Sep 30, 2024
マリアたちの集い
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ヴィヴィアンはペンギン前にやってきた。
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こんにちわ。
久しぶりね。
などと挨拶されている。
お一人ですか。
店内は満席なんですけど。
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今日はお茶飲みにきたわけじゃないのよ。
マリアに頼まれて、
フンボルト氏に伝言を伝えにきたの。
魔術劇場で集会があるんだって。
あ、はい。今呼んできます。
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店内からフンボルトが現れた。
仕事中みたいだけど、
抜けられるの?
私はマスコット役で立ってるだけですし、
リズもいるので大丈夫です。
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その頃、魔術劇場の一室では、
リンリンとシーザーがお茶を飲んでいた。
ヘルミーネは食べ物の準備をしているようだ。
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一応、果物を揃えてみましたけど。
お二人は草食ですよね。
たまにお肉も食べますよ。
その白くて丸いのはなんですか?
これは肉まんというものです。
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その時、マリアが、
ドビーとクロとトラ猫の3人組を引き連れて、
ジオラマ村から鏡の扉を使ってやってきた。
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お待たせ。
こちらが犬猫猿鳥同盟のメンバーよ。
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こんにちわ。
あら、普通のお猿さんなのね。
言葉は通じるの?
引っ掻かれないかしら。
などと言っている。
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みんなが緊張して着席すると、
ヴィヴィアンとフンボルトもやってきた。
これで全員集合ね。
とマリアが言っている。
解説)
続きます。
Sep 29, 2024
山に行く そのなな
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山頂の広場で、
みんな思い思いに寛いでいた。
こんなところに住みたいものだわ。
引っ越してこようか。
流石にそれはないでしょう。
私、あんな追憶系の魔術は初めてだった。
あれは白魔術なのかしら。
とヴィヴィアンが言っている。
それは後世の分類ね。
昔はそんな区別はなかった。
でも彼女の呪力には私も驚いたわ。
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アイスとマリアが話している。
リンリンやシーザーが
加入してくれるとなると、
「犬猫同盟」っていう名前変えなくちゃ。
「犬猫猿同盟」にする。
よく知らないけど、
ペンギン顔の人もいるんじゃなかった?
とアイスが言った。
「犬猫猿鳥同盟」。
何相談してるんですか。
会の名称を考えてたの。
そうだ、メンバーに顔見せしたいから、
魔術劇場に遊びに来ない?
それは嬉しいな。
ルビーさんにも会えますね。
とシーザーが言った。
僕は大勢の人間が苦手で。
とリンリンが言った。
魔術劇場から外出しなければいいのよ。
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一行は高台の遺跡まで戻らずに、
一挙に魔術劇場に帰ることにした。
アイスが呪文を唱えて、
鏡の扉を出現させている。
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一行は魔術劇場に戻ってきた。
留守番をしていたデュアンが
出迎えている。
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お留守番ありがとう。
お帰りなさい。
特に何もありませんでしたよ。
珈琲でもいかがですか。
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アイス、あの鳥の羽根どうしたの?
あ、高台の遺跡の広場に
置いてきちゃったみたい。
せっかくの九官鳥の贈り物だから、
戻って取ってくるわ。
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マリアに誘われて同行してきた
リンリンやシーザーも、
早速デュアンに紹介されている。
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しばらく滞在されますか。
すぐにお部屋をご用意します。
あーどうぞよろしく。
この人全然驚かないんだね。
と言っている。
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マリアはヴィヴィアンに
話しかけている。
ヴィヴィアン頼みがあるんだけど。
珍しいわね。なあに?
これからここで部屋を借りて、
犬猫猿鳥同盟の集会を開きたいの。
それで仲間を呼んでくるんだけど、
手伝ってくれないかな。
いいわよ。
私これからジャンのジオラマの村に行って、
メンバーを呼びに行かなくちゃならないから、
ペンギンでバイトしてる。
ああ、フンボルト氏を呼んでくればいいのね。
ええ。そうしてくれると助かるわ。
解説)
続きます。
Sep 28, 2024
山に行く そのろく
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こんにちわ。
僕はカエル王子。
安住の地を求めて旅をしています。
この池に住んでみてもいいですか。
とカエルは言った。
いいわよ。
どうぞご自由に。
君はもしかして、
今年の春に、メルティの夢の中で
洪水騒ぎを起こしたヘクトンの息子ではないかね。
とハリーが言った。
あ、そうですが。
妹さんのカエル王女が探していたわよ。
とアイスが言った。
そ、そうなんですか。
それで、妹は。
町の高台の休憩所にある、
水盤に住み着いているみたい。
今度、あなたのこと話しておいてあげる。
あ、ありがとうございます。
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驚いたわ。
いつも人の心に浮かぶイメージを読み取って、
この世界に投影してるけど、
逆に自分の記憶のイメージが投影されるのは初めて。
なんだか不思議な気分ね。
とフミコが言った。
この広場のこと思い出した?
とアイスが言った。
ええ。おかげでかなり
鮮やかに思い出したわ。
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アイスはジャングルの方に歩いていくと、
呪文を唱え始めた。
すると、
樹木に絡んでいた蔓が、
くるくる回って円を描いた。
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アイスはその円の中を跨いで、
向こう側に行って振り向いた。
フミコ、こっちよ。
皆さんも。
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一同がフミコの後に続くと、
そこは広場の過去の情景のようだった。
綺麗に整備された庭園が見える。
そうそう、
こんな感じだった。
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花が咲いてるよ。
みんな薬草みたいだ。
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あれは発着場の目印よ。
どんな人が来てたんですか。
大抵はレプテュリアンね。
ほかには彼らが連れてくる観光客とか。
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あれは天文台。
もっと昔は神殿の一部だったの。
ご先祖様は偉大だったのね。
誰もいないのが不思議。
とヴィヴィアンが言っている。
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一行は蔦でできた入り口まで戻ってきた。
ありがとうアイス。
おかげで忘れかけていた記憶の旅を
楽しめたわ。
呪文が心に浮かんだだけなのよ。
きっとこの広場の遺跡が私たちを招いたんだわ。
とアイスは言った。
解説)
続きます。
ハリーの言った洪水騒ぎの話は、
2024年5月2日「メルティの世界で」
から始まっています。
Sep 27, 2024
山に行く そのご
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一行は遺跡を出て、
近くの山まで散歩することにした。
すぐ近くなの。
この別荘地はその山の山腹にあって、
山の頂上には巨石群があるのよ。
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フミコに案内されて、
一行は遺跡の入り口の門を出ていく。
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山頂の巨石群はアフリカの謎のストーンヘッジと呼ばれ、
ごく一部の探検家たちが探索に訪れたことがある。
かってリンの父親のハンスもそんな一人だったが、
彼はその時偶然近くの古代遺跡を発見したのだった。
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遺跡の門の近くからは山頂に階段が続いている。
山頂の巨石群も、以前は私たちの遺跡の一部だったの。
空から都を訪れる人たちを迎える施設があったのよ。
レプテュリアンたちの戦争で徹底的に破壊されてしまったけど。
とフミコが言っている。
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道の途中でリンリンとシーザーに出会った。
アイスはシーザーの仕草を見て慌てて挨拶している。
グリーンマンから、
高台の遺跡にフミコさんが帰ってきていると聞いて、
駆けつけてきました。
と言っている。
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君たちのことは佳奈やルビーから聞いてるよ。
知能の高いお猿さんですってね。
私たちもアイスさんのことは
グリーンマンから聞いてます。
フミコさんの蘇生に協力してくださったとか。
その時、人の姿に変身して、
私にも紹介して。とマリアが言った。
私こういうタイプの人たちにすごく興味があるの。
人じゃないよ、お猿だよ。
同じようなものよ。
是非、犬猫同盟に加入していただきたいわ。
なんですかそれ。
集まってお茶を飲む会なのよ。
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アイスたちが話し込んでいるうちに、
フミコとハリー一家は山頂に到達していた。
あれが巨石群か。
かなりの大きさね。
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アイスたちも
追いついて、
それぞれ紹介しあった後に、
思い思いにくつろいでいる。
戦争が始まる前は、
この山頂の広場には、発着場のほかに
迎賓館や展望台や庭園があったのよ。
とフミコが言っている。
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この円形の石の枠組みはなんだろう。
これは、きっと人工の池の跡ね。
フミコ。その記憶の景色思い出せる?
とアイスが言った。
微かに覚えているわ。
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アイスが呪文を唱えると、
薄い煙が立ち上り、煙を風が吹き払うと、
円形の石組みの中に水が満たされていた。
ハリーが、
ほー。
と言っている。
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池の水の中からカエルが現れた。
解説)
続きます。
Sep 26, 2024
山に行く そのよん
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高原の遺跡で、
一行はくつろいでいた。
バナナを食べたら喉が渇いたね。
広場に水盤があって、
新鮮な水が飲めますよ。
行ってみようよ。
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あれは何?
ああ、あれはグリーンマン。
気にしなくていいの。
あら、なんでしょ。
私を呼んでるみたい。
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一階に降りると、
フミコはグリーンマンの方に
歩いていった。
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何か話をしているようだ。
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何を話していたの?
魔族の人が来てくれたって、
すごく喜んでいたの。
彼は長い間ずっとこの魔族の遺跡と
周辺のジャングルを守り続けていたから。
カーミラさんによく似た人が、
前にも来たことがあるって言ってたわ。
そうなんだ。
君の先祖が来たのかもしれないな。
いつ頃のことかしら。
何千年も前じゃない?
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今度はなに?
あの空飛ぶ魔女スタイルはマリア。
アイスも一緒ね。
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ヴィヴィアンは手を振っている。
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ヴィヴィアンが広場まで追っていくと、
アイスとマリアはみんなと合流していた。
水盤のところで、
お水を飲んでいたら、
突然二人が降ってきて驚いたわ。
空を飛んだのは一昨年のハロウィーン以来。
ここなら誰にも見られないから最高ね。
アイス。君も空を飛べたのか?
ええ、呪文が頭に浮かんだんです。
なんでもありなんだな。
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一行は広場の散策を楽しんでいる。
マリアは黒猫に変身したようだ。
解説)
続きます。
マリアが箒に跨って空を飛べるようになったのは、
一昨年のハロウィーンのこと。
2022年10月29日「まもなくハロウィーン」に、
箒に跨って空を飛ぶシーンが、ちらっと出てきます。
Sep 25, 2024
山に行く そのさん
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アイスとマリアは
空に浮かんでいた。
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見渡す限りの
ジャングルね。
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沼地が見えるわ。
たぶんあっちがマークの集落や、
古代遺跡のある方角よ。
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天気がいいから
どんどん行ってみよう。
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その頃、魔術劇場から
フミコに招かれたハリー一家が、
フミコの故郷の遺跡を訪れていた。
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随分立派な建物だなあ。
私たちの先祖って優秀だったのね。
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結構涼しいのね。
上着着てきて正解だわ。
ここは高地にあって、
避暑地だったんです。
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雰囲気あるなあ、
と言っている。
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ここなんだかすごく懐かしいわ。
不思議な気分。
とカーミラが言っている。
魔族の人の中に、
そういう人多いようですよ。
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何も残っていませんが、
見晴らしだけはいいので、
屋内に入りましょう。
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4人は石造りの部屋で寛いでいる。
眺めのいい部屋ね。
お母さんどうしたの?
ここ絶対来たことがある気がするのよ。
リーインカーネーション?
この土地にはフミコさんがかけた
魔法がまだ効いているんだろう。
そのせいかもしれないよ。
解説)
続きます。
Sep 24, 2024
山に行く そのに
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魔術劇場では、
ハリー一家と、遅く起きてきた
フミコがお茶を飲んでいた。
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昨夜は楽しいおもてなしを
ありがとうございました。
すっかりご馳走になっちゃって。
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いやいや。
ああして魔族が集まったのは久しぶりだ。
先祖の君がいてくれたおかげで、
大いに盛り上がったよ。
みんな興味津々だったからね。
考えてみればそれもアイスのおかげかな。
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アイスといえば、
彼女、強力な再生の呪文を使ったみたいですよ。
ふーん、どうしてわかるの?
とヴィヴィアンが尋ねた。
アイスには、この肩飾りの宝石を一つ外して、
指輪を作ってあげたんです。
その指輪から私に波動が伝わってくるの。

