ドルフィンからジープを
レンタルしてきた。

これアフリカで使うの?
ジャングルの中までは入れないけど、
足があると便利でしょう。
空港からジャングルの入り口までね。
CGのバギーは私が仕事で使うから。

やがてジープは排気音を上げて発進した。
アイス。仕事じゃないんだから
あんまり無茶しないでね。
とルビーが言っている。

ナディアは、
ジープを見送りながら、
さっき声をかけてきた男性のことを
思い返していた。
マヤの知り合いか。
写真は一枚も残っていないけど、
父は探検家だったってマヤから聞いたことがある。
あの人が私のお父さん?
まさかね。
解説)
ようやく出発。
明日はコンテストの発表日なので
すぐには続きません。
May 30, 2024
天気のことなど

高台の休憩所に
エレナがやってきた。

こんにちわ。
私エレナって言います。
たまきっていう人のいる家を探してるんです。
この辺に住んでるって聞いたんですけど。
たまきの家ならすぐ隣よ。

ちょうど
コーラを買いにたまきがやってきた。
あ、エレナ。
町に来たんだね。
ええ。広場を見てきたけれど、
言ってた通り、
賑やかで面白かったわ。
そうでしょう。
もうコスプレコンテストに参加登録した?
毎月やってて、月初めが発表だから、
登録すると明後日にはチョコがもらえるよ。
まだだったらこれから行こうよ。

カエル王女は
水盤に水を入れてもらって喜んでいる。
(よく見えませんが、
よく見ると水が入ってるのが見えます)

サラたちの部屋では、
サラがメルティを連れて帰ってきていた。

随分長い外出だったけど、
二人ですごい冒険してたんだね。
と、サラから話を聞いたジェットが言っている。

ケイはてるてる坊主に顔を描き入れている。
洪水で水浸しの世界か。
もうすぐ梅雨だからなあ。
と訳のわからないことを言っている。

てるてる坊主にお願いしても、
雨は降る時は降るのよ。
明日の天気は、
カエル王子にもらった
このハスの葉っぱが教えてくれるの。
私の夢の世界では
強く願わないと雨は降らないのよ。
とメルティが言った。

この町にもあんまり降らないわね。
大体郊外の方だけ降ることが多いみたい。
とメアリー=ケイトが言った。
きっと雨って降らすの大変なんだよ。
とジェイソンが呟いている。
解説)
今回はとりとめのない
微妙な時の流れです。
May 29, 2024
探検の予感

広場はそこそこの賑わい。

大道芸人たちは、
流石に暑いのでポンチョを脱いだようだ。
観光客に私と同じアロハですね。
と言われている。

あなたこの町は初めて?
ええ。
ドールショーで知り合ったたまきっていう人に
この町のこと聞いてきたんです。
ロボットやドラゴンの子供がみられて、
いつも大道芸人たちが演奏しているから、
楽しい所だよって。
たまきなら高台の方に住んでるわよ。

マンゴー亭では、
ベーカリーでチキンラーメンを食べてから
ベランダでアイスクリームを食べ終えたルビーたちが、
肉まんを食べていた。
ルビーはスマホを手にしている。

それで、そのラッセルっていう人に
連絡ついたの?
と久美子が言っている。
ええ、
砂漠の遺跡のこと話したら、
すぐ来るってさ。
そういう話になると興味津々なのよ。

アイスは佳奈が研修の終了記念にもらった
サバイバルナイフを見せてもらっている。
佳奈はアイスの愛用のナイフを見せてもらっている。
このナイフもCGの支給品なんですか?
いいえ。もとは暗殺教団の刺客が使ってたの。
どうやって手に入れたんですか?
詳しく聞きたい?

アンナとレイは、
新しいお茶の試飲をしているようだ。
これ香りいいわねと言っている。

やがてラッセルがやってきた。

早かったのね。
改めて紹介するわ。
とルビーが言った。
隣にいるのが麻生久美子。私のCGの同僚よ。
アイスのことは知ってたわね。
それからあなたの隣にいるのが
ドルフィンのスタッフの中野佳奈。
彼女もCGの新メンバーなの。

みなさん。どうぞよろしく、
とラッセルはいった。
ラッセルは有名な探検家なのよ。
とアイスが言った。
そーなんですか。
と佳奈が言った。
ところで、早速だけど、
とラッセルが言った。
砂漠の嵐で出現するピラミッドの話は、
現地の人から噂で聞いたことがある。
現地の人って?
今アフリカのジャングルの奥地の
秘境の遺跡を調査してるんだ。
そのわりと近くに小さな集落があってね。
そこをベースキャンプにしてるんだけど、
その集落のリーダーが聞かせてくれた、
奇妙な話なんだ。

奇妙な話って?
なんでも彼は、嵐に遭遇して
そのピラミッドのある遺跡に辿り着き、
また嵐を潜り抜けて
なんとか戻ることができたんだけど。
戻ってみると、別世界だったというんだ。
その人にとって、この世界が別世界だったっていうと、
その人は別の世界から来たっていうことになるのね。
そうなんだよ。なんでも彼が元いた世界では、
第二次世界大戦のさなかだったらしい。
兵士だった彼は砂漠を横断中に隊から逸れて
その嵐に遭遇したというんだ。
結局、彼は変わり果てたこの世界に来てから、
ジャングルの奥地に移り住んで、
自分たちだけの集落を作ったんだ。

ふーん、ファンタジックなお話ね。
それはともかく、ラッセル。
今はそのジャングルの遺跡を調査中なんでしょ。
その調査に同行させてもらえないかな。
最近運動不足というか、冒険不足で。
とアイスが言った。
私も行ってみたいです。
とすかさず佳奈が言った。

それは歓迎するよ。
特殊技能を持つCGのメンバーが来てくれるなら、
調査も捗りそうだ。
ただね。そういう訳ありの場所だから、
公にはしたくない。国家や国連やCGにもね。
了解。プライヴェートの休暇ということで、
本部には内密に。それでいつ出発するの?
僕の友人で調査に同行する
ブラッドっていう探検家の相棒がいるんだ。
彼と打ち合わせて、
この店に集合することにしよう。
出発の日程が決まったら連絡するから
準備しといて。
解説)
やがてまたAIの生成画像との合成中心の
エピソードが始まりそうな感じです。
探検家ラッセルは久しぶりの登場。
古いルビーの友人で、
2022年6月30日に町にやってきて、
2022年7月21日までドラコのエピソードに
絡んで登場しています。
May 28, 2024
ドールショーとデ・キリコ展 そのに

