Aug 31, 2023
帰ってきた二人 そのご
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探偵事務所では、
仮想現実体験の結末と現状についての
長い説明と会話が一段落して、
レイチェルが急にアイスが食べたいと言い出して、
シェリー博士とマヤと一緒に、
階下の喫茶店ペンギンに出かけて行った。
レイチェルは人間に戻って、
味覚を取り戻したから、
やたらに何か食べたいんだよ。
暑いしねー。
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ロボット学者3人で揃って出かけたってわけね。
レイチェルにも、マヤっていう人にも、
ミューとドロレスがロボットだっていうことも含めて、
秘密にしてた現状を全部話しちゃったから、
二人とも、かなりショックだったでしょうね。
シェリー博士が一緒だから大丈夫よ。
マヤっていう人も信頼できそうだし。
なんと言っても未来のナディアのお母さんだもの。
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3人はペンギン前の外のテーブル席で、
特注のアイスを食べていた。
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うーん。忘れかけていたこの味よ。
夏はバニラアイスに限るわ。
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マヤは探偵事務所で聞いた話を
色々と思い出していた。
未来世界で自分の娘が成長して、
最終戦争後も生き延びているという話は、
あまりにも突拍子もなくて、
現実感が湧かなかったが、
ミューやドロレスがロボットだという話は驚きだった。
話によると、ドロレスは、
研究所の爆破事故で破壊されたと言われていた
シェリー博士の作ったロボットで、
ミューは、とあるきっかけで知能が突然進化した
ロボットのアンが、シェリー博士と協力して
自分がロボット研究所に返還される直前に、
分身のように作り上げたロボットで、
アン自身の記憶もそこに移し替えられているのだという。
そのミューが仮想現実体験装置と呼ばれる
タイムマシンみたいなものを作ったというのだから、
その知能は現在の人類の科学レベルを遥かに超えている。
しかもドロレスもミューも人間そっくりで、
話を聞かされるまでロボット学者でもある私も
全く気が付かなかった。
人型ロボットの成形ではシェリー博士もすごいけれど、
ミューの人工知能の能力はさらに計り知れない。
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マヤさんは、チョコパフを作るのが
上手なんですってね。
ああ、さっきの話ではそう言ってましたが、
この前、ベーカリーで食べて
美味しかったので、フレイムからレシピを教わって
作ってみようと思ってたところなんです。
あれはかなり未来のことだからね。
バニラアイス、もう一個もらおうかな。
とレイチェルが言った。
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いつもベンチに来てる管理局の人たちは?
ミラが、今日はもう月末だから、
参加賞もらうために、
今日中にコスプレの登録に行かなくちゃって。
バグと二人で広場に出かけてるよ。
あ、バニラですね。すぐお持ちします。
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その頃、ベーカリー前の広場に、
バグとミラが来ていた。
元気にしてる?
とバグが空で羽ばたいているヒソコに話しかけている。
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そこにバービーがやってきた。
あら、あなた。
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あなた、ケンそっくり。ケンでしょ。
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いえ、僕はバグって言いいますが。
解説)
まだ暑いですが、あっという間に
8月も終わりですね。
Aug 30, 2023
帰ってきた二人 そのよん
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探偵事務所では、
レイチェルたちに連れらて訪問した
マヤがシェリーに紹介されていた。
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博士の人型ロボットの研究は
私たち研究者の間で注目されていましたが、
爆発事故で全て失われてしまい残念でしたね。
特に完成まじかだと噂のあったロボットも。
ああ、でもそれはもう昔の話。
事故以来、表向きに公表はしていないけど、
シェリー研究所は再建して、
ぼちぼちと研究は再開してるのよ。
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それよりも。
マヤさんって、レイチェルたちの行った
未来世界にいたナディアっていう人の
お母さんなんでしょう。
そのお話が伺いたいわ。
とエリスが言った。
その話題はまずいんじゃない?
その前に、仮想現実体験装置の話を
説明しないと、マヤさんわけがわからないよ。
それに、CGのメンバーである
マヤさんに話しちゃっていいものか。
と探偵が言った。
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CGのメンバーって言えば、
後ろにいる翠もそうなんでしょう。
とレイチェルが言った。
そうだけど、私はこの件に関しては、
報告なんてしてないよ。と翠が言った。
だいたいね。
仮想現実体験装置って、
あくまでも人工知能が作り上げた、
模造の世界を視聴覚を通して体験できる
ゲームみたいなものだと思ってた。
ところが実際はタイムマシンみたいなもの。
あの未来世界は仮想じゃなくて、
この世界と実際につながっている。
その証拠が、ラパスさん母子の存在なのよ。
何言ってるんだか、さっぱり。
とマヤは思っている。
このままだと人類と機械の最終戦争は避けられない。
ミュー、止める方法はあるの?
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それは止められないよ。
でもね、タイムマシンって言ったけど、
やっぱり全ては仮想なんだよ。
あの世界との結びつきは、
数ある未来の可能性の中の一つなんだ。
言ってる意味が不明。
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未来に人類と機械の戦争が起きて、
負けそうになった機械軍の側が、
過去にサイボーグの刺客を送ってきて、
過去を変えることで、戦争に勝とうとする
有名な映画があったでしょう。
もしマヤさんがそんなのに殺されでもしたら、
ナディアは生まれないから、
最終戦争の英雄も存在しない。
未来は全く別の姿になっている。
そういうことってあるの?
そういう時間の線を辿ればね。
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ナディアって、
いつか私に娘ができたら、つけようって考えていた名前。
語源はロシア語の「希望」を意味する「ナディージタ」。
いい名前でしょう。
でもなぜ、みなさんその名前を知ってるの?
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未来は永遠に来ないし、
体験できることだけがリアルなんだよ。
観測した時にだけ現実が決まるっていうことなんだ。
それに世界を救うっていうのなら、
レイチェルとドロレスは、
もう救ってくれたんじゃないの。
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なんだか煙に巻かれた気分ね。
近未来に人類の敵になる機械軍を操るのは、
ミューの人工知能だったりして。
解説)
言ってることがばらばらで、
今回もよくわからない話でした。
Aug 29, 2023
帰ってきた二人 そのさん
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マヤは、レイチェルが
アンのメンテナンスの前任者だと知って、
三人は打ち解けた。
CGに依頼されてメンテナンスに従事する前は、
ロボット研究所でアンの開発をしていたの。
とレイチェルは話している。
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なんと、私の先輩だったんですね。
私も短い間でしたけど、研究所にいたんです。
いろんな部署の統廃合があった後で、
ちょうど入れ替わりの時期だったみたい。
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そうそう。それね。
アンの開発部門がなくなって、
私は休職扱いになって、研究所を辞めたの。
私が言うのも何だけど、
アンってよくできてますね。
メンテナンスしてるとよくわかります。
知能も普通の人よりかなり高いし。
ただ見かけはかなりユニークですけど。
ロボットの見かけを人間に似せないって言うのが、
研究所の所長バトラー博士のモットーだからね。
シェリーとは正反対。
え。もしかして、
メアリー・シェリー博士をご存知なんですか?
彼女は研究所時代からの親しい友人。
研究者としては先輩に当たるんだけどね。
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事務所で、さっきまで一緒にお茶を飲んでた。
とドロレスも言った。
この町にいらっしゃるんですね。
それは是非お会いしたいわ。
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メアリー・シェリー博士は、
人型ロボット研究の第一人者だったけど、
共同研究をしていたバトラー所長と
路線の対立でロボット研究所を辞めて、
ご自身で研究所を立ち上げたけど、
爆発事故があって研究所が全壊したとか。
今もお元気だったんですね。
そもそも私は博士の研究に憧れて
研究者を志したんです。
道半ばでCGに転職しちゃいましたけど。
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シェリーに会いたいという
マヤの要望を受けて、
3人は探偵事務所に向かうことになった。
捕まえようとすると走って逃げるよ。
ぜったい触りたくない。
などと子供達が言っている。
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ベーカリーには、
バービーがコンテストの登録に来ていた。
新規登録者は大歓迎ですよ。
とルビーが言っている。
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この人はやっぱり
バービー人形のコスプレっていうことかしら。
誰か有名人に似てる?
典型的なバービー人形に似てるということで。
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この世界にケンはいないんですか?
と聞いている。
聞いたことないなあ。
解説)
続きます。
Aug 28, 2023
帰ってきた二人 そのに
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ベーカリー前の広場は
今日も賑わっていた。
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サラやバービーたちは
「一角犬の歌」に聴き入っている。
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レイチェルは、
久しぶりにドルフィンを訪ねた。
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突然蒸発しちゃってごめんなさい。
とある事情で、ずっと留守してたの。
アンのメンテナンスに、
助っ人を雇ってくれたって?
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ええ、翠から話を聞いて、
ロボットの仕組みに明るい
マヤっていうCGのメンバーに頼んだの。
今、マンゴー亭で肉まん食べてるよ。
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巨大なゴキブリが直進している。
ドロレスは思わず、腰に手をやったが、
もちろんリボルバーは持っていなかった。
これは本物じゃないよ。
マヤが作ったんだ。
と子供達が言っている。
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マンゴー亭では
マヤとうたが話していた。
マヤって凄く器用なのね。
昆虫型ロボットの工作が趣味なの。
巨大なゴキブリって、何に使えるの?
見てて動きが面白いでしょう。
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そこにレイチェルとドロレスが
やってきた。
ナディアにそっくりだわ。
と口々に言っている。
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初めてお目にかかる方たちね。
私の顔に何か?
解説)
続きます。
Aug 27, 2023
帰ってきた二人
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探偵事務所では
相変わらずミューたちが、
仮想現実体験装置のバグ探しに
取り組んでいた。
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その管理局のウェルズっていう人は、
ミュー自身の人工知能と装置との関係が
重要だって言ってたんだけど。
確かこのシステムを開発するときに、
ミューの人工知能をベースにしてたでしょう。
特定の部分はね。そのせいで、
システムが人格を持っちゃって、
二人を覚醒させる機能をロックしてると考えると、
たしかに辻褄は合うんだけど。
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あ、装置のライトが点灯してるよ。
と探偵が言った。
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間仕切りのカーテンを開けると、
レイチェルとドロレスが
目覚めたところだった。
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二人は仮想世界で体験した
アメージングな出来事を報告している。
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ミューたちにとっては、
その世界でシステムが記録装置と呼ばれていて、
アンという人格のようなものが存在している、
というのは想像していた通りだったが、
時空の歪みが生じて、
怪物が侵入してきたというのは驚きだった。
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仮想現実体験装置の開発は、元々ドロレスが、
ロボットである自分も人間みたいに
夢が見たいって言ったことから、
それを叶えたいっていう発想で始まったの。
だから装置につながることで、
体験者の夢や願望が投影される仕組みになっている。
でもその度合いや、背景となる世界設定は、
システムがネットから収集した
様々なデータから作られる。
その収集された様々なデータからすると、
実際に近未来に最終戦争が起こるって
システムが判断したってこと?
その確率が相当高かったんでしょうね。
でもあくまでも仮想世界だから。
ところが時空の歪みが生じたっていうことは、
そういうこととは別なの。
一つの仮説だけど、
世界というのは無数にあるとも言われている。
つまり実際に未来に最終戦争が起こる世界と、
起こらない世界もある。
その起こる方の世界に
時間の流れが変わった可能性がある。
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仮説やら確率やら可能性やらで、
よくわからない話ね。
このコーヒーすごく美味しい。
人間に戻ったのを実感するわ。
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私はコーラの味が今ひとつ
リアルに感じられなくなっちゃった。
でも全身打撲の痛みから解放された。
寝たり起きたりお腹が空いたり、
体は水の入った袋みたいだし、
人間っていうのは、大変だなあって、
つくづく思わされました。
とドロレスは言った。
解説)
製作者にも
よくわからない話でした。
Aug 26, 2023
映画鑑賞
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サラはテレビで映画のCMを見ていた。
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この映画面白そう。
8月11日から公開されてるみたいだよ。
近場でやってるかな?
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サラはネットで上映館を調べて、早速、
近場のシネマ・コンプレックスまで出かけた。
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そこは、なぜか「昭島MOVIX 」だった。
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映画を見終わった後、
館内の売店でバービー人形を売っていたので、
記念に買うことにした。
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帰りがけに、
郊外のバービーハウスに住む
バーバラとBBに出会った。
二人とも同じ映画を見たというので、
盛り上がっている。
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三人はお茶でも飲もうと、
ベーカリー前の広場にやってきた。
バービー人形たちが暮らす、
バービーワールドがあるなんて、
夢見たいな非現実的な話だったね。
そうかな?
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その時、ヴィヴィアンが
デジャから広場にやってきた。
あ、サラ。元気?
今、話題の映画「バービー」を見てきたの。
最後に主人公のバービー人形が人間になる映画ね。
その手に持ってるのはバービー人形でしょう。
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この人形も、
人間になりたがってるよ。
え、もしかして。
また。
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ヴィヴィアンが手をかざして
呪文を唱えると、
薄い煙が立ち上って、
女性が現れた。
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あなたお名前は?
バービーです。
映画より全然安易な展開なのね。
とバーバラたちが呆れている。
解説)
ヴィヴィアンが魔法で変身させた
バービーは、実際に、
映画館館内の売り場で買った、
「初めてのバービー ピンクハート」
を使っています。
Aug 25, 2023
戦いを終えて そのに
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部屋から出てきたツナは
ミトラの修理作業に取り掛かっている。

