Dec 31, 2024
大晦日
佳奈とはるなは、
郊外に向かう道を散歩して、
フェンスのそばの楓の元に辿り着いた。
他の紅葉はほとんど散っちゃったのに、
この小さな木は見頃ね。
崖沿いにあって、まだ若いからかな。
その頃、サラたちの部屋に、
ソローが石炭を届けにきていた。
あ、ソローさん、
ちょうどよかった。
その空のカートに載せて、
彫像を広場まで運んでくれない?
お安いご用です。
広場に、佳奈とはるなが散歩から
戻ってきた。
もうお正月モードなのね。
と言っている。
ドラム缶には掃き集められた
落葉が入れられているようだ。
これは?
落葉炊きするんだよ。
彫像を乗せたカートを押して、
ソローが広場に到着した。
ドルフィンのマスターが、
彫像を台座の上に取り付けている。
これ、軽かったけど材質はなんですか?
紙粘土のようだよ。
舌出してますね。
今年もあれこれとあったけど、
煙のように過ぎたなあ。
火のないところに煙は立たずよ。
焼き芋食べて年越しですね。
などと話している。
解説)
続きます。
Dec 30, 2024
師走の日々 そのよん
探偵事務所では
アルたちの忘年会が続いていた。
今年は天ぷらと刺身が
用意されているようだ。
この前ね、市街地で「マネキネコ」っていう、
カラオケ店の看板を見ていて、
「キネマの招き」っていう言葉を思いついたんだ。
回文遊びはやめようよ。悪酔いするから。
そうか。
あ、外からずっとブルースが聞こえてくるね。
あれはトムたちよ。
音楽イベント以来、音楽愛好者が集まって、
この部屋で演奏していたの。
ドラムセットがあるのはそのせいか。
私もベースで参加してたのよ。
と鷲尾翠が言った。
よっぽど好きなのね。今も外で演奏してる。
あのギター、なかなかいい感じだなあ。
その頃、ジェニーたちの部屋に、
モモコが戻ってきた。
これお土産よ。
ジェーンがくれたの。
わーすごい。
ねー部屋の中では
パタパタ飛ぶのやめて。
みんな、その格好は?
年末の忙しさを演出するための装いよ。
忙しそうに見えるでしょ。
確か去年も見た気が。
この重箱ずいぶんあるね?
これからお節料理を作るんだけど、
サラにも頼まれたの。
自分で作るつもりだったらしいけど、
急に仕事を頼まれたからって。
その頃、
アルは事務所を出て、
ローレンスたちに話しかけていた。
君たち、いい演奏してるね。
ちょっと頼みたい話があるんだけど。
あ、僕は郊外でビストロを経営してる
アルっていうんだ。
アルはビストロで演奏しないかという話を、
ローレンスたちに持ちかけていた。
みんな喜んで承諾したが、
私はちょっと無理ね。
と鷲尾翠が言った。
ここで探偵助手の仕事があるし。
ベースがいないとまずいなあ。
あ、ちょうどビストロでバイトしてる
シオンがいるでしょ。
そうか。彼女はバービーガールズで、
ベースをやってたね。
キサラはシンセサイザー弾けるし。
話はまとまって、トムたちのバンドが、
来年からビストロで演奏することが決まったのだった。
じゃあ乾杯しよう。
トムは、お銚子を叩くのはやめて。
と言われている。
解説)
続きます。
Dec 29, 2024
師走の日々 そのさん
師走の広場は大掃除が
終わりかけていた。
アイスと舞は
通りかかったソローと話している。
その石炭どこに運ぶの?
ああこれはサラさんたちの家に。
ストーブの燃料の補給なんですよ。
ルビーは佳奈に声をかけている。
掃除も終わったし、
またデジャでCGの忘年会やろうって話があるけど、
境界警備隊の連中が飲み会したいだけだから、
出席は自由よ。佳奈の予定は?
昨日、去年の今頃のこと思い出してたんですけど、
年末には、はるなもバイト休めるんで、
今年も二人でまた散歩でもしようかなって。
はるながバイトしている喫茶ペンギン前では。
お正月用の飾り付けが終わったところだった。
これで準備万端ね。
そこに佳奈がやってきた。
あったかそうなの着てるわね。
飾り付けが終わったから、
今年のバイトは終わり。
私も今コート取ってくる。
どこに行く?
郊外に行く途中に
紅葉が見られる場所があるのよ。
紅葉はもう終わりじゃない?
そこのもみじは散るのが遅いの。
じゃあ行ってみよう。
解説)
続きます。
Dec 28, 2024
師走の日々 そのに
師走はあっという間に日が暮れる。
相変わらず寒そうな格好してるわね。
今日はもう暗くなってきたから、
お掃除の続きは明日にしましょう。
と佳奈はルビーに言われている。
佳奈はマンゴー亭で休憩することにした。
佳奈、まだ寒そうな格好してるのね。
人のこと言えないけど。
とレイに言われている。
マンゴー亭でアルバイトしている
アンナとレイは、
佳奈の高校時代の陸上部の先輩。
忙中閑ありね。
忙中寒ありよ。
でもクリスマスが終わったから
一息ついたところ。
あとは予約注文のお節料理の仕込みかな。
とアンナが言って椅子に座った。
いよいよ年の瀬ね。
今年はどんな年だった?
そうですねえ。
いろんなことがありすぎて。
と佳奈は一年を振り返っている。
去年の今頃、
まだ高校生だった佳奈は、
親友のはるなに会いに
初めてこの町に来たのだった。
町に来た理由は、
学校の自由研究で
この近辺の住民の名前の由来を
聞き取り調査するためでもあった。
あちこちの家を回って、
住民たちと知り合い、
この町に住みたいと思うようになった。
4月に無事高校を卒業した佳奈は、
自由研究や縄跳びの身体能力を評価され、
国際秘密組織CGにスカウトされて就職し、
この町で暮らせることになった。
5月には新人研修でアフリカに派遣されて
砂漠をバイクで疾走していた。
その後、今年の後半には、
アフリカでの遺跡調査の探検隊に参加したり、
鳥探しの探検隊に参加したりと、
ファンタジックな冒険の連続だった。
私にとって今年は激動の一年だったわ。
と佳奈は思い返していた。
その頃、サラたちの部屋では、
サラが蛇の彫像のペイントをほぼ
仕上げていた。
あとは目を入れれば。
画竜点睛ね。龍じゃないけど。
ダリオの置いていった大蛇が、
興味深そうに見つめている。
ねえ、干支ってどんな意味があるの?
