Jan 31, 2023
エピソードあれこれ
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隣にいたアイスが肩越しに
サラに声をかけた。
モデルならここにいるわよ。
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こちらは新聞記者のケントさん。
コスプレコンテストの取材で来たんだけど、
自分でも体験した方が
面白い記事が書けるんじゃないかって、
話してたところなの。
デイリープラネットのケントです。
どうぞよろしく。と男は言った。
あ、初めまして。
私はサラサラのサラです。
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メルティとミラは
魔術劇場に入るために
入り口の魔法のドアを探していた。
どこにも見つからないよ。
劇場の住人か、いつも見張り番してる
ピエロ服の女性に頼まないと
無理みたい。
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ピエロ服の女性を探していたミラは
屋台の方からくる鷲尾翠を見かけたので、
さっそく声をかけた。
魔術劇場に入りたいんだけど、
入り口の扉が見つからなくて。
いつも見張りしてるピエロの人見なかった?
ああ、エヴァね。
さっきここで質問したばかりだよ。
ちょっと劇場に戻るって言ってたけど、
もう帰ってくるんじゃない?
今私も仕事で人探しでね。
昨年暮れにこの広場で、
「かめ新聞」拾った人探してるの。
と翠は言った。
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ミラは「かめ新聞」と聞いて
がぜん興味を惹かれたようだった。
だったら、それジェットっていう人よ。
サラが魔術劇場で見せてくれた「かめ新聞」は
ジェットが広場で拾ったものだって言ってた。
それ、さっきサラの部屋で
ジェットが読んでた新聞のことね。
とメルティも言った。
それはそうと、
「かめ新聞」をなくして探してる人って、
すごく興味あるんだけど。
とミラが言いかけると、
鷲尾翠は、一応守秘義務があるから。
依頼人については明かせないのよ。
と言った。
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サラはアイスや枝野多恵や
ケントたちと話しているうちに
コスプレのアイデアを思いついたようだ。
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ドルフィンの倉庫で
コスチュームに使えそうな
布地などを探しましょう。
と言っている。
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かくて、
ミラたちはエヴァを見つけて
魔法の扉を出現させてもらい、
めでたく魔術劇場に入って行き。
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鷲尾翠は探偵に
ミラたちから聞いた情報を伝え、
二人でジェットに会いに
サラたちの部屋に
向かうことになったのだった。
解説)
三つのエピソードの流れが
広場で隣り合わせで進み、
またそれぞれに分かれていくようです。
Jan 30, 2023
白い帽子のことなど
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ミラとメルティが
サラたちの部屋に到着した。
ミラは初めて来たので、
みんなに紹介されている。
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帽子、完成したわよ。
今ルビーから連絡があって、
これから広場に出かけるところだったの。
じゃあ、
私がその帽子をカウボーイにを届けるから、
広場まで一緒に行きましょう。
とメルティが言った。
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ニコニコマークつけたんだ。
可愛いでしょ。
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一緒に部屋を後にした
サラたちは、広場に到着した。
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歩いていた鈴木すずは
メルティの持つ白い帽子に
気を取られて、
つまづいて転んでしまった。
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すずはアンに泣きついている。
よそ~みするこ~は、
よく転ぶ~♩
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マンゴー亭の店先では
探偵たちが聞き込みを始めていた。
新聞ですか?
気がつきませんでしたね~。
と言われている。
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サラはルビーに
声をかけた。
相談って、なあに?
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コンテストの参加者、
新しいコスプレの人が少なくて。
あなたに頼めば、
何か新しいアイデア出して
くれるんじゃないかって、
マンスフィールドさんが。
ゾンビのメイクとか
トカゲ人間の被り物とか
死神やレイア姫の着付けとか、
これまでも色々裏方で
参加者の手助けしてったって聞いてるの。
ぜひ、その腕を見込んで。
とマンスフィールドさんは言った。
いいですけど、
モデルになる人がいないと。
とサラは言った。
解説)
色々混ざって進行しています。
Jan 29, 2023
着替えと新しい訪問者
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今日も快晴。
きりきり冷えて寒くなりそうだね。
とジェニーが言っている。
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あ、和服に着替えたのね。
また冬籠なの?
うん。僕はこれで、
本とお煎餅とお茶があれば。
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ペンギンの前では、
ミラが元倉庫の家の戸口から出てきた。
お待たせ。
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ミラはメルティと二人で、
帽子の工作の様子を見に、
サラたちの部屋に行く
約束をしていたのだった。
ミニスカート履き替えたのね。
ええ。寒いし、
ジャージの方が動きやすいから。
と言っている。
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その頃、ベーカリー前の広場では。
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被り物をした丹下健太が、
ガルーダの舞を舞っていた。
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テレビ局の撮影クルーが来ている。
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レポーターの枝野多恵が
友人のアイスに、男性を紹介している。
この人ね。私の友人のケントさん。
新聞記者で、この町のコスプレ・コンテストを
記事にしたいって。
実は私が誘ったんだけどね。
と多恵が言った。
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デイリー・プラネットのケントです。
と男は名乗った。
解説)
健太がガルーダの舞を舞うのは二度目です。
2022年2月4日「春節の午後のスナップ そのいち」
Jan 28, 2023
探し物の依頼と春節の踊り
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去年の暮れに広場で
大事な新聞を落としちゃってね。
探しても見つからないんだ。
それで、ここが探偵事務所だったことを
思い出してね。
きっと新聞を拾った人がいると思うんだが、
探してくれないかな。
とレプティリアンは言った。
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わかりました。
どんな新聞なんです?
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「かめ新聞」というんだよ。
あ、もうおやつの時間だ。
では、よろしく頼んだよ。
と言ってレプティリアンは
去っていった。
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「かめ新聞」って、
聞いたことがないな。
僕も。
と、言い合っている。
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広場は今日もそこそこの賑わい。
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ペンギンでナタリーと
落ち合ったジャンは
二人でコスプレの登録に来ていた。
ジャンは踊りを見ている。
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ジョー軍曹とエルヴィンも
見とれている。
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丹下健太とアンジーが
不思議な踊りの
パフォーマンスをしていたのだった。
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ねえ。あの踊ってる二人。
アンジーはMI6のお仲間なんでしょう。
彼女は健太さんの踊りと料理のファンでね。
あの踊りは春節の舞というらしい。
健太さんのオリジナルの創作舞踏らしいよ。
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丹下さんが町に来てもう一年か。
去年の春節の踊りがきっかけだったから、
彼としても感慨深いんだろうね。
それであの服着てるんだ。
そういえば、さっきジャンが来たけど、
最近あまり新しいコスプレをする人いないね。
コスチューム考えるのも大変だからね。
サラに頼んでみたらどうかしら。
などと、ルビーとアイスと
マンスフィールドさんが話している。
解説)
丹下健太は昨年2月の春節に町に来て、
飛び入りでガルーダの踊りを披歴したのがきっかけで、
マンゴー亭を任されることになったのでした。
アンジーは彼の料理と踊りのファンで
追いかけて町にやってきて、
その時も一緒に太極拳風体操などをしています。
2022年2月4日「春節の午後のスナップ そのいち」や、
2022年2月12日「春節のあとに そのご」など。
Jan 27, 2023
時期遅れの書き初めなど
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ジェニーたちの部屋では
またみんなで双六をしていた。
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今度は宇宙大冒険すごろくのようだ。
次はたまきの番だよ。
と言っている。
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今いく。
たまきは随分時期が遅れたが
書き初めをしていた。
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この言葉、前にも書いたことなかった?
最初あいこちゃんが書いたんだよ。
名言だからね。
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たまきがサイコロを振ろうと
ちゃぶ台に近づくと
帰ってきた黒猫が飛び乗ってきたので、
盤面が乱れてしまった。
あー。
だめよクロ。
私月にいたはずよ。
などと言っている。
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黒猫のマリアは寒い寒いと言いながら
膝掛け用の毛布に潜り込んでる。
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その頃、探偵事務所には春節なので
郊外でビストロを経営している
アルが遊びにきていた。
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回文遊びをした去年の暮れ以来だね。
この事務所、この一年で随分賑やかになったみたいじゃないか。
ああ。探偵助手の見習いのドロレスと、
その手伝いのミューが、同居しているんだよ。
それにエリスの友人のメアリー・シェリー博士も
遊びに来ているし。
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そこにレプティリアンが現れた。
アルは初めて見るので、
すごいコスプレの被り物ですね。
と言っている。
解説)
たまきの半紙の書き初めは
随分前に掲載したものの再利用です。
2006年の元旦に初出。
言葉は戦前のかるたの句からとられていて、
最初はジェニーフレンドのあいこちゃんが
書いたことになっていました。
2013年の元旦にも使い回しています。
Jan 26, 2023
ミラたちの話とサラの工作
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やあ、おかえり。
と言われている。
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こちらはピエールさん。
12月のコスプレコンテストで優勝した方よ。
向こうの世界で知り合ったの。
それでそんな王冠を。
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そうなんです。
コンテストで優勝したせいで、
偶然総統の目に留まり、
山岳猟兵がいないから是非にと請われて、
異世界の軍隊に入隊してみたんですが、
あの世界にはどうも普通の人間というのは
私しかおらず、不安を感じていたところ、
来訪されたミラさんの
アドバイスを受けて除隊してきました。
もともとヴァンパイアたちの願望を元に、
マーリンが魔法で作り上げた世界だから、
血を吸われる側の住民も、
願望が産み出した幻影みたいなもの。
とミラが言った。
それでもみんな満足しているんだけどね。
総統はジャンの村からドイツ兵を
勧誘して統治しているけど、
彼らも元はフィギアの精霊だし。
そんな世界に普通の人間が行ったら、
すぐに目をつけられて、
咬まれてヴァンパイアになるのがおちよ。
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ミラ、管理局として、
異世界間の交流については。
あ、私は事情を聞いてアドバイスしただけよ。
なんかややこしそうな話だなあ、
とリズとメルティは思っている。
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その頃、
サラは部屋で工作をしていた。
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厚紙を芯にして
白いビニールテープで
表面を覆うの。
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その帽子を無くしたというカウボーイも
風の吹く世界から来たんだってね。
とメアリー=ケイトが言った。
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黒いマスクにテキサスレンジャーのバッジ、
二丁拳銃といえば、あれじゃないの?
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ジェット、知ってるの?
私どうしても思い出せなくて。
ローンレンジャーだよ。
ハイヨーシルバーってやつ。
解説)
サラはありあわせの材料で
工作しているようです。
Jan 25, 2023
ペンギンの前で
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喫茶ペンギンの前では
ジャンのジオラマの世界から
戻ってきたメルティたちの
一行が寛いでいた。
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リズは、寒いけど、
がんばってね、
とポトスに言っている。
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一行はジャンの倉庫にある魔法の扉から
戻ってきたので、
ペンギンに用事があるという
ジャンも一緒に来たのだった。
あれ、サラは?
カウボーイの帽子を作るとか言って、
部屋に帰っていったよ。
そうなんだ。
寒いし、私もジェニーたちの部屋に戻るわ。
とマリアは言った。
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じゃまたね。
案内ありがとうと言われている。
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ジャンは、店内を覗き込んで、
マチルダ役のナタリーを探している。
広場に登録に行こうって、
店で待ち合わせているんだけど、
まだ来てないかな?
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ジオラマの村の別世界面白かったね。
こちらの世界のジオラマも帰りに
ジャンさんの家の庭で
見せてもらったから、
サイズの違いがよくわかった。
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あの犬猫同盟の人たち、
本当に犬や猫の顔してたので驚きました。
あれ本物でしょう。
猫顔の人の方はヴィヴィアンが魔法で
野良猫を人間の姿にしたんだ。
犬顔の人の方は僕にもよくわからない。
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マリアの話によると、プラネタリウムで
犬と人間の脳のニューロンの配置模型が
ヴィヴィアンの魔法で合体したとか言ってたけど。
管理局でも聞いたことがない話だね。
やっぱり、なんでもありの世界なんですね。
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その時、ミラが戻ってきた。
マーリンの作ったルーマニアの
異世界から帰ってきたようだ。
なぜかピエールも一緒にいる。
解説)
ミラやバグの行った異世界シーンの描写は
都合上省略しています(^ ^)
Jan 24, 2023
夕暮れどきに

