5 詩誌投稿 (1)

5 詩誌投稿 (1)



詩集出版への入口は、詩誌への投稿とコンペティション(イギリスではcompetition、アメリカではcontestが一般的な呼び方)である。ポエトリー・ライブラリーで紹介されている詩誌は165誌あり、これはイギリス以外の英語圏の詩誌も含んでいると思われる。数だけ見るとずいぶんたくさんあると感じるが、有名どころはイギリス内では20誌ぐらいだと思う。

こちらの詩誌は日本の同人誌とは性格が違っていて、少数の依頼原稿と大多数の投稿で成り立っている。これに加え、エディターが書いたエッセイや書評が付け加えられている詩誌も多い。日本の商業詩誌だと、依頼原稿と投稿欄が別の枠で掲載されていることがほとんどだが、こちらの詩誌だと有名詩人も新人も、特定詩人の特集などの場合を除き、同じように名前と題名が出て掲載されることが多い。従って、いくつも賞を取って詩集を何冊も出しているような詩人でも新人でも、区切られることなく作品が掲載されている。つまり投稿欄という「欄」が存在しないのである。

詩誌の運営は、ポエトリー・ソサエティーのような大きめの団体もあれば、何人かでグループを組んだり、個人で行なわれている場合がある。グループが大きければそれだけ知名度が高いかというとそうでもなく、個人で運営されている詩誌でも評判が高いところもある。投稿の方法は今のところ、詩誌のエディター宛に詩と返信用封筒を入れて送り、返事を待つのがほとんどだ。Eメール投稿を許可するところも増えてきている。イギリスの詩誌へは海外の英語圏からの投稿も多いから、Eメールのほうが、国際返信用切手を購入する必要もなく、断然便利である(ただ、手紙で回答が届いて封を開けるときの興奮はないが)。1度に送る詩の数は5、6編以下と限定している詩誌が多い。わたしはふだん3編ぐらい送っているが、詩誌によっては4編「以上」とか、上限ではなく下限も限定しているところもある。

そういう詩誌のエディターは、2、3編ではその詩人のほんとうの実力はわからないと感じているのかもしれない。