とフミコが質問している。
解説)
続きます。
Dec 27, 2024
師走の日々
年の瀬も押し迫ってきた広場。
ドルフィンではお正月の準備作業が
続いている。
去年の使い回しなのね。
年々歳々花相似たりだよ。
前にも同じセリフ聞いたことが。
口癖なんだ。
でも意味がちょっと違う気がする。
ドルフィンスタッフのリタも、
今年の干支の龍の彫像の交換作業をしている。
ドラゴンイヤーもあっという間に終わりね。
サラとジェットは、
年末年始の食品の買い出しに来ていた。
お節料理、家で作るの?
そのつもりらしいんだ。
市街地のスーパーに行かないと、
こんにゃくはありませんよ。
じゃあ牛蒡をください。
あ、サラ。
ちょうどよかったわ。
緊急で頼みがあるの。
来年の巳年の干支の彫像がないのよ。
来年に間に合うように彫像を作ってくれない?
いいわよ。
材料は?
ドルフィンの倉庫に粘土があったはず。
ドルフィンの倉庫から粘土を運んでもらって、
サラはさっそく蛇の彫像の製作にとりかかっている。
この粘土、乾燥し始めてたから、
処理が難しかったわ。
ひびが入ってるのも趣があるよ。
あとは色を塗れば完成ね。
メアリー=ケイトは、鏡餅を飾っていた。
年初めのお正月のお供えなのね。
その由来は?
と興味を持ったフミコに訊かれている。
大昔の鏡は青銅製で丸かったんですって。
お餅の形がその鏡に似ているので、
鏡餅って呼ばれるようになったの。
この風習は室町時代に始まり、
鏡はもともと神様の御神体だったから、
年神様をお迎えする、お供物や依代だという話よ。
2段の丸餅は、太陽と月を表し、
福が重なる、という意味もあるみたい。
ネットによると。
ふーん。年末のクリスマスで
お誕生を祝う神様との関係は?
どうなのかな。
でもとにかく
どちらもおめでたいのよ。
解説)
続きます。
Dec 26, 2024
アルの訪問など
クリスマスの翌日の広場。
軒を飾っていた装飾を片付けたリタは、
脚立の上で肉まんを食べて休憩している。
見晴らしいいですか。
向こうの景色はよく見えないのよね。
ドルフィンのマスターは、
早くも門松の準備をしているようだ。
今年は早いですね。
年末はドタバタするからねー。
広場にはアルを乗せた人力車が
到着していた。
今年も探偵事務所で忘年会?
そうなんだ。
クリスマスが終わって
ビストロもやっと暇になったからね。
しかし人力車で郊外と行き来できるなんて、
なかなか風情があるなあ。
ますます観光地化が進むわね。
アルは大道芸人たちの歌に
聞き入っている。
うちの店でもアトラクションに
バンド演奏入れようかなあ。
ますます観光地化が進むわよ。
アルはマンゴー亭に立ち寄った。
あらアルさん。
肉まんを10個ほど持ち帰りで。
と言っている。
アルは探偵事務所に向かう途中にある
高台の休憩所の前を通り過ぎている。
休憩所では、
ヴァイオリンの調べにのった
友恵の歌声が聞こえていた。
アルは二階に探偵事務所のある、
喫茶ペンギンの前にたどり着いた。
ここでもローレンスがギターを奏でている。
音楽イベント以来、
この界隈では音楽ブームが続いているんですよ。
二階の探偵事務所でも、昨日まで、
バンド演奏していたんです。
アルは、探偵事務所のドアを開けた。
やあアル。
外は寒かったでしょう。
今熱燗の準備していたところよ。
と言われている。
解説)
続きます。
探偵とアルは旧友で、
年末には探偵事務所で
よく忘年会をしています。
Dec 25, 2024
クリスマスの広場など
華やかなイブがすぎて、
クリスマス当日は割と静かだった。
大道芸人たちは厳かに歌っている。
き~いよ~し こ~の夜~🎵
子供たちはクリスマスプレゼントを
見せ合っている。
靴下をベッドにぶら下げるの忘れてたら、
お菓子セットの入った靴が置いてあったの。
僕の靴下には、
欲しかったクレヨンセットが
入っていたよ。
今年もおかげで、
早めに町に来て視察できて、
事前にいろんな情報が得られた。
これは君たちにプレゼントだ。
何ですかそれ。
それは巨大なチョコだった。
マヤもクリスマスプレゼントをもらったようだ。
開けるの楽しみですね。
どなたから?
それはね。
クリスマスケーキは完売しました。
とフローラがアイスに報告している。
ブッシュ・ド・ノエルを買った一人は、
メアリー=ケイトだった。
今年のクリスマスイブは
あちこちで音楽ブームだったわね。
私も昨日は夜遅くまで、
広場で歌って楽しかった。
手のポーズがまだ歌ってる感じだね。
サラはクリスマスのことを
フミコに説明している。
ふーん。その人馬小屋で生まれたのね。
それでツリーを飾る理由は?
古代ゲルマン民族の、常緑樹を
永遠の象徴とする土着信仰と、
キリスト教が融合した結果だと言われてるの。
七面鳥を食べるわけは?