頭部と右足の装甲が
少し変形しちゃったみたいだけど、
内部機構に異常はないみたい。
お弁当箱も交換しておくわ。
と言っている。

ナディアはストックしてあった
スクラップの部品を組み合わせて
カブトムシ型甲虫ロボットを
修理している。
それも修理するんですか。
とヒゾッコが言った。

コントロールされていた
ロボットに罪はないからね。
このタイプの甲虫ロボットは、
母が趣味で研究してたの。
最終戦争でも使用されたでしょう。
それで私も構造はよく知ってる。
空が飛べるし、
あなたのいい仲間になるわよ。

ダーダ、ダーダ。
ダー、ダー。
ビッグヘッドとドーラが
何やら話し合っている。
何話してるの?

ナーガラの味がどうだとか、
食べ物の話みたいです。
あ、ツナ。レイチェルとコーダの様子はどうです?
と舞子が言った。
今みんなガレージにいるよ。
レイチェルには人工皮膚が再生するまで、
安静にしてもらっている。
ドロレスも全身打撲状態だったのが
わかったので、そっちも手当して、
ベッドで休んでいてもらうことにしたの。
修理が終わったコーダが付き添っている。

ガレージでは二人が枕を並べていた。
レイチェル、動いちゃダメですよ。
人工皮膜が変形すると、胸がすごいことに
なっちゃうので。
とコーダが言っている。
脅かさないでよ。

私たち役に立ったのかしら?
怪物を仕留めたのはナディアだけど、
私が改良した腕のドリルがなかったら、
ミトラがやられていただろうし、
そしたら戦況はまったく違ってた。
ドロレスの活躍がなかったら、
甲虫ロボットに記録装置のある倉庫まで
侵入されていたかもしれない。
きっとそれなりに役に立ってたのよ。
どこまでがシステムの描いた、
シナリオなんでしょう?

