Jan 28, 2025
ピピたちとベランダで
サラはダックとピピと連れ立って
魔術劇場を経由してデジャに戻ってきた。
あら、今度はまた変わったお客さんね。
ダックって言います。
私はヴィヴィアン。よろしくね。
お父さんたちは?
まだホテルにいるみたい。
よほど気に入ったのね。
サラは、ルビーに会いにベーカリーに行った。
ルビー、あなたとフレイムが、
ジャングルの洞窟で
二人の宇宙人を助けたことがあったでしょ。
お礼を言いたいっていうんで、
お連れしたの。
ふーん。どこに?
ドルフィンの二階のベランダで待って貰っているわ。
ちょっと目立つので、
あまり人目につかないようにしてるのよ。
私もついて行っていい?
とアイスが言った。
もちろんどうぞ。
あなたなら驚きそうもないから。
一行が洗濯物干し場のベランダに行くと、
ダックが座っていた。
お久しぶりです。その節は
お世話になりました。
あ、もう一人の方は?
フレイムね。声をかけたから
すぐ来ると思うわ。
とルビーが言った。
サラがバッグのチャックを開くと、
中からピピが現れた。
こんにちわー。あの時はどーも。
と言っている。
さすがにピピの姿は、
広場の観光客も驚くと思うので、
バッグの中に入っていて貰ったのよ。
とサラが言っている。
元気そうでよかったわ。
あなたたちをジャングルの洞窟で見つけたのは確かだけど、
翌朝、あなたが九官鳥に攫われて、
その後を円盤で追いかけて鳥の巣から救出したのは、
リザードでしょう。
私たちはあなたたちを見つけて一晩一緒に過ごしただけ。
その話ね。私の体験とも辻褄が合うのよ。
とアイスが言った。
私はジャングルの山の上で枯れかけた大きな樹木を見つけて、
魔法で元の姿に戻したの。
そこに大きな九官鳥の巣があったらしくて。
そうですそうです。
私を攫ったのはその九官鳥で、
山の上の大きな木の巣の中に囚われていたんです。
とピピが言った。
それは奇遇でしたね。
ともあれ、あなたたちが見つけてくれなければ、
私たちは暗い洞窟の中で
ジャングルの獣たちの餌食になっていたでしょう。
やはり命の恩人に変わりはないのですよ。
とダックが言った。
ものは考えようねー。
やがてフレイムがやってきた。
懐かしいわね。
ピピ。あなた洞窟の前で焚き火した時、
しきりにチョコを食べたがっていたでしょう。
これはお手製のチョコパフよ。
なななんと。
フレイムさん、僕の言葉覚えていて
くれたんですか。
ピピは感激している。
ちょっと失礼。
と言って立ち上がると、
サラはドルフィンの
二階の部屋に通じるドアをノックした。
あらサラじゃない?
どうしたの。
ニッキー、悪いけど、
このバッグの中の私の服預かってくれない?
今、バッグだけ必要なの。
いいわよ。
ピピさん、ダックさん、
このバッグ、差し上げるので、
町を見物するなら人目につくから、
ピピさんはバッグの中に入って、
ダックさんに運んでもらってね。
ああ、お気遣いありがとう。
帰り道は私がエスコートするわ。
本部に呼び出されて行けなかったけど、
あのホテルに泊まってみたかったし。
とアイスが言った。
また留守するつもりね。
とルビーが言った。
サラは部屋に戻ってきた。
おかえりー。
2泊三日のアフリカ旅行からご帰還ね。
あれ旅行バッグどうしたの?
と言われている。
解説)
続きます。