ドールショーを見て、
買い物も済ませたたまきは、
ソフトクリーム売り場で、
エレナという女性と知り合った。
いま上野でデ・キリコ展やってるの知ってた?
そうなんだ。上野なら山手線で割と近いね。
これから行くから一緒に行かない?
行く行く。

随分買い込んだのね。
頼まれてたのはサングラスだけなんだけど、
いつも、ついついなの。
などと話している。

やがて二人は上野の都美術館に到着した。

おっきなポスターだね。
などと言っている。

やがて時は省略するかのように流れて、
たまきはエレナと別れて帰宅して、
戦利品を広げている。
可愛いワンピースね。
これは革装のアリス本じゃないか。
などと言っている。

カラーの挿絵も載ってるよ。
革装の豆本って凄いなあ。
それ豆本なの?

ワンピースをナオミが試着している。
これ「まほろば」っていう
出展者のブースで買ったんだよ。

ジェニーは、春用カーディガンを着ている。
それはアゾンの製品なの。
ブックバンドの本は「CHUBEAR」、
革装の本は「みすとわん」っていう
ブースで買ったの。

デ・キリコ展では、何点か気に入っ作品が
絵葉書になっていたので買いました。
室内にジオラマのような建物があるのが、
「緑の雨戸のある家」。
男性の体が訳のわからないものに包まれているのが、
「瞑想する人」です。
解説)
あれこれ掛け持ちで
充実の一日でした。
May 27, 2024
ドールショーとデ・キリコ展

たまきが高台の自販機で
コーラを買っている。

カエル王女は、
水盤を設置してもらったようだ。
お水入れてください。
と言っている。

そんな格好して
どこかにお出かけ?
今日は5月26日でしょう。
浜町町でやってるドールショーに行くの。

ということで、
たまきはドールショー72夏の開催会場の
産業貿易センタービルまで出かけた。

大きなポスターだなあ。
と思っている。

会場内は基本的に撮影禁止で、
撮影には出展者の許可が必要。
でもOKになっている場所もある。

ドールショー事務局前の展示。

ジオラマ展示をしている
ブースがあった。
これはドーナツ屋さん。

左奥の人は、ドーナツを揚げている。
とてもリアルなので、
たまきは思わず自分が小さくなって
注文している場面を空想したのだった。
揚げたてのあんドーナツ
一つください。
解説)
続きます。
May 26, 2024
梅雨入りまで そのさん

広場では、
佳奈たちの立ち話が続いていた。

農家の直販店で
ロベリアが買い物を済ませたようだ。
随分買い込んだのね。
とアベルに言われている。

その買い物カゴ素敵ですね。
と今井舞が言った。

そうでしょ。
手作りなのよ。

ベランダでは
チキンラーメンを食べ終えた
アイスとルビーが、
アイスクリームを食べながら
麻生久美子と話していた。

それで本部に帰って調査部で
調べてもらったんだけれど、
そんな場所に遺跡はないって言うことだったの。

砂漠の砂嵐で出現して
また砂に埋もれてしまったんじゃないの。
でも嵐の向こう側に遺跡があって、
また嵐を抜けて戻ってこられたんでしょう?
その嵐がカーテンのようになっていて、
異世界への扉だったのかも。

遺跡の空は晴れ渡っていたし、
別世界と言われればそんな気もするわね。
如月はなんて言ってたの?
報告してもどうせ本部は動かないから、
この件は伏せておくことにしましょうって。
彼女らしいわね。

異世界との通路があるという噂の
迷いの森だって、境界警備するだけで、
ずっと調査隊も派遣していないからね。
CGは国際的な陰謀やテロ活動に対処する組織だから、
本部の連中は頭が硬いのよ。
好みのジャンルが違うというか。
解説)
買い物カゴは、
手作りですが単品売りの市販品です。
秋葉原のアゾンで購入。
May 25, 2024
梅雨入りまで そのに

ペンギンをでたサラとメルティは
高台の休憩所に立ち寄った。
もう紫陽花の季節なのね。
と言っている。

あら、さっきまで蕾だったのに。
とルルが言った。
二人はサラの頭の上のカエル王女に
注目している。

紫陽花の花々が
豪勢に咲いている。

局長からいただいた
フローラの草冠の効き目ね。
とサラは言った。

その時、サラの頭の上に乗っていた
カエル王女がテーブルに
ぴょこんと飛び降りた。

さらにカエル王女は紫陽花の花の上に
飛び乗った。
私ここが気に入りました。
と言っている。

その頃広場には、
コフィが佳奈を訪ねて来ていた。

コフィさん。
研修ではお世話になりました。
あれから私たち砂漠で嵐にあって
大変だったんですけど、
コフィさんは大丈夫でしたか?

帰り道はサバンナ見物して快適だったわ。
また境界警備隊の任務に戻って
仕事続けてるけど、大抵暇だから、
たまには遊びに来てね。
そうそう、サバンナには、佳奈が言ってた
人懐っこくて負けず嫌いのライオンがいて、
記念写真を撮ったので見せにきたの。

ほんとだ。
あの時のライオンだ。

これ誰が撮影したんですか。
セルフタイマーよ。
人懐っこいので撮影慣れしてたみたい。
そうか。
解説)
それぞれが
それぞれの思い出を。
May 24, 2024
梅雨入りまで

サラたちは
相変わらずペンギンで
コーヒーを飲んでいた。

メルティさん
お昼寝してるみたい。
珍しいわね。
とカエル王女を頭に乗せた
サラが言っている。

肘がガクッと外れた拍子に、
ハッとした顔をあげて、
メルティが目覚めたようだ。
ああ、私夢を見てたみたい。

夢の中で居眠りして夢を見るなんて、
珍しいわね。
とミラが言った。
滅多にないけど、前にも一度、
三匹のウサギに出会う夢を見たことがあるんですよ。
夢の中で見る夢は、
心のさらに深層に向かうことだから、
あなたの夢が迷いの森の泉と繋がったことに
関係しているかもしれない。
それで、どんな夢だったの?
そこはいつも風ばかりが吹いているような、
一面の砂漠の世界でした。ピラミッドの前で、
なぜか自分がスフィンクスになっていて、
訪れた旅人の乗った車を追いかける夢だったの。
興味深いわね。
夢の世界の訪問者になってたわけじゃなくて、
むしろその世界を守る側だったわけね。
それはもしかすると、
あなたが夢食いになっていたって言うことよ。
そ、そうなんですか。
でもそうだとしたら、私は誰の夢を守っていたの?

