Apr 22, 2025

アイスたちの探索

a1

ナディアたちと二手に分かれたアイスたちは
急斜面の崖を登っていた。

私は必死で蔓草を伝って登ったけど、
あなたは吸盤がついてるし、
手足が伸びて楽そうね。
とレイチェルが言っている。


a2

ヤビーは崖を登り切った。

何か見えますか。
見渡す限りジャングルよ。


a3

南のジャングルと
あんまり変わらないなあ。
本当に別世界なんでしょうか。


a4

私、ちょっと高く上がって、
周りの様子や
透明なバリアの存在を確かめてくる。
とアイスがいった。

私たちを見失わないでね。

ヤビーの赤い色を目印にするから、
もし川があったら、
川筋にでもいてちょうだい。
上から見つけやすいから。
そういうと
アイスは上昇していった。


a5

二人はジャングルを進んでいく。

南のジャングルとは、
やっぱり違いますね。


a6

小川がこの先で、
本流に注いでいるみたいだから、
そこでアイスさんの戻るのを待ちましょう。


a7

あ、あそこに誰か。


a8

二人の姿に驚いたようで、
女性と鹿は走り去っていった。


a9

追っていくと、
さっきの鹿が振り向いている。

レイチェルさん、そこに。
水辺の草むらからワニが這い出してきた。


a91

ワニは素早い動きで
ヤビーに襲いかかった。



解説)
続きます。
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Apr 21, 2025

サバンナを越えて

a1

ここが夢の中なんて信じられないなあ。
その彼女ってどこにいるんですか。
サバンナに来ることもあるけど、
みすずなら大抵西の森の家にいるわ。
西の森っていうと、
多分アイスたちが探検に行った方角だよ。
私たちも行ってみよう。

暇だから案内してあげる。
とシノが言った。


a2

あれやばくないですか。
近くに行かなければ大丈夫よ。


a3

一同は、足早に立ち去っている。
ジェラシックパークみたいだなあ。


a4

ナディアはちょっと興味を惹かれて
恐竜同士の戦いを見ていくことにした。

これは結構な迫力だわ。


a5

ナディアは戦いに見とれている。

あの尻尾のぶんまわしは、
なかなかのものね。


a6

不意に背後から暖かな鼻息が。


a7

空気をつんざくような咆吼と共に
恐竜は歯を剥いて口を開けている。
ナディアは、全速でジャンプした。


a8

恐竜は辺りを眺めまわしている。
危ないところだったわ。


a9

ナディアはみんなのいるところまで
飛んで行った。

どこで油を売っていたの?
ようやく森林地帯に到着したみたいよ。
と言われている。



解説)
続きます。
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Apr 20, 2025

洞窟を抜けて

b1

ナディアたちは洞窟の探検に向かった。

私が先導するから、
後からついてきて。
とナディアが言っている。


b2

ナーガラの死骸も
卵の殻も無くなっている。


b3

三人は洞窟内をしばらく進んで行った。

ナディアさんて勇敢なんですね。
本人は話したがらないけど、
彼女は戦時中、英雄視されていたのよ。
機械軍からは逆にとても恐れられていた。
あなたも戦場で出会わなくてよかったわね。
あ、薄明かりが見えるわ。


b4

やっと出口が見えた。


b5

やっぱり外は明るくていいなあ。


b6

あ、あそこに誰かいますよ。
ナディアは浮上して身構えている。


b7

あの洞窟を抜けてきたのね。
あなたたちも観光に来たの?

観光って、私たちは
南のジャングルから探検に来たんですよ。
ここはどうなっているんです。


b8

ご覧の通り、起伏のある草原に
まばらに樹木のあるサバンナ地域ね。
もっと西に行けば森林があるし、
東には砂漠が広がっているわ。
あ、まだ名乗ってなかったわね。
私の名前はシノ。
ナディアとツナとラルゴです。


b9

ここは観光地なんですか?
夢食いの仲間たちの間ではかなり有名ね。
じゃああなたは夢食いで、
ここは誰かの夢の中っていうこと?
そういうこと。
でも詳しいことは知らないの。
彼女に聞けばわかるかな。



解説)
続きます。
Posted at 21:01 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Apr 19, 2025

さらなる探検へ

a1

トリコ成長が早すぎない?
一回り大きくなった気がするわ。
ああやって
ずっと食べ続けですからね。


a2

ツナとレイチェルはシェルター型ロボットを
検分していた。

正面のカバーが開いたわ。
仮想現実世界で見つけたシェルと同じタイプね。
壊れてなければ操作は簡単。ここのレバーを引けば。


a3

低い起動音がして、正面カバーが閉じ、
背面カバーが開くと、
折りたたまれていた両足が伸びて、
シェルター型ロボットは立ち上がった。

やったわ。
認識機能はどうかしら。


a4

側面のカバーが開いて、
中から両腕が伸びてきた。

燃料が減衰しています。
至急燃料を補給してください。
と言っている。

燃料って、お水だったわね。
今貰ってくるわ。
あ、前にあなたと同じタイプのロボットに、
シェルっていう名前をつけたことがあるの。
あなたの名前は、
シェルニにするから、よろしくね。

シェルニですか。なんと安易な。
あ、了解しました。燃料をお願いします。


a5

やがて、探索に出発するメンバーが
庭に集まっていた。

留守番はフミコとサラと、
シェルニって名付けたロボットと、
ヤミーとヤッピーに任せるわ。
みんな準備はいいかな。

いいけど、あの門のある場所まで
川をさかのぼって徒歩で行くのには、
かなりの距離があるわよ。
とナディアが言った。

もちろん魔法を使っていくのよ。
ナディア、その岩の門があった風景を
思い浮かべてみて。
とアイスが言った。


a6

アイスが呪文を唱えると、
背景に川の上流にあった岩の門のイメージが見えた。
みんな驚いている。

私がこの情景を思い描いて、
心に浮かぶ呪文を唱えるのよ。


a7

位置はあの辺がいいかな。
庭の隅に鏡の扉が現れた。

超便利な魔法ね。
なんでもありすぎじゃない?
とツナが言っている。


a8

一行は鏡の扉を抜けて、
岩の門の前に移動してきた。

この向こうが別世界なんですか。
どうもそうらしい。でも、
未知の世界なのはこっちと同じようなものよ。


a9

一行はトンネルを潜り抜けた。

空気が微妙に違う気がするなあ。
けっこう急斜面ですね。

ナディア。ここでふたてに別れましょう。
私とレイチェルとヤビーは
この崖を登ってみる。
あなたとツナとラルゴは
洞窟の奥を探検してみて。
とアイスが言った。

アイス。危険だから、
あまり上空は飛ばない方がいいわよ。
とナディアが言った。
了解。



解説)
続きます。
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Apr 18, 2025

新たな計画

a1

これ、恐竜の子供って確か?
いつか図鑑で見たトリケラトプスの
幼体によく似てるのよ。形だけだけど。

それって成長すると、
どのくらいの大きさになるの?
確か全長9メートル、体重12トンくらいだって。
名前つけてないんでしょ。
トリコにしたら?

