Feb 26, 2005
たなびく魚(1998.3.31)
右端の突堤から
薄い煙が上がり
なびいていって
黒い人影を作るのは
雲の躍りの
入道が
臍のあたりから
ちりぢりに
島の林に融けてしまい
その影だけが
気になっているからだ
僕はあの極微の町の
夕景に魚を焼く
漁夫の女房が
斜めになった駐車場の
壊れたテレビのモニターに
映るのを見る
あの影を
否定することは
ついに極微の町を否定することに等しい
つまりは
右端の突堤から
たなびいているのは
魚の僕なのである
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