Jun 30, 2025

コンテストの参加登録

a1

サラたちは町の広場に、
コスプレコンテストの参加登録にやってきた。


a2

サラはエトナに
お久しぶりーと声をかけられている。

ここは変わらないわね。

サラの行ってる世界は、
変わってるの?

このひと月、
アイスやヴィヴァアンが探検して、
島やら雪山やら精霊の国やら、
新しい場所の発見が続いているのよ。


a3

ルビーこんにちわ。
今月も月末になっちゃったけど、
コンテストの参加登録に来たの。
私のお友達のディアナとシビルよ。

それは助かるなあ。
今月も新規の参加者はゼロだったのよ。
優勝候補が二名ね。
とルビーが言った。


a4

よろしくお願いします。
私人間じゃなくて精霊なんですけど、
いいんでしょうか。
とディアナが言った。

精霊でも夢食いでも妖怪でも全然OKよ。
先月も先々月も優勝は、
夢食いの女性だったわ。えーっと。

シーラにみすずよ。
とサラが言った。

そうそう。
サラの友達多すぎて、
名前覚えきれないなあ。


a5

あ、マンスフィールドさん。
ちょっとお伺いしたいんですけど。

何かしら?

マンスフィールドさんは、
美術品や絵画のコレクターでしたよね。
お知り合いに、フクロウの置物の
コレクションを持ってる人って
ご存知ないですか。

フクロウの置物のコレクションねえ。。。
あ、そういえば、私が持ってるけど。

えええ。

コレクターの友人から譲ってもらったのよ。
置き場に困ってるからって。
郊外に借りた倉庫に保管してあるわ。
興味があるならご覧に入れてもいいけど、
倉庫までは結構遠いの。
それに今日は月末でこれから
コンテストの審査会があるから、
明日のコンテストの
結果の発表後にでもどうかしら。

よろしくお願いします。


a6

ということですって。
とりあえず、二人の登録は済ませたから、
肉まんでも食べに行きましょう。
すぐそこの店よ。


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3人はマンゴー亭で、
先に来ていたジョー軍曹と相席になった。

さっそく肉まんをぱくついている。


a8

シビルが、
この味、命が蘇る感じがする。
と言っている。

さて、コンテストの優勝者発表は明日ね。
一旦、みすずの家に戻ってもいいけど、
せっかく来たんだし、
私たちの部屋に泊まって行ってよ。
明日は、倉庫も見せてもらえそうだし。
とサラが言った。

倉庫まで遠いって言ってましたよね。

そういえばそうね。


a9

横で話を聞いていたジョー軍曹が言った。

遠出するのに足が必要なら、
ジープが出せますよ。
必要なら言ってください。

え、そうなの?
じゃ頼んじゃおうかな。
明日ね、郊外のマンスフィールドさんの
倉庫まで行きたいの。

おけ。

親切な方ですね。
とディアナが言った。

みんな出番がないからねー。
とサラが言っている。



解説)
続きます。
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Jun 29, 2025

サラの招待

a1

一人でみすずの家に戻ってきたディアナは、
みすずたちと顔を合わせた。

精霊の国ってどうだった?


a2

人間の姿になったディアナは、
向こうの世界で知ったことを、
事細かく話している。

その国は、もともと魔族の女性が
とある美術品コレクターの倉庫に眠っていた、
フィギアや置物に宿った精霊たちのために、
作り上げた幻想の世界で、
私もその中の鹿のフィギアに宿った精霊の一人だったの。
記憶がなかったけれど、
話を聞いていて、うっすらと思い出したわ。
この夢の世界も元々はその魔族の女性が見ていた夢で、
彼女が私をこの夢の世界に連れてきたっていうのよ。
そう言われれば、なんとなくそんな気がしてきた。
そればかりか、私が望んだこの人間の姿は、
その魔族の女性にそっくりなんだって。

そんなことってあるのね。
とみすずが言った。

ディアナさん。
今の話で、美術品のコレクターって出てきたでしょ。
私、そういう人、一人だけ知ってる。
その人に聞けば何かわかるかも。
とサラが言った。

そうなの?
ぜひお会いしてみたいわ。

だったら、私の住む町に行かない?
もう月末だから、コンテストに登録して、
来月までいれば、チョコがもらえるよ。
その人は、コンテストの審査員もやってるの。

そうしなさいよ。
人間の住む町なんで初めてでしょ。
いっぱいチョコもらってきて。
とみすずも言った。

あ、彼女も誘ってあげよう。


a3

サラはいつもフミコが
ミミコの世話をしている部屋を訪ねた。

やっぱりここにいた。
シビルさん、私たち、町に行くんだけど、
一緒に行きませんか。

え、町って人間の住む現実の世界でしょう。
どうして夢食いの私に。

多分初めてなんじゃないかと思って。
登録すれば参加賞でチョコがもらえる
コンテストを毎月やってるんですよ。

行ってらっしゃいよ。
マンゴー亭の肉まん美味しいわよ。
とフミコが言った。


a4

かくて、サラは、
ディアナとシビルを連れて、
町にあるサラたちの家に
戻ることになった。

サラはアイスに教えてもらった
呪文を唱えている。

なんか人間たちの現実の世界なんて、
初めてで緊張するわね。
そうですねー。
と二人で話している。


a5

サラは二人を連れて鏡の扉を抜け、
サラたちの部屋に戻ってきた。
さっそくディアナとシビルを紹介している。

私はメアリー=ケイトよ。
赤いのがケイで、ピンクがジェット。

そういう紹介って。


a6

二人ともやや緊張している。

あ、今スムージーとサラダを
作ってたところなんだ。
よかったらどうです?


a7

お味はどうですか。

うーん。美味しいわ。

このドレッシング何かしら。


a8

これを使ったんです。

ふーん。
高級そうね。

そうでもないんですよ。
ガチャなら300円です。


a9

サラ、帰ってきたの1カ月ぶりね。

そうなのよ。
こっちは変わりない?

埃の降り積もる静かな日々よ。
最近たまきが、生成AIを使った
動画制作に凝ってるらしいけど。

ふーん。
それって流行ってるのかな。



解説)
続きます。
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Jun 28, 2025

ディアナの去就など

a1

王座の間に
オウルはフクロウたちを招集した。

行方不明になっていた
ディアナ様が戻ってきたんだ。
また女王様になってもらうことにしよう。

ほーほーという
歓声があがっている。


a2

オウルさん、悪いけど、
それは辞退するわ。
王様役はあなたにお任せする。
私は自由にしていたいの。
とディアナが言った。

そ、そうなのか。
ではこれまで通り女王様代理を
私が勤めることにしよう。

ほーほー、とみんなが言っている。
特に異存もないようだ。


a3

その時、
入り口のドアが開き、セリーヌたちが
散歩から帰ってきた。


a4

散歩はどうだった?

ローゴスの手下に出会ったわ。
向こうの世界から洞窟を抜けてきたみたい。
あそこ、入り口を塞いだほうがいいわね。

そうしましょう。
それで、その手下どうしたの?

用事を思い出したって言って、
飛んでっちゃった。
今もこの世界のどこかにいるはずよ。

被害が出ないうちに
消えてもらったほうが良さそうね。
探しに行かなくちゃ。
とヴィヴィアンが言った。

この国は山々に囲まれていますが、
けっこう広いですよ。
ちょうどみんながいるので
御触れを出しましょう。
とオウルが言った。


a5

ということで、
みんなも聞いていたと思うが、
怪しい鳥を見かけたら、
報告してくれるように、
森の動物たちにも伝えてほしい。
とオウルが言った。

みんな、ほーほーと言っている。


a6

さてと、一息ついたわね。
ディアナはこれからどうする?

私は、この世界で人間の姿になると、
みんなが混乱すると思うの。
だから、みすずの家に戻ろうかな。

それがいいかもね。

私は、トロンの家に戻って、
九官鳥の羽根を取ってくる。
空が飛べないと怪鳥を追いかけられない。
とアイスが言った。

それもそうね。
雪山に行くついでに洞窟の入り口を
雪で埋めといてよ。

わかったわ。

そうそう。お城の庭園の噴水に、
カエルの姿の彫像があって、
精霊が封印されてるって言ってた。
封印を解いてほしいって言われたのよ。
とセリーヌが言った。

どんな精霊なの?

わからないけど。
彫像に封印されるなんて、
いわくがありそうね。

じゃあ私はそこに行ってみるわ。
とヴィヴィアンが言った。


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ディアナはみすずの家に戻り、
アイスとトロンは、雪山のトロンの家に、
行くことになり、
セリーヌは、ヴィヴィアンを
彫像のある噴水に案内することになった。


a8

アイスたちは、トロンの家にやってきた。

ちゃんと羽根があってよかったわ。
この家、ドアに鍵もないでしょ。
盗まれないかちょっと心配してたの。

ここには誰もこないですから。
それにその羽根で空が飛べるなんて、
誰も知りませんよ。

そうね。
飛ぶには魔力も必要なのよ。


a9

二人はトロンの家を出て、
洞窟の前に到着した。


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アイスたちは雪塊を蹴り落として、
洞窟の入り口を埋めている。