大航海時代にイギリスから
アメリカに移住したキリスト教徒たちが
飢えに苦しんでいた時、
先住民から分けてもらったのがきっかけだったそうよ。
ネットに載ってたわ。
解説)
続きます。
Dec 24, 2024
ジェーンのいる世界 そのなな
ちょっと、寒くなってきたわね。と言って、
ジェーンは食器棚の扉を開けている。
ランプを灯すつもりのようだ。
これしばらく使っていなかったから、
オイルも補給しといたわ。
このランプは外でしか使えないのよ。
扉を閉めて食器棚の中で使うと、
酸欠で死んじゃうかも。
あ、これもついでに出してきたから、
一緒に食べましょ。
それは、大きなチョコのパッケージだった。
ジェーンはまた何やら探している。
今度はなんなのかしら。
この本もこの間、
本棚で見つけたの。
面白そうだから読んでみない?
「雑草物語」か。
大島弓子っていう人のコミックなのね。
二人が最初のページを開くと、
「クリスマスの奇跡」という絵物語が載っていた。
わーかわいいイラスト。
そういえば今日はクリスマスイブ。
偶然とはいえ、ぴったりじゃない?
二人は夢中になって読み始めた。
4ページだけの絵物語なので、
すぐに読み終わった。
何の予定もなかったクリスマスイブを、
一人ぼっちで寂しく過ごしていた女の子が、
真夜中に今年一年間に優しくしてくれた人たちに、
プレゼントを配りまくることを思いついて、
実行して幸せな気分で眠る、っていうお話だったね。
私たちは二人でイブを過ごしてるから、
寂しくないわね。
とモモコが言った。
そうね。
今晩泊まって行ってもいいかな。
夜になり、
二人はそれぞれ手袋の中に潜り込んでいる。
あのチョコお酒が入ってた?
ラムレーズン入りでアルコール度3.7%。
きっとよく眠れるわよ。
解説)
続きます。
Dec 23, 2024
ジェーンのいる世界 そのろく
ジェーンは何やら作業中だった。
モモコは預かってもらっていたポシェットを
身につけた。
これってお茶漬けセットの缶ね。
そうなの、テーブルがわりに使うの。
ちょっと手伝っってくれる?
二人は本棚から一冊の本を
引っ張り出して運んでいる。
缶の上に本を載せると、
ジェーンは用意してあった
紙ナプキンをその上に広げている。
これってイタリアンね。
ジェーンは手早く貝殻や
ボトルキャップの食器類や
食べ物を運んできた。
さあ、いただきましょう。
これは、大きなイワシの
燻製なの?
大きな人たちにとっては、
おつまみ用の小魚なのよ。
食後には新鮮なオレンジを。
食卓の皿にはアジの燻製や
ナッツやクラッカーもある。
ささやかな食事と会話が進み、
ジェーンは、そうそう、
と言いながら立ち上がって、
奥の棚をゴソゴソして、
1冊の豆本を取り出してきた。
この画集最近見つけたの。
私の生活に似てて面白いのよ。
この本、見覚えがある。
とモモコが言った。
それはアニメ映画「借りぐらしのアリエッティ」の
美術監督による映画の美術ボード画集だった。
モモコは思い出した。
もう14年も前の9月。そのアニメ映画を見て、
アリエッティの暮らす世界にすっかり魅入られたモモコは、
この画集を見て眠り、不思議な夢を見た。
その夢の中で初めてジェーンと出会ったのだった。
解説)
続きます。
モモコが夢の中でジェーンと初めて出会ったのは、
2010年9月2日「モモコの夢 そのいち」です。
その回の最初の画像のベッドの上に、
今回登場した豆本画集が写っています。
すっかり忘れていたのですが、
この2010年9月2日からの「モモコの夢」シリーズの中で、
モモコがジェーンの以前の住処を訪問してました。
そのことを踏まえて、
12月19日の「ジェーンのいる世界 そのに」
12月20日の「ジェーンのいる世界 そのさん」の、
セリフを少しだけ変更しました。
Dec 22, 2024
ジェーンのいる世界 そのご
向こうが表通りね。
モモコが様子を見に行こうとすると、
道を横切る通行人の姿が見えた。
危ない危ない。
気をつけてって言われてたんだっけ。
モモコは引き返して
家の裏手の方に回ってみることにした。
家の裏手は崖になってるって、
いつかジェーンから聞いたことがある。
このあたりはちょうど居間のガラス戸の
正面ね。
崖下を覗き込んでみる。
低い常緑の灌木に覆われているが、
モモコには、
この前にアイスと行ったアフリカの
ジャングルのように思えた。
フェンスに沿って飛んでいくと
竹藪があった。
これは南天の実かしら。
大きすぎてよくわからないわ。
そろそろ戻らないと、
ジェーンが心配する。
モモコは結局
家のぐるりを一周して
天窓のある場所まで辿り着いた。
ただいまーと
叫んでいる。
解説)
続きます。
Dec 21, 2024
ジェーンのいる世界 そのよん
この羽根、あまり高くまでは飛べないんだけど、
あそこまでなら行けそう。
外は危険がいっぱいよ。
猫やカラスもいるわ。
特に大きな人間に見つからないように気をつけてね。
モモコは身軽になるためにポシェットを
ジェーンに預けて、
羽根をパタパタさせて上昇していった。
本棚の一番上まで辿り着いて、
本を横に押しやると、天窓が見えた。
天窓の網戸を横にスライドさせると、
隙間ができた。
あの赤いのはきっと楓ね。
モモコは天窓に身を乗り出すと
ジャンプした。
ホバリングしながら、
なんとか着地に成功。
地面は一面の楓の落ち葉だ。
見渡すと、
末枯れた菊の鉢植えなどが見える。
モモコは低空飛行していく。
あっちに花が咲いている。
それは満開の山茶花だった。
6倍の景色って迫力あるなあ。
解説)
続きます。
Dec 20, 2024
ジェーンのいる世界 そのさん
この食器棚には、
普段は滅多に使われない食器が収納されているの。
この蓋つきのスペースには
お茶碗と急須のセットが仕舞ってあったけど、
苦心して別の棚の目につく場所に移動したのよ。
だからお茶碗セットが必要になっても、
開けられる可能性は少ない。
さすがジェーンね。
お部屋の中、見てもいい?