まだ飼うと決めたわけじゃないのよ。
勝手について来たんだから。
植物食だから放し飼いにしてればいいのよ。

あちらにテーブルが用意できました。
とヤミーが言った。


a2

ラルゴはミミコと再会していた。

ラルゴさん。あなたが第一発見者だったのね。
ミミコがヤビーさんに頼んで
探してもらっていた人はあなただったって、
言っているわ。
戻って来てくれて、とても嬉しいって。

僕の確信は外れちゃったみたいですね。
てっきりフミコさんのことだと思ったんですが。
とヤビーが言った。

でも変ですね。
私はご覧の通り通り人間ではありません。
とラルゴが言った。

ミミコは、心が人間だって言ってるわ。


a3

探索の結果の報告の会合が開かれている。

アイスは、ラルゴの住む家を見つけて、
ラルゴに事情を聞いたこと、
二人で戻ってくる途中で
シェルター型ロボットを見つけたことや、
ブラッキーを退治したことなどを話した。

ナディアは、北に向かって飛行している途中、
透明なバリアに阻まれ、
その先に進めなかったこと、
突然怪鳥に襲われて地上に落ちてしまったこと、
不思議な岩の門を見つけて、
その先の洞窟で、卵を狙うナーガラを退治したら、
卵からかえったトリコがついて来たことなどを話した。

いろいろ成果があったわね。
これからやってみたいことは、二つ。
とアイスが言った。
一つはなんと言っても北方の調査ね。
私は、以前迷いの森っていう所に探検に行って、
そこで、透明なバリアに対面したことがある。
バリアの向こうに世界があるのに入り込めないの。
でもナディアの潜った岩の門は、
その向こうに通じているんだと思うわ。
魔法が使えるようになって、
そういう異世界との間を繋ぐ、
扉のようなものがあるのはわかるのよ。
その場所に調査に行きましょう。

もう一つは?

それはシェルター型ロボットの回収ね。
これはラルゴさんと、
作業用ロボットの皆さんにお願いするわ。
動くかどうか試してみたいの。
もしロボットが使えるなら、何かの時に、
ミミコをシェルターに避難させることができる。

私はまず飛行装置の修理をしなくちゃ。
とナディアが言った。

シチューあんまり減ってないわね。
味付けの問題でしょうか。
などとサラとヤミーが話している。


a4

会合ののち、ロボットたちはさっそく、
シェルター型ロボットの回収に出かけて行った。

フミコにさっき聞いたんだけど、
ラルゴさんが、人間の心を持っているって、
ミミコが言ったんですってね。
とサラが言った。


a5

あまり思い出したくないことだけど、
その意味はわかるわ。
とナディアが言った。

あのラルゴ4型は機械軍によって戦争末期に開発された。
純粋な戦闘用ロボットじゃなくて、
機械軍に捕虜となった優秀な人間の兵士の
脳を組み込んだサイボーグだって噂があったの。
その人の個人的な記憶を一切消し去って、
兵士の身体の運動能力だけを利用しているっていう。
そういうサイボーグ化は人類の側もやっていたけど、
改造前の人格も消しちゃうなんて彼ららしい発想だわ。


a6

人間だった頃の人格の記憶は消し去られていたけど、
深層にある人間的な感情や心の動き方が、
ミミコの泣き声で蘇ったという訳ね。
それでラルゴは、生理的な感情にかられて、
ミミコを抱いて戦場を逃れて森に隠れ住んでいた。
感情を取り戻したせいで、
ロボットの仲間たちを裏切った罪悪感に
ずっと苦しめられていたなんて。


a7

その時、ジャングルの中から
なんとツナとレイチェルが現れた。

サラの部屋の鏡の扉から来ちゃった。
ここは仮想現実世界とよく似たジャングルで、
ロボットたちが暮らして居るんでしょう。
サバイバルのプロとロボット学者のお出ましよ。
と言っている。


a8

呼ばれてないけど、
しばらく戻れそうもないとなると、
仮想現実の世界が恋しくなっちゃってね。
中毒なのよ。
機材を持ってきたわ。
何かのお役に立つでしょう。
などと二人は押しかけた言い訳をしている。


a9

そこにタイミングよく、
ロボットたちが戻ってきた。

シェルター型ロボットを運んできましたよ。
と言っている。



解説)
続きます。
Posted at 20:24 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Apr 17, 2025

アイスの帰還

a1

アイスはラルゴ4型を説得して、
二人でヤビーたちの家に向かった。

しかしあなたは
冷酷非情な戦闘用ロボットのはず。
どうしてミミコの命を助けて、
戦場から離脱することにしたの?
それに、戦争を忌避して恥ずかしいなんて、
繊細な感情も持ってるみたいだし。

瓦礫の山の側でミミコの泣き声を聞いた時、
何かが解除されたような気がしたんです。
別の何かに促されるような感じで、
自分でもよくわからないんですが。


a2

ミミコがテレパシーで働きかけたのかなあ。
あ、ヤビーたちの家に向かうルートは
覚えているのね。
はいほぼ一直線で向かっていますよ。


a3

あら、こんなところに何か。

金属製の球体が
半ば草に埋もれている。


a4

これは戦争末期に人類の側が作った
シェルター型ロボットのようですね。
内部が空洞になっていて、
人を収納できるはずですが、
中には誰もいないようです。


a5

その時、茂みに潜んでいた巨大な蜘蛛が現れ、
ひょんと球体の上に飛び乗った。


a6

アイスの銃弾に、蜘蛛は地上に
落ちて動かなくなった。

すごい早打ちですね。
これはブラッキーと言って、
ネット状に細かな群体を張り巡らして
獲物を身動きできないようにしてから
捕食する生き物です。
多分シェルターを巣にしたかったんでしょうが、
入り込むのは無理ですね。


a7

川音が聞こえるわ。
もうすぐそこです。

割と近かったのね。
さっきのシェルター型ロボット、
回収することはできないかな?
作業用ロボットたちに手伝って貰えば、
なんとかなるでしょう。
動くかどうかわかりませんが。


a8

二人はヤビーたちの家に帰り着いた。
ちょっと懐かしいなあ。


a9

アイスたちが正面の庭にいくと、
すでにナディアが戻ってきていた。

おや、変わった生き物がいるのね。

サラが恐竜の子供じゃないかって。
北の方の洞窟で生まれて私について来たのよ。
あなたも変わったお連れがいるのね。

南の方の廃屋で暮らしていた
ロボットよ。

そのスタイルは知ってるわ。
戦争末期に機械軍が投入したラルゴ4型。
全部破壊されたと聞いてたけど
生き残っていたのね。

え、そうなの?

