Feb 26, 2005

C棟3号(2000.11.21)


さて会が終わると
抱いてきた子猫がいないのに気づく
瞬間的に客は庭園の向こうに移動してしまった
捜しはじめる

この建物は長くて8階ぐらいまである
入口と反対方向に向かうと
すぐ和風の造りにした寄席の階に着く
ここにも誰も来ている人はいないが
メモが落ちていて
C棟3号
と書いてある

C棟とは斜め上の鍵状の向こう側である
たちまち8階のバルコニーに出る
すると
どこからともなく
捜していた子猫が現われた
よかった
抱きあげて1階分下りると
すでに1階である

そういえばいとこのJさんが1階の入口付近で
展示会を開いているとのこと
覗くと展示会の部屋は菓子の空き袋が散らかっている

ぼくは猫に
「帰りにペットショップでカゴを買わなきゃ
 抱っこじゃ疲れるよね」
と言うと
子猫は初めて日本語をしゃべる
「そうだよ
 初めからカゴで連れてきてくれれば」
それをきっかけに
ずいぶん話したと思う

「あの人は目が見えないの?」
ぼくは「君も拾ってきたときから片目だし」
猫の目を見ると見えるほうが少し白目がちになっている
でもすぐにきれいな目になる

抱いて外に出ると
予告編がはじまっている
紅い車で水流を走る話だ

Posted at 09:39 in poem | WriteBacks (0) | Edit
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