Jul 08, 2024

追加の訪問

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クラウドの家では、
寝坊した佳奈がアマンダと話している。

先輩たち頭蓋骨持ってもう出かけたのね。
私も気になるから行ってみたいんだけど。
集落の外れのフラハさんの家って、
遠いんですか?
そんなことないですよ。
道順教えましょうか。
だったら僕も気になるから、
散歩がてら付き合うよ。
とコーヒーを飲んでいたラッセルが言った。


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二人はフラハの家に向かって行く。
ほぼ一本道なんだね。


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その頃、フラハの家では、
ハンスがリンからナイフを借りていた。
お父さん。それどうするの。


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さっき鏡を見たら、
髭剃りたくなっちゃって、
と言っている。


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隣室では3人が話し込んでいた。

フラハ、これまであまりあの遺跡については、
君と話題にしたことはなかったけど、
君の知っている伝承には、魔術師フミコについての
言い伝えはなかったの?
とマークが言った。

その名前は聞いたことがなかったな。
私が聞いたのはその昔あそこに
魔族たちが暮らしていたということや、
住民たちは鏡の扉を使って自由に
往来していたというようなことだ。
トカゲ人間同士の戦争があって、
それに巻き込まれて人々が去り、
都が衰退して滅んだという話は知らなかったよ。

フラハさんも魔族なんでしょう。
ハリーやマーリンを知っているというし、
それも相当な呪力の持ち主なのは、
ハンスさんをあっさり蘇生させたのを見てもわかる。
そんなあなたが、
フミコのことを知らなかったなんて不思議。

そう思うのも無理はないが、
我々魔族にとっても、あまりにも昔のことだからな。
君たちが聞いたというその名前も、
同時代に生きていたというトカゲ人間だからこそ、
覚えていて、リンリンというチンパンジーにも伝えたのだろう。
それに魔族はもう今では都も国も持たず、
世界中に離散してひっそりと暮らしている。

君たちの話で興味深かったのは、
都の住民だった大部分の魔族は、
争いを逃れて異世界に去ったということだが、
我々魔族に伝わる古い伝承では、
我々はむしろ異世界からやってきたという、
話が残っていることだ。

ああ、その話、ハリーから聞いたことがある。
とアイスが言った。
私たちの暮らす町のすぐ近くに、
迷いの森と呼ばれる地域があって、先祖は、
そこから来たという言い伝えがあるって言ってたわ。
町には迷いの森の泉に湧いた不思議な水も、
地下水として流れ込んでいる。
ハリーはそんな土地柄が気に入って、
魔術劇場ごと移り住んでいるの。

ふうん。それは良いところのようだな。
いつか遊びに行ってみたいものだ。

話が広がりすぎない程度にね。
と誰かが言った。


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ラッセルと佳奈は
フラハの家にたどり着いた。
ここね。

ちょうど家の前に出てきたリンが、
二人に気づいた。

つい気になって様子を見に来たんだけど、
蘇生は成功したの?
ええ。父だけは。
フミコの頭蓋骨はだめだった。
あ、今父を呼んでくるわ。


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リンはハンスを呼びに行った。
お父さん、佳奈とラッセルが
来てくれたの。
紹介するから。
あ、その顔。


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さっぱりしたけど、口髭だけ残したのね。
うん。なんとなく今の気分で。
と言っている。


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ハンスはラッセルと佳奈に
紹介されている。
リンさんの父君で、
探検家のヨハネスさんですね。
無事のご生還おめでとうございます。
ああ、ありがとう。
そうか、生還か。
まさに文字どうりのようですな。



解説)
続きます。
Posted at 20:20 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Jun 08, 2024

ベースキャンプへ

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この小さな集落には、
住居がそれぞれ、
そこそこの距離を隔てて
点在している。


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目指すのは、
この地域に詳しいクラウド博士の家。
ラッセルとブラッドは、
前回、博士と協力して遺跡の調査を行った。
今回も、博士の家を拠点にしながら、
調査に出かける予定なのだった。


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えっとどこだったかな。
ああこの道この道、
とラッセルが言っている。


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ああ、ここだここだ。


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こんにちわー。
ラッセルですけど、
クラウドさんご在宅ですか。


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あ、ラッセル。
それにブラッドも。
クラウドがお待ちかねよ。
おや他にもお連れがいるのね。


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ラッセルがアイスと佳奈を
紹介していると、クラウドがやってきた。

おお、ラッセル、
はるばるよくきたね。
おや、初めての人も。僕にも紹介してよ。
そうかそうか。
僕はクラウド。こちらはリン。
遺跡調査の相棒だよ。


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一行はリュックを下ろして懇談している。
ここは世界から隔絶された
別天地みたいなところですね。
コンビニがないから不便だけど、
まあ、住めば都だよ。
ふつう飲めば都ともいうが。