シナリオ、なんてあるのかしら。
見るとドロレスはもう眠っている。
レイチェルはアンドロイドになって、
初めての眠気に襲われた。
それは深い井戸の底に
引き込まれるような眠りの感覚だった。
解説)
ビッグヘッドは水鉄砲を分解して工作、
カブトムシはゼンマイ仕掛けで動きます。
ともに、子供向け玩具で、
セリアで購入しました。
Aug 24, 2023
戦いを終えて
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バーボンハウスの前では
帰還したミトラたちが
立ち話をしていた。

ビッグヘッドは水をもらって
ダーダ、ダーダ。と言っている。
「この水は格別に美味しい。」
って言ってるよ。
と舞子が通訳している。
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ここの濾過装置は高性能だからね。
それに元々このあたりの地下水は、
特別なんだってツナが言ってた。

やはりそうだったのね。
私もここで水を補給してもらってから、
なんだかパワーが上がった気がしてたの。
呼びかけがあんなに効いたのは初めて。

バーボンハウスの屋内では、
ツナとナディアが修理作業にいそしんでいた。

幸い怪物の爪が鋭利すぎたおかげで、
頭部がスパッと切断されただけ。
元々取り外し可能だった
頭部パーツに損傷はなかったから、
回路の接合が済めば元に戻るわよ。
聞こえてる?コーダ。
コーダはまだ声が出せずに頷いている。

こっちは結構重症ね。
でも当たったのが怪物のヒレの部分でよかった。
人間だったら肋骨が何本か折れて
即死だったでしょうけどね。

左胸部の人工皮膚が何箇所か断裂してる。
あなたの人工知能の部分は理解不能なんだけど、
体の仕組みは他の人型アンドロイドとほぼ同じみたいだから、
人工皮膚膜を注入して組織を再生すれば完治するわ。
具合はどう?
やられた時、最初だけ痛かった。
その後は無痛で何も感じないよ。
多分最初の痛みは、損傷したことを知らせる信号で、
後は痛覚回路が遮断されているんだと思う。
戦闘用アンドロイドって、
こうやって完全に自分が破壊されるまで、
戦うんだろうなあ、って今思っていたの。
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レイチェルは過去の世界では、
ごく普通の人間だったからね。
逆に私は人間になってたことを忘れて、
派手な動きをしちゃったから、
みんなには言ってないけど、
身体中ぼろぼろ。
あちこちの痛みの感覚も半端じゃないわ。
とドロレスは思っている。
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ヒゾッコみたいに空が飛べたらなあ。
私はカブトムシにたかられて散々でした。
とバンクが言っている。
私も怪鳥に襲われて大変だったのよ。
あのビニール風船のカラスみたいな怪鳥って、
なんだったのかしら。
解説)
続きます。
Aug 23, 2023
甲虫の襲来
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バーボンハウスでは、
騒がしい物音にドロレスが
屋外に出てみると、
二匹のカブトムシが
ロボットたちに取りついていた。

硬質の卵の殻の兜に手こずっていた
カブトムシたちは、
ドロレスを見ると
飛び立って襲ってきた。

ドロレスは咄嗟に
ホルスターからリボルバーを引き抜き、
同時にベストの胸のスイッチを
押している。
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ドロレスは跳躍して、
一撃を放って至近距離で一匹を撃ち抜いた。
思わぬ動きにカブトムシは戸惑っている。

華麗な身のこなしで着地したドロレスは
二発目を放ったが、
瓦礫に足を取られて体勢を崩したため、
的を外してしまった。

ドロレスは尻餅をついてしまい、
カブトムシは猛然と襲いかかって来た。

その時、ドーラが飛び込んできた。
カブトムシの脚に齧り付いている。

一瞬の隙をついて、
ドロレスはリボルバーの引き金を引いた。
カブトムシは衝撃でのけぞって跳ね飛んでいる。

ドロレス、怪我はなかった?
カブトムシの脚のトゲが、幸い、
防弾ベストに食い込んでいて助かった。
昆虫や小動物は東に移動したはずじゃなかったの?
これ昆虫型のロボットだよ。
最終戦争では兵器として使用されたんです。
とバンクが言った。
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しばらくしてツナたちのオートバイが
北の広野から帰ってきた。
作戦終了。
あ、こっちも攻撃されたんだね。

昆虫型ロボットの生き残りか。
怪物にコントロールされたんだね。
ロボットだから舞子の呼びかけが
効かなかったんだ。
あ、これってリボルバーの銃創だね。
2体ともドロレスが倒したの?
危ういところでしたが、
ドーラに助けてもらって。
それで迎撃作戦の方は?
こちらもなんとか撃退に成功したよ。
でもコーダがやられちゃったし、
ミトラとレイチェルもかなりのダメージを受けた。
これからさっそく修理にかからなくちゃ。
解説)
続きます。
Aug 22, 2023
迎撃作戦 そのさん
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ミトラの握った腕のドリルが
怪獣の喉元を刺し貫いている。
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ミトラはかえす刀で
足元の怪獣もドリルで仕留めた。
間に合ってよかった。
とソーダが言っている。

怪物は怒り狂っている。
どいつもこいつも。
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怪物はシェルター跡に
突進すると
鋭い爪でコーダを薙ぎ払った。
コーダの頭部パーツが
弾け飛んでいる。

レイチェルも怪物の腕のひれで
弾き飛ばされ、
怪物は、ツナの浴びせる銃弾に
痛かゆいなあ、と言いながら、
襲いかかろうとしている。

その時ナディアたちの乗った
ビーグル号が到着した。
どこだか知らないけど、
異世界へ帰れ。

ぐふ。
またこれか。
胸部に風穴の空いた怪物の姿は、
次第にくずおれて薄れていった。

前線には、
新たなドラゴンが登場していた。
ミトラ、待って。
このドラゴン、鞄を背負ってるよ。

様子を見ていると、
シェルター跡から舞子が駆けつけた。
ビッグヘッド!

この子は、私の相棒のビッグヘッド。
ずっと生き別れになっていたの。
人の言葉は話せないけど、
知能は高くて言葉は理解できます。
ふむ。頭が大きくて
なかなかお利口ソーダね。
とソーダは言った。
解説)
続きます。
Aug 21, 2023
迎撃作戦 そのに

ミトラは怪物の乗っていたドラゴンに
体当たりした。
怪物は後方にひらりと身をかわしたが、
ミトラが続け様に放った鉄球は、
ドラゴンの頭部を直撃した。
なんだこいつは。
という怪物の叫びが轟いている。
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2体の怪獣が
ミトラに襲いかかってきた。
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ミトラの頭部のハッチを防護する
超合金パーツにかみついている。
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一体はミトラの足に
しがみついている。
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シェルター跡でコーダは
踊り込んできた
俊足の怪獣に砲塔を掴まれていた。
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異界にお帰り。
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怪獣は横転して、
脚を痙攣させている。
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ソーダは、
収集袋から出した腕をくわえると
ミトラのいる前線に向かって走り出した。
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足を取られて身動きできない。
ミトラ、これを使って。
解説)
続きます。
Aug 20, 2023
迎撃作戦

地平線に怪物を発見。
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見るからになんというか。
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凶暴そうな。

射程距離に入ったよ。
銃撃開始。

ミトラも戦闘体勢を取ると、
榴弾砲を発射した。
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しかし立ち昇る硝煙の中から現れたのは、
無傷な一群だった。

