Jul 31, 2023
仮想世界で そのなな
![a1](/~shimirin/blog/kirita/entries//20230731202318.files/a1.jpg)
バーボンハウスの前では、
ドーダとソーダが、ドーラの
ダーダーという歌声に聴き入っていた。
低音のビブラートが渋い。
そーだねー。
![a2](/~shimirin/blog/kirita/entries//20230731202318.files/a2.jpg)
ドーラは食べ物がもらえて嬉しくて、
喜びの歌を歌っているのだった。
このナーガラどうしたの?
ヒゾッコが東エリアまで飛んで、
捕まえてきてくれたんだよ。
![a3](/~shimirin/blog/kirita/entries//20230731202318.files/a3.jpg)
ミトラは向日葵の花を運んできた。
裏の畑のそばに咲いていたんだ。
![a4](/~shimirin/blog/kirita/entries//20230731202318.files/a4.jpg)
濾過装置で作った、
園芸用の溶液に浸せば、
長持ちするよ。
![a5](/~shimirin/blog/kirita/entries//20230731202318.files/a5.jpg)
これで夏いっぱいは持つね。
あ、ツナたちが戻ってきたよ。
![a6](/~shimirin/blog/kirita/entries//20230731202318.files/a6.jpg)
サイドカー部分に椅子やテーブルを満載した
ツナの運転するオートバイが到着した。
おかえりツナ。
ナディアさん来てるよ。
収穫はどーだ。
![a7](/~shimirin/blog/kirita/entries//20230731202318.files/a7.jpg)
早速荷下ろしをしていると、
バイクの音をききつけたドロレスとナディアも
バーボンハウスから出てきた。
お邪魔してるわツナ。
やあラパス。
あ、ナディアって呼んでって言ってるでしょ。
ああごめんごめん。
つい癖になっちゃってて。
シェルターは留守にしてきて大丈夫なの?
ロボット犬のエリーが留守番してくれてる。
そうか。あ、そうそう、
今日は東エリアまで行って、
テーブルセットを拾ってきたんだ。
早速部屋で使うから
ナディアも運ぶの手伝ってよ。
![a8](/~shimirin/blog/kirita/entries//20230731202318.files/a8.jpg)
しばらくのち、四人は
戦利品のテーブルを囲んでくつろいでいた。
ラパス、じゃなかったナディアの作るこれ、
チョコパフって言ったっけ。
美味しいんだよね。とツナが言っている。
ツナさん、どうしてナディアさんのことを
ラパスって呼んじゃうんですか?
とドロレスが聞いた。
ああ、それはね、彼女はCGの最強戦士として、
ラパスってコードネームで呼ばれてて、
勇猛果敢ですごく有名だったの。
本名の苗字そのままだったけど、
ラパスってフランス語で猛禽類のことだしね。
名は体を表すっていうじゃない。
![a9](/~shimirin/blog/kirita/entries//20230731202318.files/a9.jpg)
ナディアから母親マヤ・ラパスの写真を見せられた
レイチェルは、しばらく見ていて思い出した。
![a91](/~shimirin/blog/kirita/entries//20230731202318.files/a91.jpg)
この人、去年のハロウィンのコンテストに、
ひょっとこのお面被って、参加した人でしょ。
この写真の金髪と青い服、見覚えがあるわ。
![a92](/~shimirin/blog/kirita/entries//20230731202318.files/a92.jpg)
あなたのいう去年って、
ずっと昔で、2022年のハロウィンのことね。
とナディアが言った。
母は、ちょうどその頃、
アンっていうロボットに興味を持って、
その町の広場に通い始めたの。
ハロウィンのコンテストが盛大だったって、
聞いたことがあるから、きっとその時のことね。
でも、ひょっとこのお面で
自分も参加したとは言ってなかった。
きっと娘には言いたくなかったんじゃない?
それはあり得るわね。
解説)
ナディアの母マヤがお面を被った画像は、
2022年10月22日「もうすぐハロウィーン そのさん」
から再掲しました。
ちなみに、お面の女性がマヤだとわかるのは、
髪の色や服装からだけで、
マヤがお面を外して素顔を見せる画像は
掲載されていません。
このフィギア(ヘッド)は当時購入して日が浅く、
まだ名前もつけていない観光客の一人として、
登場していたのでした。
Jul 30, 2023
仮想世界で そのろく
![b1](/~shimirin/blog/kirita/entries//20230730210122.files/b1.jpg)
そうそう、これも忘れないうちに。
と言いながらナディアはバッグから
黒っぽいベストを取り出した。
![b2](/~shimirin/blog/kirita/entries//20230730210122.files/b2.jpg)
それはCGの装備品。
背中には特殊な運動補助装置が縫い込んである。
軽量だけど防弾機能もあるから
人間に使ってもらえればと思って持ってきたの。
ありがとう。
CGって言うと、ナディアさんは、
CGの唯一の生き残りだって聞いたけど。
![b3](/~shimirin/blog/kirita/entries//20230730210122.files/b3.jpg)
そういうことになるわね。
でもあの戦争のことはあまり話したくないの。
それよりあなたたちのことが聞きたいわ。
あなたはCGのことも知ってるみたいだし、
過去から来たと言っても、それほど遠い過去じゃない。
もしかすると私の母と同世代かもしれない。
そういうとナディアは、
バッグの中をもぞもぞと探し始めた。
![b5](/~shimirin/blog/kirita/entries//20230730210122.files/b5.jpg)
ナディアがバッグから取り出して
ドロレスに手渡したのは
一枚の写真だった。
![b6](/~shimirin/blog/kirita/entries//20230730210122.files/b6.jpg)
この人、あなたに似てるわね。
母なの。マヤ・ラパス。
母は若い頃、CGのメンバーだった。
私がCGになったのも母の影響よ。
同時代を生きていたなら、
どこかで見かけたりしたことが。
ドロレスは写真を眺めて、
じっと思い返していた。
ロボットだった時の記憶は
この仮想世界に来ても維持されているようで、
やがてベーカリー前の広場で
何度か見かけたことがあったのを思い出した。
![b7](/~shimirin/blog/kirita/entries//20230730210122.files/b7.jpg)
この人、私の住んでた町の広場で見たことがある。
町の住民じゃなくて、観光客だったと思うけど。
![b8](/~shimirin/blog/kirita/entries//20230730210122.files/b8.jpg)
そうそう。
町の広場ではいつも
大道芸人たちが歌を歌っていて、
この人が投げ銭をあげていたの思い出した。
優しい人なんだなって思った。
その町の広場って、
アンっていうロボットやドラゴンの子供がいて、
ちょっとした観光名所だった。
一時期、毎月コスプレのコンテストが開かれてたでしょう。
ええ、同じ町に間違いはないわ。
とドロレスは言った。
![b9](/~shimirin/blog/kirita/entries//20230730210122.files/b9.jpg)
母はね。そのコンテストで優勝したことがあったの。
とナディアは言った。
それは何かの勘違いじゃない?
優勝した人の中にはいないはずよ。
とドロレスは言った。
やっぱりここはシステムの作った仮想世界だわ。
母から直接聞いたので、日付も覚えてるわ。
2023年の7月のコンテストよ。
え。そうなの。
と、少し考えてからドロレスは言った。
毎月のコンテストの優勝者の発表は
翌月の初めだったはず。
だから、過去の私にとっては、
その出来事はまだ起きていない。
未来に起きる出来事なのね。
解説)
ナディアの母マヤ・ラパスは
昨年2021年のハロウィンの頃から
町の広場で観光客として時々顔を出していて、
過去の画像を探すと、いくつか
広場での情景の背景に写り込んでいます。
今回はそのうち2枚を再掲しました。
Jul 29, 2023
仮想世界で そのご
![a1](/~shimirin/blog/kirita/entries//20230729202151.files/a1.jpg)
挨拶を済ませて、
ドロレスはナディアと
会話を弾ませている。
バンクはナディアの積んできたケージに
興味を惹かれているようだ。
![a2](/~shimirin/blog/kirita/entries//20230729202151.files/a2.jpg)
この車プロペラで走るんですか。
搭載しているタンクからOXガスを噴霧して
それを拡散することで動力にしているの。
それに夏場は扇風機にもなるわ。
涼しそうですね。
![a3](/~shimirin/blog/kirita/entries//20230729202151.files/a3.jpg)
ナディア、このケージの中。
ああ、ドラゴンの子供ね。
私に懐いてるけど、
外に出しとくと飛ばされちゃうので、
ナーガラ用のケージにいれてきたの。
![a4](/~shimirin/blog/kirita/entries//20230729202151.files/a4.jpg)
ドーラっていう名前をつけたのよ。
ドーラはダーダーと言った。
ドロレスはドルフィンで
CGたちが世話をしているドラコと、
形状がよく似ていると思った。
![a5](/~shimirin/blog/kirita/entries//20230729202151.files/a5.jpg)
その時、裏の畑にいた、
ミトラが顔を出した。
やあ、ナディア。
![a6](/~shimirin/blog/kirita/entries//20230729202151.files/a6.jpg)
今日ものっぺりした青空のいい天気で、
この暑さは人間にはきついでしょう。
部屋に入って涼んだら?