解説)
続きます。
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Jun 27, 2025

お城の部屋で

a1

お城のアイスの部屋で、
ディアナは鹿に変身している。

私が人間の姿に変身することが
できるようになったのは
フミコの魔法のおかげ。
もし私が昔この世界にいたのなら、
ずっと鹿の姿だったはずね。

その通りね。
さあ、あなたを描いた絵画を
見にいきましょう。


a2

3人は壁に絵画のかかっていた
部屋にやってきた。

あれはどう見てもあなたでしょ。

鹿になっている自分の姿は、
泉に映してしか見たことがないの。
でもきっとそう見えるのね。


a3

その時、ミネルバがやってきた。

おお、これはディアナ様。
ずっと探していたのですよ。
洞窟の向こうの世界におられたというのは、
本当だったんですね。

私には昔の記憶がないの。
あなたはだあれ。

なんとなんと。
執事のミネルバですよ。
あ、すぐにお昼寝中の
オウル様をお呼びします。


a4

オウルがやってきた。

ディアナ様。
お元気のようで嬉しいです。

私には昔の記憶がないのよ。


a5

オウルさん。
順序立てて考えてみたいの。
この世界を生み出したのは魔族の女性。
ディアナは、その人が大切にしていた
鹿のフィギアだったのよね。
その魔族の女性って、
自分の生み出したこの世界に、
遊びに来たことがあるの?
とヴィヴィアンが尋ねた。


a6

いいえ、お見えになったことはないんですよ。
倉庫に眠っていた精霊の宿ったフィギアや置物を、
この世界に来られるようにしてくれただけなんです。
でも、みんな一度は倉庫で出会っているので、
顔やお姿を見ればわかります。
とオウルは言った。

そーなのね。
もしかしたら。

ディアナ、人間の姿に変身してみて。
とヴィヴィアンが言った。


a7

ディアナは人間の姿に変身した。

おお、これは。
この方です、私たち精霊を目覚めさせて、
この世界に導いてくださったのは。
お名前は存じ上げなかったのですが、
ディアナ様。あなただったのですか。

あ、それは誤解よ。
とディアナが言った。

この姿は、フミコが魔法で、
私を人間に変身させてくれた時に、
自然にこんな容姿になったのよ。
あ、うっすらと思い出したわ。
フミコに人間に変身させてもらった時、
私はなりたい人のイメージを思い浮かべたの。
もし自分が人間だったらって。
その時思い浮かべたのは。。。


a8

思い出したわ。
私を大切にして、私にディアナっていう
名前をつけてくれた人。
その人みたいになりたいって思ったの。

おおお。
それでそっくりさんなんですね。


a9

やっぱり。
そんなことじゃないかなって
思ったわ。
とヴィヴィアンが言った。

あと、これは私の想像だけど、
この世界を作った魔族の人は、
ある時、森で鹿と遊ぶ夢を見た。
その時、精霊のあなたはその夢の世界に
鹿の姿で連れてこられて、
一緒に遊んでいたの。
目が覚めれば夢は消えて、
あなたも元の世界に戻れるはずだけど、
何かの事情で、その夢は、
消えずにいつまでも残っていた。
夢の中に取り残されたあなたと共に。
こちらの世界で、ある時から、
あなたが行方不明になった理由も、
それで説明がつくんじゃない?

説得力あるけど、
夢のようなお話ですね。

夢の話そのものでしょ。
とアイスが言った。



解説)
続きます。
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Jun 26, 2025

それぞれの行動

a1

アイスはみすずの家の室内の情景を
思い浮かべ、心に浮かぶ呪文を唱えて、
みすずの家に通じる
鏡の扉を生み出している。

その便利な魔法、いつか私も覚えたいなあ。
とヴィヴィアンが言っている。


a2

二人はみすずの家に到着した。
部屋には、タイミングよく、
みすずとディアナがいた。

お帰りなさい,
と言われている。

ちょうどよかった。
ディアナに話したいことがあるの。


a3

西の果ての雪山にある洞窟を潜り抜けたら、
その向こうに精霊たちの住む別世界があって、
その世界のお城に住むフクロウから、
ディアナのことを聞いたの。
ディアナという鹿の精霊は、
随分昔にそのお城に住んでいて、
今では行方不明になっているって。
とアイスが言った。

人違いじゃないでしょうか。
あ、鹿違いね。
とディアナが言った。

お城にディアナそっくりの鹿の肖像画が
飾ってあったから、
多分鹿違いじゃないわよ。
名前も一致するし。
お城やフクロウたちのこと思い出せない?
とヴィヴィアンが言った。


a4

思い出せないわ。
前にお話ししたかしら?
私は気がつくと、この森にいたの。
あの滝のそばで、みすずと出会うまで、
ずっとこの森で暮らしていた。
その前のことは思い出せない。
自分では、鹿だった自分が、
長い間森で暮らしていたら、
自然に精霊を宿したのだと思っていた。

ふーん。
でも本当のことを確かめるために、
精霊の国に行ってみない?
何か手掛かりが掴めるかも。

それはおっしゃる通りね。
私も本当のことを知りたいわ。


a5

アイスたちはディアナを連れて、
精霊の国のお城に戻ってきた。

ここ、懐かしい気もするけど、
気のせいかも。
と言っている。


a6

その頃、セリーヌとトロンは、
お城を出て、周辺の散歩をしていた。


a7

湖面に山影を映して、
綺麗な湖だね。

その時、上空を怪鳥が近づいてきた。


a8

怪鳥は急降下して、
まじかでホバリングして大きく口を開けた。

なんだ驚かないのか。
と言っている。

私たちは旅行者です。
洞窟を抜けてこの国に来たばかりなんですよ。
とトロンが言った。

なんだ俺と同じじゃないか。
俺はローゴスに誘われて、
忘れられた夢の世界に行ったんだが、
着いてみれば雪の山で、
ローゴスもその手下も恐竜もいない。
洞窟があったので抜けてきたら、
こちらは住みやすそうな天国のようだな。
どうだ、一緒に世界征服をしないか。

征服なんてするわけないでしょ。
私はセリーヌ、
夢食いのモンスターハンターよ。
ここは平和な精霊たちの国。
征服するというのなら消えてもらうわよ。
とセリーヌが言った。

なんとお前がセリーヌか。
誘う相手を間違えたな。

いいこと教えてあげる。
ローゴスもその手下もとっくに、
隣の夢の世界から消えてもらったのよ。
あなたは偶然出現する場所と時間を
間違えたその残党というわけ。

そ、そうだったのか。


a9

ちょっと用事を思い出した。
またな。

そう言い残して
怪鳥は去っていった。

二人は見送っている。

なんとなく哀れですね。
でもあの顔、怖くなかったですか?



解説)
続きます。
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Jun 25, 2025

会見のあと

a1

部屋に装備を置いて、
セリーヌもみんなに合流した。

これでみんな揃ったわね。
さて、さっきのオウルの話だけど。
どう思った?

ディアナがこの世界から来た
精霊だったというのには驚いたわ。
しかも記憶をなくしていたなんて。
とセリーヌが言った。

みすずの家に戻ってディアナに話してみようよ。
こっちに連れてくれば、
昔のことを思い出すかもしれない。


a2

私はこの世界を作ったっていう、
魔族の娘っていうのが気になったわ。
とヴィヴィアンが言った。

向こうの「忘れられた夢の世界」も
元は魔族の人が見た夢だったっていうんでしょう。

その二人が同一人物だっていうこと?

わからないけど、もしそうだとしたら、
忘れられた夢の世界が、
いつまでも消えずに残っているのは、
自分が精霊たちのために
生み出したこちらの世界と、あの洞窟で、
繋がっているからかもしれない。

なるほどね。
彼女はこの世界に、
遊びに来たりするのかしら。

どうなんだか。
オウルはそのことを何も言ってなかったわね。


a3

僕は森で出会った動物たちのことが、
ちょっと気になりました。
とトロンが言った。

ウサギやオオトカゲのことね。

みんな動物の精霊なんでしょう?
お城のフクロウの置物たちと
どういう関係なのか。

思い出してみるとあのオオトカゲ、
近くで見たらフィギアっぽかったわよ。
同じコレクターの倉庫にあったんじゃない?
とヴィヴィアンが言った。

そうなのかなあ。


a4

結局よくわからないことばかり、
ということで話し合いは終わった。

じゃあ私とヴィヴィアンは
私用の貴賓室の壁に鏡の扉を作って、
ディアナを呼んでくるわ。
とアイスが言った。

じゃあその間、
私とトロンはお城の周りを散歩してくる。
とセリーヌが言った。


a5

セリーヌたちは廊下に出て
城の玄関口のある広間を目指したが、
廊下は結構入り組んでいた。

迷いましたか。
あ、私はグーフォと言います。
広間に行くにはこの先のドアですよ。
と言われている。


a6

親切なグーフォに、
玄関まで見送られて
いってらっしゃいと言われている。

グーフォさんて、
なんかシュールですね。
あなたもそうよ。


a7

庭園の噴水の前まで来たら、
イブーとオイレに出会った。

お散歩ですか。
ちょうどよかった。
ちょっとご覧に入れたいものが。


a8

オイレは彫像の置かれた噴水の前まで、
二人を案内した。

ほー。見事な彫像ね。

この彫像にも精霊が宿っているんですが、
魔法で封印されているんです。
封印を解いていただけないでしょうか。


a9

外見はカエル王女のお仲間見たいね。

彼女は精霊じゃなくて、
私たちと同じ夢食いでしょう。

そうなのよね。ややこしい設定。

残念だけど、
私たちは魔法は使えないの。
ヴィヴィアンだったら、
封印を解けるかしら。



解説)
続きます。
Posted at 20:24 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Jun 24, 2025

城での会話

b1

アイスたちは別室に案内された。

お伺いしたいことがたくさんあるんですが。
とアイスが言った。

いいとも。なんでも質問するがいい。

ここは精霊の集う国ということですが、
それは誰かの夢の中の世界っていうことですか?
とアイスが尋ねた。

似ているけれど
普通に人間のみている夢とは違うなあ。
魔法と精霊たちの夢見る力が創り上げた世界だよ。

ふーん。そうだとしたら、
私、そういう世界を知っています。
そこは兵士姿のフィギアに宿った精霊たちが、
二手に分かれて戦争をしている世界でした。
町の郊外に住んでいるジャンさんっていう
熱心なフィギアのコレクターがいて、
彼は自分の家の庭にフィギアたちのために、
ジオラマの村を作ったんです。
その世界では、その村がそっくり再現される形で、
人間の兵士姿になったフィギアたちが暮らしていました。
みんな自分が人間だと思い込んでいましたが。