あ、リンさんは?
マークを呼びに行ったよ。
彼も会いたがっていたから。
マークって誰です?
この集落のリーダーなんだ。


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アイスたちはそれぞれ、
個室を割り当ててもらった。

シャワーも使えるっていうし、
快適すぎて言うことなしね。
夕食何かなあ。


解説)
続きます。
Posted at 21:42 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

May 08, 2024

メルティの世界で そのなな

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魔術劇場の応接室では、
絵画と人形のコレクターの
マンスフィールドさんが、
ヴィヴィアンと話していた。

お土産にお持ちした作品、
気に入っていただけたかしら。

素晴らしいです。
ちょうど最近住人が増えて、
新しい応接間に飾る作品が欲しかった
ところだったんです。
シュール好きの父もきっと喜びますわ。

それはよかったわ。
実はこの前メルティから
そのお話を聞いていたのよ。
この絵も私の保管倉庫のコレクションから
メルティが選んだの。
デ・キリコの「オデュッセウスの帰還」の
レプリカなんですよ。


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そうだったの。
あの子、この絵を自分の夢の部屋に
飾りたかったのね。
でもこういう美術作品のレプリカを
夢の世界に持ち込むと危険だから。


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そういうことみたいですね。
去年メルティにあげた
クノップフの「スフィンクスの愛撫」が、
大変な騒動を引き起こしたらしいですから。
ところで、あの絵は今どこに?

家族のリビングに飾っています。
部屋を管理してくれているメルティたちも
時々やってきて眺めていますよ。
とヴィヴィアンが言った。


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そのとき、扉が開いて
猫たちが部屋に飛び込んできた。
続いてジョンも現れた。

お話中申し訳ない。
ちょっと大変なことになりまして。


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ピノコとシュレディンガーも
扉からでてきて、ヴィヴィアンに
話している。

トンネル工事をしていたら
湧き出してきた水が溜まって池になり、
池でメルティとサラが舟遊びに出かけた後、
池の水がどんどん増水して、洪水状態になって、
やむなく、みんなで避難してきたんです。

メルティとサラがまだ帰ってきていないんですが、
もう陸地が無くなり始めて。


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初めて聞く話ね。
その池の水は地下から湧いてきたのね?

壁の向こうの世界に行くために、
メルティがずっと昔から掘っていたトンネルなんです。
掘っても透明な土が掘り出されるばかりでしたが、
掘るのをやめるとメルティが悲しむので。
ところがある日水が噴き上げて。
ついに外の世界と繋がったのかもしれません。


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池のお水は、肉まんの隠し味と
同じ味がしたよ。と一匹の猫が言った。
あの勢いだと、向こうの世界はもう
ほとんど水没しているはず。
と言いながら、ジョンは扉を押さえている。


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ちょっと考えさせて。
とヴィヴィアンは言って、
しばらく経ってから言った。

肉まんの隠し味っていうと夢見の水。
ということは、池の水は、迷いの森の泉から
流れてきていて、メルティの夢の世界は、
たぶん迷いの森と繋がったのよ。
デュアン、悪いけどバルを呼んで来て。
起きてるかな?


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デュアンは銀の水差しを持ってきた。
バルさんは、この中で寝てるはずです。

わかった。私が起こすわ。
ヴィヴィアンは手をかざして呪文を唱えた。



解説)
続きます。

マンスフィールドさんが、
去年の「大変な騒動」と言っているのは、
2023年4月19日「メルティの夢の部屋」
から、4月28日「絵画を返す」
までのエピソードのことのようです。
Posted at 20:25 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Apr 08, 2024

花の季節 そのなな

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薄曇りだけど、
今日もお花見日和ね。


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気温上がりそうよ。
うん。羽織脱いでいくことにするよ。


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文学青年が坂を降りていくと、
桜を眺めている今井舞に出会った。


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二人で坂を降りていくと、
やはり桜を眺めているエトナに出会った。


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3人は堤防までやってきた。
今日も人出が多いようだ。


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エトナは盛んに撮影している。
流石に喉乾くね。
それ何はいってるの?
もちろん普通のお水よ。
などと話している。


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文学青年は河原を眺めている。
じっと聞き耳を立てていると、
堤防を行き交う人達の喧騒が遠のいて、
豊かな春の川音が聞こえてきた。


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ついでだから
近くの酒造まで足を伸ばそうか。
私まだ行ったことないの。
何年振りかなあ。


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酒造の庭は一般に開放されていて
レストランなどもあり、
いつも来訪者で賑わっている。


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庭には夫婦欅と呼ばれる
樹齢400年を超える二本の欅があって。


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根元には、お米の神様「大黒天」と、
お水の神様「弁財天」が祀られている。


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庭には資料館やお酒の直売店などもある。
3人はお土産にお酒を買ったようだ。



解説)
後半の画像は、近在にある石川酒造で撮影。
この酒造は日本酒「多満自慢」や地ビール「多摩の恵」で有名ですが、
最後の画像のお酒やビール瓶のラベルは別物です。
Posted at 20:22 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Mar 08, 2024

春の足音 そのご

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今日も雨模様の曇天。
広場ではレイチェルを見かけたルビーが、
声をかけていた。


