Haizara-Cho::Suigara-yama 99[Shinsuke Kirita]

早春の日

今日も快晴の
高台の休憩所。




はる～は　な～のみ～の
かぜ～の　さむさよ～♪




友恵さんは歌がお上手ね。




ルルは七宝樹に
水やりをしている。




最近、猫増えてない？
と粉川和歌子が言った。




その頃ペンギンの前の空き地では、
マリアが犬猫同盟のメンバーに、
クロを紹介していた。




嬉しいなあ。仲間が増えて。
犬猫同盟って何するんですか。
特に何も。
集まってお茶飲んだり
話したりするだけだよ。




なんだか、ますむらひろしの
世界みたいですね。
本当にコスプレなのかしら。




その頃広場のベーカリー前では。

早いね。もう2月も終わり。
今月のコスプレコンテストの
優勝者の発表は明日だね。
登録者は多かったけど、
新しい扮装は少なかったね。
なんか最近、
猫増えてない？
などと言っている。



解説）
少し春めいた日でした。

メルティの世界　そのご

話し合いの結果、
シュレディンガーと猫たちは
メルティの夢の部屋で暮らすことになった。




私もここにいてもいい？
世界のサイズがぴったりで快適なの。
とピノコが言うと、
それは嬉しいわ。
とメルティが言った。




サラやマリアは元の町に戻ることになり、
メルティも魔術劇場のハリーたちに
ここで起きた出来事を話に行くことにした。
また後でね。
と言っている。




さっそく扉を抜けて
３人が魔術劇場の応接間に行くと、
ヴィヴィアンとハリーが肉まんを食べていた。

おや、お帰りなさい。
と言われている。




ヴィヴィアンは、
とりあえず大きくならないとね。
と言って呪文を唱えた。




するとメルティの抱えていた
子猫のクロも変身してしまったのだった。




この姿は？
とクロは戸惑っている。

この人は魔法使いで、
人の大きさを変えられるのよ。
私、人間じゃないのに。
こういうこともあるのよ。




メルティは、
ハリーとヴィヴィアンに、
夢の世界で起きた出来事のあらましを話している。

百猫を率いるという人面のライオン、
シュレディンガーの噂は聞いたことがある。
とハリーが言った。
私はそんな思いつきの創作童話みたいな話、
聞いたことがなかったわ。
とヴィヴィアンは言った。

サラはジョンから借りた拳銃を
返し忘れたことに気がついて眺めている。
拳銃のサイズも大きくなっているようだ。




私たちの世界へようこそ。
私が案内してあげる。

ありがとう。嬉しいけど私猫の顔のままだし。
大丈夫。あなたのような人もいるから。
そうそう、私たちの犬猫同盟に参加すればいいのよ。
歓迎するわ。
とマリアは言った。



解説）
クロのヘッドも
以前のトラ猫のヘッドと同じく、
カプセルトイの猫バッジを使用しています。

カプセルエースネコバッジ（全五種）
2019年2月発売、同年12月再販。

メルティの世界で　そのよん

安心したまえ。襲われる心配はないよ。
私は百猫の王とも呼ばれる
シュレディンガーというものだ。
と、人面のライオンは挨拶した。




この世界には、
鏡のついた魔法の扉から来たんだ。
この子猫が扉を見つけてね。
ここは元飼い主の見ている夢の世界に
違いないと言っていたよ。

あなたは夢食いなの？
とマリアが言った。




分類するとそうなるかな。
私はさまざまな夢の世界を渡り歩いている。
しかし夢を食い荒らすためじゃなくて、
夢の世界に住む者の幸せを願ってのことだ。

じゃあ夢の宝を守る
ドラゴンみたいな夢食いなのね。
だがこれだけの数の猫を従えていると、
なかなか理解してもらえなくてね。

たしかに猫が苦手の人にとっては
悪夢の世界ね。
とマリアが言った。
私は猫好きだから
ずっとここにいてもいいわよ。
とメルティは言った。




その頃魔術劇場では、
応接間にヴィヴィアンが入ってきた。

どうしたのその猫。




猫たちはすっかりくつろいでいる。




この扉から入り込んできたのよ。
でももう鍵をかけといたから大丈夫。
とジャンヌは言った。




それってメルティの夢の世界専用の扉よ。
今、サラたちも遊びに行っているはず。
扉は開けとかなくちゃ。
そう言ってヴィヴィアンは呪文を唱えた。




扉が開いたよと
ヒソコは言ったが、
メルティにしか伝わらなかった。




あなたたちの通って来た風ばかり吹く世界って、
そこにいる人たちは生きてるの？
それとも死んじゃった人なの？
どちらとも言えるんだよ。
とシュレディンガーは答えている。


解説）
ともあれ一件落着のようです。

メルティの世界で　そのさん

魔術劇場の応接間では、
なんと扉から猫たちが入り込んでいた。




ジャンヌがやってきて、
驚いている。




可愛いけど、
どんどん増えても問題ね。
扉はちゃんと閉めとかなくちゃ。
と言っている。




メルティたちは相談の結果、
結局、一旦魔術劇場に
引き返すことに決めた。




扉を目指して歩いていくと、
猫たちが集まってきた。




ニャーニャーないているよ。
なんて言ってるの？
余所者がいるぞって。
あと、あんまり言いたくない言葉。




一行はだんだん囲まれながら、
ようやく扉のある場所まで辿り着いた。

この扉鍵がかかってるみたいで、
開かないよ。とメルティが叫んでいる。




絶体絶命。
その時、一匹の子猫が出てきて、
ミャーと鳴いた。




あれ。お前はクロじゃないの？
そのネコはメルティが
まだ病で眠り込む前の子供だった頃、
家で飼っていた子猫だった。
どうしてここに。
それに、クロだとしたら、
とっくに死んでいるはず。