ふむふむ。
ここはその世界によく似ているな。
その昔、動物や物品に宿る精霊と会話のできる、
魔族の女性がいてね。
ある日、彼女が、
とある美術品や骨董品のコレクターの倉庫を訪問して、
そこに集められていた精霊たちの願いを聞いて、
この世界を生み出してくれたんだ。


b2

確かにそういう世界を生み出す魔法なら、
魔族に伝わっているわよ。
私の実の父親マーリンは、
滅びゆく吸血鬼たちのために
彼らが住める世界を作ってあげた。
魔術書があるから、義父のハリーにも作れるはず。
でもいろんな条件が必要だって言ってたわ。
あ、私は魔族とヴァンパイアの娘で、
今は悪魔なの。
とヴィヴィアンが言った。

ふむふむ。
魔族で悪魔とは珍しい。
私も望めば人間の姿にしてもらえるのかな。

本当にあなたがそう望むならね。
でも頭だけフクロウのままになるかも。
とヴィヴィアンが言った。


b3

壁にかかった絵画を見ていたセリーヌが、
この鹿はディアナじゃない?
と言った。

なんと、ディアナを知っているのか。
ディアナは、魔族の娘が大事にしていた
鹿のフィギアに宿った精霊だった。
この世界が作られた時、
最初にお城に住んでいたんだよ。
私たちフクロウの置物コレクションの精霊たちが、
この世界に来た時、お城に招いてくれたんだ。
ずっと女王様でいて欲しかったんだが、
自由に森を駆け回るのが好きで、
随分昔に森で行方不明になってしまった。


b4

東の雪山には洞窟があって、
それが別の世界に通じていることは知っている。
私たちはディアナの行方を探し回り、
もしかしてと思って探索にも行ったのだが、
向こうは雪に閉ざされた酷寒の世界。
ディアナを見つけることはできなかった。

それは無理ないかもね。
徒歩じゃとてもあの雪の山岳地帯は抜けられない。
でもずっと東に進んでいけば、
この世界と同じような豊かな森林があるのよ。
ディアナはそこで元気で暮らしているわ。
もっともディアナ自身は森の西の果てに
雪山があることも知らなかったみたい。
あなたのいうことが本当ならば、
すっかり記憶を無くしているっていうことね。
とヴィヴィアンが言った。

なんとなんと。
この世界のことを忘れてしまっているのか。
しかし生きていたとは嬉しいなあ。

洞窟の向こうは夢の世界。
いつか夢食いが来ることがあるのでは、
とは思っていた。
そうそう長旅でくたびれたことだろう。
とりあえず部屋で
くつろいでくれたまえ。


b5

セリーヌは、ミネルバに
来賓用の個室に案内された。

随分物騒なものを持ってるんだね。

私は夢食いのモンスターハンターなの。
夢を独占したがる夢食いのモンスターを
退治するのよ。


b6

ここは精霊の国だけど、何かの弾みで、
夢食いや人間が迷い込むこともある。
でも、たちの悪い夢食いのモンスターが
来たことはないよ。

私はもっぱら人間のみる夢の世界が専門。
精霊たちだけの世界があるなんて、
初めて聞いたわ。

夢食いは大抵目的を持って
夢を渡り歩くそうだからね。
この世界は、夢と夢の狭間にある。
夢見る人には区別がつかなくて、迷い込んでも、
たぶん動物と会話できたりする
変わった夢だという感じだろうね。


b7

アイスたちもそれぞれ
賓客用の部屋に案内されていた。
二人はバルコニーから外を眺めている。


b8

森と泉に包まれて、か。
ここは周囲を山々に囲まれた
盆地みたいな世界ね。


b9

アイスたちは部屋に戻ってくつろいでいる。
フクロウが食べ物を運んできた。

あ、ありがとう。
お腹すいてたところ。
あなたたちもお腹が空くの?
とヴィヴィアンが言った。

いいえ。私たちは元置物ですから
食べる必要がないんです。
これは森から採ってきたんですよ。



解説)
続きます。
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Jun 23, 2025

お城で

a1

一行が城に入ると大広間に出た。

こんにちわ。
誰かいませんかー。

返事がないみたい。
二手に分かれて
城内を調べてみましょう。


a2

アイスとトロンは
左手のドアから
通路に出た。

正面にドアがあるようだ。


a3

ドアを開けて部屋に入ると、
二体のフクロウの形の置物があった。
と、置物は振り向いて話しはじめた。

おや、さっきの声は
やっぱり空耳じゃなかったんだ。

これは失礼したね。
この城を訪問する人は滅多にいないんで。
と石の置物のようなイブーが言った。

あ、どうも初めまして。
私はアイス、こちらはトロンです。
雪山の洞窟を抜けてこの世界にやって来たんです。

なんと。
それはそれは。
私はイブー。隣にいるのはオイレ。

やっぱりオウル様が言ってた通りだな。
いつかこういう日が来ると。
と、木製の置物のようなオイレが言った。


a4

その頃、広間の右手の扉から、
通路に出たヴィヴィアンとセリーヌは、
突き当たりのドアから室内に入っていた。
石のような置物がある。

流石に上品な調度品ね。
座り心地が良さそうな椅子。
とヴィヴィアンが言った。

これはこれは、
お褒めに預かり。
と石のような置物が言った。


a5

石のような置物は振り向いた。
なんとそれはフクロウの置物だった。

さっきの声は君たちだったか。
てっきり空耳かと思ったよ。

あ、ここにお住まいの方ですか。
私はヴィヴィアン、隣にいるのはセリーヌと言います。
雪山の洞窟を抜けて、この世界に来たばかりです。
とヴィヴィアンが言った。

なるほど。
それで森を越えて、
この城に辿り着いたということか。
久しぶりの客人だ。
オウル様も喜ばれるだろう。

オウル様、って、
あなたじゃないんですか?
とセリーヌが尋ねた。

私は執事のミネルバ。
君たちのことはオウル様にお伝えしよう。


a6

二人が王座の間に案内されると、
すでにそこには、アイスたちも来ていた。

部屋の壁際には、
フクロウの置物のような姿の、
何体ものフクロウたちが並んでいる。


a7

やがて、ぬいぐるみのフクロウのような姿のものが、
奥のドアから現れて、玉座の前に座った。

お待たせしたね。
私がオウルだ。
ちょうどお昼寝タイムで、
ノネズミを追いかける夢を
みていたところだったんだ。
と言っている。


a8

アイスたちは自己紹介して、
自分たちが、雪山の洞窟を抜けて、
「忘れられた夢の世界」から探検に来たことを伝えた。

それはそれは、はるばるご苦労様。
ここは精霊たちの暮らす国。
ゆっくり見物されるといい。
周囲は峻険な山々に囲まれているが、
森と泉に~包まれて静かに眠~るブルーブルーシャトー🎵
と大昔に謳われたこのお城の周辺は、
常春の世界だよ。
とオウルは言った。


a9

精霊たちの暮らす国って、
失礼ですが、もしかして、
あなたも、ここにいる皆さんも、
フクロウの置物やぬいぐるみに宿った
精霊なんですか?
とアイスが尋ねた。

そうその通り。
君は人間のようだが頭がいいね。
すごく古びたり、持ち主に愛された道具や、
すごく年取ったり、持ち主に愛された動物には、
精霊が宿ることがある。
しかしいろんな事情で見捨てられることもあるんだ。
ほこりに~まみれ~た~人形~み~た~い~に🎵
という古い歌の歌詞のようにね。
ここはそんな精霊たちの集う国なんだよ。
そういうと、オウルのつぶらな瞳が輝いた。



解説)
続きます。
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Jun 22, 2025

森の中

a1

道は細くなっても続いていた。


a2

一本の木の根元に
大トカゲがやすんでいる。

こんにちわ。
起こしちゃったかしら。
お城に行くには、
この道でいいの?

お城に何の用だね。
まあいいか。
すぐその先だよ。

あなたはここで何を?
とヴィヴィアンは尋ねてみた。


a3

もちろん昼寝だよ。
眠ってトンボを追いかける
夢を見てるのが最高。
と、あくびをしながら
大トカゲは言った。


a4

細道が続いている。

言葉の通じる
動物がいるっていうことは、
わかったわね。


a5

しばらく行くとお城が見えた。

なんかメルヘンの世界みたいね。
とアイスが言っている。


a6

ここが城門ね。

私が魔法で。
とヴィヴィアンは
呪文を唱えようとしている。

あ、ヴィヴィアン、
魔法を使わなくても、
入れるみたい。
とセリーヌが言っている。


a7

外壁の中は、庭園になっているようだ。


a8

噴水が水を噴き上げていた。

そよ風が気持ちいい。


a9

ようやく城に近づいてきた。


a91

ここが入り口のようね。
アイス、その銃は。

一応用心のため。



解説)
続きます。
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Jun 21, 2025

新しい世界

a1

洞窟のトンネルを抜けると
やはり雪景色だった。


a2

ここは別世界なの?


a3

別世界だとすれば、私たちが
洞窟を抜けてきた方角に飛べば、
バリアがあるはず。
あちらの山脈の方ね。
確かめてくる。
と言ってヴィヴィアンは飛んで行った。


a4

一行は雪の斜面を下っていった。
すると森林地帯が広がっていた。

そこにヴィヴィアンが偵察を終えて
戻ってきた。

やっぱり透明なバリアで、
大気が遮られていたわ。
ここが別世界なのは間違いなさそう。

誰かの見ている夢の世界なのか、
魔族の魔法で生み出された幻想世界なのか、
AIの作った仮想現実世界なのか、
いつかどこかの現実世界なのかはわからないけど。

いくつも可能性があって、
ややこしいですね。


a5

この低地の先には針葉樹の森が、
広がっていたわ。
とヴィヴィアンが言った。


a6

とりあえず一行は、
森の中に分け入った。


a7

道が続いているよ。

ということは、
全くの天然の原生林じゃないっていうことね。
この道を辿ればどこかに行けるかも。


a8

なんと道の真ん中に
三匹のうさぎがいた。


a9

逃げないみたい。
話ができるのかな?