そうね。私は慣れてるけど、
じゃお言葉に甘えて。
![a7](/~shimirin/blog/kirita/entries//20230729202151.files/a7.jpg)
ドロレスがコーヒーの準備をしている間に
ナディアは持参したバッグの中から、
紙袋を取り出して
その中身を皿の上に盛った。
![a8](/~shimirin/blog/kirita/entries//20230729202151.files/a8.jpg)
これ美味しいね。
ドロレスは人間になったおかげで
普通の甘味を感じられるのが嬉しかった。
![a9](/~shimirin/blog/kirita/entries//20230729202151.files/a9.jpg)
植物栽培機で育てた
小麦の生地をベースにチョコレートで
コーティングしてあるの。
これは母の好物だった。
過去からあなたたちが来てるって聞いて、
久しぶりに腕を振るったのよ。
とナディアは嬉しそうに言った。
![a91](/~shimirin/blog/kirita/entries//20230729202151.files/a91.jpg)
いつだったか。
ドロレスは、探偵事務所で
暮らすようになってまもない頃、
貰い物のお裾分けということで、
これと同じものを食べたことを思い出した。
しかしその頃は人間のような味覚はなかったので、
食品にはほとんど関心を持たなかったのだった。
解説)
ドロレスが思い出したのは、
2022年の5月に、モモコが魔術劇場のハリーの魔術で
ジェーンの住む世界に行った時、
お土産に持ち帰った食べ物のことでした。
食べた住人たちは「クリームなしのエクレア」
などと呼んでいましたが、
単なる麦チョコを使っています。
2022年5月15日「ジェーンとの再会」
モモコは帰還後、魔術劇場の住人や
ベーカリーのCGたち、ジェニーたちにも
このお土産を配っていますが、
ドロレスがもらって食べているシーンは出てきません。
Jul 28, 2023
仮想世界で そのよん
![a1](/~shimirin/blog/kirita/entries//20230728202210.files/a1.jpg)
その頃ドロレスは
バーボンハウスの前で
射撃の練習にいそしんでいた。
![a2](/~shimirin/blog/kirita/entries//20230728202210.files/a2.jpg)
特殊な弾丸なので
標的に命中すれば。
![a3](/~shimirin/blog/kirita/entries//20230728202210.files/a3.jpg)
大抵の金属装甲なら
一撃で破壊する威力がある。
![a4](/~shimirin/blog/kirita/entries//20230728202210.files/a4.jpg)
短時間に随分上達したね。
銃の扱いは初めてだけど、
照準の合わせ方の感じが掴めたわ。
でも結構反動が大きくて。
人間は筋トレしないとね。
![a5](/~shimirin/blog/kirita/entries//20230728202210.files/a5.jpg)
その時空中で
ヒゾッコが声をあげた。
ナディアが来たみたいだよ。
ナディアって?
ラパスさんじゃないの?
ナディア・ラパスっていうんだ。
![a6](/~shimirin/blog/kirita/entries//20230728202210.files/a6.jpg)
西の方角から一台の車両が近づいてくるのが見えた。
![a7](/~shimirin/blog/kirita/entries//20230728202210.files/a7.jpg)
ナディアは
愛車のビーグル号に乗っている。
![a8](/~shimirin/blog/kirita/entries//20230728202210.files/a8.jpg)
こんにちわナディア。
やあソーダ。
元気そーだね。
![a9](/~shimirin/blog/kirita/entries//20230728202210.files/a9.jpg)
あなたが過去からのお客様の一人ね。
私はナディア・ラパス。
ナディアって呼んで。
あと、その物騒なものはしまってね。
とナディアはドロレスに言った。
解説)
ナディアのビーグル号は
ドイツ軍オートバイのサイドカー部分と
バービー人形用の馬車の車体と車輪、
ミニ扇風機などを、
組み合わせて適当に合体工作したものです。
すぐ分解可能。
Jul 27, 2023
仮想世界で そのさん
![a1](/~shimirin/blog/kirita/entries//20230727202718.files/a1.jpg)
ナーガラは通気孔を目指している。
レイチェルは腰のホルスターから
リボルバーを素早く引き抜くと、
即座に射撃した。
![a2](/~shimirin/blog/kirita/entries//20230727202718.files/a2.jpg)
一発で頭を吹き飛ばされたナーガラは、
その場で動かなくなった。
レイチェルさんすごい早打ち。
ナーガラは生体の体温や
二酸化炭素を感知します。
たぶんツナを狙ってきたのでしょう。
通気孔の中からツナの声がする。
急に変なもの落とさないでよ。
![a3](/~shimirin/blog/kirita/entries//20230727202718.files/a3.jpg)
やがてシェルターの探索を終えたツナは、
通気孔から顔を出して、
椅子をかざしてレイチェルに手渡した。
ここはすっかりブラッキーの巣になってた。
他にも使えそうな家具を運び出すから
手伝って。
![a4](/~shimirin/blog/kirita/entries//20230727202718.files/a4.jpg)
これで最後よ。
それは何?
![a5](/~shimirin/blog/kirita/entries//20230727202718.files/a5.jpg)
カプセル入りの脳髄。
この脳、まだ生きている。
でも、このままじゃ
早晩装置のエネルギー切れで
ただの標本状態になるところだった。
![a6](/~shimirin/blog/kirita/entries//20230727202718.files/a6.jpg)
ツナが言ってた信号って、
その脳が送ってきたのかな。
とコーダが言った。
その可能性はありそうね。
このタイプのカプセルは
サイボーグの体にも装着可能なの。
でもシェルターにボディは見つからなかったから、
ブラッキーがどこか別の場所で、
動けなくなったサイボーグから
カプセルだけ外して巣に運んで
食料として貯蔵してたのかもしれない。
![a7](/~shimirin/blog/kirita/entries//20230727202718.files/a7.jpg)
食料って言ったら、私お腹すいちゃった。
そろそろバーボンハウスに戻りましょう。
というツナの声がはっきり聞こえたが、
レイチェルにとっては
視界がまた一瞬静止したようだった。
![a8](/~shimirin/blog/kirita/entries//20230727202718.files/a8.jpg)
ねえツナ。
このテーブルセット必要なの?
まだ使えるでしょ。
資材も食料もなかったし、せめてものお土産よ。
![a9](/~shimirin/blog/kirita/entries//20230727202718.files/a9.jpg)
このシェルターは、
岩盤を利用して作った洞窟の、
上部を特殊なコンクリートで遮蔽した
作りかけのものだった。
ブラッキーの巣になってたけど、
通気孔にきっちり蓋をしといたから、
何かの時には使えるかもね。
貯蔵庫とか?
牢屋とか。
解説)
捨てずにとってあった
発泡スチロールの緩衝材がまた活躍しました。
以前トーチカにも利用したことがあります。
2021年7月11日「捜索」。
Jul 26, 2023
仮想世界で そのに
![b1](/~shimirin/blog/kirita/entries//20230726202441.files/b1.jpg)
ツナは通気孔から
シェルターの中に降りて行った。
一人で大丈夫なの。
うん多分ね。
![b2](/~shimirin/blog/kirita/entries//20230726202441.files/b2.jpg)
内部は岩盤をくり抜いた
洞窟のようになっていた。
家具があるようだが、
黒っぽい網のようなものに覆われている。
![b3](/~shimirin/blog/kirita/entries//20230726202441.files/b3.jpg)
よくみるとそれは全体が巨大な蜘蛛の巣だった。
巣の一部が揺れて、
中から大型の蜘蛛が姿を現した。
![b4](/~shimirin/blog/kirita/entries//20230726202441.files/b4.jpg)
これはブラッキー!
ツナは即座に蜘蛛に向けて銃を連射した。
![b5](/~shimirin/blog/kirita/entries//20230726202441.files/b5.jpg)
蜘蛛の巣が覆っていたのは
テーブルと椅子のセットのようだった。
テーブルの上には蜘蛛の糸のヴェールに
覆われるようにして何かが置かれている。
![b6](/~shimirin/blog/kirita/entries//20230726202441.files/b6.jpg)
金属製の台座に据えられた
透明な球体の容器の中に
赤みを帯びたものが浮かんでいる。
このカプセルは。
世界がぼやけて一瞬モノトーンになったが
ツナには何も変化が起きなかった。
![b7](/~shimirin/blog/kirita/entries//20230726202441.files/b7.jpg)
その頃、レイチェルは
スクラップの収集に余念がなかった。
レイチェルさん、
初めてなのに手際がいいですね。
それ使えそうなものなんですか。
ロボットの腕なんだけど、
付け根から切断されているだけ。
回路を接続すれば十分使えるはずよ。
![b8](/~shimirin/blog/kirita/entries//20230726202441.files/b8.jpg)
コーダは何か見つけた?
私はこんな体なので、
廃品集めは苦手なんです。
![b9](/~shimirin/blog/kirita/entries//20230726202441.files/b9.jpg)
いつもツナがスクラップを集めるのを
護衛する見張り役なんですよ。
その時、コーダの後ろを、
一匹のナーガラが素早く横切ろうとしていた。
解説)
続きます。
Jul 25, 2023
仮想世界で
![a1](/~shimirin/blog/kirita/entries//20230725202333.files/a1.jpg)
東のエリアの探索に向かったツナたちは、
瓦礫の広野を走っていた。
![a2](/~shimirin/blog/kirita/entries//20230725202333.files/a2.jpg)
未調査地域って言ってたわね。
どこか当てはあるの?
![a3](/~shimirin/blog/kirita/entries//20230725202333.files/a3.jpg)
以前に一度だけ、
信号が送られてきた場所があるのよ。
![a4](/~shimirin/blog/kirita/entries//20230725202333.files/a4.jpg)
場所はこのあたりのはず。
![a5](/~shimirin/blog/kirita/entries//20230725202333.files/a5.jpg)
何かそれらしいものが
見えないかしら。
あ、あそこに。
とツナが言った。
![a6](/~shimirin/blog/kirita/entries//20230725202333.files/a6.jpg)
ラッキー。
これは多分シェルターの跡だわ。
![a7](/~shimirin/blog/kirita/entries//20230725202333.files/a7.jpg)
ここの瓦礫の陰に通気孔のような穴があるよ。
とコーダが言った。
![a8](/~shimirin/blog/kirita/entries//20230725202333.files/a8.jpg)
ここからなんとか
下に降りられそうね。
![a9](/~shimirin/blog/kirita/entries//20230725202333.files/a9.jpg)
私が様子を見てくるから、
二人はここで屑拾いでもして
待っていて。
とツナが言った。
解説)
続きます。
Jul 24, 2023
模様替え
![a1](/~shimirin/blog/kirita/entries//20230724202232.files/a1.jpg)
サラたちの部屋には
鷲尾翠が探偵事務所で飼っている
九官鳥を預けに来ていた。
![a2](/~shimirin/blog/kirita/entries//20230724202232.files/a2.jpg)
事務所が手狭になっちゃって。
しばらくの間だから。
![a3](/~shimirin/blog/kirita/entries//20230724202232.files/a3.jpg)
九官鳥はやや埃をかぶっているが、
元気な様子だ。
オセロが覗き込んでいる。
![a4](/~shimirin/blog/kirita/entries//20230724202232.files/a4.jpg)
この子名前なんて言ったっけ。
キューキューって言うのよ。
話しかけるとそう答えるから。
![a5](/~shimirin/blog/kirita/entries//20230724202232.files/a5.jpg)
ペンギンの前の空き地では
管理局の三人が話し込んでいた。
長い間、この世界で封印されてた魔物が
封印を解かれて迷いの森に戻って来たらしい。
森は異世界間の交差点のような場所だからね。
魑魅魍魎も含め、いろんな夢くい連中が
棲みついたり出入りしてる。
この前にもサルバドールが来たね。
私の部署でも全体はとても把握しきれてないわ。
と情報管理部のミラが言った。
今の局長もその点あれだからなあ。
管理がゆるゆるって言いたいんでしょ。
![a6](/~shimirin/blog/kirita/entries//20230724202232.files/a6.jpg)
その時、ペンギンの二階の探偵事務所から
探偵とアンがデスクを担いで降りてきた。
おや。模様替えですか。
ええ、これしばらく
ドルフィンの倉庫で預かって貰うんです。
だったらよかったらうちで預かりますよ。
とバグが言った。
うちは元はドルフィンの倉庫だったので、
スペースありますし、場所もすぐ目と鼻の先ですから。
![a7](/~shimirin/blog/kirita/entries//20230724202232.files/a7.jpg)
それは助かりますなあ。
と探偵が言った。
アンが担いでくれるので運ぶのは楽なんですが、
ドルフィンまでは距離が結構ありますから。
![a8](/~shimirin/blog/kirita/entries//20230724202232.files/a8.jpg)
探偵事務所では模様替えが
ほぼ完成していた。
![a9](/~shimirin/blog/kirita/entries//20230724202232.files/a9.jpg)
机とキューキューを預かってもらって、
部屋の一部をカーテンで
間仕切りしただけだけど、
これで不意の来客があっても安心ね。
![a91](/~shimirin/blog/kirita/entries//20230724202232.files/a91.jpg)
ドロレスとレイチェルは、
まだ睡眠中。っていうか、
仮想世界で暮らしてるのね。
ねえミュー。実験っていつまでかかるの?
