Feb 09, 2025
宇宙ステーションで
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転送装置で宇宙ステーションに来たアイスは、
こっちこっちと言われている。
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このステーションは、
宇宙連合が中継基地のように使っているんです。
元はレプテュリアンたちの母船だったこともあり、
ステーションの運営には彼らが協力しています。
主に地球観光に向かう地球オタク用の船なのですが、
船内にある酒場エデンに行けば、
様々な惑星出身者と交流や情報交換ができるので、
地球観光以外の利用者も多いんですよ。
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店に入るとルースとすれ違ったが、
アイスは初対面だったので、
気が付かなかった。
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ノヴァさん、いらっしゃい。
奥の席空いてるかな。
空いてますよ。
どうぞごゆっくり。
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ここのドリンクはきっと
あなた方の口にも合いますよ。
いい感じのお店ね。
外に見えるのは地上の風景みたいだけど。
故郷の星を偲ぶ作り物なんですよ。
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あれ、あそこにいるのは。
リザードじゃない?
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思わずアイスは声をかけに行った。
リザード。
ここに来ていたの?
なんとアイスか。
ノヴァが転送装置を使ったのだな。
私に断りなく地球人を連れて来るなど、
全くリスク管理が。
リザード、そんな規則はないはずでしょ。
と横にいた女性が言った。
ルナシティならともかく、
ここは宇宙連合の管轄している船。
古い転送装置を私たちに提供してくれたことは、
感謝しているけれど、誰を招くかは私たちの自由。
問題が起きれば宇宙連合で処置することになっているはず。
私もサラをお招きしたでしょ。
う。確かにおっしゃる通りですな。
紹介し忘れたが、こちらはカコ。
最初にルースと二人でホテルを利用してもらった人だ。
あ、私はアイスです。
サラもここに来たんですか。
ええ、サラって親切な方ね。
ルースとホテルのロビーにいたら、
何か手伝えないかって言ってくれて、
あちこち案内してもらったの。
お礼にここにお招きしたのよ。
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五人は隣のテーブル席に席を移した。
ノヴァは魔族の使う魔法に興味があるようで、
カーミラに色々と質問している。
魔族は自ら変身したり、
物を生き物に変身させたりできるんでしょう。
私の夫はカエルに変身できるし、
マリアは黒猫に変身できるわ。
でも魔族みんながそんな力を持っているわけじゃない。
物を変身させるのは、もともと物に宿っている力や
意思を利用するので、無から何かを生み出すわけじゃないの。
その意思や力は、
精霊とか妖精とかもののけとか妖怪とか
ところによっては付喪神とか呼ばれてますよね。
ノヴァさんお詳しいのね。
異世界を生み出したり、夢に入り込んだり、
鏡の扉を使って遠距離を移動したりもできるとか。
ノヴァさん、どこまでご存じなのかしら。
私は魔族じゃないけど、
魔族のフミコから呪力を授けてもらったの。
リザード、故郷の星を思い浮かべてみて。
とアイスが言った。
ふむ。
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ああ、これは。
とリザードが叫んだ。
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これは確かレプテュリアンたちの母星の首都ね。
私赴任していたことがあるから覚えてるわ。
とカコが言った。
これはやばい。
やはりリスク管理が。
とリザードは思っている。
この人は普通の人間?
魔族や呪力のことを
考え直さねばとノヴァは思っている。
アイスは特別。
なんでもありみたいなのよね。
とカーミラは思っている。
解説)
続きます。
Jan 09, 2025
ホテル・ナジャへ
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サラは鏡の扉を抜けて、
フラハの家の裏庭に出た。
ここには去年の秋に一度来たことがある。
訪問者の気配に気付いたフラハが
早速室内から姿を現した。
やあサラ。
君もホテルへ?
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サラは招待券が送られてきたことをフラハに話している。
そうなんだよ。犬猫同盟の連中が考えたんだ。
あれはよく見ると招待券じゃなくて
宿泊料金の割引券なんだけど、
勘違いする人もいるだろうね。
やっぱりそれが狙いなのね。
でもほとんどタダ同然の格安料金よ。
犬猫同盟の連中はホテルの隣の別棟に住んで
畑作ったりして自給自足してるから、
ホテル業は趣味みたいなものなんだよ。
基本魔法生物の彼らはきっと人と交流したいんだね。
犬猫同盟って、もっと長い名前じゃなかったかしら。
ああ、正式の名称は犬猫猿鳥同盟だったっけ。
長いから略したんだ。
あ、道順はわかるかな。
ええ、ここからすぐ近くでしょ。
去年の秋に見に行ったから。
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サラは記憶を辿ってホテルに向かった。
近いとはいえジャングルを抜ける。
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見覚えのあるゲートだ。
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そうそう。確かこの奥。
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ホテルはこの突き当たりの建物。
サラの姿に気がついたリンリンが
手を振っている。
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去年様子を見に来た時と同じで
ホテルのフロントには
フンボルトが座っていた。
お泊まりですか。
あ、招待券風割引券をお持ちのようですね。
お部屋のご希望はありますか。
じゃあ、去年アイスたちと来た時、
見学させてもらったお部屋がいいわ。
とサラが言った。
僕がお部屋までご案内します。
とリンリンが言った。
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嬉しいなあ。サラさんが宿泊客第2号です。
ハリー夫妻が泊まってるって聞いたけど。
ええ。去年の暮れからずっと逗留されています。
今はお散歩にお出かけです。
みんな元気なの?
元気ですよ。シーザーは森に。
ドビーやトラは
近くの畑に出ています。
クロは厨房に。
僕は客室係です。
何かあれば呼んでください。
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リンリンが部屋を出ていくと
サラはドラス戸に近寄って、
ジャングルの景色を眺めた。
外は夏の日差しね。
室内は冷房が効いて快適だけど、
着替えて風を入れよう。
解説)
続きます。