あなたその砂漠の世界に心当たりはない?
とミラは言った。
メルティは考え込んでいる。

その頃広場のベーカリーでは、
佳奈が研修から戻ってきたところだった。
麻生久美子も一緒のようだ。

なんだかちょっとだけ逞しくなった見たいね。
と佳奈はルビーに言われている。

研修の終了記念に
サバイバルナイフをもらっちゃいました。
久美子久しぶり。
その袋はなあに?
これはお土産のチキンラーメンよ。
と麻生久美子が言った。

おお、懐かしい。

これ、熱湯をかけて、
蓋をして3分待つんでしたよね。

これ好きだったのよ。
よく丼鉢に入れて蓋して食べたものだわ。
それっていつ頃の話?

0秒チキンラーメンって知ってた?
なにそれ。
お湯をかけないで、
そのまま食べるおつまみなんだ。
解説)
チキンラーメンのアイテムは、ガチャで。
「日清チキンラーメン ミニチュアチャーム」(全5種)
昨年8月に発売され、今月再販されたBANDAIの製品です。
チキンラーメンのパッケージ入りが欲しくて
2回挑戦しましたがゲットできませんでした。
May 23, 2024
佳奈の研修 そのはち

3人の乗ったバギーは急発進した。
嵐に向かって、って言ってたわね。
あ、向こうの空の雲行きが怪しいよ。
そっちに行こう。

逃がさないわよ。
と言っている。

まさかあそこに向かっていくの?

後ろから竜巻が追ってくるよ。

竜巻に追われながら
嵐に向かうって。

バギーは嵐の中に突入した。
嵐の中は意外に静かだった。

しばらく走ると
竜巻が遠ざかっているのが見えた。

もう大丈夫。
虹が出てるよ。

空はすっかり晴れている。
奇妙な遺跡だったね。
いろんな異常気象が見られて
楽しかったなあ。
などと言っている。
解説)
佳奈の研修でのエピソードは
とりあえず今回で終了です。
May 22, 2024
佳奈の研修 そのなな

なんとか嵐を抜けたようだ。

しかし、
こんなに砂漠が続いていたかしら。
何か変だわ。

あんなところにピラミッドが。

こんな場所に遺跡なんてあったかしら。

さっきの砂嵐で出現したのかもしれない。
せっかくだから調べてみましょう。

メルティと久美子は
スフィンクスを眺めている。

どこかでみたような顔ね。
とメルティが言っている。
突然、スフィンクスが言った。
これは珍しい旅の人。
私の謎謎に答えられるかしら。
朝は4本足、昼は2本足。夜は3本足。
この生き物はなあんだ。
それは人間です。
有名な謎謎だから誰でも知ってますよ。
と佳奈が言った。
スフィンクスは黙り込んでしまった。
気分を害したようだ。

お姉さんを怒らせたら怖いのよ。
今のうちに嵐に向かって逃げなさい。
と妹らしきスフィンクスが言った。

どうも危険が迫っているみたい。
忠告に従って出発しよう。
解説)
続きます。
May 21, 2024
佳奈の研修 そのろく

砂丘の稜線を越えていく。

雄大な景色が続く。

スロープを下って。

低地に降りてきた。

サバンナを疾走する。

あれは。
すごい雲が発達して
こっちにきますね。

雷も発生してます。
嵐に巻き込まれないように急ごう。

これはやばい。
解説)
続きます。
May 20, 2024
佳奈の研修 そのご

私服に着替えた佳奈たちは
オアシスを散歩して、
記念撮影してもらっている。

たしかコフィさんは、
境界警備隊でパトロールを。
コフィでいいのよ。
警備隊はいつも暇だから、
今回の新人研修にヘルパーとして参加したの。
あら、ラクダがいるのね。
ちょっと見に行こうよ。

ラクダって案外大きいのね。

ちょっと大きすぎる感じも。

コフィはラクダに
水を飲ませている。

お迎えが来たみたいだから、
そろそろ撤収するわよ。
と如月が言った。

砂塵をあげてバギーが到着した。

あなたが噂の新人ね。
私は麻生久美子。
ルビーの推薦だって言うんで、
会えるのを楽しみにしてたのよ。

コフィは乗らないの?
私は野生動物が見たいから、
あのバイクでサバンナに行くつもり。
人懐っこくて負けず嫌いの
ライオンがいますよ。
などと話している。

と言うことでコフィと別れ、
3人はオアシスを後にした。
解説)
続きます。
このところ生成AIで作った
風景画像に切りはり合成しています。
アンバランスながらそこそこリアルで、
実はどこにもない情景なのが面白いところ。
CGの麻生久美子は、3年ぶり。
2021年3月30日「クールガールたちがやってきた」
に登場しています。
May 19, 2024
佳奈の研修 そのよん