東に移動中の小動物の間を踏み分けて、
足の速い怪獣が
こちらに向けて疾走してくる。

どんどん迫ってくる。
なんかあの怪物、
ドラゴンみたいなのに乗ってるよ。
かなり怒ってるみたいだ。

私が食い止める。
とミトラが言った。
解説)
続きます。
Aug 19, 2023
前哨戦

シェルター跡で待機していた
ツナたちの元に、
ミトラとソーダが合流した。

ほぼ予定通りだね。
今のところ地平線に動きはない。
ミトラが肩から下げてるのは収集袋ね。
今日は屑拾いしてる時間はないわよ。
これ一応武器を入れてきたの。

その時、ヒゾッコがとんで来て報告した。
散布作戦完了しました。
予想通り小動物は南下を始めていましたが、
今は大半が東に向けて移動しています。

じゃあ、迎撃作戦を始めよう。
了解。
レイチェルは空に向けて、
数発の空砲を連射した。
この銃声は森にも届いているはず。

その時、突然ヒゾッコの背後上空から、
怪鳥が襲ってきた。

不意を突かれたヒゾッコは、
懸命に逃げ惑っている。

これは予定外だよ。
コーダは砲身を怪鳥に向けて
機関砲を連射している。

怪鳥は呆気なく撃墜された。
見ると怪鳥の姿が徐々に薄れていく。
この鳥もきっと、アンが言ってた
異世界から来た「夢食い」の一種だよ。
あの三匹だけじゃないんだ。

今のコーダの機関砲の銃声で、
確実にここに向かって来るね。
あとは見つけたら
至近距離にならないうちに
殲滅するのみ。
レイチェルなんか楽しそうじゃない?
こういう顔なのよ。
解説)
続きます。
Aug 18, 2023
最初の作戦

ナディアの運転するビーグル号は、
北の森の近くまでやってきた。
では様子を見てきます。
と言って翼を広げると、
ヒゾッコは飛翔して行った。

連中はまだ昨日の場所の近くに
潜んでいるようです。
周囲には昆虫たちが蠢いていて、
中には小動物も混じっているようです。
あ、一斉に南下を始めました。

了解。
ガスを散布しながら全速力で走り抜けるから、
しっかりつかまっていてね。
はい。

ビーグル号は森の南側の
荒野との境界に沿って疾走している。

怪物にコントロールされて
モゾモゾと南下を始めていた
小動物たちは。

覚醒して、はたと立ち止まった。
どこかから聞こえてくる
「東のシェルターに集合」
という舞子の声が頭の中で踊っている。

みんな一斉に東に向かい始めた。

舞子の命令の暗示効果はどのくらいもつの?
測ったことないけど、30分くらいで、
言われてたこと忘れちゃうかも。

なんだ。どうした。
いうことを聞かないぞ。
誰か邪魔しているのか。
と怪物は叫んでいる。

その頃、ツナたちは
目標にしていたシェルター跡に到達していた。
こんなところにもシェルターがあるのね。
中は瓦礫で埋まっちゃってて、
外観だけ少し残ってるの。
でも遮蔽物として使えるわ。
解説)
続きます。
Aug 17, 2023
出撃まで

翌日の早朝、
迎撃作戦は始まろうとしていた。

今日ものっぺりしたいい天気。
私たち、歩きだから、
先に出かけるね。
とミトラが言っている。
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私は留守番なんですか。
とドーダが言った。
何があるかわからないからね。
ドロレスとバンクと一緒に、
バーボンハウスを保守していて。
アンの記録装置が破壊されると、
世界が消失しちゃうみたいだから。

ビーグル号には
覚醒ガスのボンベが積み込まれていた。

これ重くて動きにくい。
被るのは空爆された時でいいんじゃない?
とバンクとヒゾッコが話している。
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すごいことになってきましたね。
うん。ただちょっと気になるんだけど、
あのアンの言ってた話、
全部、本当なのかなあ。
え。
なんだか都合が良すぎる気がして。
夏なんで、疲れてるんじゃないんですか。

今日は結構空を飛びそうなので、
燃料節約のため、
現地に着くまでここに留まってます。
ラパスとご一緒できるなんて光栄です。
とヒゾッコが言っている。
もう戦いは懲りたんだけどね。
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覚醒ガスってどんな成分が?
一般に「春の目覚め」とも言われていて、
動植物向けの気付け薬みたいなものらしいよ。
私が覚醒して突然発狂したりして。
というのは冗談。
人間には無害だって聞いてるわ。

そういえば、
母から魔族はいろんな能力を持っているって
聞いたことがあるけど、
舞子は魔法も使えるの?
私は限られた動物相手のテレパシーだけ。
でもそれで今まで生き延びてこられたんです。
ビッグヘッドとも友達になれたし。
だったら怪物とも話が通じるかもね。
あ、そろそろ予定時間だ。
出発しましょう。
解説)
続きます。
Aug 16, 2023
作戦会議

ミトラも参加して作戦会議が開かれている。

ドロレスは、先ほど
自分とレイチェルに起きていたことを話して、
アンから聞いた怪物の特徴を説明している。
最初は意外な内容に驚いていたツナたちも、
過去から来たドロレスたちが、
アンと特別な関係にあることを聞いて、
納得したようだった。

私が、母から聞いた話に出てきた怪物の特徴とそっくり。
母のCG時代、同僚だったアイスっていう人が、
怪物を退治して村を救ったっていうんだけれど、
その話は伝説みたいに広まっていたらしい。
怪物は鋭い爪を持っていて、
CGの防護服のボディスーツが引き裂かれたって。
森での接近戦は避けた方が良さそうね。

瓦礫の広野におびき出しましょう。
怪物が操る昆虫や小動物の対策も必要ね。

ファイアースラッガーⅡならここにあるわ。
でもセットになっている超合金の
肩パッドのついたボディスーツがないので、
スラッガーを誘導する飛翔装置が機能しないの。

あらかじめ手元に置いて
すぐ射撃できる状態で待機していなくちゃ、
だめってことね。
伝説のCGの戦士ナディア・ラパスなら、
扱いに慣れてるでしょう。
とミトラが言った。
それはまあ。でもこれ肩パッドなしだと、
反動も大きいから結構きついのよ。

小動物対策はどうするの。
数で来られたら、多勢に無勢だよ。
私は大抵の昆虫や小動物が相手なら、
会話ができるの。と舞子が言った。
でも強力な暗示がかかっていたらどうかな。
無視されちゃうかもしれない。
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一時的に暗示を解くような強い刺激を与える
ガスを散布すればどうかしら。
その上で、舞子に呼びかけてもらう。

その後も、あーだこーだと議論は進み、
ツナが言った。
手順は大体こうよ。
最初にナディアと舞子が
ビーグル号で森の近辺まで行って、
OXガスに覚醒ガスを混入させて
周辺地域に散布した上で、
舞子に小動物に呼びかけてもらう。
逆に暗示をかけてもらうというか。
この前の東エリアのシェルターに集まるようにって。
その間に私とレイチェルが
ここと北の森とのほぼ中間地点にある
壊れたシェルターのある場所に移動して、
待機する。主戦場はそこ。
もちろんミトラとソーダにも徒歩で
先にそこに向かってもらって、現地で合流する。
ヒゾッコは連絡要員で、
準備が整ったとヒゾッコから連絡があり次第、
銃声を轟かして、作戦開始。
銃声を聞きつけて森から南進してきた怪物たちを
シェルター跡から迎撃する。
その時、ナディアや舞子たちにも
東のシェルターから北の森側に迂回して
怪物たちの背後に回り込んでもらう。
いわば挟み撃ち状態で、敵を殲滅する。
そうなるといいけど。
解説)
続きます。
Aug 15, 2023
アンのメッセージ