フミコが手を振ると、
部屋の壁に、アイスが呪文を唱えている
情景が映し出された。
あ、マリアもいるのね。
あの子いつの間に。

情景は樹木の変化の様子を
映し出している。
これはすごい、
なんでもありのパワーだわ。
あの人、人間でしょう。
魔術の書には載っていない呪文だな。
立派な樹木ね。あそこはどこなのかしら。
などと言っている。

あれはアフリカです。
そうそう、お世話になっているお礼に、
御一家を私の故郷にお招きしたいんですが。
故郷といっても、今はもう何もない
寂れた遺跡なんですが。
それは嬉しいわ。
ずっと旅行してないし。
お母さんはここにいても
ずっと引きこもりだからね。
喧騒が苦手なのよ。
遺跡に人は誰もいません。
旅行といっても鏡の扉を
潜り抜けるだけなんですよ。
遺跡の町と湖と高原と
どこがいいですか。
もう秋だから高原ね。
とヴィヴィアンが言った。

その頃アイスたちは、
山の中腹を下り、ダリオの家に
帰る途中だった。
しかしレプテュリアンって冷酷だね。
あそこまでしなくてもいいのに。
自然や動物愛護の精神に欠けてますね。
それでいてリクガメが好きなんだから、
やることが人間と同じだね。
などと話している。

そのとき、九官鳥が
ハヨーハヨーと鳴きながら、
上空を掠め飛んでいった。

九官鳥は、
風切り羽根を落としていったようだ。

マリアは人の姿になった。
随分大きいわね。
これ使えるかも。
などと言っている。

アイスとマリアは、
羽根にまたがると
呪文を唱えて空中に飛翔した。
やっぱりね。
ちょっと散歩してくる。
なんでもありですな。
僕は家に帰ってますから。
とダリオが言っている。
解説)
続きます。
Sep 23, 2024
山に行く