ハリーたちの会話の間にも時は流れ、
日が暮れかけていた。
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冬の日は短いわね。
寒気団が来るそうよ。
などと言っている。
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広場はそこそこの賑わい。
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魔術劇場を出てきたハリーは、
お話終わったんですか?
とエヴァに聞かれている。
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隣には丹下健太がいた。
ジョー軍曹とエルヴィンは
健太の服装に興味を持っているようだ。
この世界にはいろんなコスプレがあるんだね。
と言っている。
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ハリーは健太に声をかけた。
魔術劇場に出前してもらった
飲茶美味しかったよ。
それはよかったです。
ところでその服装は?
22日から春節なんです。
今年は龍の踊りはやらないようですが、
せめて格好だけでも春節らしくと思って。

マンゴー亭の飲茶も
春節中はメニューを増やしています。
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ジムとメイヴィスが
コスプレコンテストの登録に来ていた。
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登録者が減って、
暇だったところよ。
ジムは009のコスプレね。
メイヴィスは?
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数あるボンドガールの
一人ってことで。
と言っている。
解説)
平穏な夕暮れ時のスナップでした。
特に変化がないようで、
何人かの着せ替え遊びをしています。
Jan 23, 2023
会話の続き そのご

ふーん。
そういうことなの。
管理局は「夢の故郷」について
他にも色々とご存知のようね。
とヴィヴィアンが言った。
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マリアがメルティに声をかけた。
メルティさんはこの町は二度目だけど、
まだ別世界には行ったことがないでしょう。
わたしこれから犬猫同盟の集まりで、
ジャンのフィギアたちの村に行くんだけど、
よかったら案内するわよ。
だったら私も行ったことないから、
一緒に行ってみましょうか。
町の中はこの前案内しちゃったし。
とサラが行った。
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ぜひぜひ。
これが私の夢の続きだとしたら
世界がどんどん広がってく感じね。
とメルティは言った。
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僕もその村見てみたいなあ。
この町の郊外の家の庭のジオラマがモデルで、
迷いの森とも繋がっていて、
去年、怪物が来たという場所でしょう。
あ、管理局の仕事としてじゃなく、
個人的な興味ですが。
だったら連れて行ってもらったら?
とミラに言われている。
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出入り口は別室にある魔法の扉からだから、
すぐに行けますよ。
私もそろそろルーマニアに作った
ヴァンパイアたちの世界の様子を見に行きます。
とマーリンが言った。
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そうなんですか。
じゃあ、私はそちらについて行っていいかしら。
あ、これも管理局の仕事じゃなくて、
個人的にヴァンパイアに興味があるの。

