Jul 14, 2024

フミコとの対話

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魔術劇場では
4人が応接室でくつろいでいた。


a2

どうです。その魔術書を読まれた感想は。
出版されたのは随分昔で、
古いものと聞くが。


a3

私からすれば新情報が盛り沢山です。
特に黒表紙の本は薬草のことで為になるわ。
赤い表紙の本はほとんど既知の呪文ばかり。
でもこんなマニュアルがあると便利ですね。
私たちは文字を持たなかったから。

でもすらすらお読みになって。

読むというより感じとるんです。


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カメ新聞か。
これ見るの久しぶり。
去年の一月以来かしら。
レプテュリアンが地底世界や
月の裏側で発行している新聞だって、
そのとき管理局のミラが言ってたけど、
私は彼らには直接会ったことがない。
フミコは昔仲良くしてたんでしょう。

いい人たちですよ。
特に私たちと交流していた人たちは。

新聞に書き写してある蘇生の呪文は、
水没した都でリザードが教えてくれたのよ。
彼らは魔族の呪文を聞き取って記録保存していたの。
とアイスが言った。

あなたは地下の都まで行ったのね。
水没した都の一部の再建を、彼らと協力してやっていたの。
私はその途中で死んじゃったんですけど、
あれがどうなったのか。


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フミコは立ち上がると、
さっと手を振って、短く呪文を唱えた。

するとそこに扉が現れた。

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この館は魔法陣の上に建てられているんですね。
魔法の効力が素晴らしいわ。
この扉は今、私の故郷の集落の跡と繋がっています。
そこに行っても、もう人は誰もいないことはわかっていますが、
そこに私の帰りをずっと待っているものがいるんです。
彼に私が蘇ったことを知らせに行ってきます。


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なるほど、お見事な呪文ですな。
鏡の扉は、この魔術劇場の中では、
各部屋の出入り口にも使っています。
あなた専用の部屋もすぐ用意しますから、
お戻りになったら是非自由にお使いください。

重ね重ね、ありがとうございます。
今の私に人間の知り合いはあなた方だけ。
必要なことを済ませたら、
また戻ってきて、お世話になりますわ。
その節はどうぞよろしく。


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私も一緒に行っていい?
もちろんよアイス。
こんなふうに呪文を呟いて。

二人は鏡の扉の中に消えていった。


a9

お前、とんでもない人を蘇らせたな。
そうなの?
あの人の特別な能力は、
多分生き物全般に呪力を授けることができることだ。
それって変わった能力なの?
魔族というのは魔法が使えるだけで
体は普通の人間とかわらないだろう。
彼女は普通の人間にも呪力を与えて、
魔族と同等の力を持つようにしてしまえるのさ。
ふーん、そのどこが凄いのか、
いまいちよくわからないけど。
まあいいさ。
くれぐれも仲良くやってくれよ。
喧嘩する理由なんてないよ。
いい人みたいだし。



解説)
続きます。
Posted at 20:29 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Jun 14, 2024

谷の遺跡へ

a1

翌朝、クラウドの家の前には
調査隊のメンバーが順次集まっていた。

やあ、アンドレア、おはよう。
君が参加してくれるとは意外だったけど、
人数が揃って助かったよ。
とマークが言っている。
私自身も意外な展開だったわ。
とアンドレアは言った。


a2

これで全員揃ったね。じゃあ出発しよう。
とラッセルが言っている。


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9人は目印の門を潜って出発していった。
今日も暑くなりそうだね。
言っている。


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一行は昨日佳奈たちが散歩した
薬草の群生地域を過ぎていく。
人数多すぎじゃない?


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やがて集落の外れの
魔術師の家の前を通過した。
マークはフラハに挨拶している。


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一行は高台の起伏が緩やかな
地域を歩んでいる。


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遺跡は谷間にあるんだ。
険しい下り坂のジャングルを
抜けなくてはならない。


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なんとも深山幽谷ですなあ。
これ降りるの?
と言っている。


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というわけで一行は
果敢に急勾配のジャングルを踏み分けていったが、
時は省略するかのように流れて。


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一行は谷底の川辺まで到達した。
あ、象が行水してますよ。


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ここはアフリカだからね。
この川筋をそれて西に行くと
そこに集落跡の遺跡があるはずだ。


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一行がしばらく進むと、
木の茂みの間から光が差し、
小さな広場のようなところに出ると、
そこに石造りの建物があった。