子猫はしきりにないている。
会いたかったって、言ってるよ。
とマリアが言った。




その時
猫の群れの奥から、
のっそりと大型の獣が姿を現した。
獣は、ふむふむ。
君たち、この大きな部屋の持ち主らしいね。
帰ってくるのを待っていたんだよ。
と言って、メルティたちを眺めている。



解説）
意外な展開。

メルティの世界で　そのに

サラとジョンとマリアが
歩いていくと、猫に出会った。




マリアは、
新入りだ。
余所者が来たぞ。
と言われている。




どこからともなく
猫たちが集まってきた。




ここは一旦
引き返した方が良さそうだね。
とジョンが言った。




その頃、メルティとピノコとひそこも
トンネル工事の場所で、
猫に遭遇していた。




猫たちはメルティたちに気がついたようで、
どんどん集まってくる。




数が増えてるみたいだよ。
とひそこがメルティに言っている。




一輪車の中で寝てる。
なんだか不穏だね。
一旦戻った方がいいかも。
とピノコが言った。




ひそこがいうには、
最初見かけたのは一匹だけだったけど、
すごく数が増えてるって。

あの猫たち、
ひそこしかいない時にここに来たみたいで、
自分たちが先住者だと思っているみたい。
とマリアが言った。
私たちが侵入者だと思われてるのね。

襲ってくるのかな。
そんな感じでもなかったけど。
襲って来なければ、
普通に猫飼ってるのと同じでしょ。
私は賑やかでいいけど。
とメルティが言った。

でも襲ってこない保証もないよ。
メルティの夢の世界に入り込んで来たんだから、
普通の猫たちじゃない。
猫の姿をした精霊ってこと？
人の夢に侵入して支配しようとする
「夢食い」の類かもしれないよ。
とマリアが言った。

とりあえず安全のため、みんなで戻って、
ハリーやヴィヴィアンに相談したいけど、
私たちの来た扉までたどりつけるかな。
途中に猫がいっぱいいそう。
ひそこなら空を飛んでいけるよ。
扉は誰でも開けられるし。

誰でも？
っていうことは。



解説）
メルティの世界は
猫町風になっていたようです。

メルティの世界で

魔術劇場の応接間で
メルティはヴィヴィアンに
４人で夢の世界に戻りたいと言っている。
部屋に遊びにきていたマリアも、
一緒に行きたいと言って、
黒猫に変身した。

小さくするのは、
サラとメルティだけね。




小さくなったメルティは
魔法の扉を開けた。

そうそう。あなたには、
ひそこと超音波で会話ができる
魔法をかけてあげる。
黒猫に変身してるマリアは
犬や猫の言葉はわかるけど、
コウモリは特別だからね。
とヴィヴィアンはメルティ言った。




扉を抜けると、
そこはメルティの夢の世界。

ひそこはどこかな？




メルティがそう思うと、
超音波の想念に応えて、
ひそこがパタパタと飛んできた。




メルティは、
ひそこと話している。

お留守番ありがとう。
なんだか、体が小さくなったみたいね。
こちらの世界に飛び込んだ途端、
小さくなったの。
それより、
大変なことが。




みんなはとりあえず
お茶を飲むことにした。
大変なことって？




なんでも、
猫を見かけたんだって。
猫って言ってもマリアのことじゃないよ。
ふーん。
ジョンみたいに迷い込んだのかな。
夢食いかもしれないよ。
とマリアが言った。

じゃあ探しに行ってみようよ。




一行は二手に分かれて探索することにした。
ジョンは、二丁拳銃の片方をサラに渡している。
必要ないと思うけど、
護身用に。



解説）
どうなるのでしょう。

あれこれの話　そのご

日差しが強い午後。




ナオミはどこに？
新しい靴履いて出かけたよ。




ナオミがルルたちに靴を見せに
隣の高台の休憩所に行くと、
ちょうど広場からたまきが帰ってきた。




このブーツのサイズ、
私たちの足にぴったりね。
モモコも履けるかな。
どうかな。
お揃いで色違いみたいだけど、
微妙にデザインが違ってるのよね。
などと言い合っている。




ベーカリー前では
たまきが帰った後も
カウボーイたちとピノコが
話していた。




この世界は人も物もみんな大きいけど、
メルティさんの夢の世界は、
僕たちのサイズでできているんだよ。
そこ、行ってみたい。




３人が魔術劇場に向かうと、
途中で立ち話していた
サラとマスターに出会った。




ドルフィンのマスターは元々
操り人形ピノコの生みの親だし、
サラは切れていた糸を
修理してくれた恩人なのね。
みんなことの成り行きなんですよ。




そうだ。
サラ、これからピノコを
私の家に案内するところなんだけど、
一緒に遊びに来ない？
とメルティが言った。
いいわよ。
とサラが言った。



解説）
ガチャポンのブーツの話。
1/6サイズのオビツやボークス製素体など、
足首の外せる素体に、足首を外して、
ねじ込んで使っています（外れやすいです）。
モモコドールの素体でも試してみましたが、
靴の成形がかっちりしているので、
足首のパーツが外せるボディでないと
無理のようでした。