私は戦線を離脱して森に隠れていたんです。
それで生き残ってしまったんです。
とラルゴ4型が言った。

ラルゴ4型か。言いにくいから、
ラルゴでいいわね。
どうぞよろしくラルゴさん。私はサラよ。
そちらはナディアと後ろにいるのはヤビー。
アイス、シチューができたから食べましょう。



解説)
続きます。
Posted at 20:23 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Apr 16, 2025

ナディアの探索

a1

ナディアは茂みの中から身を起こした。

下の森ばかり見ててすっかり油断してた。
木の枝がクッションになって助かったわ。


a2

装置が損傷したせいで、
羽ばたく速度が落ちている。
もう上空を飛ぶのは無理ね。
近くに渓流があれば、
川筋を辿って帰れるんだけど。


a3

ナディアは川を見つけた。
ついでだから、
もう少し上流に行ってみるか。


a4

ゆっくりと低空飛行していくと
岩壁を抜ける門のような地形があった。

この辺りはバリアのあった空域の筈だけど、
この門の向こうからは風が吹き込んでくる。


a5

門を抜けると、
大気の密度が微妙に変わった感じがする。
正面の斜面に洞窟がある。


a6

ナディアが洞窟を覗き込むと、
二匹のナーガラが大きな卵に
群がっているのが見えた。


a7

ナディアは銃を抜くと
素早い動作で二匹の蛇の頭を吹き飛ばした。


a8

ひびの入っていた卵の殻が割れて
なんと牙を持った生き物が顔を出した。

ナーガラは君が出て来るのを、
待っていたのね。
危ないところだったわ。


a9

門のこちら側の大気は明らかに違う。
洞窟の奥や崖の上も調べたいけど、
この状態じゃ深入りは危険ね。

一旦報告に戻ることにしたナディアが、
洞窟を出て、門に向かうと、
生き物が後から追ってきた。


a91

ツノのある生き物は、
ゆっくり低空飛行してヤビーたちの家に戻る
ナディアの後をついて来る。

ま、いいか。



解説)
続きます。
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Apr 15, 2025

アイスの探索

a1

アイスは家の中を
調べてみることにした。


a2

誰かいますか?


a3

室内はがらんとしている。


a4

なんと奥の部屋に、変わったスタイルの
ロボットが立っていた。
アイスはヤビーの追憶の情景イメージで、
このロボットを見たことを思い出した。
ロケットランチャーを手にしているようだ。

えっと君は?
私は元機械軍兵士です。
あなたはさっき空を飛んでいた人ですね。

怪鳥かと思って狙い撃ちするところでしたよ。
よく見ると人間が鳥の羽根に跨っているので、
撃つのをやめましたが、
ここに降りて来るとは思わなかったな。


a5

どこから来たんです?

北のジャングルにここと同じような廃屋があって、
作業用ロボット三体と人間の赤ん坊が暮らしているの。
私はそこから来たのよ。生存者を探しているの。

みんな元気でしたか。その家なら知ってますよ。
元々私が赤ん坊と一緒に住んでいたんです。
あの赤ん坊は、実は最終戦争の時、
空爆された地域の瓦礫の陰で
泣いていたのを見つけたんです。
私は赤ん坊を抱いて軍を逃亡して
森に逃れてあの家に隠れて暮らしていたんです。
しかし戦争が終わり、
ある時、作業用ロボットたちが近くに来たので、
赤ん坊を置いたまま、あの家を出たんです。
私より彼らが育てる方がいいですから。

作業用ロボットも同じ機械軍だったんでしょう。
もう戦争は終わったし元は味方同士じゃないの。
私は逃亡者ですから。顔を合わせるのが気まずくて。
繊細なのね。
あの赤ん坊は、ミミコという名前ね。
あなたがつけたの?
自分で言ってましたよ。
あの子はテレパシーが使えるんです。

ミミコはね。南の方に人間がいるから、
探してきて欲しいって、作業用ロボットの一人に頼んだの。
それで探しに出たロボットが、途中で記憶を失って、
異世界に迷い込んで私たちの世界に来たの。
私たちはそのロボットと一緒に
この世界に来たっていうわけ。
複雑そうな話ですね。

南の方の人間ってあなたのことじゃない?
ミミコはあなたに戻ってきて欲しいんじゃないかしら?
私は戦闘用ロボット、ラルゴ4型ですよ。
この姿を見てください。ありえないですよ。


a6

二人の話は続いていた。

あなたはこれまで生存者の姿は見なかった?
巨大化した昆虫やトカゲは見かけましたが、
ロボットや人間は見たことないですね。

さっき怪鳥って言ってたわよね。
ええ、けっこう大きな鳥が飛んでくるんです。
一度襲われたことがあるんで、
見かけたらランチャーで脅かすことにしているんですよ。
武器があると心強いわね。
あなた、やっぱりミミコのところに戻るべきよ。
その方がミミコも安全でしょう。
そうでしょうか。


a7

その頃ナディアはどうするか迷っていた。

透明なバリアでこれ以上進めそうもないし、
建物らしきものも見あたらない。
一旦戻った方がいいかなあ。


a8

その時、ナディアは突然頭上から
急降下してきた怪鳥に不意をつかれた。


a9

鋭い爪が飛行装置のスイッチに引っかかり、
翼の停止したナディアは
応戦するすべもなく森林に落ちて行った。



解説)
続きます。
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Apr 14, 2025

空からの探索

a1

それバットマンみたいね。
と言われている。


a2

アイスはひらりと、
ナディアはパタパタと空に舞い上がった。


a3

私は北に。
私は南を見て来るわ。
ここの地形を忘れないように。
了解。


a4

ナディアは飛んでいく。


a5

この川沿いにいってみよう。


a6

ずいぶん森が広いなあ。
あら、ここから先は
なぜか押し戻されて、進めないわ。


a7

アイスは南に向かっていた。


a8

はるかに山並みが続いているのね。
あ、あそこに屋根が見える。


a9

アイスは家の近くに舞い降りた。



解説)
続きます。

人形日記の「目次」を更新しました。
今年の3月分まで日付やタイトルで検索できます。
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Apr 13, 2025

