9 ソルト・パブリッシング(Salt Publishing)の例 (2)

9 ソルト・パブリッシング(Salt Publishing)の例 (2)



  • 「ソルトでは、著者から支払いを受けて本を制作することはしない。」「著者から支払いを受けて本を制作」というのは、日本で言う出版社を介しての自費出版を指しているのだと思う。但し書きに入れているということは、自分で費用を出しても出版社の名前を付けて本を出したいという人が少なからずいるということなのだろうか。こちらではこういう形態の出版はヴァニティー・パブリッシング(vanitypublishing)と呼ばれている。
  • 「朗読会を行い、現代文学シーンで積極的な役割を果たし、読者を募る著者をソルトは、積極的に支援する。」と同時に、「朗読ツアーなどを組織するような、エージェント的仕事は通常行なわない。」こちらには文学エージェントが存在し、小説家の全国的な書店朗読を運営する仕事もするのだが、詩人がエージェントを使うケースは希である。ここでは、朗読会は支援するけれど、エージェント的な仕事まではしないということを明確にしてある。
  • 「出版記念会や朗読会にソルト側がすべて出席できるとは限らない。」友人が同社から出版して朗読会をしたときは、エメリー氏が出席していた。
  • 「ソルトは著者の音声や映像の記録を要求する。」「SNSやブログなど、宣伝活動には著者側の積極的なサポートが必要。」この出版社は、自社のウェブサイトやFacebookなどでも盛んに著者の朗読や映像を流している。
  • 「現在投稿の数が多いため、出版に承諾した場合のみに返事をする。」「ソルトからは1ヶ月以内に返事をする。この期間以内に返事がなければ、不採用ということである。」この時間は、待ち遠しいでしょうね…。
  • 「テキスト、表紙、表紙のイラストなどのデザイン面で、ソルトはすべての権利を持つ」デザインはすべて当社でやらせてくれということなのだろう。
投稿の条件については厳しそうに見えるかもしれないが、実際にはエメリー氏が自分で詩人を発掘しようと動いているようで、同社側から声を掛けることも多いようだ。実際、上記の友人は、「あなたの詩集をうちから出したい」と接触されて、出版に至った。友人は一度、別の出版社から第一詩集を出していた経歴もあるのだが、第二詩集でなかなか出版先が見つからなかったので、とても喜んでいた。