アイスとダリオとマリアは
山の中腹にあるという、
九官鳥が巣をかけている木を見に行った。
実はさ、ルビーから聞いたんだけど、
九官鳥に小さな宇宙人がさらわれて
レプテュリアンが円盤で
取り返しに行ったというのよ。
とアイスが言った。
それは知らなかったな。
僕はずっと君たちの町にいて、
留守していたからね。

これは佳奈から聞いたけど、
その九官鳥の住む樹木って、
生命の樹って言われていたらしいわね。
それを佳奈に教えたのは僕だよ。
原住民の間でそんなふうに言われてた。
もう随分昔のことだけど。
あ、もうすぐこの先だよ。
黒猫に変身しているマリアは
走り出している。

3人は樹木の見える場所に
やってきた。
おおこれは。
なんという。

ちょっと気になってたんだけど、
やっぱり悪い予感が当たっちゃったみたい。
たぶん宇宙人を救出したレプテュリアンが、
九官鳥の巣を破壊していったのよ。
これは相当だなー。

九官鳥は無事のようだが、
巣を無くして戸惑っているようだ。

私なんとかしてみる。
そういうと、アイスは
心に浮かんだ呪文を唱え始めた。

すると周囲に薄い煙が立ちのぼり、
やがて一陣の風が煙を吹き払うと
緑の生い茂る木立の姿が現れた。

樹木の高みの太い幹の中から
顔のようなものが出現した。
あなたが癒してくれたのね。
どうもありがとう。
とその顔は言った。
あなたはどなたです?
とアイスは言った。
見ての通り、私はこの樹木の精霊。
長いこと生きてると、
いろんなことがあるものね。
あら、あなたは魔族じゃないのね。
まあどうでもいいけど。
お礼に何か願いを叶えてあげましょう。
お礼なんていいですよ。
とアイスは言った。
ふーん。そうなの。
ここにはいろんな人がやってきて、
願いごとをしていったのよ。
それはもう昔の話だけど。
とりあえず、枝葉の修復に
何十年もかかるところだった。
どうもありがとう。
あなたのことは忘れないわ。
そう言うと、
顔は幹の中に沈み込むように消えていった。

さっきの呪文、なんだったんです。
聞いたこともない言葉でしたが。
よく覚えてないわ。
ただ心に浮かんだ言葉を言っただけ。
九官鳥も喜んでいるようだ。
解説)
続きます。
Sep 22, 2024
翌日の続き

ジェニーたちの部屋。

もう夕暮れね。
今日は何もしないうちに
時間が経っちゃった。
何も思いつかないうちに、
って言った方がいいんじゃない。

そこにあるのは月餅ね。
なにかニュースある?
大谷が記録を達成したって。

そこにドルフィンのスタッフの
リタがやってきた。
靴箱を抱えている。
あら珍しい。

これ、ドルフィンの倉庫に
入荷してた靴なの。
サイズが小さくて、
あなたたちなら履けるんじゃないか、
と思って持ってきたのよ。
リカって書いてあるね。
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箱を開けて取り出すと、
それはリカちゃんサイズの靴だった。
「ノアールブーティー」って
いう名前らしいよ。
ハーフブーツみたいで、
秋冬モードに似合いそう。
誰が履くかはジャンケンだね。

リタは月餅をご馳走になっている。

その頃、アフリカのダリオの家では。
アイスとダリオが寛いでいた。
佳奈たちがここに来たって言ってたけど、
近くに巨大な九官鳥の巣があるそうね。
近くといっても山の中だけどね。
行ってみるかい?
その時、鏡の扉の隙間から黒猫が出てきた。
おやあの猫は。

薄煙と共に、
黒猫は女性の姿になった。
面白そうなので、
ついて来ちゃった。
と言っている。

ようこそ。昨日の夜会ではどうも。
あなたは確かハリーさんの
姪御さんのマリアさんでしたね。
とダリオが言っている。
そうよ。マリアと呼んで。
その格好じゃジャングル歩くの大変だよ。
とアイスが言った。
猫になってついていくからご心配なく。
私箒があれば空も飛べるし。
解説)
続きます。
リタの持ってきた靴はガチャで入手しました。
タカラトミーアーツの
「Licca closet series シューズコレクション」
(全6種)の「ノワールブーティー」です。
Sep 21, 2024
夜会の翌日

夜会の翌朝の魔術劇場の一室。
お昼に近くに、
ハリーが起き出してきた。
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ああよく寝た。
昨晩は良く飲んだなあ。
マーリンたちは?
みなさんお帰りになったわよ。
カエル王子によろしくって。

テーブルには
黒猫に変身したマリアがいる。
胃薬も用意されているようだ。

親しくなったアイスとダリオが話している。
もう帰るの?
集落のフラハの家までは扉ですぐだけど、
家までは集落から結構かかるんだ。
夕方頃に家につけるかな。
だったら、家に直通する扉を
作ればいいのね。
行きたい場所をイメージして。

アイスが呪文を唱えると、
鏡の扉が現れた。

すごい呪力だ。これは便利だね。
何度も使えるように固定しておくわ。
じゃあ、ちょっと家を見にこないか?
そうね。

二人が扉を抜けると、
そこはダリオの家の裏庭だった。

その頃、サラたちの部屋では、
昼食に海鮮丼を食べていた。

マンゴー亭に行ったら、
昨晩の夜会用に仕入れた
魚介類が余ってるからって、
分けてくれたの。
お寿司の具材だね。
早く食べないと。
解説)
続きます。
いつもながら、あまり脈絡のない展開ですが、
「海鮮丼」のシーンは、
ぷちサンプルシリーズ「極上寿司」(全六種)の
「2.海鮮丼」を二組使っています。
Sep 20, 2024
十五夜の夜会 そのさん
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夜会は続いていた。
夜も更けて、それぞれ席を変えて
思い思いに歓談している。
フミコさんって、
長生きなさったんでしょう。
とカーミラが言っている。

そうでもないのよ。
亡くなったのは235歳のとき。
そうだったの。
じゃあ私のほうがお姉さんね。
とカーミラが言った。

幼馴染のハリーたちは、
昔話に興じているようだ。
カエル王子遊びをおぼえているかい?
忘れたことなんかないよ。
今でも夢に見るんだ。

ヴィヴィアンたちはアイスに
指輪を見せてもらっている。

近くによるだけで、
すごいパワーを感じるわね。
そうなの?
私にはよくわからないけど。
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どうだね。
また遊んでみるかね。
お酒で行くか。
いいよ。
今度は負けないぞ。

薄い煙が立ち上ったので、
アイスが振り向くと、
椅子やテーブルの上に
三匹のカエルがいた。
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カエルたちは
テーブルの上に集まると、
お酒を飲み始めた。

あれ何してるんですか。
とマリアがカーミラに訊いている。
お酒の飲み比べ競争よ。
お互いカエルの姿に変身して、
いろんな競争をするのが、
カエル王子ごっこ。
どうして王子なんですか。
魔族の子供の遊びだからね。
一番は王様じゃなくて王子なの。
なんか、たわいないのね。
男ってそういうものなのよ。
解説)
続きます。
Sep 19, 2024
十五夜の夜会 そのに
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夜会は続いていた。
フミコさん。
この前の夜の打ち上げ花火、
あれはあなたが作った幻影だったって、
噂があるけど、本当?
とカーミラが言った。