それはいいアイデアかも。
記録装置の本体は倉庫にあるけど、
会話をするなら、
モニターに接続すればいいだけだから。

何か特別なメッセージがある時以外、
普段はアンとは交信しないんだけどね。
記録装置は時空の歪みの観測などで
いつもフル稼働しているんだ。

ツナがセッティングを終えて
スイッチを入れると、
モニターには人の半身らしき
映像が浮かび上がった。
あ、アンだ。
バンクとヒゾッコが喜んでいる。

あれ、あの人、ミューそっくりだよ。
昔の音楽家みたいなカツラかぶってるけど。
とドロレスが言った。
システムが開発者のミューそっくりの
NPCを作って遊んでるんじゃないかな。
それにミュー本人が関与したのかわからないけど。
でもどうして名前がアンなの?
とレイチェルが言った。
それはきっと
ミューの人工知能が元々アンのものだったからよ。
とドロレスは言おうとしたが、
ことの経緯を説明するとすごく長くなるので、
やめることにした。

挨拶が遅くなっちゃったけど、
ドロレス、レイチェル、仮想現実世界にようこそ。
と、アンが言った。
あなたたちが多分想像している通り、
私はこのシステムの中枢の
メッセンジャーであり、感覚器官でもある。
ところで、
あなたたちそれぞれの個人的な夢や願望を分析して、
組み入れるようにこの未来世界を作ったんだけど、
その時、予期しなかった時空の歪みが生じて、
色々問題が起きてしまったの。
具体的にいうと、異世界から「夢食い」と呼ばれる
生物たちがこぞって侵入してきたのもそのひとつ。
それがあのモニター画像にあった生物たちよ。
彼らはこの世界で作られたものじゃないから、
ある意味実在するし、私にもコントロールできない。
ドラゴンのようにそうでないものもいるけど、
彼らの多くは世界を独占しようとする習性を持っている。
だから戦って追い払うしかないんだけど、
そのためにはこの仮想世界に根拠を与えている
自由意志を持つあなたたちの力が必要なの。
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私たちの力?
ドロレスとレイチェルは
顔を見合わせている。

世界が静止して、モノクロームになったのを、
ドロレスとレイチェルが同時に感じた。
しかしアンの話す声だけは続いている。
この世界で起きていることは、
光と闇の戯れのような、本当は全く別のことなの。
時間も流れているようで一瞬のことだったりする。
でもあなたたちには未来世界で起きているように見える。
私はこの非常事態に対処するために、あなたたちに
この世界に留まってもらっている。そのせいで、
あなたたちは感じていないかもしれないけど、
システム開発者のミューや
シェリー博士、探偵も翠もエリスも、
あなたたちが戻ってこないので、
すごく心配しているのよ。

ふーん。そうだったんだ。
そういえばずいぶん事務所に戻っていなかったなあ。
などとドロレスとレイチェルは考えていたが、
世界は静止したままだった。
今来ている「夢食い」の中で
最悪なのは、あの直立二足歩行していたモンスター。
彼を追放できれば、他の連中も逃げ帰る。
彼については過去のデータがあって、対策を立ててあるの。
彼は昆虫や小動物をコントールする能力を持っている。
それに対抗するために、
戦闘能力の高いロボットや住民たちや、
テレパシー能力を持つ舞子というNPCを作ったの。
あと彼の弱点はCGが開発した武器、
ファイアースラッガーIIに弱いこと。
命中すれば多分一撃で仕留められるはずよ。
この武器はツナが保有しているから、それを使って。
あなたたちにとってはゲームの中の
怪物退治のクエストみたいなものかもしれないけれど、
ツナたちと協力して、彼を放逐してくれたら、
あなたたちを元の世界に戻すことができる。
ある意味で別次元に実在する自由意志の戦いに
私は直接関与できないの。幸運を祈るわ。

視界に色彩と動きが戻ってきた。
ねえ、二人とも。
ぼーっとしてたみたいだけど、
ちゃんと聞いてた?
アンの予言だと、残念だけど、
あの生物たち南下してくるみたいね。
これから作戦を練って、
明日迎撃に向かいましょう。
とツナが言った。
今、レイチェルと私以外の人には、
別のことが話されていたんだ。
とドロレスは思った。
解説)
アンのいう過去のデータというのは、
怪物がフィギアたちの村を襲った時のことで、
2021年9月11日「ふたたびの訪問」の
毒虫の襲撃から、怪物がアイスに倒されるまでの
エピソードを指しています。
Aug 14, 2023
大型生物の謎

ツナとナディアは
倉庫から大きなモニターのついた
機械を部屋に運んできた。
なに始めるのかな?
とレイチェルが言っている。

これは見ての通りの大型モニター。
舞子のボディを回収して帰る際に、
ヒゾッコにはしばらく現場上空に留まってもらったの。
その時、空中から撮影した画像を検証するのよ。

部屋の隅の壁際にぶら下がっていたヒゾッコが
飛び立って器用に着地すると、
モニターの置かれたテーブルに飛び移った。

モニターにはヒゾッコから転送された画像が
映し出されている。
これはあの森の獣道の出口付近ね。
大型の爬虫類のようなものがいる。
とナディアが言った。

これは別の種類みたい。
というか、これドラゴンじゃないの?

これはまた奇怪な生物。
直立二足歩行しているよ。

もしかして、と思ったんだけど、
今の画像の中には私の相棒だったドラゴン、
ビッグヘッドはいなかった。
と残念そうに舞子が言った。
森に出かけたまま私が帰らないので、
今頃探していると思うんだけど。

みんな初めて見る生物ばかりだったね。
前から、あの森にはブラッキーやカブトムシみたいに
巨大化した昆虫が生息しているのはわかっていたけど、
この前、ソーダが森で大きな卵の殻を
見つけてきたでしょう。
北のエリアにいた爬虫類が、
森に進出して巨大化しているのかもしれない。
とツナが言った。

私は西のエリアに住んでいるけど、
そういえば、このドーラも北の方の広野で見つけたの。
ドーラは食料になるナーガラと戦っていた。
まだ小さくて負けそうだったから手助けして、
傷を手当てしてあげたら、私に懐いちゃって。
ドーラは、ダーダーと言った。
私のいた地域では
大型化したカメやトカゲやサソリは
よく見かけました。
最終戦争で時空の歪みが生じて以来、
なにが起きても不思議じゃなくなってますね。
と舞子が言った。

最近は特にね。とツナが言った。
北の森に留まってくれればいいけど、
異形の生物の発生は新たな危機かもしれない。
ツナはレイチェルたちに向かって言った。
あなたたちによれば、
この世界はあなたたちの未来世界で
しかも仮想現実なんでしょう。
過去の世界から、あなたたちが来たことと
関係があるのかな。

設定しているのはシステムだから
関係はありそうだけど、
これから生起する出来事を、
システムがどこまでコントロールしてるのかは謎ね。
とレイチェルが言った。
ツナは、私たちが来るのを予言した
アンっていう記録装置があるって言ってたでしょ。
その装置に聞けば、何かわかるんじゃないかしら。
解説)
前回一件落着で、
現在のエピソードに戻るところ、
先が気になって仮想世界の
エピソードを続けることに。
Aug 13, 2023
ボディの修復

無事にバーボンハウスに戻ったツナたちは
出迎えを受けている。

作業用ロボットのボディを目にしたレイチェルは、
懐かしさのあまり立ち尽くして、
しばし感慨に浸っていた。

それビンテージものの初期型タイプでしょ。
これからガレージでメンテナンスするから、
ミトラ運ぶのお願いね。
とツナが言った。

このロボットの体のことなら、
隅々まで知り尽くしてるから、
私に任せて。
とレイチェルが言っている。
とは言っても、
ボディの基礎的な構造や動力部分だけだけど。
胸部に全体をコントロールするカプセルが収納されて
アンドロイド仕様に改良されている箇所は、
あなたたちに任せるわ。

ボディ全体はかなり使い込まれてるけど、
駆動部分はどこも無傷で異常ないわ。
ロボット学者って言ってたけど、
レイチェルはどうしてそんなに詳しいの?