佳奈はバイクを飛ばしている。

サバンナに出ると
さっそく縞馬の群れに出会った。

ライオンもいる。

ちょっと伴走してみる。
人懐っこくて、
負けず嫌いのライオンのようだ。

サバンナが途切れ
砂漠地帯に入った。

これはかなり本格的な砂漠。

雄大な景色も楽しみたいけど、
制限時間までにつかないと。

スロットル全開。
ようやく植物相が見えてきた。

オアシスだ。

オアシスには如月が待っていた。
時間ぴったりね。
と言っている。

これで今回の研修は終了よ。
お疲れ様。
解説)
続きます。
May 18, 2024
佳奈の研修 そのさん

佳奈は休憩して
ヘルメットを外している。

沼に有毒ガスが出るって
脅かされてたけど、
この暗視装置付きのガスマスクも
必要なかったなんてね。

佳奈が水筒の水を飲んでいると、
研修のリーダーの如月がやってきた。
次のミッションで最後よ。
え、まだあるんですか。

この先にサバンナと砂漠があるの。
砂漠の中のオアシスが終着点。
例によって時間制限があるから気をつけて。

着替えが済んだようね。
これもつけてね。

ヘルメット、と言うことは。

コフィがバイクを曳いてきた。
私このオートバイの基本操作、
技能訓練で覚えたてなんですけど。
と佳奈が言った。

最初はみんなそうよ。
野生動物も見られるから、
軽く砂漠見物するつもりで、
楽しんできて。

佳奈はバイクに乗って
エンジンを始動させている。
砂漠でエンストしたら歩いてね。
骨は拾ってあげるから。
と脅かされている。

いざ発進。
解説)
続きます。
May 17, 2024
佳奈の研修 そのに

佳奈は両手を上げながら
相手が近づくのを待っていた。

素早く身を逸らせて
振り返りざま右手で
機銃の銃身をそらす。

そのまま体を捻って
ハイキック。

後頭部にキックが炸裂した。

さらに倒れた相手に馬乗りになって、
油断大敵よ。
と言っている。

そこまで。
という声の主に向けて、
佳奈はホルスターから引き抜いた
拳銃の銃口を振り向けた。

ミッションは完了よ。
制限時間内にクリアしたわ。

倒れていた女性も立ち上がって、
マスクをとった。
あ、コフィさんだったんですね。
と佳奈が言った。
名前覚えていてくれたのね。
今の、結構効いたわよ。
と言っている。

ジャングルや沼地では
敵を全く見かけなかったんですけど。
緊張状態を保ってもらうのが狙いなのよ。
よくそのケンベロスの旧式装備で頑張ったわね。
といわれている。
解説)
続きます。
May 16, 2024
佳奈の研修

佳奈はジャングルの中の小径を
重装備で歩いていた。

制限時間までに踏破しないと。
敵はどこに潜んでいるのか
わからない。

しかも行手には
沼地が広がっている。

銃を濡らさないようにしないと。

ようやく岸辺だ。

佳奈は小さな広場にたどり着いた。

確かこの先がゴールのはずだけど。

その時背後の茂みの中から。

ホールドアップ!
油断は大敵よ。
と言われている。
解説)
続きます。
May 15, 2024
晩春の日々 そのに

サラとメルティは
ペンギンにやってきた。

お店の中は
あいにく満席なんです。

二人は屋外で
コーヒーを飲むことにした。

居合わせたミラに
メルティの夢の部屋の話をしている。
迷いの森の夢見の水の泉と
繋がってしまって洪水になったんだけど。

洪水はヘクトンっていう
カエルの姿をした夢食いの仕業だったのよ。
ヘクトンなら知っているわ。
古代の神の遠い親戚だっていう噂がある。
そうだ、ヘクトンといえば。
とミラが言った。

その時カエルが
ベンチに飛び乗ってきた。
ああ、今言いかけたのは、この子のこと。
地下通路で見つけたの。
この世界に来たいっていうから、
連れて来ちゃった。
言葉が話せるし、たぶんヘクトンの娘よ。
連れてきたことは局の仲間には内緒でね。

カエルはさらに
テーブルの上に飛び上がって、
サラの前に進んできた。
そのちょんまげ、
お兄ちゃんのでしょ。
とカエルは言った。

ああ、これはカエル王子から
助けたお礼にってもらったのよ。
そうなんだ。
お兄ちゃん元気なのね。
元気は元気だけどね。
ここにはいないの。
あなたのお名前は?
カエル王女って呼んでください。

その頃、広場では、
鈴木すずがスイカをもらっていた。

すずは機嫌を直している。
いいなあ。
僕も泣き真似しようかなあ。
と池谷圭が言っている。

ルビー。
最近佳奈を見かけないけど、
どうかしたの?
とリタが訊いている。

佳奈はCGの研修で出張中なの。
今頃アフリカのジャングルで、
特訓を受けてるよ。
とルビーが言った。
解説)
また思いつきで
エピソードが始まるようです。
May 14, 2024
晩春の日々

メルティが絵画を見ていると、
ハリーがやってきた。
ほう、これは新しい絵画だね。
と言っている。

マンスフィールドさんがお土産に
下さったのよ。
メルティも気に入ってるみたいね。
とヴィヴィアンが言った。
それはもう。
この絵、私の夢の中の部屋によく似てるの。
ハリーさん。こういう幻想的な絵画には、
別世界との通路があるんですか?
去年、私の夢の中で、
クノップフの「スフィンクスの愛撫」の中に
シュレディンガーが飛ばされたことがあったけど、
この絵にもさっき、カエル王子が飛び込んで行ったの。
ふむ。
そういう特別な絵画というものもあるが、
絵画のせいとばかりは言えないかもしれない。
この魔術劇場の室内も夢の世界のようなものだからね。
この建物は魔法陣の上に建てられているから、
屋内で魔法を使って、沢山の別室や、
別世界に通じる扉を生み出すことができるんだ。
そのカエル王子というのが夢食いの子供なら、
そんな力を持っていても不思議はないな。

何してるんですか。
この葉っぱを髪飾りに。

これからまた昼寝をするというバルと別れて、
サラとメルティは魔術劇場を後にして
広場に出て来た。

サラさんそのちょんまげ
かっこいいですねえ。
と言われている。

広場では、アベルと子どもたちが
走り回って遊んでいた。

よそ見してると危ないよ。

鈴木すずはバランスを崩して
こけてしまった。

怪我はないようだが、
すずは泣いている。

ほぼ半月ぶりだけど、
広場は変わらないわね。
久しぶりに熱々の
美味しいコーヒーでも飲みたい。
ペンギンに行こうよ。
解説)
今回はいつもの
思いつきの進行です。
May 13, 2024
その後の池で そのさん