しばらくあれこれの会話が続きましたが、
また一つのエピソードがはじまりそうです。

あれこれの話　そのよん

今日も風が強い快晴の日。

ジェニーはケヤキの幹の
樹皮がめくれているのに気がついた。
あんなふうに剥がれていくのね。
と思っている。




ナオミは新品のブーツを
さっそく試し履きしている。




ちょっとおしゃれな色ね。




ちゃぶ台の上には、
執刀医用の帽子が置かれている。
この帽子が見つからずに工作したところ、
コスプレ登録を済ませた後で
見つかったのだった。

マーフィーの法則って、
よくあることだよ。
と言っている。




広場はそこそこの人の出だった。




鈴木すずがピノコの真似をして
箱の上で踊っている。
実はアンに体を浮かせてもらっている。




たまきがピノコと話していた。

私の名前って。
そうよ。私がつけたの。
操り人形っていえば、
ピノキオでしょ。
やっぱり。




夕暮れになり、
高台の休憩所前には
街灯がともっていた。




なんとなくいい感じね。
と言っている。



解説）
ナオミの新品のブーツはカプセルトイで、
ケンエレファントの、
「レッドウィングシューズ
ミニチュアコレクション　Vol.2」
（全六種）
の「６インチクラシックモック」です。

これは、ナオミが、たまきの履いているのと、
同じようなブーツが履きたいと思って、
注文していたものが届いたという、設定ですが、
たまきが履いているのは
「スーパーソウル６インチモック」で、
同じコレクションの「Vol1」シリーズのもの。
たまきが、初めて履いてお披露目している様子が、
2022年11月26日「ガチャの小物など」
に出てきます。

文学青年やナオミの被っている手術用の帽子は
生ゴミ用の青いポリ袋で工作しました。

街灯は太めのストロー、透明な塩ビ素材の切片、
ビニールテープ、セリアなどで売っている
LEDミニライトなどで工作しています。

あれこれの話　そのさん

今日も冬らしい快晴。

ガス燈の位置はこれでいいかな。
とマスターが言っている。




形はガス燈だけど、
実際は電灯なので配線をチェックしている。




これで夜でも
明るくなるのね。
私たち夜には
帰っちゃうけど。




夜にも明るくして欲しいって、
要望があったんですよ。
その人って誰かしらね。




それは私です。
と言って女性が現れた。
あ、あなたは、
最近よくここにいらっしゃる方ね。




私、段ボールハウスに住んでいる
粉川和歌子と言います。
でもあまり家にいたくなくて
最近ここに来ることが多い。
まだ寒いけど、もうすぐ春になるし
明かりがあれば遅くまで
ここにいられるから。




その頃ペンギン前の空き地には
ミラがドルフィンから借りた
電動スクーターに乗って
帰って来ていた。




通勤に使うって言ってたけど、
どうして一人乗りなんですか。




それはね。
管理局までの通路は
すごく狭い場所も通るからなの。

あ、通路の話は機密だって、
自分で言ってたのに。
とバグが言った。
そうだけど、
ここだけの話ね。
ドルフィンの倉庫の中には、
迷いの森にある管理局まで続く、
秘密の地下通路があるの。
元ドルフィンの倉庫だった家に住む
私たちは、その道を通って、
通勤してるっていうわけ。

あ、その秘密の通路の話、
聞いたことあります。
都市伝説かと思ってた。
とはるなが言った。

え、ミラ、他の誰かに言ったの？
うーん。そういえば、
魔術劇場で話してた時、
ヴィヴィアンに言ったかな。
ここだけの話って言っておいたのに。



解説）
後半は
内緒話がすぐ広まってしまうという
話でした。

あれこれの話　そのに

マスターは電動スクーターを
倉庫から出してきた。




こんな感じの乗り物ですが。
と言っている。

これ
小回りが効きそうですね。




ミラはさっそく
試運転している。

すごく気に入ったわ。
普通その都度貸し出しているんですが、
通勤用に使うんでしたら
お宅で保管してくださっていいですよ。
壊れたら持って来てください。
とマスターは言った。




その時
ジェニーたちが
コスプレコンテストの登録にやってきた。




あ、その顔は、ピノコちゃん。
とたまきが言った。




ピノコは驚いて、
しばらくして思い出した。
操り人形の自分がドルフィンで作られた時、
マスターをたまきが手伝っていて、
たまきは自分のことを勝手にピノコと
名前をつけて呼んでいたのだった。
ピノコは自分で覚えていた名前の由来が
そこにあったのを思い出した。




ジェニーたち一行は
コンテスト参加の登録をしている。




嬉しいですね。
コスプレといえばナース。
そうだったんですか。




ナースといえば
ベン・ケーシーでしょう。
そうなんですか。




ナオミは、リタから
大きな靴の箱を受け取っている。
これ、ドルフィンに
注文の品が届いてたわよ。
わーありがとう。
中身はなあに？
たまきが履いてるのと
同じタイプのブーツなの。



解説）
今回もあれこれで、
小さなエピソードが
発生しています。

あれこれの話

はるなは、４輪車にも目を留めた。
あれもかわいい。
一人乗りですか。
うん。
電動スクーターみたい。




え。この町に電動スクーターあるの？
とミラが聞いた。

ええ。ドルフィンで
貸し出してますよ。
必要な時に無料で借りられるんです。
それ借りよう。
この４輪車はね。
管理局から通勤用に支給されたんだけど、
予算の都合で１台だけだったの。
もう一台使えると便利だわ。




広場はそこそこ賑わっていた。




ピノコが楽しそうに
タップダンスを踊っている。

やっぱり人間だと違うね。
さっきの操り人形もすごかったよ。
などと言われている。




ベーカリー前のテーブルには、
エトナがケントに呼ばれて来ていた。

コンテストだけじゃなく、
この町のあちこちも取材したいんだ。
もしよかったら写真撮影の
手伝いをお願いしたいんだけど。
と言われている。




デイリープラネットに
写真載せてもらえるんですか。
それは喜んで。




広場の隅では
ドルフィンのマスターとアンジーが話していた。

ガス燈みたいなの
作ってるんですね。
うん。




高台の休憩所、夜暗くなるから、
明かりが欲しいって要望があってね。
倉庫にあった使えそうな照明器具を
色々調べてみたんだけど、
小さすぎたり大きすぎたりして、
結局自分で作ることにしたんだ。