はい。あれはたまきが心の中で、
思い描いたイメージを表現したんです。
すごいわね。
今日は中秋の名月らしいですね。
アイス。夜空を思い浮かべてみて。

アイスが十五夜の空をイメージすると、
部屋の壁が消えて
夜空がスクリーンのように映し出された。
ほー。
あらら。
と言っている。
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月は煌々と輝いている。
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鏡の扉が開いて、
アンナが酒器を運んでくると、
夜空の幻影は消えてしまった。
熱燗お持ちしましたよ。
と言っている。

今のは古代の魔術かね。
自分で描いたイメージならともかく、
人の心の中のイメージを読み取って
外界に投射する魔法というのは、
魔術の書になかった気がするが。
とマーリンが言った。

そうなんですか。
昔は魔術の書もなかったから。
呪文というのは心に浮かぶんですよ。

マーリンは、
ヴァンパイアたちのために
彼らが思い描く理想の世界を
作ってやったんだろう。
よく似てるじゃないか。
とフラハが言った。
ふむ。確かに似ているな。
だがあれは彼らの共同の願望と
土地の精霊に働きかけて、
閉じた別世界を作り上げるものだ。
実現にはいろんな条件が必要なんだよ。

綺麗な満月だったわね。
フルムーンといえば、
若い頃のサバトを思い出すわ。
今では魔女の集会の風習も廃れちゃったけど。
やっぱりイクラの軍艦巻きね。
などと話している。

ヴィヴィアン、
今日はおとなしいのね。
隣に実のお父さんがいるからね。
聞こえてるぞ、
とマーリンが言っている。

まぐろには冷酒が合うなあ。

夜会の夜は更けて行った。
解説)
続きます。
Sep 18, 2024
十五夜の夜会

夜になって、
ジェニーたちはお月見をしている。

晴れてよかったね。
あんなにくっきり見えるの、
またフミコの魔法のせいかなあ。
どうなんでしょう。
お月様綺麗ね。
あれってなあに?
どこどこ?
などと話している。

その頃、魔術劇場では、
夜会が始まっていた。

テーブルには
マンゴー亭から運ばれた
お寿司の品々が並んでいる。

今夜はこのささやかな夜会に
ご出席くださってありがとう。
会の趣旨は、
普段交流のない魔族の仲間と
再会したり新しい仲間を紹介したくて、
集まっていただいたということです。
まあ気軽な寿司パーティなので、
楽しく過ごしましょう。
と主催者のハリーが言った。
知らない人もいると思うので、
一応自己紹介すると、私はハリー原。
この魔術劇場を主宰している。
隣にいるのが妻のカーミラ。

どうぞよろしく。
とカーミラが言った。
その隣がジャンヌ。
ジャンヌは私の妹だ。
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その隣はジャンヌの娘のマリア。
私にとっては姪にあたる。
その横でサングラスをかけているのは、
ヴィヴィアン。私の娘だ。

その横にいる二人は、
私の幼馴染の友人マーリンとフラハ。
黒いマントのマーリンはルーマニアに住んでいる。
長髪のフラハは、アフリカに住んでいる。
最近再会したばかりなんだ。

ここからはみんなに紹介したい人たちだ。
金髪のアイスは特別ゲスト。
彼女は普通の人間で魔族ではないが、
強力な呪力をお持ちなので招待させてもらった。
黒髪のフミコは、蘇生の魔術で
古代世界から甦った魔族の女性。
私たちからしてみれば遠いご先祖にあたる。
最後も特別ゲストのダリオ。
別世界から来た人物で、その世界では
魔族として暮らしていたというから、
生まれた世界は違うが遠い親戚のようなものかな。
今はアフリカで暮らしているという。
さて紹介はこのくらいにして、
会食を始めましょう。
とハリーは言った。
解説)
続きます。
Sep 17, 2024
夜会の準備
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サラたちの部屋。
フミコは元の服装に着替えさせてもらっている。
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フミコは、今日は夜会があるから、
正装で出席したいの。
と言っている。
私は浴衣に着替えたいなあ。
とたまきが言った。
いいわよ。
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たまきは浴衣を着付けてもらった。
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二人が部屋に戻ると、
ジェニーたちも浴衣を着ていた。
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今日は十五夜だからね。
晴れてたら、お月見しよう。
晴れてなかったらお団子だけ食べよう。
いい風習があるのね。
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そこに広場からひそこが飛んできた。
フミコに超音波で話しかけている。
なんて言ってるの。
夜会をそろそろ始めるから、
アイスと一緒に魔術劇場に来て欲しいって。
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フミコは広場に行って、
アイスに伝言を伝えている。
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私も呼ばれてるの?
私は魔族じゃないのに。
きっと私があなたに魔力を授けたせいね。
あなたの能力は実質的には魔族と同じだから、
同じ仲間ということで招かれたのよ。
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二人が魔術劇場の前に行くと、
エヴァが鏡の扉を開けてくれた。
魔術劇場にようこそ。
みなさんお揃いですよ。
解説)
続きます。
Sep 16, 2024
広場に帰る
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ルビーとフレイムは
豹変亭でリンたちと別れて、
フラハの家までやって来た。
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二人はフラハに
ジャングルでの出来事を話している。
なるほどなあ。
夜空に光る飛行物体はよく見るんだよ。
誰も気にしないけど。
その時、一瞬、鏡の扉が開いて、
隙間からコウモリが飛び出してきた。
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それはヴィヴィアンのお供をしている
派遣コウモリのひそこだった。
ひそこは超音波で何か話している。
フラハは聞き取れるようだ。
なんて言っているんです?
ヴィヴィアンからの言伝だよ。
明日の夜に、魔術劇場で
夜会をすることになったから
出席して欲しいって言っている。
魔族の人たちの飲み会ですか。
それは楽しみですね。
じゃあ。私たちはこれで。
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ルビーとフレイムはフラハと別れ、
鏡の扉を抜けて魔術劇場から広場に戻ってきた。
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今日は曇天ね。
夏から秋に変わったみたい。
さすがに涼しいとほっとするわ。
その赤い動物は。
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ルビーはアイスたちに声をかけられている。
お帰りなさい。
無事に戻ったみたいね。
ジャングルは楽しかった?
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フレイムは、
ベーカリーでシェフの代役をしていた
小池恵子と話している。
ちょうどよかったわ。
明日魔術劇場で魔族の飲み会があるらしくて、
マンゴー亭にお寿司と肉まんの大量注文が来てるの。
お寿司パーティか。
私も手伝うわよ。
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そのとき、レプティが
フレイムの肩から地上に飛び降りると、
さっそくドラコが走り寄ってきた。
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ドラコはダーダーと言っている。
レプティは身構えて、
その声に聞き入っているようだ。
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バナナを与えると、
二匹は仲良く食べ始めた。
解説)
続きます。
Sep 15, 2024
集落での会話
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ルビーとフレイムは
シーザーの家を後にした。
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随分ジャングルを楽しんだし、
そろそろ帰ろうか。
まだ集落は見てないわよ。
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二人がマークの集落の中心部にさしかかると、
ビールケースを運んでいるアンドレアに出会った。
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アンドレアは緊張している。
あなたのことは、アイスから聞いてるわ。
とルビーが言った。
元ジゾックスの首領のローズと二人で
お店をやってるんだってね。
ここで真面目に更生して暮らしてる限り逮捕はしない。
でもそういうふうに決めたのは私たちのグループだけ。
国際組織やCGの方針は変わらないから、
別の場所で発見され次第、命の保証はないわよ。
わかってるわ。
恩にきてる。
とアンドレアは言った。
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ここがあなたたちのお店「豹変亭」ね。
いい感じのお店じゃない?
とルビーが言っている。
儲かりまっか。
ぼちぼちでんなあ。
と話している。
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これはお店の奢りよ。
ローズがよろしくって。
嬉しいけど、そういうのは無し。
ちゃんと払わせて。
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フレイムが店内を見ると、
店はぼちぼち繁盛しているようだった。
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アイスや佳奈が言ってたとおりの
雰囲気の店だね。
などと話していると、
リンがテーブルにやってきた。
あのー。今、アイスや佳奈って聞こえたんですけど、
もしかしてお二人のお知り合いですか。
そうですけど。あなたは?
私はリン。
この集落を拠点に遺跡調査をしている探検家です。
あ、調査をしていた、といえば正確かしら。
今は調査を中止して資料の整理をしているの。
なるほど、アイスと佳奈から
彼女たちが参加した遺跡調査のあらましは聞いています。
よかったら、こっちで一緒に飲みませんか。
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テーブルに来たリンとクラウドとハンスは、
さっそく打ち解けて、話が盛り上がっている。
レプテュリアンや宇宙人との遭遇の話よりも、
ルビーとフレイムが、魔術師フラハの家に設置された
魔法の扉を使ってこの集落にやって来たという話が、
みんなの関心の的のようだった。
そんな便利な扉ができたとは。
最近、見慣れない旅行者が増えたってよく聞くけど、
そのせいだったのね。
しかし、そのうち古代遺跡の存在が
知れ渡っちゃうんじゃないかな。
扉はアイスが魔法で作ったもので、
そのことを知っている人も限られています。
古代遺跡のことはご存知のように
魔族やレプテュリアンも関わっているので、
私たちも公にするつもりはなく、
扉を使える人も限定するつもりですが、
遺跡調査に行ったあなた方なら心配ないでしょう。
とルビーが言った。
アーネストやアンドレアやマークも
知ってるの?
知ってますよ。
でもアーネストやアンドレアは、
多分使わないでしょうね。
とフレイムが言った。
解説)
続きます。
Sep 14, 2024
シーザーの家で
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シーザーの家で、話し合っている。
このカプセル何が入ってるのかしら。
リザードさんが、
月の裏側にあるルナシティで回した、
ガチャのアイテムだって言ってましたよ。
トカゲが入ってるらしいけど、
どんなトカゲかは分からないって。
どっかで聞いた話ね。
それで、円盤に乗ったご感想は?