もちろん。
それは端切れを集めたの。
裁縫セットもある。
隅にあるのは香炉のようだ。
未使用のキャンドルや、
焼き鳥用の竹串も並んでいる。
各種調味料の入った小瓶がある。
あの絵がプリントされてる容器は、
前にもあったわね?
ええ。絵が気に入っていて。
あれは元はドロップの入っていた空き缶。
隅にあるのも見覚えがある。
ライター用のオイル缶ね。
あれも重宝してる。
もっぱらランプ用なのよ。
大きなお絞りやマッチ箱もまだあるのね。
そのキャップは最近借りてきたの。
お水を飲むのに手頃でしょ。
二人のおしゃべりは続いて、
話しているうちに話題はダリオのことになった。
ふーん。私と同じ種族の人なのね。
しかも魔法でモモコのいる世界に行って、
暮らしているなんて面白い人。
ジェーンはずっとこの家に住んでるんでしょ。
外には出ないの?
偶然窓やガラス戸が開いていて、
家の主人が留守の時、たまに出ることがあるわよ。
今年の4月にはトマソンさんと散歩したわ。
でも普段はドアや窓は閉まっているから
私の力では開けるのは無理。
そうか。
こっちの世界も季節は同じでしょ。
紅葉が見頃のはずだから、
ちょっと外に出てみたいなあって。
ふーん。
しばらく考えていたジェーンは
何か思いついたようで、
あなたなら出られるかも。
といった。
この書庫には天窓があるの。
その窓は通気のために、
網戸状態になっているはず。
そこまで登るのが大変だけど、
あなたなら。
二人は食器棚の家から出て、
壁の本棚の上方を眺めている。
あの本棚のてっぺんのあたりに、
天窓があるのよ。
モモコなら飛んでいけるでしょ。
よく見えないけど、そうなのね。
とモモコは言った。
解説)
続きます。
Dec 19, 2024
ジェーンのいる世界 そのに
今ちょうどこの家の主人が
留守していてよかったわ。
鉢合わせしてたら大変だった。
ここは危険だから
安全な場所に移動しましょう。
ところで今冬支度している最中だったの。
モモコも手伝ってくれる?
もちろんよ。
ジェーンは居間のサイドテーブルの棚の
隠れ家にあった手袋を抱えている。
モモコはキッチンテーブルの隅にあった
数字の形をした蝋燭を抱えている。
ここのサイドテーブルの棚の隠れ家って、
私が今年の4月に来た時泊まったところよね。
プチトマトが美味しかった。
そうなのよ。本家は別の場所にあるの。
二人は廊下に出た。
そっちにいくの?
うん。この部屋は
物置がわりに使われている書庫よ。
家の主人は滅多に入ってこないから。
二人はガラクタ置き場になっている
書庫の片隅のテーブルの上に
たどり着いた。
さあ。ここなら安全。
さっき早すぎるクリスマスプレゼントを
もらったからここで食べましょう。
これってベルギー製の、
ベルメーレンカラメルビスケットですって。
このチョコは?
クラリネクランチビスタって言って、
細かく砕いたピスタチオと
三種類のナッツが入ってるのよ。
ジェーンはなぜそんなに詳しいの?
さっき栞の説明書きを読んだばかりだからね。
ビスケットはこのパッケージの裏に
日本語で書いてあるの。
二人はビスケットとチョコを
食べている。
私4月には、トマソンさんを呼びに来たんだった。
あの時はみんなで居間の棚で寝泊まりしてたけど、
ここは仮の棲家なのって、言ってたわよね。
よく覚えてるわね。
トマソンさんとは知り合ったばかりだったし、
本宅の場所は彼には内緒にしてたのよ。
さすがジェーンね。
彼は元気?
ええ。町が気に入って
魔術劇場に居候してるみたい。
それはよかったわ。
ちょっと喉も乾いたし、
モモコには本宅の場所を教えてあげる。
嬉しいな。
確か最初に来た時はタバコの空き箱で
作った家だったわね。
ええ。その前は冷蔵庫の上。
あれからも転居を繰り返したんだけど、
今は、すぐそこにあるのよ。
ジェーンは後ろを向いて、
背後の小さな食器棚の
取手に結びついていた紐を掴んできた。
一人でも簡単にできるんだけど、
ついでに紐を引っ張るの手伝って。
と言っている。
扉が開くと、
食器棚の奥に何やら小物類の並んだ
ジェーンの住まいの様子が見えた。
解説)
続きます。
二人の会話に出てくる4月の出来事は、
夢の中でジェーンの住む世界に行ったきり
トマソンが戻れなくなって、
モモコが助けに行くというストーリーで、
2024年4月11日「ジェーンの世界」から、
2024年4月21日「ジェーンの世界 帰還」までに、
描かれてます。
Dec 18, 2024
ジェーンのいる世界
ジェーンは一人暮らしの人間の家に
ひそかに住み着いている。
日用品や食料品は、もっぱら
家にあるものを拝借しているが、
自分では借り物暮らしをしているつもりだ。
ジェーンは今日も
キッチンテーブルを覗きに行った。
あれは何かな?
使用済みの新宿御苑の入場券と
どんぐりの実のようだ。
いつも巡回するのは出窓の付近。
ガジュマルの鉢植えが乾燥していると、
見かねてたまに水をやったりする。
ジェーンが出窓の前にたどり着くと、
黒っぽい紙の上に、
小さな紙片と共に、チョコと
クッキーが置いてあった。
これは、今年の4月頃に私が残した
書き置きだわ。
裏返すと、メッセージが書いてあった。
黒い紙はモロゾフのチョコの栞のようで、
チョコレートの説明が書かれている。
ジェーンは背中の箱から
付箋のメモ用紙を取り出して、
返事を書き残しておくことにした。
ジェーンが立ち去ろうとした時、
ジェーン。と呼ぶ声がした。
なんとモモコが羽根をパタパタさせながら
空中に浮かんでいる。
また遊びに来ちゃった。
と行っている。
羽根のついた変わった服着てるのね。
これ妖精のコスプレなの。
解説)
続きます。
ジェーンの借り物暮らしは
今の家に住み着いてから、
もう17年くらいになるので、
家の主人にはバレバレで、
お互いに微妙に気遣う関係になっているのでした。
ジェーンの最初の登場は、
2007年1月18日「間借り人ジェーン」です。
Dec 17, 2024
モモコの願い
モモコはフミコたちと話している。
あれからどうしてたの?