そこにミラがやってきた。
あの。
電動スクーターが、
ドルフィンで借りられるって
聞いてきたんですけど。
とマスターに話しかけている。



解説）
話は相変わらず
あちこちでばらばらに。

ナースのコスプレなど

ジェニーたちの部屋で。

今日も冬晴れでいい天気だね。
と言っている。




先生。急患です。
至急、手術の準備を。




などと言って、
ジェニーたちは、
コスチュームプレイをしていたのだった。




今月のコンテストは、
これで決まりだね。
コスプレといえばナースでしょう。




僕も着替えたよ。
お医者さんごっこしてるの？




うん。
手術台にのぼってください。
たまきはメスを握りしめている。




ペンギンの前の空き地では
ミューの連れてきたダルコの由来を
ミラとバグがミューから聞いていた。




ふーん。これが月世界で
ガチャポンの景品だなんて
信じられない話だね。
彼らは何考えているのか
よくわからない種族だからね。
でも普通人前には姿を見せないはずの
レプティリアンが、
新聞を失くしたとはいえ、
よくコンタクトとってきたね。

あのレプティリアンは特別みたいで、
僕が自律型ロボットだと知って、
関心を持っているんです。
探偵事務所にたまに来るんですよ。
とミューが言った。




ペンギンの店内からリズを呼びにきたはるなも、
ダルコを見て感激している。
わーかわいいトカゲですね。



解説）
今月ジェニーたちが考えたのは、
ナースのコスプレでした。

あちこちの出来事が
ばらばらなまま
たまに重なったりして進んでいます。

ピノコ

関節のパーツの針金が錆びていて
切れてしまったようです。
タップダンスのせいというより、
経年劣化のようですね。
これは全身に言えるかもしれない。
とマスターが言っている。




私たちに預からせて。
とヴィヴィアンが言った。
それはいいですけど。
素材の紙粘土もひび割れてきていますから、
いつ壊れてもおかしくない。
これは根本的に作り直す必要がありますよ。
ふむ。
救いたいのは体じゃないんだ。
とハリーが言った。




ハリーたちは魔術劇場に
操り人形を引き取った。




驚いたね。
さっき操った時は全然気が付かなかった。
普通人形に精霊が宿っているとわかるものなんだが。




きっとお父さんが操ったので覚醒したのよ。
10年ぶりなんでしょう。
よほど嬉しかったのね。
さて、それはそうと、
さっそく、この子に変身してもらいましょう。




ヴィヴィアンが呪文を唱えると、
薄い煙が立ち上った。




操り人形の体が大きくなった。
ありがとう。
お二人ののお話
ずっと聴かせてもらっていたわ。




あなたは魔法使いなのね。
今日は驚きの連続だわ。
私はピノコ。
操り人形に宿っていた精霊。
倉庫の中でずっと弘田三枝子の
「人形の家」状態だったけど、
あなたが言ったみたいに
さっきハリーさんに操ってもらって
パワーを分けてもらったみたいになって、
急に体を自分で自由に動かせるように
なったことに気がついたの。
それで嬉しくなって踊っていたら
とたんに足首が取れちゃって。
それでもう捨てられちゃうかなと思ったら、
今度はなんとあなた方に。

ピノコさん。あなたいくつなの
弘田三枝子なんて誰も知らないよ。
そうなの？

新しい体はどう？




ピノコは自分の姿を
魔法の扉で確かめていた。

気に入ったよ。
自由に動けて嬉しい。
でもなぜジャージなの？
ミラのイメージがあったからかな。
とヴィヴィアンが言った。




ピノコはさっそく広場に出てきた。

こんにちわ。私はピノコよ。
私はエヴァ。あなたも人形の精霊なのね。
同じ仲間ができて嬉しいわ。
僕はジョン。君の顔、
さっきの操り人形そっくりだけど
体のサイズは僕と同じなんだね。
よろしくね。
などと会話している。


解説）
また魔術劇場の住人が
増えたようです。

最後の画像の、魔法の扉の鏡に
映り込んでいる背景は幻です。

操り人形のことなど　そのに

広場では
少しだけ時間が経っていた。




アイスはケントにもらった
デイリープラネットを読んでいる。

随分詳しい記事ですね。
コンテストのコスプレ体験談が書いてある。
これサラのことじゃない？
すごく親切な女性に
コスチュームを作ってもらって
嬉しかったって。




随分プライヴェートなことも
書くんですね。
うん。署名記事ですから。
本当のことだし、
読者はそういうの喜ぶんですよ。
サラはちょっと照れている。




旅芸人たちの歌に合わせて
アンが操り人形を操作していた。




人形は華麗なステップを踏んで
タップダンスを踊っている。




サッキカラ、
ワタシ、ナニモシテイナインダケド。
とアンが言った。




歌声と人々の歓声に興味を惹かれて、
デジャからヴィヴィアンも見にきたようだ。




ねえ、ハリー。
あの人形の動き。もしかして。
うん。どうも精霊が宿っているようだ。
え。そうなんですか。
とエヴァが言った。




と、その時、
激しい動きのせいで、
人形の片足がとれてしまった。
すずは、
あ、こけちゃう。
と驚いている。



解説）
なんと作業中に
足がとれてしまいました。
続きは次回に。

操り人形のことなど

広場には、
修理した操り人形を持って
サラたちがやってきていた。




ケントはベーカリーのスタッフにも
お土産を渡している。




お土産はやはり
フルーツポンチの大瓶だった。




アーキハバラって、
ワシントンD.Cの近くにあるんですか。
そうでもないんですが、
本社の近くなので、たまに行くんです。
と言っている。




旅芸人はサラの修理した
操り人形を手にしていた。




なかなか思い通りに
動かないようだ。




メルティは人形の動きを近くで見られて
喜んでいる。
エヴァはカウボーイに話しかけていた。

あなた見てると、
なぜかザンクローネのことを
思い出しちゃうの。
小さいけれど英雄なのよ。
知らないなあ。




そこにハリーがやってきた。
なんと、これは懐かしい。
その人形、まだ倉庫にしまってあったのか。
それは10年以上前に、
ドルフィン工房で作られたものだよ。
と言っている。