こんにちわ。
私たちは洞窟を抜けて来たんです。
あなた方は?

見た通りの白うさぎよ。

洞窟から来たんだって。
しっかり隠したのに。
いつか夢食いが来るって、
オウル様が言ってた。
夢食いだけじゃないみたいよ。
などと仲間内で話している。

私はアイス。人間です。
ここは夢の中なの?
とアイスが尋ねた。

夢の中なのかだって。
夢の中に思えるのね。
区別がつかないんでしょうね。
人間なら無理ないわ。
などと仲間内で話している。

さっきオウル様って言ってたわね。
そのオウル様にはどこに行けば会えるの?
とヴィヴィアンが言った。

お城に決まっているでしょう。
お城に行きたいの?
お城ならこの道の先にあるわ。


a91

アイスたちは言われた通り、
道を進んでいくことにした。

うさぎたちは見送っている。



解説)
続きます。
Posted at 21:45 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Jun 20, 2025

雪の山へ

a1

雪の山のトロンの家に
アイスとヴィヴィアン、
セリーヌがやってきた。

先に戻っていたトロンは、
セリーヌを紹介されている。


a2

有名なモンスターハンターに
お会いできるなんて嬉しいなあ。
すごい重装備なんですね。

どんな夢食いのモンスターに
出会うかわからないからね。
トロンさんは子供のみる夢に
入り込んで遊び相手になるって聞いたけど、
そこにモンスターが侵入したらどうしてるの?

子供は怖い夢を見ると、
すぐ目を覚ましちゃうんですよ。


a3

みんなは洞窟探しに
出発した。

飛ぶのは一人で十分よ。
とヴィヴィアンが言っている。

アイスは身軽に動くため、
九官鳥の羽根を部屋に
置いていくことにした。


a4

セリーヌは雄大な景観に
感動している。

砂漠とは大違いね。


a5

3人は斜面を下り切って、
滝のあるところまでやって来た。

いつもここで水を飲んでるんです。

洞窟ってどこなの?
すぐこの先にありましたよ。


a6

おかしいなあ。
確かこの辺にあったんですが。

ここは雪を被ってるのよ。
私たちも不自然だなあって話してたの。

その時、
ヴィヴィアンも舞い降りてきた。


a7

ここなのね。
ヴィヴィアンは雪塊に向かって、
呪文を唱えた。

すると薄い煙がたちのぼり。


a8

なんと雪塊が消えて、
洞窟が現れた。

いつもながら
便利な魔法だなあ。
とアイスが言っている。


a9

みんなは洞窟の中を進んでいく。
しばらく行くと、
行手に出口の明かりが
見えてきた。



解説)
続きます。
Posted at 20:25 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Jun 19, 2025

セリーヌの家で

a1

ツナたちは、
6分の1の大きさになった
オートバイや車両を持って、
鏡の扉を抜けて砂漠のセリーヌの家を訪れた。

寛いでいたセリーヌとラルゴに、
初対面のヴィヴィアンが紹介されている。

それラジコンですか?
オートバイの玩具なんか持って、
どうしたの?


a2

みんなは一階のテラスに降りてきた。

これを大きくするのよ。


a3

ヴィヴィアンが呪文を唱えると、
薄い煙がたちのぼり、
ナディアの愛車ビーグル号が大きくなった。


a4

ツナもオートバイを元の大きさに
変えてもらった。

さっそくドライブしてくるわ。
と言っている。


a5

二人は家から出発した。

やっぱり見晴らしが良くて、
平地が最高ね。


a6

早くも家の近くの
泉の横を走り抜けていく。


a7

気持ちよさそうに
走っていくわね。
私たちも東に飛んでみる?

砂漠の探検は
彼女たちに任せましょう。

じゃお水でも飲みますか。
とセリーヌが言っている。


a8

お、このお水結構冷たいじゃない?
それにこの料理は。

泉が湧いたので、
冷たい水が飲めるようになったのよ。
それと魚も釣れるの。

食生活が改善したのね。


a9

アイスとヴィヴィアンは
帰ることになった。

ご馳走様。
そうそうセリーヌ、
あなたはモンスターハンターなのね。
ローゴスと勇敢に戦ったって話を聞いたわ。
私たち、これから西の雪山に行くんだけど、
よかったら一緒に来ない?
とヴィヴィアンが言った。

そうねえ。
恐竜の本を読みかけなんだけど、
雪山で何するの?

別世界に通じているかもしれない洞窟を探すのよ。

面白そうじゃないですか。
私はここで留守番してますから。
探検を楽しんできてください。
とラルゴが言った。



解説)
続きます。
Posted at 20:23 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Jun 18, 2025

車両のことなど

a1

北の島のことや、西の雪山のことを
南の世界の連中に話してくるわ。
とアイスが言っている。

暇だから私も一緒に行く。
とヴィヴィアンが言った。


a2

二人は鏡の扉を使って、
バーボンハウスを訪れた。

あら、しばらくぶりね。


a3

ふーん。
夢の世界で西の山脈に行ったり、
北の海で小島を発見したり、
あなたたち冒険してたのね。
いいなあ。
とツナが言った。

世界の果てがどうなってるのかと思って、
飛んで行った結果なの。
まだ東の砂漠の果てには行ってない。
探検してみたいなら、譲るわよ。
とヴィヴィアンが言った。

こっちの様子はどうなの?
とアイスが尋ねた。

草食恐竜が菜園にやってくるけど、
あとは至って平和。
とレイチェルが言った。

変わったことといえばね。
前の世界で私とナディアが使っていた、
オートバイと車両が見つかって。
とツナが言った。


a4

整備してこの辺りを乗り回しているの。


a5

ジャングルの中で巨大恐竜の群れが
移動した跡は道路みたいになっていて。


a6

快適に走れる場所もあるんだけど、
植物がどんどん生長するから、
湖まで行くのも難しい。

だったら、見通しのいいところで、
使えばいいのよ。
とヴィヴィアンが言った。


a7

二人はツナに案内されて、
倉庫に車両を見に向かった。


a8

別の場所に移動したくても、
大きすぎて鏡の扉は通れないわ。

私が小さくしてあげる。
というと、ヴィヴィアンは
呪文を唱え始めた。

すると薄い煙が立ち上り。


a9

ツナのオートバイと、
ナディアのビーグル号は
持ち運ぶのに手頃な大きさに変化した。

これでセリーヌのいる砂漠の家に運べるわね。
向こうで元の大きさに戻してくれる?

もちろんよ。
私も砂漠が見てみたかったの。
とヴィヴィアンが言った。



解説)
続きます。
Posted at 20:28 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Jun 17, 2025

静かな島に

a1

3人は火山から降りてきた。

このところ、
ずっと雨が降り続いていたのよ。
とバーンが入っている。


a2

どこもかしこも水浸し。
あちこちの窪地に池ができている。

恐竜たちは無事だったみたいね。


a3

一行は、焼けた樹木を
魔法で再生していたフミコに出会った。

こちらは火の精霊バーンさん。
こちらは魔族のフミコよ。

樹木を再生できるなんて素敵ですね。
私は燃やすことしかできなくて。
などと話している。

ここの池には
恐竜が来ていないわね。


a4

池の中からバルが現れた。

ふー。さすがにくたびれました。
あ、この池は温泉なんですよ。

バル。お疲れ様。
こちらはバーンさんよ。


a5

火山は噴火活動を弱めて
元のようにくすぶりはじめ、
一行は島を後にしたのだった。


a6

みすずの家に戻ってきて、
バーンは水晶玉と再会している。

人間の姿にしてもらったのね。

そうなのよ。
それにいつでも自分の力で
人間に変身できる魔法をかけてもらったの。
それは嬉しいんだけど、
初めてのことで、ずっと水たまりの中を
歩いてきて、ちょっとくたびれちゃった。
と、バーンは弱々しい声で言った。

だったらいい考えがあるわ。
とヴィヴィアンが言った。


a7

ヴィヴィアンが、銀の器を用意して、
注いだ油に魔法をかけると、
バーンは喜んでその中に飛び込んだ。

その中で休んでいてね。

ミミコもご機嫌のようだ。


a8

アイスはサラに、
島で起きたことを話している。

ふーん。温泉が湧いたのね。
行ってみたいなあ。

そこなの?

いいお湯加減でしたよ。
バーンは火の姿に戻ったみたいですが、
僕も雨になったり雲になったりで、
さすがにくたびれました。
とバルが言った。


a9

バルはポットを用意してもらい、
その中に飛び込んだ。

ゆっくり休んでね。
とサラが言っている。

しかし、なんかすごく変なことが
起きてる気がするんだけど。

これは夢の中だからね。



解説)
続きます。
Posted at 20:21 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Jun 16, 2025

バーンに会う

a1

アイスたちが島にやってきた。

この家はよく無事だったわね。
一応魔法で防火用バリアをかけておいたの。


a2

私たちは火口近くに行ってみる。

私はジャングルで、
焼けた樹木を修復するわ。
とフミコが言った。


a3

二人は火口に向かった。

まだ燃え残っているところがあるわね。


a4

もうすぐ火口よ。
さすがに熱風がきついなあ。


a5

二人は火口付近に
降り立った。

火の精霊はいるのかな。

すごく気配を感じるわ。
バーン。そこにいるのね。
人の姿にしてあげるから、
変身したかったら出ておいで。


a6

ヴィヴィアンが呪文を唱えると、
溶岩が飛び出してきた。


a7

燃え上がる火の玉の中から、
バーンが現れた。

人間にしてくれてありがとう。
こんな魔法が使えるなんて、
あなたは悪魔かしら。
どうして私の名前を知ってるの。


a8

ヴィヴィアンは水晶玉から
名前を聞いたことを打ち明け、
火山の噴火を止めてほしいと言った。

この山は、休火山で、
ずっとくすぶって、うとうと居眠りしてたのよ。
私が解放された結果、目が覚めちゃったの。
もう噴火は止められないけど、
人間の姿にしてくれたお礼に、
勢いを鎮めてあげる。


a9

バーンはマグマの噴出口に
半身を浸している。
噴火は次第に鎮まっていくようだ。

バーンって、
女性だったんですね。
見かけはそうみたいね。



解説)
続きます。
Posted at 20:26 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Jun 15, 2025

緊急会合

a1

サラの呼びかけで、みんなが集まった。
テーブルの上には水晶玉が置かれている。

フミコは、島で水晶玉に向かって呪文を唱えたら、
火山の噴火が始まったと説明した。

噴火の原因は、
この水晶玉にあるっていうことなのね。
とみすずが言った。

タイミングから言って、
多分そう言うことだと思うわ。

私が透視した時は精霊が宿っているようには
思えなかった。でも今は何か感じるわ。
フミコの呪文で封印が解かれたようね。
とヴィヴィアンが言った。


a2

もう一度同じ呪文を唱えてみたら?