アイスとアフリカに行って、
フミコさんに魔法をかけてもらった
この羽根の力で空を飛んだんです。
そしたら、本物の妖精と勘違いした
グリーンマンが現れて、
妖精にそっくりだと言ってお花をくれました。
それは良かったわね。
その花は妖精たちが好きだった花ね。
それで今日お願いに来たのは、
私ジェーンの住む世界にまた遊びに行きたいんです。
ハリーさんに頼めば、魔術劇場の中から
鏡の扉を開いてくれるんですけど、
すごく危険を伴うことがわかって。
フミコさんなら、どこからでも
望んだ場所に連れて行ってくれるって。
どんな方法で行こうと
別世界を訪問するには危険は伴うのよ。
それにあの世界は特別。
それでも自己責任で行きたいっていうなら、
あなたに力を授けましょう。
フミコは立ち上がると、
モモコに向かって呪文を唱えた。
薄い煙が立ち上ったが、
一見何も変わったことは起きなかった。
今、あなたに魔力を授けたの。
とフミコは言った。
魔力、とは言っても、ささやかな力よ。
グリーンマンがあなたにあげたお花が、
扉を開く鍵になるわ。
そのお花に向かって、行きたい世界を
思い描いて念じると扉が現れるから。
帰ってくる時も同じようにしてね。
大昔には妖精たちも、
あのお花に願い事をして遊んでいたのよ。
あなたに授けたのはそんな妖精たちの能力。
あなたは魔族並みの呪力を持っているから、
上手く使いこなせると思う。
あ、ありがと。
モモコは早速
ジェニーたちの部屋に戻った。
ああおかえり。
どうだった?
この前グリーンマンからもらった
花を生けた花瓶あるかな。
もちろん。
ずっと元気に咲いてるよ。
モモコはたまきたちに事情を話し、
花瓶から花を一輪手にとって、
ジェーンのことを思い浮かべてみた。
すると鏡の扉が突然室内に出現した。
ちょっと扉が出現する場所を決められないの?
それは無理みたい。
モモコは小さな皮のポシェットを
身につけて、帰還する時のために花を一輪
持っていくことにした。
モモコが帰った後の
サラたちの部屋では。
なんだかややこしい手続きが必要なのね。
すぐに扉を出現させられなかったの?
彼女が自分の力で行けるようになるのが、
一番でしょう。あの子素質あるから。
深いのね。
あの格好で寒くないのかな。
それは大丈夫。
妖精の感覚だから。
解説)
続きます。
Dec 16, 2024
外出の後で
崖沿いの楓は日毎に
色合いを深めている。
御苑の散歩から戻ってきた
ジェニーとたまきは
文学青年と話している。
すごく綺麗だったわよ。
図書館裏の雑木林はどうだった?
特に紅葉が目立つ木立があるわけじゃないからね。
もの寂しくて寒々とした感じだったよ。
でも風のない午後で日差しは不思議と暖かかった。
うとうとしてたら影が話しかけてきたんだ。
ふーん。変なの。
ナオミはドラムに夢中だし、
私がずっと留守番してたのよ。
とモモコがいった。
私もどこか行きたいなあ。
いつも出掛けてるじゃない?
そうなんだけどね。
行きたいのはジェーンのところでしょ。
うん。でも魔術劇場のハリーさんに頼むと、
心配かけるし、大変なのよね。
魔術劇場自体も危険に晒すことになるし。
だったら、フミコさんに頼めば?
あの人ならどこでも鏡の扉を作ってくれるわよ。
その頃、ペンギンの前では、
佳奈とライトニングが話していた。
あちこち案内してもらって、
すっかりお世話になっちゃったわね。
全然気にしなくていいんですよ。
先輩。これからどうされるんですか。
一度本部に戻ることにするわ。
少佐に掛け合って境界警備隊に
配属してもらえるように頼んでみる。
わー。そしたらこの町に。
そうね。
ジャンや文学青年とも再会できたし。
この町居心地良さそうだから。
あなたのおかげよ。
コーヒー中毒気味のジャンは、
またペンギンに入り浸っている。
サラたちの部屋では、
今日もストーブを炊いていた。
外は冷え込んでるねー。
そこにモモコがやってきた。
フミコさんいますかー。
と言っている。
解説)
続きます。
Dec 15, 2024
御苑を散歩
たまきとジェニーは、
紅葉見物に新宿御苑を訪れた。
銀杏が綺麗だねー。
日本庭園の方に
行ってみよう。
池がある。
あっちには何があるの?
あれは旧御涼亭だよ。
数少ない本格的中国風建築なんだって。
あ、あの人は何してるの?
リカちゃん人形を撮影してるみたい。
邪魔しないようにしよう。
ああいう変わった趣味の人もいるんだね。
紅葉が綺麗だしね。
寒くなったし、そろそろ帰ろうか。
二人は出口の新宿門に向かう途中で
バービーとケンに出会った。
さっき清水さんも来てたわよ。
などと言っている。
解説)
続きます。
今回は、昨日新宿御苑で
撮影した画像を合成しました。
実際に清水さんと出口のところで遭遇。
Dec 14, 2024
森林公園へ
魔子を乗せた人力車は
郊外の森林公園に向かっていた。
ちょっと回り道ですが、
郊外の並木道を通って行きましよう。
こんな道があったのね。
もうすぐ到着しますよ。
なんだかもう紅葉を
堪能した感じ。
森林公園につきました。
駐車場のある入り口は?
