Jun 29, 2025

サラの招待

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一人でみすずの家に戻ってきたディアナは、
みすずたちと顔を合わせた。

精霊の国ってどうだった?


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人間の姿になったディアナは、
向こうの世界で知ったことを、
事細かく話している。

その国は、もともと魔族の女性が
とある美術品コレクターの倉庫に眠っていた、
フィギアや置物に宿った精霊たちのために、
作り上げた幻想の世界で、
私もその中の鹿のフィギアに宿った精霊の一人だったの。
記憶がなかったけれど、
話を聞いていて、うっすらと思い出したわ。
この夢の世界も元々はその魔族の女性が見ていた夢で、
彼女が私をこの夢の世界に連れてきたっていうのよ。
そう言われれば、なんとなくそんな気がしてきた。
そればかりか、私が望んだこの人間の姿は、
その魔族の女性にそっくりなんだって。

そんなことってあるのね。
とみすずが言った。

ディアナさん。
今の話で、美術品のコレクターって出てきたでしょ。
私、そういう人、一人だけ知ってる。
その人に聞けば何かわかるかも。
とサラが言った。

そうなの?
ぜひお会いしてみたいわ。

だったら、私の住む町に行かない?
もう月末だから、コンテストに登録して、
来月までいれば、チョコがもらえるよ。
その人は、コンテストの審査員もやってるの。

そうしなさいよ。
人間の住む町なんで初めてでしょ。
いっぱいチョコもらってきて。
とみすずも言った。

あ、彼女も誘ってあげよう。


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サラはいつもフミコが
ミミコの世話をしている部屋を訪ねた。

やっぱりここにいた。
シビルさん、私たち、町に行くんだけど、
一緒に行きませんか。

え、町って人間の住む現実の世界でしょう。
どうして夢食いの私に。

多分初めてなんじゃないかと思って。
登録すれば参加賞でチョコがもらえる
コンテストを毎月やってるんですよ。

行ってらっしゃいよ。
マンゴー亭の肉まん美味しいわよ。
とフミコが言った。


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かくて、サラは、
ディアナとシビルを連れて、
町にあるサラたちの家に
戻ることになった。

サラはアイスに教えてもらった
呪文を唱えている。

なんか人間たちの現実の世界なんて、
初めてで緊張するわね。
そうですねー。
と二人で話している。


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サラは二人を連れて鏡の扉を抜け、
サラたちの部屋に戻ってきた。
さっそくディアナとシビルを紹介している。

私はメアリー=ケイトよ。
赤いのがケイで、ピンクがジェット。

そういう紹介って。


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二人ともやや緊張している。

あ、今スムージーとサラダを
作ってたところなんだ。
よかったらどうです?


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お味はどうですか。

うーん。美味しいわ。

このドレッシング何かしら。


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これを使ったんです。

ふーん。
高級そうね。

そうでもないんですよ。
ガチャなら300円です。


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サラ、帰ってきたの1カ月ぶりね。

そうなのよ。
こっちは変わりない?

埃の降り積もる静かな日々よ。
最近たまきが、生成AIを使った
動画制作に凝ってるらしいけど。

ふーん。
それって流行ってるのかな。



解説)
続きます。
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