一行は扉のある休憩場所まで
帰って来た。

舟に乗ったり泳いだり楽しかった。
バルさんも戻って来られて良かったわ。
随分ここで過ごしちゃった。
そろそろ帰らないと。

君はやがて一人前の夢食いになるんだろう。
メルティのこの夢は私たちが守っているんだ。
残念だけど共存はできないな。
とシュレディンガーが言っている。

これからどうするの?
迷いの森のお父さんのところに
戻ればいいのに。
とメルティが言った。
僕は自立するんです。
これからはカエル王子と呼んでください。
とりあえず旅立とうと思います。
ヴィヴィアンならきっと
魔法で人間の姿にしてくれるよ。
たぶんカエル人間みたいになるけど。
それは避けたいなあ。
僕はいろんな池を訪れて、
安住の池を生み出すことのできる、
立派な夢食いカエルになるまで
修行をするつもりです。

サラさん。
あなたは命の恩人です。
僕の大事な雨傘を差し上げましょう。

いただいちゃって
いいのかしら。

やがてメルティたちは、
魔術劇場に戻ってきた。
おや、おかえりなさい。
バルも戻ったのね。

早速大きくしてあげる。
と言ってヴィヴィアンは
呪文を唱え始めた。

薄い煙が立ち上り始めた時、
カエル王子は素早く
テーブルの上に飛び移って、

絵画に描かれた
水の中に吸い込まれていった。
さようならみなさん。
また会う日まで。
と言っている。

今のはなんだったの?
ま、いいか。
とヴィヴィアンが言った。
3人の姿は大きくなっている。

サラ、
その手に持っているのはなあに?
これね。
カエル王子にもらったの。
持ってると明日の天気がわかるんだって。
解説)
今月初めから始まった
メルティの世界の冒険エピソードは
ひとまず完結です。
エピソードに出てきた
背景のジャングルや滝や廃屋、
水中の風景などは、
生成AIで制作した画像を
合成しました。
May 12, 2024
その後の池で そのに

サラが飛び込んだきり
浮かんでこないよ。

サラは潜水していた。

幻想的な世界ね。
水深は案外浅いんだ。

カラフルな水生植物も見える。
あら、
あんなところに。

サラは、岩の隙間に足を取られていた
カエルを引っ張り出した。

あ、サラが昇ってくるのが見えるよ。
なんか抱えてる。

サラとカエルは、
ぷふーと言っている。

カエルは桟橋に飛び移った。

あなたは昨日の。
おおメルティさんも。
また助けていただき
ありがとうございます。
お礼に良いことを教えましょう。
もうその手には乗らないわよ。
君はヘクトンの息子だろう。
ヘクトンは迷いの森に追い返したはずだが。
とバルが言った。
そうなんですが、
僕だけ岩の隙間に引っかかってしまいまして。
それは気が付かなかったな。
また渦を起こして
お父さんのところに返してあげよう。
とバルが言った。
いえいえ。いいんです。
僕も自立する年頃なので。
良いことってなあに?
とピノコが言った。
それは豆知識です。
水や池の夢に棲みつく夢食いには、
僕らの他にも、蛇とか鯉とか水龍とか、
いろいろな姿のものがいます。
勉強になったでしょう。
あんまり面白くないわ。
解説)
続きます。
May 11, 2024
その後の池で

翌日、メルティとサラを囲んで、
住人や猫たちが集まっている。
散乱していた家具類も集められ、
元の位置に戻されたようだ。
みなさんお疲れ様でした。

この世界が乗っ取られずに済んだのは
バルという水の精霊のおかげだった。
バルは身を挺して
増え続ける池の水を収めてくれたんだ。
とシュレディンガーが言った。
お礼を言いたいけど、
私会ったことないのよね。
とメルティが言った。

水の精霊か。
ねえ、池の様子を見に行かない?
随分落ち着いたみたいだし、
その人、戻ってくる頃かもしれないよ。
それに今日はむし暑いし
なんだか水浴びしたくなっちゃった。
とサラが言った。

池の面は穏やかに凪いでいた。
ピノコたちは舟に乗り、
メルティは桟橋でくつろぎ、
サラは岩の上まで泳いで行った。

サラ、その水着どうしたの?
泳ぎたいなあと思っていたら、
なぜか服の下に着込んでいたの。
夢だからなんでもありなのね。

飛び込みまーす。

池は随分小さくなってるけど、
深さ大丈夫なのかなあ。

サラは岩の上から
ダイビングした。

水しぶきとともに
サラの体は水中に。

その時、
飛び散った水しぶきが集まり、
なんとメルティの横に置いてあった
ピノコの工事用ヘルメットの中に飛び込んだ。

ヘルメットに溜まった水は
みるみる変形して
人間の姿になった。
初めまして。
私が夢見の水の精霊バルです。
あ、あなたが私たちの恩人なのね。
すごく大きくて背が高い方だって、
みんなが言ってたけど。
これは元のサイズなんです。
解説)
続きます。
May 10, 2024
メルティの世界で そのきゅう

ピノコたちは
水が引いた後の世界にやってきた。

ジョン、帽子を見つけたよ。
と猫が言っている。

二手に分かれて、
壁に沿って探索してみよう。

ジョンとピノコたちは、
トンネル工事現場近くの
池があったところにたどり着いた。
水は随分引いたみたいだけど、
池は残っているんだね。
あ、あっちから舟が。

メルティたちを乗せた舟は
ゆっくりと桟橋に近づいてきた。

無事だったんだね。
心配してたんだよ。
水がどんどん増えて、
壁も霞んで見えなくなったの。
渦に飲みまれそうになったけど、
なんとか無事だった。

こっちでも洪水状態で
大変だったんだ。
みんなで魔術劇場に避難したら、
ヴィヴィアンが呼び出してくれた
バルっていう水の精霊が
増水を止めてくれたんだよ。
とジョンが言った。
そんなことがあったの。

ごめんなさい。
私が滝を見たいって願ったせいで、
沢山の滝の水が池に降り注いだの。

その時、桟橋で水を飲んでいた子猫が言った。
池に何か映ってるよ!

