Jan 03, 2023
サラの話と記念撮影
お目覚めのようだね。
とハリーの声がした。
もう年が明けていて、
サラは一週間ほど眠っていたようだ。
調合した飲み物の効力は、
かなり体質に依存するんだ。
とハリーがいった。
サラはメルティの世界で
体験した出来事を
ハリーとヴィヴィアンに説明している。
魔法の扉そっくりの鏡のドアが
あったという話に
二人は興味を示したようだ。
私たちは通り抜けられなかったけれど、
そこからカウボーイみたいな人が
失くした帽子を探しに出てきたの。
日差しが強くて風ばかり吹いている
世界を通ってきたっていってた。
二人は顔を見合わせた。
あの世界と繋がっているのね。
それって。
とサラが訊いた。
私が「夢のふるさと」って
呼んでいる場所よ。
別の言い方もあるんだが。
と言って、
ハリーは話を続けた。
メルティの夢の世界には、
最初魔法の扉を使って行き来できたけど、
彼女がこちらの世界に遊びにきてから、
なぜか鍵になる呪文が使えなくなってしまった。
そこで約束していたサラには、
調合した薬を飲むという、
別の方法で行ってもらったんだが、
向こうの世界に魔法の扉が残っていたというのは、
興味深い話だね。
しかも人がやってきたというのは、
完全に壊れているわけじゃなさそうだ。
私はね。
管理局の仕業じゃないかと疑ってるの。
私たちに自由に魔法を使って、
異世界と行き来されたくないのよ。
夢と現実がごっちゃになることを恐れている。
でもデビルである私に言わせれば、
彼らだって自分達の信じる世界観に縛られた
一つの世界の住人にすぎない。
ねえ、マーリンとこれから鍵の呪文を研究して
メルティの部屋と行き来できる
魔法の扉を復活させましょうよ。
ふむ。それはいいが。
実際、この町ではジャンの世界の住人たちが
暮らし始めていて、ある意味融合が起きてるからね。
そういえば、管理局に勤める人物が
この町に引っ越してきたという話もある。
まあこれも大きな力の流れにしてみれば、
ゲームのようなものかもしれないんだが。
とハリーは言った。
喫茶店ペンギンの前は人で混み合っていた。
エトナに声をかけられて、
ペンギンの二階の探偵事務所の人々が、
記念撮影に降りてきていたのだった。
探偵と助手の鷲尾翠と
同居人の心理カウンセラーのエリスが、
すぐ済むから、ちょっと順番待っててね。
とエトナに言われている。
探偵助手の見習いのドロレスや
見習いの手伝いのミューも降りてきていた。
あったかいコーヒーありますよ。
とリズがドロレスに声をかけている。
後ろの家の住人で
管理局に勤めているバグと、
連れのカメラマニアらしい女性も
エトナに呼ばれて出て来ていた。
これローライフレックスの
二眼レフカメラね。
詳しいんですね。
などと話している。
お引っ越し記念と
お正月記念の撮影を始めます。
エトナはファインダーを
上から覗き込んでいる。
解説)
なんとなく繋がっているような展開です。
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