Jun 23, 2025
お城で

一行が城に入ると大広間に出た。
こんにちわ。
誰かいませんかー。
返事がないみたい。
二手に分かれて
城内を調べてみましょう。

アイスとトロンは
左手のドアから
通路に出た。
正面にドアがあるようだ。

ドアを開けて部屋に入ると、
二体のフクロウの形の置物があった。
と、置物は振り向いて話しはじめた。
おや、さっきの声は
やっぱり空耳じゃなかったんだ。
これは失礼したね。
この城を訪問する人は滅多にいないんで。
と石の置物のようなイブーが言った。
あ、どうも初めまして。
私はアイス、こちらはトロンです。
雪山の洞窟を抜けてこの世界にやって来たんです。
なんと。
それはそれは。
私はイブー。隣にいるのはオイレ。
やっぱりオウル様が言ってた通りだな。
いつかこういう日が来ると。
と、木製の置物のようなオイレが言った。

その頃、広間の右手の扉から、
通路に出たヴィヴィアンとセリーヌは、
突き当たりのドアから室内に入っていた。
石のような置物がある。
流石に上品な調度品ね。
座り心地が良さそうな椅子。
とヴィヴィアンが言った。
これはこれは、
お褒めに預かり。
と石のような置物が言った。

石のような置物は振り向いた。
なんとそれはフクロウの置物だった。
さっきの声は君たちだったか。
てっきり空耳かと思ったよ。
あ、ここにお住まいの方ですか。
私はヴィヴィアン、隣にいるのはセリーヌと言います。
雪山の洞窟を抜けて、この世界に来たばかりです。
とヴィヴィアンが言った。
なるほど。
それで森を越えて、
この城に辿り着いたということか。
久しぶりの客人だ。
オウル様も喜ばれるだろう。
オウル様、って、
あなたじゃないんですか?
とセリーヌが尋ねた。
私は執事のミネルバ。
君たちのことはオウル様にお伝えしよう。

二人が王座の間に案内されると、
すでにそこには、アイスたちも来ていた。
部屋の壁際には、
フクロウの置物のような姿の、
何体ものフクロウたちが並んでいる。

やがて、ぬいぐるみのフクロウのような姿のものが、
奥のドアから現れて、玉座の前に座った。
お待たせしたね。
私がオウルだ。
ちょうどお昼寝タイムで、
ノネズミを追いかける夢を
みていたところだったんだ。
と言っている。

アイスたちは自己紹介して、
自分たちが、雪山の洞窟を抜けて、
「忘れられた夢の世界」から探検に来たことを伝えた。
それはそれは、はるばるご苦労様。
ここは精霊たちの暮らす国。
ゆっくり見物されるといい。
周囲は峻険な山々に囲まれているが、
森と泉に~包まれて静かに眠~るブルーブルーシャトー🎵
と大昔に謳われたこのお城の周辺は、
常春の世界だよ。
とオウルは言った。

精霊たちの暮らす国って、
失礼ですが、もしかして、
あなたも、ここにいる皆さんも、
フクロウの置物やぬいぐるみに宿った
精霊なんですか?
とアイスが尋ねた。
そうその通り。
君は人間のようだが頭がいいね。
すごく古びたり、持ち主に愛された道具や、
すごく年取ったり、持ち主に愛された動物には、
精霊が宿ることがある。
しかしいろんな事情で見捨てられることもあるんだ。
ほこりに~まみれ~た~人形~み~た~い~に🎵
という古い歌の歌詞のようにね。
ここはそんな精霊たちの集う国なんだよ。
そういうと、オウルのつぶらな瞳が輝いた。
解説)
続きます。
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