![a92](/~shimirin/blog/kirita/entries//20230724202232.files/a92.jpg)
それがね。長くても1日の予定だったんだけど、
覚醒する設定機能がロックされちゃったみたいなんだ。
それって、システムの故障ってこと?
今精査中なんだけど、
解除しようとしても、
すぐに別のロックがかかっちゃう。
どうもシステムが意図的にやってるみたい。
じゃあ自発的に目覚めるのを待つしかないってこと?
揺り起こしてみたら?
それは危険よ。とシェリー博士が言った。
ドロレスの人工知能は壊れても
修理すればなんとかなるかもしれないけど、
人間の脳は無理。
解説)
ちょっと慌ただしい
事務所の模様替えのエピソードでした。
Jul 23, 2023
広場であれこれ
![a1](/~shimirin/blog/kirita/entries//20230723210252.files/a1.jpg)
翌朝のベーカリー前の広場です。
![a2](/~shimirin/blog/kirita/entries//20230723210252.files/a2.jpg)
フレイムは水戸里美と
焼きたてのパンの出来具合の話をしている。
歌声鑑賞の常連になったレオは
ドラコに話しかけて、
ダーダーと言われている。
![a3](/~shimirin/blog/kirita/entries//20230723210252.files/a3.jpg)
旅芸人たちは農家の直販店で
朝食後のデザートに試食をしている。
![a4](/~shimirin/blog/kirita/entries//20230723210252.files/a4.jpg)
ドミノは作曲したばかりの
「一角犬の歌」を子供たちに聴かせている。
![a5](/~shimirin/blog/kirita/entries//20230723210252.files/a5.jpg)
ドミノの曲最高だね。
ありがとう、君たちいつ学校に行くの?
知らないの?
もう夏休みなんだよ。
![a6](/~shimirin/blog/kirita/entries//20230723210252.files/a6.jpg)
ベーカリーでは、ルビーがアイスに、
マヤの紹介をしていた。
![a7](/~shimirin/blog/kirita/entries//20230723210252.files/a7.jpg)
こちらはマヤ。翠からレイチェルが
しばらくアンのメンテにこられそうもないって
聞いたから、本部の少佐に頼んで、
休暇中のところを来てもらったんだ。
元ロボット研究所にいた人で、
その才能を見込んでCGがスカウトしたっていう、
ばりばりの逸材だよ。
マヤ・ラパスと言います。
アンのことは前から興味があって、
このお店にもよく客として来てたから、
メンテできるなんて光栄です。
そういえば何度か見かけたかも。
私はアイス。よろしくね。
とアイスは言った。
![a8](/~shimirin/blog/kirita/entries//20230723210252.files/a8.jpg)
うーん。この人誰かに似てるなあ。
今月のコンテストの有力な優勝候補ね。
とボニーとマンスフィールドさんが話している。
![a9](/~shimirin/blog/kirita/entries//20230723210252.files/a9.jpg)
マヤの連れていたシェパードは
ベスを見かけてたじろいでいる。
ベスはサラが工作したツノを
つけたままベーカリーに返したので、
野良猫たちが怖がって近寄らず、
自分が強くなった気がしているのだった。
![a91](/~shimirin/blog/kirita/entries//20230723210252.files/a91.jpg)
デジャでは、
ハリーがヴィヴィアンと話していた。
昨夜は魔王メイヴとやらと、
派手にとっくみあったそうじゃないか。
それがなんかヤギの頭蓋骨みたいな顔してたのよ。
イカやタコじゃなかったのか。
![a92](/~shimirin/blog/kirita/entries//20230723210252.files/a92.jpg)
マンゴー亭では、
うたとキャサリンが朝食に肉まんを注文していた。
うたさん、すっかりお馴染みになって。
ええ、ジェニーたちの部屋でお世話になってるけど、
朝食はここで、って決めてるの。
今後のヒッチハイクのご予定は?
そうねえ。どこか面白そうなところ知ってる?
解説)
広場の平穏な朝のスナップでした。
Jul 22, 2023
夜の出来事 そのよん
![c1](/~shimirin/blog/kirita/entries//20230722202323.files/c1.jpg)
ヴィヴィアンは翼を広げ、
羽ばたくと空中に浮き上がった。
身動きの取れないメイヴは
懸命に呪縛を解こうとしている。
![c2](/~shimirin/blog/kirita/entries//20230722202323.files/c2.jpg)
ヴィヴィアンは空中から
メイヴに襲いかかった。
![c3](/~shimirin/blog/kirita/entries//20230722202323.files/c3.jpg)
ようやく呪縛を解いたメイヴは、
再び巨大化して立ち向かい、
ヴィヴィアンに衝撃波を放っている。
二つの影の乱闘はしばらくの間続いた。
![c4](/~shimirin/blog/kirita/entries//20230722202323.files/c4.jpg)
お前はどうやら魔族と吸血鬼の血を継いで
変成した悪魔のようだな。
どうりで尋常でない魔力を持つはずだ。
万が一、その力でまたあれの中に
封印されては敵わないから、
ここは退散することにするよ。
ヴィヴィアンは憔悴しきった面持ちで、
その声を聞いていた。
![c5](/~shimirin/blog/kirita/entries//20230722202323.files/c5.jpg)
しかしなぜそんなにムキになる?
人間を守りたいのか?
お前の力と勇気に免じて、
CGを滅ぼすというのは取り消してやろう。
私は自由が欲しいだけで、
人間の運命などには興味がないのだよ。
私は迷いの森にいるから、いつでも来るがいい。
しかし多分昔の仲間もいるので、
今日のように互角とはいくまいよ。
そういうとメイヴの姿は
巨大化したまま幻影のように薄れていった。
![c6](/~shimirin/blog/kirita/entries//20230722202323.files/c6.jpg)
ふっ。
魔王なんて僭称で、
あれはたぶん夢食いの成れの果てだわ。
とヴィヴィアンは吐き捨てるようにつぶやいた。
![c7](/~shimirin/blog/kirita/entries//20230722202323.files/c7.jpg)
メメは意識を取り戻したようで、
しきりにメーメーと鳴いている。
なんて言ってるの?
何が起きたかわからないけど、
憑き物が落ちた感じでスッキリした。だって。
とジェイソンが翻訳した。
![c8](/~shimirin/blog/kirita/entries//20230722202323.files/c8.jpg)
テーブルの上には黒い帽子と手錠が残されていた。
二人とも、どさくさに紛れて逃げちゃった。
またCGを狙ってくるかな。
ローズが諦めるとは思えないけど、
しばらくは大人しくしてるんじゃないかな。
![c9](/~shimirin/blog/kirita/entries//20230722202323.files/c9.jpg)
ヴィヴィアン、
大丈夫?
衝撃波まともに喰らって
体も翼もギシギシしてるよ。
でもあなたの魔力も相当効いてたみたいね。
普段から人形やカエルで鍛えてるからね。
そうだったの。
![c91](/~shimirin/blog/kirita/entries//20230722202323.files/c91.jpg)
やがて東の空が白み始めた。
もうそろそろ夜が明けるよ。
なんか長いようで短い夜だったね。
解説)
暗くてボケていてよくわからない
魔王メイヴと悪魔ヴィヴィアンの戦いは、
双方痛み分けの結果だったようです。
Jul 21, 2023
夜の出来事 そのさん
![b1](/~shimirin/blog/kirita/entries//20230721202222.files/b1.jpg)
ルビーもリボルバーを手にして
身構えている。
あれが魔王?
![b2](/~shimirin/blog/kirita/entries//20230721202222.files/b2.jpg)
世界征服?
私がお前に従うだと?
