3 アーツ・カウンシル(Arts Council)
イギリスには数々の芸術支援団体がある。前桂冠詩人のアンドリュー・モーション(Andrew Motion)が中心になって立ち上げた、詩人の自作詩の朗読を保管するポエトリー・アーカイブ(PoetryArchive)のウェブサイトを見ると、後援者のページに様々な団体名が載っている。
この中で代表的な組織がアーツ・カウンシル(Arts Council)である。アーツ・カウンシルはイギリスの4つの地域の名前が付いているが、詩への援助でよく目にするのは、アーツ・カウンシル・イングランド (Arts Council England)で、援助の対象は、音楽、美術、演劇、ダンス、総合芸術、文学など。わたしにはピンと来ない金額だが、2008年から2011年の間、アーツ・カウンシル・イングランドは、16億ポンドを芸術に投資することになっている。
詩への援助は文学に含まれていて、助成金の対象は、詩の出版社や詩誌、詩のフェスティバル、文学賞、詩の団体(ポエトリー・ソサエティー Poetry Society)、ポエトリー・トラスト Poetry Trust)、詩の図書館(ポエトリー・ライブラリー Poetry Library)、先述のポエトリー・アーカイブなどである。
アーツ・カウンシルの資金源は、公的資金+ナショナルロッタリー・ファンド (National Lottery fund 国営宝くじ基金)である。わたしはくじ運がないので、この宝くじはほとんど買ったことがないのだが、こちらではスーパーマーケットなどに行くと必ずナショナルロッタリーの売り場がある。抽選会は毎週土曜日、芸能人なども出演して、国営放送のBBCでライブ中継される。
ところでこのナショナルロッタリー・ファンド、芸術だけではなく、スポーツや教育など他の分野へも分配されている。そこでアーツ・カウンシルに起こった問題が、2012年のロンドン・オリンピックの開催である。2005年に開催が決定した後、この基金が大幅にオリンピックのほうに回されることになり、芸術への投資額が減らされたのである。また、公的資金のほうも、この不況で苦しい状態にあるのでアーツ・カウンシルは厳しい立場に置かれている。
(少し検索したら、アーツ・カウンシルについて書かれた日本語の論文があった。興味のある方はこちらから。)