ハリーが操作すると、
人形は生き生きと踊り始めた。
すずは喜んでいる。

すごいなあ。それって魔法ですか。
魔法は使っていないよ。
昔、この人形を使って、
ちょっと大道芸を
やったことがあるんだ。
とハリーは言った。


解説）
ハリーが言っているように、
この操り人形がドルフィンで作られたのは、
2009年のことで、
2009年3月15日「研究所の犬」で初登場。
2009年3月17日「マリオネット」で、
ハリーが人形を操っている画像が見られます。

また、ハリーが「大道芸」と言っているのは、
2012年3月22日の「貴族と使用人　その１２」
のワンシーンのことです。
「貴族と使用人」シリーズ（2012年2月22日～4月6日）は、
町民が集まって制作撮影を初めて、
途中で中断してしまった未完のドラマですが、
当時ヴァンパイアだったハリーも
特別出演していたのでした。

この人形、先日段ボール箱の
隅にあったのを見つけて、
ほぼ10年ぶりに再利用してみたのでした。

ダルコのことなど

今日は雨。
雪がすっかり溶けちゃったね。
と言っている。




ねえ、聞いて。
今朝ここにきたら。




白っぽくて黒い斑のある
大きなトカゲが、
花壇の中にいたの。
すぐにさっと逃げちゃったけど。
迷いの森から来たのかな。




今日はブルマンデー。
ペンギンの店内から
リズが水やりに出たら、
見慣れない４輪車の前で、
ミラとバグが話していた。




やあこんにちわ。
この乗り物は？
管理局から通勤用に
支給されたんですよ。
よかったわね。
とミラが言った。




うん。あの通路結構道のりあるから。
あ、通路のことは機密なのよ。
あ、そうだった。
リズさん。今のは聞かなかったことに。
いいけど。




その時ペンギンの二階の
探偵事務所からミューが降りてきた。




ミューちゃん。
頭の上に、何か乗ってるよ。
あ。これ、
ペットのトカゲです。
ダルメシアンという品種なので、
ダルコって名前をつけました。
あ、名前つけたの僕じゃないですよ。




これは驚いた。
とバグが言った。
それ確か月世界にしか
生息してないはずの生き物だよ。
そういう情報も
機密のはずじゃなかったかしら。
とミラが言った。


解説）
トカゲも名前をつけてもらって、
だんだん町に
馴染んでいくようです。

ケントのお土産

サラたちの部屋でも
ほぼ1年ぶりに
雪が降った話題で盛り上がっていた。




郊外のハウスの屋根には
まだ雪が残ってるね。
とジェイソンが言っている。




ジェットは夜更かしして、
遅く起きたばかりで、
一人だけ朝食を食べていた。




この豆腐と若布のお味噌汁、
うまそうだなあ。
そうでしょう。
美味しいから丼によそったのよ。
朝から嬉しいなあ。
もうお昼だって。




その時、ケントがやってきた。




これはこれは。
テレビで一般教書演説のゲスト出演みましたよ。
スーパーマンのコスプレもうやめたんですか。
あの格好、元気は出るんですが、
流石に移動中は目立つし結構寒くて。
こっちでは雪も降ったようですし。
それはそうと、
今日はお礼に伺いました。
サラさんのアイデアのおかげで、
大統領にもインタヴューできたので、
デスクも喜んでいましたよ。
これはワシントンからの帰路に
買ったお土産です。




ケントは刷り上がったばかりの
デイリープラネット紙も一部くれた。
私のコスプレコンテストの記事も載っていますよ。
それに連載することになったので、
この町にはしばらく逗留するつもりです。




お土産の紙袋の中には
かなり大きい箱が入っている。
サラはさっそく。




中にはフルーツポンチの
大瓶が入っていた。
わあ。ありがとうございます。
これ美味しそう。




美味しそうでしょう。
私も見た目に惹かれて
つい立ち寄った
アーキハバラで買ってしまいました。
とケントは言った。



解説）
大きな器の味噌汁（キーチェーン）と
フルーツポンチのアイテムは、
どちらもカプセルトイですが、
いずれもバラ売りで購入しました。

トカゲのカプセル

昨日の雪は雨に変わってやみ、
今日は快晴になった。

屋根にまだ残っているのね。
と言っている。




高台の日陰にも少し雪が残っていた。




なんだか濡れたティッシュが
放置されたまま乾燥したような雪ね。
そんなふうに見えるの？
信じられない。
などと言っている。




探偵事務所でも
昨日の雪が話題になっていた。

積るかと思ったら
結構あっけなかったわね。
道路も復旧したそうよ。




レプティリアンから
もらったカプセル、
中の煙みたいなのに
膜ができて膨らんでるよ。
とミューが言った。




球体が膨張した圧力で
カプセルが割れた。




やがて球体が収縮すると
中から白っぽいトカゲが顔を出した。




カプセルと皮膜は
薄煙と共にかき消えて
トカゲだけが残っている。
これなんていうトカゲだろう？
とミューが呟いている。




それ、見た目はね。
クレステッドゲッコーそっくり。
和名だとオウカンミカドヤモリ。
ニューカレドニアの固有種だけど、
掛け合わせて、みかけが違う、
いろんな品種が作られていて、
ダルメシアンって呼ばれてる品種ね。
でもそれは外見だけのこと。
普通は全長２０センチくらいなのに、
すごく大きいし、
全然違う生き物だと思った方がいいかも。
とシェリー博士が言った。