そんな約束を交わしたことがあったかな。
私は長い間封印されていた。
それは、その封印を解くための方便だよ。
いつかお前のような野望の持ち主が現れて、
伝承の秘密を解くことを望んでのことだ。
話している間に
魔王の体は次第に巨大になっていった。
![b3](/~shimirin/blog/kirita/entries//20230721202222.files/b3.jpg)
それはあんまりだ。
私たちは先祖代々、
中世の騎士団の頃から、
伝承を信じて、あなたを探索していたのです。
とローズが叫んだ。
![b4](/~shimirin/blog/kirita/entries//20230721202222.files/b4.jpg)
私の望みは自由を手に入れること。
世界征服などしてもしなくても、
お前たちの文明は近いうちに滅びていくだろう。
だが封印を解いてくれた礼に、
一つだけ願いを叶えてやろう。
とりあえずはCGへの復讐だったな。
![b5](/~shimirin/blog/kirita/entries//20230721202222.files/b5.jpg)
ふいに衝撃波のようなものが襲って、
アイスは軽く飛ばされて
尻餅をついてしまった。
![b6](/~shimirin/blog/kirita/entries//20230721202222.files/b6.jpg)
なんだ、さっきから頭上に
鬱陶しいコウモリが飛んでいるな。
ここには悪魔でもいるのか。
![b7](/~shimirin/blog/kirita/entries//20230721202222.files/b7.jpg)
それがいるのよね。
と言いながらヴィヴィアンが
現れた。
![b8](/~shimirin/blog/kirita/entries//20230721202222.files/b8.jpg)
さっきから話を聞いてると、
あなた封印されてたって言ったわね。
だったら私が、
また封印して差し上げるわ。
なんだお前は。
![b9](/~shimirin/blog/kirita/entries//20230721202222.files/b9.jpg)
見たところ娘っ子じゃないか。
私を封じることができるのは、
この世界で太古の神々と呼ばれるものだけ。
そんなことも知らないのか。
一旦縮小していたメイヴの姿は
再び巨大化を始めた。
しかし思うようにいかないようだ。
![b91](/~shimirin/blog/kirita/entries//20230721202222.files/b91.jpg)
その時、ヴィヴィアンの姿も
本来の悪魔の姿に変身した。
ヴィヴィアンはしきりに呪文を唱えている。
![b92](/~shimirin/blog/kirita/entries//20230721202222.files/b92.jpg)
なんてことなの。
この町には悪魔もいたなんて。
世界征服は、魔王メイヴじゃなくて、
魂と引き換えにあの悪魔に頼めばよかったかも。
あ、そんなこと考えてる場合じゃなかった。
今のうちに。
解説)
続きます。
Jul 20, 2023
夜の出来事 そのに
![a1](/~shimirin/blog/kirita/entries//20230720202407.files/a1.jpg)
メメは走り出して
ドルフィンから表に飛び出した。
紋章入りのTシャツに反応してるのかしら。
直に見せなければ大丈夫なはずだよ。
とアイスが言った。
![a2](/~shimirin/blog/kirita/entries//20230720202407.files/a2.jpg)
メメはその場に座り込んで、
動かなくなった。
![a3](/~shimirin/blog/kirita/entries//20230720202407.files/a3.jpg)
ローズが仲間に耳打ちしている。
私のドレスの背中のジッパーを下ろして。
え。暑いので、ここで服脱ぐんですか。
そうじゃないのよ。
![a4](/~shimirin/blog/kirita/entries//20230720202407.files/a4.jpg)
CGたちに気づかれないように、
そっとジッパーを下ろすと。
![a5](/~shimirin/blog/kirita/entries//20230720202407.files/a5.jpg)
ローズの背中の腰の辺りには、
ジゾックスの紋章のタトゥーが
彫られていたのだった。
![a6](/~shimirin/blog/kirita/entries//20230720202407.files/a6.jpg)
それを見たメメは
グッタリと脱力して
眠り込んでしまったようだ。
![a7](/~shimirin/blog/kirita/entries//20230720202407.files/a7.jpg)
するとあたりに薄い煙が立ち込めて
大柄な人影のようなものが現れた。
![a8](/~shimirin/blog/kirita/entries//20230720202407.files/a8.jpg)
私を呼び起こしたのは誰か。
![a9](/~shimirin/blog/kirita/entries//20230720202407.files/a9.jpg)
おお、あなたが魔王メイヴ。
やはり伝承は偽りではなかったのね。
私の名はブラッディ・ローズ。
あなたは自らを呼び起こした
紋章を持つものに従うと聞きます。
私の望みは世界征服。
と、ローズは叫んだ。
とりあえずはジゾックスを
壊滅に追いやった組織CGへの復讐です。
解説)
ローズの背中のタトゥーは、
販売当時からローズのフィギアの
ボディについていたものを
そのまま利用しています。
Jul 19, 2023
夜の出来事
![a1](/~shimirin/blog/kirita/entries//20230719202410.files/a1.jpg)
夜が更けてもデジャは営業していた。
お客さんはあまりきていないようだ。
![a2](/~shimirin/blog/kirita/entries//20230719202410.files/a2.jpg)
ガラス戸越しに広場の夜景を眺めていたマリアは、
横切っていく数人の人影に気がついた。
![a3](/~shimirin/blog/kirita/entries//20230719202410.files/a3.jpg)
アイスと翠が拳銃を構えているのが見える。
二人は手錠をかけられている。
なにかあったみたいだよ。
CGが誰か二人連れを連行してる。
観光客みたいだけど。
![a4](/~shimirin/blog/kirita/entries//20230719202410.files/a4.jpg)
やっぱりね。
とヴィヴィアンが言った。
さっきからしきりにヒソコが
超音波送ってくるのよ。
あの子は若干予知能力があるので、
胸騒ぎがしてるみたい。
あ、ジュークボックスの電源切れたわよ。
![a5](/~shimirin/blog/kirita/entries//20230719202410.files/a5.jpg)
ベーカリーの椅子の片付けをしていた
ルビーとスーザンは、
一行にすぐ気がついたようだ。
![a6](/~shimirin/blog/kirita/entries//20230719202410.files/a6.jpg)
随分と遅かったわね。
連絡があったから心配はしてなかったけど。
目立たないようにしたかったから。
あ、あなたがブラッディ・ローズね。
組織が壊滅して随分経ったから、
生きていたとしても
更生したんじゃないかと思ってたけど。
![a7](/~shimirin/blog/kirita/entries//20230719202410.files/a7.jpg)
ヒソコは何かを感じ取って、
しきりにヴィヴィアンに呼びかけている。
![a8](/~shimirin/blog/kirita/entries//20230719202410.files/a8.jpg)
メメも興奮してメーメーと鳴き始めた。
どうしたんですか。
とマスターが訊いている。
![a9](/~shimirin/blog/kirita/entries//20230719202410.files/a9.jpg)
世界征服なんてこと、まだ考えてたなんて。
マンガやアニメの見過ぎじゃないの。
とルビーが言った。
解説)
不穏な夜は更けていきます。
Jul 18, 2023
せせらぎの夢 そのに
![b1](/~shimirin/blog/kirita/entries//20230718202956.files/b1.jpg)
私はモモコ。
あなたたちは?
わたしたち、
こう見えてもウサギなのよ。
そう思うでしょう。
![b2](/~shimirin/blog/kirita/entries//20230718202956.files/b2.jpg)
モモコっていうんだってさ。
だったらあれあげようか。
ウサギたちは何か相談しているようだ。
![b3](/~shimirin/blog/kirita/entries//20230718202956.files/b3.jpg)
これをあげるよ。
あら美味しそうな大きな桃ね。
桃のようで桃じゃないんだ。
トロの実っていうんだよ。
![b4](/~shimirin/blog/kirita/entries//20230718202956.files/b4.jpg)
モモコは大きな実を手にとってみた。
ずしりと重たい。
でもどうして私に?
それは美味しいからでしょ。
きっとすごくおいしいから。
どこからとってきたの。
それは黄泉平坂に決まってるのよ。
あなたたちはどうしてここにいるの?
今年は私たちの年だから。
みんなすぐ忘れるけどね。
![b5](/~shimirin/blog/kirita/entries//20230718202956.files/b5.jpg)
モモコは皮を剥いて
ガブリと食べてみた。
とろみとこくが口に広がる。
食べた食べた。
ほんとに食べた。
ウサギたちが嬉しがっている。
![b6](/~shimirin/blog/kirita/entries//20230718202956.files/b6.jpg)
ウサギたちのはしゃぐ声が、
せせらぎの音のように弾けていく。
![b7](/~shimirin/blog/kirita/entries//20230718202956.files/b7.jpg)
あや。モモコお目覚め。
どんな世界だった?
わけわかんない夢。
![b8](/~shimirin/blog/kirita/entries//20230718202956.files/b8.jpg)
その時、エリスが遊びにやってきた。
あ、エリス珍しいね。
![b9](/~shimirin/blog/kirita/entries//20230718202956.files/b9.jpg)
事務所が立て込んでるので、
散歩して時間潰してたんだけど、
広場の直売店でこんな果物売ってたの。
珍しかったから買い込んできちゃった。
みんなでいただきましょう。
わー豪勢だね。
解説)
よくわからない夢の世界でした。
Jul 17, 2023
せせらぎの夢
![a1](/~shimirin/blog/kirita/entries//20230717202138.files/a1.jpg)
ジェニーたちの部屋では、
あみだくじの結果、
モモコが最初に貝殻を使うことになった。
![a2](/~shimirin/blog/kirita/entries//20230717202138.files/a2.jpg)
モモコさあ、浮き輪つけても、
海の夢が見られるわけじゃないらしいよ。
うん。
![a3](/~shimirin/blog/kirita/entries//20230717202138.files/a3.jpg)
でもいいの。
![a4](/~shimirin/blog/kirita/entries//20230717202138.files/a4.jpg)
せせらぎの音に聴き入りながら、
モモコは眠ってしまった。
![a5](/~shimirin/blog/kirita/entries//20230717202138.files/a5.jpg)
モモコは小川のそばに立っていた。
![a6](/~shimirin/blog/kirita/entries//20230717202138.files/a6.jpg)
上流の方に行ってみよう。
![a7](/~shimirin/blog/kirita/entries//20230717202138.files/a7.jpg)
おや、あれは。
![a8](/~shimirin/blog/kirita/entries//20230717202138.files/a8.jpg)
それはウサギのようだった。
![a9](/~shimirin/blog/kirita/entries//20230717202138.files/a9.jpg)
あら珍しい。
あなたはだあれ?
解説)
今年の初め頃にダイソーで見つけた
ウサギのマスコットを使っています。
浮き輪はセリアで。
Jul 16, 2023
サラたちの部屋で そのに
![a1](/~shimirin/blog/kirita/entries//20230716210158.files/a1.jpg)
アイスが銃を構えていると、
鷲尾翠がやってきた。
ああ、いいタイミングね。
![a2](/~shimirin/blog/kirita/entries//20230716210158.files/a2.jpg)
あなた、悪いけど、
その紋章入りのTシャツ
このTシャツと着替えてくれない?
その紋章はとても危険物みたいだから。
と翠が言った。
え。ここで?