魔法の扉は隣の部屋にあります。
ご馳走様でした。
ではまた。
とミラが挨拶している。
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あっという間に
二人になっちゃったね。

さっきバグが言いかけて、
途中でミラに遮られた話だけど。
とヴィヴィアンが言った。
もし、あの「夢の故郷」が
いわゆる冥界のような異世界だとしたら、
メルティの夢と繋がったと言うことは、
バグが想像して仄めかしてたみたいに、
生身の彼女が深刻な危篤状態に
陥ったからじゃないかと思えるの。
私たちが魔法の鏡を使えなくなったのもそのせいで、
代わりに死への誘惑のような世界への扉が開いた。
向こうから遭難者のような人が来たけれど、
メルティたちが扉を使えなかったのは、
メルティが一人じゃなかったから。
偶然サラがいたことで夢の世界が共有されていて、
メルティの無意識の死への誘惑を打ち消すことができた。
多分ポイントは、夢の共有ということにあって、
これまで一人きりだった夢の世界が
他人と共有されることで、
メルティは生き続けられたのよ。
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さすがにデビルになっただけあって、
興味深い解釈だね。
私には何とも言えないが、
背後に何か大きな力が働いていることは感じる。
その謎のカウボーイだって、
今では彼女の夢を共有しているんだろう。
留守番しているというが、
見方によってはもう彼女の夢の一部だと言っていい。
偶然都合よく迷い込んできただけなのか、
生き延びるために彼女の無意識が招き寄せたのか。
それとも、と言うところなんだが。
それはそうと、
お前はサングラスをかけると迫力あるね。
よく似合ってるよ。
とハリーが言った。
解説)
途切れ途切れの長い会話も
お開きになったようです。
Jan 22, 2023
会話の続き そのよん

サラたちが戻ってくるまで
しばらく時が経ったようで、
応接室のテーブルには
ワインなども追加されていた。
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サラはさっそくメルティの部屋で
起きていた出来事を報告している。
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カウボーイの話によると、
最初の魔法の扉が消えていたって。
新しい専用の扉をつけたせいなの?
その話だと、
扉が消えたのはサラたちが行く前のことだから、
新しい扉とは直接関係はないと思う。
ただ彼が通ってきたというのが。
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日差しが強くて風ばかり吹いているような世界。
そこは特別な場所なんですか?
とメルティが尋ねた。
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特別といえば特別な異世界だよ。
とハリーが言った。
色々な呼び方があるが、
夢の底のような死に近い場所だ。
あるいは、人や生き物は亡くなると
必ずその場所を通るというふうに
信じている人たちもいる。
私たち魔族の魔法の扉を使った呪法でも
その場所への道筋をつけることはできないんだが。
選ばれたものだけが
いける場所だという人々もいるね。
とマーリンが言った。
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私は勝手に「夢の故郷」って呼んでるの。
とヴィヴィアンが言った。
選ばれた精霊たちが見る夢の中に現れるっていう
言い伝えもある。
その時ハリーの懐から床に
降りていた黒猫の周りから、
薄い煙が立ち上って
黒猫がマリアに変身した。
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初めてその様子を見たメルティは、
自分の体が大きくなったのにも驚いたけど、
猫が女の人になるなんて、
ここって何でもありの世界なんですか?
と言った。

こんなの見たら誰でも驚くわよね。
でも何でもありじゃなくて、
これは私の特殊能力なの。
私はハリーの姪のマリア。よろしくね。
そうか。猫だったあなたが
私を夢から覚ましてくれたのね。
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「夢の故郷」か。
なかなか味のあるネーミングですね。
そのカウボーイはあの世界で
死線を彷徨っていたのかもしれない。
とバグが言った。
あるいはもう元の世界で、
本人は死んでしまっているのかも。
それ以上言うと規約に触れるんじゃない?
とミラが言った。
解説)
会話は脱線しながら
続いているようです。
Jan 21, 2023
メルティの世界で そのに
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サラたちはしんみりと
謎のカウボーイの歌を聴いていた。
赤い川の谷間よ~♪
きりた~つ岩~や~まよ~♪

そのマスク姿、
どこかで見たことあるんだけど、
どうしても思い出せないの。
それに、変わったバッジつけてるのね。
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ああこれはテキサスレンジャーの記章なんだよ。
帽子を探していたら隊とはぐれちゃってね。
そのうえ砂嵐で。
もう随分昔のことのような気がするけど。
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ねえ、サラ。
ハリーが新しく専用の扉を作ってくれたって
言ってたでしょう。
私、もう一度サラたちの町に行ってみたい。
うん。

僕が留守番しているよ。
ええ。お願いね。
あ、今思いついたんだけど、
帽子まだ探しているんでしょう。
帰ったら家で何か作ってみるから、
楽しみにしてて。
それはありがたいな。
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こうして
サラたちは扉をくぐり抜けて。

魔術劇場に戻ってきた。
いらっしゃい。
初めまして。
おかえりーなどと
声が飛び交っている。
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とりあえずサラのサイズを戻さないとね。
あ、ついでに。
とヴィヴィアンは言って、
呪文を唱えた。
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薄い煙が立ち上り。
こっちの世界では
そのほうが何かと便利でしょ。
と言っている。
解説)
今回は思いつきで
メルティの変身のために
色々工作しました。
Jan 20, 2023
メルティの世界で

男は扉の出現に驚いているようだった。
ずっと扉を探していたんだ。
でもその扉は鏡がついてないね。
メルティはどこ?
彼女はこの近くに倒れていたんで、
ベッドまで運んで寝かせているよ。
よく眠っているみたいだよ。

男はメルティのいる場所に向かう途中、
起こった出来事を話してくれた。
男は、あれから帽子を探し続けたが
見つからず、元の世界に帰る方法も
わからないので、
結局、再発見した鏡の扉を使って、
ここに戻ってきたのだという。
するとメルティが倒れていたので、
ベッドまで運んだ。
そうしているうちに、
あった筈の場所から
鏡の扉が消えてしまったので、
どこかに出現しないかと
部屋の壁伝いに探していたのだといった。

メルティはぐっすり眠っているようだ。

黒猫のマリアがそっと
忍び寄ってメルティの頬を
ペロリと舐めた。
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ヒャ。冷たい!
と言ってメルティは目覚め、
あたりを見回した。
あ、サラね。
また来てくれたのね。
それにあなたは謎のカウボーイ。
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男はこれまでのいきさつを
メルティに話した。
メルティはさっそく
この肉まん大きくて美味しいねと
言っている。
私ね。夢を見てたの。
ハリーによると、この世界は
私が見ている夢だっていうことなんだけど、
夢の中で眠って夢を見るなんて
ややこしくて変よね。
こんなこと初めてだわ。

