Jul 03, 2023
ドロレスたちの体験 そのに
![b1](/~shimirin/blog/kirita/entries//20230703202351.files/b1.jpg)
ヒゾッコは耳をたてて顔をあげると、
ドロレスに、修理してくれてありがとう。
と言った。
![b2](/~shimirin/blog/kirita/entries//20230703202351.files/b2.jpg)
おかげさまで、
このように。
![b3](/~shimirin/blog/kirita/entries//20230703202351.files/b3.jpg)
飛び立ったヒゾッコは
部屋の中を器用に旋回した。
![b4](/~shimirin/blog/kirita/entries//20230703202351.files/b4.jpg)
壁の桟にぶら下がって
少し揺れている。
大丈夫なんですか?
制御能力が高いから。
![b5](/~shimirin/blog/kirita/entries//20230703202351.files/b5.jpg)
あなたたち、最終戦争前の
過去の世界から来たんでしょう。
そういう予言をしてくれる、
アンと呼んでる記録装置があるの。
大抵のことはアンの予言通りに起きるから。
![b6](/~shimirin/blog/kirita/entries//20230703202351.files/b6.jpg)
アンって、あのアンと同じ名前だわ。
それより、最終戦争って、いったい何が。
ああ、もちろん進化した機械と人類の戦争よ。
その結果は共倒れで、使用された最終兵器のせいで、
世界には深刻な時空の歪みが生じてしまった。
奇跡的に歪みから免れた空間に残された土地で、
生き残った私たちは共存して暮らしているの。
![b7](/~shimirin/blog/kirita/entries//20230703202351.files/b7.jpg)
あなたたちが来た理由は知らないけど、
最近、悪いことが沢山起きているから、
そのことに関係があるんじゃないかな。
ドロレスさんは、片方の翼を失ったヒゾッコを
修理してくれたし、
レイチェルさんは、ミトラの故障を指摘してくれた。
そういう手助けをしてくれるんだと、
勝手に思っているの。
もちろん、誰の助けがなくても、
私たちはできるだけのことをするだけなんだけど。
あなたは、この世界が仮想空間だっていうことは
知ってるの?
とレイチェルは思わず言ってみた。
![b8](/~shimirin/blog/kirita/entries//20230703202351.files/b8.jpg)
そういう言い伝えについては、
アンから一度だけ聞いたことがある。
だとしても、やるべきことに何も変わりはないのよ。
現実が仮想空間かもしれなくても、
与えられた世界の中でしか生きられないでしょう。
それは過去でもそうじゃないの?
![b9](/~shimirin/blog/kirita/entries//20230703202351.files/b9.jpg)
このツナっていう子は、
この仮想世界の中で生じているNPCだから、
元々帰るべき現実がないのね。
でもそんな単純なことかしら。
とレイチェルは思った。
ドロレスは、また別の複雑な思いに囚われていた。
かって自分が逃亡して孤独感に苛まれていた頃、
こんなふうに自分を生んだ人類を憎んで、
仲間と協力していつか人類を駆逐しようと
望んでいたことを、思い出したのだった。
研究所で開発されたというアンの噂を聞いて、
あの町に行ったのもそのためだった。
あれは当時の私の夢だった。
ここは、その夢の結果の世界っていうことなの?
解説)
みんなの思いはそれぞれ
のようです。
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