それがよく覚えてないんです。
機内の様子はさっぱり思い出せない。
でもね。外の様子はくっきり見えて、
鳥になったみたいに覚えています。

最初に地上から
どんどん離れていって。
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渓流の流れがよく見えたので、
方角がつかめました。
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それからどんどん上空に上がって。
僕がイメージする方向に飛んでいくんです。
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やがてとうとう目印の沼地が見えました。
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それからあの鳥の巣がある山を見つけたんです。
それから先は何が起きたか思い出せない。
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その時、
カプセルが震えてるわよ。
とフレイムが言った。
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カプセルが弾けるように開くと、
赤っぽい液体と共に、
中から赤いトカゲが転がり出てきた。
液体はすぐに蒸発していく。
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トカゲはバナナをぱくついている。
僕、実はトカゲは苦手なんです。
小さい頃に噛まれたことがあって。
よかったらルビーさんたち、
このトカゲ飼っていただけませんか。
とシーザーが言っている。
逃がしてやれば?
せっかくのお礼の頂き物だし、
このトカゲ、愛玩用でしょう。
それにまだ若いみたいだし、
過酷なジャングルでは、
すぐ鳥や獣に食べられてしまうかも。
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たくましくなるまで
ベーカリーで飼うかな。
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フレイムさんに懐いてるみたいですよ。
名前はなんてつける?
赤っぽいからレッドでいいんじゃない。
いつも思うけどすごく安易じゃない?
じゃあレプティにしよう。
レプティは尻尾を振っている。
解説)
続きます。
赤っぽいトカゲはガチャで。
BANDAI NAMCOの
「いきもの大図鑑レプティ」(全五種)の、
「4.フトアゴヒゲトカゲ(ライトブラウン)」です。
Sep 13, 2024
休暇旅行へ そのきゅう
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飛んでっちゃったね。
きっと寝ぐらに運んでいったんだよ。
とリンリンが言った。
巨大な九官鳥だった。
寝ぐらって、どこに巣があるの?
マークの集落の向こうの、
沼地を越えたところに山があるんだ。
その山に生えている大きな木に巣をかけている。
とシーザーが言った。
流石に詳しいわね。
あの大きな鳥は
元々この辺りの鳥じゃないから、
ゴリラ仲間ならみんな知っているよ。
あの鳥は光るものが好きなんだ。
さっそく助けに行きましょう。
ここからだとかなり遠いよ。
行き違いになっちゃうから、
ここでリザードさんが来るのを
待っていた方がいいんじゃない?

一行がしばらく待っていると、
やがて上空に飛行物体が現れた。
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ルビーたちは飛行物体から降りてきたリザードに
これまでの経緯を説明している。
ふむ。それはちょっとまずいことになったなあ。
ピピがいなくなったことが知られると大騒ぎになる。
惑星探索で事故や失踪者が出ることは
よくあるんだが、ピピはあの種族のVIPでね。
このリクガメのいるジャングルに
ピピとダックを招待したのは私なんだが、
仲間には内緒にしていたんだ。
九官鳥がピピを運んでいった場所は
シーザーが知っています。
ここからかなり離れた山の中腹に立つ樹木に
巣があるそうです。
なんと場所がわかっているのか。
さっそく回収に向かうよ。
シーザー君とやら、手伝ってくれるかい。
いいですよ。
じゃあ君たちとはここでお別れだ。
シーザー君はピピを回収できたら、
あとで送り届けるよ。

ダックとリザードが飛行物体に
吸い込まれるように移動すると、
シーザーの姿も吸い込まれていき、
飛行物体は発進した。

飛行物体はあっという間に
遠ざかっていく。
ピピもシーザーも大丈夫かなあ。
きっと大丈夫だよ。
私たちもジャングルを満喫したし、
一旦マークの集落に戻りましょう。

僕はあまり人間たちの住む集落には
行きたくないんだ。
リンやハンスやクラウドとは仲がいいけど、
人間も、ものを盗んだり畑を荒らすと言って
猿の仲間が集落に近づくのを嫌がっている。
無理もないんだけど。
とリンリンが言っている。
シーザーは集落の外れに
家を建てて住んでいるんでしょう。
その場所は知ってるの?
うん。
そこで帰りを待ちましょうよ。

時は省略するかのように矢のように流れて、
滝の流れる崖を降り、渓流を下り、
アーネストの診療所の前を横切って、
一行はシーザーの家の前に帰り着いた。
随分かかったけど、
まだシーザーは帰ってないね。