そこは雪山のようなところで、
白兎たちが何か話していた。

聞くと、
先生、この子はもうだめなんでしょうか。
衰弱が進んでいて、今晩が峠だね。
ずっと眠ったままの生涯だったなんて。
おや、血色が良くなっている。
何だか持ち直したようだよ。
どうしたんだろう。
なんて話している。
声に聞き覚えがあったので、
思わず、それって私のこと?
と聞くと、あっちに行け。
って言われて。

私はとぼとぼ
林の間の道を歩いていたの。
そしたら、
小枝が風に揺れて雪の塊が
落ちてきて。

思わず、ヒャ。冷たい!
って叫んだら、目が覚めたの。
解説)
雪山のシーンは、
図柄がプリントされたシートを
使って撮影しています。
これもセリアで。
Jan 19, 2023
会話の続き そのさん

これでメルティもまた
遊びに来られるだろう。
とハリーが口火を切った。
ところで、いい機会だから伺いたいのだが、
差し支えない範囲で、迷いの森について
教えていただけないかな。
あれは言い伝えでは、
私たち魔族の故郷と
呼ばれている土地で
私がこの町に来た理由の一つも
あの土地に惹かれてのことだった。
管理局なる組織の本部が
その中にあるとは驚きだが、
聞くところによると、
行くたびに景色が変わるというね。
あれは異世界と呼べるのかな。

フェンスで囲い込まれているだけで、
基本的には、この世界と地続きです。
フェンスを超えて、
泉の水を汲みに出入りする盗掘者もいますからね。
ただあちこちに異世界との接点があるのです。
見かけは森なんですが、交差点のようなところなので、
様々な異世界からきた生き物が住み着いています。
多分私たち同様、
あなた方魔族の先祖もそういう人たちでしょう。
エイリアンみたいな見かけが怖い生き物や、
巨大な昆虫や爬虫類、ドラゴンも住んでいますよ。
とバグが言った。

なるほど、ドラコと呼ばれているベーカリーの
マスコットみたいなドラゴンの子供も
迷いの森から来たんだったね。
ドラゴンは「夢食い」の一種なんだろう。

「夢食い」のことをご存知でしたか。
一般には異世界に入り込んで影響を与える生き物で、
ドラゴンはその世界や世界の秘密を守る働きをしますが、
中には支配しようとするものもいます。
異世界の間を行き来する輩でもあるので、
管理局は直接は手を出しませんが、
目に余る場合、アドバイスすることはあります。
しかし考えようによっては難しい話で、
魔法の扉などを使って異世界を訪れること自体、
ある種の「夢食い」と変わらないんですよ。

知能が高いのもいるんでしょう。
メルティの夢の世界にも、夢食いが侵入して、
私たちとの接触経路を遮断して
彼女の夢の世界を独占しようとした可能性はないの?

彼女の夢の世界は深く一人きりのもので、
ふつう夢食いは共同の幻想世界に出現します。
最近ではジャンさんのフィギアの世界に出てきましたね。
そうしないと割に合わない。
あれも生き物ですから。
ただ中には「獏」とか、夢魔と呼ばれる
連中もいて、可能性はゼロとは言えません。
魑魅魍魎の出没する世界なんですよ。
ただし、彼女の夢は深いので、
彼女自身の無意識が強固にコントロールしているはず。
私は何らかの理由で自分で遮断した可能性が高いと思います。
しかし意識ではサラが遊びに来ることを願っていたし、
ハリーさんの魔法は強力だったので、
扉を完全に消去することができなかった。
扉が開いてると、さっきの黒猫みたいに
自分が何をしてるのか考えずに
紛れ込んじゃうのもいるから
ややこしいのよ。とミラが言った。