ヤビーたちの世界 そのさん

a1

話し合いは続いていた。

僕たちは、ここに残されてもいいんです。
できればミミコと一緒にいたいですが、
みなさんにご迷惑をおかけしたくないです。
戦争だけはもう懲り懲りなので。
とヤビーが言った。

じゃあみんなで引っ越す案は一応置いといて、
ここでできることを考えましょう。
もしここが最終戦争後の未来世界なら、
かりにバーボンハウスが存在していなくても、
他に生存者がいる可能性はある。
探索する価値はあると思うわ。
とナディアが言った。

ジャングルの探索ねー。そうだ。
九官鳥の羽根があれば空が飛べる。
上空から見れば何かわかるかも。
とアイスが言った。

研究所に戻れば、ミューが作った飛行装置がある。
あれがあれば、私も飛べるわ。
とナディアが言った。

じゃあとりあえずやることは決まりね。


a2

アイスとナディアは、
ジャングルに固定してある鏡の扉に向かった。

私はアフリカのマークっていう人に
九官鳥の羽根を預かってもらっているの。
こちらに戻る時、サラたちの部屋で落ち合いましょう。
了解。


a3

二人とも戻っちゃったわね。
私たちはどうしましょうか。
ジャングルをうろつくのは危険ですよ。
そうねえ。


a4

フミコはミミコを寝室に戻した。

ずいぶんご機嫌ね。
ドラゴニアベリーがあると安心みたいです。


a5

あれはなんでしょう。

やっぱりきたか。
あれはグリーンマンって言って、
私を守ってくれる追っかけなの。
覗いているだけだから無視していいのよ。
これで家の周辺が安全になるわ。


a6

ヤミーさん、面白い。
そうでしょうか。


a7

その頃アイスは、羽根を手に入れて、
ドルフィンで支度を整えていた。

武装して行くなんておおごとね。
念の為よ。


a8

アイスはナディアと待ち合わせていた
サラたちの部屋に到着した。

お待たせ。研究所の様子はどうだった?
まだまだ計算に時間がかかりそうだって。
ツナも来たがっていたけど、
装置は一つしかないから。


a9

二人はヤビーたちの家に到着した。

お帰りなさい。
何か作るの?
ナーラガとドラゴニアベリーの
ごった煮のシチューよ。
それ美味しいの?
たぶんね。食べたことないけど。



解説)
続きます。

ミューの作った空飛ぶ装置が出て来るのは、
2024年10月16日「賑やかな日々 そのよん」などです。
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Apr 12, 2025

ヤビーたちの世界 そのに

a1

やっぱりアフリカのジャングルに似てるわ。
せせらぎが聞こえる。
近くに小川があるのね。

はい。


a2

サラは小川を見つけた。


a3

その時、岩陰から蛇が。


a4

みじかで銃声がした。
サラの背後にナディアが立っている。

サラ。これはナーガラって言って、
食べると美味しいけど、危険な毒蛇なのよ。
人間を狙うから気をつけて。

ありがとう。
やっぱりここはアフリカとは違うわね。


a5

フミコとアイスが話している。

さっきの銃声は?
ナディアが毒蛇を退治したらしいわ。
あの音で、ミミコが目覚めて話しかけてきたの。
このペンダント、私に持っていて欲しいって。
やはり同じものだったのね。


a6

どうしてこの廃屋にいたのか聞いてみた?
赤ちゃんだからよくわからないって。


a7

ナディアとヤビーが話していた。

ナディアさん、すごいですね。
機械軍の兵器にも詳しかったみたいだし。
戦争経験者だったからね。
CGで生き残ったのは私だけみたい。
なんとCGだったんですか。

ところで、この辺りにナーガラはかなりいるの?
はい。僕たちロボットは襲わないんですが、
時々ミミコを狙ってくるんです。
危険地帯なのね。


a8

私たちのバーボンハウスに行ければ、
安全なんだけど。
方角も距離もさっぱりわからないからね。


a9

四人はこの先のことを相談している。

どうしたものかなあ。
ここは人間が住むには危険よ。
ナーガラが出没するみたい。

私が結界を張るわ。
とフミコが言った。
アフリカの遺跡の周辺のように、
森や生き物に守ってもらうのは無理でも、
建物への侵入は食い止めることはできる。

フミコはまさかここで暮らすつもりなの?
先のことはわからないけど、
ミミコをほっとくわけにいかないでしょう。

バーボンハウスに行ければ、
人もロボットも大勢いるしずっと安全よ。
私の記憶を辿って、鏡の扉を作っていけないかな。
とナディアが言った。
残念だけど、それはたぶん無理よ。
転送装置が計算中で停止してるんでしょう。
仮想現実世界はAIが作ってるものだから。
それに、この世界と似てはいるけど、
地続きなのかどうか、それもよくわからない。

ヤビーの記憶と私の記憶は重なるし、
ナーガラがいたりドラゴニアベリーもあるし、
同じ世界のように思えるんだけど。
とナディアが言った。

あなたの記憶もAIの生んだ仮想現実、
ヤビーもロボットなのよ。
そう言われると返す言葉もないわね。

ミミコを連れて帰ると言う選択肢は?
魔族のハリーたちなら喜んで受け入れてくれるわよ。
ロボットたちもシェリーの研究所で開発したことにすれば、
なんとか言い訳ができそうじゃない?
アフリカに行けば人目を気にする必要もなさそうだし。
とサラが言った。

それも一案ね。
問題は、地球を宇宙人たちが観察しているって言うこと。
異世界からロボットたちが来たことが知られると、
宇宙連合がどう考えるか。
彼らは機械文明が勝利した諸惑星連合と
対立してるって言う話だから。
侵略者だと見做されかねないって言うことか。
来るのは作業用ロボットだから考えすぎじゃない?
だといいけどね。レプティリアンもいるのよ。
ロボットたちにも意見を聞いてみないと。