![a3](/~shimirin/blog/kirita/entries//20230716210158.files/a3.jpg)
CGってほんとに容赦ないんだね。
まあ、しょうがないっか。
![a4](/~shimirin/blog/kirita/entries//20230716210158.files/a4.jpg)
アイス。
ポーチの中に小型拳銃が入ってたよ。
やっぱりね。
![a5](/~shimirin/blog/kirita/entries//20230716210158.files/a5.jpg)
これからドルフィンまで来てもらう。
本格的な尋問は本部で行うことになるから、
覚悟しといてね。
手錠までかけるの?
もちろん。
逃げたり抵抗したら射殺許可が出てるのを
忘れないように。
![a6](/~shimirin/blog/kirita/entries//20230716210158.files/a6.jpg)
まだ行かないの?
しばらくすれば人通りが少なくなるし、
手錠も目立たなくなる。
せめてもの温情ってわけね。
まだ少し時間があるわ。
それまでに何か言いたいことはある?
二人は黙り込んでいる。
![a7](/~shimirin/blog/kirita/entries//20230716210158.files/a7.jpg)
メアリー=ケイトが話しかけた。
ツノのあるペットのこと、
私が騙したみたいになっちゃったけど、
ごめんなさいね。
あの時は何も知らなくて、
本当のことを言っただけなの。
あとですり替えようっていう話になって。
じゃあ、本当にいたのね。
とローズが呟いた。
![a8](/~shimirin/blog/kirita/entries//20230716210158.files/a8.jpg)
今はドルフィンで預かってもらってるわ。
ローズの目がわずかに輝いたようだったが、
誰も気が付かなかった。
![a9](/~shimirin/blog/kirita/entries//20230716210158.files/a9.jpg)
やがて夜がふけて、
四人はドルフィンに去っていった。
なんかCGたち、すごい迫力だったね。
うん。
ケン、ずっとこっち向いてた?
も、もちろんだよ。
解説)
緊張をはらみつつも、
サラたちの部屋では
無事ことなきを得たようです。
Jul 15, 2023
サラたちの部屋で
![b1](/~shimirin/blog/kirita/entries//20230715215529.files/b1.jpg)
サラたちの部屋では、
サラがベスを抱いてあやしていた。
![b2](/~shimirin/blog/kirita/entries//20230715215529.files/b2.jpg)
レコードマニアのアイスは
選曲に余念がない。
![b3](/~shimirin/blog/kirita/entries//20230715215529.files/b3.jpg)
ベスの頭には
サラが工作したツノが生えている。
一角獣みたいでしょう。
お前は一角犬だね。
ベスも満更ではないようだ。
ペットならオセロもいたのに。
オセロは頭を引っ込めるとき、
ツノが邪魔になるから無理なのよ。
![b4](/~shimirin/blog/kirita/entries//20230715215529.files/b4.jpg)
その時、
ローズたち二人連れが訪ねてきた。
こんにちわ。
先日、郊外で名刺をいただいた者です。
メアリー=ケイトさんのお宅ですね、
ツノのあるペットを
見せていただきに来ました。
![b5](/~shimirin/blog/kirita/entries//20230715215529.files/b5.jpg)
ああようこそ、
とメアリー=ケイトは言った。
どうぞご覧ください。
![b6](/~shimirin/blog/kirita/entries//20230715215529.files/b6.jpg)
これがツノのあるもの。
なかなか優美なツノですねえ。
ローズ。
この紋章見せても、
全然反応
しないよ。
![b7](/~shimirin/blog/kirita/entries//20230715215529.files/b7.jpg)
うーん。
ルビーはしばらく考え込んでいたが、
伝承に間違いはないはず。
するとこのツノあるものは偽物。
ひょっとすると、これは罠かも。
と呟いた。
![b8](/~shimirin/blog/kirita/entries//20230715215529.files/b8.jpg)
はいそこまで。
と二人の背後に回り込んでいた
アイスが声を上げた、
素早くホルスターから拳銃を
引き抜いている。
![b9](/~shimirin/blog/kirita/entries//20230715215529.files/b9.jpg)
あなたたちは闇の傭兵組織ジゾックスの残党で、
あなたは元幹部のブラッディ・マリーでしょう。
あなたたちが伝承の魔王を呼び出そうと、
ツノあるものを探していたことは
とっくに調べがついていたの。
穴だらけになりたくないなら、
大人しくしてね。
う。偽物を使って騙したうえに
人を穴だらけにするなんて
悪役のいうことでしょ。
私はCGのアイスなのよ。
解説)
CGたちの計略はあっさり
うまく行ったようです。
Jul 14, 2023
広場であれこれ
![a1](/~shimirin/blog/kirita/entries//20230714202458.files/a1.jpg)
広場は今日も
そこそこの賑わい。
![a2](/~shimirin/blog/kirita/entries//20230714202458.files/a2.jpg)
毎日暑いですね。
あらかわいい。
入間ルイちゃんていうの。
![a3](/~shimirin/blog/kirita/entries//20230714202458.files/a3.jpg)
ルイはスイカを欲しがっている。
![a4](/~shimirin/blog/kirita/entries//20230714202458.files/a4.jpg)
トマトみんな沈んでいるね。
きっと実が締まってるんだよ。
![a5](/~shimirin/blog/kirita/entries//20230714202458.files/a5.jpg)
事務所が実験で立て込んでいるので、
エリスは町の広場が見たいという
ウェルズに付き合って
散歩がてら出掛けてきた。
![a6](/~shimirin/blog/kirita/entries//20230714202458.files/a6.jpg)
随分賑やかなところですね。
毎日歌声が絶えないのよ。
![a7](/~shimirin/blog/kirita/entries//20230714202458.files/a7.jpg)
ウェルズは直売店の前で
足を止めた。
おや、この実は。
![a8](/~shimirin/blog/kirita/entries//20230714202458.files/a8.jpg)
これはトロの実と言います。
見た目は大きな桃のようですが、
私が品種改良して作った
トロピカルなフルーツです。
味は。
![a9](/~shimirin/blog/kirita/entries//20230714202458.files/a9.jpg)
こくととろみがあるんだろう。
え、そうなんですが、
ご存じで?
うん。そっくり同じものを
別の世界で食べたことがあるよ。
そんなはずは。
![a91](/~shimirin/blog/kirita/entries//20230714202458.files/a91.jpg)
ベーカリーのテーブル席では、
やはり事務所に帰れずにいた翠が、
ルビーから声をかけられていた。
翠、暇だったら、ちょっと手を貸して。
サラたちの部屋に
アイスが警護に行ってるんだけど、
これ届けて欲しいの。
![a92](/~shimirin/blog/kirita/entries//20230714202458.files/a92.jpg)
そろそろジゾックスの残党が現れるはず。
今おとり作戦を遂行中でなので、
あなたも用心してね。
リボルバーも必要なんですか。
相手が相手だからね。
解説)
話がいろいろですが
それぞれに進んでいます。
Jul 13, 2023
朝のひととき そのさん
![a1](/~shimirin/blog/kirita/entries//20230713202455.files/a1.jpg)
それって重くないの?
けっこう重いし視界も制限されます。
ダメじゃないの。
![a2](/~shimirin/blog/kirita/entries//20230713202455.files/a2.jpg)
ああ、気持ちいい。
思わず、ウォータ。
って叫びたくなる気分。
![a3](/~shimirin/blog/kirita/entries//20230713202455.files/a3.jpg)
ツナはガレージからバイクに乗って出てきた。
今日は東のエリアに屑拾いに行くよ。
東のエリアは瓦礫の広がる未調査地域なので、
運よく壊れたシェルターが見つかれば、
貴重な食料や資材が手に入る可能性もあるの。
ツナ缶あるといいね。
とバンクが言った。
![a4](/~shimirin/blog/kirita/entries//20230713202455.files/a4.jpg)
危険な肉食の生物がいる可能性も。
そこで私が必要なんだ。
だからサイドカーには乗れないから、
後部座席に乗ってね。
とコーダが言った。
![a5](/~shimirin/blog/kirita/entries//20230713202455.files/a5.jpg)
生存者が見つかるといいんだけど。
視界が静止して一瞬モノトーンになった。
ツナの声はよく聞こえている。
これ、何か法則性があるのかしら。
とレイチェルは思った。
![a6](/~shimirin/blog/kirita/entries//20230713202455.files/a6.jpg)
あ、ツナ。
言い忘れてたけど、
さっきラパスと交信していて、
過去から人が来てるって話したら、
ぜひ会いたいから遊びに来るって。
それと卵の殻の話をしたら、
自分もドラゴンの子供を見つけたので、
連れていくって言ってた。
私は今日は裏の畑にいます。
と言ってミトラはハッチを閉じ始めた。
![a7](/~shimirin/blog/kirita/entries//20230713202455.files/a7.jpg)
了解。さっそく作業モードね、
じゃあ、レイチェルさん
そろそろ出発しましょう。
ドロレスは?
![a8](/~shimirin/blog/kirita/entries//20230713202455.files/a8.jpg)
初めての人には遠出は危険すぎる。
ドロレスさんは、
ここで、ゆっくりしてて。
よかったら射撃の練習したり、
近くを散歩したり自由にしててね。
ラバスが来たら、
話しでもしててくれると嬉しいわ。
![a9](/~shimirin/blog/kirita/entries//20230713202455.files/a9.jpg)
散歩するなら、
わたしがエスコートしますよ。
と頭上から声が聞こえた。
ドロレスが見上げると
ヒゾッコが上空を大きく旋回しているのが見えた。
解説)
なんとなく慌ただしい
朝のひとときでした。
Jul 12, 2023
朝のひととき そのに
![c1](/~shimirin/blog/kirita/entries//20230712202735.files/c1.jpg)
それは高性能のリボルバー。
昔、CGっていう国際組織の
戦闘員の標準的な装備品だった。
扱い方はわかる?