サラはメルティの夢の世界に
入り込んでいた。

部屋の壁は前に見た時と変わらないが、
樹木の明かりが消えている。

だれか人が来た、とサラがみると、
それはメルティではなく、
マスクをした男性だった。
解説)
会話も続いています。
Jan 18, 2023
新しい扉
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私さっそく試してみる。
と言ってヴィヴィアンは
ノブに手をかけて扉を開けた。
向こうの壁が見える。
透明の膜があるんでしょう。
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ヴィヴィアンは腰をかがめて
扉をくぐっていったが
何も変化がないようだ。
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その扉はメルティの夢の部屋専用なので、
色々制約があるんだ。
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お父さん、それ先に言ってよ。
お前が急に行こうとするなんて
思わなかったから。
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管理局の人もご覧になっているんだから、
ヴィヴィアン、行動は慎重に頼むよ。
扉が通じないのは、
メルティの部屋のサイズに
合わせてあるからだ。
縮尺はこの世界のほぼ1/2だね。
さて、扉ができたことを、メルティに
伝えてやりたいが、どうしたものかな。
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こっちのサイズを変えればいいんでしょう。
サラ、お願いできる?
いいわよ。
ヴィヴィアンが呪文を唱えると、
薄い煙が立ち上った。
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サラの体が小さくなった。
ミラはほーと感心している。
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前にポケットにチョコを入れていったら、
向こうでも、なぜか大きさは変わらなかったよ。
とサラがいったので、
実験的にお土産に肉まんを
持っていくことになった。
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じゃあ伝えにいってきます。
扉をくぐり抜けていくサラの体は
透明な膜のようなものの中に消えていった。
その時、黒猫に変身したマリアが一緒に。
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あいつ。
冒険好きで困ったやつだなあ。
どうしてマリアは通り抜けられたの?
猫のサイズは様々だから、
大きな猫だと認知されたんじゃないかな?
チョコのサイズが変わらなかった、
というのと、同じかもしれない。
夢の法則って結構いい加減なのね。
解説)
魔法のドアはセリアで入手しました。
1/12サイズの家具や備品を扱った
小物のコーナーがあるので、
何かと便利です。
Jan 17, 2023
会話の続き そのに
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魔術劇場の応接間には
7人が同席することになった。
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サラはさっそく、
私はサラ。サラサラのサラです。
と挨拶している。
さっきの話の続きだけど、
メルティの世界への魔法の扉が
私たちの世界からだけ使えなくなった理由、
やっぱり謎なのね。
とヴィヴィアンが言った。
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管理局も万能じゃありませんからね。
どこかで異世界が生じたり、魔術が使われた場合、
その変化や強度を感知することはできますが、
詳細は実際に現場に行かないと把握できません。
そこでうちの派遣コウモリが
強力な魔力の持ち主であるデビルが誕生すると、
もれなくお目付役としてついていくわけです。
ヴィヴィアンさんの場合、ひそこはすっかり
懐いてしまって職務怠慢なんですが。
それはともかく、
サラさんは、カメを持ち帰られたとか。
ひょっとするとそのカメが
ヒントになるかもしれませんよ。
カメは何か言っていましたか。
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オセロのことね。
私にはわからないの。
でもうちにいる頭蓋骨のお父さんや
メメは、すごく懐かしがっていた。
あ、メメも元は何か哺乳動物の頭蓋骨なんです。
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そうそう。ジェットが広場で拾ったっていう
この新聞、借りて読んでるんですけど、
オセロそっくりのカメのことが載ってる。
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ちょっとお借りできますか。
これは珍しい新聞ですね。
レプティリアンたちが発行してるものよ。
本当だ。
彼らはカメが好きで
こういう趣味の新聞を
地底世界や月の裏側で発行してるんです。
人間の世界では滅多に見られない。
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なんだか、話が脇道にどんどん
それていくような。それに
見当もつかない世界のお話のようですね。
ハリー、それにお父さん、
メルティの世界に通じる
魔法の扉を修復する研究は進んでるの。
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鍵になる呪文は無効になっていて、
何度も読み替えを試みたが駄目だった。
しかしマーリンと協力して研究した結果、
汎用性のない専用の扉なら作れることがわかった。
呪文もさっき完成したところだよ。
また壊されるとまずいので
管理局には秘密にしておくつもりでいたんだが、
君たちの管理局は関与していないという言葉を信じよう。
さすがハリー叔父さんだ。
とマリアは思っている。
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ハリーが呪文を唱えると
薄い煙と共に扉が出現した。
なんか小さいわね。
メルティの夢の世界専用だからね。
解説)
会話は続くのでしょうか。
Jan 16, 2023
会話の続き
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会話は進み、
飲茶の品々はかなり
食べ尽くされている。
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管理局は注意を喚起するだけというが、
メルティという女の子が
一人きりで深い夢の世界に生きていて、
外の世界を見たいという願いを持っていた。
彼女自身の強い想いが作用して
魔法の扉で魔術劇場とつながることができた。
彼女はこの町に来て遊んで行ったんだが、
しかし一度きりで、
扉の呪文が書き換えられたようで、
使えなくなってしまった。
それは君たちが町に引っ越して来た昨年の
クリスマスの直前の出来事だった。
どうも時期が付合するのが気になってね。
それは管理局の仕業ではないのかな。
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それは誤解です。
私たちはそうしたことに介入していませんよ。
何か別の力が働いたのではないでしょうか。
個人的な夢として生まれる世界の場合、
本人にもわからない自己の無意識が働いています。
共同の夢が作り上げる幻想の世界とは違って、
その力が扉を閉じることはあり得ます。
例えば甚大なショックや危険を感じて
防御本能が発現した場合とか、
当人の生命活動自体が衰弱した場合などに。
でも向こうに行ったサラの話によると、
魔法の扉が出現して人がやって来たけど、
サラたちは出入りできなかったと言っていたわよ。
扉自体がなくなったわけじゃないし、
別の世界とは繋がっているっていうことなのよ。
とヴィヴィアンが口を挟んだ。
その人、どこから来たって言ってました?
日差しが強くて風ばかりが吹く世界を
通って来たって言ってたらしいわ。
それを聞いてバグとミラは
お互いに顔を見合わせた。
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その時、レイが現れた。
お待たせしました。
飲茶のおかわりをお持ちしました。
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あ、ありがとう。
あと、悪いけれど、
帰る時に戸口にいるエヴァに言って、
サラを呼んできてほしいって、
私が言ってたって、伝えてくれない?
わかりました。
お安い御用ですよ。
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食卓には飲茶の品々が追加された。
エビ餃子などが美味しそうに
湯気を立てている。
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もう我慢できない。
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黒猫はハリーの腕から
食卓に飛び移ると、
さらに床にジャンプして、
薄い煙を漂わせた。
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黒猫はマリアに変身した。
お腹すいちゃったので、
私も混ぜてね。
と言っている。
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その時サラが入室してきた。
あら、早かったのね。
ちょうど肉まん買いにきたところで
ばったりエヴァに会ったので。
なんですか御用って。
あ、美味しそうですね。
と言っている。
今メルティのこと話していたんだけど、
彼女の世界のこと、
あなたに直接伺えればと思って、
お呼びしたのよ。
とヴィヴィアンが言った。
解説)
なかなか会話が進みませんが。
そこはそれで。
Jan 15, 2023
ペンギン界隈で
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暖かいコーヒーはいかが?
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はるなさん
呼び込みが上手になって。
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みんなでぞろぞろ。
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話題は引っ越してきた
バグたちのこと。
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あの二人の故郷の世界では、
普通に天使が空を飛んでいるんですって。
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ディックのSF小説みたいだね。
それであんなふうに
いつも楽しそうなのかしら。
それはどうなんだろう。
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ジルさんがコンテストに参加するなんて。
軍服着せられちゃったからね。
あのチョコ美味しいのよ。
などと会話は尽きなかった。
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外ではリズが
水やりをしていて。
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入れ替わりに店から出てきた
ジムとレイチェルがベンチで話している。
ジムのジェームスボンドの
タキシード姿のコスプレが見たいなあ。
あれ着替えるの結構大変なんだよ。
解説)
バグたちの会話の途中ですが、
ちょっと寄り道。
今回はペンギンの屋外から
店内に入って、また屋外に戻るという
撮影の遊びです。
Jan 14, 2023
会話のはじまり
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約束の時間になったので
バグたちは魔術劇場の前にいった。
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お待ちしておりました。
とエヴァに言われている。
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急な話だったので、
マンゴー亭から飲茶を
取り寄せちゃった。
ここの肉まんすごく美味しいわよ。
とヴィヴィアンが言った。
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あ、紹介するわね。
隣にいるのがマーリン。
私の実の父です。
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その隣にいるのがハリー。
私の養父で、超常現象の研究家だけど、
今や世界中を巡回してる魔術劇場の
魔法使いとしての方が有名ね。
二人は口々に
どうぞよろしくと言った。
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管理局に勤める
バグと伊良未来です。
私のことはミラと呼んでください。
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管理局って
ひそこから聞いてるけど、
いつも要領を得ないで、
どういう組織なのか今ひとつわからない。
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主に魔術や特に異世界間に生じる問題を
管理している組織です。
本部はこの世界では「迷いの森」と
呼ばれている地域にあって、
私たちもそこから
引っ越して来ましたが、
正確には私たちはまた別の世界の住人で、
うえからの委託をうけて
この仕事をしているだけなんです。
だから組織の全体像は
私たちにもわからない。
派遣コウモリのひそこが知らないのは当然ね。
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異世界を生じさせる魔術について
管理するということですかな。
先頃、一つ作ったばかりですが。
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やはりあれがそうでしたか。
どんな世界も泡のように生まれて
消えていきます。
異世界が生まれること自体について、
私たちは関与しません。
事情はさまざまで、
起こるべくして起こることも多い。
ただその結果生じる変化について、
少しだけ慎重になってほしいというのが、
管理局の意向で、そのために、
注意を促すというのが私たちの仕事なのです。
扉が開かれると、向こうから、
やってくるものは選べないですからね。
あ、この肉まん美味しいですね。
とミラが言った。
解説)
会話は続いているようです。
Jan 13, 2023
話し合いまで
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ペンギン前の空き地では
エトナがベンチに座っていた。
やっと暇になったなあ。
と言っている。
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お正月も終わって、
記念撮影する人がいなくなったから、
そろそろ店じまい。
ウサギの彫像片付けなくちゃ。
コスプレコンテストが始まったから、
きっと誰か来るわよ。
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はるなが言った通り。
ジルとギルダがやってきた。
軍服借りて
ジルに着てもらって
記念撮影することにしたの。
とギルダが言った。
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帽子被らないんですか。
ジルは髪型が乱れるから、
と言っている。
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広場で
バグとヴィヴィアンのやりとりは
続いていた。
何か色々あるんでしょう。
立ち話もなんだし、
デジャで話さない?
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今ならちょうどハリーも来てるし。
それはいいですね。
ハリーさんともお話ししたかったんです。
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あ、それはちょっと。
私はバグの連れで、
同じく管理局に勤めるミラと言います。
できれば、ハリーさんも含めた関係者だけで。
一般には公にされていないことにも
話が及ぶと思いますので。
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了解。
じゃあ、魔術劇場でお話ししましょう。
私は、これからハリーを呼んでくる。
マーリンにも参加してもらいましょう。
部屋の準備があるから、
30分後に魔術劇場でね。
すぐそこの建物だけど、もし戸口が消えてたら、
あのピエロのエヴァに声かけてくれれば、
わかるようにしとくから。
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ヴィヴィアンと別れたバグとミラは
分けてもらった焼き芋を食べながら
待ち時間を過ごしていた。
この町すごいね。
人間じゃない人が結構いる。
人形の精霊だけじゃなくて動物霊や、
人間そっくりのロボットまでいるよ。
解説)
ようやく話し合いに漕ぎ着けそうな。
Jan 12, 2023
広場の出会い
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たまきが持ち帰った
焼き芋をみんなで食べている。
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お塩とマーガリンが合うんだよ。
あれ、モモコはどこに行ったの?
森林公園に行くって出かけたよ。
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モモコが森林公園の隅に行って、
迷いの森に向かって呼びかけると
エリコが姿を現した。
おめでとう、と言っている。
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モモコはカメの話をしている。
オセロが生きていたことを、
ジェーンに伝えて欲しかったのだ。
今度あったら伝えておくわ。
とエリコは言った。
でもそれは生まれ変わり、
とは呼べないよ。
ジェーンの暮らす世界で
蘇ったらそうかもしれないけど、
別世界での出来事だからね。
そうか。
でもどうして
こっちの世界に来たんだろう。
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誰かにすごく
会いたかったんじゃないかな。
とエリコは言った。
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ベーカリー前の広場では
歌声が朗々と流れていた。
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鷲尾翠とミラも聴き入っている。
天使の歌声だね。
うちの局長ほどじゃないけど。
などと言っている。
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ヴィヴィアンも焼き芋を食べに
出て来ていた。
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こんにちわ。
ヴィヴィアンさんですね。
私は最近ペンギンの隣の元倉庫に
引っ越してきたバグと言います。