池の面に巨大なメルティの顔が
現れて、話し始めた。
メルティ、よく聞いて。
この池は、異世界の泉と繋がっているの。
それを望んだのはあなたであって、
あなたの夢を見ている私でもある。

でも池の水が急に増え続けたのは、
あなたのせいじゃないのよ。
すごく悔やんでいるみたいだから、
それを伝えたくて出てきたの。
あれは、
カエルの姿をした夢食いヘクトンの仕業。
ヘクトンは、あなたに夢見の水を飲ませて、
沢山の滝を想像するように仕向けたの。
ずっと家にいてもいいって言ってた、
親切なカエルだと思ったのに。
それはあなたが消えちゃうとまずいからよ。
ヘクトンは迷いの森から
新しくできた水の通路を通ってやってきて、
この夢の世界を水で満たして、
カエルの楽園にするつもりだったみたい。
でもそのためには夢の主人公である
あなたの同意を得る必要があった。
それであんなに綺麗な滝のイメージを。
ヘクトンは泉の水の精霊の力で、
迷いの森に追い返されたわ。
この池の水はこれからは増えることも
減ることもない。
長い間目覚めることのない私たちの夢は、
夢食いたちの理想郷なの。
これからも気をつけてね。

そう言い終えると
池の面の顔はうっすらと消えていった。
私も迷いの森から来たみたいですけど、
ここに住んでもいいですか?
とカタツムリが言った。
夢くいじゃなければいいわよ。
解説)
続きます。
May 09, 2024
メルティの世界で そのはち

薄い煙が立ち上って、
水差しの中からバルが現れた。
ピノコや猫たちが驚いている。

昼寝してたところでした。
なんの御用でしょう。

ヴィヴィアンから事情を聞いたバルは、
口を開いた。
わかりました。
たぶんヴィヴィアンさんの想像の通りですね。
メルティさんの異世界と繋がりたい
という願いが通じたのか、
メルティさんが夢見の水を飲んで
その影響を受けたのか、
とにかくメルティさんの夢の世界が、
私の泉と繋がっているのは確かなようです。
さっそく、水をひかせましょう。

ジョンが扉を開けると
透明だったはずの境界の向こう側が
水に満たされているのが見えた。
ヴィヴィアンは呪文を唱えて、
水の侵入を押しとどめているようだ。

バルも手をかざして呪文を唱えている。
水は自分たちの精霊のバルがいるのを知って
喜んで乱流を起こしているが、
一向に水嵩が減る気配がない。
ちょっと水量が多すぎるようです。
かくなるうえは。
とバルがいった。

そんなことするとあなたが。
と言うヴィヴィアンの言葉が、
終わらぬうちに、
バルの半身は水に変化して、
扉の中に吸い込まれていった。

ああ、あの人、
全身水になって行ってしまいましたよ。
とジョンが言った。
水になれるなんてすごい。
みずから水になるとは。
などと猫たちも驚いている。

あの人、水の精霊だったんですか。
ええ、それも夢見の水って呼ばれている、
迷いの森に湧く特別な泉の水の精霊だったのよ。
もう元に戻らないんですか。
私が人間の姿になれる魔法の呪文を
教えてあげておいたから、大丈夫よ。
ただ、あれだけ大量の水の中に溶け込んで、
迷いの森の泉に導くつもりでしょうから、
どうなることか。

その頃、
メルティたちの乗った舟は
巨大な渦に遭遇していたが、
不思議に舟は引き込まれなかった。

だんだん水が引いていくよ。

やがて扉の境界の向こうが透けて見え、
池の水はすっかり引いたようで、
猫たちはぞろぞろと帰りはじめている。
すごいもの見せてもらっちゃった。
とマンスフィールドさんが言っている。
メルティたち元気でいるかなあ。
ジョンさんの帽子探さなくちゃ。
掃除が大変そうだなあ。
あの池の水また飲みたい。
などと猫たちが話している。
解説)
続きます。
May 08, 2024
メルティの世界で そのなな

魔術劇場の応接室では、
絵画と人形のコレクターの
マンスフィールドさんが、
ヴィヴィアンと話していた。
お土産にお持ちした作品、
気に入っていただけたかしら。
素晴らしいです。
ちょうど最近住人が増えて、
新しい応接間に飾る作品が欲しかった
ところだったんです。
シュール好きの父もきっと喜びますわ。
それはよかったわ。
実はこの前メルティから
そのお話を聞いていたのよ。
この絵も私の保管倉庫のコレクションから
メルティが選んだの。
デ・キリコの「オデュッセウスの帰還」の
レプリカなんですよ。

そうだったの。
あの子、この絵を自分の夢の部屋に
飾りたかったのね。
でもこういう美術作品のレプリカを
夢の世界に持ち込むと危険だから。

そういうことみたいですね。
去年メルティにあげた
クノップフの「スフィンクスの愛撫」が、
大変な騒動を引き起こしたらしいですから。
ところで、あの絵は今どこに?
家族のリビングに飾っています。
部屋を管理してくれているメルティたちも
時々やってきて眺めていますよ。
とヴィヴィアンが言った。

そのとき、扉が開いて
猫たちが部屋に飛び込んできた。
続いてジョンも現れた。
お話中申し訳ない。
ちょっと大変なことになりまして。

ピノコとシュレディンガーも
扉からでてきて、ヴィヴィアンに
話している。
トンネル工事をしていたら
湧き出してきた水が溜まって池になり、
池でメルティとサラが舟遊びに出かけた後、
池の水がどんどん増水して、洪水状態になって、
やむなく、みんなで避難してきたんです。
メルティとサラがまだ帰ってきていないんですが、
もう陸地が無くなり始めて。

初めて聞く話ね。
その池の水は地下から湧いてきたのね?
壁の向こうの世界に行くために、
メルティがずっと昔から掘っていたトンネルなんです。
掘っても透明な土が掘り出されるばかりでしたが、
掘るのをやめるとメルティが悲しむので。
ところがある日水が噴き上げて。
ついに外の世界と繋がったのかもしれません。

池のお水は、肉まんの隠し味と
同じ味がしたよ。と一匹の猫が言った。
あの勢いだと、向こうの世界はもう
ほとんど水没しているはず。
と言いながら、ジョンは扉を押さえている。

ちょっと考えさせて。
とヴィヴィアンは言って、
しばらく経ってから言った。
肉まんの隠し味っていうと夢見の水。
ということは、池の水は、迷いの森の泉から
流れてきていて、メルティの夢の世界は、
たぶん迷いの森と繋がったのよ。
デュアン、悪いけどバルを呼んで来て。
起きてるかな?