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こちらはバルさん。
バルさんは夢見の水の精霊なんだけど、
ヴィヴィアンの魔法の呪文で人間の姿になったのよ。
呪文を教えてもらって、いつでも自分で
この姿になることができるようになりました。
あの人、相変わらず魔法使いまくってるのね。
私はロボット学者のレイチェル、どうぞよろしく。


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ところで、バルさんが、
夢見の水がシェリー研究所に運ばれるのを見て、
何に使ってるか関心を持っているの。
シェリー博士にお話聞けないかな。

ああそれなら、事情を話して博士をお連れするわ。
私も大体のことは知ってるけど、
密猟者から入手した夢見の水を使ってることは、
一応秘密だから博士に相談しないと。
とレイチェルが言った。


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ベーカリーの二階のベランダでは、
天気が怪しいので、
ペギーが洗濯物を取り込んでいるところだった。


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休憩用の椅子にはトマソンがいて、
しきりにノートに何か描いている。
トマソンは、自分が夢で見た世界を、
思い出しながらスケッチしているのだった。


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ベランダと扉を隔てた
ドルフィンの二階では、
モモコと駒井今子が、
相変わらずお茶の作法を真似して遊んでいた。


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ニッキーはデイリープラネットを読んでいる。
トマソンさんを扱った連載記事に
本人の写真とインタヴューが載ってるわよ。


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「僕の作品のアイデアは夢の中にあるんですよ。
僕はよく、この世界の6倍スケールの
とてもクリアな夢を見て、
そこで見たものを忠実に再現しているんです。」
ですって。


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6倍のスケールの世界ですって?
それって私が夢で見た
ジェーンの住んでいる世界と同じ。
私トマソンっていう人に会って
そのお話聞きたいなあ。


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洗濯物を取り込んで、
部屋に入ってきたペギーが、

トマソンさんだったら、
今ベランダに来てるわよ。
と言っている。


解説)
都合のいいタイミングで、
エピソードらしきものが
始まったようです。

Posted at 20:33 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Feb 08, 2024

春節の準備

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時は足早に過ぎ、
夕暮れまじかの広場。


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すっかり片付きましたね。
腰大丈夫ですか。
うん。


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大道芸人たちは、
珍しく春節用の演奏のリハーサルをしていた。


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うたがアコーディオンで参加し、
アンは銅羅代わりのシンバルを、
大道芸人はタブラを叩いている。

これ、龍の舞に合うのかな。
とルビーは思っている。


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あれ、ここにあったトマト。
ああ。今日の分は完売しました。
春節の料理の下ごしらえに
需要があるんです。


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肉まんを食べに来たエトナは、
今日は店頭販売だけ。
テーブル席は準備中です、
とレイに言われている。


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テーブル席のスペースには、
調理台が置かれていた。


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アンナは春節の間はお揃いで、
と雇い主の小池恵子に言われて、
チャイナ服に着替えていた。

大根の次はきゅうりを
お願いね。
と言っている。


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シェフの丹下健太は
真剣な顔で人参を吟味している。


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子供達は、雪だるまのあった場所から、
雪水を掬ってバケツで運んできた。
これは元雪だるまだね。
と言っている。



解説)
今回はとりとめのない
春節の準備風景でした。
Posted at 20:27 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Jan 08, 2024

コンテストの結果発表

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広場では、
まだ正月気分で賑わっていた。


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なんか久しぶりに注目されてるね。
この格好だからなあ。


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私江戸時代に憧れるなあ。
普通の人の生活は、
そんなに今と変わらなかったわよ。


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マンゴー亭に戻ったアンナは、
レイに、何か御用ですか?
と言われている。


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おかしくないギャグ言わないで。
従業員が二人も抜けて、
どうしてるかと思って
とんできたのよ。


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ああ、お店なら、
私一人で大丈夫ですよ。
テーブル席一つしかないですから。
忙しいのは調理場の方です。
そうなのよね。
と奥で小池恵子が言っている。


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広場では、カメラマニアたちが
寄り集まっていた。

ボニーさん、コンテストの審査の方は?
うん。撮影の方が面白そうだから、
ちょっと抜けてきちゃった。


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ルビー、昨日は七草粥も食べたし、
そろそろ、コンテストの発表じゃない?
ああ、そうだったわ。


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みなさん、
12月初めから今月のお正月までの
コスプレコンテスト結果を発表します。
厳正な審査の結果。
優勝したのは、歌舞伎者に扮した、
ケイさんです。


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これはなんと意外だなあ。
そうでもないと思うよ。


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ケイは万雷の拍手に迎えられて、
トロフィを授与されている。


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てっきりアンナの花魁が優勝すると思ってたけど。
いえいえ、今回は歌舞伎者も力作揃いで、
選考審査が大変だったのよ。
忙しさを演出する着物姿を推してたボニーが、
途中で撮影したいって抜けちゃうし。
最後は私の独断と偏見で。
番傘の色とのコーディネイトがポイント高かったわ。
あれ、裃ぬいじゃったの?
あれ動きにくいんで。
そのほうがスッキリしてていいかもね。



解説)
毎月恒例のコンテストの結果発表でした。
Posted at 20:29 in n/a | WriteBacks (0) | Edit
July 2024
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