それは危険すぎない?
それでもしこの大陸でも火山が噴火したら、
ジャングルでは大火災が起きて、
空は火山ガスに覆われ、
地表には火山灰が降り積もり、
やがては恐竜大絶滅になりかねない。
なんて考えすぎかしら。
とサラが言った。


a3

そんな厄介なものなら、
この夢の世界から消してしまえばいいのよ。
私が石に変えて
蹴っ飛ばして粉々にしてあげる。
とヴィヴィアンが言った。


a4

すると水晶玉は飛び上がって、
話し始めた。

と、とんでもない。
そんなことしないでください。
あれははずみだったんです。
突然私が起こされたショックで、
バーンが飛び出してしまったんです。

飛び出したって、
あなたは何なの?


a5

飛び出したバーンっていうのは、
火の精霊なんだね。
とバルが言った。

そうです。
ああ、あなたは
風変わりな水の精霊ですね。

私も鹿の精霊よ。
あなたには何か懐かしさを感じる。
とディアナが言った。

私は魔族が占いに使う水晶玉の精霊。
私の役目は、天然自然現象を司る
精霊たちの声を集め、
魔術師に伝えることです。
そのために数々の精霊の分身が、
私に宿るのです。
と水晶玉が言った。


a6

あなたが魔族がお天気占いに使っていた
水晶玉の精霊だということはわかったわ。
とフミコが言った。

どうしてあの島の家にあったのかだとか、
聞きたいことはたくさんあるけれど、
とりあえず、火山の噴火を何とかできないの?
このままだと、あの島のジャングルも燃え、
恐竜たちも焼け死んでしまう。
とアイスが言った。

火の精霊バーンは、
火山の火口で燃えている火の姿そのものです。
分離してあげられると鎮まると思いますが。
今はとても近づけないでしょう。
と水晶玉が言った。

応急処置に、僕が雨雲になって、
島に降り注ぎましょう。
それからバーンに会いに火口に行けばいい。
そういうと、バルは席を立って部屋を出て行った。


a7

やがて北の小島には
何日も激しい雨が降り続けた。


a8

ジャングルの一部は焼失したが、
噴火は次第に沈静化して、


a9

生き延びた恐竜たちが
右往左往していた。



解説)
続きます。
Posted at 20:25 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Jun 14, 2025

北の島で

a1

鏡の扉を使って、シビルとフミコは、
北の島のシビルの家に到着した。

これが水晶玉よ。
随分大きいのね。


a2

何かわかる?

フミコは水晶玉を見つめていた。
何も呪文の言葉が思い浮かばない。
その時、山羊の頭蓋骨のペンダントが、
静かに振動して、
水晶玉が色を変え始めた。
その変化を見ていると、
フミコの心に呪文の言葉が浮かんだ。


a3

あれは?

呪文を唱えていたフミコは、
グリーンマンからテレパシーの交信を受けて、
我に帰った。


a4

フミコはグリーンマンと会話している。

なんて言っているの?
ここは危険だから戻るようにって。

その時地響きが聞こえた。


a5

なんと島の中央の山が噴火したのだった。


a6

山は噴煙をあげている。


a7

二人は急いで鏡の扉に向かっている。

あなたも避難して。


a8

二人はみすずの家に脱出してきた。

二人とも顔色悪いわよ。
どうしたの?

どうもこうも。
突然火山が噴火したのよ。


a9

フミコはグリーンマンと
互いの無事を確認しあっている。

島はどうなるの。
噴火の規模次第ね。
小規模で収まればいいけど。

とりあえず
肉まん食べてから
みんなに報告しましょう。



解説)
続きます。
Posted at 20:22 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Jun 13, 2025

トロンが来る

b1

会合の後、シビルとフミコは
食堂で顔を合わせた。

あなたがアイスの言ってた
フミコさんね。

そうですけど?

島の私の家に水晶玉があったの。
使い方がわからなくて、
試しにヴィヴィアンとアイスが、
魔法を使ってみたけど何も起きなかった。
あなたなら何かご存知かもしれないって
アイスが言ってたのよ。

水晶玉か。確かに魔族の使う道具だけど、
使われ方は様々。
実物を見てみないとわからないわ。
あ、ミミコが起きたみたい。
上の部屋に行きましょう。
とフミコが言った。


b2

フミコは目覚めたミミコを紹介した。
ミミコはご機嫌のようだ。

この子も魔族なのね。
パワーを感じるわ。

あなたのことを気に入ってるみたい。



b3

ミミコが、
水晶玉が見たいって言ってるわ。

じゃあ、ここに運んできましょう。

私も見てみたいから、
一緒に行ってもいいかしら。

もちろん。


b4

アイスたちはトロンの家から、
みすずの家の庭に戻ってきた。

サラが挨拶している。

可愛い。


b5

西の山岳地域には
雪が積もっていたのよ。

ふーん。
町では梅雨入りしたみたい。

緑はいいなあ。


b6

ヴィヴィアンはトロンを
みすずたちに紹介している。

ようこそトロンさん。
私もカエル王女も夢食いなの。

夢食いが大勢いるんですね。
普通の夢だったら考えられない。

この忘れられた夢の世界は特別ね。
夢の主人がいない自由な世界。
他にも、わかっているだけで、
モンスターハンターのセリーヌや、
戦いを見るのが好きなシーラや、
インスピレーションをもたらすシビルや
好奇心旺盛なシノっていう夢食いが
滞在しているのよ。

ロボットも見かけましたけど。

ええ。人間も魔族も精霊も来ているし、
もともと住んでいた動物も精霊もいるわ。

賑やかですね。
そんなに大勢いて、
収拾はつくんでしょうか。

みんな成り行きなのよ。


b7

サラはトロンを菜園に案内した。

トロンはステゴサウルスと
何やら話している。


b8

ステゴサウルスたちは
菜園から立ち退いて行った。

何話していたの?
ここには入ってこないように言ったんです。

トロンさんってすごいのね。


b9

アイスたちが応接間で話している。

フミコとシビルは?

水晶玉を取りに行くって、
北の島に出かけたわよ。

ふーん。
ところでさ、西の山脈の果てには、
やはり大気に透明なバリアがあって、
それ以上先に進めなかったのよ。
とアイスが言った。

ということは、
その先には別世界があるっていうこと?

どうもそうらしいわね。

だとしたら、南の世界との境界みたいに、
どこかにトンネルみたいな出入り口があるんじゃない?
希望的観測だけど。

そういえば、トロンが、
滝の近くに洞窟があるって言ってたわね。
私たちは気が付かなかったけど。

探してみる価値はありそうね。
とアイスが言った。



解説)
続きます。
Posted at 20:22 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Jun 12, 2025

トロンの家

a1

渓谷に降り立った二人は、
谷川を見つけた。


a2

川を遡っていくと滝があった。

これは見事な滝。


a3

二人は斜面を登っていくことにした。

この大きな雪の塊、
なんか不自然じゃない?

上から滑り落ちてきたんじゃないかな?


a4

見晴らしのいいところまで
登って行ってみましょう。


a5

斜面を登り切ると、
二人は山々が望める
小さな雪原に出た。


a6

歩いていくと、
山小屋のような建物が見えた。


a7

扉に鍵はかかっていないようだ。

こんにちわ。
誰かいませんかー。
とアイスが言っている。


a8

二人は屋内に入ってみた。

誰もいないわね。
変なものがあるよ。
あれ、うごいた。

その変なものは口を開いた。

こんにちわ。
私は夢食いのトロンと言います。
あなた方も観光ですか。

観光みたいなものだけど、
私たちは夢食いじゃないのよ。
あ、私の名前はアイス、
横にいるのがヴィヴィアン。


a9

恐竜がうようよいると噂で聞いて、
この忘れられた夢の世界に来たんですが、
見渡す限り雪の山で、
誰もいませんでした。
と、トロンは言った。

この世界は広いのよ。
ずっと東に行けば緑の森があって、
そこには恐竜がいるわ。
それにしても、あなたのその姿は?

この姿は恐竜です。
モデルはステゴサウルスです。
そう見えませんか?
ずっと見ているとそう見えて来ますよ。

そうかしら。
そんな姿の夢食いもいるのね。

夢ですから、なんでもありなんです。
カエルの姿の夢食いもいるでしょう。

そう言われればばそうね。
トロンさんはどんなタイプの夢食いなの?

