Feb 26, 2005
亀裂があいさつする(1997.3.5)
雁字がらめにしばられ
包帯男が蹌踉として
歩いている
トイレットペーパーに十文字に巻かれ
ラッパ水仙に吸い込まれる
包帯男の群像
ぞろぞろ
花弁の細い道に沿い
紙を後ろに垂らして
黒いジャケットのポケットに水仙を
詰め込んで
地下鉄への階段を下りていく
昼の月の
男
いまテーブルの
皿の上の駅を
フォークでつまみ
駅の女の年齢を聞き
忘れてしまう数を
そのまま風に吹かせてしまう
亀裂が亀裂に出会うとき
霧吹きで互いを濡らす
あいさつをする街
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