ヤビーは心配そうに聞いている。



解説)
続きます。
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Apr 11, 2025

ヤビーたちの世界

a1

ヤビーとアイスに続いて、
フミコも鏡の扉に入ろうとしている。
ナディアが私も行くわ。
と言っている。


a2

アイスたちは扉の向こうの世界に
抜け出ていた。

僕たち、今もここに住んでいるんです。
正面に回りましょう。


a3

ロボットたちが家の中から出てきた。

おお、ヤビーじゃないか。
おかえり。
無事に人間を見つけてきたようだね。


a4

ヤビーは屋内の2階の部屋に
アイスたちを招き入れた。

ミミコはすやすや眠っているようだ。


a5

この世界に入ったら、
胸のペンダントが消えてしまったわ。
ミミコが抱いてる頭蓋骨の方が
実在することになってるみたい。


a6

君たち区別つかないなあ。
青いのがヤミー。赤いのがヤッピー。
バッグと水筒を持ってるのが僕です。
ヤビーですよ。


a7

その頃、サラたちの部屋に、
局長を見送ったサラが戻ってきた。

これは鏡の扉ね。
アイスさんたちが別世界に行ったんです。

ノヴァさんは一緒に行かなかったの?
僕は観光で来ている宇宙人なので、
何かあったら大問題になるので、
待っているようにとアイスさんに言われまして。


a8

じゃあ、私が代わりに
行ってみるわ。


a9

何も事情を知らないサラは、
赤ん坊を見て驚いている。

サラも来ちゃったか。
ここはどこ?
アフリカのジャングルみたいね。

アフリカじゃなくて、未来世界なんだよ。
その赤ちゃんは?
ミミコって言うのよ。
事情はこれから話すから。


解説)
続きます。
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Apr 10, 2025

ヤビーの記憶

a1

サラたちの部屋で、
みんなが話し合いをしている時、
研究所からナディアがやってきた。

ヤビーさん、バッグと水筒忘れたでしょう。
届けにきたわよ。

あ、どうもありがとうございます。
とヤビーが言っている。


a2

じゃあこれから、
あなたの記憶のイメージを
魔法で再現できるか試してみるわ。
昔のことを思い出してみて。

はい。


a3

ヤビーが昔のことを思い浮かべ、
アイスが呪文を唱えると、
みんなの背後にそのイメージが現出した。

これは。
あれは機械軍の戦闘爆撃機よ。
とナディアが言った。


a4

あれは、ラルゴ4型ね。
緑の火炎を吹いて、かなり興奮してるみたい。

なんなんです。
機械軍の戦闘用ロボットよ。


a5

見渡す限り瓦礫の山ね。
これ最終戦争の頃でしょう。
ヤビーさん記憶が古すぎるわ。


a6

私にはすごく懐かしいけど。
とナディアが言った。


a7

すごい記憶の情景だけど、
戻りたいのは、
あなたがミミコに言われて旅に出た頃よ。

はい、昔のことを思い出そうとすると、
戦時中のことが浮かんでしまうんです。
何か手がかりが。
とヤビーが言った。

手がかりならあるはずよ。赤ちゃんや、
この山羊の頭蓋骨のことを思い出して。
とフミコが言った。


a8

ヤビーは言われた通りに記憶の中の
山羊の頭蓋骨のことを思い浮かべた。

カゴの中で赤ん坊は
すやすや眠っているようだ。


a9

ここです。これが森の中で見つけた廃屋です。
この中でミミコが泣いていたんです。

やったわね。
では、この世界に鏡の扉で行ってみましょう。
アイス、あなたがやってみて。


a91

アイスが家のイメージを念頭に、
思いついた呪文を唱えると、
幻影は消え、部屋の壁に鏡の扉が出現した。



解説)
続きます。
Posted at 20:21 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Apr 09, 2025

局長の帰還など

a1

肉まんを買い込んだ局長たちは、
管理局への通路のあるミラたちの家に向かい、
ペンギン前にたどり着いていた。

お戻りですか。
とバグが声をかけている。

先月の20日に来たから、
3週間近くの長期休暇になっちゃった。
ハリーやヴィヴィアンには会えなかったけれど、
フリーマーケットやお花見を存分に楽しめたわ。
あら、あなたはミラの妹のカコさんだったわね。


a2

覚えていてくれたんですね。
あれから私は宇宙連合にスカウトされて、
レプティリアン文明に派遣され、
彼らが保護しているって主張している、
この惑星を観察する宇宙ステーションにいるんです。
他にも親善大使みたいな異星人が大勢いますよ。
ところで、宇宙ステーションの艦長は、
天使族出身だと言うことですが、
もしかしてお知り合いなんですか。


a3

ええ。彼女は幼友達。
彼女が宇宙ステーションの艦長になる前には、
一緒にこの町を訪れたこともあるのよ。
一昨年に休暇をとった時のことね。それがきっかけで、
彼女地球オタクになったんじゃないかしら。


a4

なるほど。それで納得しました。
宇宙ステーションの中に美術館まで作って、
オタクぶりがすごいんですよ。
この星には管理局もあるし、縁があるんですね。

あれから連絡取ってないんだけど、
会ったらよろしく伝えておいてね。


a5

サラと別れの挨拶を済ませ、
局長は肉まん入り手提げ袋を持ったミラと一緒に
地下通路に向かっていった。

サラは、また来年ね。
と呟いて見送っている。


a6

サラたちの部屋では、フミコと、
訪問したアイスたちとの会話が始まっていた。

アイスはこれまでの経緯を
話している。


a7

ロボットのヤビーさんは、
未来の世界から来たと言うことになるのね。
あら、何をそんなに見つめているの?


a8

そのヤギの頭のようなペンダント、
ミミコが持ってるのとそっくりなんです。
ミミコを見つけた時、カゴの中にあったものです。


a9

これは、去年の暮れに、
ダリオっていう人から着付けのお礼に頂いたもの。
アフリカの先住民から貰ったって言ってたけど、
彼のいうように静かな魔族の波動が感じられる。
とても気にってるの。
でも、これがもし同じものだとすると。


a91

ミミコはフミコの子供か子孫か、
少なくとも関係する魔族の可能性があるっていうこと?