私は子供たちのみる夢に入っていって、
友達になる無害な夢食いなんです。
夢の財宝を守るドラゴンって知りませんか?
私にそこまでの力はありませんが、
タイプは似てるんですよ。


a91

随分居心地の良さそうなお部屋ね。
とヴィヴィアンが言った。

ここは空き家だったんです。
人間用みたいですが、
風雪をしのぐには一番です。

ところで、このあたりから、
西の方角の山を越えようとすると、
それ以上進めない透明な壁があるでしょう。

そうなんですか。
雪山登りはしたことないので。
谷川に水を飲みに行くことはありますが。

谷川ね。私たちもそこを通ってきたのよ。
割と大きなな滝があるでしょう。

ありますあります。
洞窟のそばですね。

洞窟?
洞窟なんてあったかしら。


a92

アイスは呪文を唱えて
壁に鏡の扉を出現させている。

それは魔族の魔法ですね。

これで東のジャングルにある、
先住の夢食い、みすずさんの家に
行けるようになりましたよ。
リアルな恐竜にも会えますよ。
と、アイスが言った。

それはご親切に。

あなたも見慣れてきたら、
恐竜に見えてきたわ。
とヴィヴィアンが言った。

そうでしょうとも。
そういうものです。



解説)
続きます。
Posted at 20:24 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Jun 11, 2025

西に飛ぶ

a1

アイスとヴィヴィアンが
庭に出て話している。

ヴィヴィアン、また出かけるの?

みんなと話したり、恐竜を観察するのも楽しいけど、
ここは特別な夢の世界なんでしょう。
この世界なら、本当の姿で
空を飛んでも誰にも変に思われない。

自由を満喫したいわけね。
私も付き合うわ。
とアイスが言った。


a2

二人は上空に舞い上がった。

今度は西に行って見ましょう。


a3

アイスとヴィヴィアンは
西に向かった。


a4

ジャングルに覆われた
山々が連なっている。


a5

こっちも果てがない感じね。


a6

しばらく飛ぶと、
雪を被っている山脈が見えた。


a7

ここにも
見えない境界がある。
これ以上進めないわ。


a8

二人は山の斜面に沿って
低空を飛ぶことにした。


a9

つららに気をつけて。



解説)
続きます、
Posted at 20:23 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Jun 10, 2025

あちこちの出来事

a1

応接間での会合が終わり、
アイスとヴィヴィアンが別室で
寛いでいると、
サラが通りかかった。

サラ、留守中に変わったことはなかった?
集まりにラルゴや
シェルニがいなかったみたいだけど。

ラルゴは、砂漠のセリーヌの家に、
シェルニはバーボンハウスに出かけてる。
それから、バーボンハウスで
教えてもらったそうで、
ヤビーが菜園を作りはじめたわ。

ふーん。

それがね。

a2

植物は夢見の水のおかげで
ぐんぐん育つんだけど。


a3

恐竜も、きちゃって。


a4

その頃、砂漠の家では、
ラルゴとセリーヌが話していた。

何読んでるんですか?
「となりの恐竜」っていう本よ。
レイチェルから借りたの。

さっき散歩していたら、
泉が湧いていたんです。


a5

バルっていう水の精霊が、
水質を変えた影響なんでしょうか。
これで冷たいお水が飲めるわね。


a6

あれはなんという恐竜ですか?
草食恐竜のサイカニアよ。
本がさっそく役に立ったわ。

賑やかになりますね。


a7

その頃、バーボンハウスでは、
シェルニがシノとイリスに
面会していた。

なぜか呼ばれている感じがして、
こちらにきました。
私と同じタイプのロボットを
探してらっしゃると聞いてましたが。

そうなのよ。
シェルがみんなが転送されてきた時以来、
行方不明になってるの。
もしかしたら、
あなたがそのロボットじゃないかって。

すっかり昔の記憶がないんですが、
確かめる方法はあるんでしょうか?


a8

そこにバンクがやってきた。

シェルニさんを呼んだのは私です。
とバンクが言った。

というか、私と言うより、
このイリスさんの蝶のペンダントが呼んだのです。

とても信じられないわ。
とシノが言った。

バンクが鎖を外すと、
ペンダントの蝶はシェルニに向かって飛んでいき、
その周囲を飛び回っている。

このペンダントは、もともと、
シェルの非常用コントロール装置で、
イリスさんの持ち物でした。
2年前に、岩盤の中に閉じ込められていた
シェルが発見された時も活躍したんですよ。
ずっと私が保管していたんです。

そう言われて、
シェルニは自分がシェルだった頃のことを
うっすらと思い出しはじめていた。


a9

シェルニはシェルだったのね。
これからなんて呼ぼうか。
とシノが言った。

シェルニのままでいいですよ。
みなさんそう呼んでるし、
昔の名前に戻すと混乱します。

了解したわ。
イシスさんはシェルニの持ち主だったのね。
またシェルニに乗せてもらってもいい?

もちろん。
シェルター型ロボットは、
戦時中に軍から要人の避難用に配備されたの。
その担当がたまたま私だっただけ。
全てシェルニの判断次第よ。

私は誰かを収納すると、システムが
フル稼働するように作られているんです。
自分の存在意義を感じるというか。
いつでも声をかけてください。
とシェルニが言った。

シノは喜んでいる。



解説)
続きます。

蝶のペンダントがシェルを発見したエピソードは、
2023年10月29日「蝶の行方 そのに」でみられます。
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Jun 09, 2025

シビルを招いて

a1

シビルの家で3人が
話している。

ここは静かで落ち着けそうね。

そうでしょう?
とても気に入っているの。

ところで、あのモンスター、
ローゴスに誘われて来たって言ってたけど、
ローゴスなら大陸の砂漠に、
大勢の手下を連れて出現したけど、
私たちの仲間が、もう倒したんですよ。
とアイスが言った。

そうだったの。
何かの事情で私のように、
この島に出現してしまったのね。

あら、あそこにあるのは?
隣のテーブルに目を止めてアイスが尋ねた。


a2

魔族が使う水晶玉のようですね。

そうそう。見てもらいたかったのはこれ。
私がこの家を見つけた時、
すでにここにあったの。

と言うことは、
この世界に最初からあったと言うこと?

夢を見ていたのは魔族だったって言うから
あり得る話ね。
とアイスが言った。


a3

何かわかる?

ヴィヴィアンは精霊を呼び覚ます
呪文を唱えたが何も起きない。

反応がないわ。

こう言う特別な道具は、魔族なら
誰でも扱えるという訳じゃないのよ。
私はもう悪魔だし。
アイスも試してみて。


a4

アイスは水晶玉を見つめて
心に浮かぶ呪文を唱えようとしたが、
何も思い浮かばなかった。

特別な呪文があるのかも。
フミコに聞けば
何かわかるかもしれないわ。

他にも魔族のお仲間がいるの?

訳あってこの世界に来ているの。

アイスは先住者のみすずの家に、
フミコたちも来ていることを説明した。


a5

アイスは呪文を唱えて、
みすずの家に抜けられる
鏡の扉を作り出している。

あなたは人間なのに
いろんな魔法が使えるのね。

これも訳あって。

いつもの便利すぎる省略の技ね。
とヴィヴィアンが言っている。


a6

3人は鏡の扉を抜けて
みすずの家にやってきた。

さっそくアイスはシビルを
みすずに紹介している。

あなたがシビルさんね。
お名前はかねがね存じておりましたわ。

この人、そんな有名人だったの?
とヴィヴィアンが言った。

夢食いと言っても千差万別だけど、
シビルの名は夢食いの間ではかなり有名よ。
夢見る人に働きかけて
巫女や予言者にしてしまったりする。

そんなこと初めて聞いたわ。

ああ、詳しく自己紹介するの忘れてた。
私が手助けした結果、
そうなっちゃうこともあるっていうこと。
と言い訳するようにシビルは言った。


a7

シビルはみんなに紹介されている。

私は夢見る人にインスピレーションを
与える夢食いなの。
サルバドールっていう夢食いはご存じ?
彼は芸術家にひらめきを与えるけど、
私も似たようなことができる。

予言者や巫女にしちゃうなんて、
すごそうじゃないですか。

それは夢見る人の資質次第、
私は手助けするだけなのよ。
忘れられた夢の世界があるという噂を聞いて、
ここに来たのは観光と休養のため。
来てみたら噂と違って小さな島だった。
でも夢見る人に働きかける必要もなく、
草食恐竜たちと平穏に暮らしていたの。
そこに夢食いのモンスターが現れて
困っていたところ、
お二人に助けてもらったと言うわけ。

私もただ先に来ただけの夢食いだけど、
このジャングルの北に海があって、
その海の向こうに小島があったなんて、
全然知らなかった。
とみすずが言った。

そんな場所に来たら誰でも、
そこだけが夢の世界だと思っちゃうわね。

この夢の世界全体から見たら、
この大陸だと思ってる世界だって、
ちっぽけな小島なのかもしれないわ。
とヴィヴィアンが言った。

怖いこと言うのね。
でも知らなければ無いと同じ。


a8

そのモンスターって、
ローゴスに暗示をかけられて、
この世界に来た手下だったんでしょう。
手下は大勢いたというから、
他にもどこかに残っているんじゃないかしら。

見つけたら消えてもらうまでね。
とヴィヴィアンが言った。


a9

あなたは夢の世界にやってきて、
モンスターハンターでもないのに、
凶暴な夢食いを倒せるなんて不思議。
悪魔ってどれほどの力を持ってるのかしら。
とみすずが言った。

自分の力のことは本当はよくわからないの。
私は魔族の父マーリンとヴァンパイアの母の間に
生まれたハイブリッド。
ある日、背中にとつぜん翼が生えて
嘆き悲しんでいた時、
管理局の局長がやってきて、
あなたはデビルになったといわれたの。
それ以来、悪魔だと名乗っているだけなのよ。
ただそれ以来、突然生えた翼のように、
自分の力が増大しているのは感じるわ。
局長の言うには、デビルとか悪魔とか、
言い方は様々ですって。
私は夢食いの皆さんのように、
人間の見る夢に移り住んだことはないし、
まして世界を支配しようなどとも思わない。
普段は義理の両親のハリーとカーミラと一緒に、
普通に魔族として暮らしているだけなの。

精霊を人間に変身させる魔法を乱用して、
とても普通じゃないけどね。
とサラが言った。

それは精霊に望まれるからそうしてるだけ。
その方が楽しいじゃない?