ここだここだ。
前来た時と変わらないね。
と、クラウドたちが話している。



解説)
続きます。
Posted at 20:30 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

May 14, 2024

晩春の日々

a1

メルティが絵画を見ていると、
ハリーがやってきた。

ほう、これは新しい絵画だね。
と言っている。


a2

マンスフィールドさんがお土産に
下さったのよ。
メルティも気に入ってるみたいね。
とヴィヴィアンが言った。

それはもう。
この絵、私の夢の中の部屋によく似てるの。
ハリーさん。こういう幻想的な絵画には、
別世界との通路があるんですか?
去年、私の夢の中で、
クノップフの「スフィンクスの愛撫」の中に
シュレディンガーが飛ばされたことがあったけど、
この絵にもさっき、カエル王子が飛び込んで行ったの。

ふむ。
そういう特別な絵画というものもあるが、
絵画のせいとばかりは言えないかもしれない。
この魔術劇場の室内も夢の世界のようなものだからね。
この建物は魔法陣の上に建てられているから、
屋内で魔法を使って、沢山の別室や、
別世界に通じる扉を生み出すことができるんだ。
そのカエル王子というのが夢食いの子供なら、
そんな力を持っていても不思議はないな。


a3

何してるんですか。
この葉っぱを髪飾りに。


a4

これからまた昼寝をするというバルと別れて、
サラとメルティは魔術劇場を後にして
広場に出て来た。


a5

サラさんそのちょんまげ
かっこいいですねえ。
と言われている。


a6

広場では、アベルと子どもたちが
走り回って遊んでいた。


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よそ見してると危ないよ。


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鈴木すずはバランスを崩して
こけてしまった。


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怪我はないようだが、
すずは泣いている。


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ほぼ半月ぶりだけど、
広場は変わらないわね。
久しぶりに熱々の
美味しいコーヒーでも飲みたい。
ペンギンに行こうよ。



解説)
今回はいつもの
思いつきの進行です。
Posted at 20:25 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Apr 14, 2024

ジェーンの世界 そのよん

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ベランダにはヴィヴィアンもやってきて
サルバドールと話していた。

トマソン氏が何日も眠ったままらしいのよ。
あなたが夢魔として取り憑いているんでしょう。
起こすことはできないの?


a2

確かに取り憑いてはいたんですが、
彼がいるのは夢の世界じゃなく、
実在する異世界なんです。
私はそのきっかけを与えただけで、
私がその世界に導いたというより、
その世界が彼の眠りに引き寄せられてしまったんです。
最初に迷いの森で眠ったせいかもしれない。
起きてこないのは、
彼自身が目覚めるのを望んでいないからですよ。
すごいオブジェのヒントでも見つけて
夢中になっているのかもしれない。
次の作品が楽しみだなあ。


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随分、気楽なものなのね。
あなたは芸術のためなら人を破滅に追いやることも
あるって聞いてるから、無理ないのかもしれないけど。
とヴィヴィアンが言った。

私は本人の願いを手助けしてあげるだけですよ。
芸術作品のためなら命も惜しくないという人もいるんです。
おお、この音色美しいですなあ。

ずっと眠ったまま夢を見ているとしたら、
私と同じね。
とメルティが言った。


a4

ヴィヴィアンはデジャに戻った。

どうも埒があかなかったわ。
サルバドールの関心は、
ヴァイオリンの音色。
次は奈々子に取り憑くつもりなのかしら。


a5

そのトマソン氏のいる異世界のことなんだが、
全てが6倍のスケールでできているというんだろう。
そういう世界だったら、
一昨年に魔術劇場にやってきたモモコという娘さんを
鏡の扉を使って案内したのを思い出したよ。
とハリーが言った。

そんなことがあったの?

お前が知らないのも無理もない。
あれはたしか、お前とカーミラが魔術劇場にやってくる
直前のことだったからな。

ハリーの後ろで二人のやりとりを聞いていたマリアが、
私もそのとき黒猫に変身して一緒に行ったのよ。
モモコの友達のジェーンという人がいたわ。
と言った。


a6

その頃、ベランダで
ヴィヴィアンたちの話を立ち聞きしていた
キャサリンが、
二階の部屋に戻って報告していた。

魔術劇場に住んでるトマソンさんが
何日も目を覚まさないんだって。

あの人、この前この部屋に来た時も、
突然すやすや眠っちゃったからね。


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トマソンさん、ずっとあっちの世界にいるんだ。
もしかしてジェーンと出会えたのかなあ。
とモモコは想像していた。