デュアンは銀の水差しを持ってきた。
バルさんは、この中で寝てるはずです。
わかった。私が起こすわ。
ヴィヴィアンは手をかざして呪文を唱えた。
解説)
続きます。
マンスフィールドさんが、
去年の「大変な騒動」と言っているのは、
2023年4月19日「メルティの夢の部屋」
から、4月28日「絵画を返す」
までのエピソードのことのようです。
May 07, 2024
メルティの世界で そのろく

家の中に入ると屋内はぼろぼろだった。
あ、さっきのカエルがいるよ。

大きなカエルが口を開いた。
ようこそ。
私はヘクトンと言います。
あなたがこの夢の世界のご主人ですね。
先ほどは息子たちを助けていただいて
ありがとうございます。
その上、たくさんの大きな滝を
思い描いていただいたおかげで、
池のお水が一気に増え続けています。
なんですって!
とメルティが言った。
もうすぐこの世界は一面の池水に
覆われることでしょう。
もっとも、この家は安全ですので、
いつまでもいてくださって構いませんよ。

こちらにどうぞ。
メルティたちは客間に案内された。
まあ随分素敵なお部屋だこと。
風通しも良さそうね。
と、冗談はさておき、
ああ、私ったら。
こんなことになるなんて。
どうしようサラ。
とメルティはいった。
なんとか止めてもらえないかしら。

二人は先ほどの部屋に戻ってみたが、
もうヘクトンの姿はなかった。
大丈夫。
全てが水とジャングルの世界になっても、
あなたの見ている夢なんだから、
きっとなんとかなるわよ。
でも、ジョンもピノコも、
シュレディンガーも猫たちも、
みんな外の世界からやってきた、
私のお友達でしょう。
溺れて死んじゃったりしたら、
私の夢の力では変えられないのよ。
とりあえず、この家を出て、
みんなのところに戻りましょう。
ヘクトンさんはいい人みたいだけど、
ここにいたら、掃除したくなって、
部屋が綺麗になったら
ずっと暮らしていたくなる気がする。
そうだね。
そばで聞いていたカエルが、
帰るの?
と尋ねた。
うんカエル。
もう帰れる場所はないよ。

その頃、ピノコたちは困っていた。

池の水がどんどん増水して、
とうとう、ここまで寄せてきましたね。
メルティたちは無事でしょうか。
舟に乗っているから、
池には浮かんでるはずだけど。

ドア近くまで灌木が出現して
その縁まで池の水が増えているのだった。
うまいうまいと言いながら、
ごぶごぶと水を飲んでいる猫もいる。

舟が見えない。
早く帰ってこないかなあ。

このままじゃ溺れちゃうよ。
私泳げないのよ。
肉まんもうないの?
ひたすら眠い。
などと
猫たちは言っている。

百猫の王シュレディンガー様。
お助けください。

こうなったら、やむを得ないな。
メルティからは、
猫たちを通すなって言われてたけど、
みんなで扉から脱出しよう。

その頃、
ジャングルの廃屋を後にした
メルティたちが目にしたのは、
茫洋とした一面のウォーターワールドだった。
解説)
続きます。
May 06, 2024
メルティの世界で そのご

舟は水路から戻っていく。
全く何が何だか。
ねえ、願い事が叶うって言ってたけど。
何がいいかなあ。
せっかくの舟遊びなんだから、
私はきれいな滝が見たいな。
いいわね。

すると、やがて前方の岸壁に
滝が現れた。
おお、すごい。
右側に回り込めそうだよ。

これはまた、
素晴らしい景観だね。

滝巡りの旅だね。

舟は滝の落ちる岸壁に囲まれた
狭い水路を抜け出た。
満喫したなあ。
と言っている。

またジャングルみたいな
岸辺が続いているよ。
どこに向かってるのかな。

あ、あんなところに
建物が見えるわ。

舟はデッキのような場所に
横付け状態になって停止した。

こんにちわ。
誰かいませんか。
解説)
続きます。
May 05, 2024
メルティの世界で そのよん

さらに舟は進んでいく。
桟橋も灌木も見えないわね。

今度はハスの葉に乗った
カエルを見かけた。
お兄ちゃんはあっち、と言っている。

ハスの茂みのようなものが見える。
岩の上にもカエルがいるようだ。

ああ、これは良いところに。
ところで、どこも切り立った岸壁ばかりで、
上陸できないのです。
ほとほと泳ぎ疲れてしまいました。
平坦な岸辺まで乗せていってもらえませんか。
とカエルは言った。
いいわよ。
平坦な岸辺って私たちも
探しているところなの。

これは水上タクシーですか。
そう見える?
私たちは舟遊びをしているだけ。
料金なんていらないのよ。
それはご親切に。

やがて池に靄がかかり
幻影のような湿地帯が現れた。
カエルたちは、そこで一句。
と言いながら水音高く
池に飛び込んで行った。
やがて一匹のカエルが池面に
顔を出した。
ありがとうございました。
お礼に良いことを教えましょう。
この池に注ぐ清水を飲めば、
願い事が叶いますよ。
ではボン・ボヤージュ。

清水なんて見なかったわ。
それにここはどうなってるのかしら。
あっちに水路があるよ。
小舟は不思議に勝手に進んでいく。

小舟は水路の行き止まりで停止した。
あれが池に注ぐ清水らしいね。
喉も乾いてるし、
言われた通り飲んでみましょう。

お、美味しい。
顔も洗うと気持ちいいわ。
この味は、夢見の水と同じよ。
解説)
続きます。
May 04, 2024
メルティの世界で そのさん

メルティとサラは
小舟に乗り込んだ。
気をつけてねー。
と言われている。

小舟はゆっくりと出発した。
何もしていないのに動いていくよ。

二人を見送ったピノコたちは、
池の岸辺の近くで、
肉まんを食べながら、
二人の帰りを待っていることにした。

実は池の水かさが少しずつ
増えているのが気になるんだ。
とジョンが言っている。

やがては大洪水になるっていうこと?
地球温暖化の影響なの?
それは絶対ないと思いますよ。
え、今誰が言ったの?