あら、あなたが
管理局にお勤めっていう人ね。
お噂はひそこから聞いてるわ。
ひそこ。って、
うちの派遣コウモリのことですね。
すっかり手懐けられたようで。
解説)
事態は微妙に進行しています。
Jan 11, 2023
ベーカリー前で
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焚き火の後の
掃除が終わったようだ。
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大道芸人たちは
焼き芋のお裾分けをもらっている。
いつも口を開けて歌っていると
こういう時便利だなあ、
と言っている。
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広場の隅にはドラム缶が置かれていた。
焚き火を見ていたドルフィンのスタッフが、
見かねて出してきたのだった。
風で燃え移ると危ないから、
これ使って焼いてね。
と言われている。
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この町では焼き芋好きで有名な
夏木さんが来ている。
寝起きで飛んできちゃった。
また何かイベントやるんですか。
まだ考え中なの。
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ルビーがマイクを持って、
コンテストのアナウンスを始めた。
みなさん。
今年もドルフィンと
ベーカリー主催で、
コスプレコンテストを始めています。
今回はテーマは特にありません。
お好きなコスプレで
登録していただけると、
月末に審査結果を発表します。
参加賞は前回同様、
ハーシーチョコレートの
掴み取りですので、
気軽に応募してください。
優勝賞品は?
まだ決めてないのよ。

サンタクロースから
クリスマスプレゼントにもらった
拡声器が、さっそく活躍している。
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またこの格好で応募するの?
もちろん。
みんなだんだん飽きてきてるから
優勝できるかもしれないよ。
それは考え方がおかしい。
ドミノさんは、
あの女優さんに似てるから、
女海賊とかすればいいのに。
そうかな。
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ベランダには、
探偵事務所から、
ミラと鷲尾翠が来ていた。
翠はミラに町を
案内していたのだった。
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何してるの?
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ちょっとコウモリと
交信してたの。
あれは管理局が派遣した
コウモリなのよ。
だけど、もうダメみたい。
解説)
拡声器はガチャで。
「運動会の音楽」(全四種)という
SA-TAの製品(2021年9月発売)で、
前面のボタンを押すと
「クシコス・ポスト」が流れます。
他には「双頭鷲の旗のもとに」
「天国と地獄」「見よ、勇者は帰る」
が収録されているとのこと。
Jan 10, 2023
焚き火
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さつまいもを周囲に指し入れると、
たまきは本当に
落葉の山に火をつけてしまった。
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どんどん燃えろ。
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落葉を追加すると
焚き火は燻り始めた。
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こっちに煙が!
とはるなが叫んでいる。
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ベランダにいたギルダは
洗濯物取り込んだ方がいいかも。
と思っている。
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落葉が追加され
焚き火は勢いよく
燃え続けた。
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やがて落葉は燃え尽き、
よく焼けてるよ
とたまきが言っている。
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ほくほくしておいし。
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火傷しないようにね。
と言っている。
解説)
たまきたちが落葉で焚き火をして
焼き芋を食べようと思いついたのは
去年のクリスマスのことでしたから
思えば長い道のりだったのでした。
今回はエアコンを止めて
窓やドアを開けて撮影しました。
Jan 09, 2023
焚き火の準備
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今日も晴天の穏やかな午後。
ジェニーたちの部屋では
キサラとシオンが帰り、
ジェニーとナオミが話している。
お正月もあっという間だったね。
双六またやろう。
あ、たまきとモモコは?
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今日こそ焚き火をするって
さっき出かけたよ。
うーん。頑張るのね。
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残念ながら、ペンギン前では
今日も人だかりがしていた。
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ちょっと時間が経っちゃったけど、
犬猫同盟の結成記念の撮影を。
それってどういう同盟なんですか。
互助組合みたいなものです。
などと話している。
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こうなったらベーカリー前で
焚き火をしようよ。
とたまきが言っている。
この落葉の袋持っていこう。
大丈夫かなあ。
平気平気、
今ならお正月明けたばかりだし、
まだ混んでないよ。
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たまきたちはベーカリー前の広場に行って
焚き火の準備をしている。
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広場では門松が片づけられていたが、
早くも大道芸人たちが来て歌っていた。
たきびだ、たきびだ
おちばたきー♪
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本当にここでするの?
火はどうするの?
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ライター持ってるし。
とたまきはいった。
解説)
やっと焚き火ができそうです。
Jan 08, 2023
続きのカメなど そのに
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ペンギンの二階の探偵事務所には
向かいの家に引っ越してきたバグと
連れの女性が招かれていた。
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ペンギン前の広場で
記念撮影の時に顔を合わせたのがきっかけで、
改めて挨拶しようということになったのだった。
バグさん、って、
珍しいお名前ですね。
通称なんですよ。
修理が専門なんで。
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エンジニアなんですか。
管理局って修理なんかもするんですか。
いろんな部門があります。
時間管理部とか。
でも僕は詳しくは知らなくて。
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管理局には天使がいるって聞いたんですけど、
本当ですか。
とミューが尋ねた。
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局長のことね。
あの人、翼があるから天使なのかも。
と連れの女性がいった。
あ、申し遅れましたが、
私は伊良未来、通称ミラと言います。
バグとは幼なじみで
私は情報管理が専門。
しばらくいることになりそうなので、
どうぞよろしく。