しばらく3人が家の中で休憩していると、
微妙な低い振動音がした。
外を見ると中空に静止した飛行物体から
シーザーがゆっくりと落下してきた。

シーザー。
心配してたのよ。
それでピピも無事だったの?
はい。
ピピやダックを見つけてくれたり、
案内してくれたお礼だと言って
このカプセルをもらったんですよ。
解説)
続きます。
Sep 12, 2024
休暇旅行へ そのはち

おお、君たちはこの星の人のようだね。
と家鴨のような顔の男は言った。
私の名はダック。ピピと二人で、
リクガメを追ってジャングルを歩いていたら、
穴から落ちてしまったんだ。
もしかして
リザードさんのお知り合いですか?
とフレイムが言った。
リザードを知っているのか。
そうだよ。彼に案内されてジャングルに来たんだが、
はぐれてしまってね。
リザードはどこに?
あなたを探していましたが、
おやつの時間になったとかで、
さっき円盤に乗って帰られました。
明日また来るって言ってたわ。
なんと。帰ってしまったのか。
おや、こっちでも何か動いてますよ。
とシーザーが言った。
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それはピピだった。
小さなピピは、銀色の姿をしていた。

ダックとピピの加わった一行は、
洞窟の出口に向かっている。
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洞窟を出ると、
外はもう夕暮れだった。
もう夜になるのね。
このあたりで一晩過ごしましよう。
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洞窟の入り口で
焚き火をすることになった。
お腹すいたなあ。
チョコがないかなあ。
とピピは言っている。

バナナ食べませんか。
ああありがとう。
チョコレートもありますか。
持ってきてないですが、
あっちでみんなと食事しましょう。
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話を聞くと、
二人は別々の星で生まれた生物で、
それぞれの文明はレプテュリアンと友好関係にあり、
地球には観光に来たのだという。
このジャングルには人が来ないって
リザードが言ってたけど、君たち二人は人間だろう。
確かに滅多に人が来ない地域らしいけど、
私たちも観光できたの。とルビーが言った。
人間型の種族に会うのは久しぶりだなあ。
とダックが言った。
え、そうなの。
ああ、宇宙には、
君たちによく似た種族もいるんだよ。
ルナシティにある酒場で出会ったんだ。
この星の住人なのかどうかは分からないが、
管理局に勤めてると言ってたな。
僕が会ったこの星の人間は
もっと背丈が小さかった。
僕よりは背が高かったけどね。
とピピが言った。
ふーん。
それって子供だったんじゃない?
とフレイムが言った。
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翌朝になった。
フレイムが洞窟を出ると、
どこかでハヨー、ハヨーという鳥の声がする。
あれはなんの鳥?
九官鳥ですよ。鳴き真似してるんです。
とリンリンが言った。