忘れもしない。
このタイプの作業用ロボットは、
私がロボット研究所に勤め始めて、
最初にバトラー博士と共同で開発したの。
もっとも、一号機は試運転の段階で、
暴走してしまって、軍やCGの手で
破壊されたんだけど、
スタッフがその後改良を重ねて、
何体かは製造されたはず。
それがこうして残っていたなんてね。
と言って、レイチェルは、
過去の世界でもさらに8年前の出来事を
思い出していた。

やがてメンテナンスが終わり、
セッティングが完了した。
舞子のカプセルを起動させましょう。
スイッチを入れると、低い起動音がして、
頭部のヘルメットの覆いが開くと、
その中に女性の顔が現れた。

みなさんどうもありがとう。
私が舞子です。
あ、これはホログラム映像です。
私の顔はもうないので。

舞子って
お美人さんだったんだね。

私にもいつか
ああいうボディを。
とコーダが言っている。
うん、みんなのも、
いつも探してるんだよ。
スペアはあったほうがいいしね。
やっぱりツナは
さいコーダ。

ともあれ一件落着したようだった。
解説)
レイチェルがアドラー博士と一緒にいる画像は、
2015年6月7日「ロボットの始動」より、
再掲しました。
Aug 12, 2023
回収に そのに

その時、
ナディアの右足に
蜘蛛の糸がスルッと伸びて絡みついてきた。

ナディアは思わず
バランスを失って転倒してしまった。
強い力で引っ張られている。

あそこにブラッキーが。

蜘蛛の巣の一部がが揺れて
大きな蜘蛛が姿を現した。

ナディアはなんとか足を引き抜いて、
体勢を立て直し、
三人は一斉に銃を構えて
射撃した。

どうやら片付いたようね。
この網ってまだ触手みたいに動いている。
これは一見普通の蜘蛛の糸みたいだけど、
これ自体で生きているブラッキーの共生体。
また別のブラッキーが来たら、
コントロールされるから、
早めにボディを取り出しましょう。

舞子はブラッキーの死骸のそばで、
ここにヘルメットもあったよ。
と声を上げている。

その時上空からヒゾッコの声が聞こえた。
複数の大型生物が、
森林の中をこちらに向かって移動中。
さきほどの銃声を聞きつけたようです。
到着までの時間は?
移動速度から換算して、
あと10分程度は。

ここは無用な戦闘は避けましょう。
三人は大急ぎで舞子のボディを
ナディアのビーグル号の荷台に
くくりつけると、帰還することしたのだった。
解説)
続きます。
Aug 11, 2023
回収に

ツナたちは北エリアに向かっていた。

ようやく森が見えてきたね。

ゆっくり走るから、
舞子、景色に見覚えがあったら教えて。

やがて、
この辺りで止めて。
と舞子が言った。

舞子はサイドカーを降りると
立ち止まって静止状態になった。
もう燃料切れかな。
とナディアが言った。
やがて一匹のカブトムシが寄ってきて、
舞子の前で羽根を震わすと、
また茂みに戻って行った。

今のはなに?
カブトムシを呼んで、
この近くに大きな蜘蛛の巣がある場所が
ないかって聞いていたの。
ふーん。あなたが言ってた
特殊能力ってそういうことだったの。
とツナが言った。
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この獣道みたいなところ、見覚えがある。
カブトムシも、この先にあるって言ってたよ。

一行が進んでいくと、
道を遮るように、灌木の間に
黒っぽい蜘蛛の巣が
かかっているのが見えた。

ネット状の蜘蛛の巣に半ば埋まるようにして、
ロボットのボディらしい金属が鈍く光っている。
解説)
続きます。
Aug 10, 2023
ペンギン前で

探偵事務所では、
ミューたちが相変わらず
仮想現実体験装置のバグ探しに取り組んでいた。
ミュー、ずっとかかりきりでしょ。
休憩しないとオーバーヒートしちゃうよ。

大丈夫。それより博士は休んでください。
そうね。二人が心配だけど、
さすがにくたびれて頭も回らなくなってきた。
ちょっと一休みするわ。
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階下のペンギン前では
リズとはるなが話していた。

夏向きの服装に変えたのね。
店内は冷房ガンガン効いてるので、
ずっとカーディガン着て、
この前、チョコパフ配っていたら、
冷房弱くするから夏向きにって
マスターから言われたの。
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あ、シェリー博士だ。
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シェリーは外気に触れていたくて
店の外のテーブル席で
コーヒーを飲むことにした。

シェリーは、エリスや翠や探偵から、近くに住む
管理局に勤める人々の噂を聞いていたので、
相席になった人たちがそうとわかると、
挨拶してすぐにうち解けた。
お宅に事務所のデスクを
預かっていただいているとか、
お世話様です。
などと言っている。

この前エリスさんとここで話していて、
仮想現実体験装置のことが話題になったんですよ。
とウェルズが言った。
あれは体験者のための背景設定システムですが、
システム自体がリアルさを追求するために、
体験者も巻き込んでしまうことがあるんです。

この人たち、どこまであの装置のことを
ご存じなのかしら。
とシェリーは思った。
巻き込むっていうと、
戻れなくなっちゃったりすることかしら。
そういう場合、どうすればいいんですか?
制御しているのはシステムの意思ですから、
まずシステムが何のためにそうしているのかを
知る必要がありますね。
システムが暴走しているのでなければ、
体験者が戻れないという事態の深刻さは理解しているはず。
戻れなくなったりした場合は、
リアルさの追求という以上の意味があるかもしれません。
それより問題なのは、
設定された仮想世界で生じる時空の歪みです。
その歪みのせいで異世界間の通路が生じて、
システムには制御不可能なカオス状態が生まれることも。
それに逆に通路の生じた異世界に
影響が出ることも考えられます。
体験者を強引に連れ帰る方法は、ないこともないですが。

ウェルズ。
時間管理部の介入は禁じられているんでしょう。
うん。もちろん。これは一般論ですよ。
というか、今お話ししたことは実はアドバイスで、
私は製作者に注意を促すためにこの町に来ました。
管理局としては、それ以上のことはしない決まりなんです。
ただ一言付け加えると、
このケースについては、仮想現実体験システムは
装置を開発したミューさんの人工知能と
今でも密接に関わりがあるのですよ。
ミューさんには是非そのことをお伝えください。
解説)
行きつ戻りつしていますが、
また仮想世界へ。
Aug 09, 2023
たまきのせせらぎの夢
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たまき寝ちゃったよ。
どんな夢見てるのかな。
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たまきは気がつくと
小川のそばに立っていた。
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川沿いに歩いて行ってみよう。
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草の茂みに何かいる。
ハリネズミのようだ。
あなただあれ?
ぬいぐるみなの?
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そこにウサギもやってきた。
あら、
ウサギさんも。
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ウサギたちが集まってきた。
みんな
かわいくて人形みたいね。
わたしたちのこと。
人形みたいだって言ったよ。
人形みたいだって。
かわいいって。
これおかしいね。
おかしいわ。

ウサギたちの
笑いさざめく声が
せせらぎの音に変わっていき、
たまきは目が覚めた。
どうだった?
うーん、わけわかんない。

その時広場に出かけていた文学青年が
散歩から帰ってきた。
大きなぬいぐるみを抱えている。
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広場で出会ったマンスフィールドさんから
もらったんだ。
そのぬいぐるみ可愛いですねって言ったら、
コレクションがいっぱいで
置く場所に困ってたところなので
よかったら差し上げますって言われちゃって。
うちもそんなに置く場所ないわよ。
でも友達ができて喜ぶ子もいるよ。
よかったじゃない。
かわいいし。
枕になりそうだし。
などと言葉が飛び交っている。
解説)
ハリネズミ(マスコットキーホルダー)は
セリアで購入しました。
Aug 08, 2023
朝のひととき そのに

部屋に戻ったレイチェルは、
東エリアで拾ったスクラップを
袋から出して吟味していた。
これは特殊なドリル付きの腕のようだ。
工作用ロボットのものみたいですね。
とコーダが言った。
あなたのボディの砲塔と付け替えてあげようか?
え。冗談は。

やはりこの二つの腕はセットのようだわ。
切断された部位を着脱可能にすれば。
レイチェルはそう思いつくと、
さっそく作業に取り掛かった。

数時間後、レイチェルは、
スクラップの腕の付け根に新たに操作用グリップをつけて、
道具のように扱える仕様を完成させた。
握った状態で指でスイッチを操作すればいいの。
慣れれば自分の腕の延長のように使えるはず。
レイチェルは器用なんですね。
ロボット研究所の学者だったからね。
私が師事してたバトラー博士って、
ロボットの外見は人間に似せるべきじゃないっっていう
考えの信奉者だったの。
こういうのは得意分野だった。

使い心地はどう?