詳しいんですね。
レプティリアンじゃないけど、
私も爬虫類のペットが好きなの。
彼、会話ができるって言ってたわね。
ミュー、話しかけてみたら？




なんて言ってるの？
お腹すいたって。
雑食のはずだから、昆虫や
果物なんかも食べるはずよ。



解説）
トカゲのフィギアは
ガシャポンのカプセルトイで、
BANDAIから発売されている、
クレステッドゲッコー（全五種）
の一つ「ダルメシアン」です。

テーブルクロスとバグの乗物

雪景色が見える。




この分だと道路封鎖だね。
郊外では終日降るそうだよ。




町中や広場は雪を免れていた。




リタがベーカリーのテーブルに
テーブルクロスをかけている。
随分傷んできたからボロ隠しに。
モリスの壁紙模様だね。




見かけない乗り物が停まっている。
こんなの倉庫にあったっけ。
いや。これは持ち込みで。
とマスターが言った。




僕がメンテナンスを頼んだんです。
とバグが言った。




動力部分はブラックボックスになっていて
点検できませんでしたが、
タイヤを交換しておきました。
とマスターが言った。




動力は電気なんですか。
基本は念動力って言ってましたが、
実は僕も初めてで。
管理局からの支給品なんです。




今、道路は雪で通行止めよ。
うん。ちょっと試運転。
このへん回るだけだよ。
ふーん。


解説）
セリアで買った
ショベルカーの玩具
（多分幼児の砂遊び用）を
一人のり四輪車に改造しました。
改造と言っても上部パーツを外して、
椅子とハンドルを載せただけですが。

新聞と帽子のお礼など

探偵事務所では
ミューがかめ新聞を読んでいた。




そこに突然、
レプティリアンが現れた。
おお、見つけてくれたようですね。
探していたのは、
まさしく、その新聞です。




レプティリアンは
かめ新聞を受け取ると、
お礼をしたいが、何がいいかな。
と言って、少し考えていた。

ふむ。あれにしよう。
と言ってレプティリアンは、
大きなカプセルのようなものを
取り出してテーブルに乗せた。
中身は一見からのようだが、
薄い煙のようなもので曇っている。

これなんですか？
ペットになる賢いヤモリです。
月世界のガチャで購入したばかりなので、
何が出てくるのか、私も詳しくはわからない。
この新聞でご承知のように、
私たちの世界では特殊な爬虫類を飼うのが
流行っているのです。
餌は自分で取ってくるので、
心配入りませんよ。
賢いので探偵のお仕事にも役立つはずです。
もし動物と話のできる人がいればですが、
会話も可能です。

それならミューが。
ふむ。さすがはロボット。
あ、そろそろおやつの時間なので、
私はこれで。
そういうとレプティリアンの姿はかき消えた。




やがて夕暮れになった。

今日も寒い日だったね。
「寒い寒い日なりき」だね。
などと言っている。




日が暮れて、サラたちの部屋には、
メルティとカウボーイが来ていた。
帽子を作ってもらったお礼を言いに来たのだった。




スーパーマンのコスプレ見たわよ。
なんでも作れちゃうのね。
そんなことないよ。




カウボーイは、
おや、そのカメ。
見覚えありますよ。
といった。
日差しが強くて風ばかり吹く世界で。




オセロは何か言いたそうに
口を開けたが、結局何も言わなかった。




ねえサラ。
あそこの壁にぶら下がってるのは？

ああ、あれは
修理を頼まれていたストリングパペットよ。
古いものらしく、糸が切れていたの。
なんでも旅芸人の人が倉庫で見つけて、
使いたいっていうことになったみたい。
最近頼まれごとが多くなっちゃって。

ふーん。操り人形か。
動くの見てみたいね。


解説）
後半は撮影が夕方になり、
夕日のシーンを一つだけ入れました。

広場でインタヴュー

記念撮影ののちの広場。
人々はそれぞれに移動していた。




ルビーは将軍を案内して
マンゴー亭を訪れていた。




ここの肉まんのお味はいかがです？
ふむ。これはいけるね。




あのコスプレの人格好いいね。
勲章をいっぱいつけてる。
本物じゃないの？




将軍と出会うのを避けたメルヴィンと
ジョー軍曹がベランダに来て、
カウボーイと話していた。

トントさんは一緒じゃないんですか？
と聞いている。




ベーカリー前のテーブルでは、
VIPがケントのインタヴューを受けていた。




今回のご訪問の目的は？
うん。なんだったかなあ。
わざわざ記念撮影をするために、
私たちを呼ばれて？
そうそう。
思い出してきたぞ。




この時期、
一般教書演説があるんじゃなかったかしら。
とワンダーウーマンが言った。




それだよ。それ。
君たちを上下両院合同会議に招いて
スピーチの中で紹介したいと思ったんだ。
君たちが健在だと知れば国民は安心するからね。
それに軍とも協力関係にあるということにするため、
将軍にも事前に声をかけたんだ。
我ながらいいアイデアだろう。
もちろんきてくれるよね。

いいですけど。
大丈夫ですか。



解説）
今日は昼頃にテレビをつけたら
米大統領が演説をしていたので、
ちょっと驚きました。

広場で記念撮影

VIPは、軍の司令官にも
声をかけたようだ。




司令官は鋭い目つきで
エルヴィンに目をとめている。




やがてカメラマニアのエトナが呼ばれて
記念撮影が始まった。




はい、チーズ。
しかしその時空を何かが横切った。
スーパーマンとワンダーウーマンは
それぞれ空を見上げて呟いている。

鳥だ。
飛行機だ。




あの人いつも上機嫌だね。
うん、いつもああなんだ。




ルビーは司令官と話していた。

ジェネラル。お久しぶりですね。
お元気そうで何より。
うむ。軍とCGの共同作戦以来だから、
もう１１年になるか。




この町のミリタリーのコスプレコンテストの
噂は聞いていたよ。
兵士たちの軍服姿が流行すれば、
軍の宣伝にもなるのでありがたい。
しかしさっき顔も体つきも
先の大戦で活躍したロンメル将軍そっくりの
男性に出会って驚いたよ。
マニアは顔形まで真似るものなのかね。