僕にはよくわかりませんが、
ミミコが連れてきて欲しい人が、
フミコさんなんだって、なぜか確信しました。

確信は良くないわよ。
あなたロボットなんでしょう。
と言われている。



解説)
続きます。

宇宙ステーションの艦長は、
2023年3月25日「局長の休暇」
などに登場しています。
局長が連れてきた二人の友人のうち、
赤っぽい服を着ているのが後の艦長です。

ヤギの頭蓋骨のペンダントのエピソードは、
11月6日「サラとバービーたちの衣替え」
に出てきます。

Posted at 20:23 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Apr 08, 2025

研究所で そのよん

a1

マヤの提案を受けて、
転送装置が運ばれてきた。
ミューはシステムにアクセスして、
装置の起動を始めている。


a2

するとモニターに、
人工知能アンがミューの姿で現れた。

ごめんなさい。
今、転送機能は使えないの。
ヤビーの記憶の修復中にちょっと問題が起きちゃって。
膨大な計算が必要でミューにも手伝ってもらうから、
ミューの機能もしばらく停止するわ。
ツナとナディアは消えちゃうわけじゃないから、
そのまま現実世界にいてね。
回復したらお知らせします。


a3

ミューが静止しちゃったわよ。


a4

ミューと人工知能アンは元は同じもの。
今では人工知能アンが巨大なシステムを作っていて、
研究所の施設や転送装置などもコントロールしている。
ミューは独立した人格を持つロボットだけど、
人工知能アンとは手足のように繋がってもいるの。
ミューの力まで借りたいなんて、よっぽどのことね。
とシェリー博士が言った。


a5

私たちが消えちゃたりもするんですか。
とツナとナディアが言った。

あなたたちは元は仮想現実世界のNPCだから、
装置が停止すれば消えてしまうはず。
でも転送されたこちらの世界で
すでに実体化してるから消えないのかな。
時空の歪みが関係しているみたいだけど、
人工知能アンが言うんだから大丈夫なんでしょう。
私にはよくわからないの。


a6

でもね。色々考えてたんだけど、
ヤビーさん。あなたの住んでいた世界と、
ツナやナディアの暮らしていた
仮想現実の未来世界が似ていることはわかった。
でも同じ時空だとしても、
もっと過去かも未来かもしれない。

ずれてたらどうなるんでしょう。

それもわからないわ。人工知能アンは
辻褄を合わせるために、
そう言う計算をしてるのかもしれないわね。
ヤビーさんは、これからどうされるおつもり?

生き残っている人を見つけて
ミミコのところに連れて戻るのが僕の使命です。
ミミコは人間に育てられる方が幸せだと思うし。
でもこんな別世界に来てしまい
誰に声をかけていいのか。
どうやって戻ったらいいのか。
とりあえず、アイスさんたちに相談してみます。


a7

ヤビーは、自分の記憶が戻ったことや、
現状の一部始終をアイスとノヴァに報告している。

じっくり話を聞いていたアイスは言った。
そのミミコって言う赤ん坊、
テレパシーや魔法が使える魔族なのね。
そんな能力を持っている魔族の人を知ってるわ。
それに魔法で生み出せる鏡の扉を使えば、
あなたの世界に戻れるかもしれないわよ。


a8

その頃サラたちの部屋では、
みんなが賑やかに歓談していた。


a9

そのお揃いのペンダント素敵ですね。
とメアリーが訊いている。

フミコが二つに分けてくれたのよ。
直近にあんな魔法を見るのは久しぶりだったわ。
局長でもそうなんですか?
お花を咲かせたりするじゃないですか。
あれはお花が自分で咲くのを手伝うだけ。


a91

おかげで楽しく過ごせたわ。
流石にそろそろ帰らないと。

ペンギン前まで送りますよ。
ありがとう。
その前に広場で肉まん買っていきましょう。


a92

サラたちが出かけた後に、
入れ違いに、アイスとヤビーとノヴァが訪ねてきた。

こんにちわ。
フミコいるかな?



解説)
続きます。
Posted at 20:23 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Apr 07, 2025

研究所で そのさん

a1

ナディアはツナを呼びに来ている。

ツナ。今記憶を修復中のロボット、
どこかで見たような気がするんだけど、
あなたも確認してくれない?
いいけど、どこかって。


a2

二人が奥の部屋に行くと、
ヤビーとミューたちが話していた。

ありがとうございます。
以前のことを思い出しました。
よかったね。
記憶のデータにアクセスできない状態に
なっていたんだけど、
データそのものは深層に残っていたんだよ。
そんなことってあるの?


a3

思い出せることをお話しします。
と言って、ヤビーは話し始めた。

僕たちの住む世界では機械と人間の戦争があり、
結果は共倒れで、世界は荒廃してしまいました。
生き残った僕たちは森の中で暮らしていたんです。
それで、あるとき廃墟の中で泣いている
不思議な人間の赤ん坊を見つけました。
なんと、その子は、不思議なことに僕たちと
テレパシーで会話ができたんです。
その子はミミコと名乗りました。
ミミコは、森の南の方角に
人間がまだ生き残っているはずだから、
どうか探してきてほしいと言うのです。
それで僕は仲間たちに後を任せて、
人間の格好をして旅に出たんですが、
途中で深い霧の中で記憶を失ってしまい、
気がつくと泉のほとりにいたんです。


a4

話を聞き終えたツナが、
あなたのボディ、見覚えがあるわ。
と言った。
戦時中に機械軍に使われていた
作業用のロボットそっくり。
でも、似てるのはボディだけね。

なんと、ご存知なんですね。
そうです。僕たちは作業用ロボットでした。


a5

こんな感じだったのではないですか。
とヤビーが言って、
お面と腕のパーツを取って、
手足を縮めた。

ああ、やっぱり。
その姿なら私の記憶にぴったり。
とツナが言った。

僕たちは進化したんです。
というか、ミミコが
人間に出会ったとき、
怪しまれないようにって、
人間に変装できるように、
魔法をかけてくれたんです。


a6

そういうと、
ヤビーは手足を伸ばしてみせた。

魔法ですって。
じゃあ、その子は普通の人間じゃなくて、
魔族の生き残りだったのね。
とレイチェルが言った。

なんかちっちゃい子が喜びそうなスタイルね。
とマヤが言った。


a7

ヤビーは質問攻めにあっていた。

どうやって生きながらえていたの?
僕たちのエネルギー源は水ですから、
なんとかなるんです。
あとはスクラップを拾ってきてお互いに補修して。
ミミコの食べ物はドラゴニアベリーって言う果物や
毒蛇のナーガラをすりつぶして。