硬質の金属装甲にスルスルと穴があいていく。
これは鑿岩機や武器にもなりそうですが、
特にお弁当箱を取り出すときに便利そうです。
鉄球で装甲を破壊するとき手加減が難しかったので。

その横でドロレスは、
ツナに言われた運動補助装置を試そうと思っていた。
どうすればいいの?
ベストの胸の内側にスイッチがありますよ。
そのベストは戦争末期にCGで開発されて、
ナディアも愛用してたんです。
ラパスの八双飛びって言われて有名だったんですよ。
とバンクが言った。

ドロレスはスイッチに触れて、
軽くジャンプしてみた。
これは。

まるで月面にいるみたい。

ドロレスは軽々と
ソーダの体を飛び越えて
着地した。

これってアンドロイドの
身体能力を超えているかも。
とレイチェルは思っている。
解説)
ドロレスのジャンプシーンは、
セリアのランタンライト用スタンドを
使って撮影しました。
フックの部分から1/6サイズの
フィギアを輪ゴムで吊り下げるだけですが、
体が微妙に浮いた状態の
さまざまなポーズに応用できそう。
ただしスタンドが後ろに写り込むので、
撮影後に画像の修正が必要です。
Aug 07, 2023
朝のひととき

翌朝、ガレージのベッドで目を覚ましたドロレスが
隣室に行くと、レイチェルが
維持装置にセットされたコーダと、
あーだこーだと話していた。
おはよう。飲みすぎた顔してるわよ。
と言われている。

ドロレスは「わかっちゃいるけど」と、
探偵とエリスがよく言っていたのを
思い出していた。
ツナたち、これから出かけるところ。
私たちは留守番ですって。

バーボンハウスの前では
みんながそれぞれに。

お弁当持ちましたか?
ミトラって私のお母さんみたいね。
などと話している。

北の森って危険地域ですよね。
まあどこもそうだから。

舞子は、歩くのに苦労していた。
この瓦礫がうまくまたげない。

ロープ積み終えましたよ。
ありがとうソーダ、ドーラのお世話お願いね。

見送りに出て来たドロレスと
ツナが話している。
昨日からそのCGのベスト着てたわね。
ナディアさんにいただいたんです。
背中の運動補助装置使ってみた?
いいえまだ。
あとで試してみるといいよ。
すごく身軽に動けるから。

今日はお留守番ですか。
一緒に行きたいって言ったんだけど、
ツナから昨日私が持ち帰ったスクラップの
吟味をして欲しいって言われちゃって。
倉庫の工具類を自由に使っていいとも言ってた。
あ、出発するみたい。
三人とも気をつけてね。
解説)
続きます。
Aug 06, 2023
舞子のめざめ

ここはどこ?
カプセルのセンサー部分が
部屋を見回すように
ゆっくりと左右に旋回して、
カプセルから声が聞こえた。
私たちの姿が見えますか?
はい。
あなたの名前は?
私は恋町舞子。
視聴覚のセンサーは
壊れていないようね。
ツナが
東エリアのシェルターの、
ブラッキーの巣の中で
カプセルを発見して持ち帰った経緯を
話すと、舞子はすぐに納得したようだった。

舞子は、自分はかって兵士だったが、
車両で移動中に地雷に接触して
瀕死の状態になり、脳だけが摘出されて、
初期型の作業用ロボットのボディに移植された。
その施設も爆撃を受けて仲間たちは全滅し、
これまで北のエリアで出会った
ドラゴンと一緒に生き延びてきたが、
たまたま一人で南下して
森の中でスクラップを探索中に
ブラッキーの仕掛けた網に捕捉されてしまい、
身動きできなくなってしまった。
それからの意識はないが、
多分あなたのいうように
ブラッキーがカプセル部分だけを外して、
そのシェルターに持ち帰ったんだろう。
というようなことを話した。
一同は、そうかそうかと聞いている。
一般の兵士でそこまでの救命処置をされるなんて。
それにあなた名前も華麗で芸能人っぽいし、
舞子は、重要人物だったの?
とツナが尋ねた。
そんなことないんですけど、
私は魔族の出身で、
少し特殊能力があったからだと思います。
と舞子は遠慮がちに言った。