ああ、多分その人は
自分の顔がロンメル将軍に似てると思って
真似してたんじゃないでしょうか。
きっとコアなマニアですね。




さっき目つきの鋭い軍人に
睨まれて驚いたよ。
あれは現役の軍の将軍らしいですよ。
彼が広場にいる間は
言動に気をつけるように、
みんなに注意しておきましよう。



解説）
軍の将軍がルビーに言っている「共同作戦」とは、
2009年7月3日「異世界にて」のエピソードで、
異星人の遺した転送装置を使って、
発見された異世界に、軍が調査に乗り出し、
探索中に出会った巨大なカメ（オセロ）を
掃討しようとする壮大なSFみたいな話でした。

将軍のフィギアは、その一つ前の
2009年6月28日「夢見る機械　そのに」にも
ちらっと登場しています。

その後の広場で

広場ではまた少し時間が経過して
人の動きが変わっていた。




ワンダーウーマンとキャットウーマンが
話している。

突然記念写真を撮るから、
コスプレで来て欲しいって連絡が。
私もよ。
登録すれば月末にチョコもらえるから、
いいんだけど。




ベーカリーの前の席では、
アイスと枝野多恵とカメラマンが話していた。




ケントさんのコスプレには
驚かされたね。




本人は気に入ってるみたい。
あのコスチューム着てると、
元気が出て、取材が捗るって言ってたわ。

ローンレンジャーも
そっくりだったよ。
なぜか、背丈がちっちゃかったけど。




隣でルビーがスマホを手に持って
アンジーと話していた。

もうすぐ本人が来るってさ。
スーパーマンのコスプレしてる人がいますって
いったら、一緒に記念写真撮りたいから、
アメコミのコスプレする人集めて欲しいって。
全く手がかかるわ。
まあ、これも宣伝になるからいいけどね。

いいのかな。
暇なはずないんだけどね。




二階のベランダでは、
ケントがカウボーイにインタヴュー取材をしていた。




その格好はまさにローンレンジャーですよね。
原作ではインディアンに襲われて
ただ一人生き残ったということですが。
ジョンさんは、どのような経緯でそのコスプレを。




誰かに似てると言われているようですが、
実はこれはコスプレじゃないんですよ。
私は本物のテキサスレンジャーなんです。

ふむ。わかりました。
プライヴェートなことは記事にしませんから。
どうかご安心ください。

この人全然信じてないのね。
とメルティは思っている。




そうこうしているうちに、
VIPが広場に到着した。



解説）
スーパーマンのコスプレは、
元々青かった素体をそのまま利用しています。
手首と首周りの部分だけをアクリル絵の具で彩色し、
ブーツやパンツ、胸のS字のマークなどは、
赤と黄色のビニールテープを切り貼りして制作、
マントも青いビニールテープで肌に留めています。

コンテストの新しい参加者

サラたちの部屋に
ケントが訪ねてきた。




初めまして。
デイリープラネットの記者をしている
ケントと言います。
こちらでサラさんが私のコスプレの衣装を
作ってくださっているということで。

あ、できてますよ。




ケントはさっそくコーヒーを
ご馳走になっている。

ブーツまで加工したので、
結構すごい分量になっちゃって。
と言いながら
サラは大きなトランクカーゴを出してきた。




これはこれは。
普通電話ボックスなどで
着替えるのでしょうが、
最近見ないので、
別室で。




ケントは着替えを済ませて
現れた。
おお。と言われている。




これは世界中が知っている
アメリカンヒーローですね。
なぜかカメも懐かしがっているようだ。




やがてケントは
広場にコンテストの登録にやってきた。
審査員のルビーたちから
注目されている。




私ですよ。デイリープラネットのケントです。
驚かれましたか？
コスプレって面白いですねえ。




やや遅れて、メルティとカウボーイも
登録にやってきた。
帽子のニコニコマーク、可愛いわね。
とエヴァに言われている。



解説）
二人とも、ちょっとした驚きで
迎えられたようです。

魔術劇場で

魔術劇場の応接間では
メルティがサラの作った帽子を届けに
夢の世界に戻るのを
見送ったミラとヴィヴィアンが
話し込んでいた。




あなたたちは派遣されてきたんじゃなくて、
この町に引っ越してきて
元倉庫の部屋に住んでいるんでしょう。
今の家から管理局に勤めてるの？
管理局の本部って、迷いの森にあるって
言ってたわよね。




ええ、ここだけの話ですけど、
ドルフィンの倉庫の中から
迷いの森に抜けられる秘密の地下通路があるんです。
だからこの町は通勤圏なの。




なるほど。ドルフィンの倉庫って
資材置き場が多くて迷路みたいになってるからね。

その時魔法のドアが開いて。




メルティが戻ってきた。
なんとカウボーイも一緒のようだ。




サラに帽子のお礼が言いたいって。
それと、こっちの世界の話をしたら、
コンテストにも参加したいっていうんで、
一緒に来ちゃった。
どうも。
私はテキサスレンジャーのジョンと言います。

