Feb 26, 2005
水面の呼び出し音(1997.8.26)
網の目に似た
カラスウリの花
グロッタの画家の好みも
思い起こさせるが
晩夏のパッケージが
やがて草むらのそここに
つり下がるのを
用意している
ほとんど見えないくらいの
細いテグス糸が
さざ波をわたって
竿の先がたわむ
やがて細長い筋肉のような
ハヤが手元で跳ね
水と光がかしましい
水上に電話が鳴る
そういえば
昔から電話は水面に鳴っていて
とんと受話器を取ったことがない
蚊柱が川を移動するころ
ぼくは受話器を取る
受話器を耳に当てる
それが陶の巨大な火鉢になり
足元にゆらゆら沈み
聞き取れない声が
水音に交じっている
WriteBacks
http://haizara.net/~shimirin/blosxom/blosxom.cgi/poem/poem062.trackback
writeback message: Ready to post a comment.