広場ではたまきと別れた後、
モモコがエヴァと話していた。
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リタの凧上げは続いている。
ターコターコあーがーれ。
ダーダー。
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この凧もあげてほしいんだけど。
私着物なんで。
ワタシモロボットナノデハシレマセン。
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あのカメ、どうして
オセロっていう名前なんですか?
アフリカ生まれだからって、
前にジェーンが言ってたよ。
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探偵とエリスが話している。
一瞬でカメが巨大になるなんて、
新年そうそう、すごい魔法を見ちゃったね。
ああいうことができるの、
ハリーさんだけかと思ってた。
あ、そろそろ冷えてきたから
事務所に戻ろうか。
その前にデジャに寄らない?
いいね。
解説)
あれこれと
少しずつ時が進んでいます。
Jan 07, 2023
続きのカメなど
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ジェニーたちの部屋には
記念撮影帰りの
キサラとシオンが遊びに来ていた。
日本一周すごろくをしているようだ。
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私まだ京都だよ。
早く沖縄に行きたい。
北海道は札幌しかないの?
などと言っている。
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広場でモモコと別れたたまきは、
魔術劇場の女性たちと一緒に
ペンギン前に戻ってみた。
やはり今日も焚き火は無理のようだ。

カーミラとジャンヌが
エトナに撮影してもらっている。
ウサギといえば雪山の白ウサギね。
そうかな?普通ウサギといえばカメよ。
などと話している。
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デュアンさん、ですよね。
去年のハロウィンの時の尼僧姿しか
知らなかったので見違えました。
そうでしょうね。
普段の私はこんな感じなの。

なかなか焚き火できないわね。
え、どうして知ってるの?
あ、寒いから焚き火でもできたらと思って。
そうか。そうよね。
マリアは最近は黒猫に変身すると
ジェニーたちの部屋にいるので、
たまきたちが連日焚き火をしたがっているのを
知っていたのだった。
さっきのモモコさんの
大きな声には驚いたわ。
モモコは、たまにああいうふうになるのよ。
ジャンさんの異世界の村でも、
怪物に向かって叫んでたし。
あとで聞くと、その時は
迷いの森に住むエリコっていう友達が
憑りうつったって言ってたけど。
さっきのはモモコ本人の声だった。
モモコさんって魔族なのかな。
それはないと思うけど、
そういわれれば、かなりの魔女体質かも。
私たちは、夢見る乙女って呼んでるよ。
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サラたちの部屋では
オセロが紹介されていた。
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オセロは頭蓋骨のお父さんを
じっと見つめている。
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メメがメーメーとないている。
メメ、なんていってるの?
すごく懐かしすぎると言っておる。
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サラは、なぜか、日差しが強くて
風ばかり吹いている場所の風景を
ぼんやりと思い浮かべていた。
解説)
カメのフィギアは、
ガシャポンの「いきもの大図鑑」
かめシリーズ第五弾の、
「03.ヒョウモンガメ(幼体)」です。
可動部分も多くて、素晴らしい出来栄え。
同梱の解説が書かれた紙片を切り抜くと、
「かめ新聞」が作れます。
Jan 06, 2023
カメの謎
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カメはしばらくじっとしていたが。
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やがて首を伸ばして起き上がり。
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向きを変えて
サラの方に向かって行き、
サラを見上げている。
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モモコが急に
近づいていって、
そのカメ、オセロさんだよ。
と言った。

その声があまりに大きかったので
みんな驚いている。

オセロって、
モモコさんのお友達のジェーンが住む世界で、
一昨年に亡くなったっていうカメのことね。
このカメは別の世界から来たのよ。
とヴィヴィアンが言った。
そうだとしたら、
きっと生まれ変わりだよ。
とモモコが言った。

ふーん。
どうしてそう思えるの?
訳はわからないけど、
絶対そうに違いないよ。
とモモコが言った。

わかった。じゃあ
オセロって呼ぶことにする。
とサラが言った。

サラたちが帰った後、
ベーカリーでアイスとルビーが話している。
いろんなことがあるんだねえ。
そうだね。
ところでコスプレコンテスト、
今年も継続するって言ってたけど、
募集もう始めてるの?
うん。でもまだ正式にアナウンスはしてない。
気が早い人もいるのね。
と言ってアイスは広場の方を見ていた。

たまきは声をかけられている。
あの。この辺で新聞見かけませんでしたか。
落としちゃったみたいなんですけど。
さあ、私さっき来たばっかりで。
解説)
モモコの確信が
どこから来たのか謎です。
Jan 05, 2023
撮影日和

ジェニーたちの部屋で。
今日もいい天気だね。
と言っている。

ねえ。日本一周すごろくでもしようよ。
たまきとモモコは?

二人なら、今日こそペンギン前で
焼き芋焼くってまた出かけたよ。
あら、あなたも出かけちゃうの?
うん。このところずっと
読書三昧だったから、
体動かさないと。
でも日本一周すごろくも
面白そうだね。