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広場では、
佳奈がルビーと話していた。

しばらくぶりね。
と言われている。


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この春、卒業して、
勧誘されてCGに就職したんですど、
採用試験もなかったんです。
と佳奈は言った。


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あなたの適性や成績は全てしらべてあるの。
CGは秘密組織だから、
表向きはドルフィン工房に
スタッフとして就職したことになってる。
この先、本部に出向いて、いろいろ、
特殊な訓練受けるでしょうけど頑張ってね。
この服装も支給されたんですけど。
誰の案かしら。好きな服着ていいのよ。



解説)
ハリーが思い出したのは、
2022年3月14日「モモコの体験」
からの小旅行のことを指しています。
Posted at 21:02 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Mar 14, 2024

早春のしらべ そのに

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広場はジェニフレンドたちで賑わっていた。


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君の名前は。
池谷圭です。
私はサヤカ。


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ミルフィーユは、
チョコの味を思い浮かべている。


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登録って、なんだか緊張するなあ。
とロベリアは思っている。


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私の名前は、あいこです。


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あいこちゃんね。
ジェニーフレンドのコスプレで、
登録しておくわ。
とマンスフィールドさんが言っている。
今月は選考に悩みそうだなあ。
とボニーは思っている。


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ドルフィンの二階の部屋には、
かなが、お裾分けの
バナナブレッドのプディングを持ってきていた。
たくさん作ったので。
と言っている。


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なんだか広場が騒がしいわね。


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モモコはガラス戸から
広場を見下ろしてみた。


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ティモテが見上げて
手を振っている。


解説)
ひたすらジェニーフレンドたちを
撮影するだけの広場の様子でした。
Posted at 20:31 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Feb 14, 2024

春節 そのご

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ローレンスの吹く
甲高いトランペットの音色が
響いている。
健太は配置についているようだ。


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ガルーダの踊りが始まった。


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これ東南アジアの伝統芸能なの?
振り付けは健太さんのオリジナルらしいよ。


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耳に残って頭がキンキンしてくるような
金管楽器の音色とともに、やがて踊りは
白熱してクライマックスに。


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健太は鶴の恩返しと呟いている。


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今日も日本晴れと呟いている。


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跳躍して飛翔したガルーダが羽ばたいている。
その体は空中にしばらく浮いているようにも見えた。
これにはニジンスキーも真っ青だ。
と誰かが叫んだ。


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健太は着地すると
姿勢を整えている。


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ご観覧ありがとうございました。
と言っている。
では。次は、
みなさん楽しくご一緒に。


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ファンキーなダンスミュージックが演奏されて、
みんなもこぞって踊り始めた。


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えらいやっちゃいいじゃないか。
というかけ声も聴こえる。


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ルビーは踊らないの?
何かあったら止める人がいないと。
などと話している。



解説)
2022年の春節では飛び入り参加でしたが、
健太のガルーダの踊りも洗練され、
お祭りは盛況のうちに過ぎていくようです。
Posted at 20:25 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Jan 14, 2024

時の流れに乗って そのに

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広場は今日もそれなりの
人出だった。


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マスター。
このソファどうしたの?
2階で使ってたんだけど、
撮影中預かって欲しいって。
まだ記念撮影やってるのね。


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この着物気に入ってるんだけど、
注目されなかった。
モモコさん、私は清楚でとても好きですよ。


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魔子さん、この着物お返しします。
ありがとうございました。
私このチャイナドレスの上に着てたんですよ。
本当はすごく着膨れしてたの。
それは誰も気が付かないわ。


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ジョー軍曹たちは相変わらず、
凧を上げていた。


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私も凧あげしたいなー。
まだ倉庫にあるかもしれないよ。


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ドルフィンの二階では
撮影会が続いていた。


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長煙管を持つと粋ですねえ。


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ソファせっかく片付けたのに、
本棚が写り込んじゃって、
あんまり和風の雰囲気でないね。
トリミングすればいいのよ。
などと言っている。


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そうこうするうちに、
大道芸人たちが、歌いながら、
広場に戻ってきた。


a92

またここでお世話になるわ。
とドミノが言っている。
それは大歓迎。
ドラコが寂しがっていたわよ。
あれ、レオさんも参加してるの?


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市街地の興行でも、
ずっと聴きに来てくれたんだけど、
今は特別参加。
テナーが結構上手なのよ。



解説)
普段通りのあれこれ
スナップ風景です。
Posted at 20:49 in n/a | WriteBacks (0) | Edit
July 2024
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