あれはみんなの主食ね。
とレイチェルが言った。


a8

話を聞くと、あなたのいた世界って、
私たちが住んでいる未来世界によく似ているの。
とツナが言っている。

そこは人類と機械の間で最終戦争が起きた後の世界。
生き残った僅かな人類とロボットたちが、
細々と暮らしている。
私たちが暮らす地域の近辺は、
瓦礫だらけの荒涼とした世界だったけれど、
今では異世界から来たミズハって言う精霊の力で、
豊かな森林に覆われているわ。
そこで私たちも生き残った仲間を探していたの。
だから状況はほぼ同じね。
私が戦時中に見た機械軍の作業用ロボットに、
あなたがそっくりなのにも驚いた。
もし私たちが同じ未来世界にいたのだとすれば、
そのミミコという赤ん坊が探して欲しいと頼んだのは、
私やナディアのことだった可能性もある。


a9

どうもそのようですね。
とヤビーが言った。

シェリー博士は考え込んでいる。
もともとAIの生み出した仮想現実の未来世界なのに、
こんな符号ってありえるのかしら。

確かめてみればいいんじゃない?
転送装置を使って未来世界に戻ってみれば?
とマヤが言った。



解説)
続きます。
Posted at 20:23 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Apr 06, 2025

研究所で そのに

a1

アイスとノヴァが話している。

ヤビーさんをどこか泊めてくれるところないですか。
僕はいずれ、宇宙ステーションに戻らなくちゃならないし。
ハリーに頼めばいいわよ。
魔術劇場なら誰でも受け入れてくれるから。


a2

そこに、シェリー博士たちが
お花見から帰ってきた。

アイスがここに来るなんて珍しいわね。
ちょっと頼み事で。

アイスはヤビーの記憶修復のことなど、
研究所に来た理由を話している。


a3

ツナとドロレスも戻ってきた。

そちらの方は?
観光に来ているノヴァさんよ。
ヤビーの修復が済むまで、
ここで待たせてもらってるの。
じゃあ私がお相手するわ。


a4

ドロレスは採りたてだという
ドラゴニアベリーを運んできた。

これは農家の即売所で見かけるわね。
私たちが卸してるのよ。


a5

産地が未来世界のジャングルだって知ったら、
みんな驚くでしょうね。
そーなんですか。
ツナとナディアは、
仮想現実の未来世界から来てるのよ。
ほー。この星でそんな装置を作れるなんて初耳ですね。


a6

シェリー博士とミューは、
ヤビーに対面していた。

あなたが記憶の修復をしにきたという、
ヤビーさんね。
レイチェル、修復は順調に行ってるの?
それが表面が特殊な金属で覆われていて、
内部が開けなくて。
ドリルじゃ歯が立たないんです。

直接開けられないなら、
あれを使ってみようよ。
とミューが言った。


a7

これは転送装置に使っていたヘルメットね。
もう必要無くなったから、
別用途に改造したの。
これでショックを与えるの?


a8

そんなことしないよ。
内部で発生している微細な電気信号と
やりとりするの。
損傷箇所を見つけることができるかも。


a9

私、このタイプのロボット、
みたことがある気がする。
とナディアが言った。

え、本当?

ツナも知ってるかもしれない。
呼んでくるわ。



解説)
続きます。
Posted at 21:54 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Apr 05, 2025

研究所で

a1

ドロレスとシェリー博士は
お花見に来ていた。

a2

ツナとナディアとミューも
一緒だった。

あ、向こうの公園にサラたちがいるよ。


a3

サラ、それにミラも。
研究所の皆さん、お揃いで。
久しぶりね。
おにぎりがあるわよ。
などと話している。


a4

その頃、シェリー博士の研究所には、
アイスとマヤとヤビーとノヴァが到着していた。
留守番をしていたレイテェルが、
対応している。

この人の記憶の修復を試みるんですって?
そうなのよ。ヤビーさんはロボットなの。
なるほど、変装してるのね。
みんなお花見に行って留守だけど、
やってみましょう。


a5

一行は研究所の奥の部屋に通された。

どうぞよろしく。
などと言っている。


a6

あ、アイス。
あなたを信用してないわけじゃないけど、
この部屋は関係者以外立ち入り禁止だったわ。

そうか。
ノヴァさんは初対面だし無理ないわね。

そうなのよ。ミューがすごい研究してるし、
研究所は前に爆破されたことがあったでしょ。
シェリー博士も結構ピリピリしてて。

わかったわ、
隣の部屋で待ってる。


a7

警戒厳重なんですね。
あなたたち宇宙人にしてみれば、
子供の喧嘩みたいに見えるかもしれないけど、
この星ではまだまだいろんな国家が
対立している状態なの。
このシェリー博士のロボット研究所は
政府や軍から独立した民間施設。
機密を守るのが大変なのよ。


a8

ヤビーは帽子とウィッグを外して、
コートを脱ぎかけている。

こ、これは。


a9

予想を覆されたわ。
予想ってどういう予想だったんですか。


a91

どこも開きそうもないわね。
と言いながら、レイチェルは
ドリルを手にしている。

大丈夫でしょうか。
ええ。レイチェルもロボット学者なの。
二人もプロがいるから大丈夫よ。


a92

じっとしててね。

はい。



解説)
続きます。
Posted at 20:24 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Apr 04, 2025

堤防のお花見

a1

ジェニーたちの部屋では、
お花見用に、
おむすびを作っていた。


a2

二人で出かけるんでしょ。
この量多すぎない?
ジャーのご飯空っぽ。
いいのよ。
出会った人にも分けるから。


a3

種類が多いと楽しいね。


a4

たまきとナオミは
桜並木のある堤防に向かった。

坂の桜ももう花盛り。
空も久しぶりに晴れてる。


a5

二人は堤防に着いた。

これでも8分咲きっていう
感じかしら。


a6

局長とサラに出会った。
後ろの方にはミラの姿も見える。

やっぱり来てたか。
天気いいからねー。


a7

春の川は静かに流れている。

今日の雲はなかなか
存在感があるわね。


a8

たまきはエトナから借りてきた
カメラを取り出している。

この堤防のソメイヨシノは何本位あるの。
500本あるってネットに載ってたわ。


a9

堤防脇の道で、散歩していた
フミコとケイに出会った。

桜祭りをやってるみたいだけど、
平日なので人出はそこそこね。


a91

五人は公園に。

あっちの日陰にベンチがあるよ。


a92

これおかか。
やっぱりエビまよね。
局長おにぎり大丈夫ですか。
すごく美味しいわよ。
たくさん作ってきて正解ね。
などと話している。



解説)
続きます。
Posted at 20:22 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Apr 03, 2025

