Apr 19, 2025
さらなる探検へ

トリコ成長が早すぎない?
一回り大きくなった気がするわ。
ああやって
ずっと食べ続けですからね。

ツナとレイチェルはシェルター型ロボットを
検分していた。
正面のカバーが開いたわ。
仮想現実世界で見つけたシェルと同じタイプね。
壊れてなければ操作は簡単。ここのレバーを引けば。

低い起動音がして、正面カバーが閉じ、
背面カバーが開くと、
折りたたまれていた両足が伸びて、
シェルター型ロボットは立ち上がった。
やったわ。
認識機能はどうかしら。

側面のカバーが開いて、
中から両腕が伸びてきた。
燃料が減衰しています。
至急燃料を補給してください。
と言っている。
燃料って、お水だったわね。
今貰ってくるわ。
あ、前にあなたと同じタイプのロボットに、
シェルっていう名前をつけたことがあるの。
あなたの名前は、
シェルニにするから、よろしくね。
シェルニですか。なんと安易な。
あ、了解しました。燃料をお願いします。

やがて、探索に出発するメンバーが
庭に集まっていた。
留守番はフミコとサラと、
シェルニって名付けたロボットと、
ヤミーとヤッピーに任せるわ。
みんな準備はいいかな。
いいけど、あの門のある場所まで
川をさかのぼって徒歩で行くのには、
かなりの距離があるわよ。
とナディアが言った。
もちろん魔法を使っていくのよ。
ナディア、その岩の門があった風景を
思い浮かべてみて。
とアイスが言った。

アイスが呪文を唱えると、
背景に川の上流にあった岩の門のイメージが見えた。
みんな驚いている。
私がこの情景を思い描いて、
心に浮かぶ呪文を唱えるのよ。

位置はあの辺がいいかな。
庭の隅に鏡の扉が現れた。
超便利な魔法ね。
なんでもありすぎじゃない?
とツナが言っている。

一行は鏡の扉を抜けて、
岩の門の前に移動してきた。
この向こうが別世界なんですか。
どうもそうらしい。でも、
未知の世界なのはこっちと同じようなものよ。

一行はトンネルを潜り抜けた。
空気が微妙に違う気がするなあ。
けっこう急斜面ですね。
ナディア。ここでふたてに別れましょう。
私とレイチェルとヤビーは
この崖を登ってみる。
あなたとツナとラルゴは
洞窟の奥を探検してみて。
とアイスが言った。
アイス。危険だから、
あまり上空は飛ばない方がいいわよ。
とナディアが言った。
了解。
解説)
続きます。
Mar 19, 2025
フリーマーケット そのご

探偵事務所では、
鷲尾翠が窓の外を見ていた。
明け方まで雪が降ってたみたい。

アルは買ったばかりのグラスで
ワインを飲んでいた。
このグラスで飲むと格別だよ。
試し飲みって、いい口実ね。

雪が屋根にうっすら残ってるわ。
こういう景色は年に一度か二度だから、
つい眺めていたくなるわね。

広場では相変わらず
フリーマーケットが続いていた。

ジャンはマンスフィールドさんと話している。
このGIジョーのフィギアいただいていいんですか?
ええ。貰い物なんですけど、
あなたなら喜ぶと思って取ってあったの。
嬉しいなあ。

ジェットは休憩中で、
佳奈の差し入れのビールを飲み始めている。
お花見みたいでいいですなあ。

この靴小さくないかしら。
サイズはぴったりのはずですよ。
そういうものなんです。

マンゴー亭では、
エレナとカコが買い物の成果を
見せ合っていた。
そのジャンパー随分年季が入ってるわね。
そこが気に入ったのよ。

それは何の本?
「Science Today」。
人類の先端科学技術のことがわかるのよ。
古本だと、情報が古いんじゃない?
あ、そうかもねー。

夏木さんとルビーは会場を巡回していた。
衣類やバッグや靴は売れてる?
あんまり売れないんですよ。
みんなドルフィンの倉庫の在庫品だから、
住民ならいつでも無料で借りられるので。
それは無理ないわね。
でもみんな一点物なので、
中にはお金を払っても欲しがる人もいます。
それに観光客にはそこそこ売れてるみたいです。
なるほどねー。
解説)
続きます。
Jan 19, 2025
姉妹の再会

広場では平穏な日々が続いていた。

ルルが植木鉢を並べて水をやっている。
ここのスペース、
魔術劇場が戻ってくるんじゃないですか。
その時はその時。
ここ殺風景だからね。

佳奈は和服を着替えて
新そうなセーターを着込んでいる。
そのベレーは?
かっこいいでしょう。
倉庫にあったんです。

サラとカコは鏡の扉を通って
デジャに現れた。
あらサラ。
もうホテルから戻ったの?
ハリーたちは元気だった?
そのお連れの方はどなた?
質問は一つづつ。
ご両親はお元気でしたよ。
こちらはカコ。
遠い世界から観光でみえたの。
あ、この人はヴィヴィアンと言って、
ハリーご夫妻の娘さんよ。
どうぞよろしく。

二人はデジャを出て、広場を横切って
喫茶ペンギンに向かっている。

サラさん。
と舞が声をかけた。
男の人がサラさんを探していましたよ。
なんか彫像の制作を頼みたいって言ってました。
サラさんたちの部屋の場所を教えてあげたんですが。
ありがと。
あとで部屋に帰ってみるわ。

二人は高台の休憩所を通過している。
起伏があって風光明媚なところね。
そう見える?

二人は喫茶ペンギン前の空き地に到着した。
いつものことで、
屋外のテーブル席でバグとミラが
お茶を飲んでいた。

あら、カコじゃないの。
こんなところに現れるなんて。
何年振りの再会かしら。
とミラが言っている。

忘れちゃったけど随分になるはずね。
お姉さんが管理局に就職してから、
ずっと会ってなかったから。
お姉さんがどんな環境で働いてるのか知りたくて、
この星に来てみたんだけど、
ホテルでここにいるサラと知り合って、
お姉さんのことを知ってるっていうんで、
連れてきてもらったの。

ふーん。観光旅行のついでか。
いいわねー。私はここの元倉庫に住んで、
管理局の本部に勤めてるのよ。
毎日じゃないんだけど。
いつもここでお二人でお茶飲んでますよね。
とサラが言った。
そう見えるでしょ。
大抵そうなのよ。

それにしても、管理局は
どうしてこの星に本部を構えたのかしら。
銀河系の中心部から3万光年も離れた辺境でしょう。
この星の生物種の文明も
特別に高度っていうほどじゃないみたいだし。
位置も距離も文明の程度もあまり関係ないのよ。
管理局のある領域は厳密にはこの宇宙とも別世界。
多種多様な異世界との交差点のような空間にある。
本部をこの銀河系宇宙のどこに置くかは
ほとんど局長の趣味なんじゃないかな。
あああの人ね。天使族の。
お姉さんをスカウトしにきた時、
一度会っただけだけど、あの時私も勧誘されたのよ。
ふーんそうだったの。
基本私たちって顔だけじゃなくて
考え方も似てるからね。
そーなのかなー。
などと二人の会話は続いていた。
解説)
続きます。