Aug 27, 2023
帰ってきた二人
探偵事務所では
相変わらずミューたちが、
仮想現実体験装置のバグ探しに
取り組んでいた。
その管理局のウェルズっていう人は、
ミュー自身の人工知能と装置との関係が
重要だって言ってたんだけど。
確かこのシステムを開発するときに、
ミューの人工知能をベースにしてたでしょう。
特定の部分はね。そのせいで、
システムが人格を持っちゃって、
二人を覚醒させる機能をロックしてると考えると、
たしかに辻褄は合うんだけど。
あ、装置のライトが点灯してるよ。
と探偵が言った。
間仕切りのカーテンを開けると、
レイチェルとドロレスが
目覚めたところだった。
二人は仮想世界で体験した
アメージングな出来事を報告している。
ミューたちにとっては、
その世界でシステムが記録装置と呼ばれていて、
アンという人格のようなものが存在している、
というのは想像していた通りだったが、
時空の歪みが生じて、
怪物が侵入してきたというのは驚きだった。
仮想現実体験装置の開発は、元々ドロレスが、
ロボットである自分も人間みたいに
夢が見たいって言ったことから、
それを叶えたいっていう発想で始まったの。
だから装置につながることで、
体験者の夢や願望が投影される仕組みになっている。
でもその度合いや、背景となる世界設定は、
システムがネットから収集した
様々なデータから作られる。
その収集された様々なデータからすると、
実際に近未来に最終戦争が起こるって
システムが判断したってこと?
その確率が相当高かったんでしょうね。
でもあくまでも仮想世界だから。
ところが時空の歪みが生じたっていうことは、
そういうこととは別なの。
一つの仮説だけど、
世界というのは無数にあるとも言われている。
つまり実際に未来に最終戦争が起こる世界と、
起こらない世界もある。
その起こる方の世界に
時間の流れが変わった可能性がある。
仮説やら確率やら可能性やらで、
よくわからない話ね。
このコーヒーすごく美味しい。
人間に戻ったのを実感するわ。
私はコーラの味が今ひとつ
リアルに感じられなくなっちゃった。
でも全身打撲の痛みから解放された。
寝たり起きたりお腹が空いたり、
体は水の入った袋みたいだし、
人間っていうのは、大変だなあって、
つくづく思わされました。
とドロレスは言った。
解説)
製作者にも
よくわからない話でした。
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