Feb 26, 2005

水面の火(1999.3.30)


水草は
なびいている
その葉に水沢のからだを宿して

水沢は春の箱で
風を立方体に切断する
つまりのこぎりで切る
氷の煉瓦のように
風を沢に積んでいく
その継ぎ目を虫はすりぬけ
そのときに
翅は屈折し
血管のような筋が
グラスの表についていく

涯は箱にある
でも涯は目にもある

ぼうぼうと繁るものに戻り
また往くようにして
微小な火が
真昼に
水を走る

Posted at 09:39 in poem | WriteBacks (0) | Edit
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