ピピを見なかった?
先に出たから、この辺に
いるんじゃない。
その時、
鳥の羽ばたく大きな音が聞こえた。
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ルビーが音のする方に
走っていくと、
巨大な九官鳥がピピを捕まえていた。
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九官鳥は
ピピを掴んだまま飛び去っていった。
解説)
続きます。
休暇旅行へ そのなな
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ジャングルの中を歩いていると、
ルビーたちは、
また小川が流れている場所に出た。
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リザードから散歩のついでに
客人を探して欲しいって言われたけど、
何も特徴を教えてくれなかったわね。
客人ってやっぱりトカゲ人間なのかしら。
見つかっても一晩待たせるなんて、
それほど緊急事態っていう
感じじゃなかったから、
気楽にいきましょう。
もし見つかれば、っていうことで。
ルビーさん、すごいね。
やっぱりアイスさんのお友達ってすごいんだ。
とリンリンが言った。
何がすごいの?
リザードに対抗してたでしょ。
あれは当然よ。
あ、シーザーがどんどん行っちゃうから、
追いつかないと。
私たちもここではぐれたら、
ややこしいことになる。
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一行は小川に沿っていく。
左の崖に洞窟がある。
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行ってみましょう。
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奥に行けるみたいですよ。
とリンリンが言っている。
ちょっと待って。
とフレイムが言った。
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フレイムはリュックから
ライト付きヘルメットを取り出した。
用意がいいのね。
と言われている。
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一行は洞窟を進んでいった。
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待って。
あそこに何か。
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ライトに浮かび上がったのは
奇妙な頭をした生物だった。
体つきは人間にそっくりだ。
解説)
続きます。
Sep 10, 2024
休暇旅行へ そのろく
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ジャングルでルビーたちが話していた。
この地域のリクガメって特別なの?
フミコのかけた魔法の影響で、
僕たちみたいな変異が起きることがあるんです。
変わった形状のカメがいるんですよ。
とリンリンが言った。
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そのとき、
トカゲ人間が姿を現した。
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リンリンが声をかけている。
リザードさん、お久しぶりですね。
おお、リンリンか。
それに人間と一緒のようだな。
こちらはルビーさんとフレイムさん。
アイスさんのお仲間で、
遠くの国から観光にみえたんです。
それにゴリラのシーザーも初めてでしたね。
ふむ。
アイスの仲間か。フミコの蘇生に成功したようだし、
どうやら君たちとは縁があるようだな。
ご存知と思うが、ここは私たちが愛好する
ペットの採集地域でね。
人間には無闇に立ち入ってほしくない場所なんだ。
君たちの生まれた星なんだから
私がいうのもなんなんだが。
お考えはわかりました。とルビーが言った。
でももちろん納得はできませんが。
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ふむ。
やっぱりそうだろうな。
と言ってリザードは笑った。
ルビーとやら。
君はなかなか頼もしい人ですな。
そうそう。
私はちょうどここに二人の客人を招いて、
さっきまで3人でカメの観察をしていたのだが、
あいにく、はぐれてしまったのだ。
これからジャングルを散歩するなら
探すのを手伝ってくれないかね。
わかりました。
この近くにいると思うんだが。
おや、もうおやつの時間だ。
そろそろ失礼するよ。
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上空に飛行物体が現れた。
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一行はリザードの後を
ついていく。
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飛行物体は中空に静止していた。
また明日ここに来るから
もし二人に出会ったらここで待つように
伝えてくれたまえ。
よろしく頼んだよ。
とリザードが言っている。
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リザードの姿が
吸い込まれるように消えると、
飛行物体は発進した。
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リンリンとシーザーは
無邪気に手を振っている。
解説)
続きます。
Sep 09, 2024
ぬか漬けなど
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サラたちの部屋。
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大きな容器が手に入ったので、
蕪のぬか漬けを作ることになった。
この位の大きさがないとね。
と言っている。
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広場の産地直売店から
岸芳樹が野菜を届けにきている。
白菜、きゅうり、ニンジンなど、
こちらは追加用のものだ。
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しっかり浸かってるはずよ。
などと言っている。
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蕪を大きな容器に入れたり、
すでに漬け込んであるものは、
取り出したり増量したり。
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作業はあっという間に
終了した。
出来はどうかな。
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岸芳樹も相伴に預かっている。
ご飯も食べたくなるわね。
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私は生で。
とメアリー=ケイトは言っている。
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ジェットはおにぎりを
結んでいる。
解説)
今回はガチャで入手した、
TAMA-KYU「ぬかづけフィギア」(全五種)
の、「01 かぶ」を紹介。
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漬物用の容器の大きさは現実にも様々なので、
1/6スケールの情景にもぴったりです。
糠床は合成ゴムでできていて変形可能。
一緒に並べてみた他の漬物容器、
胡瓜とニンジンの入っている小さい容器は、
ぷちサンプル「お母さんの台所」シリーズの、
「2.カツ丼&ぬか漬け」のもの。
白菜の入った樽は、
ぷちサンプル「おばあちゃんの家」シリーズの、
「3.おばあちゃんの味」のアイテムです。
Sep 08, 2024
休暇旅行へ そのご
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ここからがおすすめのジャングルです。
でもおすすめと言っても、
毒蛇や猛獣が少なくて、
やや平坦というだけで、
あるのはジャングルだけですよ。
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小川に沿ってしばらくいくと
先頭を歩いていたシーザーが
立ち止まって何か言っている。
赤い花を見つけた、
と言っているようだ。
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こんなところに咲くなんて、
一見彼岸花風ね
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これは薬草なんですよ。
と言いながら、
シーザーは花を摘んでいる。
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小川を外れて
一行は進んでいく。
お猿さんたちはタフだねえ。
と言っている。
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ちょっと変わった樹形の木立がある。
さすがアフリカ。
観光気分になってきたわ。
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なんかすごいところ。
もうこのあたりにいる筈ですが。
とリンリンが言った。
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シダの葉が揺れて、
草むらからリクガメが姿を現した。
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リクガメは人を
気にしていないようだ。
解説)
続きます。
Sep 07, 2024
休暇旅行へ そのよん
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みんなバナナを食べている。
リンリンは、
どこに住んでるの?
僕の家は、湖の洞窟にある古代遺跡の
近くのジャングルの中にあります。
ここからはかなり遠いし、
ふだん僕は人間の住む集落の近くには、
近寄らないんですが、このあたりは特別。
滅多に人も来ないしね。
この泉は、待ち合わせの場所にしているんだ。
とアーサーが言った。
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探検するのにおすすめの場所はある?
そうですねえ。
この近くの滝には行きましたか?
いえ、アーネストさんの診療所の前から
直接渓流を逆に下ってきたから。
渓流をさかのぼれば滝がありますが、
さらにその上流のジャングルがおすすめかなあ。
割に平坦で、リクガメが棲息しているんです。
薬草になる赤い花が群生しているので、
たまに薬草とりに行くんですよ。
ごく稀にリクガメの採集をしている
トカゲ人間と出会うこともある。
リザードともそこで知り合ったんです。
なるほどねえ。
レプテュリアンのことはアイスから聞いてるわ。
とルビーが言った。
じゃあそこに行ってみようよ。
このバナナ食べてから。
とフレイムが言った。
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一行は小さな泉を後にした。
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渓流の本流に出ると、
上流に向かっていく。
お猿さんは身軽なのねえ。
と言っている。
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アーネストの診療所の至近から、
さらに上流へ。
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お猿さんは身軽なのねえ。
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一行はとうとう滝までたどり着いた。
ここが佳奈たちが来たっていう滝。
さらにあの崖を登るのね。
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崖を登り切ると、
川筋は狭まって密林が迫っていた。
お二人ともタフですね。
とシーザーが驚いている。
あなたたちほどじゃないけどね。
と言っている。
解説)
続きます。
Sep 06, 2024
休暇旅行へ そのさん
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この近くで、どこか見どころはある?
すぐそこの渓流を遡ったところに滝があります。
そうそう、この前、佳奈たちも行ったはずだよ。
とアーネストが言った。
渓流にはいく筋も湧き水の支流が流れ込んでいて、
きれいな水の湧く小さい泉もあるんですよ。
小さい泉か。
とりあえずそこに行ってみましょう。
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一行は診療所を後にした。
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上流の滝の方角とは逆なんですが、
すぐこの川筋に合流する小川があります。
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一行は小川に沿って歩いて行った。
せせらぎって感じね。
ハヨー、ハヨーという鳥の声が聞こえる。
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ここが小さな泉です。
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水浴びすると気持ちよさそう。
この場所は、人に教えるのは初めて。
僕たちだけの秘密の場所なんです。
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僕たちって、誰?
とルビーが尋ねると、
岩陰からチンパンジーのリンリンが現れた。
それは僕のことですよ。
と言っている。
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シーザー。
いくら人間に好かれたいからって、
この場所に人を連れてきちゃダメだろう。
ああ。
この人たちは佳奈さんや
アイスさんのお仲間なんだ。
ほー。アイスさんのお仲間か。
アイスさんのおかげでフミコが蘇り、
グリーンマンもおとなしくなった。
お仲間ならしょうがないなあ。
私はリンリンと言います。
甘いバナナ食べませんか。
なんだか調子のいい
チンパンジーね。
とフレイムが言っている。
ああ、ありがと。
お腹空いてたところなの。
喜んでいただくわ。
とルビーが言った。
解説)
続きます。
Sep 05, 2024
休暇旅行へ そのに