ここは公園の裏手に当たるんです。
これは桜の落ち葉かしら。
ともかくどこも
カラフルな景色。
行楽客も随分来てるのね。
シーズンですから。
解説)
続きます。
背景は、デジカメの実景や、
生成AIのサイトで制作した画像、
ネットから借用した風景画像などを
混ぜこぜに合成して使用しています。
Dec 13, 2024
再会など そのに
マンゴー亭では
佳奈とライトニングが話していた。
先輩は以前にも
この町に任務で来たことがあるって。
そうね。
あれは3年前の早春だったわ。
まだ寒い日でね。
確かレトロな石炭ストーブのある部屋で
休憩したのを覚えてる。
レトロな石炭ストーブ。
多分そのストーブなら、今もありますよ。
サラさんのところで毎冬使ってます。
そうなの?
懐かしいわね。
じゃあ、一緒に見に行きましょう。
ライトニングと佳奈が
サラたちの部屋に到着すると、
すでに先客があった。
こんにちわ。
サラ、ストーブを見せてもらいに来たの。
あ、あなたは
あの時の。と言われている。
文学青年さん、
また会えたわね。
やあ、どうも。
僕らもこのストーブが懐かしくて、
見せてもらいに来てたんですよ。
あの日の3人が再会するなんて、
これも何かの縁かもしれないわ。
このストーブ、これまでは、
人が見にくることなんてなかったのに。
偶然、思い出のある人が集まったのね。
その頃ジェニーたちの部屋では。
崖沿いの楓がやっと色づき始めたわ。
ナオミは事務所から帰ってこないし、
文学青年も図書館に出かけたきり。
どこで油売ってるのかしら。
解説)
続きます。
Dec 12, 2024
再会など
図書館帰りの文学青年は
久しぶりにペンギンでコーヒーを
飲むことにした。
東屋で知り合った影は、
いつの間にかいなくなっていた。
ペンギン前にはナオミが来ていた。
今日は珍しく
店内の席が空いていますよ。
と言われている。
文学青年が店内に入ると、
入れ違いに
ペンギンの二階の事務所から
トムが階段を降りてきた。
お待たせしたね。
一区切りついたので、
選手交代。
と言っている。
ナオミは探偵事務所にドラムを叩きにきて、
トムが交代してくれるのを待っていたのだった。
ずっとカントリーだったわね。
奈々子さんがフィドルで参加してるからね。
ナオミはさっそく
二階の事務所に上がって、
演奏に参加している。
Take Me Home,Country Roads🎵
トムはコーヒーを注文して
二階から流れてくる曲を聴きながら、
リズムに合わせてカタカタと
テーブルを小さい音で叩いている。
これ癖になっちゃうんですよ。
文学青年が席を物色していると、
奥のベランダ席の青年ジャンが
こちらを見つめているのに気がついた。
あ、あなたはもしかして。
と言っている。
ジャンは立ち上がると、
文学青年の前の席に移動してきた。
やっぱりあなただ。
何年振りでしょう。
ほら、あの石炭ストーブのあった部屋で。
ああ、あの時の。
あの時も十数年振りだったけど。
あの石炭ストーブ懐かしいなあ、
今でもどこかにあるんでしょうか。
あれならサラたちが毎冬使ってるみたいですよ。
サラたちとは親しいから、見に行きますか。
え、それは嬉しいなあ。
解説)
続きます。
青年ジャンは、
たぶん2021年の8月5日以降、
常設セットの喫茶ペンギンの客席に
ずっと座り続けている常連客です。
その前に登場したのは、
2021年3月2日「再会」のことで、
この時のことが二人の話題になっています。
この時は男というだけでまだ名前がなく、
今回はじめてジャンと命名しました。
Dec 11, 2024
車輪で遊ぶ
広場では、
ドルフィンのスタッフが
何やら店を広げている。
倉庫に木製の車輪が入荷してたんだけど、
何かに使えるかなあ。
随分頑丈そうだね。
その車輪で、
人力車を作れますか?
と、ドルフィンにコスプレの
登録をしにきて、側で話を聞いていた
駒井魔子がいった。
あ、突然すみません。
森林公園の屋外管理人をしている、
ソローさんが、車夫のコスプレするって
言ってたもので、つい。
人力車か。
それもいいんじゃない?
私は車椅子くらいしか思いつかなかったけど。
とアイスが言った。
人力車に使うには、車輪のサイズが
二回りくらい小さいですが、
やってみましょう。
とマスターがいった。
倉庫から資材を出してきて、
スタッフは早速設計と
組み立て作業を始めている。
あっという間に数時間経って、
人力車が完成した。
角度が調整可能な
足の踏み台をつけたんだよ。
後ろには泥除けのカバーをつけたの。
おしゃれでしょう。
そこにソローが、
コスプレの登録にやってきた。
人力車作ったんですか。
ほーこれはなんという偶然でしょう。
それ使ってもいいですか。
魔子は人力車に乗せてもらっている。
お客さん、どちらまで?
森林公園まで紅葉狩りに。
よしきた。
解説)
セリアのインテリア小物で、
天然素材の「ウッドミニホイール」と言うのを
見つけたので、早速工作して遊んでみました。
人力車の本体には、
ボール紙とスチロール製の弁当箱を使用。
座席はバービーの馬車のパーツを流用。
他に太めの針金やストローを使っています。
後部のカバーはそのまま弁当箱のプリント模様です。
Dec 10, 2024
図書館に行く
たまきが今日もいい天気よ。
と言っている。
そろそろ本の返却日じゃなかった?
あ、そういえばそうだね。
図書館にいかなくちゃ。
文学青年は図書館に向かった。
銀杏の黄葉が盛りを迎えている。
本を返却してまた仕入れた文学青年は、
図書館裏の雑木林に寄ってみることにした。
雑木林の付近は少しだけ高台になっている。
林の中程の空き地に東屋があった。
文学青年は休息を取ることにした。
風もなく寒さはそれほど感じない。
晩秋の光とくっきりとした影の対比を眺めていて、
日のぬくみに文学青年はうとうとしている。
目を開けてふとみると、
目の前の影の中から
影帽子のような人の姿が立ち上がって
話しかけてきた。
こんにちわ。
私を見つめてまどろんでいらしゃったので、
なんとなくお近づきになりたくて
現れました。
君はどこから来たの?