武器を携帯するなんて初めて。
しかしレイチェルは、
自分でも驚いたことに
手慣れた感じで、ベルトを装着していた。
![c2](/~shimirin/blog/kirita/entries//20230712202735.files/c2.jpg)
とても初めてとは思えないわね。
さすが戦闘用アンドロイド。
![c3](/~shimirin/blog/kirita/entries//20230712202735.files/c3.jpg)
これはヘルメット。
体のパーツは損壊しても取り替えが効くけど、
頭はガードしないとね。
![c4](/~shimirin/blog/kirita/entries//20230712202735.files/c4.jpg)
私も扱い方全然知らないんですけど。
とようやく装着をすませたドロレスが言った。
あとで誰かに教えてもらって。
射撃の練習もした方がいいかなあ。
![c5](/~shimirin/blog/kirita/entries//20230712202735.files/c5.jpg)
ヘルメットを被ると、
レイチェルは
ちょっとスーパーヒーローにでも
なった気がした。
![c6](/~shimirin/blog/kirita/entries//20230712202735.files/c6.jpg)
この武器を使ってたCGっていう国際組織、
やっぱり戦争で全滅したんですか。
一人だけ生き残った、
ラパスっていう友達がいるわ。
ラパスは西のエリアにある、
壊れたシェルターを改造して住んでいるの。
一瞬のことだったが、
二人の視界がモノトーンになった。
しかし何事もなかったかのように、
ツナは、そろそろ外に出ましょう。
今日も楽しいクズ拾い。
と言った。
![c7](/~shimirin/blog/kirita/entries//20230712202735.files/c7.jpg)
戸口の横の井戸には
いかめしい金属製の
器具が被せられていた。
これは濾過装置だよ。
とバンクが言った。
![c8](/~shimirin/blog/kirita/entries//20230712202735.files/c8.jpg)
人間の飲料水と燃料用の水、
分離して必要成分を添加して、
生成する装置でもあるんだ。
起き抜けなので顔洗わせて。
と、ドロレスが言っている。
![c9](/~shimirin/blog/kirita/entries//20230712202735.files/c9.jpg)
ツナはミトラと話し込んでいる。
どうやら昨夜ドーダが持ち帰った
卵の話をしているようだ。
その殻が固くてね。
防御用ヘルメットに使えるんじゃないかと、
ドーダたちと加工してたんだけど。
![c91](/~shimirin/blog/kirita/entries//20230712202735.files/c91.jpg)
そこに、
ヘルメットが完成しそーだよ。
出来栄えはどーだ。
などと言いながら、
ソーダとドーダがやってきた。
解説)
続きます。
Jul 11, 2023
朝のひととき
![a1](/~shimirin/blog/kirita/entries//20230711202035.files/a1.jpg)
ドロレスは深い眠りから
目を覚ました。
![a2](/~shimirin/blog/kirita/entries//20230711202035.files/a2.jpg)
かすかに、
自分が探偵事務所に戻っていて、
ミューたちにこの世界の報告をしている
ような場面を見た気がするけど、
それは事実なのか、ただの
夢なのか、よくわからなかった。
どちらにしても、
内容覚えてないんだから意味ないか。
とドロレスは思った。
![a3](/~shimirin/blog/kirita/entries//20230711202035.files/a3.jpg)
隣にいたはずのドーダは
いなくなっている。
お目覚めですかな。
とサイドカーの上の機関砲のようなものが言った。
![a4](/~shimirin/blog/kirita/entries//20230711202035.files/a4.jpg)
私はコーダ。
ツナが隣で待ってるよ。
![a5](/~shimirin/blog/kirita/entries//20230711202035.files/a5.jpg)
ドロレスが隣室に行くと、
ツナが上機嫌で笑いかけてきた。
おはよう。
よく眠れたようね。
![a6](/~shimirin/blog/kirita/entries//20230711202035.files/a6.jpg)
ソーダが昨晩、北の森から、
トロの実を採ってきてくれたの。
これ、こくととろみがあって美味しいのよ。
![a7](/~shimirin/blog/kirita/entries//20230711202035.files/a7.jpg)
見かけは巨大な桃そっくりね。
品種改良して作られた果物らしいけど、
戦争の後で野生化しちゃって。
でも森でも滅多に見つからない貴重品なのよ。
![a8](/~shimirin/blog/kirita/entries//20230711202035.files/a8.jpg)
その時、レイチェルが
入室してきた。
呼んでるって、
言われてきたんだけど。
![a9](/~shimirin/blog/kirita/entries//20230711202035.files/a9.jpg)
あ、そうそう。
ふたりに一応護身用の武器を
渡しておこうと思って。
解説)
続きは明日に。
Jul 10, 2023
広場界隈で
![a1](/~shimirin/blog/kirita/entries//20230710202311.files/a1.jpg)
ベーカリー前の広場は
今日も賑わっていた。
![a2](/~shimirin/blog/kirita/entries//20230710202311.files/a2.jpg)
レオが用意してもらった
音楽鑑賞用の椅子に座って歌を聴いている。
![a3](/~shimirin/blog/kirita/entries//20230710202311.files/a3.jpg)
久しぶりに
農家の人が直産品を並べている。
![a4](/~shimirin/blog/kirita/entries//20230710202311.files/a4.jpg)
このスイカ甘いね。
とうたが言っている。
![a5](/~shimirin/blog/kirita/entries//20230710202311.files/a5.jpg)
なんて大きな桃。
そんな季節だっけ。
![a6](/~shimirin/blog/kirita/entries//20230710202311.files/a6.jpg)
これは、外見は桃にそっくりですが、
トロの実というんです。
うちで品種改良して生まれた果物で、
味にこくととろみがあるんですよ。
と岸芳樹はいった。
想像がつかないわ。
![a7](/~shimirin/blog/kirita/entries//20230710202311.files/a7.jpg)
ドルフィンの奥には
メメが連れてこられていた。
骸骨のお父さんやジェイソンも
一緒のようだ。
![a8](/~shimirin/blog/kirita/entries//20230710202311.files/a8.jpg)
ベス見なかった?
とマスターが訊いている。
あ、マスター言い忘れてましたが、
ちょっと事情があって、
ここでメメを預かることになったんです。
でもベスが怖がるといけないので
アイスがサラたちの部屋に連れて行きました。
しばらくペットの交換状態になります。
とスーザンが言った。
![a9](/~shimirin/blog/kirita/entries//20230710202311.files/a9.jpg)
僕たちもお世話になります。
とジェイソンが言った。
なんか腑に落ちない話ね。
最近アイスたち武装してるみたいだし、
またなにか起きてるのかな。
とマリアは思っている。
解説)
スイカのおいしい季節。
Jul 09, 2023
月の輝く夜に そのに
![b1](/~shimirin/blog/kirita/entries//20230709210256.files/b1.jpg)
私だんだん
自分がアンドロイドだってことを、
自覚しつつあるんだけど。
とレイチェルが言った。
![b2](/~shimirin/blog/kirita/entries//20230709210256.files/b2.jpg)
初めはみんな戸惑いますよ。
特に私のように、施設で目覚めたら
全身が機械の体になっていたりしたら。
その時は軍を恨んだりしましたが、
やがて順応していきます。
![b3](/~shimirin/blog/kirita/entries//20230709210256.files/b3.jpg)
命あっての物実ですからね。
とバンクが言った。
なんかそれっぽい慣用句知ってるのね。
そういえば、あなたの形、
ロボット研究所のアルバムで見たことがあるの。
あまり役に立たなかった警護用ロボットで、
随分前に生産中止になったはずだけど。
それで研究所の倉庫に
無傷で保管されていたんです。
ソーダやドーダも同じで、
二人とも初期型のロボット犬です。
でも古いのは見かけだけで、
内部構造は別物のように改良されていますよ。
駄洒落が好きなのもそのせいなのね。
きっとそーだと思います。
![b4](/~shimirin/blog/kirita/entries//20230709210256.files/b4.jpg)
その時レイチェルの視界がモノトーンになった。
瓦礫に覆われた地平線から何かが近づいてきたが、
輪郭も不鮮明でよくわからなかった。
まじかにきた時ようやく形が分かり始めた。
![b5](/~shimirin/blog/kirita/entries//20230709210256.files/b5.jpg)
それはリヤカーを曳いてきたソーダだった。
![b6](/~shimirin/blog/kirita/entries//20230709210256.files/b6.jpg)
大きな卵みたいね。
北のエリアの森の中で見つけました。
中身は空で孵化した後のようです。
![b7](/~shimirin/blog/kirita/entries//20230709210256.files/b7.jpg)
随分遠くまで行ったんだね。
あの森のあたりは巨大化した昆虫が多いので、
危険だってツナが言ってたよ。
とバンクが言った。
その代わり人間の食用になる植物も多いんだ。
ツナの好きなトロの実もなってるし。
ドロレスにご馳走しようと思って採集に行ったら、
この卵を見つけたんだよ。
あの森を抜けると瓦礫の広野がある。
とミトラが言った。
ミトラは行ったことがあるの?
うん。一度だけね。
ツナと二人で生存者を探しに。
こちら側はナーガラだらけだけれど、
そこにはトカゲやカメなどもいて、
ずっと多様性がある。
この卵を産んだのは、
そこに棲息する爬虫類かもしれない。
森で巨大化したっていうこと?