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家に戻ったフラハは、
雑草の駆除を終えて休憩していた。
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すると鏡の扉から、
ルビーとフレイムが現れた。
おや、
君たちはベーカリーの。
私はルビー、隣にいるのはフレイム。
休暇で観光に来ました。
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私も先刻まで君たちの町にいて、
戻ってきたばかりだ。
鏡の扉は開放されているから、
君たちの他にも観光に来ている人が
いるかもしれないな。
それでどこに行くんだい。
特に当てはないんです。
ジャングルならどこでも。
その前に診療所のアーネストさんを
訪ねたいんですが。
預かり物を届けるんです。
アーネストの診療所なら、
集落の外れにあるよ。
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ルビーたちはフラハに道順を教えてもらった。
この日差し、アフリカっぽいね。
と言っている。
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二人が言われた通りの道を
歩いていくと、服を着たゴリラに出会った。
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あなたはシーザーでしょう。
佳奈から噂は聞いてるわ。
とルビーが言った。
おお佳奈さんのお知り合いですか。
どうぞよろしく。
お察しの通り私はシーザーです。
こちらには観光ですか。
よかったらご案内しますよ。
そうね。特に当てはないんだけど、
現地に詳しい人がいると助かるわ。
これからアーネストさんに会いに行くの。
一緒に行く?
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一行はアーネストの診療所に到着した。
アーネストは家の前で葉巻を燻らせていた。
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ふむふむ。
佳奈やアイスのお知り合いか。
それで、誰か怪我でもしたのかい。
バナナの食い過ぎで腹を壊したとか。
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実は佳奈からこのTシャツを
アーネストさんにお渡しするように
頼まれて持ってきたの。
なんとなんと。
古いTシャツだけど、
きっと喜んでくれるだろうって。
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ふむ。これは。
ちょっと着替えてこよう。
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なんだか照れるなあ。
よくお似合いよ。
しかし、と言って、
アーネストはちょっと顔を曇らせた。
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実はね。
とルビーが言った。
私たちもアイスも佳奈も、
みんなCGのメンバーなのよ。
だからあなたが国際的に
指名手配されていることは知っている。
でも組織に報告しないことに
決めているからご心配なく。
とルビーが言った。
アイスが魔法の扉を作ったから、
この集落にも観光客が来るようになる。
でもその人選は、フィギアの村の精霊たちと、
アイスが認めた人に限られているの。
扉を使って一般の人は流入してこないから、
この集落に潜伏している限り安全は保たれるわ。
なるほど、それは嬉しい話だが、
なぜそんなふうに私を守ってくれるんだい。
あなたが逮捕されると世界中で話題になる。
このマークの集落の存在や、
近くの古代遺跡の存在を公にしたくない、
っていうことが基本なんだけど、
まあ、考え方はいろいろあるのよ。
世界にはあなたのファンや支持者も多い。
そのTシャツが一つの証拠ね。
解説)
続きます。
Sep 04, 2024
休暇旅行へ
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ベーカリーではルビーたちが、
休暇旅行の相談をしていた。
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リゾート地でぼんやり過ごすより、
運動不足だから探検がいいわ。
だったら、アフリカの
マークの集落にすれば?
魔法の扉ですぐ行けるのよ。
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じゃあそこに決定。
あと私の留守中お店どうするの?
休業するわけにはいかないでしょ。
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マンゴー亭の誰かに頼めないかな。
私、今呼んでくるわ。
と側で聞いていた舞が言った。
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マンゴー亭から
小池恵子がやってきた。
小池恵子はマンゴー亭の発案者で、
今はシェフの丹下健太と共に、
主に調理場を切り盛りしている。
そろそろかき氷の販売も終わりだし、
手が空くから私が代わりにパン作るわよ。
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この帽子かぶってみたかったの。
と言っている。
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すぐに出発することになり、
フレイムも旅支度に着替えてきた。
それってCGの戦闘服じゃない?
ジャングルに分け入るんでしょう。
こういうのが一番。
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佳奈が、ドルフィンから出てきた。
フレイム先輩。
マークの集落に行くなら、
このTシャツを診療所のアーネストさんに
届けて欲しいんですけど。
いいけど、それなんなの?
ドルフィンの倉庫で見つけたんです。
アーネストさんが気にいると思って。
ふーん。
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ルビーとフレイムは、
魔術劇場に向かった。
出入り口の管理をしているエヴァと
話している。
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フレイムさんは初めてですね。
ハリーに会いにきたわけじゃないの。
突然だけど、
アイスの作った魔法の扉を使って
二人でアフリカに旅行に行くのよ。
何か問題が?
いえいえ、どうぞお通りください。
解説)
続きます。
Sep 03, 2024
ゼリーを食べる
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サラたちの部屋。
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今日も雨模様だね。
気分転換に、
ゼリーでも作ろうか。
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さっそく
準備が始まった。
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このフルーツミックスの缶詰も使おう。
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手際よく並べていく。
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ベースは砂糖とゼラチン。
ジュースや果汁など。
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たっぷり回しかけて、
あとは冷蔵庫で冷やすだけ。
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食器を並べて
しばしの待ち時間。
雨は降ったり止んだりね。
と言っている。
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ゼリーが食べ頃になった。
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小さいアルミのゼリー型が
三つしかなくて。
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しょうがないわね。
私はこれでいいわ。
と言っている。
解説)
続きます。
Sep 02, 2024
雨あがりの広場で
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広場は天候不順なので
割と閑散としてる。
September rain rain
9月の雨は優しくて~🎵
という歌声が流れている。
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何してるの?
久しぶりに晴れたから
雨傘を干してるのよ。
傘があると
何も思いつかない時に便利だね。
そうかもね。
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ベーカリー前で。
コンテストの参加賞のチョコレートは、
もう品切れ状態のようだ。
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ルビーいつも店番大変でしょう。
コンテストも終わったし、
しばらく休暇でも取ったら?
とアイスが言っている。
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店番って言っても
ほとんどここに座ってるだけなんだけどね。
そうねえ。調理してるフレイム誘って、
旅行にでも行ってくるか。
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マンゴー亭では、
アフリカから来た3人が
相変わらず肉まんを食べていた。
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フラハさんはこれから
どうなさるの?
雑草も刈らないといけないし、
一旦我が家に戻りますよ。
アフリカと言っても魔法の扉があるので、
すぐ隣みたいなものですなあ。
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ダリオさんは?
私はもう少し観光を楽しんでから
帰るつもりです。
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あ、そうそう。父のハリーが近いうちに、
魔術劇場で夜会をやりたいって言ってたの。
魔族の仲間にフミコを紹介したいのよ。
ダリオさんも別世界で魔法使いだったんでしょう。
よかったら出席しない?
それは嬉しいですな。喜んで。
日にちが決まったら連絡するわ。
あ、もちろんフラハさんもね。
マーリンも呼ぶから。
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幼なじみのマーリンにも会えるのか。
それは楽しみだなあ。
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魔術劇場で夜会ですって。
また肉まんの大量注文が来るわね。
とアンナとレイが話している。
解説)
続きます。
Sep 01, 2024
コンテストの結果発表
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早くも9月になった。
今日は月替わりの
コスプレコンテストの優勝者発表の日。
不安定な天候のなか、
参加賞のチョコをもらおうと、
広場は住民たちで賑わっている。
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アイスは参加賞のチョコのケースを
テーブルにセッティングしている。
優勝者を決める選考会は
いつもながら長引いて、
ルビーはまだ思案しているようだ。
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今回は新規登録した
有力候補が3人もいるから悩ましいわねー。
と選考委員のマンスフィールドさんが言っている。
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マンゴー亭では、
その候補と目されているフラハとフミコとダリオが
肉まんを食べていた。
みんなそれぞれユニークだし。
くじ引きで決めちゃう?
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しばらくのち、
決断したルビーはマイクを持って立ち上がった。
みなさん。
8月のコスプレコンテストの優勝者を発表します。
厳正な審査の結果、
優勝者は、防災頭巾を被ったナオミさんに
決定しました。
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あなたみたいよ。
えー、信じられない。
と言っている。
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ナオミは万雷の拍手と歓声に迎えられて、
トロフィーを受け取っている。
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嬉しいけど、謎だわ。
ジェニーもおんなじ格好してるのよ。
と言っている。
舞は空模様を気にしているようだ。
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今回はコスプレコンテストの原点に戻って、
みんなに防災意識を高めてもらおうと思ったの。
ジェニーは過去に一度受賞してるからね。
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授賞式が済むと、
住民たちは参加賞をもらうために
長蛇の列を作っている。
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けっこう意外な結果だったわ。
とアンナが言っている。
誰にするか選考会では決まらなくて、
結局決定は私に任されたんだけど、
ナオミの着てた
オンボロのランニングシャツが、
懐かしくなっちゃって。
解説)
続きます。
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ナオミの着ているランニングシャツは、
当時、端切れを裁断して、
布用の接着剤を使って作り、
アクリル絵の具で彩色して、
前面に「BARBIE GIRLS 2005」
というロゴをアイロンプリントしたもの。
オンボロになっていますが、
今思うと懐かしい。
過去の画像でフィギアが着ているシーンを探しても、
見つかりませんでしたが、
同じ仕様の「KIKIHOUSE」というロゴのものを、
2006年8月12日「島旅行の思い出」で
たまきが着ています。