影の世界から来ました。
暗いのでみんなごちゃごちゃなんですよ。
解説)
続きます。
Dec 09, 2024
平穏な日
サラたちの部屋では
遅い朝食を食べていた。
これ美味しいわね。
とフミコが言っている。
ピーナツバターって言うんだよ。
クラッカーに塗っても美味しいわよ。
私ひと瓶食べられるわ。
ジェニーたちの部屋には、
ナオミとたまきが戻ってきたようだ。
探偵事務所でブルース聴いてたんだけど、
奈々子とロベリアが来たので
席をゆずってきたの。
親切なのね。
部屋がすごく狭いのよ。
高台でシャンソンの伴奏してたんだけど、
この太鼓の音いまいち合わなくて。
本格的に叩きたいなら探偵事務所に行けば?
昔あなたが使ってたドラムセットがあるそうよ。
隣の高台では、友恵が
うたのアコーディオンで、
「ルナ・ロッサ」を歌っていた。
探偵事務所では
奈々子がヴァイオリンを弾いている。
「冬の星座」って
カントリーだったのね。
解説)
続きます。
Dec 08, 2024
夕暮れの事務所など
探偵事務所では
音楽好きの住民たちの演奏が続いていた。
雰囲気を出すために
照明が落とされている。
トムは8ビートを刻んでいる。
曲はアコースティックギターによる
素朴なブルースのようだ。
暮れていく西空に
夕日が沈みかけている。
雰囲気はいいけど、
手元が暗すぎて。
瓶ビールどこ?
とたまきが言っている。
ブルースの音色は
階下のペンギン前にも届いていた。
このツリーにも
電飾をつけたんだね。
電飾っていうの?
今日も店内は盛況のようだ。
朝からブルースばかりね。
カントリーでもやらないかな。
奈々子フィドルで参加すれば。
などと話している。
あっという間に日は落ちて、
店のベランダから見渡せる
崖下の民家に灯が灯っている。
夕暮れ時、サラたちの部屋でも
雰囲気を楽しむために卓上ライトをつけていた。
手をかざすと暖かいわ。
そう?
暗すぎ。
やっぱり明かりつけようよ。
ダリオさん、この蛇
忘れていったのかなあ。
自分の意思でのこったんじゃない?
ジャングルのその種の蛇は賢いのよ。
とフミコが言った。
ダリオさん、友達だって言ってたよね。
そういえば来年の干支は蛇なのね。
干支ってなあに?
解説)
続きます。
ミニライトなどの照明だけで撮影する試みは、
やはり暗すぎ。
フラッシュを炊くとこんな感じです。
Dec 07, 2024
冬支度
ここ数日で、ケヤキの葉がほとんど散って
空が明るくなった。
みんなはいないの?
ナオミは高台で太鼓叩いてるし、
たまきは探偵事務所で音楽聴いてるわ。
あ、こたつと火鉢入れたのね。
冬の和室はこれじゃないと。
もう暖めてるの?
もちろんだよ。
モモコは確かめてみた。
遠赤外線なのね。
すーすーするよ。。
と文学青年に言われている。
サラたちの部屋でも、
恒例の石炭ストーブのセットが
運び込まれていた。
設置作業が完了した。
早速焚き付けてみましょう。
ガンガン燃えている。
調子はいいようね。
フミコは、
ストーブに興味を持っているようだ。
この国では冬の必需品なのね。
直に炎が見れるのが素敵。
解説)
続きます。
こたつやストーヴの明かりは
インテリア小物のミニライトを、
赤いセロファンに包んで点灯させています。
Dec 06, 2024
ニッキーの朝
滅多に登場しないニッキーは
また三面鏡を覗き込んでいる。
今朝はなんとなく
いいことがありそうな予感。
久々に着替えしてみよう。
ニッキーは髪も纏めて
後ろで束ねてみた。
あんまり変わらない。
あら。なんの音かしら。
ニッキーが物干し台のある
ベランダのドアを開けると、
そこにはサンタクロースが立っていた。
お茶と煎餅でもてなしている。
この町には毎年早めに来て、
プレゼントを配る予定の
家々の様子を下調べするんですよ。
階段を上がって舞がやってきた。
あ、サンタさんだ。
と言っている。
今年は広場に豪勢なツリーが立ってますなあ。
ハリーさんが魔法で出現させたんです。
ああ、あの魔法使いの人ですか。
ニッキーが見下ろすと、
大道芸人たちの歌声が聴こえてきた。
Silent night, holy night🎵」
広場では賑やかな師走の一日が
始まっていた。
解説)
続きます。
Dec 05, 2024
装飾を作る
ペンギン前では、はるなが
店の庇を眺めている。
リズが声をかけた。
何みてるの?
広場に行ったらお店の装飾が綺麗だったので、
ここにも何か飾れないかなって思ってたの。
だったらサラに頼んでみたら?
サラたちの部屋では、
サラは蛇と遊んでいた。
このひんやりする感触がなんとも言えないわ。
部屋を訪ねてきたはるなは、
早速サラに装飾の相談をしている。
そーねえ。
そうだ。確かドルフィンの倉庫に、
スチロールの球があったはず。
あなたは景品のキスチョコの包み紙を
みんなから集めて来てくれない?
サラはペンギン前のテーブルで、
工作を始めることにしたようだ。
包み紙随分集まりましたね。
なぜかみんなよく
捨てずに取ってあったわね。
スチロールの球を
このカラーの銀紙で包み込むのよ。
作業はどんどん進んでいる。
バグも手伝っているようだ。
てっぺんはフックの部分にするから
ひねって棒状にしてね。
紐を探してたら、カラフルなモールが
倉庫にありましたけど。
それ使えそうね。
工作は完成したようだ。
これで賑やかになったわ。
余った玉はツリーに飾りましょう。
解説)
続きます。
Dec 04, 2024
夜の広場界隈
ドルフィンの二階の部屋では、
駒井魔子が三味線を爪弾いている。
ニッキーは三面鏡に向かっているようだ。
デジャでは相変わらず
会話が弾んでいる。
それであのチョコどうしたの?