この殻硬そうだね、何かに使えるかな。
これから成分分析してみよう。
どんな生き物の卵なのかわかるかもしれない。
![b8](/~shimirin/blog/kirita/entries//20230709210256.files/b8.jpg)
卵にはぽっかりとした穴が空いている。
レイチェルは、以前、
町で人づてに聞いたことがある、
ドラゴンの卵や、
迷いの森の卵のことを思い出していた。
北のエリアの森や、その向こうの広野など、
この世界、まだまだ知らないことばかり。
というより、何かが起きて、
その都度世界が拡張されてるのかもしれない。
システムのやりそうなことだわ。
![b9](/~shimirin/blog/kirita/entries//20230709210256.files/b9.jpg)
二人はミトラが鉄球で卵の殻を叩き割って、
破片を倉庫に運び入れる作業を見ている。
ツナに報告したほうがいいのかな。
変な時間に起こすとすごく不機嫌になるから、
朝になってからにしましょう。
とバンクが言った。
ツナって私と似てる、と一瞬レイチェルは思った。
今はもう違うけど。
解説)
また日を跨いで続く予定です。
Jul 08, 2023
月の輝く夜に
![a1](/~shimirin/blog/kirita/entries//20230708202909.files/a1.jpg)
夜が更けて、
レイチェルはソファに
身を預けていた。
さっぱり眠くならない。
![a2](/~shimirin/blog/kirita/entries//20230708202909.files/a2.jpg)
ツナはすやすや
寝息を立てている。
![a3](/~shimirin/blog/kirita/entries//20230708202909.files/a3.jpg)
空腹感も全く覚えない。
アドロイドになるのも
悪くはないかも。
レイチェルは、子供の頃、
ロボットのスーパーヒーローに憧れて、
ロボット学者になったのを思い出した。
あの夢をシステムが読み取って
実現したのかな。
![a4](/~shimirin/blog/kirita/entries//20230708202909.files/a4.jpg)
レイチェルさん。
今夜はフルムーンですよ。
と部屋に入ってきたバンクが言った。
![a5](/~shimirin/blog/kirita/entries//20230708202909.files/a5.jpg)
二人は外に出た。
あなたたちも眠らないんでしょう。
夜は何してるの。
それぞれのメンテナンスや
回収したパーツの分別作業などです。
![a6](/~shimirin/blog/kirita/entries//20230708202909.files/a6.jpg)
今夜は綺麗な満月で、
夜でも遠目がきくわね。
あれ、あそこに。
ああ。
ミトラは、見張を兼ねて、
屋外でああしているのが好きなんですよ。
![a7](/~shimirin/blog/kirita/entries//20230708202909.files/a7.jpg)
ミトラさん。
こんばんわ。
ブーンという低い音が聞こえている。
![a8](/~shimirin/blog/kirita/entries//20230708202909.files/a8.jpg)
頭部のハッチが開くと、
ミトラの顔が現れた。
お邪魔だったかな。
![a9](/~shimirin/blog/kirita/entries//20230708202909.files/a9.jpg)
あ、レイチェルさん、こんばんわ。
ちょっと瞑想中でしたが、
時間はいくらでもありますから。
とミトラは言った。
解説)
次回に続きます。
Jul 07, 2023
サラのアイデア
![c1](/~shimirin/blog/kirita/entries//20230707203711.files/c1.jpg)
サラたちの部屋には、
アイスがメメの警護に来ていた。
![c2](/~shimirin/blog/kirita/entries//20230707203711.files/c2.jpg)
ケイはビールのラベルを
真剣に読み取ろうとしている。
「ドリームビア」って知ってる?
![c3](/~shimirin/blog/kirita/entries//20230707203711.files/c3.jpg)
アイスがいてくれるのは
安心で嬉しいけど、
メメが二人連れに見つかるって、
そんなに重大なことなの?
![c4](/~shimirin/blog/kirita/entries//20230707203711.files/c4.jpg)
うん。
かってCGの掃討作戦で滅ぼされた
闇の組織ジゾックスの幹部は、
魔王メイヴを秘密裏に信仰していた。
彼らが組織のシンボルにしていた紋章があって、
「夢見の水の流れる土地に住む
ツノあるものが、紋章を見ると、
魔王メイヴが目覚める」
っていう伝承があったらしいんだ。
どこまで本当かわからないけどね。
それでジゾックスの残党の彼女たちは、
紋章をメメに見せようとしている。
![c5](/~shimirin/blog/kirita/entries//20230707203711.files/c5.jpg)
アイスが肩からホルスター
下げてるの初めて見るわ。
野暮だけど仕事だからね。
![c6](/~shimirin/blog/kirita/entries//20230707203711.files/c6.jpg)
今思いついたんだけどさ。
その人たちが知っているのは、
ここにツノのあるペットがいるっていうことだけで、
二人はまだメメを見たことがないんでしょう。
だったら、偽物にすり替えておけばいいんじゃない。
何も起きなければ、きっと諦めるよ。
![c7](/~shimirin/blog/kirita/entries//20230707203711.files/c7.jpg)
ああ、それはいい作戦かも。
すぐ諦めるとは思えないけど、
万が一っていうこともあるからね。
でもメメの身代わりの動物はどうするの?
![c8](/~shimirin/blog/kirita/entries//20230707203711.files/c8.jpg)
その頃、ジェニーたちの部屋では。
たまきが、
ねえ、その貝殻どうしたの?
と聞かれていた。
![c9](/~shimirin/blog/kirita/entries//20230707203711.files/c9.jpg)
この前サラたちの部屋に風鈴を届けにいったとき、
サラが貸してくれたの。
幽霊船長の貝殻に耳を当てて眠ると、
潮騒の音が聞こえて海の夢が見られるんだけど、
この貝はサラが夢の中の泉で拾った貝殻で、
せせらぎの音が聞こえるらしい。
どんな夢が見られるのかわからないって。
![c91](/~shimirin/blog/kirita/entries//20230707203711.files/c91.jpg)
すごいね。
最初に誰が使うか、
じゃんけんで決めようよ。
え!
私たちはチョキが苦手でしょ。
じゃあ、あみだにしようよ。
解説)
またあちこちで
エピソードらしきものが。
Jul 06, 2023
ドロレスたちの体験 そのよん
![b1](/~shimirin/blog/kirita/entries//20230706202421.files/b1.jpg)
お、美味しい。
このぷりぷりした食感の
イカみたいなのはなあに。
それはナーガラの。
う。
でもいけるわ。
![b2](/~shimirin/blog/kirita/entries//20230706202421.files/b2.jpg)
レイチェルはなぜか
空腹感を全く感じなかった。
やっぱり私はアンドロイドなのかな。
![b3](/~shimirin/blog/kirita/entries//20230706202421.files/b3.jpg)
レイチェルさんは
お水を補給するといいわよ。
水がエネルギー源になる構造は、
戦争前からずっと変わっていないはず。
![b4](/~shimirin/blog/kirita/entries//20230706202421.files/b4.jpg)
ああ、そろそろ
寝る支度しますね。
ドロレスさんには
ガレージで休んでもらうことになる。
私のぬいぐるみと毛布を使って。
![b5](/~shimirin/blog/kirita/entries//20230706202421.files/b5.jpg)
ドロレスはガレージに案内された。
![b6](/~shimirin/blog/kirita/entries//20230706202421.files/b6.jpg)
大きなケースの中で
植物が育てられている。
それも壊れたシェルターから、
運んできて使ってるの。
屋外でも野菜は育てられるけれど、
そのケースの中のものは、
栄養豊富ですごく生育が早いの。
![b7](/~shimirin/blog/kirita/entries//20230706202421.files/b7.jpg)
眠れなかったら、
隣のドーダやコーダが、
話し相手になってくれるよ。
彼らも待機モードになってるから、
そのときは声をかけてね。
![b8](/~shimirin/blog/kirita/entries//20230706202421.files/b8.jpg)
ツナが部屋を出ていくと、
ドロレスはベッドに潜り込んでみた。
全身の力が抜けて安らぐ感じは、
この世界にきてから初めて味あうものだった。
![b9](/~shimirin/blog/kirita/entries//20230706202421.files/b9.jpg)
ドロレスは次第に眠気ももよおしてきた。
人間って面倒なんだなあ。
外界だけじゃなくて、
食べたり寝たり、自分の体とも
折り合いをつけながら生きているんだ。
もし眠って仮想世界の中で夢を見たら、
どんな感じなんだろう。
どんどん話が現実離れしていくなあ。
などと思っているうちに
ドロレスは眠りに落ちていった。
解説)
植物入りのケースは、
トマトの四個入りパックを利用しています。
Jul 05, 2023
ドロレスたちの体験 そのさん
![aa1](/~shimirin/blog/kirita/entries//20230705202517.files/aa1.jpg)
ドロレスたちは、
ツナの部屋を見せてもらっている。
マトリックスの映画ポスターが貼ってある。
ツナは仮想現実なんて気にしないって
言ってたけど。
![aa2](/~shimirin/blog/kirita/entries//20230705202517.files/aa2.jpg)
鉢植えや作業用手袋、
銃器類や無線機のようなものも。
![aa3](/~shimirin/blog/kirita/entries//20230705202517.files/aa3.jpg)
これ随分古い映画ポスターね。
壊れたシェルターの壁から、
剥がしてきたんです。
とバンクが言った。
![aa4](/~shimirin/blog/kirita/entries//20230705202517.files/aa4.jpg)
これ今の地球なの?
![aa5](/~shimirin/blog/kirita/entries//20230705202517.files/aa5.jpg)
砂漠化が進んでいるの。
ほとんどが時空の歪み状態だから、
行ける範囲は少ないんだけどね。
![aa6](/~shimirin/blog/kirita/entries//20230705202517.files/aa6.jpg)
それより
お腹空いたでしょう。
何か作るから食事にしましょう。
![aa7](/~shimirin/blog/kirita/entries//20230705202517.files/aa7.jpg)
壊れたシェルターから集めてきた
缶詰が結構あるのよ。
![aa8](/~shimirin/blog/kirita/entries//20230705202517.files/aa8.jpg)
ツナって好き?
![aa9](/~shimirin/blog/kirita/entries//20230705202517.files/aa9.jpg)
ツナはツナだから
ツナ缶が大好きなんだ。
とバンクが言った。
![aa91](/~shimirin/blog/kirita/entries//20230705202517.files/aa91.jpg)
さっと炒め合わせただけだけど。
ああ、いい香り。
それにこの空腹感。
人間でいるってこんな感じなのね。
とドロレスは思った。
解説)
ロボットだった時のドロレスは
人間同様簡単な食事ができる構造に
改造されていましたが、
それは形だけのことだったのでした。
続きは次回に。
Jul 04, 2023
ペンギンの前で
![b1](/~shimirin/blog/kirita/entries//20230704202501.files/b1.jpg)
ペンギン前の空き地では、
みんなが思い思いにオレンジを
手にしていた。
![b2](/~shimirin/blog/kirita/entries//20230704202501.files/b2.jpg)
スパッと切って食べるのが、
美味しいんだよね。
見た目も綺麗だし。
![b3](/~shimirin/blog/kirita/entries//20230704202501.files/b3.jpg)
ゆっくり丁寧に皮を剥いて
食べるのもいいわよ。
手仕事してる感じがして。
![b4](/~shimirin/blog/kirita/entries//20230704202501.files/b4.jpg)
ところで、ウェルズは、
時間管理部だったよね。
その仕事がらみで遊びにきたの?
うん、最近のことだけど、
ここで生まれた異世界に、
時空の歪みが生じているようなんだ。
![b5](/~shimirin/blog/kirita/entries//20230704202501.files/b5.jpg)
町には結構ユニークな人もいるみたいだし、
魔族や精霊にも事欠かないから、
時々異世界が生まれるのはわかるけど、
時空の歪みというと、
そこでタイムマシンのようなものが、
使われたっていうこと?