ヤビーのことなど

a1

探偵事務所では、
フリマでの買い物が
話題になっていた。


a2

このテーブルライトを買ったのね。
うん。売れ残っていたんだ。
他にもアクセサリーを買ったみたいね。
うん。最終日だったから。


a3

明かりがつくわ。
まだ使えそうじゃないか。
夜になると綺麗かも。
夜まで飲んでいようかな。
お店大丈夫なの?
などと話している。


a4

ジェニーたちの部屋では、
直販店で買ったバナナを食べていた。
今日も雨ね。
明日は晴れるそうよ。
こうなったら明日は絶対行かなくちゃ。


a5

広場ではノヴァが
アイスたちと話していた。

そのヤビーっていう人、
迷いの森からピエールが連れてきちゃったの?
そうなんです。
本人は記憶がないみたいで。
それは侵入者ってことになるわよ。
そうなんです。
それでどうすればいいのか。


a6

ロボットって。
うーん。過去の記憶がないんですが、
かすかに思い出しました。
僕はロボットで、人間の格好をして、
旅に出たんでした。
でもどうして。


a7

私はロボットの開発や研究をしていたの。
あ、今でもシェリー博士の研究所で、
いろいろとお手伝いしてる。
それに、あなたの顔をよく見れば、
お面だっていうことは誰でもわかるわ。

思い出せないのは記憶の回路の問題ね。
中を開けてみないとわからないけど、
データが完全に壊れてなければ、
修復が可能かもしれない。


a8

それは嬉しいな。この世界にも
僕のようなロボットがいるんですか。

いるわよ。
広場でアンを見かけなかった?
あ、フリマやってたから、
アンはいなかったか。
ほら、あっち。


a9

あそこで演奏してるグループの、
黄色い帽子をかぶって赤毛で、
ドラゴンの子供を抱いているのがアン。
あなたと同じ自律型ロボットよ。

お面つけてますね。
すぐわかるでしょ。


a91

そこにアイスとノヴァがやってきた。

あちらがヤビーさんです。
あ、こんにちわ。
私はアイス。
あら、マヤも一緒なのね。

さっき知り合ったばかりなの。


a92

ノヴァからざっと事情は聞いたわ。
あなたの立場は微妙なの。
まず一つは、あなたは私たちが
未知で危険だと見做して、
出入り禁止にしている領域から来たので、
そのことが知られたら、
警備する組織からは侵入者とみなされる。
もう一つは、あなたの来た目的が、
本当に危険なものなのかどうか、
今のところ私たちにもわからない。
それにあなたはロボットみたいだし。

わかりましたか。

ええ。私はちょっと魔力が使えるので、
見通すことができるのよ。
それにそのお面。

言ったでしょ。
アイス。ヤビーはロボットだから、
記憶データを修復できる可能性があるのよ。

なるほどねー。
なにか記憶の手がかりさえあれば、
私の魔力で過去のイメージを
再現できるかもしれないわね。
シェリー博士の研究所に行きましょう。



解説)
続きます。
Posted at 20:22 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Apr 02, 2025

フリマの後の広場など

a1

今日も気温が低く
雨模様。


a2

堤防の桜並木も薄桃色に煙っている。


a3

コンテスト優勝したのね。
おめでとう。
フリマの結果はどうだったの?


a4

全然売れなかったわ。
でも正解。
この蒲公英きれいでしょ。


a5

広場は普段通りの
賑わいになっていた。


a6

参加賞のチョコを貰いにきた
たまきとナオミは、
再開した農家の直販店の品揃えを見ている。


a7

今日は甘いバナナが安いですよ。
と岸芳樹が言っている。


a8

大道芸人たちも
賑やかな歌と演奏を始めていた。

タムタム見つかってよかったわね。
と舞が言っている。


a9

マンゴー亭にマヤが
肉まんを食べに来ていた。

しばらくぶりですね。
とアンナが言っている。

ずっと研究所で忙しくて、
フリマには来られなかったの。
席空いてるかしら。


a91

テーブル席にはノヴァとヤビーが座っていた。

ピエールさんは
仕事があるって帰っちゃったけど、
これからどうしたものだろう。
とノヴァは考えていた。

どこから来たのかわからない人を
宇宙ステーションに連れて行くわけに行かないし、
迷いの森との境界を越えてきたことが
警備隊に知られると問題になりそうだし、
そもそもこの人危険なのかどうかもわからない。
こういう時はやはり頼りになりそうな
アイスやルビーに相談するのが一番かな。


a92

僕もこの世界には観光で来てるだけなんで、
色々なことがよくわからないんです。
ちょっと広場に行って
今後のことを相談できる人を
呼んでくるから待っててください。

はい。


a93

マヤが相席になった。

失礼します。
あ、こんにちわ。
私、マヤと言います。

どうも。
僕はヤビーと言います。

マヤはしばらく
ヤビーを眺めていた。


あのー、もしかして、
あなたロボットでしょ。
とマヤが言った。



解説)
続きます。
Posted at 20:25 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Apr 01, 2025

コンテストの結果発表など

a1

サラたちの部屋で。

今日は雨になったわね。
桜大丈夫かしら。
明日も雨で、
晴れるのは週末くらいだって。


a2

ジェットが広場からレコードのケースを
運んできていた。
ご苦労様、結局全部無事だったのね。
うん、一枚も売れなかったみたいだよ。
私これ聴きたい。
とミラが言っている。

ケイは?
広場で打ち上げ会をやってるよ。


a3

広場ではフリマが終わって、
ブースも片付いてすっきりしていた。


a4

しかし広場の一画では、
ブースの出店者たちが、
打ち上げの懇親会をしていた。

ものを売るのって初めてだった。
みんなそうだよね。
売れなくても雰囲気が楽しいのよ。
うんうん。
買う人がいるとは思えないものが売れる。
そうそう。
売れると思えるものは売れない。
みんな好みが違うのよ。
などと話している。


a5

大道芸人たちは演奏の準備をしている。

タムタムがどっかに行っちゃって。
よくあることなんだよね。
ドラコは久しぶりにダーダーと歌い、
ドミノはギターのチューニングをしている。


a6

ベランダではニッキーとペギーが
洗濯物を干していた。

雨降るんじゃない?
ずっとブースでここ使ってたから、
洗濯物が溜まってるのよ。


a7

今日は3月分のコンテストの優勝者の発表でしょう。
先月は広場でフリマをずっとやってたから、
登録者が随分多かったわね。
そうねー。多すぎて全然覚えてないくらい。


a8

ルビーは広場を眺めている。


a9

ルビーはマイクを手にして、
アナウンスを始めている。

みなさん、3月のコスプレコンテストの
優勝者を発表します。
厳正な審査の結果、
優勝したのはルルさんです。


a91

え。私なの。
とルルは驚いている。


a92

聴衆の拍手と喝采を浴びて、
ルルはトロフィを授与されている。

どうして私が。
訳は色々なのよ。
とりあえずおめでとう。



解説)
続きます。
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April 2025
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