姪からの貰い物なんだよ。
ジルって、姪御さんがいたのね。
あ、ドライマティーニ追加ね。
広場は夜が更けても賑やかですね。
このシーズンだからね。
ゼロはガラス戸のカーテンの裾をつまんで
広場を見下ろしてみた。
ベーカリー前では
ボニーと夏木さんが話している。
けっこう冷え込んできましたね。
また何か催しものの企画を考えてるんですか。
全然。いつも突然思いつくのよ。
アイスがボニーに声をかけた。
ツリーもライトアップしたし、
夜景でも撮影したら?
そうだねー。
ボニーは広場を回ってみた。
農家の直販店やケーキ売り場は、
そろそろ店じまいの支度をしているようだ。
マンゴー亭でも
佳奈たちの話が弾んでいる。
CGに入ったのは今年の春なんですよ。
もう何かミッションをこなしたの?
いえ。アフリカで新人研修は受けましたけど。
あああれね。
サバンナに人懐っこいライオンがいたでしょう。
いましたいました。
大道芸人たちは歌い続けている。
きっと君は来ない〜🎵
ボニーは、焼き芋を入れて
マンスフィールドさんの
スナップショットを撮影した。
クリスマスシーズンの
賑やかな広場の夜は更けていく。
解説)
続きます。
今回はしばらくぶりの夜景です。
あちこちの照明器具の
確認を兼ねて。
Dec 03, 2024
クリスマスの準備 そのさん
広場では、ドルフィンのスタッフと
アイスたちが話していた。
広場の飾り付けも終わったみたいだね。
ずいぶん華やかになったわ。
例年通り、
ベーカリーの軒先は装飾で彩られている。
マンゴー亭も同様に。
留め具には巨大目玉クリップが使われているようだ。
広場ではフローラが、
ベーカリーの出店のアルバイトをはじめ、
クリスマスケーキの予約を受け付けていた。
子供達はまじまじと覗き込んでいる。
このケーキ、ブッシュドノエルっていうんだよね。
よく知ってるのね。
毎年見てるから。
モミの木の下では、
ミューが新たに照明器具を取り付けていた。
この木、イルミネーションなら、
設置済みなのよ。
と舞が言っている。
彩のあるLEDライトを追加してみたんだ。
効果はイマイチだなあ。
夜になると綺麗かもね。
音楽イベントで懇意になり
大道芸人たちに招待された
メアリー=ケイトは、
一緒にクリスマスソングを歌っていた。
I’m dreaming of a white Christmas
Just like the ones I used to khow🎵
これは師走の風物詩ね。
解説)
続きます。
Dec 02, 2024
クリスマスの準備 そのに
ケヤキの葉が色づいている。
もう半分くらいは散っちゃったみたい。
今年もドルフィンの倉庫から
恒例のクリスマスグッズのレンタルがあった。
あれ。あの音は?
高台でナオミが叩いてるのよ。
高台の休憩所には田上うたもきていた。
友恵さん。
伴奏するから歌を聞かせてよ。
と言っている。
うん。これ喫い終わったらね。
どんな曲がいい?
とりあえず「枯葉」を。
ペンギン前でも
クリスマスツリーが飾り付けられていた。
早いものね。
今年ももうこんな季節に。
探偵は事務所のデスクを運び出して、
近所のバグたちの住む元倉庫の家に
預かってもらっている。
いつもすみませんね。
いえいえ。
また事務所で何か始めるんですか?
音楽好きの連中が集まっちゃってね。
僕もエリスも聴くの好きだから、
しばらく場所を提供することにしたんです。
探偵事務所のデスクのあったスペースには
ドルフィンの倉庫からドラムセットが運ばれていた。
セッティングを済ませて、
トムはあれこれと叩いて音の具合を確かめている。
よく鳴るけど、このセット相当年代物だね。
解説)
続きます。
ドラムセットは、
はるか昔の2005年に、ボール紙と
プラ板と鉛線で工作したものです。
奥のシンバルは別。
Dec 01, 2024
クリスマスの準備
デジャに戻ったジョニーは、
さっそくバーテンの仕事を再開している。
ジョニーがシェーカー振る姿は
さすがに様になってるわね。
ジルは何のカクテルにするか迷っている。
ヴィヴィアンは魔法の呪文を唱えている。
店内の隅に魔法の扉が出現したようだ。
これでジルの別荘にある
魔術劇場と繋がったわ。
郊外から通わなくても
良くなって便利になりますね。
そうでしょう。
音楽イベントが終わったら、
魔術劇場をまた広場に戻す
予定だったんだけど、
ハリーと相談した結果、
年末年始は広場を空けておくことにしたの。
ベーカリー前では、
夏木さんとアイスが話していた。
今日から師走。それに1日じゃない?
毎月のコスプレコンテストの結果発表はしないの?
音楽イベントがあったので、
先月分のコンテストの結果発表はなしだってさ。
みんなコスプレどころじゃなかったからね。
それにしてもそれよく食べ飽きないね。
好物というのは毎日食べたいものなのよ。
あ、ハリーさん。
音楽イベント楽しませてもらったよ。
それはよかったです。
片付けも終わって、
魔術劇場のスペース空けてありますよ。
うむ。
すぐに魔術劇場を戻すつもりだったんだが、
妻のカーミラやヴィヴィアンと相談してね。
年末年始は別荘で過ごすことにきめたんだ。
もうクリスマスの飾り付けをするんだろう。
いいものをプレゼントしよう。
ハリーが魔法の呪文を唱えると、
薄い煙が立ち上って。
空いていたスペースに、
大きなモミの木が出現した。
この木は本物ですか?
うむ。空きスペースの地面には、
見えない文字で魔法陣が描いてある。
その中に魔術劇場同様に、
郊外の林から移動させてきたのさ。
さっそくドルフィンのスタッフが、
イルミネーションの飾り付けを
行っている。
夕方になって作業は完了した。
設置成功。
ライトは点滅方式だから、
ツリーの前で記念撮影する時には
タイミングが肝心だね。
解説)
続きます。