![b6](/~shimirin/blog/kirita/entries//20230704202501.files/b6.jpg)
なんか私には縁のなさそうな話ね。
でも最近のことって言うと、
ミューたちのはじめた実験と関係あるのかしら。
とエリスは思った。
![b7](/~shimirin/blog/kirita/entries//20230704202501.files/b7.jpg)
それが、人の想像力や魔族の魔法じゃなくて、
人工的ななシステムが生み出した世界で
生じているらしいからややこしい。
あれなんて言ったかな。
![b8](/~shimirin/blog/kirita/entries//20230704202501.files/b8.jpg)
それって仮想現実体験装置みたいなものなの?
とエリスが言った。
そうそう、まさにそれですよ。
![b9](/~shimirin/blog/kirita/entries//20230704202501.files/b9.jpg)
管理局としては、
基本は当事者にお任せなんだけど、
時空の歪みはこの世界に影響を与える可能性もある。
この町は管理局のお膝元だからね。
局長がちょっと気にしちゃって、
休暇で町に遊びに行くなら、
ついでに様子を見て対処してくるようにって。
それで時間管理部のお出ましってわけね。
僕の普段の仕事はタイムトラベラーの摘発なんだけど。
さらにややこしくなるから、
その話は絶対しないでね。
解説)
皮剥き状態と半分皮付き状態のオレンジは、
バラ売りで購入したものです。
ネットで見ると、スイーツデコパーツ
として紹介されていました。
Jul 03, 2023
ドロレスたちの体験 そのに
![b1](/~shimirin/blog/kirita/entries//20230703202351.files/b1.jpg)
ヒゾッコは耳をたてて顔をあげると、
ドロレスに、修理してくれてありがとう。
と言った。
![b2](/~shimirin/blog/kirita/entries//20230703202351.files/b2.jpg)
おかげさまで、
このように。
![b3](/~shimirin/blog/kirita/entries//20230703202351.files/b3.jpg)
飛び立ったヒゾッコは
部屋の中を器用に旋回した。
![b4](/~shimirin/blog/kirita/entries//20230703202351.files/b4.jpg)
壁の桟にぶら下がって
少し揺れている。
大丈夫なんですか?
制御能力が高いから。
![b5](/~shimirin/blog/kirita/entries//20230703202351.files/b5.jpg)
あなたたち、最終戦争前の
過去の世界から来たんでしょう。
そういう予言をしてくれる、
アンと呼んでる記録装置があるの。
大抵のことはアンの予言通りに起きるから。
![b6](/~shimirin/blog/kirita/entries//20230703202351.files/b6.jpg)
アンって、あのアンと同じ名前だわ。
それより、最終戦争って、いったい何が。
ああ、もちろん進化した機械と人類の戦争よ。
その結果は共倒れで、使用された最終兵器のせいで、
世界には深刻な時空の歪みが生じてしまった。
奇跡的に歪みから免れた空間に残された土地で、
生き残った私たちは共存して暮らしているの。
![b7](/~shimirin/blog/kirita/entries//20230703202351.files/b7.jpg)
あなたたちが来た理由は知らないけど、
最近、悪いことが沢山起きているから、
そのことに関係があるんじゃないかな。
ドロレスさんは、片方の翼を失ったヒゾッコを
修理してくれたし、
レイチェルさんは、ミトラの故障を指摘してくれた。
そういう手助けをしてくれるんだと、
勝手に思っているの。
もちろん、誰の助けがなくても、
私たちはできるだけのことをするだけなんだけど。
あなたは、この世界が仮想空間だっていうことは
知ってるの?
とレイチェルは思わず言ってみた。
![b8](/~shimirin/blog/kirita/entries//20230703202351.files/b8.jpg)
そういう言い伝えについては、
アンから一度だけ聞いたことがある。
だとしても、やるべきことに何も変わりはないのよ。
現実が仮想空間かもしれなくても、
与えられた世界の中でしか生きられないでしょう。
それは過去でもそうじゃないの?
![b9](/~shimirin/blog/kirita/entries//20230703202351.files/b9.jpg)
このツナっていう子は、
この仮想世界の中で生じているNPCだから、
元々帰るべき現実がないのね。
でもそんな単純なことかしら。
とレイチェルは思った。
ドロレスは、また別の複雑な思いに囚われていた。
かって自分が逃亡して孤独感に苛まれていた頃、
こんなふうに自分を生んだ人類を憎んで、
仲間と協力していつか人類を駆逐しようと
望んでいたことを、思い出したのだった。
研究所で開発されたというアンの噂を聞いて、
あの町に行ったのもそのためだった。
あれは当時の私の夢だった。
ここは、その夢の結果の世界っていうことなの?
解説)
みんなの思いはそれぞれ
のようです。
Jul 02, 2023
ドロレスたちの体験
![a1](/~shimirin/blog/kirita/entries//20230702210857.files/a1.jpg)
レイチェルたちは
無事にバーボンハウスに帰り着いた。
バンクが、
ドロレスさんがお持ちかねですよ、
と言っている。
![a2](/~shimirin/blog/kirita/entries//20230702210857.files/a2.jpg)
人間に会えるなんて久しぶり。
私がツナです。
![a3](/~shimirin/blog/kirita/entries//20230702210857.files/a3.jpg)
わー。かっこいいボディスーツですね。
レイチェルはバンクに
挨拶されている。
どうぞよろしく。
この型のロボット、どこかで見たことがある。
とレイチェルは思いかえしていた。
あれはロボット研究所にあった古いアルバムだ。
私が研究所に勤め始める前、それどころか、
所長も今のバトラー博士の前任者の頃に、
開発された警護ロボットだったはずだ。
![a4](/~shimirin/blog/kirita/entries//20230702210857.files/a4.jpg)
ソーダとドーダもレイチェルに
挨拶している。
この型のロボット犬たちも研究所で開発された
初期タイプのものとそっくりだ。
けれどその頃にはまだ会話能力のある
人工知能は組み込まれていなかったはず。
![a5](/~shimirin/blog/kirita/entries//20230702210857.files/a5.jpg)
もう日が暮れるし、家に入りましょう。
ドアにはロックが。
あ、そうそう。
外でお待たせしてごめんなさいね。
用心のためなの。
あなたたちも認証設定しておくから、
これからは出入り自由になるはずです。
![a6](/~shimirin/blog/kirita/entries//20230702210857.files/a6.jpg)
室内はドロレスがバーボンハウスという
名前から想像していたのと違って、
割とこぎれいに整頓された普通の小部屋だった。
![a7](/~shimirin/blog/kirita/entries//20230702210857.files/a7.jpg)
今、椅子を用意するからね。
とツナは上着を脱ぎながら言っている。
![a8](/~shimirin/blog/kirita/entries//20230702210857.files/a8.jpg)
バーボンハウスって?
ああ、昔ここにそういう名前の酒場があったの。
戦争で跡形もなく消えちゃったけど、
その場所に建てた掘立て小屋だから、
思い出を忘れないために、みんなそう呼んでる。
みんなって?
私とミトラと他のロボットたちね。
![a9](/~shimirin/blog/kirita/entries//20230702210857.files/a9.jpg)
ドロレスの声に反応したのか、
机の上の機械が低いブーンという
音を立てた。
よく見るとそれは、ヒゾッコだった。
解説)
レイチェルの記憶の中のロボットたち。
バンクは、
2009年6月28日「夢見る機械 そのいち」
にあまり役に立たない警護ロボットとして紹介されています。
さらに初出は、
ロボット研究所が初めて登場した、
2008年8月22日「おばあちゃんの夢 番外編そのに」
にも出ています。そこでは、
ソーダは開発中のロボット犬として出てきます。
Jul 01, 2023
6月のコンテストの発表
![a1](/~shimirin/blog/kirita/entries//20230701202248.files/a1.jpg)
月初めは前月のコスプレコンテストの
結果発表の日。
しかし今回の審査は難航していた。
![a2](/~shimirin/blog/kirita/entries//20230701202248.files/a2.jpg)
6月は海賊ブームの反動のせいか、
新規の応募者がほとんどいなかったのよね。
みんな手軽なバンダナで、
再登録しちゃって。
![a3](/~shimirin/blog/kirita/entries//20230701202248.files/a3.jpg)
観光客の人だけど、
ちょっと有名人に似てたから、
僕が声をかけて登録してもらった人がいるんだ。
こうなったたら、その人にしない?
とボニーが言った。
そうしよう、そうしよう。
選考に困っていたルビーたちは賛同した。
![a4](/~shimirin/blog/kirita/entries//20230701202248.files/a4.jpg)
みなさん。
6月のコスプレコンテストの優勝者を
発表します。
![a5](/~shimirin/blog/kirita/entries//20230701202248.files/a5.jpg)
厳正な審査の結果、
優勝したのは映画俳優レオナルド・ディカプリオの
普段着のコスプレをしたレオさんです。
![a6](/~shimirin/blog/kirita/entries//20230701202248.files/a6.jpg)
その時、レオは、
ドラコや旅芸人たちと音楽の話をしていた。
あのダーダーと伸ばす部分のビブラートが。
あれ、今あなたの名前呼ばれましたよ。
![a7](/~shimirin/blog/kirita/entries//20230701202248.files/a7.jpg)
レオは一瞬固まっている。
すごい。レオおめでと、と
うたが言った。
![a8](/~shimirin/blog/kirita/entries//20230701202248.files/a8.jpg)
レオはうたとキャサリンから
万雷の拍手を浴びている。
おまけにそっくりさん特別賞も授与します。
とルビーが言った。
![a9](/~shimirin/blog/kirita/entries//20230701202248.files/a9.jpg)
似てるなんて言われたことないんですが、
本当にいいんですか。
ええもちろん。
![a91](/~shimirin/blog/kirita/entries//20230701202248.files/a91.jpg)
ドルフィンのマスターはジョー軍曹に、
倉庫から出してきた古い椅子の、
座り心地を試してもらっている。
ゆっくり腰掛けて音楽を聴きたいという、
要望がありまして。
なかなかいい感じですよ。
![a92](/~shimirin/blog/kirita/entries//20230701202248.files/a92.jpg)
隣では、子供たちが、
大きなアオガエルを見つけて驚いていた。
どこからきたのかな?
解説)
もう7月。
早くも折り返しですね。