Feb 26, 2005
犬への文書(1997.1.21)
しっぽのほうに
這っていく文書
古い
まだ毛生え薬のないころの
禿の文書が
つややかな毛並みに沿って
這っていく
船は水を求めて座礁していた
砂にまみれて
列車は線路を求めて
寝ていた
海溝に
犬は右隣にいる
僕らは写真に写る
いい
帆柱に勢いよく揺れる旗のように
いい
廃屋の鍵を挿し込むと
向こうからも鍵を挿している
暴かれないものがほとんどだった
100の鍵束の
そのひとつの
文書が
しっぽに向かって這う
清潔な毛の先だ
WriteBacks
http://haizara.net/~shimirin/blosxom/blosxom.cgi/poem/poem031.trackback
writeback message: Ready to post a comment.