こんにちわ。
私はヴィヴィアン。そちらはミラよ。
とりあえず。




ヴィヴィアンが呪文を唱えると、
薄い煙が立ち上ってメルティは大きくなった。
しかしジョンの背丈は変わらなかった。

あら、私の呪文が効かないなんて不思議。




別の呪文が使われている異世界で
お生まれになったのかもね。
とミラが言った。
それより、メルティの夢の世界、
誰もいなくなって大丈夫なの？

前にこっちに遊びに来た時は
大丈夫だったわ。
とメルティが言った。

気になるなら、
あの子に留守番を頼みましょう。
とヴィヴィアンが言った。




ヴィヴィアンが手を上げると、
中空からひそこが舞い降りてきた。
ヴィヴィアンと超音波で交信して
喜んでいるようだ。




ひそこは
吸い込まれるように
魔法のドアの中に消えていった。

もうすっかりあなたの使い魔に
なっちゃったのね。
とミラが言った。



解説）
ほぼ１/１２サイズのカウボーイのフィギアは
ホビーオフで見つけたもの。
最初はアメリカのコミックか何かの
ヒーローもののフィギアかと思っていましたが、
帰ってネットで見ると
映画「ローン・レンジャー」（２０１３）
の主人公の扮装にそっくり。
可動部分も多く、よくできています。

1月のコンテストの結果　そのさん

少しだけ時間がたち
広場の賑わいは続いている。




レポーターの枝野多恵が
優勝したドミノにインタヴューをしている。




バウンティハンターって、
けっこう荒っぽくて地味な仕事なんですよ。
強盗事件などが発生すると、
まず最初に警察に疑われるし。




旅芸人たちの歌声は
相変わらず朗々と流れていた。
洗濯物を抱えたペギーや、
ガルーダの踊りを終えた健太も
聴き入っている。




ベランダでは
探偵事務所から帰りがけのアルが、
広場で出会ったジムたちと
話していた。




コンテスト残念だったね。
いやメイヴィスにタキシード着て見せてって、
言われて参加したんだけど、
諜報員としてはちょっと軽率だった。
目立たなくてよかったよ。
相当目立ってたわよ。




ベーカリー前のテーブルでは、
今回も参加賞のチョコレートの掴み取りが
進んでいた。




その横で、
ルビーとアンジーが話している。

ドミノの服装って、
コスプレじゃなくて、仕事着でしょう？
うん、コスプレっていうことにしてるけど、
本当はなんでもokなの。
もともとこのコンテストを続けている理由は、
ジャンの異世界から遊びに来ている
兵士姿のフィギアの精霊たちの素性を
一般の人からカモフラージュするためだからね。
参加者は多いほどいいのよ。
なるほど。
それでドミノが優勝した理由は？
アイスが推したのよ。
荒っぽそうで地味なところが、
かっこいいからって。
やっぱりね。




ジェニーたちの部屋では
テレビを見ていた。

ドミノが出てるよ。




今月もコンテストあるんでしょう。
また着せ替え遊び、じゃなかった。
コスプレ考えて参加しようよ。
毎月チョコがもらえるね。

今日もいい天気。
洗濯日和だよ。
とジェニーが言った。



解説）
今回はコンテスト後の広場の情景でした。

1月のコンテストの結果　そのに

優勝者はドミノさんに決まりました。

ドミノは、
え。私なの。
と思わず呟いている。




トロフィを授与します。
みんな拍手している。





おめでとうございます。
私はこの町のコスプレコンテストを取材中の
デイリープラネットのケントと言います。
ドミノさんは凄腕の
バウンティハンターとしても有名ですね。
私も何度か記事にしたことがあります。
実は私は密かなファンでして、
伝記映画が作られた時の
こんな写真も持ってるんです。




ケントが見せてくれたのは、
ちょっとドミノに似た女性の
スチール写真だった。




随分以前のものみたいですね。




女優さんだから
一味違うわね、
とドミノは呟いている。




その頃サラたちの部屋には
探偵と助手の鷲尾翠が訪問していた。

去年の暮れに、広場で新聞を落としたという方の
依頼を受けて行方を探しているんですが。
え、これ落とし物だったんですか。




ジェットは新聞を探偵に手渡した。
てっきり読み捨てられたものかと思って、
拾って持ち帰って読んでいたんです。
そんなに大事なものだったとは。




一件落着ということで、二人は
ケイの淹れたコーヒーをご馳走になっている。
そう言われればこれ、
見たことない奇妙な新聞ね。
リクガメの亜種の解説が書いてある。
貴重なものなのかなあ。
と翠が言った。




このカメ、人懐っこいですね。
それに、幼体にしては巨大ですね。
オセロっていうんです。
ヴィヴィアンが魔法で大きくしたって、
サラが言ってましたよ。

最近どうも住む世界の違いを
ひしひしと感じる。
と探偵は思っている。



解説）
ドミノの写真は
着せ替えの参考にしたもので、
映画「ドミノ」（２００５）の
宣伝ポスターなどに使われた
キーラ・ナイトレイの画像です。

1月のコンテストの結果

もう二月。
広場は今日もそれなりに賑わっていた。




歌声が止んだ間合いに、
アナウンスが流れ始めた。

みなさん。
一日遅れてしまいましたが、
これから
1月のコスプレコンテストの
審査結果を発表します。




参加者が前回同様のコスプレの方が
多かったので、
今回はちょっと趣向を凝らせて、
ペアで登録された方に
絞って選考させていただきました。




最終選考に残ったのは、
まぼろし探偵と吉野さくらさんのペア。

おー、と言っている。




007とボンドガールのペア。




レオンとマチルダのペア。




ドミノと同僚の
バウンティハンターのペア。




ドイツ兵に扮したジルさんと、
ギルダのペアです。

拡声器の声が
ペンギンにまで届いたので、
二人は驚いている。




さて、厳正な選考の結果、
優勝したのは。

早く発表して
掴み取り始めないかな。
と月光仮面は待ち構えている。


解説）
一回で終わるつもりでしたが、
候補者を紹介していたら長くなったので、
結果は次回に。