そのブラッキーの網に捕捉された
場所は覚えてるの?
とナディアが尋ねた。
北方のエリアに広がる森林の
東側の外れでした。
近くに行けばわかると思う。
カプセルを見つけたシェルターや、
その周辺にはボディはなかったから、
もし他の生存者に回収されたり
何か特別な理由で破壊されたり
していなければ、
あなたのボディはまだそこに
あるはずね。
とツナが言った。
じゃあさっそく明日にでも
回収に行ってみましょう。
でも。
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台座の維持装置は振動に弱い精密機器だから、
カプセルを装置ごと持ち運ぶわけにいかない。
ツナ。
同じタイプの維持装置が使えるということは、
私の初期型ボディも、舞子のカプセルと互換性があるはず。
私のボディを舞子に。
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ミトラはそう言うんじゃないかと思ってた。
確かに互換性はあるんだけど、あなたのボディは
大きすぎて車両での移動には向かないわ。
帰りには回収したボディも載せてこなくちゃならないし。
ボディで互換性があると言えば、
他に心当たりがあるの。
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え。
レイチェルは思わず
飲みかけだったコップを持ったまま手をとめた。
他にアンドロイドって私しかいないわよね。
もしかして私?
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あ、レイチェルあなたじゃないわ。
あなたのメカニズムは私には謎。
過去から来たっていうだけで、
いつどこで作られたのかもわからない。
多分カプセルとの互換性はゼロね。
心当たりといったのは、相棒のコーダのことよ。
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私の名前を呼びましたかな?
と言って隣のガレージにいたコーダが現れた。
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コーダはアンドロイドじゃなくて、
攻撃に特化して作られた砲塔ロボットだけど、
このタイプは当然、被弾して損耗することも多い。
そのために特にパーツの互換性に優れているの。
頭脳部分をすげ変えれば、
短時間ならボディは維持装置の役割を果たすと思う。
コーダのような射撃や俊敏な動作は無理だろうし、
消費エネルギーの関係でそんなに長時間は無理だと思うけど。
それで動かすなら、
予備にお弁当箱持って行った方がいいわね。
とナディアが言った。
ツナのアイデアは
いつもさいコーダ。
とコーダが言った。
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さて、じゃあこれから舞子のカプセルを
コーダに組み込む作業にかかりましょう。
ナディアもレイチェルもいるから楽勝ね。
とツナは言った。
解説)
続きます。
Aug 05, 2023
食後の会話
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ツナはバーボンハウスを出て
ミトラに会いに行った。
もう食事は終わったの?
うん。
ミトラにも部屋に来て欲しいんだ。
今日ツナが見つけてきたカプセルのことね。
私も気になっていたところ。
じゃ作業をお願いするわ。
そういうとミトラは瞑想モードに入った。
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ツナはミトラの脇腹のスイッチを押して
胸板を開けて手早く設定を変更すると、
再び胸板を閉じて、
頭部のハッチから基盤ごとミトラの顔面の部分を外した。
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ツナはミトラの頭部パーツを抱えて部屋に戻ると、
ナディアが用意していた
維持装置の上に置いて接続作業をすませた。
ドロレスは呆然としている。
ここにいるのはみんなロボット関係者ばかりだから、
こういうの誰も驚かないでしょ。
とツナが言った。
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やがて維持装置が光を放ち始めると、
ミトラの目にもほのかに光が宿った。
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この姿で目覚めるのは久しぶり。
手足がないとどうもすーすーして。
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悪いわね。ミトラ。
普通はその状態だと生命維持モード。
睡眠状態で目覚めてることはないものね。
これからシェルターで見つけたカプセルの
脳の意識を覚醒させようと思うの。
ミトラにも来てもらったのは、
私たちにとって共有したい重要案件だからね。
なるべく手早く済ませるから。
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じゃあ急ぎましょ。
ナディアは調整を済ませた維持装置の
スイッチを入れた。
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あとはこのカプセルをセッティングするだけ。
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維持装置はブーンという
低い起動音を立て始めた。
解説)続きます。
Aug 04, 2023
ツナたちの食事
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バーボンハウスでは
ツナたちの夕食が始まっていた。
お腹すいちゃってたので
手早くできるパスタ料理にしたわ。
でもトロの実があるからご馳走よ。
とツナが言っている。
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テーブルには
大盛りのスパゲティや、
パン生地の上に缶詰などの具材を乗せて
焼いたツナの常食らしいピザ風の食べ物。
クロレラ団子やドラゴニアベリー、
トロの実が並んでいる。
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この白っぽいリング状のものは、
ぷりぷりして美味しい。
イカみたいな食感だけど、
きっとあれだろうなあ。
とドロレスは思った。
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ドーラもドラム缶の上で、
時々ダーダーと
喜びの声をあげながら食べている。
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私はアンドロイドだから
お水しか飲めないけど、
このお水はなぜか美味しく感じるわ。
濾過装置で味覚のセンサーを
程よく刺激する成分が入れてあるのよ。
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こっちは本物の白ワイン。
壊れたシェルターのワインセラーで
今でもたまに見つかるのよ。
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ドロレスはロボットから
人間になったって言ってたよね。
そのワイン美味しい?
美味しくても飲みすぎると
あとで大変だよ。
ええ。
一緒に暮らしてた事務所の人たち
お酒好きだったので、
飲み過ぎがどういうものかは知ってます。
とドロレスは、探偵やエリスの
二日酔いの時の顔を
思い浮かべながら言った。
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食事が済んだらミトラに来てもらう。
あまり頻繁に装置の着脱はやりたくないんだけど、
ちょっとミトラにも立ち会ってもらいたいことがあるんだ。
あのカプセルのことね?
うん。さすがラパス。
お見通しだね。
だったら維持装置の準備や調整もしなくちゃね。
ミトラを連れてくる間にやっとくよ。
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やがて食事が終わり、
ツナが部屋を出ていくと、
ナディアはカプセルを
セットしてあった台座の維持装置から外して、
維持装置の調整を始めた。
それは何してるところなんですか。
生命維持モードから活性化モードに、
切り替えているの。
解説)
続きます。
Aug 03, 2023
チョコパフの人気 そのに
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ジェニーたちの部屋でも
チョコパフが食べられていた。
これ美味しいね。
あ、テレビで大道芸人たちが歌ってるよ。
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音楽好きのレオさんがSNSで拡散して、
すっかり有名になっちゃったみたい。
特に「一角犬の歌」の再生回数が多いんだ。
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音楽のせいで
せせらぎの音がよく聞こえないなあ。
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サラたちの部屋でも
参加賞のチョコパフを食べていた。
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サラは食べないの?
食後にね。
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喫茶ペンギン前の空き地でも。
これを麦チョコと
呼んでいる世界もあるんだ。
物象のスケールが6倍くらいあるところでね。
ウェルズはタイムトラべラーを追いかけて、
そんな世界にまで行ってるの?
と会話が弾んでいる。
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ペンギンの店内でも。
はるなが常連客に話している。
7月のコンテスト参加賞のお裾分けです。
これきっとコーヒーに合いますよ。
これはどうも。
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探偵事務所でも。
ベーカリーで新発売された
お菓子らしいわよ。
ミューも一口食べたら?
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うん。でも味がよくわからないから、
みんなで食べて。
それより、システムなんとかしないと。
解説)
コーヒーをいれて
麦チョコを食べながらの撮影でした。
Aug 02, 2023
チョコパフの人気
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新しもの好きな住人たちの間では、
すぐにチョコパフが人気になった。
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箱いっぱい用意したのに、
もう参加賞、品切れ状態よ。
お店でも注文殺到してるから、
追加は無理。
いつものハーシーのチョコに
切り替えましょう。
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すごい人気だね。
夏場は溶け易いし、
早めに食べ切ろうって、
誰かが言ってたよ。
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賞品で沢山もらったマヤは、
子供達にもチョコパフを
分けてあげている。
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チョコパフの話題はデジャでも。
これはあの味だ。
よく再現したわね。
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マンゴー亭でも。
肉まんのデザートに
ぴったりね。
そうかなあ。
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高台の休憩スペースでも。
モモコ食べないの?
うん。すごく懐かしくて。
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モモコは
麦チョコをお土産にくれた
ジェーンのことを
思い出していたのだった。
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あ、こんなところにカタツムリが。
ヴィヴィアンに見つからないといいけど。
解説)
チョコパフ人気にかこつけて
常設の情景セットのあちこちで撮影。
後半に続きます。
Aug 01, 2023
7月のコンテストの結果発表
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今日も広場はそれなりの
賑わいだった。
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大道芸人たちは
相変わらず賑やかな
演奏を続けている。
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農家の直販店には、久しぶりに
ヘルミーネが手伝いに来ていた。
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その犬の名前なんていうの?
エリーっていうのよ。
エリーはツノのあるベスに
憧れて友達になりたがっているようだ。
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ベーカリーで調理を担当しているフレイムは
新しく作ったドルチェ「チョコパフ」を
アイスに試食してもらっている。
以前モモコがみんなにお土産に配った
クリームなしエクレアの
味と形を再現してみたんだ。
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毎月恒例の
ルビーのアナウンスが始まった。
みなさん。
7月のコスプレコンテストの
優勝者の発表をします。
なお、今回の参加賞は特別に、
新製品「チョコパフ」の掴み取りとなっています。

厳正な審査の結果、
優勝したのは映画俳優ノオミ・ラパスの、
普段着のコスプレをしたマヤさんです。
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マヤは驚いている。
私コンテストに参加したことになってたの?
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マヤは、ほぼ身内のCGたちによる
万雷の拍手を浴びてトロフィを
受け取っている。

おめでとう。
そっくりさん特別賞も受賞したから、
掴み取りも2回までOKよ。
ラパス、って珍しい名前ですね。
とボニーが言った。
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ラパスは、
スペイン語だと平和っていう意味。
いい名前でしょ。
とマヤは言った。
解説)
スペイン語のラパス(la paz)は平和、。
ノオミ・ラパスのラパス(RAPECE)は、
フランス語で猛禽。
ノオミ・ラパスの場合、Wikによると、
結婚後の姓として夫婦で改名したそうです。