猫たちが話してるわ。
とピノコが言った。
よく聞くと、猫たちの声がする。
この池の水美味しいね。
肉まんに隠し味で入ってるのと同じ味。
もひとつ食べようかなあ。
などと言っている。

あなたたち人の言葉で話ができるの?
あ、わかります?
池のお水を飲んだら、
猫語が通じるようになったんですね。
私とはこれまで通りだね。
とシュレディンガーが言った。
猫族は以心伝心ですからね。

その頃メルティたちを乗せた舟は
ゆっくりと池を進んでいた。
岸に沿って進んでいるから、
そろそろ一周する頃なのに。
大きさがわからないからねえ。

あれは何?
岩の上に乗っているのは
カタツムリみたいよ。

昼寝していたら池の水が増水して、
ここに取り残されてしまったんです。
とカタツムリが言った。
あなたカタツムリなのに
人の言葉が話せるの?
これは夢ですから。
それはともかく助けてあげましょう。

ありがとうございます。
泉に落ちて渦に巻き込まれて、
やっと岸に辿り着いたと思ったら。
とカタツムリは言っている。
このカタツムリ
どこかでみたような気がする。
とサラは思ったが思い出せなかった。
解説)
薄緑色のカタツムリは、
「チョコエッグ 日本の動物コレクション 第4弾
107 アオミオカタニシ」(2000年販売)を使用しています。
実際には南西諸島や、台湾、パプアニューギニア
などに分布するものの準絶滅危惧種とか(wikによる)。
この世界では、
2021年5月13日「帰りついて」に登場しています。
迷いの森の探検に行ったモモコの
ナップザックの中に潜んで、
迷いの森から町に引っ越してきていました。
それ以降、ごくたまに背景に登場していたことがあります。
サラに見覚えがあったのは、
町中で見かけた記憶のようです。
May 03, 2024
メルティの世界で そのに

サラは歓待を受けている。

相変わらず大勢の猫たちで
賑やかね。
あら、ジョンは?

ジョンなら、
泉の様子を見に行っているよ。
実はね。
私、ずっと壁の向こう側の世界に行きたくて、
トンネルを掘っていたでしょう。
そこから地下水が湧いて、泉になったのよ。
泉の水はどんどん広がって、
今では大きな池になってるの。
そこに舟を浮かべてサラと一緒に遊べたら、
楽しいなって思ってたのよ。

やがて、ジョンが戻ってきた。
やあ、サラ。
と言っている。

泉の様子はどう?
小さな桟橋みたいなのができて、
小舟が停泊していたよ。
なんと!
ここは私の夢の世界だからね。
願い事が時々叶うのよ。
きっとサラが来てくれたからだわ。
とメルティが言った。

一行は散歩を兼ねて、
泉の様子を見に行くことにした。

サラが草むらを眺めながら歩いていくと、
草むらは次々と花の蕾をつけ始めた。

どうしたのかしら?
これはきっと、
このフローラの草冠のせいよ。
とサラは言っている。

もうすぐだよ。
この先から、
床が草地になってるわ。

やがて一行は
トンネル工事の現場だった
付近までやってきた。
灌木が生い茂っている。

あれが桟橋と小舟だよ。
とジョンが言った。
なんだかお風呂で遊ぶための
幼児用の玩具みたい。
夢だからね。
などと言っている。
解説)
どうなるのかわかりませんが、
続きます。
May 02, 2024
メルティの世界で

メルティとサラは
魔術劇場の応接間で、
肉まんを食べている
ヴィヴィアンとハリーに出会った。
やあサラ。

ヴィヴィアンさん。
サラを私の夢の世界に
お連れしたいんですけど。

断らなくても
好きにしていいのよ。
あ、魔法が必要だったわね。

その包みはお土産の肉まんかい。
肉まんは美味しいからね。
とハリーが言った。
魔術劇場の部屋の管理は
私が見てますから、
どうぞごゆっくり。
とデュアンが言った。

ヴィヴィアンは
二人に向かって呪文を唱えている。

すると薄い煙が立ち上って。

二人の体は小さくなった。

サラの服、ちょっと違う気がする。
気にしないで。
夢っていうのは、そういうものよ。

扉の鍵はかけないでおくけど、
猫たちには来ないように言ってね。
とヴィヴィアンが言った。

二人が扉を抜けると、
そこはメルティの夢の世界だった。
さっそくサラは、
ピノコやシュレディンガーや猫たちに
歓迎されている。
解説)
続きます。
May 01, 2024
4月のコンテストの発表

今日は高台の方では雨が降っている。
曇天の広場はそこそこの賑わいだった。

鈴木すずはドルフィンのリタから
新しいスケートボードをもらっていた。
倉庫に入荷してたのよ。
これで交代せずに遊べるね。
ずっと毎日遊んでたせいかなー。

ベーカリーのテーブルでは
コンテストの審査が長引いていた。
4月は新規の応募者がいないのよ。
ジェニーフレンドたちも住み続けていて、
応募した住民の数は多いんだけど。
私が推すのはユニークな服装の局長。
でも、あの人はお忍びの休暇だったから、
知らせても絶対辞退するね。

そういえば、気分転換って言って、
髪型変えて登録した人たちが何人かいたわね。
一番印象に残るのは、
なんと言っても。

ルビーがマイクを片手にアナウンスしている。
みなさん、
4月のコスプレコンテストの優勝者の発表をします。
厳正な審査の結果、
優勝したのはジェニーさんです。

ジェニーだって。
今日が発表の日だったんだ。
またチョコもらえるのね。

ジェニーたちの部屋にも
拡声器のアナウンスが流れていた。
やったね。
やっぱりその奇抜なヘアースタイルが。

やがて広場で、
万雷の拍手と歓声に迎えられて
ジェニーはトロフィを授与された。
エクセレンテ、ヴラーヴォ、
トレビヤン!などと声が飛び交っている。

おめでとうジェニー、
その髪型初めてみるわ。
これね、実は初めてじゃないのよ。

広場はジェニーのフレンドたちで
溢れている。
しかしよくみると群衆は
長蛇の列を作っているようだ。

やがて程なく
参加賞のチョコの掴み取りが
始まったのだった。

このトロフィ飾る場所ないんだけど。
ドルフィンで預かってもらえるよ。
私もそうしてるの。
と優勝経験者のアンナが言っている。
解説)
毎月恒例のコンテストは
ほぼ順当な結果だったようです。
ジェニーの稚児髷(ちごまげ)ヘッドは、
2006年6月29日「夏野菜とフィギアショップ そのいち」に
その回だけ登場しています。