解説)
続きます。

ヴィヴィアンが悪魔になった経緯は、
2022年9月14日「ヴィヴィアンの変化」
のシリーズで見られます。
Posted at 20:20 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Jun 08, 2025

出会い

a1

ヴィヴィアンは
恐竜と会話している。


a2

なんて言ってたの?
助かったってお礼を言われただけ。
さっきのモンスターには、
仲間が大勢殺されたって。

ふーん。
それにしても、
さっきの魔法には驚いたわ。

あれね。
実は自分でももよくわからない。
メイヴの時のように、
呪縛する呪文を唱えて
叫んだつもりだったのに、
相手が勝手に石になっちゃったのよ。


a3

その時、
生い茂る草むらの中から女性が
現れた。


a4

こんにちわ。
あなた方強いのね。

相手が弱すぎたのよ。
とヴィヴィアンが言った。


a5

私の名はシビル。
あなたたちは先住者?
あんな魔法の使える夢食いなんていたかしら。

私たちは探索に来た者です。
とアイスが言った。
私はアイス、こちらはヴィヴィアン。
二人とも夢食いじゃなくて、人間と悪魔です。


a6

アイスは
南の陸地から空を飛んで
島に来たことなどを
シビルに話して聞かせた。

なるほど、
南に大きな大陸があるというわけね。
それでここに先住者のいない謎が解けたわ。
私はここに来てまだ日が浅いの。
よかったら私の家にきて、
その大陸のことをもっと教えてくれる?
それに魔法が使えるのだったら、
見てもらいたいものもある。


a7

シビルは二人を先導している。

森はいつも霧に覆われている。
あの山の頂にも雲が湧いているけど、
たまに晴れることがあるのよ。


a8

この忘れられた夢の世界は、
夢食いには住みやすい。
いつまでも消えずにいて
夢の主人もいないから。


a9

あそこが私の暮らしている家よ。
見つけたは時空き家だったの。



解説)
続きます。
Posted at 21:00 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Jun 07, 2025

遭遇

a1

二人は霧の立ちこめるジャングルを
進んでいく。

こういう夢は見たくないわ。
でも夢なのよ。


a2

その時、恐竜が姿を現した。


a3

恐竜はこちらに突進してくる。
ヴィヴィアンが身構えた。

待って、ヴィヴィアン。
この恐竜、
私たちに向かってきてるんじゃない。
追われているのよ。


a4

恐竜はヴィヴィアンの横を
すり抜けていく。

あれは何?
恐竜に似てるけど、恐竜じゃない。
あれは夢食いのモンスターよ。
こっちに向かってくるわ。


a5

恐竜を追ってきた巨大なモンスターは、
アイスたちの姿を見つけると、
立ち止まった。

お前たちも夢食いか。


a6

俺は、ローゴスに誘われて、
この世界を来たんだ。

広大な世界だと聞いていたが、
ここは海に囲まれたちっぽけな小島。
そのうえローゴスもいない。
仕方がないからこの島を
俺が征服することにした。
同じ夢食いなら手下にしてやってもいいぞ。

ご冗談でしょ。
とヴィヴィアンが言った。

生意気なやつだな。
だったら、とっとと
消え去ってもらおう。

そういうと、
モンスターは襲いかかってきた。


a7

モンスターはヴィヴィアンに向かって
突進していく。
アイスは斜め後方で銃を構えている。

ヴィヴィアンはふわりと空中に浮遊した。


a8

ヴィヴィアンは、
呪文を唱えると、
奇妙な叫び声をあげた。

お、おまえは。


a9

モンスターの体は硬直して、
みるみる石化していく。

その時、
逃げていた恐竜が引き返してきて、
モンスターの腹にハンマーのような
尻尾の先を叩きつけた。


a91

モンスターはその場に崩れるように倒れ込んだ。
その体はしだいに消え去っていく。



解説)
続きます。
Posted at 20:23 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Jun 06, 2025

北の海で

a0

二人は北に向かって海上を
延々と飛び続けている。


a1

何も見えないし、
そろそろ引き返さない?


a2

しかしその時、
なんと島影が見えてきた。
小島のようね。


a3

島の上空は厚い雲に覆われている。


a4

二人は雲の中に
突入した。


a5

低空に下降すると、
雲がきれてジャングルが見えた。

あの山がこの島の中心みたい。


a6

このあたりで降りてみましょう。


a7

一面のジャングルね。


a8

霧が立ち込めているようだ。


a9

二人はシダの茂みに
舞い降りた。



解説)
続きます。
Posted at 20:23 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Jun 05, 2025

北に向かう

a1

ヴィヴィアンは庭に出てきて、
サラやディアナと挨拶している。

よく眠れた?
夢かと思って目が覚めたら
やっぱり夢だった。

なにそれ。


a2

さあ、本当の姿に戻ろう。
と言って、
ヴィヴィアンは呪文を唱えた。


a3

薄い煙が立ち上り、
ヴィヴィアンは本当の姿になった。

全くの別人みたい。
とディアナが言っている。


a4

アイスがやってきた。
ヴィヴィアンの背中には、
翼が現れている。

ディアナ、昨晩、
北には海があるって話していたわね。

ええ。
鳥から聞いたの。

私、確かめに行ってくるわ。


a5

そういうと
ヴィヴィアンは空に舞い上がった。

アイスが、地上から、
羽根を取ってくるから、
ちょっと待ってて。
と叫んでいる。


a6

アイスが羽根に乗って飛翔してきた。
私も一緒に行くわ。
と言っている。


a7

二人は北に針路をとっている。


a8

平原もあるみたいだけど、
基本は広大なジャングルね。
どこまで続いているのかしら。


a9

ジャングルの上を
しばらく飛び続けると、
ようやく彼方に海が見えた。


a91

海岸には
翼竜が群れ飛んでいる。


a92

波打ち際ね。
ここが世界の果てか。


a93

どこまで行けるか
飛んでみましょう。

二人は陸地を離れて
沖に向かって行った。



解説)
続きます。
Posted at 20:20 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Jun 04, 2025

新しい朝

a1

みすずの家の食堂で、
一同は早めの夕食を食べている。

サラが助っ人にヴィヴィアンを呼んできたけれど、
すでにローゴスは退治されていたっていうわけね。
ヴィヴィアンとしては、戦う相手がいなくて、
拍子抜けだったでしょう。
とアイスが言った。

そうでもないわ。
私はこういう自由な夢の世界に来てみたかったの。
ここなら人目を気にせず本当の姿になれそう。
とヴィヴィアンが言った。

この忘れられた夢の世界には、
噂を聞いた様々な夢食いたちが訪れます。
人間や魔族の訪問者はあなた方だけですが、
ずっとここに滞在していただいてもいいんですよ。
あちこちに空き家があるので、
気に入ればそこで暮らすこともできます。
私もそんな先住者の一人なんです。
とみすずが言った。

この料理は?
みすずが作ったのを真似して、
私が作ったのよ。そのお魚は醤油味。
とサラが言った。


a2

やがて夜になった。
フミコは、ミミコのことを、
ヴィヴィアンに話している。

この子は、
今のところわかっている限り、
未来の世界で起きる最終戦争で
ただ一人生き残った魔族の子供。
山羊の頭蓋骨のペンダントを持っていたから、
私やあなたが産んだ未来の子供かもしれない。

驚かせないでよ。

私たちがずっとお世話していたんですよ。
褒めてください。
とヤッピーが言っている。


a3

ローゴスの脅威がなくなったから
今夜は安心して眠れそう。

これからもああいうタイプの夢食いが、
来るかもしれないけど、その時はその時ね。

ところでディアナは
この世界を隅々まで知ってるんでしょう。
南には別世界とのバリアがある。
他の方角の果てまで行くとどうなっているの?
とアイスが尋ねた。

隅々まで知ってるというわけじゃないのよ。
北に行けば海があるって、いつか鳥が話していた。
東の砂漠はどこまで続いているのか知らないし、
西には山が沢山あってその向こうは知らないの。
でも世界の果てまで知らなくても十分。
あなたたちの世界でもそうでしょう。
とディアナが言った。

確かに宇宙の果ては謎ね。
でも海があるなら見てみたい。
そこで私が一旦その風景を記憶すれば、
鏡の扉で行き来できるようになるのよ。
とアイスが言った。

なんか、なんでもありだと便利すぎて、
ロマンがないわね。


a4

やがて夜は更け、
一晩明けて朝になった。

渓流は今朝も勢いよく流れている。


a5

森に残っていたガリミムスたちが
滝の淵に水を飲みに来ているようだ。


a6

ヤビーは、朝食用に
ジャングルに果物を採りに行って
アンキロサウルスの群れを見かけた。


a8

少しずつ恐竜たちが
南から戻って来ているようだ。


a9

みすずさん、おはようございます。
湖の水質が変わっていくようです。
渓流から夢見の水が流れ込んで
来るんですよ。

そうなの。

その時、近くで
水の音が聞こえた。


a91

思わずみすずがガラス戸から外に出て、
音のした方に行くと、
なんとバルがハスの葉の上に立っていた。

おはようございます。
迷いの森の泉とこの世界の間に
水路をつけてきました。
と言っている。


a92

ヴィヴィアンさん。

あ、バル戻ってきたのね。
さっそく大きくしてあげなくちゃ。
そういうと、
ヴィヴィアンは呪文を唱えた。


a93

薄い煙がたちのぼり、
バルの体は大きくなった。

すごいですね。
私も人間の姿にしてくれますか?
とカエル王女が言った。

いいわよ。
でも頭はカエルのままになるけど、
それでもでいい?