たまきとモモコはペンギン前にきたが、
とても焚き火ができそうな雰囲気ではなく、
人で混み合っていた。
エトナがこの場所で記念撮影の
サービスをしていることが評判になって、
希望者が詰めかけているのだった。
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郊外のバービーハウスに住む
キサラとシオンもきていた。
久しぶりだね。一年ぶりくらいかな。
ずっとアルのビストロでバイトしてたからね。
獅子舞するの?
これ撮影用のコスプレなのよ。
などと話している。
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狐の駒井今子が大好きな和服姿で
撮影してもらっている。
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あったかそうなダウンですね。
郊外に住むことになって、
記念に撮影してもらいにきたんです。
このダウン、確かにあったかいんですが、
なんだか規約違反をしている気がして、
どうも落ち着きませんね。
とジョー軍曹が言っている。
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ペンギン前での焚き火を諦めた
たまきとモモコは
広場にやってきた。
リタがまだ凧をあげている。
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魔術劇場の女性陣が
コートを着込んで凧あげを見ていた。
皆さん、お揃いでお出かけですか?
とエヴァがマリアに聞いている。
これからペンギン前まで記念撮影に。
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モモコは、サラの姿を見つけた。
しかも地面にはカメが。
解説)
記念撮影日和で
着せ替える服装もさまざまです。
Jan 04, 2023
夢のお土産
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広場では連日
凧あげが行われていた。
ひそこも一緒に
嬉しそうに飛び回っている。
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サラの帰りがあまりにも遅いので、
心配したジェットが
魔法劇場を訪ねて
エヴァに声をかけていた。
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心配ないわよ。
サラならクリスマスから
ずっとベッドで寝てるから。
と言われている。
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その時、劇場の魔法の扉から
ヴィヴィアンが顔を出した。
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サラも後から出てきた。
ヴィヴィアンはサラを
見送りに出てきたのだった。
あれ、なにこれ。
とサラは、もぞもぞとした動きを感じて、
パーカーのポケットを見ている。
そこにはカメが入っていた。
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サラ。帰りが遅くて、みんな心配して
代表で様子を見にきたんだよ。
とジェットが言った。
それはありがとう。
もう一週間も経ったのね。
向こうの世界では、
あっという間だったんだけどね。
そのポケットのカメ。
うん。なぜかいるのよ。
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いつポケットに潜り込んだんだろう。
よく考えて思い出してみて。
とヴィヴィアンが言った。
あなたメルティの部屋で、
カメのこと話題にしなかった?
うーん。メルティと話していて、
干支のウサギが話題になって、
普通ウサギといえばカメでしょう。
って言ったことを思い出したけど。
そう。きっとそれね。
そんなことってあるの?
夢の中でウサギは見かけなかった?
そういえば、
眠りから覚める前に
雪山のようなところで白ウサギを見たわ。
その時転ばなかった?
サラはそう言われて、
そういえば林の間の道を歩いていて、
一度滑って転んだような気がしてきた。
その時ポケットに入り込んだのよ。
とヴィヴィアンは言った。
そのカメはサラの言葉が
夢の中で実体化したもの。
ついてくるなんて、
よほどあなた好かれたのね。
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そのカメ、この「カメ新聞」に載ってる、
リクガメの幼体みたいだよ。
すごく可愛いいね。
とジェットが言った。
どうしてそんな新聞持ってるの?
この前、広場で拾ったんだよ。
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この世界ではサイズが小さいから、
大きくしてあげましょう。
とヴィヴィアンが言って、
カメを注視して呪文を唱えた。
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すると薄い煙が立ち上り、
カメは大きくなったのだった。
解説)
サラの異世界訪問の
お土産のような出来事が
起きたようです。
Jan 03, 2023
サラの話と記念撮影
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お目覚めのようだね。
とハリーの声がした。
もう年が明けていて、
サラは一週間ほど眠っていたようだ。
調合した飲み物の効力は、
かなり体質に依存するんだ。
とハリーがいった。
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サラはメルティの世界で
体験した出来事を
ハリーとヴィヴィアンに説明している。
魔法の扉そっくりの鏡のドアが
あったという話に
二人は興味を示したようだ。
私たちは通り抜けられなかったけれど、
そこからカウボーイみたいな人が
失くした帽子を探しに出てきたの。
日差しが強くて風ばかり吹いている
世界を通ってきたっていってた。
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二人は顔を見合わせた。
あの世界と繋がっているのね。
それって。
とサラが訊いた。
私が「夢のふるさと」って
呼んでいる場所よ。
別の言い方もあるんだが。
と言って、
ハリーは話を続けた。
メルティの夢の世界には、
最初魔法の扉を使って行き来できたけど、
彼女がこちらの世界に遊びにきてから、
なぜか鍵になる呪文が使えなくなってしまった。
そこで約束していたサラには、
調合した薬を飲むという、
別の方法で行ってもらったんだが、
向こうの世界に魔法の扉が残っていたというのは、
興味深い話だね。
しかも人がやってきたというのは、
完全に壊れているわけじゃなさそうだ。
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私はね。
管理局の仕業じゃないかと疑ってるの。
私たちに自由に魔法を使って、
異世界と行き来されたくないのよ。
夢と現実がごっちゃになることを恐れている。
でもデビルである私に言わせれば、
彼らだって自分達の信じる世界観に縛られた
一つの世界の住人にすぎない。
ねえ、マーリンとこれから鍵の呪文を研究して
メルティの部屋と行き来できる
魔法の扉を復活させましょうよ。
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ふむ。それはいいが。
実際、この町ではジャンの世界の住人たちが
暮らし始めていて、ある意味融合が起きてるからね。
そういえば、管理局に勤める人物が
この町に引っ越してきたという話もある。
まあこれも大きな力の流れにしてみれば、
ゲームのようなものかもしれないんだが。
とハリーは言った。
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喫茶店ペンギンの前は人で混み合っていた。
エトナに声をかけられて、
ペンギンの二階の探偵事務所の人々が、
記念撮影に降りてきていたのだった。
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探偵と助手の鷲尾翠と
同居人の心理カウンセラーのエリスが、
すぐ済むから、ちょっと順番待っててね。
とエトナに言われている。
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探偵助手の見習いのドロレスや
見習いの手伝いのミューも降りてきていた。
あったかいコーヒーありますよ。
とリズがドロレスに声をかけている。
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後ろの家の住人で
管理局に勤めているバグと、
連れのカメラマニアらしい女性も
エトナに呼ばれて出て来ていた。
これローライフレックスの
二眼レフカメラね。
詳しいんですね。
などと話している。
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お引っ越し記念と
お正月記念の撮影を始めます。
エトナはファインダーを
上から覗き込んでいる。
解説)
なんとなく繋がっているような展開です。
Jan 02, 2023
サラの帰還
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サラとメルティは仲良くなって、
おしゃべりに夢中になっていた。
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きた時はクリスマスだったけど、
どのくらい時間が経ったんだろう。
ここにいるとよくわからない。
来年の干支はウサギだよ。
ウサギといえば雪山の白ウサギだね。
そうなの?
普通ウサギといえばカメでしょう。
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あ、サラどうしたの?
私何だか急に眠くなってきちゃった。
薬の効き目が切れたのかも。
とサラが言った。
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サラの姿は次第に
ぼんやりと薄れていき。
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メルティの目の前から消えていった。
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サラは雪深い場所に立っている
自分に気がついた。
足元には白ウサギが
嬉しそうに跳ねている。
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一匹のウサギが
方向を示すように足を上げた。
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この林の間の道を歩いていけばいいのね。
とサラは何となく確信して
歩き始めた。
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サラが目覚めたのは
見覚えのある緞帳のかかった
部屋のベッドの上だった。
解説)
サラは無事に
メルティの世界から
帰ってきたようです。
Jan 01, 2023
元旦のあれこれ
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おめでとうございます。
今日もタバコがおいしいわ。
と言っている。
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その植物は?
七宝樹っていう多肉植物よ。
年が改まった記念に
飾ることになったの。
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ジェニーたちの部屋では
おせち料理が開けられていた。
たまきとモモコは?
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今日こそ焼き芋焼くって
ふたりしてペンギン前に
出かけていったみたいだよ。
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二人がペンギン前に着くと、
エトナがウサギの彫像を設置中だった。
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ここで焚き火ですって?
えーっと、できたら、
しばらく待ってくれない?
とエトナはいった。
このベンチのあるスペース、
お正月の記念撮影に
ちょうどいい感じなのよ。
それでドルフィンの倉庫から
今年の干支のウサギの彫像を
借りてきて設置したの。
お正月明けたら撤去するからさあ。
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二人はエトナに
さっそく記念写真を撮ってもらった。
どこかで使えるかなあ。
と言っている。
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ベーカリー前の広場には
門松が作られていた。
みんなが上を見上げているのは。
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アイスが凧揚げをしているのだった。
すずやドラコが喜んで
ダーダーと叫んでいる。
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凧は元旦の空の
エアコン風の風に
はためいている。
解説)
白っぽいウサギの彫像は
セリアで購入しました。