Jan 18, 2025

ホテルでの会合

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サラたちがハリーたちの部屋に行くと、
フラハが何やら話していた。
サラがカコとルースを紹介し終わると、
フラハが再び口を開いた。


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さて、いまの話の続きだが。
私がこの土地にやってきて
先住部族の長老から、やがてやってくる精霊の
出現を待つようにと言われて、
この土地を譲り受けたというところまで話したね。
空き地にあるあの岩はその頃からあったんだ。
変わった形をしたすごく目立つ岩だろう。
元々先住民の祭祀に使われていたらしいが、
そんな言い伝えだけが残っているような状態だった。
出現したというプレートは、ここに来る前に
シーザーと確認してきたが、確かに
私もみたことがないものだったね。


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どうやらみなさん、
あの転送装置のことで、お騒がせしているようですね。
とルースが言った。
実は、あの岩にプレート部分を出現させたのは私たちです。
昨晩、この星に来るのに使ったんですよ。
あの岩全体が転送装置になっているんです。

装置があの場所に設置されたのははるか昔のこと。
この星の魔族の住む都が栄えて、
レプテュリアンと交流があった頃のことだと聞いています。
その頃には他の天体からの訪問者も多く、
ああした転送装置があちこちに作られていたのですよ。
そのほとんどは破棄されたり、その存在さえ
忘れ去られてしまったようですが。


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ふむ。今のご説明でプレートが出現した理由がわかりました。
ところで転送装置とおっしゃいましたが、
あなた方は、その装置でどこか別の場所から移動してこられた。
それは、われわれ魔族が魔法で出現させることのできる
鏡の扉によく似ているようですな。


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確かに似てるわね。
あの転送装置は、レプテュリアンたちが作ったもので、
その頃彼らと交流があったあなたたち魔族の使っていた魔法から
転送の原理のヒントを得た可能性はあるわ。
ただあれはレプテュリアンの転送装置としては大昔のもので、
あの巨大な岩全体の内部が精密機械になっているの。
今ではもっとコンパクトなものが使われている。

呪力だけで生み出せる鏡の扉に
近づいていると言うことですかな。

そんなふうにも言えるわね。
ただし、広大な宇宙には無数の異なる文明があって、
その中には生物進化の果てに生まれた
想像を絶するような高度な精神文明も含まれます。
精神ということでいえば、あなたたち魔族の持つ呪力もそう。
レプテュリアンたちの一部はまだその秘密を知りたがっている。
でもご自分たちの尺度だけで世界を押しはかるのは危険ですよ。
ご自身にとって危険というだけですが。

カコさん!
いま思い出したんだけど、
あなたって、顔立ちが管理局に勤める
ミラっていう人にそっくりね。
おっしゃってることも、壮大なようで、
さりげなくアドバイスするところは局長にも似てる。
とサラが言った。

あら。
ミラや管理局の局長を知ってるの?

ええ、特に局長とは仲良しよ。
去年は草冠をプレゼントしてもらったし。

ふーん。ミラは私の姉なの。
姉が管理局にスカウトされて随分になるけど、
どんな環境に派遣されてるのか
ずっと興味があってね。
ルースがこの星の鶏のことを調べたいっていうので、
便乗してきたのよ。


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お二人とも宇宙から来られたんですね。
転送装置で来られたって驚きですけど、
転送装置のすぐ近くにこのホテルができたって、
ご存知だったんですか。

ええ。
一応この星にずっと住み込んでるのはレプテュリアンたちで、
私たちとは友好関係にあるの。過去の内紛の結果、
彼らはこの星の人間や魔族との直接的な接触を
自分たちには禁じているけど、それは建前ね。
ご存知だと思うけれど、彼らは透明なマントを着て、
あなたたちをよく観察してるし、接触している人もいる。
この星にルースの顔立ちに似た鳥がいるっていう情報も
そんなレプテュリアンから聞いたのよ。
ホテルができたことも
リザードっていうレプテュリアンから聞いたの。
とカコが言った。

リザードって、あの人だね。
と一同が言った。

みなさん、リザードも知ってるの?
知能の高い類人猿や魔法生物がやっているホテルだから、
歓迎して泊めてくれるだろうって言ってたわ。


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なるほどねー。
リザードがずっとホテルのことを観察してたなら、
犬猫猿鳥同盟が招待券風割引券を送って、
ハリーさんたちや私がホテルに泊まりにくることも
知っていたのかもしれない。
そこにカコさんとルースさんが泊まりに来たら、
当然私たちは出会うことになる。。。
リザードはどこまで予想してたのかな?

サラ、考えすぎじゃない?
あなたがホテルに泊まりに来たのはたまたまでしょ。
私たちもそうよ。誘ってもヴィヴィアンは来なかったし。
とカーミラが言った。


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やがて会合が終わった。
ルースはフンボルトに勧誘されている。

犬猫猿鳥同盟に入りませんか。
宿泊料金無料の特典が付きますよ。
それって何する団体?
時々集まってお茶を飲む会です。


カコ、あなたはこれからどうするの?
よかったらミラのところに案内するわよ。
そうねえ。
姉に内緒で来て、
環境の様子だけ見て帰るつもりだったので、
姉がどこに住んでるかも調べていなかった。
サラが、姉を知ってるとなると、
会ってみてもいいかな。


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サラは、とりあえずコートやマフラーを羽織って、
カコをミラのもとに案内することにした。
二人は鏡の扉のあるフラハの家に
やってきた。

やあ、先ほどはどうも。
あの鶏みたいな顔の人は一緒じゃないのかい?
ルースは、自分によく似た魔法生物たちに
興味を持ったみたいで、ホテルに残るって。
人間たちの町に行くことも気にしてたみたい。

あの町の広場界隈なら、
一年中なんでもありのコスプレコンテストやってるから、
変わった顔してても誰も気にしないのに。
ふーん。楽しそうなところね。
じゃ行きますか。



解説)
続きます。
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