5 詩誌投稿 (2)

5 詩誌投稿 (2)



こちらの詩誌の困ったところは、投稿に対する返事がとてつもなく遅い場合があることだ。早いところは1週間から1ヶ月以内に返事をくれるのだが、遅いところは半年以上かかることもある。

投稿の詩を「未発表の詩」と限定している詩誌が多い中で、半年以上待たされるのは公平ではないと思う。二重投稿をする詩人もいると聞くが、いくら規定を破っているとしても、責める気持ちにはなれない。

審査は詩誌を主宰するエディターが行なうのが一般的だが、毎回外から詩人を呼んで審査に当たらせている詩誌もある。『マグマ』(Magma)という詩誌は年4回発行されているが、毎回違った詩人をふたりずつ呼んで、審査に当たらせている。

詩誌によって返事の早さが違う一般的な理由は、エディターが詩誌に時間を割く時間の長短である。例えば『ポエトリー・レビュー』(Poetry Review という詩誌には毎年6万編の詩が送られて来るそうだが、返事は2週間以内で届いた。この詩誌のエディターはフィオナ・サンプソン(Fiona Sampson)という詩人だが、「ポエトリー・レビュー」はポエトリー・ソサエティーという詩の団体が発行しており、彼女は専属でこの団体に雇われているので、詩誌の仕事だけに集中できる。その一方、他に生活の糧を得ながら詩誌を運営しているエディターは、年間の投稿作品数が5千編以下の詩誌でも、送られる詩の選考に時間をかけられないので返事が長くかかるということもある。また、『リアルト』(Rialto)という詩誌では、まず採用候補を選出してから、数ヵ月後に最終選考をすると言うやり方を採っているらしく、そのせいで返事まで半年以上かかるらしい。



今まで来た返事の中で、2通だけ写真に撮って載せておく。上の『ポエトリー・ウェールズ』(PoetryWales)からの手紙は採用通知(acceptance letter)で、下の『スミス・ノール』(Smiths Knoll)からの手紙は不採用通知(rejection letter またはrejectionslip)と呼ばれるものだ。採用の場合はその旨が短い文で書かれ、掲載してよければ経歴を送るよう求められる。それに対し返事を送ると話は成立である。不採用の場合の文面は色々で、残念ながら今回は不採用ですと簡単に書かれた手紙を送ってくるか、送られてきた詩ではどの詩がよかったと書いてくるところもある。また、希ではあるが、詩の感想を詳しく書き、助言を付け足すエディターもいる。わたしが受けた助言の中には、参考になったものもそうでないものもある。

そういえば、アメリカ詩人シルヴィア・プラスをモデルにした映画『シルヴィア』の冒頭で、プラスがrejection slipを読んでがっかりする場面があった。プラスが投稿していたのはおそらく20世紀半ばぐらいだと思うのだが、あの時代でも同じような過程を踏んでいたのだろうと思う。