あ、やっぱり
やめておきます。



解説)
続きます。
Posted at 20:23 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Jun 03, 2025

バルの仕事

a1

私はここで恐竜たちの戦いを観察するの。
ヴィヴィアンも恐竜と戦ってみない?
とシーラが言っている。

戦いは見せ物じゃないのよ。
私とフミコはみすずの家に戻って、
ローゴスがいなくなったことを報告しなくちゃ。
とヴィヴィアンが言った。

私はやりかけの壁の修理をするから、
砂漠の家に戻る。
フミコのおかげで傷はすっかり治ったわ。
魔族は夢食いの傷も癒せるなんてすごいわね。
とセリーヌが言っている。

私はローゴスの脅威がなくなったことを
バーボンハウスのみんなに伝えに行くわ。
とナディアが言った。


a2

フミコは鏡の扉を出現させている。

恐竜か。
近くで見ると流石に迫力ね。
とヴィヴィアンが言っている。

ここから、それに乗っていくの?

バーボンハウスは近いみたいだし、
久しぶりにトリコと再会できたから、
二人でのんびり行ってみる。


a3

ヴィヴィアンとフミコは
みすずの家の庭に戻ってきた。

お帰りなさい。
もうローゴスを倒したの?

先にナディアたちが退治してたわ。

それは良かった。
ところで、
バルが夢見の水を湧かせる場所、
滝のあるところに決めたの。
一休みしたら、
みんなで出かけない?

いいわよ。


a4

かくて、みんなでぞろぞろ、
滝のある場所に向かった。


a5

綺麗な滝だねー。


a6

バルは水の中に
足を踏み入れると、
どんどん滝壺の方に
進んで行った。

ちょっと振り返って、
じゃあまた後で。
と言っている。


a7

バルの姿は、
立ちこめる霧のような
滝の飛沫の中に消えていった。

これは、みすずが現れた時と同じだわ。
とディアナが言っている。


a8

滝の上に綺麗な虹が現れた。


a9

一行は家に戻ってきた。

バルは、水の中に溶けて
消えちゃったの?

いつでも人間の姿に戻れるように、
呪文を教えてあるから大丈夫よ。
とヴィヴィアンが言った。

ヴィヴィアンさんも魔法を使えるんですか。

悪魔になる前は、私も魔族だからね。
フミコやアイスのように鏡の扉は作れないけど、
人やものを変身させるのは得意なの。
水たまり状態だったバルに頼まれて、
人間の姿にしたのは私よ。

お帰りなさい。
先ほどアイスさんも町からお戻りですよ。
とヤミーが言っている。



解説)
続きます。

バルがヴィヴィアンの魔法で、
人間の姿になるエピソードは、
2024年2月23日「春を待つ日々 そのご」から。
Posted at 20:21 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Jun 02, 2025

サラたちの帰還

a1

サラたち4人は、みすずの家に戻ってきた。

サラおかえり。
ずいぶん大きいバッグね。
みすずさんがコンテストで優勝したのよ。
景品のチョコレートと、
お土産の肉まんが入ってるの。


a2

さっそくみんなで肉まんを食べている。

フミコもバルさんとは初対面だったかしら。
バルさんは夢見の水の精霊なのよ。
とサラが言った。

バルでいいですよ。
バルさんって呼ばれると、なんか殺虫剤みたいで。

夢見の水の働きを司る精霊バルに
人の姿でお目にかかれるのは光栄ですわ。
夢見の水と魔族には深い関係があると聞いています。
とフミコが言った。

この忘れられた夢の世界を見ていたのは
魔族の人だったっていうでしょう。
この世界に魔法がかかっているのだとしたら、
夢見の水がもたらされることで、
影響を受けないかしら。

それは大丈夫ですよ。
良い影響しか与えないはずです。
とバルが言った。

それとヴィヴィアンに来てもらったのは私。
ローゴスを追い払ってもらおうと思ったの。
ディアナはシーラを案内して
砂漠に行って来たんでしょう?
その様子はどうだったの?
とサラが言った。

セリーヌの住む家でシーラと別れ、
その後ローゴスとシーラが
サバンナに向かっていくのを見たの。
多分南の別世界に恐竜を追っていったんだと思うわ。
その後をセリーヌとナディアが追っていったのよ。


a3

やっぱりローゴスは立ち去ってなかったのね。
そればかりか南の別世界に行ったとしたら、
いずれバーボンハウスの住人と遭遇する可能性がある。
ローゴスを食い止めないと。
とサラが言った。

すぐに退治に行けばいいのね。
どうやってその世界に行けばいいの?
とヴィヴィアンが言った。

アイスがいれば、ヤビーたちのいた家に抜けられる、
鏡の扉を作ってもらえるんだけど。
アイスは武器を返しに行ったままだし。

鏡の扉なら私も作れるのよ。
あの家は引っ越し前に住んでいたから、
行きたい場所を思い出せるわ。
さっそく庭に出て作りましょう。
とフミコが言った。


a4

みんなは庭に出てきた。

フミコは行先の情景を思い浮かべ、
呪文を唱えて、
鏡の扉を出現させている。

危険だから、私とフミコだけでいくわ。
すぐ片付けて戻ってくるから待っててね。
とヴィヴィアンが言っている。


a5

二人を見送った後で
みすずたちが話している。

すごい余裕だったみたいだけど、
ヴィヴィアンって、
ローゴスの強さを知ってるのかしら。

ヴィヴィアンは悪魔だからね。

一緒に行ったフミコは安全なの?

彼女がどんな力を持ってるのか知らないけど、
フミコは古代世界から蘇生した魔族なの。
そもそもアイスに呪力を授けたのも彼女よ。

すごいメンバーとお友達なのね。

それで平穏な暮らしが
なかなかできなくて。


a6

バルは近くの森を
案内されている。

これはカメレオンね。
恐竜がいなくなって、
いろんな動物が姿を見せるようになった。


a7

バルはカエル王女にも紹介された。

いつぞやは父が、
ご迷惑をおかけしました。

みんな役目を果たしてるだけですから。
お父さんのヘクトンはその後お元気ですか。
兄も私も独立したので、
ずっと会ってないんです。
父のことですから、
この湖が夢見の水で溢れるようになれば、
噂を聞いて遊びに来るかもしれません。


a8

元ヤビーたちの家についた
ヴィヴィアンとフミコは、
庭でナディアに出会った。

あら珍しい。
ヴィヴィアンがこの世界に来るなんて。

サラに、夢食いのローゴスっていう
モンスター退治を頼まれたのよ。
どこにいるか知ってる?

ローゴスならもう私たちが倒したわ。
フミコも一緒なのね。
ちょうどよかった。
重症の怪我人がいるんだけど、
診てもらえないかしら。


a9

フミコはセリーヌの傷口を見て
手をかざすと呪文を唱えた。
セリーヌの傷がみるみる癒えていく。

山羊のペンダントも震えている。
それは呪具なの?

私もこんなの初めて。
このペンダントはダリオさんから頂いた物だけど、
元はアフリカの先住民が使っていたものらしい。
治療魔法の効果を高める呪具のようね。


a91

傷口も消えてすっかり良くなったわ。
とセリーヌが言った。

ところで、
あなたが悪魔のヴィヴィアン?
あなたの名前は夢食いの間でも有名よ。
とシーラが言った。

そうなの?

数千年の封印が解かれて蘇った魔王メイヴと
互角に戦って、とうとう根負けしたメイヴが
戦いをやめて迷いの森に逃げ去ったっていう話。

ああ、あれね。
もう2年も前のことよ。

その戦い、私も見たかったなあ。



解説)
続きます。

ヴィヴィアンとメイヴの戦いは、
2023年7月19日「夜の出来事」シリーズで、
見られます。戦いの様子は、
画像が暗くてよくわかりませんが。
Posted at 20:22 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Jun 01, 2025

バルの目覚めとコンテストの発表

b1

翌朝の魔術劇場の一室。

おはようございます。
よくお休みになれましたか?
とデュアンが言っている。


b2

御用があればお呼びください。
あ、この水差しのお水は飲まないでね。


b3

ヴィヴィアンが現れた。

お待たせしてごめん。
よく眠れた?
昨晩はお二人の夢の世界の話が面白くて、
ちょっと飲みすぎちゃって。

さてと、
バルを起こしましょう。


b4

ヴィヴィアンは水差しに向かって
呪文を唱えている。


b5

薄煙が立ち上り、
なんとバルが姿を現した。

ずっと寝てましたけど、
お呼びですか?


b6

サラはバルに声をかけた。

バルさん。サラです。
メルティの夢の部屋での、
いつぞやの大洪水以来ですね。
あの時はお世話になりました。

いえいえ。

今度も夢の中の世界での話なんですけど、
忘れられた夢の中に
夢見の水を湧かせることって、
できるんでしょうか。
ヴィヴィアンがバルさんに頼んでみたらって、
言ってくださって。

お安いご用ですよ。
僕も行ってみたい。
忘れられた夢が残っているって珍しいですね。


b7

一行は鏡の扉で魔術劇場からデジャに、
さらに階段を降りて、広場に出てきた。
ちょうどルビーが
アナウンスを始めるところだった。


b8

みなさん。
先月のコスプレコンテストの
優勝者の発表をします。
厳正中立な審査の結果、
優勝したのは
サラのお友達のみすずさんです。


b9

おめでとう。よかったわね。
予想通りの進行だけど。

私が優勝したのね。
なんだか実感が湧かないけど
チョコが沢山もらえるのが嬉しいわ。


b91

みすずは万雷の拍手と歓声に
包まれてトロフィを授与されている。

おめでとうございます。
ありがとうございます。
あのー、そのトロフィ重そうなので、
ここで預かっていただければ。
わかりました。
一応格好だけ手に取ってください。


b92

久々にコスプレっぽい服装の人が
優勝したので、
歓声はいつまでも続いていた。



解説)
続きます。
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July 2025
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